【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、粘着性樹脂を含む組成物中に、フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が分散されてなる制電性粘着剤組成物に係り、上記フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、
下記式(1)に示すポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテルエステル系可塑剤に溶解された状態で分散されていることを特徴とする。
【化1】
(式中、m、nは整数であり、Rはアルキル基を表す。)。
【0016】
本明細書で、ポリエーテルエステル系可塑剤とは、ポリエーテル基とエステル結合を含む、樹脂の間隙に入り込むことで樹脂が規則正しく配向するのを阻害しガラス遷移点以下でもアモルファス状態を維持するものをいう。
上記ポリエーテルエステル系可塑剤
には、
下記式(2)に示す可塑剤を混合してもよい。
【化2】
(式中、m、nは整数であり、Rはアルキル基を表す。)
【0017】
このポリエーテルエステル系可塑剤は、低粘度で作業性が良好であり、低温柔軟性を有し、耐熱老化性、柔軟性と耐久性のバランスがあり、非揮発性、非移行性、耐油性、安全性(PL適合)に優れる。
【0018】
Rは炭素数1〜14のアルキル基であるのが好ましい。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、n−ラウリル基などが好ましい。
【0019】
上記 m は、2以上の整数であるのが好ましい。
【0020】
ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテルエステル系可塑剤は、分子量が250〜2000のものが好ましく、より好ましくは500〜1500である。粘度(25℃)は、30〜600mPa・sのものが好ましい。
【0021】
この発明によれば、上記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、上記ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテルエステル系可塑剤に溶解しやすく、濃度を濃くすることができ、この溶液を分散させることにより、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を、多量にかつ均一に、上記粘着性樹脂中に取り込ませることができる。上記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を溶解したポリエーテルエステル系可塑剤の溶液は、制電性粘着剤組成物中で、上記ポリエーテルエステル系可塑剤の可塑性と相俟って、制電性を発現させながら、可塑性を付与するのである。また、ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテルエステル系可塑剤は、粘着性樹脂の溶解度パラメータ(SP値)と近づけることができるので、親和性に優れ、ブリードしない。ひいては、移行汚染が発生せず、湿度に依存せずに、速効性に優れ、かつ優れた制電性が持続する制電性粘着剤組成物を得ることができる。
【0022】
本明細書で、「分散」とは、上記塩を溶解したポリエーテルエステル系可塑剤の溶液が、粘着性樹脂を含む組成物中に微液滴状になって散在あるいは溶込んでいる状態をいう。
【0023】
[粘着性樹脂]
粘着性樹脂は、アクリル系共重合体を含むアクリル系粘着剤が好ましい。
【0024】
[アクリル系共重合体]
アクリル系共重合体は、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、紫外線照射法、電子線照射法によって共重合させることができる。
【0025】
中でも、単量体成分として炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含有するアクリル系共重合体が好ましい。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート等であり、単独或いは2種以上を併用して用いることができる。中でも、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、又はそれらを併用した単量体を主成分とすることが好ましく、その使用量は、粘着剤組成中の50質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。当該範囲で使用することで、可塑剤がブリードアウトし難く、また、制電性粘着剤組成物を作成した際に架橋が適度に行われるため、剥離力の急激な上昇を抑えやすくなり、より好適に糊残りを低減できる。
【0026】
上記アクリル系共重合体は官能基を付与する単量体として、側鎖に水酸基、カルボキシル基、アミノ基などの極性基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体やその他のビニル系単量体を含有することが好ましい。極性基を有する単量体の含有量は、アクリル系共重合体を構成する単量体成分の0.1〜15質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。当該範囲で含有することにより、粘着剤の凝集力、接着性を好適な範囲に調整しやすい。
【0027】
水酸基を有する単量体としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレートを使用でき、中で2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートを共重合成分として使用するのが好ましい。
【0028】
カルボキシル基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、(メタ)アクリル酸2量体、エチレンオキサイド変性コハク酸アクリレート等を使用でき、なかでもアクリル酸を共重合成分として使用するのが好ましい。
【0029】
窒素原子を有する単量体としては、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−(パーヒドロフタルイミド−N−イル)エチルアクリレート等のアミド基含有ビニルモノマーを使用でき、中でもN−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリンを共重合成分として使用するのが好ましい。
【0030】
その他の極性基を有するビニル系単量体として、酢酸ビニル、アクリロニトリル、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。
【0031】
また、上記アクリル系共重合体の重量平均分子量は、30万〜140万の範囲内であることが好ましい。重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができ、標準ポリスチレン(PS)に換算した重量平均分子量を示す。重量平均分子量が30万以上であると、低分子量物による被着体表面の汚染が生じ難くなる傾向がある。更に、重量平均分子量を140万以下に抑制すると、粘着剤溶液の粘度の上昇による塗工作業時のスジ等の問題が発生しないという利点がある。
【0032】
[可塑剤]
粘着性樹脂には上記ポリエーテルエステル系可塑剤とは別に、さらなる可塑剤を追加してもよい。そのような可塑剤として、飽和又は不飽和の非環式炭化水素基を有するモノ又はジカルボン酸と、炭素数1〜20の非環式炭化水素基を有するアルコールとから形成されるエステル、あるいは、前記不飽和の非環式炭化水素基中の不飽和基がエポキシ化されたエステルからなる可塑剤を使用する。本発明においては、可塑剤として当該環状骨格を有さないエステルを使用することで、粘着剤層の被着体に対する濡れ性を向上させることができ、貼り付け時に気泡の巻き込みを生じ難くできると共に、粘着剤層からの可塑剤のブリードアウトが生じ難くなり被着体汚染を好適に低減できる。
【0033】
エステルを構成するモノ又はジカルボン酸成分における飽和又は不飽和の非環式炭化水素基としては、アルキル基やアルキレン基を使用でき、なかでも炭素数が1〜20のアルキル基又はアルキレン基が好ましく、炭素数4〜18のアルキル基であることがさらに好ましく、炭素数4〜14のアルキル基が特に好ましい。このような飽和又は不飽和の非環式炭化水素基を有するモノ又はジカルボン酸は、粘着剤層に使用されるアクリル共重合体を構成するアクリル単量体の炭素数と近い炭素数を有することにより、制電性粘着剤組成物との相溶性が良好になり、可塑剤アクリル系制電性粘着剤組成物中に好適に保持されるため、ブリードアウトが抑制される。
【0034】
これら飽和又は不飽和の非環式炭化水素基を有するモノカルボン酸及びジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の直鎖脂肪族ジカルボン酸のモノ又はポリエステル、酢酸、プロピオン酸、酪酸、キツソウ酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルチミン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキン酸等の飽和脂肪酸、クロトン酸、アンゲリカ酸、リンデル酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸、エライジン酸、ドコサヘキサエン酸等の不飽和脂肪酸などが挙げられる。
【0035】
エステルを構成するアルコールにおける炭素数1〜20の非環式炭化水素基としては、炭素数が1〜20のアルキル基やアルキレン基、特にアルキル基を好適に使用でき、なかでも、炭素数4〜18のアルキル基が好ましく、炭素数4〜14のアルキル基が特に好ましい。このような飽和又は不飽和の非環式炭化水素基を有するアルコールは、粘着剤層に使用されるアクリル共重合体を構成するアクリル単量体の炭素数と近い炭素数を有することにより、制電性粘着剤組成物との相溶性が良好になり、可塑剤アクリル系制電性粘着剤組成物中に好適に保持されるため、ブリードアウトが抑制される。本発明においては、エステルを構成するカルボン酸成分に比して、当該アルコール成分の有する炭化水素基の炭素数を、粘着剤層に使用されるアクリル共重合体を構成するアクリル単量体の炭素数と近い炭素数とすることで、特に被着体汚染を抑制しやすくなる。
【0036】
このような非環式炭化水素基を有するアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、ノナデシルアルコール、アラキルアルコールの直鎖、分岐アルコールが挙げられる。なかでも、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコールが特に好ましく使用できる。
【0037】
さらに好ましくは、上記のモノ又はジカルボン酸と、アルコールとから形成されるエステルを可塑剤として使用する。当該エステルとしては、飽和又は不飽和の炭化水素基からなる骨格を有するものであってもよいが、不飽和の炭化水素基からなる骨格を有さないエステルであることが好ましい。また、当該不飽和の炭化水素基からなる骨格を有するエステルの不飽和結合がエポキシ化されたエポキシ化エステルも好ましく使用できる。当該エステルのなかでも、アジピン酸モノエステル、セバシン酸モノエステル、エポキシ化脂肪酸モノエステルを特に好ましく使用できる。
【0038】
可塑剤として使用するエステルとしては、モノエステル又はポリエステルのいずれであってもよいが、SP値を好適な範囲に制御しやすく、粘着剤との相溶性を向上させやすいことから、PS換算での重量平均分子量が、1000以下のエステルであることが好ましく、300〜800のエステルであることが特に好ましい。
【0039】
上記可塑剤として溶解度パラメーター(SP値)が8.5以下の可塑剤を使用するのが好ましい。中でも、7.0〜8.4であることが好ましい。可塑剤のSP値が8.5以下であるとアクリル系粘着剤共重合体との相溶性に優れるため被着対象表面に粘着フィルムを貼付した状態で高温高湿環境下にて長時間放置した際、被着対象表面から剥離した際に被着対象表面に曇りが発生し難い。可塑剤のSP値としては7.0よりも大きい可塑剤が汎用で使用される。なお、上記SP値は J. Smallが提唱している Small式[P.A.J.Small:J.Appl.Chem.,3,71(1953)]による計算値である。
【0040】
上記可塑剤は、上記アクリル系粘着剤を構成する(メタ)アクリル共重合体100重量部に対して、0.5重量部以上30重量部以下添加することが好ましく、1重量部以上20重量部以下添加することがより好ましく、1重量部以上10重量部以下添加することが特に好ましい。可塑剤の添加量が0.5重量部より多いと手貼りした際に気泡が抜け易くなる。また、30重量部より少ないと、高温高湿環境下においてもディスプレイ表面に曇りが発生し難いという特長を有する。
【0041】
[架橋剤]
【0042】
粘着剤層の凝集力をあげるために、前記アクリル系制電性粘着剤組成物に架橋剤を添加するのが好ましい。架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤等が挙げられる。中でもイソシアネート架橋剤を使用すると、得られるフィルムのエア抜け性を向上させやすいため好ましく使用できる。
【0043】
架橋剤の添加量としては、粘着剤層のゲル分率を80〜99%になるよう調整するのが好ましい。さらに好ましいゲル分率は、90〜99%である。当該ゲル分率の範囲とすることで、低分子量成分の割合が少なくなり、粘着剤層の容易な脱落を防ぎやすくなり特に好適に糊残りを低減できる。なお、ゲル分率は、養生後の粘着剤層組成物をトルエン中に浸漬し、24時間放置後に残った不溶分の乾燥後の質量を測定し、元の質量に対する百分率で表す。
【0044】
[フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩]
上記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、アルカリ金属、2A族元素、遷移金属、両性金属のいずれかの陽イオンと、上記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンとからなる塩であるのが好ましい。
【0045】
上記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、特にビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのアルカリ金属塩又はトリフルオロメタンスルホン酸イオンのアルカリ金属塩であるのが好ましい。リチウム塩が特に好ましい。
【0046】
上記フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、上記ポリエーテルエステル系可塑剤100質量部に対して、0.1質量部以上200質量部以下の割合で、上記ポリエーテルエステル系可塑剤に溶解されているのが好ましい。
【0047】
上記粘着性樹脂100質量部に対して、上記フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、0.01質量部以上30質量部以下含まれるのが好ましい。
【0048】
このように規制するのは、上記陰イオンを備えた塩の配合量が、0.01質量部未満であると、制電性が十分発現されないからである。一方、上記陰イオンを備えた塩の配合量が、30質量部を超えると、制電性付与効果が飽和するので、コスト高を招来するという問題があるからである。
【0049】
[重合体型帯電防止剤]
上記制電性粘着剤組成物は、さらに重合体型帯電防止剤を含んでもよい。本発明の制電性粘着剤組成物に重合体型帯電防止剤を含めると、上記陰イオンを備えた塩を安定化することができることが見出された。また、上記陰イオンを備えた塩はポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテルエステル系可塑剤に溶解された状態で分散されるので、この塩はポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテルエステル系可塑剤と親和性を有する重合体型帯電防止剤の存在する所に、集まり、両者の親和力により安定化したものと考えられる。このような重合体型帯電防止剤としては、ポリエ−テルブロックポリオレフィン共重合体、ポリオキシアルキレン系共重合体又はエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジル共重合体が挙げられる。
【0050】
上記粘着性樹脂100質量部に対して、上記重合体型帯電防止剤を、0.1質量部以上65質量部以下の割合で含有していればよい。
【0051】
このように規制するのは、上記重合体型帯電防止剤の配合量が0.1質量部未満であると、制電性が十分発現されないからである。一方、上記重合体型帯電防止剤の配合量が65質量部を超えると、制電性付与効果が飽和するので、コスト高を招来するという問題があるからである。また、組成物の物性が失われることがあるからである。
【0054】
本発明の制電性粘着剤組成物には、さらに酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、着色剤、顔料、抗菌・抗カビ剤、耐光剤、可塑剤、粘着付与剤、分散剤、消泡剤、硬化触媒、硬化剤、レベリング剤、撥水剤、カップリング剤、フィラ−、加硫剤、キレート剤、加硫促進剤などの公知の添加剤を必要に応じて添加することができる。
【0057】
本発明の他の局面に従う発明は、基材と粘着剤層とを有する保護粘着フィルム、偏光フィルム又は位相差フィルムであって、上記粘着剤層が
上述の制電性粘着剤組成物から形成されていることを特徴とする。
【0058】
また、本発明の保護粘着フィルム、偏光フィルム又は位相差フィルムは、各種ディスプレイ、偏光板等の光学部材に利用され、好適な透明性にすぐれ、着色もほとんどなく、再剥離性にすぐれ、剥離時の剥離帯電が少ない。
【0059】
上記基材としては、一般に粘着フィルムに使用される基材であれば特に限定されず、二軸延伸フィルム、一軸延伸フィルム、無延伸フィルムのいずれも使用できる。このようなプラスチックフィルムには、ポリオレフィン系樹脂フィルムが好適に用いられ、例えば、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂等の樹脂フィルムなどが挙げられる。より具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッソ樹脂フィルム、ナイロンフィルム、アクリル樹脂フィルム等を挙げることができる。このうち、透明性に優れる直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂等の樹脂フィルムがより好ましく、中でも、PETフィルムは、スリップ剤等の添加剤を用いなくともハンドリングが良好であるため、添加剤による被着体表面の汚染可能性を低減させることができ、高い透明性を有するため粘着フィルムを貼付した状態で検査を行う事ができるという利点があるため特に好ましく使用できる。更に、引張強度が強く、腰があるため貼付時に貼付部以外の粘着フィルムの一部が被着体に接触することによって生じる気泡巻き込みが生じ難く、加工時のハンドリング性に優れる二軸延伸のPETフィルムがより好ましい。
【0060】
上記基材の厚さとしては、特に限定されないが、10〜150μmが好ましく、25〜100μmが更に好ましく、38〜100μmが特に好ましい。10μmより厚いとフィルム強度が十分な保護性能が得られる耐久性を有するため、剥離時にフィルムが破れる等の問題が発生し難く、また25μm以上では手貼りに適した柔軟性を得られる。また、150μmより薄いとエッジ部の引っかかりによる剥がれの問題が生じ難く、100μm以下ではフィルムの光透過性が良好であり、フィルム自体が高価になる等の問題が発生しない。
【0061】
本発明の基材の弾性率としては1〜7GPaが好ましい。弾性率が1GPa以上であると、粘着フィルムを形成した際にフィルム基材の変形が生じ難く、7GPa以下であると、フィルム基材が緩やかな曲面への粘着フィルムの貼り付け時も追従できる程度の硬さを有する。
【0062】
上記記載の基材表面には、POP等の表示機能を持たせる目的で印刷を行う場合には、インキ密着性を向上させるために、アンカーコート層を設けることができる。
【0063】
上記記載の基材表面には、表面の傷付き防止を目的として、ハードコート層を設けることができる。