(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記分析ユニット(15)が、医療器具動作制御ユニットに接続されており、信号を前記医療器具動作制御ユニットに送信することを特徴とする請求項1に記載の医療技術識別装置。
前記情報キャリア(9)と前記読み取り要素(12)とが、前記無菌製品が前記医療器具(1)に機能的に接続された場合に互いに対して固定されるように適合されていることを特徴とする請求項3に記載の医療技術識別装置。
前記情報キャリア(9)と前記読み取り要素(12)との間における情報の転送が、バーコード、ブルートゥース、無線、赤外線を含む光波、電磁気力、放射線、又は化学的伝達のうち1つ以上の手段を通じて実施されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の医療技術識別装置。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、接続片を蠕動式ポンプに結合するための装置を開示している。当該特許文献の説明箇所から明らかなように、ホースの一方の端部が、さらなるホースの端部に接続するためのスリーブを備えている。接続スリーブは、ディスク状の傾斜したカラーを含んでおり、カラーは、支持装置内に配設されていると共にディスクに向かって面しているスロット内に受容されるように構成されている。傾斜したディスクを具備するスリーブは、ホースの端部を、蠕動式ポンプに対して相対的に正しい位置に固定するように機能する。さらに、傾斜したディスクによって、蠕動式ポンプによって発生される引張力が大きくなり、その結果として、スリーブがシートを押圧することによって自動的にロックするように作用する。
【0003】
当該装置が有する一の問題は、ホースが、色分けしている場合でさえごちゃ混ぜになることである。さらに、反対に、ホース同士の間において意図しない混乱が生じることによって、指示がない状態で医療器具を誤って利用してしまう場合がある。
【0004】
特許文献2は、例えば蠕動式ポンプのためのホースカセットのような、医療装置を備えていると共に、暗号化された識別情報が格納されている格納ユニットを含んでいる付属品ポートを備えている医療デバイスであって、指定された製造業者のみが暗号化された識別情報を解読するための専用キーを受け取ることができる医療デバイスを開示している。当該特許文献の目的は、技術的要件又は医療的要件に適合していない付属ピースの供給を停止すること、及び付属ピースの認可されていない再利用を人々にさせないことである。当該特許文献に記載された発明は、専用の暗号化技術の利用と、医療デバイスが情報デバイスに格納された情報によって有効化されることとに依存している。本発明では、医療技術識別装置の機能は、医療装置のディスプレイで助言を付与することによってのみ、正しい付属ピースを識別するために動作し、医療器具に関連する特定のデータが医療技術識別装置の機能から独立して転送可能となるように改善されている。従って、例えば医療器具の運転が、例えば製造業者、医療スタッフや技術スタッフからの要求に従って再プログラミング可能とされる。このことについては、以下においてさらに説明する。
【0005】
この点において、医療器具に取り付けられた医療デバイスに含まれている情報に従って医療器具を制御することを開示する幾つかの特許及び特許出願が存在する。しかしながら、何れの場合にも、較正、及び医療器具自体の再プログラミング又は利用に関連する情報は存在しない。
【0006】
特許文献3は、チューブセットを有するカセットが蠕動式ポンプに内蔵されたチューブセットのタイプを識別する基本データを収容しているROMを備えている。これは、チューブセットが以前に利用されているか否かを判断するために利用される。
【0007】
特許文献4は、ビットをさらに開示している。チューブの長さ及び直径に関連するデータが、どのくらいの長さでポンプを運転させるべきかについて決定するために利用される。当該特許文献に開示される幾つかの実施態様では、データは、チューブ及び洗浄装置の始動を調節するために、及びモータ/ポンプヘッドの速度を調節するために利用される。
【0008】
特許文献5は、医療器具のための利用制限及びパラメトリックデータを格納するようにプログラミング可能とされる。医療器具は、利用制限を超過した場合に使用不可能になる。また、パラメトリックデータは、医療器具に供給される電力を調節するために利用される。
【0009】
特許文献6は、様々な異なる内視鏡を利用した外科的処置に適合している複数の異なるモードで運転可能な、洗浄/吸引ポンプ装置を開示している。ポンプシステムは、複数のチューブセットから選択された一のチューブセットを利用して動作する。チューブセットそれぞれが、特定の外科的処置に洗浄及び吸引を提供するように適合されており、チューブセットが設計された目的である処置のタイプを定義するように暗号化されている。チューブカセットに関連する暗号化によって、チューブカセットが利用された場合に、システムを運転させるであろうパラメータが、チューブセットが設計された目的であるパラメータである。
【0010】
特許文献7は、カセットに固有の性能特性を識別するための独自の情報を含んでいる、外科的システム及びカセットを開示している。暗号化されたカセットの情報は、例えば吸引/洗浄のための圧力センサ、較正データ、蠕動式ポンプの流れに関するデータ、及び製造中にカセットの検査をしている際に取得された任意の他のデータのような特徴を含んでいる。カセット内に収納されている情報が外科的システムの運転に影響を与える場合があるが、それはポンプ又は医療器具のみならず、カセット自体にも当て嵌まる。
【0011】
特許文献8及び特許文献9は、光学的/非光学的手段が、ポンプが特定のカセットのために必要とする正確な性能特性を決定するために利用されるという点において、類似するシステムを開示している。ポンプの検出器が、カセット本体に設けられている識別手段を検出する。従って、ポンプは、何れのカセットが据え付けられているのか自動的に決定することができ、カセットに適合するように特定のパラメータを調整することができる。
【0012】
本出願の発明者が発明者である特許文献10は、例えばホース部分のような無菌製品に関する情報を一の医療器具に提供することを目的とする医療技術識別装置に関連している。情報キャリアから得られた情報の性質に従って、制御ユニットは、ホース部分と医療器具との接続を承認するように動作するか、又は例えば蠕動式ポンプのような医療器具を継続的に機能させることを停止するように動作する。
【0013】
引用された特許文献はいずれも、取り付けられた装置自体の機能から独立して医療装置の運転を再プログラミング及び制御することができる医療技術識別装置を開示していない。本発明の一の実施例では、医療技術識別装置は、医療技術識別装置自体に関する情報と医療器具に関する情報との両方を収容しており、情報は、医療器具の機能及び運転を調節するために常に利用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明における医療技術識別装置は、一片の医療器具に接続されている無菌製品と医療器具とのうち1つ以上に関する特定の情報を含んでいる。
【0016】
一の実施例では、本発明は、一片の医療器具に接続された場合に、例えば使い捨て製品のための無菌製品を識別する方法であって、無菌製品が、固定状態で取り付けられている情報キャリアを含んでおり、情報キャリアが、特定の製品情報を医療器具に接続されている読み取り要素に非接触状態で伝達又は提供するように適合されている方法に関連する。
【0017】
従って、本発明の第1の目的は、正しいカップリング要素が共に結合されていることを識別すること、誤った製品が医療器具に結合された場合に一片の医療器具が機能することを防止すること、及び製品の履歴を記録することである。このことは、例えば使い捨て製品が製造業者によって回収/停止される場合、又は無菌性に関する失効期限を過ぎてしまった場合に、使い捨て製品を医療器具に接続することを防止する。
【0018】
本発明における医療技術識別装置は、プロセッサによって制御される格納ユニットと、例えばホースやカセットのような無菌製品から得られた情報に応答して医療器具を制御する制御ユニットとによって利用可能とされる。
【0019】
ホース又はカセットに接続されている情報キャリアであって、例えば認証された利用、ロット番号、バッチ番号、ホースの寸法、弾性、及び製造業者のような関連情報によってプログラミングされている当該情報キャリアを介して識別が可能である。当該情報のすべてが、製造に関連して又は製造後に情報キャリア内でプログラミングされている。
【0020】
本発明における他の目的は、情報キャリアをホース又はカセットに利用することによって、医療器具の運転に関連する技術的データが製造業者から販売された医療器具に確実に転送可能とされることである。従って、データ通信、テータ交換、及び情報転送が、医療器具のメモリの内容を変更することを目的とする。このデータには、特定の患者群に関連するデータ、外科的処置、最終的な利用者にとって好ましい運転設定等と共に、運転モード、較正因子、リース期限やサービス失効期限が含まれている。
【0021】
本発明のさらなる目的は、取り付けられた装置自体の機能から独立して医療装置の運転を再プログラミング及び制御可能な、医療技術識別装置を提供することである。
【0022】
従って、より良好に発明の詳細な説明を理解するために、及び先行技術に対する貢献がより良好に評価されるために、本発明の最も重要な特徴は、より広義に概説されている。本発明のさらなる特徴については、以下において説明する。
【0023】
この点において、本発明の実施例のうち少なくとも1つの実施例を詳細に説明する前に、本発明が、以下に説明又は図示する構成の詳細及び構成部品の配置に限定されないことに留意すべきである。本発明は、他の実施例としても実現可能であり、様々な方法で実践及び実行することができ、特許請求の範囲に規定されている。また、本明細書で利用される表現方法及び述語が説明を目的とするものであり、限定的に解釈すべきでないことに留意すべきである。
【0024】
本発明は、実施例の説明及び添付図面の参照によって、より詳細に説明されている。
【発明を実施するための形態】
【0026】
第1の実施例では、本発明における医療技術識別装置は、無菌製品が一片の衛生器具(medical equipment)に正しく接続されること、及び/又は正しい無菌製品が接続されること、例えばホース又はカセットが所定の用途に適合したタイプであることを確実にするために利用されると共に、無菌製品の利用回数、及び当該無菌製品の利用回数と共に衛生器具の点検、故障、又は交換のための信号を発信するために利用される。
【0027】
本発明は、医療器具に接続された場合に、例えば使い捨て製品(products intended for one-time-use only)のような無菌製品を識別するための方法、及びそのための医療技術識別装置に関する。無菌製品は、情報キャリアを固定状態で備えており、情報キャリアは、非接触式で、特定の製品情報を医療器具に接続されている読み取り要素に伝達するように、又は読み取り要素に当該製品情報を付与するように適合されている。情報キャリアは、ホース又はカセットに取り付けられているパッシブな構成要素であり、RFIDチップ、スマートカード、メモリーカード、又は他の半導体メモリの性質を有している。
【0028】
従って、本発明の第1の実施例は、
無菌製品及び/又は医療器具(1)に関する特定の情報を含んでいると共に、無菌製品に固定状態で取り付けられるように適合されている情報キャリア(9)と、
医療器具(1)に接続されるように適合されている読み取り要素(12)と、
読み取り要素(12)に接続されている登録ユニット(13)と、
登録ユニット(13)に接続されている格納ユニット(14)と、
登録ユニット(13)に接続されている分析ユニット(15)と、
を備えている医療技術識別装置において、
情報キャリア(9)及び読み取り要素(12)を互いに対して非接触状態で位置合わせし、これにより医療器具(1)のメモリの内容を変更するために無菌製品の識別と特定の情報の伝送とを可能とすることによって、情報キャリア(9)が、無菌製品が医療器具(1)に接続されている場合に、特定の情報を読み取り要素(12)に非接触式で伝送又は提供するように適合されていることを特徴とする、医療技術識別装置を提供する。
【0029】
一の実施例では、分析ユニット15は、医療器具動作制御ユニットに接続されており、医療器具動作制御ユニットに信号を送信する。
【0030】
特に無菌製品は、カセット部分を備えているか否かに関わらず、弾性を有しているホース部分から構成されている。一の実施例では、情報キャリアはホルダ内に取り付けられており、読み取り要素は固定シート内に取り付けられている。情報キャリアと読み取り要素との間における情報交換は、ホース部分が医療器具に完全に接続されるまで実施されない。他の実施例では、情報キャリアと読み取り要素とは、ホース部分が医療器具に機能的に接続された場合に、互いに対して定位置に配置されるように適合されている。一の特定の実施例では、情報キャリアのホルダは上述の如く角度を形成している平坦な滑り面を含んでいるので、滑り面に対する法線がホース部分の対称軸線に対して平行に延在せず、且つ、滑り面が固定シートの対応するように方向付けられた滑り面と一致する。一の実施例では、滑り面同士が互いに押圧されるように作用する力によって、情報キャリアと読み取り要素とがX方向及びY方向において相互に位置合わせされるように、滑り面が両方とも方向付けられている。一の実施例では、2つの滑り面は、情報キャリアと読み取り要素とがZ方向においても位置合わせされるように方向付けられている。
【0031】
読み取り要素が登録ユニットに接続されており、登録ユニットが格納ユニット及び分析ユニットの両方に接続されている。分析ユニットが、医療器具に影響を及ぼすように適合されている医療器具動作制御ユニットに信号を送信する。また、当該装置は、分析ユニット及び格納ユニットの両方からの情報を表示するように機能する提示ユニットを含んでいる。また、当該装置は、分析ユニット、医療器具動作制御ユニット、又は格納ユニットに接続されているプログラミングユニットを含んでいる。
【0032】
情報キャリアと読み取り要素との間における情報伝送は、バーコード、ブルートゥース(登録商標)、無線、例えば赤外線のような光波、電磁気力、放射線、又は当該技術分野では既に知られている化学的伝達のうち1つ以上の手段を通じて実施される。
【0033】
医療器具が無菌製品を利用すると、このような利用を示すデータが、医療器具から情報キャリアに伝送される。従って、情報キャリアに関する情報が変更される。無菌装置が、その後に医療装置に取り付けられた場合には、当該情報が、医療器具の制御に影響を及ぼす。
【0034】
他の実施例では、情報キャリアと読み取り要素とが、カセット部分が医療器具に機能的に接続された場合に、互いに対して定位置に配置されるように適合されている。情報キャリアのホルダは、カセット部分に一体化されており、医療器具の対応するように方向付けられた表面と一致する。
【0035】
識別検査が、例えば使い捨ての医療物品のような無菌製品内に取り付けられている情報キャリアを利用することによって実施され、当該情報キャリアは、医療器具内に取り付けられている読み取り要素によって読み取られる固有の識別情報を含んでいる。当該固有の識別情報は、装置内に登録された後に、特に以下の手順に関連して利用可能とされる。
【0036】
[手順1]
受信機は、医療装置に結合されている医療物品が承認されているか否かについて確認する。医療装置は、事故を防止するために、医療物品が承認されていることを確認することができなかった場合に停止するようにプログラミングされている場合がある。非承認の医療物品としては、以下の物品が挙げられる:
−例えばバッチ番号/ロット番号が製造業者によって引き剥がされている医療物品は止められる;
−無菌処理された日付があれば、医療物品は通過する;
−医療物品が再利用されようとしている。
医療物品は、限られた期間(例えば24時間)内ではあるが、医療装置に数回接続可能とされる。
【0037】
[手順2]
固有の識別情報は、例えばコンピュータのハードディスクにファイルドキュメントとして格納される。
その後に、この格納された固有の識別情報は、
−医療物品が医療装置に接続されている期間を示すように、及び
−医療装置の利用頻度、例えば所定の時間間隔の間に医療物品が接続される頻度を示すように検索可能とされる。
固有の識別情報は、医療装置が利用状態にある頻度を利用者に知らせるために、すなわち利用頻度を最適化するために利用可能とされる。また、固有の識別情報は、点検のために固有の識別情報を医療装置に送信することが適切になった場合に利用者に知らせるために利用可能とされる。
【0038】
本発明の第2の目的を達成するために、上述のタイプの医療技術識別装置の代替的な医療技術識別装置が設計されている。当該実施例では、例えば製造業者がすべての販売済の医療器具の較正因子を変更することを希望する場合に、医療器具のメモリの内容を変更する技術的データが製造業者から流通した医療器具に転送される。使い捨て製品を連続的に生産する際に、“新しい較正因子(New calibration factor)”のためのデータ“キー(key)”と“キー”の新しい数値とが入力される。従って、小さなアップデートは、技術スタッフを呼ぶことなく実施可能とされる。このことは較正値と呼称されるが、当該較正値は、運転モードが同一であるので、利用者に即時に明らかとはならない。従って、小さなアップデートの結果として、性能が向上する。また、賃貸期間又はサービス期間が期限切れになったか否かを決定するために、日時のデータが入力される場合がある。
【0039】
当該実施例は、基本的に、医療技術識別装置に接続された場合に医療器具をプログラミングするための方法であって、
a)固定状態で取り付けられている情報キャリア(9)であって、医療器具に接続されている読み取り要素(12)に特定の情報を伝送又は提供するように適合されている情報キャリア(9)を備えている医療技術識別装置を準備するステップであって、特定の情報が、医療器具及び/又は医療器具に接続されている無菌製品に関連しており、読み取り装置(12)が、登録ユニット(13)に接続されており、登録ユニット(13)が、格納ユニット(14)及び分析ユニット(15)の両方に接続されており、分析ユニット(15)が、医療器具動作制御ユニットに信号を伝送するように機能しており、読み取り装置(12)が、医療器具に関連する特定の情報を受信するか又は読み取るように適合されている、ステップと、
b)特定の情報を医療器具に伝送するために、情報キャリア(9)及び読み取り要素(12)を互いに対して非接触状態で位置合わせするステップと、
c)医療技術識別装置から医療器具に伝送された特定の情報に基づいて、医療器具の運転モードを変更、調整、又はアップデートするように医療器具をプログラミングするステップと、
を備えている方法を提供する。
【0040】
他の実施例では、医療技術識別装置が、運転モードに関するデータを受信可能とされ、医療器具が、以下の運転モードを実行するようにプログラミング可能とされる。
【0041】
[点検モード]
医療技術識別装置は、特に、公認された修理技術者(service engineer)が医療器具(ポンプ)の点検、保守、及び較正を実施可能なように構成されている。医療技術識別装置は、ポンプを較正するための圧力ゲージのためのコネクタと、流速計(flow detector)のためのアダプタと、較正されたコンプライアンス値を有している“継手(joint)”と、システムの保守のための他の構成部品とを有している。システムを保守するためのカセットは、特に保守のためのカセットがポンプに取り付けられていることを示すために、RFIDタグにデータを有している。
【0042】
[実演モード(デモモード)]
医療技術識別装置には、非医療用途又は特殊用途が割り当てられている。特定の用途が、RFIDタグ内にコーディングされており、特定の用途としては、例えば医療器具又はポンプが販売展示又は利用者の練習のための実演モードになっていることが挙げられる。ポンプのこのような運転モードは、実演を目的とする流量設定の自動的な変動を可能とする。医療技術識別装置は、図示のために模擬された継手を有するループとして接続されている。
【0043】
これら2つの運転モードは、誤って入力された場合に患者に危険が及ぶであろうポンプの運転モードに関連している。このことは重大な安全性の問題であり、これら目的それぞれのために設計されている専用カセットの利用のみがこれら様々な運転モードを実現可能とすることによって、このような安全性の問題は解決される。
【0044】
[利用者操作モード]
カセットは、少なくとも利用者特有の運転モードを可能とするRFIDタグにデータを伝送する(carry)。例えば、カセットは、特定の利用者にとって好ましいパラメータセットで運転するための指令をするように設計されている。外科医が、圧力値、流量値、血液及び壊死組織片(debris)の検出感度、並びにオン・オフの選択可能な機能的な特徴を選択する際に、特定の設定に関する優先順位を有している場合には、これらは、順序付けられたカセットを利用することによって自動的に設定される。さらに、このような運転パラメータの設定は、特定の外科的処置のために認められた設定とされる場合がある。
【0045】
ポンプのプログラムメモリは、データがRFIDタグに備えられたデータと共に転送されることによってアップデート可能とされる。この点において、ポンプのメモリの内容が変更可能とされ、ポンプは、例えば関節鏡検査システム(arthroscopy system)から泌尿器システム(urology system)に運転モード及びパラメータを変更可能とされる。このことは、ポンプが、ポンプの運転パラメータ、メニュー選択、利用者が設定可能な限界値、並びに血液及び壊死組織片を光学的に検出するための感度等の大部分を変更可能であることを意味する。この機能は、一般にポンプの小さなソフトウェアアップデートである。この点において、RFIDタグに備えられたデータ量が、システムのプログラムメモリと比較して非常に小さいことに留意すべきである。
【0046】
また、患者群及び外科的処置に関する特定のデータが医療技術識別装置に入力可能とされる。このことには、例えば光共振器のための特定の較正値と、圧力の較正データ値とが含まれている。RFIDタグに関するデータは、ACL(前十字靭帯)手術、小関節の外科的処置、又は泌尿器手術のTUR(経尿道的電気切除術)のための設定値を有している。また、無菌製品のための流量の較正値は、製造ラインの試験場において入力可能な値であり、重要な値である。
【0047】
RFID技術は、暗号化するためのプロセッサを有しないパッシブタグを含んでいる。このパッシブタグは電磁場によって給電される。アクティブなRFIDタグは、自身の電源を有しており、暗号化を解析する機能又は類似する機能を有していない。しかしながら、アクティブタグ及びパッシブタグの両方が、暗号化されたシリアル番号を保有しており、医療器具の利用によって変更可能でない情報、又は医療器具の利用によって部分的に変更可能な情報を格納することができる。
【0048】
情報キャリアに格納されているデータのタイプは、ホース又はカセットの製造中に又は製造後にプログラミングされる。読み取り要素は、標準的なソフトウェアによって制御される。本出願の
図1〜
図8は本発明の概略図である。しかしながら、当該実施例(current invention)は、例えばホース又はカセットの情報キャリアを利用することによって、医療器具の操作に関連する技術的データを製造業者から流通した医療器具に確実に転送可能とする、本発明の目的を改善する。この技術的データとしては、運転モードと、較正因子と、賃貸満了日又は点検期限と、特定の患者群、外科的処置、利用者にとって好ましい最終的な運転設定等とが挙げられる。
【0049】
図1は、本発明におけるポンプとホースとを接続する接続装置を含んでいる、注入ポンプ1の概略図である。また、注入ポンプ1は、羽根車2を含んでおり、羽根車2は、注入ポンプ1内に配置されている拘束具5に対してホース4を押圧するように構成されている、2つの鎮圧輪3を含んでいる。ホース部分4は、以下の手順で注入ポンプ1に装着される。拘束具5が取り付けシャフト6を中心として隆起しているので、羽根車2が曲げ手段として機能し、ホース部分4が羽根車2の周囲に配設される。これにより、ホース部分4の一端は、従来技術に基づく方法で医療器具(注入ポンプ1)に固定される。その後に、ホース部分4が羽根車2の周囲において張設され、固定シート7の下方の位置に向かって弾性的に伸展され、当該位置に固定される。固定シート7は、注入ポンプ1に固定状態で接続されている。ホルダ8は、固定シート7の近傍においてホース部分4に固定状態で接続されており、情報キャリア9を備えている。図示の実施例では、ホルダ8は、位置合わせ用ブロックの形態をしており、固定シート7の対応する傾斜した表面に一致する傾斜した上面10を含んでいる。ホルダ8は、図示の如く、ホルダ8の情報キャリア9が固定シート7内に配設されている読み取り要素12の反対側に配置されている状態で、固定シート7内に取り付けられている。図示の如く、読み取り要素12は、登録ユニット13に接続されており、登録ユニット13は、格納ユニット14に接続されていると共に、分析ユニット15に接続されている。また、格納ユニット14が、分析ユニット15に直接接続されている。提示ユニット16は、分析ユニット15及び格納ユニット14の両方に直接接続されている。例えば特許文献10に開示される制御ユニット(図示しない)が、情報キャリア9から伝達され且つ分析ユニット15で検査された情報の性質に従って、ホース部分4の医療器具に対する接続を承認するように、又は注入ポンプ1の連続的な動作を停止するように動作する。さらに、プログラミングユニット(図示しない)が、分析ユニット15、格納ユニット14、又は制御ユニットに接続可能とされる。例えば、プログラミングユニットは、医療器具(例えばポンプ)の運転モードを変更するために、医療器具を再プログラミングする必要がある場合に、及び、医療装置のメモリの内容を変更するために、新しい較正データ、運転データ、又は類似するデータの収集を承認する必要がある場合に利用される。制御ユニットは、無菌製品(例えばホースやカセット)から得られた情報及び/又はプログラミングユニットから得られた情報に応答して、医療器具を制御する。
【0050】
図2a及び
図2bは、
図1の断面A−Aにおける断面図である。
図2aは第1の実施例を表わし、
図2bは第2の実施例を表わす。
図2aに表わす実施例は、上縁面21aが固定シート7の対応する縁面に当接していることによって固定シート7内に機能的に取り付けられている、ホルダ8を含んでいる。この場合には、上縁面21aが水平に配置されており、すなわちホース部分4の対称軸線に対して直角に配置されており、これにより、ホース部分4に対して図面において上方に作用する引張力が、
図2aに表わす座標系に基づくX軸線及びY軸線それぞれの方向においてホルダ8を位置合わせする。X方向及びY方向それぞれにおいてホルダ8を位置合わせすることによって、結果として、ホルダ8内の情報キャリア9が、相互に垂直な2つの方向において読み取り要素12に対して位置合わせされる。
【0051】
図2bは、固定シート71内に装着されているホルダ81の第2の実施例を表わす。当該実施例では、ホルダ81の上縁面21bは、固定シート71の内側に傾斜しているので、引張力がホース部分4に対して図面において上方に作用することによって、結果として、ホルダ81も、
図2aに表わす座標軸に基づくZ方向において位置合わせされる。従って、当該実施例では、相互に垂直なX方向、Y方向、及びZ方向のすべての方向において、情報キャリア9を位置合わせすることができる。
【0052】
図3a〜
図3cは、ホース部分4に取り付けられているホルダ8を固定シート7内に装着する場合の手順を表わす。ホース部分4の医療器具側の固定端を注入ポンプ1内に固定した後に、ホース部分4が羽根車2を覆うように引っ張られることによって、拘束具5が
図1に表わす位置で嵌められロックされる。その後に、ホース部分4が、
図3に表わすように引き伸ばされることによって、ホルダ8は、
図3aに表わす矢印に従って固定シート7の内部に嵌め込まれる。
【0053】
図3bは、ホース部分4が固定シート7に向かって近づいていく様子を表わす。図示の如く、ホルダ8及び固定シート7の滑り面10,11それぞれは、情報キャリア9及び読み取り要素12が互いに対して位置合わせされるように互いに対して傾斜している。
【0054】
図3cは、最終的に組み立てられた状態の装置を表わす。しかしながら、滑り面10と滑り面11とが、及び、情報キャリア9と読み取り要素12とが明確に区別することができるように、ホルダ8の周囲には、小さな間隙を残している。また、
図3cは、
図2aに表わす直交座標系を表わす。
【0055】
図4は、
図1の断面B−Bにおける医療技術識別装置の断面図である。言うまでもなく、ホース部分4はホルダ8内に堅固に固定されており、情報キャリア9はホルダ8内部に挿入されている。言うまでもなく、ホルダ8が固定シート7内に装着されており、情報キャリア9が読み取り要素12の反対側に位置しており、読み取り要素12も固定シート7内に挿入されている。
【0056】
図5は、
図1の断面C−Cにおける断面図である。
図5から明らかなように、ホース部分4の端部が、固定シート7の一方の側部に形成されている開放スロット51を通じて固定シート7内に挿入されている。
【0057】
図6は、無菌製品を識別するための他の医療用途を表わす。この他の医療用途は、情報キャリア63を備えている無菌鋸刃62が接続されている、整形外科用往復式鋸60の利用に関連する。情報キャリア63は、鋸刃62が装着された場合に読み取り要素64に対向して配置されており、情報キャリア63及び読み取り要素64が上述の態様に相当する態様で協働するように適合されている。
【0058】
図7は、本発明のさらなる利用を表わす。本出願は、情報キャリア73を具備している無菌ドリルビット72が装着されている、整形外科用ドリルのハンドグリップ70に関する。上述の場合のように、情報キャリア73も、ハンドグリップ70に接続されている読み取り要素74に特定の製品情報を伝達又は提供するように適合されている。
【0059】
図8はさらなる実施例を表わす。当該実施例では、シェーバーハンドグリップ80がシェーバーブレード82に装着されている。シェーバーハンドグリップ80は、上述の実施例と同様に、シェーバーブレード82が装着された場合に読み取り要素84に対向して配置される情報キャリア83を含んでいる。
【0060】
図9は他の実施例を表わす。当該実施例は、
図1に表わす実施例に非常に類似している。しかしながら、この場合には、ホース部分4が、カセット部分17に固定状態で接続されており、カセット部分17が、読み取り要素12に対向して医療器具に配置されている情報キャリア9を備えている。
【0061】
図10a及び
図10bは、さらなる他の実施例の医療技術識別装置の断面図を表わす。当該実施例では、カセット部分17がホルダ8に堅固に固定されている。情報キャリア9がホルダ内に載置されている。また、これら図面から理解されるように、ホルダが固定シート7内に取り付けられており、情報キャリア9が読み取り要素12に対向しており、読み取り要素12が固定シート7内に堅固に固定されている。
【0062】
図10a及び
図10bは、堅固に固定されたカセット部分17を備えているホルダ8が、固定シート7内に装着又は取り付けられている場合に実施される手順を表わす。表面21cは、固定シート7の対応する縁面と当接している。
図10aは、ホルダ8が最初に固定シート7に向かって移動する様子を表わし、
図10bは、ホルダ8が次に固定シート7に載置される様子を表わす。
【0063】
これら図面に表わすように、ホルダ8内に載置された情報キャリア9と固定シート7内に載置された読み取り要素12とを互いに非接触状態で位置合わせすることによって、無菌製品を識別可能とするために、及び、動作を再プログラミングするために情報を医療器具に伝達可能とするために、単一の取付ステップのみが必要とされる。
【0064】
以下の説明は、製品としてのホース及び/又はカセットに、並びに医療器具としての注入ポンプに限定したものであるが、本発明は、特に無菌に関する高度の安全要求が求められる医療技術分野における他の製品及び他の器具部品にも適合している。
【0065】
さらに、医療技術分野における他の実施例であっても本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。データを情報装置から医療器具に転送することによって、例えば医療器具の再プログラミングが、医療器具が異なる患者群及び外科的処置によって又は予め選択された基準に従って異なるモードで動作可能となるように可能となる。