特許第5718282号(P5718282)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5718282
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】静電容量検出装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20150423BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   G06F3/041 470
   G06F3/044 Z
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-124069(P2012-124069)
(22)【出願日】2012年5月31日
(65)【公開番号】特開2013-250706(P2013-250706A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2014年11月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(72)【発明者】
【氏名】清水 智巨
(72)【発明者】
【氏名】澤田 武士
【審査官】 海江田 章裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−147613(JP,A)
【文献】 特開2010−114015(JP,A)
【文献】 特開2013−157142(JP,A)
【文献】 特開2008−226729(JP,A)
【文献】 特表2011−524032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
H01H 36/00
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の厚さで形成された基板と、
前記基板の表面に、静電容量検出のためにタッチする電極と前記電極から引き出される配線とからなる所定のパターンで形成された電極層と、
前記基板の裏面に、前記電極層の前記所定のパターンに対応したシールドパターンで形成されたシールド層と、を有し、
前記シールド層の前記シールドパターンは、前記基板の前記厚さ方向に見たときに前記電極と重複しない前記電極の周囲、及び、前記配線と重複しない前記配線の周囲に形成されると共に、前記配線の配線間に形成されていることを特徴とする静電容量検出装置。
【請求項2】
前記配線の配線間に形成されているシールド層は、その一部が、前記基板の前記厚さ方向に見たときに前記電極と重複していることを特徴とする請求項1に記載の静電容量検出装置。
【請求項3】
前記シールド層は、前記配線の配線間に形成されているシールド層を含めすべて電気的に接続されて形成されていることを特徴とする請求項2に記載の静電容量検出装置。
【請求項4】
前記シールド層は、メッシュ構造により形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の静電容量検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量検出装置に関し、特に、静電容量検出基板のシールド構造に特徴を有する静電容量検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として基板に静電容量検出用の電極層が形成されると共に、EMI対策としてシールド層が形成された静電容量検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この静電容量検出装置は、電極パターンが形成された電極基板を有するタッチセンサであって、電極基板の電極パターンと同一面上の外周域に透明導電膜からなるシールド層が形成され、このシールド層の上層に電極パターンと電気的に接続された出力配線などが形成されたものである。
【0003】
この静電容量検出装置によれば、出力配線と電極基板との間に透明導電膜からなるシールド層が形成されているので、複数の出力配線が形成されている出力配線部、すなわちシールド領域に指などが触れたり、或いは近づけられたとしても、その部分において指などの静電容量と出力配線の静電容量との結合がシールド層により遮蔽される。したがって、指などが接触、或いは近づけられた部分において容量変化によるノイズが出力配線などに伝わることがなく、センサ部で入力がないにもかかわらず、入力があったかのように検知されることがなくなるので、誤動作の発生を防止することができる。また、容量変化によるノイズが発生せず、入力検知の閾値を容易に設定することができるので、正確な入力検知が可能になるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−169720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の静電容量検出装置によれば、電極層とシールド層との間の寄生容量の増加により検出感度が低下し、また、電極面積を縮小することによりEMI対策を行なうとすれば操作エリア縮小により操作性が低下するという問題があった。
【0006】
従って、本発明の目的は、電極面積の縮小やシールド面積の拡大をせずに、検出感度の維持とEMI対策を両立する静電容量検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明は、上記目的を達成するため、所定の厚さで形成された基板と、前記基板の表面に、静電容量検出のためにタッチする電極と前記電極から引き出される配線とからなる所定のパターンで形成された電極層と、前記基板の裏面に、前記電極層の前記所定のパターンに対応したシールドパターンで形成されたシールド層と、を有し、前記シールド層の前記シールドパターンは、前記基板の前記厚さ方向に見たときに前記電極と重複しない前記電極の周囲、及び、前記配線と重複しない前記配線の周囲に形成されると共に、前記配線の配線間に形成されていることを特徴とする静電容量検出装置を提供する。
【0008】
[2]前記配線の配線間に形成されているシールド層は、その一部が、前記基板の前記厚さ方向に見たときに前記電極と重複していることを特徴とする上記[1]に記載の静電容量検出装置であってもよい。
【0009】
[3]また、前記シールド層は、前記配線の配線間に形成されているシールド層を含めすべて電気的に接続されて形成されていることを特徴とする上記[2]に記載の静電容量検出装置であってもよい。
【0010】
[4]また、前記シールド層は、メッシュ構造により形成されていることを特徴とする上記[1]から[3]のいずれか1に記載の静電容量検出装置であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電極面積の縮小やシールド面積の拡大をせずに、検出感度の維持とEMI対策を両立する静電容量検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る静電容量検出装置の斜視図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る静電容量検出装置のベースフィルムの表面を図1に示すAの方向から見た上平面図である。
図3図3は、本発明の実施の形態であって、静電容量検出装置のベースフィルムの裏面を、図1に示すAの方向から見て透視した平面図である。このような透視平面図として図示することにより、図1に示すベースフィルムの表面の電極層と、ベースフィルムの裏面のシールド層とのベースフィルムの厚さ方向に見たときの重複関係が容易に把握できる。
図4A図4Aは、比較例1であって、静電容量検出装置のベースフィルムの裏面を、図1に示すAの方向から見て透視した平面図である。このような透視平面図として図示することにより、図1に示すベースフィルムの表面の電極層と、ベースフィルムの裏面のシールド層とのベースフィルムの厚さ方向に見たときの重複関係が容易に把握できる。
図4B図4Bは、比較例2であって、静電容量検出装置のベースフィルムの裏面を、図1に示すAの方向から見て透視した平面図である。このような透視平面図として図示することにより、図1に示すベースフィルムの表面の電極層と、ベースフィルムの裏面のシールド層とのベースフィルムの厚さ方向に見たときの重複関係が容易に把握できる。
図4C図4Cは、比較例3であって、静電容量検出装置のベースフィルムの裏面を、図1に示すAの方向から見て透視した平面図である。このような透視平面図として図示することにより、図1に示すベースフィルムの表面の電極層と、ベースフィルムの裏面のシールド層とのベースフィルムの厚さ方向に見たときの重複関係が容易に把握できる。
図4D図4Dは、比較例4であって、静電容量検出装置(センサシート10)のベースフィルム20の表面20aを、図1に示すAの方向から見た平面図である。比較例
図5図5は、本発明の実施の形態に係る静電容量検出装置と比較例の電極と電極寄生容量との関係を示す寄生容量測定結果を示すグラフである。
図6図6は、本発明の実施の形態に係る静電容量検出装置と比較例のラジオノイズ評価の結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本発明の実施の形態]
(静電容量検出装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る静電容量検出装置の斜視図である。静電容量検出装置は、一般に、タッチ検出電極部とその制御部とから構成されるが、本発明の実施の形態に係る静電容量検出装置は、上記のタッチ検出電極部に相当する。上記した制御部は、タッチ検出電極部に所定の電圧を印加し、タッチ操作により電圧が低下することを検出するものであり、従来から種々の技術として公知のものである。したがって、後述する本発明の実施の形態に係る静電容量検出装置としてのセンサシート10は、静電容量検出装置の主要な構成部分であり、静電容量検出装置として機能する。
【0014】
本発明の実施の形態に係る静電容量検出装置としてのセンサシート10は、所定の厚さtで形成された基板であるベースフィルム20と、ベースフィルム20の表面20aに、静電容量検出のためにタッチする電極101(101A、101B、101C、101D)とこの電極101から引き出される配線121とからなる所定のパターンで形成された電極層100と、ベースフィルム20の裏面20bに、電極層100の所定のパターンに対応したシールドパターンで形成されたシールド層200と、を有し、シールド層200のシールドパターンは、ベースフィルム20の厚さt方向に見たときに電極101と重複しない電極101の周囲、及び、配線121と重複しない配線121の周囲に形成されると共に、配線121の配線間に形成されて構成されている。
【0015】
(センサシート10)
センサシート10は、フィルム状の絶縁体である厚さt(一般的には、厚さ12μmから50μm程度)で形成されたベースフィルム20の上に、電極101、配線121、及び、シールド層200が導体箔等により形成されたフレキシブルプリント基板FPC(Flexible printed circuits)である。電極101から引き出された配線121は、電極101と反対側でコネクタ250に電気的に接続されている。このセンサシート10は、コネクタ250により、制御部に接続されて、静電容量検出のための電圧印加、電圧等の変化による静電容量の検出が可能であり、静電容量検出装置として機能する。
【0016】
(電極層100)
図2は、本発明の実施の形態に係るセンサシート10のベースフィルム20の表面20aを図1に示すAの方向から見た上平面図である。センサシート10のベースフィルム20の表面20a上には、電極101(101A、101B、101C、101D)が導体箔等により形成され、それぞれの電極101A、101B、101C、101Dから配線121A、121B、121C、121Dが引き出されている。
【0017】
電極101は、本実施の形態では4つとしたが、電極数はこれに限られない。
【0018】
配線121は、それぞれの電極101A、101B、101C、101Dから引き出されてコネクタ250に至る配線121A、121B、121C、121Dから構成されている。この配線121は、電極101A、101B、101C、101Dから斜めに引き出される引出し部125と、センサ領域11を直線的に配線されているセンサ直線部126と、コネクタ領域12を配線されているコネクタ配線部127とから構成されている。
【0019】
(シールド層200)
図3は、本発明の実施の形態であって、静電容量検出装置(センサシート10)のベースフィルム20の裏面20bを、図1に示すAの方向から見て透視した平面図である。このような透視平面図として図示することにより、図1に示すベースフィルム20の表面20aの電極層100と、ベースフィルム20の裏面20bのシールド層200とのベースフィルム20の厚さt方向に見たときの重複関係が容易に把握できる。
【0020】
シールド層200はベースフィルム20の裏面20bに形成されるが、電極層100のパターンに対応したシールドパターンで形成されている。すなわち、シールド層200のシールドパターンは、ベースフィルム20の厚さt方向に見たときに電極101と重複しない電極101の周囲、及び、配線121と重複しない配線121の周囲に形成されている。さらに、配線121の配線間に形成されている。
【0021】
図3に示すように、シールド層200は、ベースフィルム20の厚さt方向に見たときに電極101と重複しない電極101の周囲210a、210b、210c、210dにメッシュ状で枠状のシールドパターンとして形成されている。よって、ベースフィルム20の厚さt方向に見たときに電極101と重複しないように、少なくとも電極101の領域に対応する部分211は、シールド層が形成されていない。なお、シールド層は、メッシュ状でなく、ベタパターンとして形成してもよい。
【0022】
また、シールド層200は、ベースフィルム20の厚さt方向に見たときに配線121と重複しない配線121の周囲に線状に形成されている。すなわち、図3に示す、線状の周囲221a、221b、221c、221d、221eである。
【0023】
また、図3に示すように、線状の周囲221a、221b、221c、221d、221eに形成されたシールド層をそれぞれ電気的に接続し、また、枠状の周囲210a、210b、210c、210dに形成されたシールド層とも電気的に接続するために、接続部222a、222b、222c、222dが線状に形成されている。接続部222aは、210b、221aと221b、222bとを接続する。接続部222bは、222a、221bと221c、222cとを接続する。接続部222cは、222b、221cと221d、222dとを接続する。接続部222dは、222c、221dと221e、210cとを接続する。
【0024】
なお、接続部222a、222b、222c、222dは、ベースフィルム20の厚さt方向に見たときに、図2に示すB1、B2、B3、B4領域において、それぞれ、配線121A、121B、121C、121Dと一部重複する。
【0025】
上記のように電極層100及びシールド層200を形成したセンサシート10は、ベースフィルム20の表面20aと裏面20bにそれぞれ形成されているので、ベースフィルム20の厚さt方向に離隔している。また、電極層100とシールド層200は、接続部222a、222b、222c、222dの一部を除いて、ベースフィルム20の厚さt方向に見たときに重複しないようにパターン形成されている。すなわち、電極層100との重複を最小限にして、電極101及び配線121(電極層100)の周囲をすべてシールドすることが可能となる。これにより、寄生容量が低減できると共に、効果的なEMI対策が可能となる。
【0026】
(比較例1)
図4Aは、比較例1であって、静電容量検出装置(センサシート10)のベースフィルム20の裏面20bを、図1に示すAの方向から見て透視した平面図である。このような透視平面図として図示することにより、図1に示すベースフィルム20の表面20aの電極層100と、ベースフィルム20の裏面20bのシールド層300とのベースフィルム20の厚さt方向に見たときの重複関係が容易に把握できる。比較例1は、シールド層300が本発明の実施の形態と異なるが、電極層100等の他の部分は同じであるので、シールド層のシールドパターンについてのみ説明する。
【0027】
(比較例1のシールド層300)
シールド層300はベースフィルム20の裏面20bに形成される。図4Aに示すように、シールド層300は、電極101の領域に対応する部分211を除いて、電極101の周囲300a、300b、300c、300dと、配線121を覆い、かつ、配線121の周囲320に亘って形成されている。
【0028】
(比較例2)
図4Bは、比較例2であって、静電容量検出装置(センサシート10)のベースフィルム20の裏面20bを、図1に示すAの方向から見て透視した平面図である。このような透視平面図として図示することにより、図1に示すベースフィルム20の表面20aの電極層100と、ベースフィルム20の裏面20bのシールド層400とのベースフィルム20の厚さt方向に見たときの重複関係が容易に把握できる。比較例2は、シールド層400が本発明の実施の形態と異なるが、電極層100等の他の部分は同じであるので、シールド層のシールドパターンについてのみ説明する。
【0029】
(比較例2のシールド層400)
シールド層400はベースフィルム20の裏面20bに形成される。図4Bに示すように、シールド層400は、電極101の領域に対応する部分211を除いて、電極101の周囲400a、400b、400c、400d、及び、配線121(121A、121B、121C、121D)の間と周囲421a、421b、421c、421d、421eに形成されている。
【0030】
(比較例3)
図4Cは、比較例3であって、静電容量検出装置(センサシート10)のベースフィルム20の裏面20bを、図1に示すAの方向から見て透視した平面図である。このような透視平面図として図示することにより、図1に示すベースフィルム20の表面20aの電極層100と、ベースフィルム20の裏面20bのシールド層500とのベースフィルム20の厚さt方向に見たときの重複関係が容易に把握できる。比較例3は、シールド層500が本発明の実施の形態と異なるが、電極層100等の他の部分は同じであるので、シールド層のシールドパターンについてのみ説明する。
【0031】
(比較例3のシールド層500)
シールド層500はベースフィルム20の裏面20bに形成される。図4Cに示すように、シールド層500は、電極101の領域に対応する部分211を除いて、電極101の周囲500a、500b、500c、500d、及び、配線121A、121Dの外側521a、521eに形成されている。
【0032】
(比較例4)
図4Dは、比較例4であって、静電容量検出装置(センサシート10)のベースフィルム20の表面20aを、図1に示すAの方向から見た平面図である。比較例4は、シールド層600がベースフィルム20の表面20aに形成されるが、電極層100等の他の部分は同じであるので、シールド層のシールドパターンについてのみ説明する。
【0033】
(比較例4のシールド層600)
シールド層600はベースフィルム20の表面20aに形成される。図4Dに示すように、シールド層600は、電極101の領域に対応する部分211を除いて、電極101の周囲600a、600b、600c、600d、及び、配線121A、121Dの外側621a、621eに形成されている。また、配線121と配線間の部分にはシールドパターンが形成されていない。したがって、シールド層600は、電極層100と重複する部分がなく、電極層100と同一のベースフィルム20の表面20aに形成されている。
【0034】
(本発明の実施の形態に係る静電容量検出装置の動作)
本発明の実施の形態に係る静電容量検出装置としてのセンサシート10は、次のように動作して静電容量検出装置として機能する。
【0035】
コネクタ250を介して制御部から、電極101(101A、101B、101C、101D)に所定の周波数(例えば、3kHz)の電圧が印加された状態とする。電極101に指等がタッチ又は近接することにより、印加された電圧レベルが低下する。この信号の電圧レベルの低下を測定し、所定の基準電圧と比較することにより、電極へのタッチ又は近接を検出することができる。この使用例は、一例であり、他の使用方法によっても電極へのタッチ又は近接を検出することが可能である。
【0036】
また、シールド層200は、コネクタ250を介して制御部のグランドレベルに接続される。これにより、電極101の周囲、配線121の部分がシールドされる。これにより、外部からの電磁ノイズの低減、外部への放射レベルの低減が可能となる。
【0037】
(本発明の実施の形態と比較例1〜4の比較)
図5は、本発明の実施の形態に係る静電容量検出装置と比較例の電極と電極寄生容量との関係を示す寄生容量測定結果を示すグラフである。横軸に電極パターン長さをとり、縦軸は電極寄生容量の設計目標値を1として規格化した電極寄生容量とした。
【0038】
EL10〜EL18までの9種類の電極パターン長さについて、本発明の実施の形態、及び、比較例1〜4の規格化した電極寄生容量の測定値をプロットした。なお、EL10〜EL18は、右にいく程電極パターン長さが大きい。
【0039】
図5によれば、本発明の実施の形態、及び、比較例1〜4において、電極パターン長さの増加により電極寄生容量は増加する。電極寄生容量の設計目標値C(pF)をすべての電極パターン長さにおいて下回ったのは、本発明の実施の形態と比較例4であった。
【0040】
図6は、本発明の実施の形態に係る静電容量検出装置と比較例のラジオノイズ評価の結果を示す表である。本発明の実施の形態、及び、比較例1〜4について、平均AVE値とピークPEAK値について、各測定項目(SWART、LW、AM、SW)を測定し、本発明の実施の形態の測定項目SWARTのピークPEAK値を1として規格化した表である。この測定は、例えば、電極101に、4vで3kHzの電圧を印加した場合に放射されるラジオノイズを測定したものである。
【0041】
図6によれば、比較例1、比較例2、本発明の実施の形態、比較例3、比較例4の順にラジオノイズ性能が高いことがわかる。
【0042】
図5に示した電極寄生容量の評価結果から、本発明の実施の形態と比較例4が設計目標値C(pF)をクリアし、また、図6に示したラジオノイズ性能の評価から、比較例4よりも本発明の実施の形態の方が優れているという結果となった。すなわち、本発明の実施の形態と4つの比較例を、2つの評価手段により、相反する特性を総合的に評価すると、本発明の実施の形態が最も良いと評価された。
【0043】
(本発明の実施の形態の効果)
本発明の実施の形態によれば、以下のような効果を有する。
(1)本発明の実施の形態であるセンサシート10のシールド層200のシールドパターンは、ベースフィルム20の厚さt方向に見たときに電極101と重複しない電極101の周囲、及び、配線121と重複しない配線121の周囲に形成されている。さらに、配線121の配線間に形成されている。これにより、電極層100との重複を最小限にして、電極101及び配線121(電極層100)の周囲をすべてシールドすることが可能となる。よって、寄生容量が低減できると共に、効果的なEMI対策が可能となる。
(2)本発明の実施の形態と比較例1〜4による電極寄生容量の評価によれば、図5に示すように、比較例1、比較例2、比較例3、本発明の実施の形態、比較例4の順に電極寄生容量が大きい。一方、図6によれば、比較例1、比較例2、本発明の実施の形態、比較例3、比較例4の順にラジオノイズ性能が高い。すなわち、シールド層による効果は、電極寄生容量とラジオノイズ性能でトレードオフの関係にある。したがって、本発明の実施の形態により、電極の寸法を変えずに、検出感度と放射レベルに合わせたEMI対策が可能となる。
(3)上記のことから、検出感度を維持するために、電極面積を縮小して電極寄生容量を低減する必要がない。また、EMI対策のために、シールド面積を拡大する必要がない。したがって、本発明の実施の形態により、検出感度の維持とEMI対策を両立させることが可能となる。
【0044】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、この実施の形態は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更等を行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
10…センサシート
11…センサ領域
12…コネクタ領域
20…ベースフィルム
20a…表面
20b…裏面
100…電極層
101(101A、101B、101C、101D)…電極
121(121A、121B、121C、121D)…配線
125…引出し部
126…センサ直線部
127…コネクタ配線部
200…シールド層
210(210a、210b、210c、210d)…周囲
211…部分
221a…周囲
222a、222b、222c、222d…接続部
250…コネクタ
300…シールド層
300a、300b、300c、300d…周囲
320…周囲
400…シールド層
400a、400b、400c、400d…周囲
421a、421b、421c、421d、421e…周囲
500…シールド層
500a、500b、500c、500d…周囲
521a、521e…外側
600…シールド層
600a、600b、600c、600d…周囲
621a、621e…外側
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6