特許第5718335号(P5718335)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5718335連続反応流路システムの閉塞防止方法及びこの方法を実施するための超小型反応装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5718335
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】連続反応流路システムの閉塞防止方法及びこの方法を実施するための超小型反応装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/10 20060101AFI20150423BHJP
   B01J 19/00 20060101ALI20150423BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20150423BHJP
   B81C 1/00 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   B01J19/10
   B01J19/00 321
   G01N37/00 101
   B81C1/00
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-526059(P2012-526059)
(86)(22)【出願日】2010年8月26日
(65)【公表番号】特表2013-503030(P2013-503030A)
(43)【公表日】2013年1月31日
(86)【国際出願番号】EP2010062476
(87)【国際公開番号】WO2011023761
(87)【国際公開日】20110303
【審査請求日】2013年7月4日
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2009/061143
(32)【優先日】2009年8月28日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】09011726.8
(32)【優先日】2009年9月14日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】10157285.7
(32)【優先日】2010年3月23日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】398075600
【氏名又は名称】ロンザ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100159651
【弁理士】
【氏名又は名称】高倉 成男
(74)【代理人】
【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(72)【発明者】
【氏名】ロベルジュ、ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ライノネ、ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】クイットマン、ビルヘルム
(72)【発明者】
【氏名】ゴットスポナー、ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】アイホルツァー、マルクス
【審査官】 原 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−252979(JP,A)
【文献】 特開2004−337649(JP,A)
【文献】 実公昭47−034027(JP,Y1)
【文献】 特表2009−509725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 19/00−19/32
B81C 1/00
G01N 37/00
B08B 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路システムにおいて実施される連続反応の副生成物に起因する超小型反応装置連続反応流路システムの閉塞防止方法であって、
流路中を流れる複数のプロセス流体の内の少なくとも1つのプロセス流体の流れ始めの所に少なくとも1つの超音波を直接結合させることによって、前記流路システムの流路中に前記少なくとも1つのプロセス流体の流れ方向へプロセス流体を伝播媒体として伝播される前記少なくとも1つの超音波を発生するステップを含み、前記プロセス流体は、供給部から前記流路に供給されて流路を流れ始める、閉塞防止方法。
【請求項2】
請求項1に係る方法において、
前記複数のプロセス流体は、少なくとも1つの供給流れおよび/または少なくとも1つの溶媒流れを含むことを特徴とする。
【請求項3】
請求項1または請求項2に係る方法において、
前記連続反応に関わる化学物質は、前記流路システムに連続的に流れ込む複数の反応物質、および、前記複数の反応物質の混合および相互交換と前記流路システムの連続的な流出によって前記連続反応において作られた生成物、を含み、前記複数の反応物質の少なくとも1つは、前記副生成物を形成するために、水と反応する有機アルカリ金属化合物を含む、ことを特徴とする。
【請求項4】
請求項3に係る方法において、
前記アルカリ金属は、リチウム、ナトリウム、またはカリウムから選択される、ことを特徴とする。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に係る方法において、
前記少なくとも1つの超音波は、連続的に、非連続的に、または必要に応じて、前記流路システムに連結される、ことを特徴とする。
【請求項6】
請求項5に係る方法において、
前記少なくとも1つのプロセス流体の検出圧力が目標圧力範囲から外れている場合に、前記少なくとも1つの超音波が、前記流路システム結合される、ことを特徴とする。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に係る方法において、
前記流路システムは、連続反応超小型反応装置の部分である、ことを特徴とする。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1に係る方法を実施するための超小型反応装置であって、前記流路は、
少なくとも1つの合流領域に接続され、1つが前記供給部を有し、各々が、複数のプロセス流体の内の1つのための複数の供給流路と、
前記合流領域に隣接する混合部と、
前記混合部に隣接した保有部と、
前記保有部に隣接した排出流路と、
前記少なくとも1つのプロセス流体の内の少なくとも1つのプロセス流体の流路中での流れの始めにその流れ方向へ前記供給部の所から少なくとも1つの超音波を直接に結合する少なくとも1つの結合手段と、を備える。
【請求項9】
請求項8に係る超小型反応装置は、さらに
前記少なくとも1つの超音波を伝播する前記少なくとも1つのプロセス流体の圧力を検出するための圧力センサを備える、ことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路システムで行われる連続反応の副生成物に起因する連続反応流路システムの閉塞防止方法、及びこの方法を実施するために連続反応流路システムを支持する微小反応装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超小型反応装置の連続反応技術において、超小型反応装置は、超小型反応装置に流れ込む複数の物質(抽出物)を含むとともに超小型反応装置の涌出する生成物を作るためにそこで反応する様々な化学物質が連続的に通過する。このような超小型反応装置は、例えば、同出願人による欧州特許出願公開第1839739号明細書に開示されている。水素金属またはハロゲン金属交換が生じるメタレーション反応のようなこれらの化学反応のいくつかにおいて、流路システム中に在る水は、化学物質の1つ以上と反応し、経路を詰まらせる沈殿を生じる。そのような閉塞が生じる局部的な可能性は、超小型反応装置中において均等ではなく、様々な物質が集められ互いに混ぜられ反応する合流および混合領域である、以後、閉塞感受性領域と呼ばれる箇所において高い。
【0003】
それは注意されるべきである。なぜならば、適度な閉塞でさえ、乾式供給を用いることに比べて圧力上昇を引き起こし、適用された乾式手順は非常に込み入っているので非常にコストがかかる乾式供給/溶媒のみが使用され生産量が減少する可能性を引き起こす。例えば、ジエチル・エーテル、メチル第三ブチルエーテル(MTBE)、テトラヒドロフラン(THF)のようないくつかのエーテル、または、ジメチルスルホキシド(DMSO)のような溶剤は、微量の水から完全に分離することが困難であり、したがって高価である。さらに、乾燥は、何の問題も無しにすべてのケースにおいてではない。例えば、上記の反応(1)は、非常に激しく進行することが知られており、有機窒化物やアジ化物のような他の物質は、爆発的でさえある。有機窒化物やアジ化物の参照は、乾式手順が危険であるのでいくつかの物質は乾燥させることができないという、単に一般的な例を示すだけである。したがって、やはりこの見解から、乾燥を無しに済ませる方法が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1839739号明細書
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明の目的は、利用できる方法に比べて安価で、非乾式供給/溶解が採用されるときに適用可能で、危険もなく、経済的である連続反応流路システムの閉塞を防止するための方法を提供することである。さらに、本発明の目的は、その方法を実施する超小型反応装置を提供することである。
【0006】
これらの目的は、請求項1及び請求項8の特徴によってそれぞれ達成される。有利な態様は、従属項において定義される。
【0007】
本発明(請求項1)によれば、流路システムにおいて実施される連続反応の副生成物に起因する連続反応流路システムの閉塞防止方法は、少なくとも1つプロセス流体に少なくとも1つの超音波を、複数のプロセス流体の少なくとも1つのプロセス流体の流れ方向に連結することによって流路システムを伝わる少なくとも1つの超音波を発生する工程を含み、ここで、本発明による「閉塞防止」は、「すでに生じた閉塞を除去すること」と同様に「閉塞を生じることを避けること」を含む。したがって、少なくとも1つの超音波は、少なくとも1つの超音波のための搬送媒体として機能する少なくとも1つのプロセス流体を、電磁波が光ファイバに案内されるように、流路システムまたは流路システムの部分によっておよびそれに沿って閉塞感受性領域に案内される。好ましくは、少なくとも1つの超音波は、減衰効果を減らすために、閉塞感受性領域に可能な限り近くで発生される。最も望ましくは、少なくとも1つの超音波は、外部で、しかし超小型反応装置の基部に近くで、発生される。少なくとも1つの超音波を1以上のプロセス流体によって閉塞感受性領域へ伝達するために適用され得る限り、少なくとも1つの超音波を発生させる超音波プローブまたは装置の詳細な構造としてなんら制限はない。通常、圧電変換器は、この目的のために使用され、それはそれらの適用分野の設計と能力に適合される。多数の実施例の中の1つとして、医療の出願の米国特許出願公開第2009/169428号明細書に、超音波エネルギーが検査液の連続流れに付与される圧電変換器を備えるフローセルが開示されている。欧州特許出願公開第1570918号明細書において、加圧流体へ超音波エネルギーを送る送信機が開示されている。米国特許第5830127号明細書において、内部流路の中の液体媒体に超音波の発生を含む、内視鏡のような、細長い管状の装置の内側流路を洗浄する方法が開示されている。独国特許出願公開第10 2005 025 248号明細書において、システムの微細な流路内の沈殿を防止するために、超音波信号を流れる流体に連結する流体案内システムが開示されている。しかしながら、本発明によれば、請求項1において使用されている「前記流路システムにおいて実施される」及び「少なくとも1つのプロセス流体において」という語句から明らかなように、閉塞は超小型反応装置の通常の行程中に防止され、そして1つのプロセス流体またはいくつかのプロセス流体が少なくとも1つの超音波をその目的で超小型反応装置の中に伝搬させるために使用される。実験結果は、いくつかの反応において、少なくとも1つの超音波が与えられる場合、許容含水量の限界を約500ppmに引き上げられることを示した。上述によれば、少なくとも1つの超音波は、1つ以上のプロセス流体の本質的に流れの方向にまたは流れに逆らう方向のいずれかに伝わる。後者の方向は、閉塞の位置がプロセス流体の流れ方向に超小型反応装置の端部に最も近いケースにおいて有利かもしれない。
【0008】
したがって、超音波エネルギーは、超小型反応装置の外殻を介して閉塞感受性領域に主として送られない。例えば、当然のこととして、この点において外殻及びその振動関連物理的特性を完全に無視することが無視できないにもかかわらず。超小型反応装置の材料は、減衰を決定し、超音波エネルギーの一部は、外殻を介して連結部から閉塞感受性領域まで伝播される。しかしながら、これは副作用とみなされる。粗い方向付けとして、少なくとも1つの超音波の周波数は、16kHzから50kHz以上の範囲にあることが望ましく、ただし、超小型反応装置の設計と寸法、プロセス流体の流量と粘度、及び、起こる化学反応などに適合しなければならない。周波数および/または出力は、一定の値に保たれず、超音波エネルギー欠損の定着のために沈殿が固まり流れ経路/流路をふさぐ節の点に特徴付けられた定常波発生の危険を減少させるために、スイープ(sweep)される。周波数は、次にスイープされるさらに高い周波数によって調節される。
【0009】
少なくとも1つの超音波を上述の方法によって超小型反応装置に結合するために、発明者らは、長さ5mmの音極(sonotrode)で周波数を約40kHzに調整して注文生産されたブランソン400W超音波システムを使用した。もちろん、少なくとも1つの超音波を進行中の流体、ここでは超小型反応装置から流出する(超小型反応装置の反応流れを含む)プロセス流体または(超小型反応装置で発生したあるいは環境や1以上の反応に依存する1以上の生成物を含む)プロセス流体を伝播するのに適したものである限り、他の超音波装置も採用することができる。
【0010】
本発明(請求項2)の好ましい形態によれば、複数のプロセス流体は、少なくとも1つの供給流れ、少なくとも1つの生成物流れ、および/または、少なくとも1つの溶媒流れを含む。つまり、本発明による方法において、少なくとも1つの超音波は、いかなるタイプのプロセス流体およびたった1つまたは等しいか同じタイプのいくつかのプロセス流体に連結される。ここで、請求項1において定義された特徴の「流れ方向に」とは、生成物流れが化学物質またはほかの理由のためにある経路を流路システム中に有しているので少なくとも1つの超音波が生成物流れに連結されるという特徴に反しない。
【0011】
本発明(請求項3)の好ましい形態によれば、連続反応に関わる化学物質は、流路システムに連続的に流れ込む複数の反応物質、および複数の反応物質の攪拌と相互交換及び流路システムからの連続的流れによる連続反応において作られた生成物を含み、複数の反応物質の少なくとも1つは、副生成物を形成するために少なくとも1つの供給にアルカリ金属及び水の不純物と反応する有機成分を含む化合物を含む。
【0012】
本発明(請求項4)の好ましい形態によれば、アルカリ金属は、リチウム、ナトリウム、またはカリウムから選択される。
【0013】
一般に、閉塞の原因は、水の不純物によってアルカリ金属を含む化合物と有機成分の副反応において作られるNaOH(水酸化ナトリウム),LiOH(水酸化リチウム),KOH(水酸化カリウム)、またはRbOH(水酸化ルビジウム)を凝固することである。これらの化合物としての例は、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、ブチルリチウム、イソブチルリチウム、第二ブチルリチウム、第三ブチルリチウム、ペンチルリチウム、イソペンチルリチウム、第二ペンチルリチウム、第三ペンチルリチウム、第二イソペンチルリチウム、ヘキシルリチウム、イソヘキシルリチウム、第二ヘキシルリチウム、シクロヘキシルリチウム、オクチルリチウム、フェニルリチウム、o−トリルリチウム、m−トリルリチウム、p−トリルリチウム、トリメチルシリルメチルリチウム、フェニルナトリウム、o−トリルナトリウム、m−トリルナトリウム、p−トリルナトリウム、ブチルリチウム/カリウム第三ブトキシドなど、好ましくは、イソプロピルリチウム、第二ブチルリチウム、第三ブチルリチウム、第二ペンチルリチウム、第三ペンチルリチウム、第二イソペンチルリチウム、第二ヘキシルリチウム、シクロヘキシルリチウム、オクチルリチウム、およびフェニルリチウム、さらに好ましくは、(n−,第2(s−),または第3(t−))ブチルリチウムまたはヘキシルリチウムを含む。
【0014】
メタレーション反応における金属がリチウムであるこの場合、実施例として、この反応は、リチウム化(lithiation)反応と呼ばれ、例えばn−BuLi(ブチルリチウム)と水の反応、その反応において次の反応式によれば、LiOHが固体として沈殿する。
Li+HO→C10+LiOH …(1)
上述のように、LiOHは、超小型反応装置の入口近傍に形成される傾向がある。一般に、閉塞が生じるために、ほんのわずかの水の不純物で十分である。反応物(のタイプ)、溶媒、それらの流量、および化学的環境(圧力、温度)のような多くのパラメータによるので、流路システム中の許容される水中含有量の正確な限界は一般に特定できないが、10ppmの値は現実的な基準であろう。ここで、「許容できる」は、そのような状況の反応装置が「厳しい」閉塞にならないことを意味する。
【0015】
本発明(請求項5)の形態によれば、少なくとも1つの超音波は、連続的に、非連続的に、または「必要に応じて」、流路システムに連結される。第1の場合では、閉塞することが芽の段階において連続的に止められるので、少なくとも1つの超音波の必要なエネルギーは、非常に低いだろう。そして、制御は必要ない。そうでなければ差し迫った閉塞を合図し適切に中和するために使用される。流路システムに連続的に連結された少なくとも1つの超音波のエネルギーは、時間に応じて定期的にまたは非定期的に変化している、あるいは変化しない。第2の場合では、少なくとも1つの超音波は、所定のまたは固定された連結パターンに従って流路システムに連結される。第3の場合では、連結パターンは、固定されないが、現在の状況に適合される。連結パターンは、例えば、少なくとも1つのプロセス流体の1つの固有圧力によって決定される。前記固有圧力は、制御変数として扱われ(請求項6)、固有圧力を目標圧力範囲と比較して。少なくとも1つの超音波は、例えば、固有圧力が所定の目標圧力範囲から外れている場合のみ、流路システムに連結される。所定の目標圧力は、それぞれの供給系統において標準圧力よりも0から10バールの範囲で高く決定され、好ましくは標準圧力よりも0から10バール、最も好ましくは0から3バールの範囲で高く決定される実験的なものである。この場合、標準圧力は、水鋭敏反応において(プロセス流体が供給される)乾燥供給のみが適用される場合のシステムの圧力である。標準圧力は、供給流量、(直径の)寸法、および供給の粘性などに依存する。連結パターンは、連結時間対非連結時間を決定するいくつかの長方形の関数によって特徴づけられる。この場合におけるタイミングは、例えば、材料を搬送するポンプの脈動、または、起こる化学反応に関連付けられる。あるいはまた、連続する少なくとも1つの超音波を超小型反応装置における閉塞状況に適用する強度に適合させるために、少なくとも1つの超音波の連続的な発生は、圧力の検出と組み合わされる。手短に述べると、流路システムに連結される少なくとも1つの超音波の出力は、所定のまたは状況に適合された時間の関数である。
【0016】
本発明(請求項8)によれば、方法を実施する超小型反応装置は、少なくとも1つのプロセス流体の1つに各々設けられ少なくとも1つの合流領域で互いに接続される少なくとも1つの供給流路と、前記合流領域に隣接する混合部と、前記混合部に隣接する保有部と、排出流路と、少なくとも1つの超音波を流れ方向に少なくとも1つのプロセス流体に直接連結する少なくとも1つの連結手段とを含む。超小型反応装置は、例えば、欧州特許出願公開第1 839 739号明細書に開示された超小型反応装置、または同様の流路構造及び好ましくは同様の目的に採用されるいかなる他の超小型反応装置であるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の上述の及び更なる目的、特徴、および利点は、図面を参照する好ましい実施形態の以下の詳細な説明によって明らかになる。図面において、そこには、以下のものがある。
図1】請求項1から請求項7において定義されるような方法を実施するための本発明の好ましい実施形態における超音波発生装置に連結された超小型反応装置プレートの概略断面図。
図2図1の配置の概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、例えば、超音波発生装置30に連結された、欧州特許出願公開第1 839 739号明細書により詳しく記載されたような、超小型反応装置のプレート10の断面を概略的に示す。プレート10は、混合ゾーン14と保有ゾーン16とに分割される曲流流路システム12を含む。プレート10は、超小型反応装置において起こる連続反応に関わる化学物質を含んでいるプロセス流体をそれぞれ連続して供給流れを導入するための第1の供給18及び第2の供給20、および、プロセス流体に含まれそして反応流体と呼ばれる反応生成物が排出される排出口22を含む。超音波発生装置30は、第1の供給18を介して超小型反応装置に流れ込むプロセス流体と接触する音極(sonotrode)32を含み、音極32の往復運動によって発生された超音波エネルギーを、供給されたプロセス流体または単に供給流れに伝播する。図1に明確に示すように、超音波エネルギーは、供給流れの入口側で超小型反応装置の外部から接続される。しかしながら、流路システム16の実際の構造に応じて、音極32及び供給流れの接触位置は、超小型反応装置内に配置され得る。さらに、図1に示された超音波発生装置30は、ブランソン(Branson:登録商標)型発生装置であるが、超小型反応装置に入り込む1つ以上の供給流れに超音波エネルギーを伝播するのに適合する限り、いかなる他の超音波発生装置も採用される。上述の状況のように、超音波は、媒体として供給流れを利用して流路システム12を通して案内される。
【0019】
図2は、超音波発生装置30に接続された超小型反応装置に積み重ねられたプレート10の束を示す。円「A」は、そこで混合されそして化学的に相互交換されるために第1及び第2の供給18,20を介して化学物質が流路システム12に連続的に流れ込む入口領域を詳細に示す。
【符号の説明】
【0020】
10…超小型反応装置プレート、12…流路システム、14…混合ゾーン、16…保有ゾーン、18…第1の供給、20…第2の供給、22…排出口、30…超音波発生装置、32…音極(sonotrode)。
図1
図2