【文献】
Ning Su et al.,"Observation and control of electrochemical etching effects in the fabrication of InAs/AlSb/GaSb heterostructure devices",Journal of Vacuum Science & Technology B,AIP Publishing,2008年 5月22日,Vol.26(3),pp.1025-1029
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0006】
ミリ波検波の技術は、走行指示、航空電子工学、保安検査、及び化学センシングの用途において近年利用されてきた。低雑音、高画素密度、高い非線形性及び/若しくは曲率、並びに/又は相対的に高速の周波数応答を供するため、ミリ波の検出、可視化、及び/又は放射線計測は、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、GaAs、又は他の半導体材料を用いることによって実装されて良い。たとえば、ショットキーダイオードは、順方向でのオン電圧が低く、周波数応答が高速で、かつ帯域が広いため、上述の目的に用いられてきた。一部のショットキーダイオードの実装には、フリッカ雑音(たとえば1/f雑音)を導入する外部バイアス印加が含まれるものの、バイアス印加されないショットキーダイオードの実装は依然として概して、温度による強い感度変化に悩まされ、かつ意図しない大きな接合抵抗を有してしまう。さらにショットキーダイオードの温度依存性はダイオードの曲率に直接影響する。
【0007】
【数1】
例示の式1は、電圧と電流の2次導関数と電圧に対する電流の1次導関数との比である曲率係数γを表している。曲率係数(γ)は、ゼロバイアスでの検波器の非線形性(ひいいては感度)を定量化するために産業界で用いられる少なくとも1つ指標としての役割を果たす。しかし上述のように、ショットキーダイオード及び/又は他の熱イオンデバイスは、式2で表されるような基本性能の限界を示す。式2において、qは電荷で、kはボルツマン因子で、かつTは絶対温度である。例示の式2は、デバイスの設計とは独立で、かつショットキーダイオードの曲率に関する基本的な限界を与える。一般的には、ゼロバイアスで比較的高い非線形の電流−電圧特性を示すデバイスでは、そのデバイスの感度値が改善される。
【0008】
Geベースのバックワードトンネルダイオードもまた、そのゼロバイアスの非線形性の観点から研究されてきた。ゼロバイアスデバイスがデバイスの駆動回路を単純化し、かつ加えられる雑音(たとえばフリッカ雑音)のイベントを最小限に抑制する一方で、Geベースのバックワードダイオードは重大な製造上の課題を示す。その重大な製造上の課題は、コストに配慮した、機能上の許容度を有する大量製造可能なデバイスの妨げとなる。同様の製造上の課題は、GaAsベースの平面ドーピングされたバリアダイオードにも存在する。
【0009】
本明細書に記載された例示の方法及び装置には、ミリ波の2乗パワー検波器に用いられるInAs/AlSb/GaSbバックワードダイオードが含まれる。また本明細書には、従来知られた設計と比較して、接合キャパシタンスが低く、接合抵抗が低く、かつ曲率係数の大きなヘテロ構造設計の一部が記載されている。本明細書に記載された例示のヘテロ構造設計には、曲率係数に直接比例する電圧感受性が含まれる。前記曲率係数は、同様のバリア厚さを有する従来技術に係るデバイスと比較して約31%改善される。これらのデバイスは部分的に、動作の基本原理として量子力学的なトンネリングに依拠する。そのようなものとして、係るデバイスは、上の式2で示されたような曲率制限に影響を受けない。接合キャパシタンスもまた、たとえば約25%(たとえば9.5fF/μm
2)だけ減少する。
【0010】
感度の改善とキャパシタンスの減少は、部分的には、例示のInAsカソード層中に1×10
12cm
-2のシート濃度を有するp型のδドーピングを加えることによって実現される。低抵抗(ひいては低ジョセフソン雑音)と高感度とを併せ持つことで、例示の共役整合した出力源について94GHzで0.24pW/Hz
1/2の雑音等価パワー(NEP)が推定される。その一方で、キャパシタンスの減少は、帯域の一致を助け、かつ例示された検波器のカットオフ周波数を増大させる。これらのアンチモン(Sb)化合物検波器は、たとえば受動的なミリ波及びサブミリ波可視化システムの性能を改善することを保証する。
【0011】
ゼロバイアスの2乗パワー検波器によるミリ波の直接検出は、外部バイアスが存在しないことによって生じる1/f雑音が減少するので、受動的な可視化用途にとって特に魅力的となるだろう。ショットキーダイオード、Geバックワードダイオード、及びGaAs平面ドーピングバリア(PDB)ダイオードを含むがこれらに限定されない他の手法と比較して、例示されたInAS/AlSb/GaSb検波器は、高感度、高カットオフ周波数、低雑音、及び好ましい温度依存性を有するといった優れた性能を示す。バリア高さが調節可能である低バリアのゼロバイアスショットキーダイオード検波器は高周波数での報告がある一方で、係るダイオードは、Sbベースのトンネルダイオードと比較して、より強い感度の温度変化を示す。その理由は具体的には、上述したように、ショットキーダイオードの曲率(γ)が一般的にq/kT以下に制限されるためである。室温(T=300K)では、PDB又はショットキーダイオードでは、γ≦38.5V
-1である。他方、本明細書に記載された例示のトンネル検波器はq/KTによる制約を受けず、かつ、これまでの結果は、Geベースのデバイスについて70V
-1と同程度の曲率を示した。高曲率(γ)、低キャパシタンスC
j、及び適度な接合抵抗R
jは、低雑音検波器を作製する上での設計因子の一部である。
【0012】
Sbヘテロ構造検波器のR
jを減少させるのは、部分的にはたとえばトンネルバリア厚さを32Åから約7Åへ減少させることによって実現される。しかしバリア厚さだけ単独で減少させても、それに対応して曲率係数も39V
-1から32V
-1へ減少する。薄いバリアのSbベースミリ波検波器の性能について以降で詳述する。一部の例示のヘテロ構造設計の曲率γは42.4 V
-1の測定値を示す。それに加えて、例示の測定された不一致感度β
Vが4200V/Wとなるのには、本明細書に記載された方法及び装置によって実現される。これはβ
V=2Z
sγからの期待値と一致する。この例示の曲率は、ショットキー検波器の理論的限界を超え、かつ接合キャパシタンスC
jを減少させながら実現することが可能である。感度及びキャパシタンスにおける改善は、ヘテロ構造内にp型の不均一ドーピング(たとえばデルタ(δ)ドーピング面、傾斜ドーピング、パルスドーピング等)が含まれるようにドーピングプロファイルを調節することによって(複数の)例示のデバイス内部での電荷分布を最適化することによって実現可能となる。(複数の)例示のデバイスの設計は、ゼロバイアスの感度を増大させ、かつさらに接合抵抗について大幅な妥協をすることなく接合キャパシタンスを低下させる。係る例示の特性は特に、たとえば低雑音ミリ波及びサブミリ波検波器の性能の改善に適用可能である。
【0013】
図1は、分子線エピタキシー(MBE)法によって半絶縁性GaAs基板102上に成長した例示のデバイス構造100を図示している。例示のメタモルフィックデバイス層はGaAsバッファ上で成長する。前記例示のメタモルフィックデバイス層は、4000Åのn
+InAs(1.3×10
19cm
-3)トンネルアノードコンタクト層104、300Åのp
+GaSb(1.3×10
19cm
-3)アノード層106、150ÅのドーピングされていないAl
0.1Ga
0.9Sb層108、7-11ÅのドーピングされていないAlSbトンネルバリア層110、45Åのn-InAsスペーサ層112(ドーピング濃度1.4×10
17cm
-3)、Beのδドーピング面(1×10
12cm
-2)114、455Åのn-InAs(1.4×10
17cm
-3)カソード層116を有し、n
+InAs(1.3×10
19cm
-3)コンタクト層118で終端する。例示のAlSbバリア層110付近においてn-InAsカソード層116内に完全空乏化したp型δドーピング面114を加えることで、トンネルバリア110付近でのバンド曲がりが調節されることで、デバイスの性能が改善される。例示の45Åスペーサ層112は、ドーピング面114をトンネルバリア110から分離する。例示のSbベースのバックワードダイオードの製造は、以下に限定されるわけではないが、ミックス・アンド・マッチ(mixed-and-matched)電子ビーム/光リソグラフィ、蒸着及び/若しくはリフトオフによるコンタクトのメタライゼーション、ウエット化学メサエッチング、並びに/又はベンゾシクロブテン誘電保護、並びに/又は他の適切な製造法を用いることによって実行されて良い。
【0014】
図1に図示された例では、デバイス構造100の厚さは、例示目的で供されたのでり、限定目的で供されたわけではない。一部の例では、GaAs構造102、トンネルアノードコンタクト層104、アノード層106、ドーピングされていないAlGaSb層108、トンネルバリア110、スペーサ層112、カソード層116、及び/又はコンタクト層118について異なる厚さが用いられても良い。さらに層の厚さは、記載された例が維持される範囲の値を有しても良い。それに加えて、例示のデバイス構造100の上述した層についてのドーピング濃度は、例示目的でしか供されないのであり、限定のために供されるのではない。
【0015】
一般的には、例示のトンネルバリア110、ドーピングされていないAlGaSb層108、及びアノード層106は、アンチモン(Sb)化合物サブ構造120と呼ばれる。それに加えて例示のカソード層116、ドーピング面114、及びスペーサ層112は、カソードサブ構造122と呼ばれる。
図1の例示のドーピング面114はBeのδドーピング面を有する一方で、1層以上の他の層が用いられて良い。しかも1種類以上の他の不均一ドーピングが用いられても良い。そのような不均一ドーピングには、傾斜ドーピングプロファイル及び/又はパルスドーピングプロファイルが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0016】
図2Aは、例示の0.85×0.85μm
2の面積を有するデバイス−たとえば
図1に図示された例示のデバイス100−についての測定された電流−電圧特性及び電流−曲率特性を図示している。
図2Aの図示された例では、ゼロバイアス205で、接合抵抗R
jが3239Ωと測定され、曲率が42.4V
-1という高い値で測定された。δドーピング面を有する検波器の電流密度−電圧特性と、カソードドーピングが均一であることを除いて同一のヘテロ構造上のデバイスの電流密度−電圧特性が、
図2Aの拡大挿入
図210で比較されている。
図2Aの例示の拡大挿入
図210は
図2Bで拡大されている。
図2Bは、10Åのトンネルバリア220を有するSbヘテロ構造(1点鎖線参照)、7Åのトンネルバリア222を有するSbヘテロ構造(破線参照)、及びδドーピングされた7Åのトンネルバリア224を有するSbヘテロ構造(実線参照)との間での電流−電圧特性の比較を図示している。δドーピング224(実線)から分かるように、δドーピングされたヘテロ構造(たとえば検波器)についての例示の順方向電流(n-InAs(たとえば
図1のスペーサ層112)からドーピングされていないAl
0.1Ga
0.9Sb層(たとえば
図1のドーピングされていない層108)へトンネリングする電子)は顕著に抑制される。その一方で、逆方向電流はほとんど変化しない。その結果、ゼロバイアス曲率が改善される。動作中、例示の不均一なドーピング(たとえばδドーピング)面114とSbトンネリングバリア110は、ゼロバイアス点205のいずれかの面での電流の比を増大させることによってデバイスの曲率を改善する。
【0017】
図3は、均一にドーピングされた検波器304,316のヘテロ構造(破線)と不均一にドーピングされた検波器302,306のヘテロ構造(実線)のヘテロ構造についての計算されたエネルギーバンド
図300を図示している。
図3の図示された例では、最上部の実線302は不均一にドーピングされた(つまりδドーピングされた)ヘテロ構造の伝導帯を表し、最上部の破線304は均一にドーピングされたヘテロ構造の伝導帯を表す。また
図3に図示された例に示されているように、最下部の実線306は不均一にドーピングされたヘテロ構造の価電子帯を表し、最下部の破線308は均一にドーピングされたヘテロ構造の価電子帯を表す。
図3の例で分かるように、完全に空乏化したp型δドーピング面114を追加することで、トンネルバリア110の端部でのInAsカソードにおけるバンド曲がりが減少し、かつInAsの伝導帯はフェルミ準位(E
f)310に近づく。トンネルダイオードでは、このようなバンド位置合わせの変化は、逆方向電流よりも順方向電流を、より強く抑制する。それによって曲率係数の改善が促進される。
β
V=2Z
sγ 式3
例示の式3で示されているように、デバイス100の感度もまた改善される。その理由は、検波器のカットオフ周波数よりも十分低い動作周波数の典型的な近似範囲内では、感度(β
V)は、改善された曲率係数(γ)にほぼ直接比例するからである。
【0018】
感度(β
V)の改善に加えて、低い接合キャパシタンスC
jも、例示のカソードサブ構造122が不均一なドーピング面114−たとえばδドーピング面−を含むことで実現可能となる。バイアスに対する接合キャパシタンスを表す
図400が
図4Aに表されている。
図400は、例示のバイアス依存するウエハ上のsパラメータ測定から得られた。
図4Aの図示された例では、均一にドーピングされたデバイス412の接合キャパシタンス及び/又は不均一にドーピングされたデバイス414(たとえばδドーピングされたデバイス)の接合キャパシタンスは、(a)所与のヘテロ構造に印加されるバイアス、及び(b)前記所与のヘテロ構造の具体的なキャパシタンスに対してほぼ1次関数的に依存する。
図4Aは、ゼロバイアスでの例示のδドーピングされた検波器414の接合キャパシタンスが一例では13fF/μm
2で、この値はカソードにおいてδドーピングがなされていないデバイスの接合キャパシタンスよりも約25%低いことを部分的に示す図である。p型δドーピングは、InAsカソード116内のAlSbバリア110に隣接する電子の蓄積を減少させることによって、キャパシタンスを低くすることを部分的に補助する。そのようなp型δドーピングの効果はまた、
図3の例示のバンド
図300から明らかである。バンド
図300において、垂直な線は、印加バイアスのわずかな変化に対して増える電荷の計算されたセントロイドを表す。
図4Bは、ウエハ上のsパラメータ測定から得られた接合抵抗(R
j、線416参照)及び接合キャパシタンス(C
j、線418参照)のデータを、デバイス面積420の関数として図示している。
【0019】
簡単に
図3へ戻ると、左端の実線で表された垂直線312は、例示のδドーピングされた構造の増加する電子分布のセントロイドを表し、かつ、右端の実線で表された垂直線314は、例示のδドーピングされた構造の増加する正孔分布のセントロイドを表す。他方、左端の破線で表された垂直線316は、例示の均一にドーピングされた構造の増加する電子分布のセントロイドを表し、かつ、右端の破線で表された垂直線318は、例示の均一にドーピングされた構造の増加する正孔分布のセントロイドを表す。例示のδドーピングされた構造のセントロイド(312と314)と、例示の均一にドーピングされた構造のセントロイド(316と318)との比較によって示されているように、例示されたδドーピング構造は、正孔の電荷のセントロイドと電子の電荷のセントロイドとの間に大きな間隔(W
ΔQ)が存在することを示す。その結果、δドーピング構造を用いるときには、均一にドーピングされた構造と比較して、低いキャパシタンスが実現される。自己無撞着のポアソン/シュレディンガー計算は、一例ではキャパシタンスを約39%減少させるため、δドーピング面が、電子−正孔間隔を153Åから239Åまで増大させることができることを示唆している。この結果はキャパシタンス変化の測定値と十分一致している。キャパシタンスが減少することで、真性カットオフ周波数fc=1/(2πR
sC
j)を改善させることが可能で、例示の検波器インピーダンスのリアクタンス成分をも減少させること可能で、かつ広帯域の一致を実現することを容易にする。この表式では、R
sはデバイスの直列抵抗で、基本的にはコンタクト抵抗によって制限される。δドーピングデバイスについては、例示のR
jを26Ωとなることを実現することが可能である。その結果、f
c=620GHzとなる。この値は限定ではなく例示を意味する。換言すると、かかるコンタクト抵抗におけるさらなる改善は可能である。厚さ10Åのトンネルバリアを有する均一にドーピングされた構造と、厚さ10Åのトンネルバリアを有する不均一にドーピングされた構造の利点を示す重要な数値を比較したものが表1に示されている。
【0020】
【表1】
表1に示されているように、例示のδドーピングされた構造の接合抵抗は1230Ωμm
2から2340Ωμm
2へ増大する。このようなR
jの増大は熱雑音を増大させる一方で、全体としての検波器のNEPを改善する。その理由は、β
Vが増大することで、増大した熱雑音を補償するからである。
【0021】
δドーピングされた検波器のミリ波性能は、以降で詳述するように評価された。
図5は、1〜110GHz範囲である50ΩのRF源によって駆動する例示の検波器についての測定されたウエハ上の電圧感度のグラフ500を図示している。例示の出力源は、同軸バイアスのT字管とウエハ上のプローブを介してデバイスと結合する。検波器の電圧は、バイアスのT字管のDC腕部で測定された。
図5の図示された例では、低周波数電圧感度β
Vは4200V/Wで、この値は均一にドーピングされたカソードを除いていて同一のデバイスについてこれまでに報告された3200V/Wから約31%の改善である。例示の非線形デバイスモデルは、バイアス依存するsパラメータ測定を利用して得られた。例示の回路モデルは
図4の拡大挿入図(410)に示されている。この例示モデルでは、直列インダクタンス、パッドのキャパシタンス、及び直列抵抗がバイアスに対して独立である一方で、接合抵抗及びキャパシタンスはバイアスに対して変化する。パラメータは、回路モデルを測定されたsパラメータに対して非線形の最小自乗最適化することで求められた。ここで追加の束縛条件として、接合抵抗と直列抵抗は、以下の式4によって、測定されたDCのI-V特性と関連づけられた。
【0022】
【数2】
上述したカイロモデルの最小自乗最適化に部分的に基づいて、12fFのC
p、65pFのL
p、及び26ΩのR
sが得られ、かつ接合キャパシタンス(C
j)が
図4に図示されている。得られた非線形モデルを用いて予測された感度の周波数依存性は、
図5に図示されたように測定された感度と良く一致する。例示の回路モデルの外挿は、400GHzでの一致しない感度を2000V/Wと見積もる。周波数応答の実験による検討は、WバンドからYバンドさらにはその上のバンドで、Sbヘテロ構造ダイオードが検波器として可能性があることを示している。
【0023】
出力源と検波器との間の無損失の整合ネットワークが含まれる結果として得られる最適な感度β
optは、例示の50Ω出力源での一致しない感度の測定値と、sパラメータの測定値とを組み合わせることによって推定された。例示の共役整合出力源の低周波数β
optは、この例では、8.0×10
4V/Wと計算され、かつ94GHzでは3.0×10
4V/Wである。小さな入射出力について熱雑音限界を示す対応する雑音等価出力は、測定された接合抵抗に基づいて0.24pW/Hz
1/2と推定される。この値は、典型的な均一にドーピングされたカソードデバイスのNEPよりも約17%の改善である。高感度と低雑音が組み合わせられることで、本明細書に記載の例示のSbヘテロ構造検波器は、RFの事前増幅を行わない受動的ミリ波の可視化センサとして有望となる。
【0024】
表2は、
図2Bに図示された3つの例示のヘテロ構造の利点を示す数値の追加例を表している。表2では、94GHzで理想的なバンドパスの無損失の整合ネットワークでの一致した感度についての雑音等価温度差(NETD)値が計算された。これらは、製造されたデバイスからの例示のデータであり、かつ基本的な制限を示唆するものではないが、例示の観察された傾向を示す。
【0025】
【表2】
表2で示されているように、Sbトンネルバリアによって不均一ドーピング−たとえばδドーピング−を実装することは、接合抵抗(R
j)と曲率(γ)との間にこれまで存在した強いつながりを持つトレードオフの関係を打ち破る。表2では、比較を容易にするため、曲率(γ)は、10Åのバリアデバイスについて得られた値に規格化された。δドーピングを導入することによって、R
jを低い値に維持しながら曲率が改善される。
【0026】
ヘテロ構造設計が改善された例示のInAs/AlSb/GaSbバックワードダイオード検波器は、曲率が42.4V
-1という高い値を示し、かつキャパシタンスの減少を示した。これは、一致しない感度である4200V/Wに相当し、ショットキーダイオードの理論的限界を超えた。本明細書に記載された例示の検波器での感度の改善と接合キャパシタンスの減少は、例示の修正されたデバイスのヘテロ構造を起源とする。この修正されたデバイスのヘテロ構造は、n-InAsカソード層におけるシート濃度が1×10
12cm
-2の完全空乏化したp型δドーピング面を含む。高感度かつ低接合抵抗である結果、共役一致する出力源については、94GHzで0.24pW/Hz
1/2のNEPが推定される。それにより、RFの事前増幅を行わない室温での受動的イメージセンサとして有望な候補となる。しかも、このヘテロ構造を有する例示の検波器は接合キャパシタンスを減少させることで、Yバンドからそれ以上の帯域での動作する可能性を供する。