特許第5718238号(P5718238)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5718238炭酸ストロンチウム微粉末及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5718238
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】炭酸ストロンチウム微粉末及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01F 11/18 20060101AFI20150423BHJP
【FI】
   C01F11/18 M
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-538479(P2011-538479)
(86)(22)【出願日】2010年10月28日
(86)【国際出願番号】JP2010069167
(87)【国際公開番号】WO2011052680
(87)【国際公開日】20110505
【審査請求日】2013年10月9日
(31)【優先権主張番号】特願2009-247877(P2009-247877)
(32)【優先日】2009年10月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000119988
【氏名又は名称】宇部マテリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074675
【弁理士】
【氏名又は名称】柳川 泰男
(72)【発明者】
【氏名】岡田 文夫
(72)【発明者】
【氏名】日元 武史
【審査官】 森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/111612(WO,A1)
【文献】 特開2008−266134(JP,A)
【文献】 特開2009−173487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01F 11/00 − 11/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均アスペクト比が2.0以下の球状粒子からなり、BET比表面積が60〜150m2/gの範囲にあり、該球状粒子の表面に、側鎖にポリオキシアルキレン基を有するポリカルボン酸もしくはその無水物であるポリマーを有する炭酸ストロンチウム微粉末。
【請求項2】
平均アスペクト比が1.2〜2.0の範囲にある請求項1に記載の炭酸ストロンチウム微粉末。
【請求項3】
濃度が1〜20質量%の範囲にある水酸化ストロンチウムの水溶液もしくは水性懸濁液を撹拌しながら、水酸基とカルボキシル基とをそれぞれ少なくとも1個、かつ合計で少なくとも3個有する有機酸の存在下にて、該水溶液もしくは水性懸濁液に二酸化炭素ガスを水酸化ストロンチウム1gに対して0.5〜200mL/分の範囲の流量にて導入して、水酸化ストロンチウムを炭酸化させて炭酸ストロンチウム粒子を生成させることにより、炭酸ストロンチウム粒子水性懸濁液を得る工程、得られた炭酸ストロンチウム粒子水性懸濁液を、側鎖にポリオキシアルキレン基を有するポリカルボン酸もしくはその無水物であるポリマーの存在下、5〜32m/秒の周速で回転する撹拌羽根で撹拌混合する工程、そして撹拌混合後の炭酸ストロンチウム粒子水性懸濁液を乾燥する工程を含む請求項1に記載の炭酸ストロンチウム微粉末の製造方法。
【請求項4】
有機酸が、酒石酸、リンゴ酸及びグルコン酸からなる群より選ばれる有機酸である請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
撹拌混合工程における側鎖にポリオキシアルキレン基を有するポリカルボン酸もしくはその無水物であるポリマーの存在が、該ポリマーを炭酸ストロンチウム粒子水性懸濁液に添加することによってなされる請求項3に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸ストロンチウム微粉末及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸ストロンチウム粉末の用途の一つとして、チタン酸ストロンチウム粉末などの誘電体セラミック粉末の製造原料の用途がある。例えば、チタン酸ストロンチウム粉末は、炭酸ストロンチウム粉末と二酸化チタン粉末とを混合して粉末混合物とした後、焼成することによって製造される。誘電体セラミック粉末は、積層セラミックコンデンサの誘電体セラミック層の構成材料として利用されている。
【0003】
電子機器の小型化に伴って、積層セラミックコンデンサにおいても小型化が求められている。積層セラミックコンデンサの小型化のためには、積層セラミックコンデンサの誘電体セラミック層の薄層化が必要となる。この誘電体セラミック層の薄層化のためには、微細で、かつ組成が均一な誘電体セラミック粉末が不可欠である。
【0004】
微細で、かつ組成が均一な誘電体セラミック粉末を製造するには、原料の粉末を微細にし、かつ粉末混合物の組成を均一にする必要がある。組成が均一な粉末混合物を得る方法として、原料の粉末を液体媒体に分散させて混合する湿式混合法が広く利用されている。従って、誘電体セラミック粉末製造用として用いる炭酸ストロンチウム粉末は、微細でかつ液体媒体への分散性が高いことが望ましい。
【0005】
特許文献1には、微細な炭酸ストロンチウム粉末の製造方法として、濃度が1〜20質量%の範囲にある水酸化ストロンチウムの水溶液もしくは水性懸濁液を撹拌しながら、一分子中に二以上のカルボキシル基又はヒドロキシル基を有する、炭素原子数3〜12の有機酸の存在下にて、該水溶液もしくは水性懸濁液に二酸化炭素ガスを水酸化ストロンチウム1gに対して0.5〜200mL/分の範囲の流量にて導入し、水酸化ストロンチウムを炭酸化させて炭酸ストロンチウム粒子を生成させて、次いで乾燥する方法が記載され、有機酸としては、クエン酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルコン酸、グルカル酸、グルクロン酸、酒石酸、マレイン酸、アスコルビン酸が例示されていて、好ましくはクエン酸及びアスコルビン酸であることが記載されている。この特許文献1によれば、上記の方法を利用することにより、比表面積が52〜300m2/gの炭酸ストロンチウム微粉末が得られ、そして、この炭酸ストロンチウム微粉末に対してセラミック製ビーズを用いた粉砕処理を行なうことによって、一次粒子の投影面積相当径が5〜50nmで、アスペクト比で2以下の粒子を得ることが可能であるとされている。
【0006】
特許文献2には、炭酸ストロンチウム微粉末の液体媒体中での分散性を向上させるために、炭酸ストロンチウム粒子の表面を側鎖にポリオキシアルキレン基を有するポリカルボン酸もしくはその無水物であるポリマーで処理する方法を利用することが記載されている。この特許文献2には、炭酸ストロンチウム粒子の表面を側鎖にポリオキシアルキレン基を有するポリカルボン酸もしくはその無水物であるポリマーで処理する方法として、水性媒体中にて炭酸ストロンチウム粒子を、セラミック製ビーズを用いて該ポリマーの存在下にて粉砕する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−76934号公報
【特許文献2】特開2008−222496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
炭酸ストロンチウム微粉末の製造に際して、特許文献1及び2に記載されているようなセラミック製ビーズを用いた粉砕処理を行なうことは、微細な炭酸ストロンチウム粉末を製造するには有用であるが、粉砕処理後の炭酸ストロンチウム粒子は角張った不定形な多面体状になることが多い。炭酸ストロンチウム微粉末中に角張った不定形な多面体状の粒子が多く存在すると、液体媒体中での分散性が低下し、均一な組成の粉末混合物を得るのが難しくなる。また、セラミック製ビーズを用いた粉砕処理を行なうと、セラミック製ビーズの成分が摩耗により最終製品の炭酸ストロンチウム微粉末に混入し、生成微粉末の純度が低下しやすいことがある。
従って、本発明の目的は、液体媒体中での分散性に優れる炭酸ストロンチウム微粉末を提供することにある。本発明の目的はまた、液体媒体中での分散性に優れる炭酸ストロンチウム微粉末を、セラミック製ビーズを用いた粉砕処理を行なわずに製造することができる方法を提供することにもある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、水酸基とカルボルキシル基とをそれぞれ少なくとも1個、かつ合計で少なくとも3個有する有機酸(例えば、酒石酸、リンゴ酸及びグルコン酸)の存在下にて、水酸化ストロンチウムの水溶液もしくは水性懸濁液に二酸化炭素ガスを所定の条件で導入し、水酸化ストロンチウムを炭酸化させて炭酸ストロンチウム粒子を生成させることによって得られた炭酸ストロンチウム粒子の懸濁液を、側鎖にポリオキシアルキレン基を有するポリカルボン酸もしくはその無水物であるポリマーの存在下、周速で5〜32m/秒となる高速に回転する撹拌羽根で撹拌混合した後、乾燥することによって、セラミック製ビーズを用いた粉砕処理を行なわなくても、平均アスペクト比が2.0以下と小さい球状粒子からなり、BET比表面積が20〜150m2/gの範囲と粒子サイズが微細な炭酸ストロンチウム微粉末を製造することができることを見出した。そして、その炭酸ストロンチウム微粉末は、液体媒体に微細な微粒子として比較的容易に分散させることができることを確認して、本発明を完成させた。
【0010】
従って、本発明は、平均アスペクト比が2.0以下の球状粒子からなり、BET比表面積が20〜150m2/gの範囲にある炭酸ストロンチウム微粉末にある。
【0011】
本発明の炭酸ストロンチウム微粉末の好ましい態様は次の通りである。
(1)平均アスペクト比が1.2〜2.0の範囲にある。
(2)球状粒子の表面に、側鎖にポリオキシアルキレン基を有するポリカルボン酸もしくはその無水物であるポリマーを有する。
【0012】
本発明はまた、濃度が1〜20質量%の範囲にある水酸化ストロンチウムの水溶液もしくは水性懸濁液を撹拌しながら、水酸基とカルボルキシル基とをそれぞれ少なくとも1個、かつ合計として少なくとも3個有する有機酸の存在下にて、該水溶液もしくは水性懸濁液に二酸化炭素ガスを水酸化ストロンチウム1gに対して0.5〜200mL/分の範囲の流量にて導入し、水酸化ストロンチウムを炭酸化させて炭酸ストロンチウム粒子を生成させることにより、炭酸ストロンチウム粒子水性懸濁液を得る工程、得られた炭酸ストロンチウム粒子水性懸濁液を、側鎖にポリオキシアルキレン基を有するポリカルボン酸もしくはその無水物であるポリマーの存在下、5〜32m/秒の周速で回転する撹拌羽根で撹拌混合する工程、そして撹拌混合後の炭酸ストロンチウム粒子水性懸濁液を乾燥する工程を含む上記本発明の炭酸ストロンチウム微粉末の製造方法にもある。
【0013】
本発明の炭酸ストロンチウム微粉末の製造方法の好ましい態様は次の通りである。
(1)有機酸が、酒石酸、リンゴ酸及びグルコン酸からなる群より選ばれる。
(2)撹拌混合工程における側鎖にポリオキシアルキレン基を有するポリカルボン酸もしくはその無水物であるポリマーの存在が、該ポリマーを炭酸ストロンチウム粒子水性懸濁液に添加することによってなされる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の炭酸ストロンチウム微粉末は、微細な球状粒子からなるため、液体媒体中での分散性に優れる。従って、本発明の炭酸ストロンチウム微粉末は、二酸化チタンなどの他の材料粉末と湿式混合法を用いて混合することによって、微細で、かつ均一な組成の粉末混合物を得ることができ、これにより、微細で、かつ均一な組成のチタン酸ストロンチウムなどの誘電体セラミック粉末を有利に製造することができる。また、本発明の炭酸ストロンチウム微粉末の製造方法を利用することによって、セラミック製ビーズによる粉砕処理を行なうことなく、上記本発明の炭酸ストロンチウム微粉末を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例1にて製造した炭酸ストロンチウム粉末の電子顕微鏡写真である。
図2】実施例2にて製造した炭酸ストロンチウム粉末の電子顕微鏡写真である。
図3】実施例3にて製造した炭酸ストロンチウム粉末の電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の炭酸ストロンチウム微粉末は、平均アスペクト比(長径/短径比)が2.0以下の球状粒子の集合体である。平均アスペクト比は好ましくは1.2〜2.0の範囲、より好ましくは1.3〜1.9の範囲である。本発明において、球状とは、真球状である必要はなく、長球状、角が丸まった立方体状や直方体状であってもよい。また炭酸ストロンチウム微粉末に含まれる全ての粒子が球状である必要はないが、粒子の個数基準で60%以上、特に80%以上の粒子が球状であることが好ましい。なお、球状粒子は通常、一次粒子である。
【0017】
本発明の炭酸ストロンチウム微粉末は、BET比表面積が20〜150m2/gの範囲、好ましくは40〜150m2/gの範囲、より好ましくは60〜150m2/gの範囲にある。すなわち、本発明の炭酸ストロンチウム微粉末は微細であって、粒子サイズが下記の式より求められるBET換算粒子径として、11〜81nmの範囲、好ましくは11〜41nmの範囲、より好ましくは11〜27nmの範囲にある。
【0018】
BET換算粒子径(nm)=1000×6/[BET比表面積(m2/g)×炭酸ストロンチウムの真密度(3.70g/cm3)]
【0019】
本発明の炭酸ストロンチウム微粉末は、例えば、水酸化ストロンチウムの水溶液もしくは水性懸濁液を撹拌しながら、所定の有機酸の存在下にて、該水溶液もしくは水性懸濁液に二酸化炭素ガスを導入し、水酸化ストロンチウムを炭酸化させて炭酸ストロンチウム粒子を生成させる炭酸ストロンチウム粒子水性懸濁液の製造工程と、得られた炭酸ストロンチウム粒子水性懸濁液を、側鎖にポリオキシアルキレン基を有するポリカルボン酸もしくはその無水物であるポリマーの存在下、撹拌羽根で撹拌混合する撹拌混合工程と、そして撹拌混合後の炭酸ストロンチウム粒子水性懸濁液を乾燥する乾燥工程をこの順で行なう方法により製造することができる。
【0020】
炭酸ストロンチウム粒子水性懸濁液の製造工程において用いる水酸化ストロンチウムの水溶液もしくは水性懸濁液は、水酸化ストロンチウムの濃度が一般に1〜20質量%の範囲であり、好ましくは2〜15質量%の範囲、より好ましくは3〜8質量%の範囲である。
【0021】
炭酸ストロンチウム粒子水性懸濁液の製造工程において用いる有機酸は、水酸基とカルボルキシル基とをそれぞれ1個以上で、かつ合計が3個以上となるように含有する有機酸である。有機酸は、カルボキシル基の数が1個又は2個で、かつそれらの合計が3〜6個であることが好ましい。有機酸の例としては、酒石酸、リンゴ酸及びグルコン酸を挙げることができる。有機酸は一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。酒石酸はDL−酒石酸が好ましい。リンゴ酸はDL−リンゴ酸が好ましい。グルコン酸は、D−グルコン酸が好ましい。有機酸の使用量は、水酸化ストロンチウム100質量部に対して一般に0.1〜20質量部の範囲、好ましくは1〜10質量部の範囲である。有機酸は、水酸化ストロンチウムの炭酸化により生成する炭酸ストロンチウムの結晶成長を抑制する結晶成長抑制剤として作用すると共に、炭酸化により生成した炭酸ストロンチウム粒子の凝集を抑える凝集抑制剤としても作用する。
【0022】
水酸化ストロンチウムの水溶液もしくは水性懸濁液に導入する二酸化炭素ガスの流量は、水酸化ストロンチウム1gに対して一般に0.5〜200mL/分の範囲であり、好ましくは0.5〜100mL/分の範囲である。水酸化ストロンチウムの炭酸化の終点は、一般に水溶液もしくは水性懸濁液のpHが7以下となった時点である。
【0023】
水酸化ストロンチウムを炭酸化させる際、水酸化ストロンチウムの水溶液もしくは水性懸濁液の液温は0〜40℃の範囲にあることが好ましく、0〜30℃の範囲にあることがより好ましく、5〜15℃の範囲にあることが特に好ましい。
【0024】
撹拌混合工程において用いる側鎖にポリオキシアルキレン基を有するポリカルボン酸もしくはその無水物であるポリマーは、側鎖にポリオキシアルキレン基を有するポリカルボン酸無水物であることが好ましい。ポリカルボン酸無水物は、無水マレイン酸の重合体からなることが好ましい。側鎖にポリオキシアルキレン基を有するポリカルボン酸無水物の例としては、日本油脂株式会社製のマリアリムKM−0521、マリアリムAKM−0531、マリアリムAKM−1511−60、マリアリムHKM−50A、マリアリムAKM−150Aを挙げることができる。
【0025】
上記のポリマーの使用量は、水性懸濁液中の炭酸ストロンチウム100質量部に対して、一般に0.5〜20質量部の範囲、好ましくは1〜10質量部の範囲である。
【0026】
上記のポリマーは、炭酸化させる前の水酸化ストロンチウムの水溶液もしくは水性懸濁液に添加してもよいが、炭酸ストロンチウム粒子水性懸濁液に添加することが好ましい。
【0027】
炭酸ストロンチウム粒子水性懸濁液の撹拌混合で用いる撹拌羽根の周速は、一般に5〜32m/秒の範囲、好ましくは5〜16m/秒の範囲である。この撹拌混合にはホモミキサーを用いることができる。撹拌混合の時間は、一般に1〜200分の範囲、好ましくは10〜100分の範囲である。
【0028】
撹拌混合工程後の乾燥工程において、炭酸ストロンチウム粒子水性懸濁液の乾燥には、スプレードライヤあるいはドラムドライヤなどの乾燥機を用いることができる。
【実施例】
【0029】
[実施例1]
水温10℃の純水3Lに、水酸化ストロンチウム八水和物366gを投入し、混合して濃度5.6質量%の水酸化ストロンチウム水性懸濁液を調製した。この水酸化ストロンチウム水性懸濁液に酒石酸(DL−酒石酸、和光純薬工業(株)製試薬特級)7.1g(水酸化ストロンチウム100質量部に対して4.3質量部)を加えて、撹拌して溶解させた。次いで水酸化ストロンチウム水性懸濁液の液温を10℃に維持しつつ、撹拌を続けながら、該水性懸濁液に二酸化炭素ガスを3.75L/分の流量(水酸化ストロンチウム1gに対して22mL/分の流量)で該水性懸濁液のpHが7になるまで吹き込んで、炭酸ストロンチウム粒子を生成させた後、さらに30分間撹拌を続けて、炭酸ストロンチウム粒子水性懸濁液を得た。
【0030】
得られた炭酸ストロンチウム粒子水性懸濁液に、マリアリムKM−0521(日本油脂株式会社製)を15g(炭酸ストロンチウム100質量部に対して9.6質量部)添加した後、ホモミキサー(プライミクス株式会社製、T.K.ホモミキサーMarkII)を用いて、撹拌羽根を7.85m/秒の周速で回転させて1時間撹拌混合した。撹拌混合終了後、炭酸ストロンチウム粒子水性懸濁液を乾燥して炭酸ストロンチウム粉末を得た。
【0031】
得られた炭酸ストロンチウム粉末の電子顕微鏡写真を図1に示す。図1の写真から、得られた炭酸ストロンチウム粉末は、球状粒子の集合体であることが分かる。得られた炭酸ストロンチウム粉末は、BET比表面積が107.2m2/gであり、BET換算粒子径が15.1nmの微粉末であった。また、炭酸ストロンチウム粉末の電子顕微鏡写真から300個の炭酸ストロンチウム粒子のアスペクト比を測定し、その平均アスペクト比を求めたところ、1.6であった。
【0032】
さらに、得られた炭酸ストロンチウム粉末を0.2g量り取り、これを濃度0.2質量%のヘキサメタリン酸水溶液20mLに投入して、超音波ホモジナイザー(BRAMSON社製、SONIFIER150)を用いて5分間超音波分散処理を行なって炭酸ストロンチウム粒子分散液を調製し、その分散液中の炭酸ストロンチウム粒子の平均粒子径を動的光散乱法により測定した。その結果、炭酸ストロンチウム粒子の平均粒子径は61nmであり、BET換算粒子径の約4倍であることが確認され、これらの数値から、炭酸ストロンチウム粒子は分散液中にほぼ一次粒子に近い形で分散していることが確認された。
【0033】
[実施例2]
酒石酸の代わりに、リンゴ酸(DL−リンゴ酸、和光純薬工業(株)製試薬特級)7.1gを水酸化ストロンチウム水性懸濁液に加えたこと以外は、実施例1と同様にして、炭酸ストロンチウム粉末を得た。
得られた炭酸ストロンチウム粉末の電子顕微鏡写真を図2に示す。図2の写真から、得られた炭酸ストロンチウム粉末は球状粒子の集合体であることが分かる。また得られた炭酸ストロンチウム粉末は、BET比表面積が83.4m2/gであり、BET換算粒子径が19.4nmで、平均アスペクト比が1.8の微粉末であった。
【0034】
さらに、得られた炭酸ストロンチウム粉末を実施例1と同様にして炭酸ストロンチウム粒子分散液を調製し、その分散液中の炭酸ストロンチウム粒子の平均粒子径を動的光散乱法により測定した。その結果、炭酸ストロンチウム粒子の平均粒子径は116nmであり、BET換算粒子径の約6倍であることが確認され、これらの数値から、炭酸ストロンチウム粒子は分散液中にほぼ一次粒子に近い形で分散していることが確認された。
【0035】
[実施例3]
酒石酸の代わりに、グルコン酸(D−グルコン酸、和光純薬工業(株)製試薬特級)25.5g(水酸化ストロンチウム100質量部に対して15.2質量部)を、水酸化ストロンチウム水性懸濁液に加えたこと以外は、実施例1と同様にして、炭酸ストロンチウム粉末を得た。
得られた炭酸ストロンチウム粉末の電子顕微鏡写真を図3に示す。図3の写真から、得られた炭酸ストロンチウム粉末は、球状粒子の集合体であることが分かる。また得られた炭酸ストロンチウム粉末は、BET比表面積が100m2/gであり、BET換算粒子径が16.2nmで、平均アスペクト比が1.3の微粉末であった。
【0036】
さらに、得られた炭酸ストロンチウム粉末を実施例1と同様にして炭酸ストロンチウム粒子分散液を調製し、その分散液中の炭酸ストロンチウム粒子の平均粒子径を動的光散乱法により測定した。その結果、炭酸ストロンチウム粒子の平均粒子径は120nmであり、BET換算粒子径の約7.4倍であることが確認され、これらの数値から、炭酸ストロンチウム粒子は分散液中にほぼ一次粒子に近い形で分散していることが確認された。
図1
図2
図3