特許第5718253号(P5718253)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧

特許5718253圧電抵抗器および加速度計を有するデバイスを形成する方法
<>
  • 特許5718253-圧電抵抗器および加速度計を有するデバイスを形成する方法 図000002
  • 特許5718253-圧電抵抗器および加速度計を有するデバイスを形成する方法 図000003
  • 特許5718253-圧電抵抗器および加速度計を有するデバイスを形成する方法 図000004
  • 特許5718253-圧電抵抗器および加速度計を有するデバイスを形成する方法 図000005
  • 特許5718253-圧電抵抗器および加速度計を有するデバイスを形成する方法 図000006
  • 特許5718253-圧電抵抗器および加速度計を有するデバイスを形成する方法 図000007
  • 特許5718253-圧電抵抗器および加速度計を有するデバイスを形成する方法 図000008
  • 特許5718253-圧電抵抗器および加速度計を有するデバイスを形成する方法 図000009
  • 特許5718253-圧電抵抗器および加速度計を有するデバイスを形成する方法 図000010
  • 特許5718253-圧電抵抗器および加速度計を有するデバイスを形成する方法 図000011
  • 特許5718253-圧電抵抗器および加速度計を有するデバイスを形成する方法 図000012
  • 特許5718253-圧電抵抗器および加速度計を有するデバイスを形成する方法 図000013
  • 特許5718253-圧電抵抗器および加速度計を有するデバイスを形成する方法 図000014
  • 特許5718253-圧電抵抗器および加速度計を有するデバイスを形成する方法 図000015
  • 特許5718253-圧電抵抗器および加速度計を有するデバイスを形成する方法 図000016
  • 特許5718253-圧電抵抗器および加速度計を有するデバイスを形成する方法 図000017
  • 特許5718253-圧電抵抗器および加速度計を有するデバイスを形成する方法 図000018
  • 特許5718253-圧電抵抗器および加速度計を有するデバイスを形成する方法 図000019
  • 特許5718253-圧電抵抗器および加速度計を有するデバイスを形成する方法 図000020
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5718253
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】圧電抵抗器および加速度計を有するデバイスを形成する方法
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/12 20060101AFI20150423BHJP
   G01P 15/08 20060101ALI20150423BHJP
   H01L 41/08 20060101ALI20150423BHJP
   H01L 41/22 20130101ALI20150423BHJP
   H01L 41/18 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   G01P15/12 D
   G01P15/08 101A
   G01P15/08 101D
   H01L41/08 Z
   H01L41/22 Z
   H01L41/18 101A
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-546301(P2011-546301)
(86)(22)【出願日】2010年1月12日
(65)【公表番号】特表2012-515348(P2012-515348A)
(43)【公表日】2012年7月5日
(86)【国際出願番号】US2010020750
(87)【国際公開番号】WO2010083158
(87)【国際公開日】20100722
【審査請求日】2012年12月18日
(31)【優先権主張番号】12/353,080
(32)【優先日】2009年1月13日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】ヤマ,ゲアリー
(72)【発明者】
【氏名】プルーイット,ベス
(72)【発明者】
【氏名】バーリアン,アルノルドゥス・アルヴィン
【審査官】 里村 利光
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−137671(JP,A)
【文献】 特開2002−323513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P 15/00−15/16
G01P 15/18
H01L 41/08
H01L 41/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電抵抗器を有するデバイスを形成する方法であって、
基板を用意するステップと、
垂直の壁を形成するために前記基板にトレンチをエッチングするステップと、
前記垂直の壁に圧電抵抗器層をエピタキシャルに成長させるステップと、
圧電抵抗器層が水平面の中で下層に関して移動可能であるように前記水平面に沿って延在する前記基板の前記下層から前記垂直の壁を分離するステップと
を備える方法。
【請求項2】
トレンチをエッチングするステップが、
アンカ領域、プルーフマス領域、および前記アンカ領域と前記プルーフマス領域との間に延在するテザー領域を画成するためにシリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板のアクティブ部分をエッチングするステップを備え、前記方法が、
前記SOI基板の中に中央導電性トレースを埋め込むステップであって、前記埋め込まれた中央導電性トレースの位置が、前記トレンチエッチングの後に、前記中央導電性トレースが前記プルーフマス領域から前記テザー領域に沿って前記アンカ領域まで延在するように選択されるステップをさらに備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
圧電抵抗器層を成長させるステップが、
前記テザー領域の第1の垂直の壁に第1の圧電抵抗器層部を成長させるステップと、
前記テザー領域の第2の垂直の壁に第2の圧電抵抗器層部を成長させるステップと
を備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記SOI基板の中に第1の外側の導電性トレースを埋め込むステップであって、第1の圧電抵抗器層部を成長させるステップが前記アンカ領域に配置された前記第1の外側のトレースと電気的に導電接触している第1の圧電抵抗器層部を成長させるステップを備えるように、前記埋め込まれた第1の外側の導電性トレースの位置が選択される、ステップと、
前記SOI基板の中に第2の外側の導電性トレースを埋め込むステップであって、第2の圧電抵抗器層部を成長させるステップが前記アンカ領域に配置された前記第2の外側のトレースと電気的に導電接触している第2の圧電抵抗器層部を成長させるステップを備えるように、前記埋め込まれた第2の外側の導電性トレースの位置が選択される、ステップとをさらに備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の外側の導電性トレースの一部分上に第1の接触パッドを形成するステップと、
前記第2の外側の導電性トレースの一部分上に第2の接触パッドを形成するステップと、
前記中央の導電性トレースの一部分上に第3の接触パッドを形成するステップと
をさらに備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記垂直の壁を分離するステップが、
前記トレンチに蒸気エッチングを導入するステップと、
前記テザー領域の下にあるSOI埋込酸化膜層の前記部分を蒸気エッチングするステップと、
前記プルーフマス領域の下にある前記SOI埋込酸化膜層の前記部分を蒸気エッチングするステップと
を備える、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
圧電抵抗器デバイスを形成する方法であって、
シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板を用意するステップと、
前記SOI基板の上部表面上に第1のフォトマスクを形成するステップと、
第1のトレースを形成するために前記第1のフォトマスク内の窓を通して前記SOI基板の前記上部表面に導電性不純物を注入するステップと、
前記SOI基板の前記上部表面上に第2のフォトマスクを形成するステップと、
前記SOI基板のアクティブ層を通って前記SOI基板の埋込酸化膜層まで前記SOI基板の上部表面にトレンチをエッチングするステップと、
前記トレンチエッチングによって露出された前記アクティブ層の一部分上に少なくとも1つの圧電抵抗器をエピタキシャルに形成するステップと、
前記トレンチエッチングによって露出された前記アクティブ層の前記一部分の下に配置された前記埋込酸化膜層の一部分を除去するステップと
を備える方法。
【請求項8】
前記注入された導電性不純物をアクティブ化するステップと、
前記SOI基板の前記上部表面上に薄い二酸化シリコン層を形成するステップと
をさらに備える、請求項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの圧電抵抗器を形成するステップが、
前記トレンチエッチングによって露出された前記アクティブ層の前記一部分上に圧電抵抗器層を形成するステップと、
前記圧電抵抗器層の一部分上に第3のフォトマスクを形成するステップと、
前記圧電抵抗器層のマスクされていない部分をエッチングするステップと
を備える、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記基板の前記上部表面上にシャドーマスクを形成するステップと、
前記シャドーマスク内の窓を通して前記SOI基板の前記上部表面上に接触パッドをスパッタ堆積するステップと
をさらに備える、請求項に記載の方法。
【請求項11】
埋込酸化膜層の一部分を除去するステップが、
プルーフマス領域の下に配置された前記埋込酸化膜層の一部分を除去するステップ
をさらに備える、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記埋込酸化膜層の一部分を除去するステップが、
前記トレンチを通して前記埋込酸化膜層の一部分を蒸気エッチングするステップ
を備える、請求項に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの圧電抵抗器を形成するステップが、
第1の圧電抵抗器を形成するステップと、
前記第1の圧電抵抗器を前記第1のトレースと電気的に結合するステップと
を備える、請求項に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの圧電抵抗器を形成するステップが、
第2の圧電抵抗器を形成するステップと、
前記第2の圧電抵抗器を前記第1のトレースと電気的に結合するステップと、
前記第1の圧電抵抗器を第2のトレースと電気的に結合するステップと、
前記第2の圧電抵抗器を第3のトレースと電気的に結合するステップと
をさらに備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のトレースと電気的連通する第1の接触パッドを形成するステップと、
前記第2のトレースと電気的連通する第2の接触パッドを形成するステップと、
前記第3のトレースと電気的連通する第3の接触パッドを形成するステップと
さらに備える、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、半導体デバイスの製造工程に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]従来、マイクロ電気機械システム(MEMS)は、MEMSデバイスによって示される感度、空間解像度および時間解像度、ならびにより低い電力消費のため、様々な用途において有効な解決策であることが判明している。1つのそのような用途は、静電容量技術、光技術、または圧電抵抗技術を組み込んだ面内慣性センサなどである。イオン注入技術を使用するそのような用途においては、圧電抵抗器は検知素子の壁に形成されてきた。しかし、埋め込まれた圧電抵抗器は、増大した雑音レベル、低下した感度、およびより高いサーマルバジェットを欠点として持つ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003]必要とされることは、低下した雑音レベルを示す圧電抵抗器を提供する、検知素子の壁に圧電抵抗器を形成する方法である。さらに、良好な感度および低いサーマルバジェットを示す、検知素子の壁に形成された圧電抵抗器が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]本発明の一実施形態によれば、圧電抵抗器を有するデバイスを形成する方法であって、基板を用意するステップと、垂直の壁を形成するために基板にトレンチをエッチングするステップと、垂直の壁に圧電抵抗器層をエピタキシャルに成長させるステップと、圧電抵抗器層が水平面の中で下層に関して移動可能であるように、水平面に沿って延在する基板の下層から垂直の壁を分離するステップとを含む方法が提供される。他の実施形態は、垂直の壁を形成するために、露出された側壁領域を酸化させ、テザー領域上で垂直の壁に沿って酸化物を選択的に除去し、圧電抵抗器層をエピタキシャルに成長させ、基板の下層から垂直の壁を分離し、基板の中にトレンチをエッチングすることである。本発明の他の実施形態によれば、面内加速度計は、SOIハンドル層とSOIアクティブ層との間に配置された埋込酸化膜層を含むシリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板と、基板の上部表面からSOIアクティブ層を通って、埋込酸化膜層から形成されたボイド領域まで延在するトレンチと、SOIアクティブ層から形成されたテザーであって、ボイド領域の上方に延在し、トレンチの第1の部分とトレンチの第2の部分との間に配置されたテザーと、SOIハンドル層と固定関係にあるテザーの第1の端部と、基板の上部表面によって画定される面と平行な面の範囲の中で移動可能なテザーの第2の端部と、テザーからトレンチの第1の部分の中にエピタキシャルに成長させられた第1の圧電抵抗器とを含む。使用することができる他の基板は、上部表面から所望の深さまで延在するトレンチを画定する特徴を有するバルクシリコン基板である。他の実施形態によれば、圧電抵抗器デバイスを形成する方法は、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板またはバルクシリコン基板を用意するステップと、SOI基板またはシリコン基板の上部表面上に第1のフォトマスクを形成するステップと、第1のトレースを形成するために第1のフォトマスク内の窓を通してSOI基板またはシリコン基板の上部表面に導電性不純物を注入するステップと、SOI基板またはシリコン基板の上部表面上に第2のフォトマスクを形成するステップと、SOI基板のアクティブ層を通ってSOI基板の埋込酸化膜層まで、または、シリコン基板では所望の深さまで、SOI基板またはシリコン基板の上部表面にトレンチをエッチングするステップと、トレンチエッチングによって露出されたアクティブ層の一部分上に少なくとも1つの圧電抵抗器をエピタキシャルに形成するステップと、トレンチエッチングによって露出されたアクティブ層の一部分の下に配置された埋込酸化膜層の
一部分を除去するステップとを含む。シリコン基板では、テザーおよびプルーフマスの真下で裏側からシリコンの一部分を除去する。これは、ドライエッチングまたはウェットエッチングのいずれかを使用して行われることが可能である。圧電抵抗器デバイスはまた、構造体がリリースされた後に形成されることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】[0005]本発明の原理によるエピタキシャルに成長させられた圧電抵抗器を有する加速度計デバイスの斜視図である。
図2】[0006]本発明の原理によるエピタキシャルに成長させられた圧電抵抗器を有するデバイスを製造するための工程の流れ図である。
図3】[0007]この実施形態ではシリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板であり、本発明の原理によるデバイスにおいて使用されることが可能である基板の横断面図である。
図4】[0008]基板の上部表面に埋め込まれるべき導電性トレースの形をしている窓を含むフォトマスクを有する図3の基板の平面図である。
図5】[0009]図4の線A−Aに沿って取られた図4の基板およびフォトマスクの横断面図である。
図6】[0010]不純物が注入され、アクティブ化され、薄い二酸化シリコン層が基板の上部表面上に成長させられた後の、図4の基板の横断面図である。
図7】[0011]基板の上部表面の中にエッチングされるべきトレンチの形をしている窓を含むフォトマスクを有する図6の平面図である。
図8】[0012]図7の線B−Bに沿って取られた図7の基板およびフォトマスクの横断面図である。
図9】[0013]トレンチがSOIアクティブ層を通って埋込酸化膜層までエッチングされ、圧電抵抗器エピタキシャル単結晶シリコンがトレンチによって露出されたSOIアクティブ層の垂直の壁に選択的に堆積された後の図7の基板の平面図である。
図10】[0014]図9の線C−Cに沿って取られた図9の基板の横断面図である。
図11】[0015]圧電抵抗エピタキシャル単結晶が、テザー領域の側壁に配置された2つの圧電抵抗検知素子を残してエッチングされた後の、図9の基板の平面図である。
図12】[0016]図11の線D−Dに沿って取られた図11の基板の横断面図である。
図13】[0017]埋込酸化膜層の部分を除去してテザー領域およびプルーフマス領域の下にボイドを生成するために蒸気エッチングが使用された後の、図11の基板の横断面図である。
図14】[0018]基板の上部表面上に形成されるべき接触パッドの形をしている窓を含むシャドーマスクを有する図13の基板の平面図である。
図15】[0019]基板の上部表面内の導電性トレースと電気的に導電接触している基板の上部表面上に形成された接触パッドを有する図14の基板の平面図である。
図16】[0020]図15の線E−Eに沿って取られた図15の基板の横断面図である。
図17】[0021]2つの加速度計を備えて構成され、本発明の原理によって形成され、代替として構成されたデバイスの平面図である。
図18】[0022]共通のプルーフマスを共用する2つの加速度計を備えて構成され、本発明の原理によって形成され、代替として構成されたデバイスの平面図である。
図19】[0023]加速度検知の3つの範囲を提供するために構成され、本発明の原理によって形成され、代替として構成されたデバイスの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0024]次に、本発明の原理の理解を促進するために、図面に図示され、下記の説明に記載されている実施形態を参照する。それらの実施形態によって本発明の範囲の限定が意図
されないことが理解される。本発明は、図示されている実施形態に対するいかなる改変形態および変更形態をも含み、本発明が関係する当業者には普通に思いつくような本発明の原理の他の適用形態を含むことがさらに理解される。
【0007】
[0025]図1は、加速度計デバイス100の斜視図を示す。デバイス100は、この実施形態ではシリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板である基板102上に形成される。基板102は、SOIハンドル層104、埋込酸化膜層106、および、説明の明確を期すために一部切り欠いて示されているSOIアクティブ層108を含む。
【0008】
[0026]トレンチ110は、SOIアクティブ層108の上部表面112から、SOIハンドル層104と、埋込酸化膜層106の一部分の除去によって形成されたアクティブ層108との間のボイド領域114まで延在する。トレンチ110は、埋込酸化膜層106の残部118によってSOIハンドル層104に接続されたアンカ領域116を取り囲む。
【0009】
[0027]3つの接触パッド120、122、および124は、アンカ領域116の上部表面上に配置される。この実施形態ではアルミニウムあるいは場合によっては別の金属または導電性材料で作られている接触パッド120は、SOIアクティブ層108に埋め込まれた導電性トレース126あるいは金属またはシリコンなど他の導電性材料と電気的に導電接触している。次に、導電性トレース126は圧電抵抗検知素子128と電気的に導電接触している。圧電抵抗検知素子128は、テザー領域(片持ちアームとも呼ばれる)130の長さに沿って延在し、テザー領域130の片側から外の方へトレンチ110の中まで延在する。
【0010】
[0028]同様に、接触パッド124は、SOIアクティブ層108に埋め込まれた導電性トレース132あるいは金属またはシリコンなど他の導電性材料と電気的に導電接触している。次に、導電性トレース132は、圧電抵抗検知素子134と電気的に導電接触している。圧電抵抗検知素子134は、テザー領域130の長さに沿って延在し、テザー領域130の反対側から外の方へトレンチ110の中まで延在する。
【0011】
[0029]接触パッド122は、SOIアクティブ層108に埋め込まれた導電性トレース138あるいは金属またはシリコンなど他の導電性材料と電気的に導電接触している。導電性トレース138は、アンカ領域116に埋め込まれた、または導電的にドープされた、または堆積されたアンカ部140を含む。導電性トレースの延在部142は、テザー領域130にわたって基部144まで延在する。基部144は、プルーフマス領域146に埋め込まれ、または導電的にドープされ、または堆積され、圧電抵抗検知素子128および圧電抵抗検知素子134に電気的導電的に接続される。
【0012】
[0030]動作中、加速度計デバイス100は、対象物(図示せず)に取り付けられる。対象物(図示せず)が矢印148の方向に加速すると、対象物(図示せず)に固定して取り付けられたSOIハンドル層104は、対象物(図示せず)と同時に加速する。アンカ領域116は、残部118を通してSOIハンドル層104上に固定して取り付けられている。したがって、アンカ領域116はまた、対象物(図示せず)と同時に加速する。
【0013】
[0031]プルーフマス領域146およびテザー領域130は、SOIハンドル層104に固定して取り付けられていない。そうではなく、プルーフマス領域146およびテザー領域130は、アンカ領域116によって支持されている。したがって、アンカ領域116が矢印148の方向に加速すると、テザーは、テザー領域130およびプルーフマス領域146の慣性のため、曲がる。テザー領域130の屈曲によって、圧電抵抗検知素子128および134が曲がる。圧電抵抗検知素子128および134は、屈曲領域の機械的動
きを抵抗変化に変換する。
【0014】
[0032]導電性トレース126、132、および138は、圧電抵抗検知素子内の抵抗変化を、接触パッド120、122および126にわたる電圧差になる、検知素子128および134にわたる電圧の変化に変換する電流のために、導電経路を提供する。次いで、抵抗または電圧の変化は、対象物(図示せず)の加速度を判定するために使用されることが可能である。
【0015】
[0033]図2は、加速度計デバイス100を生成するために使用されることが可能である製造工程の流れ図を示す。図2の工程150が開始し(ブロック152)、基板が用意される(ブロック154)。低抵抗率接続経路を画成するフォトマスクが形成され(ブロック156)、その後に、低抵抗率経路を形成するために不純物の注入が続く(ブロック158)。注入された不純物はアクティブ化され、薄い二酸化シリコン層が熱酸化によって成長させられる(ブロック160)。
【0016】
[0034]薄い二酸化シリコン層においてアンカ、テザーおよびプルーフマスを画成するために使用される第2のフォトマスクが形成され(ブロック162)、その後、基板の上部表面から基板の埋込酸化膜層までのトレンチを生成して、アンカ、テザーおよびプルーフマス領域を形成するために、深掘り反応性イオンエッチングが使用される(ブロック164)。ドープされたエピタキシャル単結晶シリコンが、深堀り反応性イオンエッチングによって露出されたシリコン領域上に選択的に堆積される(ブロック166)。テザーの側壁領域上の圧電抵抗エピタキシャル単結晶シリコンを保護するために第3のフォトマスクが形成され(ブロック168)、保護されていない圧電抵抗エピタキシャル単結晶シリコンは、エッチング除去される(ブロック170)。プルーフマスおよびテザーをリリースするために埋込酸化膜層の一部分が除去される(ブロック172)。電気的接触パッド領域を画成するためにシャドーマスクが形成され(ブロック174)、電気的接触領域を形成するためにアルミニウムがスパッタ堆積される(ブロック176)。次いで、工程が終了する(ブロック178)。
【0017】
[0035]図2の工程の一例が図3−16に示されている。基板200が図3に示されている。この実施形態では、基板200は、SOIハンドル層202、埋込二酸化シリコン層204およびアクティブSOI層206を含むシリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板である。次に、図4および5に示されているように、SOIアクティブ層206の露出された上部表面上にフォトマスク208が形成される。フォトマスク208は窓210を含み、それらを通してアクティブ層206が露出される。次いで、不純物が窓210を通してアクティブ層206に注入される。図6に示されているように、不純物をアクティブ化して、SOIアクティブ層206の中に導電性トレース212、ならびに、導電性トレース212およびSOIアクティブ層206を覆う薄い二酸化シリコン層214を形成するために、熱酸化が使用される。
【0018】
[0036]次に、図7および8に示されているように、二酸化シリコン層214上にフォトマスク220が形成される。フォトマスク220は、固定アンカ領域224、テザー領域226およびプルーフマス領域228を画成する窓222を含む。次いで、二酸化シリコン層214の露出された部分の真下に配置された埋込酸化膜層204の一部分を露出するために深掘り反応性イオンエッチング工程を使用して、二酸化シリコン層214の露出された部分の真下に配置されたSOIアクティブ層206の一部分と共に、窓222を通して露出された二酸化シリコン層214の一部分にトレンチ230(図9および10参照)が形成される。次いで、図9および10に示されているようにトレンチ230によって露出されるSOIアクティブ層206の内側の垂直表面上に選択的単結晶シリコン層232がエピタキシャルに堆積される。エピタキシャルシリコン材料の選択的堆積はまた、トレ
ンチ230によって露出されたSOIアクティブ層206の外側の垂直面上に単結晶シリコン層234を形成する。
【0019】
[0037]次いで、テザー領域226に隣接する単結晶シリコン層232の一部分を保護するためにフォトリソグラフィが使用され、単結晶シリコン層232の残りの部分および単結晶シリコン層234がエッチングされる。したがって、図11および12に示されているように、トレンチ230の中の単結晶シリコン層234が完全に除去され、単結晶シリコン層232が、テザー領域226に隣接する検知素子236および238を除いて、除去される。
【0020】
[0038]検知素子236は、トレース212の2つに電気的導電的に接続される。具体的には、検知素子236は、アンカ領域224に配置されている外側のトレース240、および内側のトレース242に導電的に接続される。内側のトレース242は、検知素子236が導電的に接続されているプルーフマス領域228に配置された基部244、テザー領域226に沿って延在する延在部246、およびテザー領域224に配置された端部248を含む。検知素子238はまた、基部244に導電的に接続される。検知素子238は、外側のトレース250にさらに導電的に接続される。
【0021】
[0039]次いで、埋込酸化膜層204の一部分を除去するために蒸気相フッ化水素酸がトレンチ230を通して導入される。図13に示されているように、フッ化水素酸エッチングが埋込酸化膜層204に、残部260、262および264を残して、ボイド領域を生成する。残部262は、SOIハンドル層202上でアンカ領域224を支持する。しかし、埋込酸化膜層204内のボイド領域がSOIハンドル層202からテザー領域226およびプルーフマス領域228を分離すると、テザー領域226およびプルーフマス領域228はSOIハンドル層202からリリースされる。したがって、プルーフマス領域228は、アンカ領域224によって支持される片持ちアームとして機能するテザー領域226によって支持される。
【0022】
[0040]図14に示されているように、SOIアクティブ層206上にシャドーマスク270が形成される。シャドーマスク270は、窓272、274、および276を含む。外側のトレース240、内側のトレース242、および外側のトレース250のパッド接続部278、280、および282は、それぞれ、窓272、274、および276を通して露出される。図15および16に示されている接触パッド284、286、および288を形成するために、パッド接続部278、280、および282上に、アルミニウムあるいは場合によっては別の金属または導電性材料がスパッタ堆積される。
【0023】
[0041]前述の工程およびデバイスは、慣性検知、剪断応力検知、面内力検知などを含むがそれらに限定されない様々な用途のためのデバイスを提供するために、いくつかのやり方で変更されてよい。例として、図17のデバイス300は、単一の基板306上に2つの加速度計302および304を含む。単一のトレンチ308は、両方のデバイス302および304を画成する。デバイス302および304のそれぞれは、加速度計100と同じやり方で作られる。
【0024】
[0042]他の実施形態では、図18に示されている加速度計310は単一のプルーフマス312を含む。2つのアンカ領域318および320から延在する2つの片持ちアーム314および316は、それぞれプルーフマス312を支持する。アンカ領域318および320のそれぞれは、それぞれ接触パッドのセット322および324を含む。接触パッドセット322および324からの出力は、結合されてよい。代替として、2つの片持ちアーム314または316の1つは1次センサとして使用されてよく、2つの片持ちアーム314または316の他方はバックアップセンサとして使用されてよい。
【0025】
[0043]図19を参照すると、多範囲加速度計330が加速度計100とほぼ同じやり方で作られる。しかし、加速度計330は、5つの片持ちアーム332、334、336、338、および340を含む。片持ちアーム332、334、336、338および340のそれぞれは、それぞれのアンカ領域352、354、356、358または360上に配置された接触パッド342、344、346、348または350のそれぞれのセットに導電的に接続される。
【0026】
[0044]片持ちアーム332、334、336、338および340は、3つのプルーフマス362、364および366を支持する。具体的には、片持ちアーム332および338はプルーフマス362を支持し、片持ちアーム334および336はプルーフマス364を支持し、片持ちアーム340はプルーフマス366を支持する。プルーフマス362は、プルーフマス362、364および366のうちの最大のマスを有するが、一方、プルーフマス366は最小のマスを有する。
【0027】
[0045]したがって、片持ちアーム332、334、336、338、および340は同一であるが、プルーフマス362の慣性はプルーフマス364の慣性より大きい。したがって、同じ加速力を受けたとき、片持ちアーム332および338は、片持ちアーム334および336より多く曲がることになる。さらに、たとえプルーフマス366が単一の片持ちアーム340によって支持されていても、それぞれのマスは、片持ちアーム332、334、336、および338のそれぞれが片持ちアーム340より多く曲がるように選択される。したがって、デバイス330は、高い範囲の出力、低い範囲の出力、および中間の範囲の出力を提供するために有線接続されることが可能である加速度計を提供する。
【0028】
[0046]デバイス330は、中間範囲加速力出力および低範囲加速力出力のために向上した感度を提供するようにさらに構成される。具体的には、接触パッドセット342および348からの出力は、低範囲出力のために向上した感度を提供するために結合されてよく、一方、接触パッド344および346は、中間範囲出力のために向上した感度を提供するために結合されてよい。
【0029】
[0047]他の実施形態では、デバイスに出力を提供するために、より多くの圧電抵抗器が結合される。他の実施形態では、カンチレバーは平行ではない。さらに、本発明の原理によるデバイスの応答特性は、他のやり方で変更されてよい。片持ちアーム上に置かれた重みの使用に加えて、カンチレバーを形成する際に使用される様々な材料の可能性と共にカンチレバー自体の寸法が、所望の特性を提供するように選択されることが可能である。これらのリリースされていないデバイスの別の用途は、温度補償基準デバイスであり得る。
【0030】
[0048]本発明は、図面および前述の説明において詳細に図示され記述されてきたが、これは、特徴の例示とみなされるべきであって、制限とみなされるべきではない。好ましい実施形態だけが提示されてきたこと、および、本発明の趣旨に含まれるすべての変更形態、修正形態および別の適用形態が保護されることが望まれることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19