【実施例】
【0010】
以下に、本発明を実施したネジ類供給装置の実施例を、図に基づいて詳しく説明する。
本実施例1のネジ類供給装置1は、
図1の前面からの外観斜視図、
図2の外枠を外した前面斜視図、
図3の同背面斜視図、供給装置の大部分を占めるネジ類Sの収容部2は
図2、
図3に示すように、ネジ類供給装置1の上側に配置され、
図1の蓋部11を開けてネジSを投入し、そのネジ収容部2の底部25に投入されたネジ類Sを上方に汲み上げる汲上機構3(
図2)によってネジ収容部2の内部の搬送機構4(案内レール部材41)上にネジ類Sを汲み上げて積載し、積載されたネジ類Sを振動する慣性力付与機構42を備えた案内レール部材41によって整列移動させ、更に、空気噴射による清浄機構5によって切削屑や塵等を除去し、外部に順次排出して所定ネジ類Sを供給する排出部6に移動させる。以下、これらの構成を更に詳しく説明する。
【0011】
[ネジ類Sのネジ収容部2]
図2〜
図5を参照して、先ずネジ類Sの前記ネジ収容部2の概要を説明するが、収容部2はネジ類供給装置1のベース12上に設けられ、左右には右側板21(
図3では左側)と左側板22とが設けられ、背面側には背面板23、前面側には前面板24が設けられ、断面長方形の箱形を形成しており、底部25は矩形の中心に向かって斜行する前後左の3枚の斜行底板251a,251b,251cと中心部の平坦な底板252から底部25が漏斗状のホッパを形成している。
そして、使用に際しては、作業者はネジ収容部2の上部の開口する蓋部11にネジ類Sを適宜の個数を投入する。投入されたネジ類Sの大部分はネジ収容部2の底部25に収容される。このネジ収容部2は、大まかに、前面側部分のネジ類Sを下から汲み上げる領域が有る汲上室前部27(
図3参照)と、背面側部分での落下するネジ類Sを受ける受給部43がある汲上室後部26(
図3参照)とからなり、ネジ収容部2の背面板23から前面板24に亘って、後述するネジ類Sの案内レール部材41が配置されており、ネジ収容部2の前面板24の前面には排出部6が配置されており、左側板22には汲上機構3が設けられている。
また、本実施例のネジ類供給装置1のネジ収容部2は、後述するように、回転する磁石33の磁力により、ネジ収容部2の下部よりネジ類Sを汲み上げるので、ネジ収容部2を深くしてネジ類Sを収容する容積を大きくすることができる。
【0012】
[汲上機構3]
汲上機構3の主なる構成は、
図2に示すように、ネジ収容部2の左側板22の外側に配置されている。駆動部31は磁石33を取り付けた磁石回転部32を一方向に回転(
図2では反時計回り)させるもので、前面板24の前面に駆動部31の駆動モータ(図示せず)が配置され、横方向に駆動モータの回転軸311が突出し、この回転軸311に回転カム521とプーリ314とが設けられており、プーリ314には駆動ベルト315が磁石回転部32のプーリ321に掛け渡されている。
磁石33の磁力は、ネジ収容部2内部のネジ類S等の金属部材を外から左側板22を隔てて吸い寄せて磁石33の回転に伴って、ネジ類Sを上方に汲み取るように移動させ、受給部43の羽根部431のある領域で、磁石33を左側板22から遠ざけネジ類Sを受給部43に落下させる。なお、左側板22が非磁性体のステンレスであり、移動対象となるネジ類Sの部品は磁性体であるので、磁石33は、常に左側板22側に引きつけられている。
この汲上機構3の構成の詳細は、特許文献1に示すような公知の機構であるのでここで詳細な説明は省略する。
【0013】
[搬送機構(案内レール部材41)4]
図3、
図4を用いて搬送機構4の案内レール部材41を説明するが、この案内レール部材41は、基本的には特許文献1に開示されているようなネジ類Sを排出方向に慣性力を与えるように案内レール部材41を前後に振動させる慣性力付与機構42を用いたフィーダである。
そして、汲上機構3によって汲み上げられたネジ類Sは、案内レール部材41や逆ハの字状の一対の羽部431に落下したネジ類Sのネジ部S1は、嵌合レール溝411に順次嵌合して整列して外部に移送される。
案内レール部材41の上部には、レール支持機構44によって振動が付与されるが、この振動駆動には電磁コイル(図示せず)と鉄心部(図示せず)から構成され、電磁コイルに矩形波や交流を加電することによって、案内レール部材41の全体が長手方向の前後に振動することになる。この案内レール部材41を振動させる振動機構が慣性力付与機構42となる。
この搬送機構4の構成の詳細も、特許文献1に示すような公知の機構であるのでここで詳細な説明は省略する。
なお、搬送機構4である案内レール部材41は、ネジ収容部2の空中に浮いたように位置するので、ネジ収容部2内のネジ類Sとの干渉が少なくなり、スムースにネジ類Sが汲上機構3の汲み上げ位置に移動することができる。
【0014】
[空気噴射による清浄機構5]
図6、
図7に示すように、搬出機構4の案内レール部材41の一対のレールの間の進行方向に延びる細長い嵌合レール溝411にネジ類Sのネジ頭S2が係止され、ネジS1が嵌合レール溝411から下方に吊り下がりながら、振動により移動し、この搬出機構4の案内レール部材41のネジ類Sが移動する方向に沿って上方に空気供給管51を設け、この空気供給管51の下側には上方からネジ類Sの主に頭部S2に向けて空気を噴出させる1列の複数の上空気ノズル511を設け、この上空気ノズル511の背面板23側には圧縮空気供給パイプ512を接続して、圧縮空気が供給され、空気供給管51の前面板24側の反対端部側の末端部には、空気供給管51を両端の軸受513を介して左右に回動させる揺動機構52が設けられている。
この揺動機構52の動力原は汲上機構3の駆動部31の軸支されている偏芯カム521から得られる(
図2参照)。この偏芯カム521の回転によりスライダー522の一端のコロ(図示せず)を上下動させ、このスライダー522の他端には回動腕523の一端に回転自在に支持され、この回動腕523は回動軸524を中心にして、他端の扇形歯車525を回動させ、この扇形歯車525は前記空気供給管51に固着された歯車526を半時計方向回転と時計方向回転を交互に繰り返し、結果として上空気ノズル511を左右に揺動させる。
これにより、ネジ類S、主にネジ頭部S2(
図6,7参照)に付着した切り屑や塵を吹き落とすことができる。
【0015】
次に、ネジS、主にネジ部S1(
図6,7参照)に付着した切り屑や塵を吹き落とす、空気供給管53(53a,53b)及び側空気ノズル531について説明する。
図6に示すように、前記の空気供給管51の斜め下側にも一対の空気供給管53は配管され、その空気供給管53の先端で案内レール部材41のネジ類Sが移動する下流位置に側空気ノズル531が配置され、左右両側面からネジ類Sの全部位、主にネジ部S1に向けて空気を噴出する一対の側空気ノズル531が設けられ、この側空気ノズル531は、
図7に示すように、主にネジ類Sの下側のネジ部S1の部分に向けて空気を噴出している。
このネジ部S1を挟んで配置される一対の側空気ノズル531の詳細は、
図8に示すような構造で、側空気ノズル531の背面板23(
図4.7参照)側には圧縮空気供給パイプ532を接続して、背面板23側に固定されている。
図8に示すように、側空気ノズル531はほぼ矩形の噴射面532を有しており、ほぼ上下方向に2列のノズル孔5311が配列されている。
これにより、側面の側空気ノズル531はネジ類Sの全部位に噴射空気があたるようにに構成されているが、主にネジ部S1に付着した切り屑や塵を吹き落とすことができる。
【0016】
上空気ノズル511及び側空気ノズル531から噴射され、切り屑や塵を吹き落した清浄用の空気は、
図4乃至
図6に示すように、ネジ収容部2の漏斗状のホッパを形成した底部25の下には、底部25の底板252に設けた多数の空気貫通孔253をを介して、ダストボックス55に吸収させる。
このダストボックス55は、
図9に示すような構成で、ベース12に設けられたダストボックス収納部13に出入れ可能な長細い形状の引出551であり、その中に2個の磁石552が固定され、底部553には貫通孔(図示せず)が設けられている。
図10に示すように、ダストボックス収納部13にダストボックス55が収納された状態では、磁石552の真上当たりに底板252(
図4参照)が位置するように設計し、収容部2からの空気は一端の磁石552の近辺を通過し、その際に金属粉、金属の切り屑等の屑は磁石552に吸着する。ダストボックス55の底部553には貫通孔554が設けられ、その真下には空気排出部131が設けられ、空気排出部131には外部に続く排気ダクト132が接続しており、金属粉や金属切り屑等を除いた空気は排気ダクト132に続く排気口133から室外等に排気する。勿論、この排気空気の塵を除去するためにフィルターを設けてもよい。
このような清浄機構5のダストボックス55を定期的に磁石552に付着した金属系の塵(ダスト)の清掃を行えばよい。また、排気ダクト132からの排気は外部に導いて排気すれば、クリーンルームの空気を汚すことがない。
なお、多数の空気貫通孔253及びダストボックス55は、必ずしも底部553ではなく、ネジ収容部2の側壁等の適所に設けてもよい。
【0017】
[排出部6]
このように、本ネジ類供給装置1でのネジ収容部2のネジ類Sは、汲上機構3によって移送機構4の案内レール部材41上に積載し、積載されたネジ類Sを前記振動機構による慣性力付与機構42を備えた案内レール部材41によって移動させ、空気噴射による清浄機構5によって金属粉や金属屑や塵を取り除き、ネジ類Sを外部に順次排出して所定ネジ類Sを供給する排出部6を設けるが、この排出部6を
図2、
図11、
図12に沿って説明する。
案内レール部材41から送出されるネジ類Sを、ネジ切出部62を形成する左右動(
図11では上下動)するネジ切出ガイド部材622で1個ずつ切り出し、ネジ部S1を下にして落下シュート623に移動させ、円筒形の落下シュート623の下方に落下させ、更に制御された圧縮空気Aを下向きにノズル624から噴射させて加速し、続く湾曲ガイド部625から水平方向のネジ送給出口管15に送給する。
ここで、
図1における圧送ネジ本数設定部14の圧送ネジ設定パネル141は、ネジ圧送本数の設定ボタンや圧送本数の表示部が設けられ、圧送ネジ本数が設定することができる。
ネジ類供給装置1の枠体前面から突出したネジ送給出口管15は、移送部の柔軟チューブ(図示せず)に接続され、柔軟チューブからネジドライバーやネジレシーバーに接続され、ネジ類Sは送給させる。
【0018】
以上説明したように、本発明の実施例のネジ類供給装置1における空気噴射による清浄機構5によれば、ネジ類Sを送給する前に微細な金属粉やネジの金属切屑や塵を取り除くので、カメラ等の精密機器を組み立てる際に、微細な金属粉やネジの切屑や塵が付着することがなく、特に、組立てた後に電子回路にトラブルを生じることがない。また、クリーンルームで行う作業で微細な金属粉やネジの切屑や塵を飛散することも防ぐことができる。
また、上空気ノズル511は左右方向に揺動するので、広い範囲で満遍なく清掃することができ、ネジSに強弱の風圧が加わるので、効果的にネジ類Sに付着した金属粉やネジの切屑や塵を噴き落とすことができる。ネジ類Sの全部位(S1,S2)に噴射空気が当たるように複数個設けたので、確実にネジ類Sに付着した金属粉やネジの切屑や塵を噴き落とすことができる。更に、ダストボックス55に磁石552を配置したので、鉄粉や鉄製切り屑を選別して取り除くことができる。
このように、従来のように、揺動ブラシ等の刷毛を用いていたのでは、金属粉、金属切り屑、塵等の雑物はブラシ(刷毛)で取り除いても再びネジ類を一緒になってしまい、完全にすることができなという不都合を解消できる。
なお、本発明の特徴を損なうものでなければ、前述した実施例に限定されないことは勿論である。