(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5718226
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】2つの気体出口を有するサイクロン分離器及び分離法
(51)【国際特許分類】
B04C 5/12 20060101AFI20150423BHJP
B04C 3/06 20060101ALI20150423BHJP
B04C 5/04 20060101ALI20150423BHJP
B04C 5/06 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
B04C5/12 Z
B04C3/06
B04C5/04
B04C5/06
【請求項の数】17
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-515593(P2011-515593)
(86)(22)【出願日】2009年6月25日
(65)【公表番号】特表2011-526539(P2011-526539A)
(43)【公表日】2011年10月13日
(86)【国際出願番号】GB2009001600
(87)【国際公開番号】WO2010001097
(87)【国際公開日】20100107
【審査請求日】2012年6月22日
(31)【優先権主張番号】PI0803051-0
(32)【優先日】2008年6月30日
(33)【優先権主張国】BR
(73)【特許権者】
【識別番号】591005349
【氏名又は名称】ペトロレオ ブラジレイロ ソシエダ アノニマ − ペトロブラス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100066692
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 皓
(74)【代理人】
【識別番号】100072040
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100087217
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100072822
【弁理士】
【氏名又は名称】森 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100123180
【弁理士】
【氏名又は名称】白江 克則
(74)【代理人】
【識別番号】100137475
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 建
(74)【代理人】
【識別番号】100089897
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 正
(74)【代理人】
【識別番号】100160266
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100140028
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 義光
(72)【発明者】
【氏名】ウジワラ、ウィルソン、ケンゾー
(72)【発明者】
【氏名】ドス サントス、セルソ、ムリロ
(72)【発明者】
【氏名】ミチェラン、ロジェリオ
(72)【発明者】
【氏名】サンデス、エマニュエル、フレイレ
【審査官】
鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】
仏国特許発明第02033507(FR,B1)
【文献】
米国特許第04820414(US,A)
【文献】
特開2003−284911(JP,A)
【文献】
実開昭59−067568(JP,U)
【文献】
米国特許第04927298(US,A)
【文献】
英国特許出願公告第01251903(GB,A)
【文献】
米国特許第02816490(US,A)
【文献】
特開昭52−029678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B04C 1/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体と粒子の混合物から粒子を分離するためのサイクロン分離器であって、
内部で前記粒子が前記気体から分離される分離チャンバであって、その内壁が切頭円錐形である円錐部分を有する分離チャンバと、
粒子と気体の混合物を前記分離チャンバに提供するように構成された入口と、
粒子が分離された気体の一部分を前記分離チャンバから受け取るように位置決めされた逆流気体出口であって、気体の前記一部分の方向は、前記分離チャンバ内で反転されたものであり、また前記逆流気体出口は前記分離チャンバの中まで延びている、逆流気体出口と、
粒子が分離された気体の別の部分を前記分離チャンバから受け取るように位置決めされた一方向流気体出口であって、気体の前記他の部分の方向は、前記分離チャンバ内で反転されたものでなく、また前記一方向流気体出口は前記分離チャンバの前記円錐部分の中まで延びている、一方向流気体出口と
を有するサイクロン分離器。
【請求項2】
前記分離チャンバが入口端部を有し、
前記入口及び前記逆流気体出口が、前記入口端部に設けられ、また
前記一方向気体出口が、前記入口端部とは反対の前記分離チャンバの端部に設けられている請求項1に記載のサイクロン分離器。
【請求項3】
前記気体が、第1の排出流れ方向で前記逆流気体出口から出ること、
前記気体が、第2の排出流れ方向で前記一方向流気体出口から出ること、また前記第1の排出流れ方向が前記第2の排出流れ方向とは異なることを特徴とする請求項1又は2に記載のサイクロン分離器。
【請求項4】
前記第1の排出流れ方向が前記第2の排出流れ方向と実質的に逆である請求項3に記載のサイクロン分離器。
【請求項5】
前記気体から分離された粒子が前記分離チャンバから出ることを可能にするように構成された固体出口をさらに有し、前記固体出口が、前記第2の気体出口と位置合せされている請求項1から4までのいずれか一項に記載のサイクロン分離器。
【請求項6】
前記分離チャンバの少なくとも一部分が、前記分離チャンバの軸線方向中心線に関して放射状に対称である請求項1から5までのいずれか一項に記載のサイクロン分離器。
【請求項7】
前記逆流気体出口が、前記分離チャンバの前記軸線方向中心線と実質的に位置合わせされた中心線を有するパイプを有している請求項6に記載のサイクロン分離器。
【請求項8】
前記一方向流気体出口が、前記分離チャンバの前記軸線方向中心線と実質的に位置合わせされた中心線を有するパイプを有している請求項6又は7に記載のサイクロン分離器。
【請求項9】
前記分離チャンバの少なくとも一部分が軸線方向中心線を有し、前記入口が、
前記軸線方向中心線に実質的に平行であり、
前記軸線方向中心線に実質的に垂直であり、又は
前記軸線方向中心線の周りで渦巻形を成している
請求項1から8までのいずれか一項に記載のサイクロン分離器。
【請求項10】
前記分離チャンバの少なくとも一部分が軸線方向中心線を有し、前記入口が、前記軸線方向中心線からずらされている請求項1から9までのいずれか一項に記載のサイクロン分離器。
【請求項11】
粒子と気体の混合物が前記分離チャンバに入るように構成された第2の入口をさらに有する請求項1から10までのいずれか一項に記載のサイクロン分離器。
【請求項12】
前記分離チャンバの少なくとも一部分が軸線方向中心線を有し、前記第2の入口が、
前記軸線方向中心線に実質的に平行であり、
前記軸線方向中心線に実質的に垂直であり、又は
前記軸線方向中心線の周りで渦巻形を成している
請求項11に記載のサイクロン分離器。
【請求項13】
前記逆流気体出口の断面積が、前記入口の断面積の30%〜50%の範囲内であり、前記一方向流気体出口の断面積が、前記入口の断面積の30%〜50%の範囲内である請求項1から12までのいずれか一項に記載のサイクロン分離器。
【請求項14】
気体と粒子の混合物から粒子を分離する方法であって、
分離チャンバに前記混合物を提供するステップと、
前記気体の一部分の流れ方向を反転させるステップと、
前記気体の別の部分を、流れ方向を反転させずに流し続けるステップと、
方向が反転されていない前記気体部分を、一方向流気体出口を通して除去するステップと、
方向が反転された前記気体部分を、逆流気体出口を通して除去するステップと
を含む方法であり、
前記分離チャンバは、内壁が切頭円錐形である円錐部分を有し、前記逆流気体出口は前記分離チャンバの中まで延び、また前記一方向流気体出口は前記分離チャンバの前記円錐部分の中まで延びている、方法。
【請求項15】
前記逆流気体出口を通して除去される前記気体部分が、前記一方向流気体出口を通して除去される気体部分と実質的に逆方向に除去される請求項14に記載の気体と粒子の混合物から粒子を分離する方法。
【請求項16】
前記混合物を分離する前記ステップが遠心分離を含む請求項14又は15に記載の気体と粒子の混合物から粒子を分離する方法。
【請求項17】
前記混合物から分離された固体を除去するステップをさらに含む請求項14から16までのいずれか一項に記載の気体と粒子の混合物から粒子を分離する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体と固体の懸濁物から固体粒子を分離するための機器及び方法に関し、特に、接線方向の力成分が気体と固体の懸濁物に与えられるサイクロン分離器に関する。
【背景技術】
【0002】
気体状流体に含まれる不純物、例えば固体粒子やダスト、液滴、又は同様の物質を分離するための多くのデバイス及び/又は機器において、様々な異なる構成形態のサイクロン分離器が使用されている。
【0003】
様々なサイクロン分離器が、空気又はプロセスガスから粒子を分離及び/又は除去するために広く使用されている。それらはまた、化学反応器として、熱交換器として、粒状物質の乾燥用に、及び油の燃焼用にも使用される。石油精製所では、サイクロン分離器は、製品を得るための複数のプロセスの連続性を保証するため、及び触媒を保持して大気への放出を妨げ、損失及び汚染を防止するために使用される。サイクロン分離器は、動作コストが低く、保守が簡単であり、且つ厳しい温度及び圧力条件に耐えることができるため、適用範囲が広い。
【0004】
サイクロン分離器は、様々な異なる構成で、直列又は並列で使用することができる。いくつかのプロセスでは、生成される気体状流体(以後本明細書では気体と固体の懸濁物と呼ぶ)がすべて、分離器を通過する。他のプロセスでは、サイクロン分離器は、廃ガス洗浄システムの一部として使用することができる。
【0005】
粒子は、気体と固体の懸濁物の遠心分離プロセスによって分離される。この現象は、概して円錐形状のサイクロン・チャンバに懸濁物が入るときの有意な接線方向の力成分によってサイクロン分離器内部で渦流を誘発させることにより生じる。固体粒子は、気体よりも密度が高いので、遠心力によって渦流に垂直な軌道内に残り、それによってチャンバの壁に衝突する傾向がより強い。衝突により粒子は速度を失って流れから分離する傾向があり、チャンバの底部に向かって落ちてチャンバから除去される。分離された気体は、チャンバを通って数回転し、上部にあるパイプに向かって鋭い角度で曲がった後、サイクロンの出口パイプを通って出る。
【0006】
気体と固体の懸濁物のサイクロン分離器は、一般に逆流タイプ(reverse flow type)のものであり、それらはこの種の分離用の最も一般的な分離器である。しかし、主に懸濁物中の固体の濃度が低い適用例では、一方向流サイクロンも使用されている。
【0007】
逆流サイクロンでは、通常はファインダ又は渦管と呼ばれる気体出口パイプがサイクロンの上部に固定及び配置される。動作中、気体が出口パイプによって吸引されるように、気体の渦流を完全に逆向きにする必要がある。
【0008】
英語では「uniflow(ユニフロー)」の語で知られている一方向流サイクロンでは、気体出口パイプがサイクロンの下部に位置され、したがって渦流を逆向きにする必要はない。
【0009】
これら2つの構成では、サイクロン分離器は分離区域を1つだけ有する。一方向流分離器は、逆流を伴う分離器よりも短い分離区域長さを有しており、これは、一方向流分離器が、低濃度の固体を含む気体と固体の懸濁物にのみ効率的である理由である。
【0010】
逆流分離器の分離区域はより大きいけれども、流れが逆向きになる区域は、サイクロン分離器の収集効率の損失が最大の領域である。
【0011】
流れが逆向きになる頂点部分は不安定であるため、渦流の横方向へのずれが生じ、前に分離された固体が同伴され、サイクロン分離器の壁が侵食される。
【0012】
米国特許第4238210号明細書には、流路を形成する内部ダクトを有する一方向サイクロン分離器が開示されており、内部ダクトは、外方向に拡張された渦流発生螺旋部を備えた中央本体を有する。ダクトは収集チャンバによって取り囲まれ、螺旋部は収集端部及びチャネルを有し、チャネルは、ダクトの壁を通して収集チャンバの内部に通じている。渦流発生螺旋部の下流に、気体流に対して横向きの出口スロットがある。
【0013】
他の一方向サイクロン分離器と同様に、この機器は、低い濃度の固体を含む懸濁物に関してのみ効率的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第4238210号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
以下に述べるデバイス及び方法は、低濃度及び高濃度のための従来技術で知られているデバイス及び方法に比べて、気体と固体の懸濁物の分離のための利点を有する代替案である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、気体と固体の懸濁物用のサイクロン分離器及び分離法であって、分離器は、順に並んでいてもよい2つの分離区域、すなわち高濃度の固体を含む気体と固体の懸濁物の気体部分を分離することができる逆流を伴う分離区域と、低濃度又は比較的低い濃度の固体を含む懸濁物の他の気体部分が分離される一方向流分離区域(この分離区域は、逆流分離区域に続いていてもよい)とを有している。
【0017】
本発明の一観点によれば、気体と粒子の混合物から粒子を分離するためのサイクロン分離器であって、
内部で粒子が気体から分離される分離チャンバと、
粒子と気体の混合物を分離チャンバに提供するように構成された入口と、
粒子が分離された気体の一部分を分離チャンバから受け取るように位置決めされた逆流気体出口であって、気体のこの一部分は、その方向が分離チャンバ内で反転されている逆流気体出口と、
粒子が分離された気体の別の部分を分離チャンバから受け取るように位置決めされた一方向流気体出口であって、気体のこの別の部分は、その方向が分離チャンバ内で反転されていない一方向流気体出口と
を有するサイクロン分離器が提供される。
【0018】
一実施例によれば、
分離チャンバが入口端部を有し、
入口及び逆流気体出口が、前記入口端部に提供され、
一方向気体出口が、入口端部とは反対の分離チャンバの端部に提供された
サイクロン分離器が提供される。
【0019】
一実施例によれば、
気体が、第1の排出流れ方向で逆流気体出口から出て、
気体が、第2の排出流れ方向で一方向流気体出口から出る
サイクロン分離器であって、
第1の排出流れ方向が第2の排出流れ方向とは異なる
サイクロン分離器が提供される。
【0020】
一実施例によれば、第1の排出流れ方向は第2の排出流れ方向と実質的に逆である。
【0021】
一実施例によれば、分離チャンバは、気体と粒子の混合物を遠心分離することによって粒子を気体から分離するように構成される。
【0022】
一実施例によれば、サイクロン分離器は、気体から分離された粒子が分離チャンバから出られるように構成された固体出口をさらに有する。
【0023】
一実施例によれば、固体出口は、第2の気体出口と実質的に整列されている。
【0024】
一実施例によれば、固体出口は、入口端部とは反対の分離チャンバの端部に提供される。
【0025】
一実施例によれば、分離チャンバの少なくとも一部分が、分離チャンバの軸線方向中心線に関して放射対称である。
【0026】
一実施例によれば、逆流気体出口は、分離チャンバの軸線方向中心線と実質的に位置合わせされた中心線を有するパイプを有する。
【0027】
一実施例によれば、一方向流気体出口は、分離チャンバの軸線方向中心線と実質的に位置合わせされた中心線を有するパイプを有する。
【0028】
一実施例によれば、分離チャンバの内壁の少なくとも一部分が切頭円錐形である。
【0029】
一実施例によれば、分離チャンバの少なくとも一部分が軸線方向中心線を有し、入口は、
軸線方向中心線に実質的に平行であり、
軸線方向中心線に実質的に垂直であり、又は
軸線方向中心線の周りで渦巻形を成している。
【0030】
一実施例によれば、分離チャンバの少なくとも一部分が軸線方向中心線を有し、入口は、軸線方向中心線からオフセットされている。
【0031】
一実施例によれば、サイクロン分離器は、粒子と気体の混合物が分離チャンバに入るように構成された第2の入口をさらに有している。
【0032】
一実施例によれば、分離チャンバの少なくとも一部分が軸線方向中心線を有し、第2の入口は、
軸線方向中心線に実質的に平行であり、
軸線方向中心線に実質的に垂直であり、又は
軸線方向中心線の周りで渦巻形を成している。
【0033】
一実施例によれば、逆流気体出口の断面積は、入口の断面積の30%〜50%の範囲内であり、一方向流気体出口の断面積は、入口の断面積の30%〜50%の範囲内である。
【0034】
一観点によれば、本明細書で述べるサイクロン分離器を使用して、気体と粒子の混合物から粒子を分離する方法が提供される。
【0035】
本発明の一観点によれば、気体と粒子の混合物から粒子を分離する方法であって、
分離チャンバに混合物を提供するステップと、
気体の一部分の流れ方向を逆にするステップと、
気体の別の部分を、流れ方向を逆にせずに流し続けるステップと、
方向が逆にされていない気体の部分を、一方向流気体出口を通して除去するステップと、
方向が逆にされた気体の部分を、逆流気体出口を通して除去するステップと
を含む方法が提供される。
【0036】
一実施例によれば、逆流気体出口を通して除去される気体の部分は、一方向流気体出口を通して除去される気体の部分と実質的に逆方向に除去される。
【0037】
一実施例によれば、混合物を分離するステップが遠心分離を含む。
【0038】
一実施例によれば、上記方法は、混合物から分離された固体を固体出口を通して除去するステップをさらに含む。
【0039】
一実施例によれば、気体と固体の懸濁物のサイクロン分離器であって、実質的に円錐形の気体と固体を分離するチャンバ(1)を有し、このチャンバ(1)が、
(A) チャンバ上部にある、気体と固体の懸濁物を投入するための入口(11a)と、
(B) チャンバ下部にある、分離された固体を除去するための軸線方向出口(12)と、
(C) 分離された気体の一部分を排出するためのパイプ(2)であって、チャンバ(1)の上部に軸線方向に固定され、チャンバ内への延在部を有し、より高い濃度の固体を含む気体の一部分を吸引するように寸法設定され、チャンバ内部に逆流分離区域を形成するパイプ(2)と、
(D) 分離された気体の一部分を排出するためのパイプ(3)であって、チャンバ(1)の下部に軸線方向に固定され、出口(12)の中を通過し、チャンバ内への延在部を有し、それによって固体を除去するための環状空間(13)を形成し、より低い濃度の一方向流固体を含む気体の一部分を吸引するように寸法設定され、チャンバ内部に一方向流を伴う分離区域を形成するパイプ(3)と
を有することを特徴とするサイクロン分離器が提供される。
【0040】
入口(11a)は接線方向とすることができる。
【0041】
入口(11a)は軸線方向であってもよい。
【0042】
入口(11a)は渦巻形状であってもよい。
【0043】
入口(11a)は、少なくとも1つの他の入口(11b)と対称に位置決めされることができる。
【0044】
入口(11a)と少なくとも1つの他の入口(11b)は接線方向とすることができる。
【0045】
入口(11a)と少なくとも1つの他の入口(11b)は軸線方向であってもよい。
【0046】
入口(11a)と少なくとも1つの他の入口(11b)は渦巻形状であってもよい。
【0047】
入口(11a)と少なくとも1つの他の入口(11b)は、接線方向入口、軸線方向入口、及び/又は渦巻形状の入口の組合せとすることもできる。
【0048】
一実施例によれば、パイプ(2)とパイプ(3)は、断面積が入口(11a)の断面積の30%〜50%の範囲内であってもよい。
【0049】
一実施例によれば、本明細書で述べる分離器を使用する気体と固体の分離法であって、
(A) 入口(11a)からチャンバ(1)内に気体と固体の懸濁物を入れ、懸濁物に接線方向の力成分を与えて、懸濁物を分離する段階と、
(B) 分離された気体を、逆流を伴う分離区域内でパイプ(2)によって吸引し、また一方向流を伴う分離区域内でパイプ(3)によって吸引する段階と、
(C) 環状空間(13)を通して、重力の作用により流れ出る分離された固体粒子をチャンバ(1)の壁に沿って除去する段階と
を含むことを特徴とする方法が提供される。
【0050】
一実施例では、気体と固体の懸濁物は、入口(11a)と少なくとも1つの入口(11b)から同時にチャンバ(1)内に入れられる。
【0051】
一実施例では、入口(11a)は、少なくとも1つの入口(11b)と対称に位置決めされる。
【0052】
入口(11a)が少なくとも1つの入口(11b)と対称に位置決めされるとき、分離法は、入口(11a)と少なくとも1つの入口(11b)から同時にチャンバ(1)内に気体と固体の懸濁物を入れるステップを含む。
【0053】
本発明の目的である気体と固体の懸濁物のサイクロン分離器及び分離法の特徴は、以下に挙げる図面に関連付けられた詳細な説明からより良く理解されよう。図面は、本明細書の一部であるが、例示にすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1A】1つの入口を有する構成での気体と固体の懸濁物用のサイクロン分離器の斜視図である。
【
図1B】1つの入口を有する構成での気体と固体の懸濁物用のサイクロン分離器の切欠斜視図である。
【
図2A】2つの入口を有する構成での気体と固体の懸濁物用のサイクロン分離器の斜視図である。
【
図2B】2つの入口を有する構成での気体と固体の懸濁物用のサイクロン分離器の切欠斜視図である。
【
図3A】2つの入口を有する構成での気体と固体の懸濁物用のサイクロン分離器の切欠正面図である。
【
図3B】2つの入口を有する構成での気体と固体の懸濁物用のサイクロン分離器の上面図である。
【実施例】
【0055】
本発明は、気体と粒子(例えば気体と固体)の懸濁物を分離するためのサイクロン分離器及び分離法に関する。分離器は、逆流を伴う分離区域と一方向流分離区域との2つの分離区域を連続して有していてもよい。逆流を伴う区域では、高濃度の固体を含む気体と固体の懸濁物の気体部分を分離することができ、一方向区域では、低濃度又は比較的低い濃度の固体を含む懸濁物の他の気体部分を分離することができる。
【0056】
図1Bは、実質的に円錐形の気体と固体を分離するチャンバ(1)を有するサイクロン分離器に関する可能な実施例の切欠斜視図であり、チャンバ(1)は、
(A) チャンバ上部にある、気体と固体の懸濁物をチャンバに入れるための入口(11a)と、
(B) チャンバ下部にある、分離された固体を除去するための軸線方向出口(12)と、
(C) 分離された気体の一部を排出するためのパイプ(2)であって、チャンバ(1)の上部に軸線方向に固定又は提供されることができ、チャンバ内への延在部を有し、(例えば適切な寸法を有することによって)より高濃度の固体を含む気体の一部を吸引するように構成され、チャンバ内部に逆流分離区域を形成するパイプ(2)と、
(D) 分離された気体の一部を排出するためのパイプ(3)であって、チャンバ(1)の下部に軸線方向に固定又は提供されることができ、出口(12)の中を通過し、チャンバ内への延在部を有し、それによって固体を除去するための環状空間(13)を形成し、(例えば適切な寸法を有することによって)より低濃度の一方向流固体を含む気体の一部を吸引するように構成され、チャンバ内部に一方向流を伴う分離区域を形成するパイプ(3)と
を有する。
【0057】
本明細書で説明する任意の実施例において、パイプ(2)は、逆流気体流出口として言及されることがある。パイプ(3)は、一方向気体流出口として言及されることがある。一方向流気体出口と逆流気体出口は、分離チャンバ(1)において離隔されていてもよい。例えば、逆流気体流出口は、分離チャンバ(1)の入口端部に位置されていてもよい。入口端部は、混合物が分離チャンバ(1)に入る分離チャンバの端部に向いていてもよい。入口端部は、例えば分離チャンバ(1)の軸線方向で分離チャンバ(1)の長さの50%以上、40%、30%、20%、10%、5%、又は5%未満であってもよい。一方向流気体出口は、逆流気体出口とは反対の分離チャンバ端部にあってもよい。一方向流気体出口と逆流気体出口は、分離チャンバ(1)の異なる部分から気体を除去することができる。
【0058】
分離チャンバ(1)の内部で、混合物及び/又は気体は、軸線の周りを回転又は旋回することがある。また、混合物及び/又は気体は、軸線方向の速度成分を有することもある。この軸線方向は、混合物及び/又は気体が周りで回転している軸線と位置合わせされることがある。追加として又は代替として、前記軸線方向は、分離チャンバ(1)の長手方向軸及び/又は回転対称軸と合わせられることがある。気体/混合物の一部は、軸線方向速度成分を有しつつ分離チャンバ(1)を通り、同じ方向に流れ続けることがある。この部分は、一方向流気体出口(3)を通して除去されることがある。気体/混合物の別の部分は、分離チャンバ(1)を通って進むときに、その方向を逆にされることがある。したがって、気体/混合物の一部は、分離チャンバ(1)内でその軸線方向速度成分の方向を逆にされることがある。この部分は、逆流気体出口(2)を通して除去されることができる。
【0059】
一方向流気体出口(3)は、固体出口(12)によって少なくとも部分的に取り囲まれるように個別チャンバ(1)内に延在することがある。いくつかの実施例では、固体出口(12)がなくてもよい。
【0060】
サイクロン分離器の入口(11a)は、任意の適切な形状、例えば接線方向、軸線方向、又は渦巻形の形状とすることができる。
【0061】
図2Bは、サイクロン分離器の一実施例の斜視図であり、ここでは、入口(11a)が少なくとも1つの入口(11b)と対称に位置決めされている。この場合、入口(11a)及び少なくとも1つの入口(11b)は、両方を接線方向、軸線方向、又は渦巻形の形状とすることができ、或いは接線方向入口、軸線方向入口、及び/又は渦巻形状の入口の組合せとすることもできる。
【0062】
パイプ(2)及び/又はパイプ(3)はそれぞれ、断面積が例えば入口(11a)の断面積の20%〜60%の間であってもよい。別の実施例では、パイプ(2)及び/又はパイプ(3)はそれぞれ、断面積が例えば入口(11a)の断面積の30%〜50%の間であってもよい。別の実施例では、パイプ(2)及び/又はパイプ(3)はそれぞれ、断面積が例えば入口(11a)の断面積の40%であってもよい。これは、本明細書で述べる任意の実施例に当てはめることができる。例えば、これは、1つの入口(11a)、2つの入口(11a/11b)、又は3つ以上の入口を有する実施例に当てはめることができる。この条件は、サイクロン分離器が2つの出口パイプを有することによって実現可能である場合がある。
【0063】
この特徴により、サイクロン・チャンバ(1)の壁と出口パイプ(2)の間の距離である分離線(L.S.)の長さをより長くすることができ、その結果、出口パイプ(2)に達するまでに気体がより大きな空間を通過し、したがって固体の分離又は収集の効率がより高くなる。
【0064】
一方向流を伴う分離区域は、この領域内での流れを逆向きにしなくてよいので、渦流によって引き起こされる侵食を大幅に低減する。
【0065】
上述した分離器を使用する気体と固体の分離法は、以下の段階、
(A) 入口(11a)からチャンバ(1)内に気体と固体の懸濁物を入れ、懸濁物に接線方向の力成分を与えて、懸濁物を分離する段階と、
(B) 分離された気体を、逆流を伴う分離区域内でパイプ(2)によって吸引し、また一方向流を伴う分離区域内でパイプ(3)によって吸引する段階と、
(C) 環状空間(13)を通して、重力の作用により流れ出る分離された固体粒子をチャンバ(1)の壁に沿って除去する段階と
を含む。
【0066】
入口(11a)が少なくとも1つの他の入口(11b)と対称に位置決めされるとき、分離法は、入口(11a)と少なくとも1つの他の入口(11b)から同時にチャンバ(1)内に気体と固体の懸濁物を入れる段階を含んでいてもよい。
【0067】
各出口パイプを通した気体の一部の吸引は、接線方向の力成分を保存する。この成分は、サイクロン分離器に沿ってより高い値で固体粒子の分離を行う成分である。これは、より高い分離効率を可能にする。
【0068】
渦流は、壁から離れた分離器の中央領域で逆向きにされる。これにより、既に分離されている固体粒子を気体が同伴することが少なくなる。
【0069】
この構成は、従来技術における分離器に比べて少なくとも以下の利点を有する。
(A) 渦流によって引き起こされる分離器の下側領域での侵食が大幅に低減される、及び/又は
(B) 気体と固体の懸濁物が通る経路全長にわたって分離効率が維持される、及び/又は
(C) 既に分離された固体物質を気体が同伴することが少なくなる。
【0070】
本発明の目的である気体と固体の懸濁物のサイクロン分離器及び分離法の上記の説明は、単に1つの可能な実施例とみなされなければならず、いかなる特定の特徴も、理解を補助するための例にすぎないものと理解されたい。したがって、そのような特徴は、本発明を限定するものとみなすことはできない。
【0071】
本発明を、気体と任意の粒子の混合物の分離に適用することができることを理解されたい。粒子は、固体及び/又は液体でよい。本明細書において、気体と固体の混合物の分離及び/又はそれに関する装置に言及しているとき、これは、同等に、気体と粒子の混合物の分離及び/又はそれに関する装置を意味することがあり、粒子は、例えば固体、液体、又は両方の混合物である。