特許第5718338号(P5718338)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5718338キャップ機能を有する薬剤送達システムおよび装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5718338
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】キャップ機能を有する薬剤送達システムおよび装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/168 20060101AFI20150423BHJP
   A61M 5/24 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   A61M5/168 540
   A61M5/24
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-529217(P2012-529217)
(86)(22)【出願日】2010年9月9日
(65)【公表番号】特表2013-505036(P2013-505036A)
(43)【公表日】2013年2月14日
(86)【国際出願番号】EP2010063246
(87)【国際公開番号】WO2011032883
(87)【国際公開日】20110324
【審査請求日】2013年7月16日
(31)【優先権主張番号】09170841.2
(32)【優先日】2009年9月21日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】09174420.1
(32)【優先日】2009年10月29日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/258,043
(32)【優先日】2009年11月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】ニールセン, カーステン ベーカー
(72)【発明者】
【氏名】ラーセン, アンドレ
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−538118(JP,A)
【文献】 独国実用新案第20110690(DE,U1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0027233(US,A1)
【文献】 実開平01−179861(JP,U)
【文献】 米国特許第05954700(US,A)
【文献】 特開平09−168600(JP,A)
【文献】 特開平08−000730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/168
A61M 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの薬剤送達装置を含む薬剤送達システムであって、第1の薬剤送達装置が、
(a1)・第1の種類の薬剤を保持する第1液だめ、
・第1薬剤放出口、および、
・第1薬剤放出口を介して第1液だめから薬剤を放出するための第1薬剤放出手段
を含む第1主要部(410)と、
(b1)第1薬剤放出口を密閉するために第1主要部に取り外し可能に取り付け可能な第1キャップ(420)であって、第1の種類の薬剤を示す第1の使用者識別可能なマークを含む第1キャップと
を含み、
第2の薬剤送達装置が、
(a2)・第2の種類の薬剤を保持する第2液だめ、
・第2薬剤放出口、および、
・第2薬剤放出口を介して第2液だめから薬剤を放出するための第2薬剤放出手段
を含む第2主要部(510)と、
(b2)第2薬剤放出口を密閉するために第2主要部に取り外し可能に取り付け可能な第2キャップ(520)であって、第2の種類の薬剤を示す第2の使用者識別可能なマークを含む第2キャップと
を含み、
各薬剤送達装置のキャップおよび主要部が、第2主要部への第1キャップの取り付けおよび第1主要部への第2キャップの取り付けを防ぐ一対の対応する鍵構造(421、422、423、411、412、413)を含み、かつ、
システム内の薬剤送達装置が、少なくとも50%の相互置換可能な部品を有することにより同じ技術基盤に基づいている、薬剤送達システム。
【請求項2】
各主要部が、液だめと流体連通している針組み立て品(21、22)を取り付けるためのマウント(11、403)を含み、対応するキャップが、主要部に取り付けられた際にマウントを密閉するよう適合されている、請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項3】
・システムのマウントのいずれかに取り付けられるよう適合されたハブ(22)と、
・ハブに取り付けられ、かつ、鋭い遠位端および近位端を含む中空針(21)であって、近位端が、ハブがマウントに取り付けられた際に液だめと流体連通して配置されるよう適合されている中空針と
を含む少なくとも1つの針組み立て品をさらに含む、請求項2に記載の薬剤送達システム。
【請求項4】
対応する主要部に取り付けられた際のシステムの各キャップが、マウントに取り付けられた針組み立て品を密閉するよう適合されている、請求項3に記載の薬剤送達システム。
【請求項5】
各主要部が、マウスピースを含み、対応するキャップが、主要部に取り付けられた際にマウスピースを密閉するよう適合されている、請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項6】
一対の対応する鍵構造を含む主要部およびキャップ(620)を各々が有する少なくとも1つのさらなる薬剤送達装置(610)を含み、あらゆる所与のキャップの鍵構造が、システムの別の薬剤送達装置の主要部への所与のキャップの取り付けを防ぐ、請求項1〜5のいずれか一項に記載の薬剤送達システム。
【請求項7】
対応する鍵構造(421、422、423、411、412、413)が、機械式である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の薬剤送達システム。
【請求項8】
各キャップの鍵構造が、キャップの内部に配置されている、請求項7に記載の薬剤送達システム。
【請求項9】
システムの各主要部が、液だめの少なくとも一部を密閉する液だめホルダーを含み、液だめホルダーが、主要部の鍵構造を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の薬剤送達システム。
【請求項10】
対応する鍵構造が、電気式または電子式である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の薬剤送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、医療用送達装置に関する。特定の実施形態においては、本発明は、ある量の薬剤の経皮送達用に適合されている注射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の開示において、インスリン含有薬剤の送達による糖尿病の治療に主に言及するが、これは、本発明の使用の一例に過ぎない。
【0003】
(典型的に、皮下送達用の)薬剤注射装置は、薬剤および生物学的薬品を自己投与せねばならない患者の生活を大きく向上させてきた。薬剤注射装置は、注射手段を有するアンプルと大差ない単純な使い捨て装置を含む数多くの形態をとっていてもよく、または、非常に多くの機能を有する高度に洗練された電子制御式器具であってもよい。形態に関わらず、それらは、注射可能な薬剤および生物学的薬品を自己投与するために患者を支援する際に多大な助けとなることが示されている。それらはまた、自己注射を行うことができない人々に対して注射可能な医薬品を投与する際に介護者の多大な助けとなる。
【0004】
とりわけ、ペン式注射装置は、薬剤およびインスリンのような生物学的薬品を投与するための正確で便利で、かつ、しばしば個別の方法を提供すると示されている。現代の装置は、より洗練されてきており、かつ、前回の投与の時刻および量を記憶するためのメモリ、ならびに、インスリン装置の場合は血糖モニターのような多様かつ健全な機能を含むことがよくある。ペン式注射装置は典型的に、円筒形で、装置の一端の最遠位部から針が突出しているのに対し、いくつかの装置は、例えば、デンマーク国BagsvaerdのNovo Nordisk A/S製のInnovo(R)およびInnoLet(R)のように、装置の一端の最遠位部分からもはや針が突出していない他の形状を有する。
【0005】
典型的に、注射装置は、例えば、インスリンまたは成長ホルモン1.5mlまたは3.0mlといった目的とする薬物を収容する予め充填されたカートリッジを用いる。カートリッジは典型的に、一端に針穿刺可能な隔膜と、注射装置の投薬機構により移動させられるよう設計された対向するピストンとを有する概ね円筒形の透明アンプルの形態である。注射装置には一般的に、「耐久性」装置と「使い捨て」装置との2種類ある。耐久性装置は、使用者が、あるカートリッジを別のカートリッジと交換可能、典型的には、空のカートリッジの代わりに新たなカートリッジとするよう設計されている。対照的に、使い捨て装置は、使用者により交換できない一体型カートリッジを備えており、カートリッジが空となると、装置全体が廃棄される。多くの注射装置は、カートリッジおよび針取り付け部(下記参照)を覆う取り外し可能なペンキャップを備えており、これにより、使用者は、キャップを除去することによってカートリッジの内容物を点検することができる。
【0006】
例えばWO2004/069314から知られているように、注射装置はしばしば、種々の薬剤を収容するある系統または系列の装置として提供される。この出願は、ある系統の実質的に同一の注射装置を開示しており、各個々の注射装置は、ある数の注射に十分な薬剤を収容するアンプルを中に備えたハウジングと、所定の用量サイズを設定可能な用量設定機構とを含み、複数の注射装置の各々は、異なる所定の用量サイズを有する。一実施形態において、所定の用量サイズの違いは、種々の強度を有する装置内の薬剤に基づくことができる。
【0007】
糖尿病を患っている人々は、基礎要件をカバーするための長時間作用型インスリンを日に1回または2回注射し、これを補って、食事に関する要件をカバーするための短時間または迅速作用型インスリンをボーラス注射することから構成される投薬計画において日々複数回の注射で治療していることが多い。
【0008】
したがって、使用者は、2つの異なる注射装置、すなわち、長時間作用型インスリンを収容する一つの装置と、短時間または迅速作用型インスリンを収容する別の装置とを要することがよくある。これらの注射装置はしばしば、使用者に注射装置に収容されているインスリンの種類を知らせるための異なる色表示を有する。例えば、Novo NordiskによるFlexPen(R)システムは、長時間作用型インスリン用のペンおよび短時間作用型インスリン用のペンならびに混合インスリン用のペンを含み、本体およびキャップは、2種類のインスリンを区別するために本体に色マークが付されている状態で同一である。Sanofi−AventisによるSoloStar(R)システムでは、長時間作用型インスリン用のペンと短時間作用型インスリン用のペンとは、異なる色で着色された本体およびキャップを有する。これに加えて、これらの注射装置は、使用者に注射装置内に収容されているインスリンの種類を知らせる機械的コーディングのような触知手段を備えることができる。DE U 201 10 689は、注射装置を、例えばシャツのポケットに保持するためのクリップ付きのキャップを有するペン型注射装置を開示している。注射装置は、箱の切り欠きに収容されている。注射装置の物理的形状は、この参考文献によると、右側の注射装置が右側の箱にはめ込まれるように設計されている。これは、類似形状の切り欠きの付いたクリップおよび箱の種々の長さの装置を有することにより行われた従来技術にしたがっている。DE 201 10 690は、駆動部、カートリッジおよびカートリッジホルダーを含む注射装置を開示している。カートリッジホルダーは、特定の構成のカートリッジのみをカートリッジホルダーに取り付けられるようにするコード化されたリング型保護部材を備えることができる。
【0009】
薬剤送達のための別の技法は、分散中の作用薬剤が肺の多少なりとも遠位領域へ到達可能なようにエアロゾル化した医薬製剤の肺への送達を用いることである。この投与方法は、例えば喘息といった呼吸器系疾患の治療用薬剤の、例えば局所的投与のために広く使われてきたが、インスリンによる糖尿病の治療のためにも提案されている。医薬製剤を分散させる多種多様なエアロゾル化システムが提案されている。例えば、US5,785,049およびUS5,740,794は、その開示を参照によりここに含めるが、圧縮ガスを利用して粉体をエアロゾル化する粉体分散装置の一例を説明している。その他の種類のエアロゾル化システムには、(噴射剤中に保存された薬剤を典型的に有する)いわゆるMDI、(圧縮ガス、通常は空気を用いて液体をエアロゾル化する)ネブライザーなどが含まれる。別の技法は、吸入ガスを用いて医薬製剤を分散させることである。このようにして、患者は、自身の吸入により製剤のエアロゾル化に必要なエネルギーを提供することができる。注射装置を用いた2種類以上の薬剤の投与に対応して、2種類以上の吸入装置を用いる必要があることもある。
【0010】
従来技術は、種々の薬剤を収容している類似またはそうでなければ同一の薬剤送達装置をいかに区別するかのある数の解決法を開示しているが、依然として、特定の装置に収容されている薬剤の種類の強力な識別を単純かつ効果的にもたらし、これにより、使用者が間違った種類の薬剤を不注意によって摂取してしまう危険性を低減する薬剤送達装置が必要である。
【発明の概要】
【0011】
上記を鑑みて、本発明は、使用者が誤った種類の薬剤を摂取してしまう可能性を単純かつ経済的に低減する薬剤送達装置のシステムを提供することを目的とする。
【0012】
本発明の開示において、上記目的のうちの1つ以上に対処するか、または、下記の開示からおよび例示的実施形態の説明から明らかな目的に対処する実施形態および側面を説明する。
【0013】
よって、第1側面にしたがって、少なくとも第1および第2薬剤送達装置を含むシステムを提供する。第1薬剤送達装置は、第1の種類の薬剤を保持する第1液だめ、第1薬剤放出口、および、第1薬剤放出口を介して第1液だめから薬剤を放出するための第1薬剤放出手段(例えば、使用者により、または、電力もしくは圧縮噴射剤により動作させられる機械式手段)を含む第1主要部と、第1薬剤放出口を密閉するために第1主要部に取り外し可能に取り付け可能な第1キャップであって、第1の種類の薬剤を示す第1の使用者識別可能なマーク(例えば、視覚的または触知)を含む第1キャップとを含む。第2の薬剤送達装置は、第2の種類の薬剤を保持する第2液だめ、第2薬剤放出口、および、第2薬剤放出口を介して第2液だめから薬剤を放出するための第2薬剤放出手段を含む第2主要部と、第2マウントを密閉するために第2主要部に取り外し可能に取り付け可能な第2キャップであって、第2の種類の薬剤を示す第2の使用者識別可能なマークを含む第2キャップとを含む。各薬剤送達装置のキャップおよび主要部は、第2主要部への第1キャップの取り付けおよび第1主要部への第2キャップの取り付けを防ぐ一対の対応する鍵構造を含む。実際、この特徴は、いかなる2つの完全に異なる装置にも当てはまるだろうから、本発明のシステム内の薬剤送達装置は、同じ技術基盤に基づいている。
【0014】
「技術基盤」は、システム内の注射装置が基づく基本構造、例えば、流体薬剤の用量を設定し、薬剤が充填されたカートリッジから放出するための機構を意味するよう意図されている。同じ技術基盤に基づくためには、システムの注射装置は、同じ機械的原理により動作せねばならず、すなわち、各注射装置の個々の構成部品は、同じであり、かつ、同じように相互作用せねばならない。技術基盤製品は、一群の製品にわたって共通の、または、何年間も商品化されている一連の製品の基礎となるであろう根本的構造または基本的構成を共有する。いくつかの製品は、共通の技術基盤から導き出されていることもある。ある製品系列の構成部材は、通常、数多くの共通部品および組み立て品を有する。したがって、同じ技術基盤を共有している2つの薬剤送達装置は、本発明によると、(例えばラベルのような非構造的部品を除く)例えば少なくとも50%、75%または90%の相互交換可能な部品を有していてもよい。相互交換可能とするために、部品は、形態学的に同一であっても、完全に同一であってもよい。
【0015】
所与の装置キャップが対応する装置の主要部にのみ取り付け可能であるシステムを提供することにより、キャップは、誤った薬物を摂取してしまう危険の可能性がある、使用者が所与のキャップを対応していない装置の主要部に取り付ける、例えば、短時間作用型インスリンを示しているキャップを長時間作用型インスリンを収容している主要装置部に取り付ける危険性なしに所与の薬剤送達装置の薬剤内容物を安全に識別するために用いることができる。システムの種々のキャップは、例えば色および/または物理的構成により異なっていてもよい。
【0016】
明らかなように、上で説明したコーディングの特徴は、例えば色で印が付けられたキャップを用いた市販されている従前のシステムより使用に際してはるかに安全な薬剤送達システムを提供する。そのようなキャップは、色以外は同一であるので、対応していないキャップと主要部とが互いに装着可能となり、その結果、誤った薬物を摂取する危険の可能性が生じる。
【0017】
送達システムは、少なくとも1つのさらなる薬剤送達装置を含んでもよく、各さらなる装置は、主要部と、一対の対応する鍵構造を含むキャップとを有し、いかなる所与のキャップの鍵構造も、該所与のキャップがシステムの別の薬剤送達装置の主要部に取り付けられるのを防ぐ。
【0018】
例示的な実施形態において、対応する鍵構造は、機械式、例えば、対応するキャップと主要部とのみを組み立て可能とする「鍵穴」と「鍵」構造である。各キャップの鍵構造は、キャップの内部に配置されていてもよく、一方、システムの各主要部は、液だめの少なくとも一部分を包囲する液だめ保持部を含んでもよく、液だめ保持部は、主要部の鍵構造を含む。
【0019】
あるいは、対応する鍵構造は、電子式または電気式であってもよく、例えばキャップおよび/または主要部が電子式手段を含む場合、対応していないキャップを所与の主要部に設置すると、その結果、キャップおよび/または主要部が、例えば視覚的、触知または音声の信号といった警報を発するだろう。
【0020】
例示的な実施形態において、薬剤送達装置は、例えば、変位可能なピストンを含むカートリッジといった液だめから薬液製剤を放出するよう適合された薬剤注射装置である。ピストンを変位させることにより薬剤を放出する手段は、例えば、参照によりここに引用するUS6,004,297またはUS2009/054839において開示されているような使用者が設定可能かつ使用者が起動する機構の形態であってもよい。
【0021】
例示的な一実施形態において、各主要部は、液だめと流体連通している針組み立て品を取り付けるためのマウントを含み、対応するキャップが、主要部に取り付けられた際にマウントを密閉するよう適合されている。これに応じて、システムは、システムのマウントのいずれかに取り付けられるよう適合されたハブと、ハブに取り付けられ、かつ、鋭い遠位端および近位端を含む中空針であって、近位端が、ハブがマウントに取り付けられた際に液だめと流体連通して配置されるよう適合されている中空針とを各々が含む1つ以上の針組み立て品を含む。対応する主要部に取り付けられた際に、システムのキャップは、マウントに取り付けられた針組み立て品を密閉するよう適合されていてもよい。
【0022】
さらなる例示的な一実施形態において、各主要部は、マウスピースを含み、対応するキャップが、主要部に取り付けられた際にマウスピースを密閉するよう適合されている。
【0023】
取り扱いおよび利便性をさらに向上させるために、キャップは、取り付けられた針組み立て品の少なくとも一部を使用者が点検できるようにする1つ以上の点検開口または窓を備えていてもよい。このように、使用者は、針組み立て品が取り付けられているか否かを確認するため、または、液だめを確認するためにキャップを除去する必要がない。
【0024】
これに応じて、主要部は、取り付けられた位置においてキャップにより覆われるよう適合された使用者が点検可能な部分を備えていてもよく、キャップは、キャップが主要部に取り付けられている際に、使用者が点検可能な部分の少なくとも一部を使用者が点検できるようにする1つ以上の点検開口または窓を備えていてもよい。
【0025】
例えば、使用者が点検可能な部分は、液だめに収容されている薬剤または液だめに位置しているピストンの位置を使用者が点検できるようにする透明液だめ部を含んでいてもよい。透明液だめの点検をより容易にするために、キャップは、第1の組とは概ね反対側に設置された第2の組の点検開口または窓を備えていてもよく、これにより、光が液だめを通過して進むことができる。
【0026】
キャップは、概ね非透明であり、かつ、1つ以上の透明窓を備えていてもよく、透明窓は、例えばUVフィルタといった、液だめに収容されている薬剤に悪影響を与える光の透過を低減するための手段を含む。キャップは、任意に、同時係属出願PCT/EP2010/058322において説明されている追加の特徴を備えていてもよい。
【0027】
上で説明した実施形態において、薬剤送達装置の主要部は、液だめを含むが、代替の態様では、種々の実施形態は、耐久型送達装置と組み合わせて用いるべき、例えばカートリッジまたはキャニスターといった交換可能な液だめが収まるよう適合されていてもよい。
【0028】
ここで用いられているように、「薬剤」という語は、液体、溶液、ゲルまたは微細な懸濁液のような、制御された形で、例えばカニューレや中空針のような送達手段を通過させるか、または、エアロゾルや粉体としてノズルやマウスピースを通過させるといったように、患者に投与することの可能なあらゆる薬剤含有製剤を包含するよう意図されている。代表的な薬剤には、ペプチド(例えば、インスリン、インスリン含有薬剤、GLP−1含有薬剤およびその誘導体)、たんぱく質ならびにホルモンなどの医薬、生物学的に誘導されたまたは活性な薬品、ホルモンおよび遺伝子に基づく薬品、栄養学的配合物、ならびに、固体(計量供給された)、粉体または液体のいずれかの形態のその他の物質が含まれる。例示的な実施形態の説明において、インスリン含有薬剤またはインスリン様効果を有する薬剤の使用に言及する。これに応じて、「皮下」注入という語は、被験者に対する経皮的送達のあらゆる方法を包含するよう意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
以下に、図面を参照しつつ本発明をさらに説明する。
【0030】
図1図1は、薬剤送達ペンおよび針組み立て品の第1の実施形態を示す。
図2図2は、本発明の第1の実施形態に対応する二対のペンキャップおよびカートリッジホルダーを示す。
図3図3は、第1の実施形態のペンキャップおよびカートリッジホルダーの整合と不整合を示す。
図4図4は、本発明の第2の実施形態に対応する三対のペンキャップおよびカートリッジホルダーを示す。
図5図5は、第2の実施形態のペンキャップおよびカートリッジホルダーの整合と不整合を示す。
【0031】
図において、同様の構造は主として、同様の参照番号により示されている。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下で「上側」および「下側」、「右」および「左」、「水平」および「垂直」のような語や類似の相対的表現が用いられる際、これらは、添付の図に言及しているに過ぎず、実際の使用状況に言及しているのではない。示されている図は、模式的な描写であり、そのため、種々の構造物の構成およびそれらの相対的寸法は、説明目的のみを意図している。
【0033】
図1を参照して、ペン型の薬剤送達装置1を説明する。該装置は、本発明が関する一般的な種類の装置に相当するが、本発明を組み込みはしない。ペンは、キャップ部(または「ペンキャップ」)100と、薬剤放出機構が設けられている近位部4、および、遠位の針貫通可能隔膜を有する薬剤が充填された透明カートリッジ6が設けられ、近位部に取り付けられたカートリッジホルダー7により所定位置に保持されている遠位液だめ部5を有する主要(または本体)部3とを含み、カートリッジホルダーは、カートリッジの一部を点検可能とする開口を有している。カートリッジは、放出機構の一部を形成するピストン棒9により駆動されるピストン8を備えている。最近位ボタン10は、所望の用量の薬剤を手動で設定し、放出する機能を果たす。この種のペン型の薬剤送達装置は、よく知られており、例えば、示されている種類のペンの内部構造に関してさらなる詳細に言及しているWO99/38554を参照されたい。示されている実施形態において、ペンは、カートリッジホルダーが主要部の近位部に永久的に装着されている使い捨ての予め充填された装置であり、カートリッジホルダーは、針組み立て品の雌ねじと係合するよう適合された雄ねじ11の形態の遠位結合手段を備えている。下記を参照されたい。あるいは、ペンは、カートリッジホルダーが主要部に取り外し可能に装着されていることにより、ピストン棒を押し返し、新たなカートリッジを取り付けることができるようになる「耐久性」装置であってもよい。そのような配置構成において、針組み立て品に対する接続は、カートリッジの一部であってもよい。不透明材料から作られたペンキャップ100は、近位の閉鎖端および遠位の開口102を有する概ね円筒形のスリーブ101と、ポケットクリップ103と、点検開口104とを含む。近位端は、2つの対向する概ね平面の把持表面110を備えている。例えば、点検開口および把持表面のような特別の特徴は、本発明には関連がない。
【0034】
図1はさらに、ペン装置の雄ねじ11と接続するよう適合されたねじの形態の内側結合手段を有するカップ型ハブ22に装着された中空の注入針21を含む針組み立て品を示している。針は、ハブから突出している遠位の鋭い部分、および、ハブ22がねじ11に装着されている際にカートリッジの隔膜を貫通するよう適合された近位の鋭い部分を含む。代替の実施形態では、ねじ接続の代わりにバイオネット結合を用いてもよい。例えば、カップは、US2008/0015519に開示されており、かつ、図4に示されているようなペン装置上に遠位に形成された対応する溝と係合するよう適合された複数の内向きに突き出した突起を備えていてもよい。針組み立て品は、ハブと取り外し可能に係合することにより針の遠位端を保護するよう適合されたスカート部24を有する針キャップ23をさらに含む。針は通常、剥離可能な薄膜により封止された開口を有する容器(図示せず)内に滅菌状態で設けられ、容器は、針ハブと取り外し可能に、例えば、摩擦によって係合している。ペン型薬剤送達装置1と針組み立て品とは、ともにシステムを形成する。
【0035】
図2および図3に注目して、本発明の第1の実施形態を示す。図2は、一対の第1カートリッジホルダー210および対応する第1ペンキャップ220を示しており(実際のところ、2つの同一の第1キャップが示されている)、ペンは、近位端においてある数の軸方向に配置されたリブを有し、かつ、キャップは、その近位端においてリブ間にはめ込まれるよう適合されたある数の対応する突起を有する。具体的には、第1カートリッジホルダーは、中央のより幅広のリブ212および各側に2つのより幅の狭い外側リブの形態の3つのリブを備えており、これにより、2つのカートリッジスロット214、215を形成し、中央リブは、外側リブに対して遠位に突出している。キャップは、2つの対向する軸方向に配置された縁部226、227を有する近位の切り欠き部221を含み、縁部226、227の間に、2つの軸方向に向けられた突起224、225が設けられていることにより、2つの突起の間に第1中央キャップスロット222を、かつ、各突起とその隣接する縁部との間に第2および第3キャップスロット228、229を形成している。突起の近位自由端表面は、中央スロットへ向かって傾斜している。
【0036】
本発明によると、例えばその数、幅および間隔により特徴付けられるリブ212、211、213の特定の組み合わせは、キャップスロット222、228、229により形成される対応する「鍵」パターンがはめ込まれる「鍵穴」パターンを提供し、このことは、図3に示されているカートリッジホルダーとキャップとの下側の整合対により示されている。また明らかなように、キャップ上の突起の傾斜表面は、中央リブ212を突起間の間隙内へ導くのを助ける。
【0037】
図2はまた、第1カートリッジホルダーと同様の一組のリブ311、312、313を備えた第2カートリッジホルダー310をも示しているが、リブ間の間隔は異なっており、これにより、図3に示した上側の不整合対のカートリッジホルダーおよびキャップにより例示されているように、第2カートリッジへの第1キャップの取り付けを防ぐ。実際、第2カートリッジホルダーに対応する鍵を有する第2キャップ(図示せず)が本発明にしたがってシステムに設けられ、そのような第2キャップは、第1キャップ210ではなく第2キャップ310に取り付けることのできるスロットの組み合わせを有している。実際、本発明によるシステムは、3つ以上の整合対のカートリッジホルダーおよびペンキャップを含んでもよく、リブおよび対応するスロットの間隔および幅は、そのような対の各々に固有のものである。
【0038】
図4および図5に注目して、本発明の第2の実施形態を説明する。図4は、部分的に、第1対の第1カートリッジホルダー410および対応する第1ペンキャップ420と、第2対の第2カートリッジホルダー510および対応する第2ペンキャップ520と、第3対の第3カートリッジホルダー610および対応する第3ペンキャップ620とを含むシステム2を示している。薬剤送達装置の主要部は、カートリッジホルダーによってのみ表示されているが、各主要部の残りの部分は、図1を参照しつつ示し、かつ、説明した薬剤送達装置と同じ概略構成を有していてもよい。カートリッジホルダーおよびペンキャップは、第1対を参照しつつ説明するある数の共通の特徴を含む同じ概略構成を有する。
【0039】
カートリッジホルダー410は、薬剤カートリッジを保持するよう適合され、かつ、薬剤が充填された透明カートリッジの使用者による点検を可能とするある数の窓または開口401を備えた中央部と、ペン本体と係合するよう適合された近位部402と、針組み立て品に対するバイオネット結合の形態のマウントを含む遠位部403とを含む。
【0040】
中央部の遠位に、二組の180度対向したコーディング構造が設けられており、各組は、ペンキャップの対応する「鍵」がはめ込まれる「鍵穴」を提供している。具体的には、カートリッジホルダーのコーディング構造は、第1、第2および第3の軸方向に向けられた溝411、412、413を含み、一対の軸方向に向けられたリブ415およびリブ416が、それぞれ第1溝と第2溝との間、および、第2溝と第3溝との間に配置されている。示されている実施形態において、リブは、カートリッジホルダーの周囲の概略表面と面一である。リブおよび隣接するカートリッジホルダーの遠位に面した自由端表面418、419は、中央の第2溝の方向へ傾斜していることにより、キャップの鍵構造への誘導装置としての機能を果たしている。下記を参照されたい。示されている実施形態において、中央の溝はまた、カートリッジの点検を可能とする窓としての機能をも果たしている。
【0041】
図4におけるペンキャップ420は、ペンキャップの近位の内側表面上に配置された二対の180度対向した「鍵」コーディング構造のうちの一方を開示している長手方向断面図で示されている。すなわち、示されている鍵は、カートリッジホルダー410の対向した隠れた鍵穴構造と係合するよう適合されている。コーディング構造は、第1、第2および第3の軸方向に向けられたリブ421、422、423を含み、一対の軸方向に向けられた溝415および溝416が、それぞれ第1リブと第2リブとの間、および、第2リブと第3リブとの間に配置されている。示されている実施形態において、溝は、ペンキャップの周囲の概略内側表面と面一である。代替の実施形態において、コーディング構造は、キャップコーディング構造がキャップ開口付近に配置されている状態で、カートリッジ上で近位に配置されていてもよい。
【0042】
リブ421、422、423の特定の間隔および幅は、カートリッジホルダー410の溝411、412、413の間隔および幅と対応しており、これにより、第1ペンキャップ420を第1カートリッジホルダー410に軸方向に取り付けることができる。このことは、ぴったり嵌って係合している状態の第1カートリッジホルダーと第1ペンキャップとを示す図5に例示されている。明らかなように、係合を例示するために、キャップの遠位壁部が切り取られ、リグ構造(rig structures)のみが残されている。
【0043】
図5はまた、リブ621、622、623および溝511、512、513の特定の間隔により、第3キャップ620の第2カートリッジホルダーとの軸方向の係合が防がれる様子も示している。
【0044】
第2の実施形態の特定の実施構成において、3つの異なるカートリッジホルダーは、3本のペン本体に永久的に装着され、かつ、3種の異なる薬剤を収容する3つの薬剤カートリッジの保持に用いられることができ、3本のペンキャップは、種々の薬剤に対応する3種の異なる色で設けられている。明らかなように、本発明のコーディングシステムは、誤ったキャップの所与のカートリッジホルダーへの装着を防ぐことにより、使用者が誤った薬剤を含む誤ったペンを手に取って使うであろう危険を低減するだろう。
【0045】
代替の実施形態において、2種類以上の吸入装置を含むシステムを提供する。各装置は、例えば、参照によりここに組み込むUS7,278,425から知られているように、エアロゾル発生手段と、マウスピースの形態の放出口と、マウスピースに装着されるよう適合された保護キャップとを含む。そのようなシステムにおいて、対応する鍵構造は、マウスピースおよびキャップにそれぞれ配置してもよい。
【0046】
好適な実施形態の上記説明において、種々の構成要素に対して説明された機能性を提供する種々の構造および手段を、本発明の概念が当業者にとって明らかとなる程度にまで説明してきた。種々の構成要素に対する詳細な構成および仕様が考慮されている。通常の設計手順の対象は、本明細書に記載の方針に沿って当業者により実施される。
図1
図2
図3
図4
図5