特許第5718366号(P5718366)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5718366
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】安全ドア用のタンブラを有する施錠装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 9/08 20060101AFI20150423BHJP
   E05B 1/00 20060101ALI20150423BHJP
   E05B 15/14 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   E05B9/08 E
   E05B1/00 311H
   E05B15/14
【請求項の数】19
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-550446(P2012-550446)
(86)(22)【出願日】2011年1月27日
(65)【公表番号】特表2013-519009(P2013-519009A)
(43)【公表日】2013年5月23日
(86)【国際出願番号】EP2011051166
(87)【国際公開番号】WO2011095433
(87)【国際公開日】20110811
【審査請求日】2013年11月25日
(31)【優先権主張番号】102010007388.1
(32)【優先日】2010年2月2日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509022794
【氏名又は名称】ピルツ・アウスランツベタイリグンゲン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作
(74)【代理人】
【識別番号】100101328
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 実夫
(74)【代理人】
【識別番号】100110799
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 温道
(72)【発明者】
【氏名】プルマン,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ルップ,ローラント
(72)【発明者】
【氏名】ファイト,アンドレーアス
【審査官】 瓦井 秀憲
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第19735859(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0033344(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0204662(US,A1)
【文献】 特開2006−299549(JP,A)
【文献】 特開2004−245039(JP,A)
【文献】 米国特許第04659884(US,A)
【文献】 特開2010−168896(JP,A)
【文献】 米国特許第05432309(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 9/08
E05B 1/00
E05B 15/02
E05B 15/14
E05B 65/06
F16P 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全ドアのタンブラを備える施錠装置であって、
可動安全ドア(18)に固締するためのドア側部品(28)と、ドアの相手構造物(16)に固締するためのフレーム側部品(26)とを有しており、
前記フレーム側部品(26)は受け口(66)を有し、前記ドア側部品(28)は前記受け口(66)に挿入するように構成されたアクチュエータ(48)を有し、
前記フレーム側部品(26)は前記アクチュエータ(48)を選択的に解除できる解除位置と、前記アクチュエータ(48)を前記受け口(66)に対して選択的に錠止可能であるブロック位置との間で変位可能なブロック部材(68)をさらに有しており、
前記ドア側部品(28)は弾性補償エレメント(40)を有し、
前記弾性補償エレメント(40)は中心部(42)と、前記中心部(42)から離れた端部に複数のジャーナル(46)とを有し、
前記アクチュエータ(48)は、前記複数のジャーナル(46)に装着されることによって、前記アクチュエータ(48)は前記弾性補償エレメント(40)を介して前記ドア側部品(28)に配置される、施錠装置。
【請求項2】
安全ドアのタンブラを備える施錠装置であって、
可動安全ドア(18)に固締するためのドア側部品(28)と、ドアの相手構造物(16)に固締するためのフレーム側部品(26)とを有しており、
前記フレーム側部品(26)は受け口(66)を有し、前記ドア側部品(28)は前記受け口(66)に挿入するように構成されたアクチュエータ(48)を有し、
前記フレーム側部品(26)は前記アクチュエータ(48)を選択的に解除できる解除位置と、前記アクチュエータ(48)を前記受け口(66)に対して選択的に錠止可能であるブロック位置との間で変位可能なブロック部材(68)をさらに有しており、
前記ドア側部品(28)は弾性補償エレメント(40)を有し、
前記アクチュエータ(48)は、前記弾性補償エレメント(40)に装着可能なアクチュエータフレーム(51)を有し、
前記アクチュエータフレーム(51)が前記弾性補償エレメント(40)に装着されることによって、前記アクチュエータ(48)は前記弾性補償エレメント(40)を介して前記ドア側部品(28)に配置される、施錠装置。
【請求項3】
前記弾性補償エレメント(40)はプラスチック材、エラストマーおよび/またはゴム材からできている、請求項1又は請求項2に記載の施錠装置。
【請求項4】
前記アクチュエータ(48)は、前記弾性補償エレメント(40)に装着可能なアクチュエータフレーム(51)を有し、前記アクチュエータフレーム(51)は前記複数のジャーナル(46)に配置されている、請求項1に記載の施錠装置。
【請求項5】
前記弾性補償エレメント(40)は中心部(42)と、前記中心部(42)から離れた端部に複数のジャーナル(46)とを有し、前記アクチュエータフレーム(51)は前記複数のジャーナル(46)に配置されている、請求項2に記載の施錠装置。
【請求項6】
前記アクチュエータフレーム(51)は、前記アクチュエータ(48)の挿入方向と垂直な方向に、前記弾性補償エレメント(40)に装着可能である、請求項2又は請求項4又は請求項5に記載の施錠装置。
【請求項7】
前記中心部(42)は受け部(42)を形成し、前記ドア側部品(28)は前記受け部(42)が取り付けられる受け形材(52)を有している、請求項1又は請求項4又は請求項5に記載の施錠装置。
【請求項8】
前記弾性補償エレメント(40)は、前記受け部(42)の周囲に配置されている複数の腹板(41)を有しており、前記複数の腹板(41)は前記受け部(42)から離れた複数の端部に前記複数のジャーナル(46)を有する、請求項7に記載の施錠装置。
【請求項9】
前記ブロック部材(68)は少なくとも1つのブロック対向面(86、88)を有し、前記アクチュエータ(48)は少なくとも1つのブロック面(58、60)を有し、この面が前記受け口(66)に対して形状適合的に前記ブロック位置に前記アクチュエータ(48)を錠止するように構成されている、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の施錠装置。
【請求項10】
前記アクチュエータ(48)は前記ブロック部材(68)を変位するための空間を画成する凹部(62)を有しており、前記凹部(62)は少なくとも1つのブロック面(58、60)とともに前記アクチュエータ(48)にM字形切り込みとして実現される、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の施錠装置。
【請求項11】
動装置(96)が、前記ブロック部材の変位のために前記ブロック部材(68)に結合されている、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の施錠装置。
【請求項12】
前記ブロック部材(68)に結合されて、前記ブロック部材(68)を前記ブロック位置の方向に押す安全ばね(114)を有する、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の施錠装置。
【請求項13】
前記アクチュエータ(48)は円錐面(133)を有し、前記フレーム側部品(26)は前記円錐面に合致する円錐対向面(134)を有する座面(130)を有しており、前記ブロック部材(68)は前記座面(130)に、前記アクチュエータ(48)の位置を錠止するように構成されている、請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の施錠装置。
【請求項14】
前記ブロック部材(68)は、軸(91)を中心に枢動可能なエントレインメントシャフト(90)に、取り外し可能になるように配置されてる、請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の施錠装置。
【請求項15】
合エレメント(103)が、前記駆動装置(96)と前記エントレインメントシャフト(90)との間に配置されている、請求項14に記載の施錠装置。
【請求項16】
前記ブロック部材(68)が取り付けられているかどうかを検出するための不正操作検出器(119)が前記フレーム側部品(26)に設けられている、請求項1〜請求項15のいずれか1項に記載の施錠装置。
【請求項17】
トランスポンダ(76)が前記アクチュエータ(48)に配置されており、位置検出器(69)が前記フレーム側部品(26)に配置されており、前記トランスポンダおよび位置検出器は、前記アクチュエータ(48)が前記フレーム側部品(26)に錠止されており、前記ブロック部材(68)が前記ブロック位置に位置するときに解除信号を生成できるように協働する、請求項1〜請求項16のいずれか1項に記載の施錠装置。
【請求項18】
前記ブロック部材を前記解除位置の方向に選択的に移動させるために、前記ブロック部材(68)に結合されている解錠スイッチ(120)を備える、請求項1〜請求項17のいずれか1項に記載の施錠装置。
【請求項19】
制御ユニット(140)はインターフェース(141)によって信号を受信、処理および送信するように設計されており、前記インターフェース(141)は少なくとも1つの結線(142)を有しており、前記結線(142)が信号の送信または受信のいずれかのみのために実現されている第1単方向モードと、前記結線(142)が信号の送受信のために双方向結線として実現されている第2の選択的に起動可能なモードを有する、請求項1〜請求項18のいずれか1項に記載の施錠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は安全ドア用のタンブラを有する施錠装置に関するものである。前記施錠装置は可動安全ドアに固締するためのドア側部品と、ドアの相手構造物に固締するためのフレーム側部品とを有し、フレーム側部品は受け口を有し、ドア側部品は受け口に挿入されるように構成されているアクチュエータを有しており、フレーム側部品は、アクチュエータを選択的に解除できる解除位置と、アクチュエータが受け口に対して選択的に錠止可能であるブロック位置との間で変位可能なブロック部材をさらに有する。
【背景技術】
【0002】
この種の施錠装置は、下記特許文献1に開示されている。
周知の施錠装置を使用して、作動中にリスクが発生する機械およびシステムを未許可のアクセスに対して錠止することは原則として可能である。施錠装置が「ドア閉止状態」信号を供給するときにのみ当該機械の始動をさせるべきである。さらに、新たに行われる機械へのアクセスは、機械にもはやリスクがなくなったときにのみ許可するべきである。これはいわゆるタンブラによって達成され、施錠装置は機械から停止信号または同様な信号があるまで解除されない。
【0003】
前述の施錠装置は、爪車を所定の状態に錠止するために実現されている。フレーム側部品の長手方向に変位可能なラムによってタンブラを実現する。安全ドアの施錠は鍵の形態のアクチュエータによって行うことができ、これはドア側部品に固締されて、フレーム側部品の受け口に挿入される。この場合、アクチュエータは、ラムがばねの力によって爪車の窪みに掛止できるように、爪車を回転させる。受け口からの鍵の抜けはこのように防止される。
【0004】
機械をいったん停止した後の鍵の制御解除のために、ラムは、ソレノイド弁が電流によって横移動するときに、ラムがアンカーリフトによって掛止位置から解除位置に転移するように、ソレノイド弁のアンカー部として実現される。これで鍵をハウジングから抜くことができる。
この周知の施錠装置の場合、爪車は第2ハウジング部と異なる位置で組み合わせることのできる第1ハウジング部に配置されており、ラムは第2ハウジング部に置かれている。その結果、ドア側部品およびフレーム側部品は互いに異なる組立位置で使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第95/06323A1号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10 2005 057 108 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、周知の施錠装置は非常に小さな組立公差を必要とする。ドア側部品およびフレーム側部品は、鍵がフレーム側部品の受け口に嵌め合うことができるように、互いに精密にアラインしなければならない。小さな組立公差は、アクチュエータを受け口に確実に保持しなければならないということに起因する。
他方で、例えばアクチュエータの代わりに絶縁金属ボルトを挿入することによって、施錠装置の不正操作を無効にするべきである。その結果、当該施錠装置のアクチュエータは、原則として、精密に合致させる爪車と協働する複雑に形成される部品である。原則として、アクチュエータの受け口もきわめて緊密である。この結果、小さな組立公差となる。
【0007】
小さな組立公差は組立を難しくする。安全ドアがその重量のために沈む場合長年の間に問題が生じるおそれがある。そのため、下記特許文献2は組立公差を大きくできるドア側部品およびフレーム側部品を備える施錠装置を開示している。ドア側部品はフレーム側部品の相対的に大きな空腔に嵌め合うことができるアクチュエータを有する。アクチュエータをブロックするブロック部材がドア側部品に配置されている。しかしながら、前記周知の施錠装置はドア側部品およびフレーム側部品に互いに対して異なる組立位置を提供せず、その結果、使用の柔軟性に劣る。
【0008】
このような背景に鑑み、本発明の目的は、単純で、できるだけ丈夫な設計で、組立しやすいと同時に、安全な施錠を確保でき、柔軟に使用できる前述の種類の施錠装置を提供することである。さらに、施錠装置は大きな組立公差を提供できることが望ましい。好ましくは、施錠装置は前述の意味においてタンブラも見込むことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記本発明の目的は、前述した種類の施錠装置に、アクチュエータを弾性補償エレメントを介してドア側部品に配置する構成によって達成される。
本発明の構成によると、安全ドアとドアの相手構造物との間の公差、とくにコンポーネントのオフセットまたはコンポーネントの変位を弾性補償エレメントにより補償し、または克服して、たとえ老化またはコンポーネントの偏差により摩耗、オフセットが生じる場合でも、単純な組立および確実な動作が達成されるようになる。
【0010】
弾性補償エレメントは、一方で公差が第1アセンブリで補償でき、他方で時間の経過でのみ生じる偏差、例えば温度変動により生じる設定動作または寸法振幅も補償できるように、はっきり認識できる形状変化能力を有することができる。
安全ドアとドアの相手構造物との間のミスアライメントがある場合にドア側部品およびフレーム側部品にかかる応力は、従来の設計の施錠装置と比べて低減することができることも触れておかなければならない。なぜなら、当該偏差はこれで残りのコンポーネントを前記偏差のためにブロック位置に「緊張」状態で互いにアラインしなくてもよくなる結果として、補償エレメントの所定の偏向によって「捕まえられる」ためである。
【0011】
本発明に関して、「安全ドア」という用語は一般にフラップ、カバー、フードならびに、とくにスライドドアおよびピボットドア、すなわち、機械またはシステムへのアクセスを可能にするために使用されるが、前記機械またはシステムの作動中には確実に監視された状態で閉止されるエレメントを含むことができる。
本発明の好適な改良形態において、弾性補償エレメントはプラスチック材でできており、好ましくはエラストマーおよび/またはゴム材でできている。
【0012】
この場合、弾性補償エレメントはとくに単純に、すなわちほぼ任意の3D形状で製作できる。これに関連して、弾性補償エレメントの変形特性はこの改良形態によって単純に影響を及ぼすことができ、とくに、オプションとして、方向依存性にもできる直線性の前進または後退力/経路特性をもたらすことが可能である。
好ましくは、弾性補償エレメントは、形状変化能力がプラスチック材自体の変形だけに制限されず、さらに、てこ作用または方向依存性の剛性によって異方性形状変化能力を実現できるように、実質的に接合される継手を有することができる。
【0013】
このように、例えば、安全ドアとドアの相手構造物との間の垂直オフセットを、弾性補償エレメントをこの方向にとくに柔軟に設計することにより、施錠装置の領域でとくに単純に補償できる。例えば、安全ドアとドアの相手構造物との間の側方オフセットなどの他の偏差に関しては、弾性補償エレメントは、これとは逆に、必要なら明白により剛性に設計することができる。安全ドアがドアの相手構造物の方向に枢動可能で、その結果側方オフセットを枢動運動により実質的に補償できる場合にはとくにそうである。
【0014】
適したプラスチック材、とくにエラストマーは、良好な耐食性を有しており、施錠装置を少量の摩耗および修理に関して少額の出費で作動できるように、媒体および環境の影響に関して十分な耐性で実現できる。
一方で、弾性補償エレメント、アクチュエータおよびドア側部品の間の接続に適した方法は、例えば、締付けまたはねじ接続などの従来の組立プロセスにすることができる。さらに、プラスチック材の場合には、接合、埋め込み、射出成形または適した組み合わせなど、他の方法も有利に使用できる。エラストマー補償エレメントは、金属部品に直接、確実に接続できるため、加硫にも適している。
【0015】
これに関連して、他の改良形態において補償エレメントは他の弾性材料から作ることができることも触れておかなければならない。とくに、高いレベルの剛性だけでなくはっきり認識できる弾性も有する金属材料がこれに適する。このように、弾性補償エレメントは、適した応力ひずみ挙動を達成できるようにするために、例えば、金属ばねまたは継手を有することができる。つまり、金属製の弾性補償エレメントの場合、高いレベルの剛性に関わらず、適切な構造的な手段によって、形状変化能力をもたらすことが可能であり、それによって安全ドアとドアの相手構造物との間の偏差を埋めて補償することが可能である。
【0016】
弾性補償エレメントは、好ましくは、別の好適な形態において、プラスチック材繊維からなる強化インサートを有する。
この場合、繊維強化材は、線材、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維または同様な他のものからなることができる規則的なまたは不規則的な織物を有することができる。これらの種類の強化インサートを使用すると、弾性特性を本質的に維持しながら、弾性補償エレメントの強度、とくに割れに対する強度が増す。この代わりに、またはこれに加えて、アクチュエータとドア側部品との間に弾性補償エレメントの脱落保護を提供でき、前記脱落保護は前述の材料から作ることができよう。脱落保護により、たとえ弾性補償エレメントが故障しても、安全状態、つまり閉止状態を維持できる。
【0017】
本発明の改良形態によると、弾性補償エレメントは(好ましくは中央)受け部の周囲に配置されている複数の腹板(とくに少なくとも3つ)を有する。腹板は好ましくは受け部から離れた端部にジャーナルを有しており、前記ジャーナルは円筒形であると有利である。
弾性補償エレメントの弾性挙動は、このように有利に影響を及ぼすことができる。腹板端部のジャーナルは、例えば、3個、4個または多数個の角をもつ輪郭のアセンブリフレームに、単純で回転取付されたアセンブリにすることができる。この展開の補償エレメントは、完全に押し出すことのできる星形または十字形の上面を有することができる。そのため、弾性補償エレメントは腹板の変形により押し出し方向に対して放射状にとくに柔軟にすることができるが、本質的に押し出し方向に作用する側方応力に対しては、剛性を高めることができる。
【0018】
本発明の有利な改良形態では、アクチュエータはジャーナルを配置するアクチュエータフレームを有し、ドア側部品は受け部を取り付ける受け形材を有する。
この改良形態によれば、弾性補償エレメントは好ましくは実質的に接合した回転継手として、より一般的には実質的に接合したカルダン継手として有利に作動できる。補償エレメントの弾性が許す限り、例えば受け部の中央に受け入れられるドア側部品は、弾性補償エレメントを適切に囲むことのできるアクチュエータフレームに対して変位できるので、安全ドアとドアの相手構造物との間の公差を補償する。
【0019】
さらに、アクチュエータフレームおよびドア側部品のこのような改良形態のおかげで、弾性補償エレメントのストッパがとくに単純に実現できる。したがって、弾性補償エレメントの過度な応力および変形を回避できる。施錠装置の信頼性を高めることができる。
別の好適な形態では、少なくともアクチュエータまたはフレーム側部品の受け口に誘導勾配が設けられている。
【0020】
誘導勾配はアクチュエータの受け口への導入を容易にすることができ、前記アクチュエータは弾性補償エレメントのおかげで柔軟に受け入れられるので、アクチュエータの実際の座面をとくに公差補償のために展開する必要がない。例えば漏斗形の誘導勾配は、安全ドアを閉じたときにアクチュエータが自動的に受け口に入り込むことのできるオフセットなど、最大偏差が補償されるようにする。これに関連して、少なくとも±5mm、より好ましくは少なくとも±10mmのオフセットを補償するのが好ましい。
【0021】
言うまでもなく、誘導勾配は垂直オフセットもしくは側方オフセットに対して、またはドア側部品とフレーム側部品との間のどのような傾斜位置に関しても、さまざまな方向依存の偏差を許容できる。
本発明の別の改良形態において、ブロック部材は少なくとも1つのブロック対向面を有し、アクチュエータは少なくとも1つのブロック面を有しており、これらの面は受け口に対して形状適合的にアクチュエータをブロック位置に錠止するように構成されている。
【0022】
形状適合施錠はとくに高い力を吸収でき、衝撃状またはジャーク状の負荷ピークの場合に形状適合ではない施錠と比べて容易に降伏しない、または「すり抜け」ない。しかし、言うまでもなく、他の施錠コンポーネントを形状適合施錠に重ねることができる。形状適合施錠は単純な手段を使用して容易に検出および監視できる。
本発明の好適な改良形態において、アクチュエータはブロック部材を変位する空間を画成する凹部を有し、凹部は好ましくはM字形の切り込みとしてアクチュエータの少なくとも1つのブロック面とともに実現される。
【0023】
この改良形態のおかげで、たとえ削りくずによるなど、施錠装置の粉塵の蓄積または汚損がある場合でも、アクチュエータまたはブロック部材の動きの自由度を確保できる。
好ましくは、ブロック部材はアクチュエータの選択的な施錠または解除のために変位可能である。前記動きはアクチュエータに関して行われる。例えばマシニングセンターなどの施錠したシステムを作動後にアクセス可能にしようとする場合、削りくずにより生じる粉塵の蓄積によりアクチュエータに対するブロック部材の相対的な動きが妨げられることがありうる。そこで、この改良形態において、アクチュエータに第2凹部を設けて、たとえアクチュエータとブロック部材との間の領域に削りくずがあったとしても、前記第2凹部が解除位置への変位を許す。これはとくに枢動可能なブロック部材についてあてはまる。その結果、ほぼM字形の切り込みをアクチュエータに配置してもよく、前記切り込みのある領域は少なくとも1つのブロック面を有し、別の領域がブロックエレメントによって変位される削りくずまたは同様な他のものを受けることができる。
【0024】
本発明の改良形態において、ブロック部材の変位のためにこれに接続されている駆動装置、好ましくはソレノイド磁石が採用できる。
この場合、ブロック部材は、ソレノイド磁石に電流を送るなどによって、とくに単純に変位できる。ソレノイド磁石はリフティングマグネットとして実現するのが好ましいが、他のモデルも考えられる。さらに、電気モータ、とくにリニアモータ、またはピエゾ抵抗型または磁気抵抗型の駆動装置など、他の種類の駆動装置を使用できる。特別な環境条件の場合、圧縮空気シリンダまたは油圧シリンダを有する駆動装置を使用することも可能である。
【0025】
本発明の好適な改良形態において、ブロック部材に接続されて、ブロック部材をブロック位置の方向に押す安全ばねが採用できる。
安全ばねは、とくに磁石に電流が流れていなくても閉止状態を維持したいとき、自動施錠を可能にする。さらに、自動施錠はアクチュエータを挿入することによって行うことができる。これに関連して、ブロック部材は最初に安全ばねの力に逆らうアクチュエータによって変位されるので、次にブロック位置での安全ばねの力の結果少なくとも1つのブロック面とともにブロック部材の少なくとも1つのブロック対向面に掛止する。このように、施錠装置のとくに安全な操作、つまり自動施錠操作を単純な設計で促進できる。
【0026】
施錠装置は、必要なら、電流がない状態でシステムを開にするようにも作動できる。この場合、施錠は駆動装置に電流を継続的に供給することによって行うことができる。この種の作動は、例えば、包囲するべき機械またはシステムに不具合または故障がある場合に、施錠装置の早急な開放が無条件のタンブラよりも重要と思われる場合に便利である。
安全ばねはフレーム側部品のハウジングに支持でき、ブロック部材に直接作用でき、または部材を前記ブロック部材に結合することによって接続できる。
【0027】
本発明の別の改良形態において、ブロック部材はフレーム側部品に長手方向に変位可能なように受け入れられる。
そのため、ブロック部材自体は駆動装置の一部、例えば磁石のアンカーの一部として実現できる。その結果、磁石の持ち上げが即座かつ直接的にブロック部材の変位につながる。施錠装置の製造中のコンポーネントおよび製造の出費を削減できる。
【0028】
可能な場合、ブロック部材を変位するときに力および経路の変換をもたらすことができるように、レバーまたは他の結合エレメントによってブロック部材を駆動装置に間接的に結合することが考えられる。
本発明の有利な改良形態において、アクチュエータは円錐形の表面とそれに対応する座面とを有し、前記座面は円錐対向面を有してフレーム側部品に配置されており、ブロック部材は好ましくは形状適合的に座面にアクチュエータの位置を錠止するように構成されている。
【0029】
この改良形態では、円錐形、より一般的には回転対称の座面が実現され、その軸を移動平面に対して垂直に実現できるので、アクチュエータを移動平面内のいずれの方向からも受け口に挿入することが可能になる。そのため、施錠装置の1つの実施形態だけで、多数の変型およびアセンブリの出費を削減できるように、さまざまな供給位置または設置位置を実現できる。
【0030】
つまり、円錐面および円錐対向面はフレーム側部品におけるアクチュエータの皿状座面を占める。アクチュエータの供給は、アクチュエータが円錐対向面の壁を克服するときに弾性補償エレメントが偏向できるのを可能にできるように、座面の回転軸に対して半径方向に行うことができる。
これに関連して、ブロックエレメントは、アクチュエータの少なくとも1つのブロック面と選択的に協働して前記アクチュエータをブロックまたは解除するために、座面の回転軸の方向に半径方向に変位可能にもできる。
【0031】
この場合、アクチュエータは例えば3つの側面からそれぞれ互いに90°ずれて座面に供給できるとともに、ブロック部材はアクチュエータを施錠するために4番目の側面からアクチュエータに作用できる。
本発明の別の改良形態において、ブロック部材は軸を中心に枢動可能なエントレインメントシャフトに着脱自在になるように配置されている。好ましくは、ブロック部材はエントレインメントシャフトに形状適合的に配置されている。
【0032】
その結果、ブロック部材はアクチュエータを錠止または解除するために軸を中心に枢動できる。このように、アクチュエータをさまざまな方向から受け口に挿入することもできる。このために、ブロック部材は、アクチュエータの起動または安全ばねの復元力により生じるブロック部材の枢動運動がアクチュエータに位置的に正確に割り当てられるように、供給方向に対応してエントレインメントシャフトで回転するだけでよい。
【0033】
ブロック部材がエントレインメントシャフトに形状適合的に配置されていることが特に好ましい。形状適合施錠は適した形材によって提供することができ、形材の配列はエントレインメントシャフトにおけるブロック部材のさまざまに利用できる位置を決定する。このように、正方形形材の場合、それぞれ90°ずれた4つの異なる位置が生じる。その結果、取付または再取付に関してわずかな出費だけで、施錠装置は部品を交換することなく、または追加部品を考慮することなく、さまざまな動作および設置条件に適応できる。ブロック部材の他に、アクチュエータを挿入できる受け口もアクチュエータの挿入方向に対応して変位できるので、供給方向は誘導勾配によって決定される。この代わりに、受け口はいくつかの供給方向のために誘導勾配を有することができるので、この再取付は必要なくなる。
【0034】
本発明の好適な改良形態において、好ましくはスラストロッカとして実現される結合エレメントがアクチュエータとエントレインメントシャフトとの間に配置されている。
結合エレメントによって、力もしくは経路並進、逆行および回転運動への並進運動の変換またはその逆を行うことができる。
したがって、ブロック部材が一緒に線形運動をしないことになっても、とくに単純で信頼性が高く、費用効果的なアクチュエータを使用できる。
【0035】
とくに、スラストロッカは磁気誘導器の並進運動を、ブロック部材の回転運動に、より正確には枢動運動に変換するのに適している。
弾性補償エレメントとは独立して、発明を表象するとくに有利な改良形態において、ブロック部材が取り付けられているかどうかを認識するために実現されている不正操作検出器がフレーム側部品に設けられている。
【0036】
好ましくは、これを光学不正操作検出器、例えばライトバリアとすることができ、それによってフレーム側部品におけるブロック部材の有無を検出する。しかし、原則的には、不正操作検出器は、フレーム側部品におけるブロック部材の有無をフェールセーフに検出する誘導型、容量型、磁気または他のセンサを用いても実現できる。
施錠装置が出力信号を提供するとき、ブロック部材の不在の場合に、スイッチオフ信号を表し、および/または逆にブロック部材の存在を検出する場合に解除信号を表すと好ましい。この展開により、不正操作、例えば施錠装置を無効にするためにブロック部材を取り外すことを効果的に抑止できる。
【0037】
とくに好ましくは、結合エレメントの一部である結合部材、および/またはブロック部材は、不正操作検出器が応答するインジケータを有することができる。これは、例えば、ライトバリアのライトセクションを選択的に遮蔽または露出できる例えばブラケットまたは凹部とすることができる。ブロック位置の場合、安全ばねが依然としてストッパの方向にブロック部材に作用しながら、例えばブロック部材のストッパは受け口のストッパ対向面に当接できる。したがってブロック部材が取り外される場合、安全ばねはさらなる変位をもたらすことができ、例えば、エントレインメントシャフトの枢動は前記停止位置を超える。この結果、正しく組み立てられているブロック部材では達成できない状態になる。そこで、この状態で、不正操作検出器は出力信号を生成するためにインジケータによって処理でき、それによって包囲するべき機械またはシステムの動作を防いでオペレータを保護できる。
【0038】
本発明の別の改良形態において、アクチュエータにトランスポンダが配置され、フレーム側部品に位置検出器が配置されており、前記トランスポンダおよび位置検出器は、アクチュエータがフレーム側部品に錠止されて、ブロック部材がブロック位置にあるときに解除信号を生成できるように協働する。
この種のトランスポンダは、例えばフレーム側部品から読み取ることのできるRFIDユニットとすることができる。
【0039】
このように、施錠は、とくにフェールセーフに、つまりアクチュエータが実際に受け口に挿入されているときのみ認識できる。
好ましくは、トランスポンダには位置検出器により無線でエネルギーが供給されるので、供給線をドア側部品に供給しなくてもよいため施錠装置の設計は明白に単純化される。
RFIDユニットの場合、位置認識は、例えば別のRFIDチップによる不正操作を一層難しくするように符号化して行うことができる。
【0040】
アクチュエータの供給を正確に認識できるように、受け口にRFIDユニットを読み取るための位置検出器を配置することが可能である。この代わりに、アクチュエータの供給の他に、施錠、つまりブロック部材によるアクチュエータの錠止もフェールセーフに検出できるために、位置検出器をブロック部材に設けることができる。
トランスポンダは、少なくとも1つのラインによって結合されて、互いに離れているアンテナと信号ユニットとを有することがさらに好ましく、アンテナは施錠中にブロック部材に面するアクチュエータの領域に配置し、信号ユニットはそれから離れて、ドア側部品に面するアクチュエータの領域に配置すると好ましい。
【0041】
このように、アクチュエータの損傷または不具合は、この改良形態の場合、トランスポンダがアクチュエータのほぼ全長にわたって延びているので、よりよく認識できる。損傷の場合、少なくとも1つのラインまたはアンテナを切り離して、ループアンテナの誘導率を変更することができるであろう。したがって、別の無傷の信号ユニットの場合でも、トランスポンダが何も送らない、または変更された周波数で信号を送るため、不具合を認識できる。
【0042】
本発明の別の改良形態では、ブロック部材を解除方向に選択的に移動するために、ブロック部材に結合されている解錠スイッチが提供される。
これにより、システムの不具合がある場合に施錠装置を開にすることを可能にするために、好ましくは機械的に実現される緊急解錠手順をもたらすことが可能である。好ましくは、解錠スイッチは、不注意で閉じ込められたオペレータがいつでもエンクロージャから脱出できるようにするために、エンクロージャ内部に配置するべきである。
【0043】
本発明の好適な改良形態において、インターフェースによって信号を受信し、処理し、送信するように設計されている制御ユニットが提供される。インターフェースは少なくとも1つの結線を有し、結線が信号の送信または受信のいずれかのためにのみ実現される第1単方向モードと、結線が信号の送受信のために双方向結線の形態で実現される第2の選択的に起動可能なモードとを備える。
【0044】
この結果、いくつかの施錠装置を、適切なら別の安全デバイスにまとめて接続でき、制御デバイスはケーブリングによって接続されている。これに関連して、ケーブリングは、第2モードの場合に、施錠装置を直列に接続できるため、少数の線を使用して単純に実現できる。
換言すると、施錠装置は第2モードではバスラインによって制御できる。これに関連して、施錠装置の場合、選択的に起動可能なバスモードのときに、上流の直列接続されている施錠装置からの信号を入力によって受信し、適切なら処理して、施錠装置自体によって生成される信号とともに出力によって下流の直列接続されている施錠装置に、および最終的には制御デバイスに転送できるように、内部バスを設けることができることが認められる。
【0045】
このように安全装置が実現でき、制御デバイスはバスによって環状的または直線的に施錠装置に、および少なくとも1つの別の施錠装置または少なくとも1つの安全デバイスにリンクされている。とくに、分散した信号線の場合に必要であろう星形ケーブリングを回避できる。このような安全装置はほとんど出費なく、既存のケーブリングに最小限の介入を必要とするのみで、設置、改造または拡張できる。
【0046】
本発明の前述の特徴および以下に述べる本発明の特徴は、それぞれの場合に明記される組み合わせだけでなく、本発明の構成を逸脱することなく他の組み合わせまたは単独で利用できることは言うまでもない。本発明の他の特徴および利点は、図面を参照していくつかの好適な実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明による施錠装置付き安全装置を備えるシステムの模式的な斜視図を示す。
図2】本発明のドア側部品の分解した状態の斜視図を示す。
図3図2によるドア側部品の側面図を示す。
図4】本発明の施錠装置の部分図を示す。
図5図4による図の詳細図を示す。
図6】本発明の施錠装置のフレーム側部品ハウジングの部分断面図を示す。
図7】解錠スイッチを備える本発明の施錠装置の斜視図を示す。
図8】ドア側部品の別の構成による本発明の施錠装置の前面図を示す。
図9図8による施錠装置の側面図を示す。
図10】ブロック部材を取り外している状態のフレーム側部品ハウジングの斜視図を示す。
図11図10によるフレーム側部品ハウジングの前断面図を示す。
図12】本発明の別の施錠装置のフレーム側部品の部分斜視図を示す。
図13図12によるフレーム側部品に供給可能なドア側部品の斜視図を示す。
図14図12によるフレーム側部品および図13によるドア側部品を備える本発明の施錠装置の斜視図を示す。
図15】本発明の施錠装置を2つ備える安全装置の略模式ブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1は、本発明の一実施形態による施錠装置22付き安全装置を示しており、全体に参照番号10を付している。安全装置10はロボット12の動作を防護するために設計されている。このために、ロボット12を完全に囲むことのできるエンクロージャ14が設けられている(ここでは部分的にしか図示されていない)。
言うまでもなく、この種の安全装置は機械工具類、加工センター、鋳造機、搬送荷役装置、一般的に言うと、その動作が不注意な作業員にとって潜在的に危険となるおそれのある装置を包囲するために使用できる。とくに、この状況において、例えばプレスの場合の高い閉止力、例えば旋盤の場合の高い回転速度、および例えば荷役ロボットの場合の高速移動、ほとんど検出できない移動経路に関係する。さらに、エンクロージャ14はオペレータまたは他の人を、例えば騒音、振動などのエミッションから保護し、または包囲するシステムの有害物質の隔離のために使用できる。
【0049】
保守のため、充填、修理または他の理由のためにアクセスできるように、エンクロージャ14に囲まれるエリアを展開する必要がある。このために、エンクロージャ14は、固定部品とともに、例えば、ドアの相手構造物(door counterpart)16を有し、参照番号20を付された矢印でも示されるように、エンクロージャ14を開くために枢動可能な安全ドア18を有する。
【0050】
安全ドア18は、エンクロージャ14によって囲まれる空間にアクセスできるようにすることのできるスライドドア、折り戸、スライド格子戸、フラップまたは別のエレメントであってもよいことは理解されるであろう。
安全ドア18は、包囲するべきシステム、この場合ロボット12が動かなくなり、例えば工作機械スピンドルの場合、オーバーランが完全に静止した場合にのみ開くことができる。逆に、安全ドア18が確実に閉止しているときにのみ、運転させる、つまりロボット12にスイッチを入れることができる。
【0051】
この種の機能性は「タンブラ」と言われることが多い。したがって、タンブラ付き施錠装置22がエンクロージャ14に配置されており、フレーム側部品26がドアの相手構造物16に設けられて、ドア側部品28が安全ドア18に設けられている。
例として、安全装置10は2つの施錠装置22を有し、そのうちの1つを象徴的に示している。さらに、ロボット12の動作パラメータを監視するために測定用ピックアップなど、別の安全デバイス24を設けてもよい。安全デバイス24は、例えば、ロボット12の端位置、絶対もしくは相対加速、受ける負荷、または動作時間を検出または監視するために実現できる。
【0052】
施錠装置22および安全デバイス24は、ここでも単純化して示されているだけの接続ライン30によって制御デバイス36に接続されており、これは安全ライン32によって、ロボット12の動作を解除するために設計されている安全スイッチ34に接続されている。これは、とくに、施錠装置22が確実に閉止している場合にしか行えない。
タンブラはロボット12のスイッチを切った後に、所定の完全停止までの時間待って、この完全停止までの時間が経過した後にしか施錠を開にできないように達成できる。あるいは、施錠装置22の解除は、例えば安全デバイス24が監視するロボット12の実際の停止を特徴づける信号によって、もたらすことができる。このように、施錠装置22の時期尚早の解除を確実に防止するが、要求に合わせるために完全停止までの時間を短縮することができる。
【0053】
ネットワーク化された安全装置10、および施錠装置22と中央制御デバイス36との協働のより詳細な説明のために、ここで図15に関する以下の設計を参照する。
できるだけ故障のない作動および個別のアラインまたは調整作業なく単純な組立を確保できるようにするために、エンクロージャの安全ドアの施錠デバイスは、エンクロージャの偏差および変位、とくに安全ドアのドアの相手構造物に対するアライメントの偏差に関して一定の公差を有することが示されている。
【0054】
したがって、先行技術で周知の施錠装置は、オフセット、例えば設定動作により生じる垂直オフセットがある場合でも閉止および施錠できるが、このために施錠装置のコンポーネントに張力が生じ、その結果一方では摩耗が増え、他方では安全で故障のない作動がもはや保証できないような故障および不具合につながるおそれがあることが考えられる。これに関連して、機械およびシステムのエンクロージャの安全ドアは極めて大きな寸法および重量、例えばゆうに100kgを超える、200kgを超えるまたはさらにそれ以上の重量をもつ可能性があることを考慮しなければならない。そのため、例えばこのような重量のある安全ドアを急に閉止する場合に、施錠装置に莫大な衝撃負荷がかかる。したがって、周知の施錠装置は、本質的にはそれが操作または保守作業員による不正操作を防止する唯一のものであるため、タンブラを使用して実際に施錠するまでもなく、堅牢、剛性で比較的大きなコンポーネントを有する。その結果、多くを費やす周知の施錠装置の製造は多額の費用がかかることがあり、組立および調整作業は時間および費用の点で非常に高くつくことがある。
【0055】
これとは反対に、本発明の実施形態は、安全ドアとドアの相手構造物との間の当該公差を克服するために、しかしさらに、関与するコンポーネントにかかる負荷が限界内に維持されるように、施錠状態でも安全ドアとドアの相手構造物との間の一定の接続解除をもたらすために実現される弾性補償エレメントを提供する。
図2は本発明の一実施形態によるドア側部品28を示しており、これは例えば図1によるフレーム側部品とともに施錠装置22を形成できる。
【0056】
ドア側部品28は、弾性補償エレメント40が配置されているドア側部品ハウジング38(この場合、2つの部品で実現されている)を有する。補償エレメント40は、受け部42の周囲に配置されている複数の腹板41を有する。
図2によると、本質的に十字形を製造でき、例えば3つ以上の腹板41を用いて星形状の他の展開が考えられる。腹板41は断面が小さくなった領域を表す凹部44を有しており、それによって補償エレメント40の変形能が増す。
【0057】
受け部42から離れたその端部で、ジャーナル46が腹板41に配置されており、前記ジャーナルがアクチュエータフレーム51における補償エレメント40の好適な位置を決定する。
補償エレメント40は、受け部42によってドア側部品ハウジングに受け入れられ、ジャーナル46によってアクチュエータ48に受け入れられる。アクチュエータ48はアクチュエータ先端50とアクチュエータフレーム51とを含み、この場合には、ほぼ方形、とくに正方形のフレームとして実現されており、その角に補償エレメント40のジャーナル46が当たることができる。
【0058】
ドア側部品ハウジング38は受け形材52を有しており、そこに受け部42によって弾性補償エレメント40が配置される。
ドア側部品28はドア側部品ハウジング38によって安全ドア18に配置される。これは、例えば、取付用開口39のねじによってもたらすことができ、不正操作に対する安全性を高めるために市販の工具を使用してねじ接続が解除できないように、ねじ先をカバーする、またはねじ頭に特殊な形材を使用することが考えられよう。
【0059】
安全ドア18を閉止するとき、つまり、アクチュエータ48をフレーム側部品26に挿入するとき、ドア側部品28とフレーム側部品26との間の偏差および公差は弾性補償エレメント40によって補償できる。前記補償は、施錠装置22の閉止状態で安全ドア18とドアの相手構造物16との間にオフセットがあり続ける場合でも行うことができる。弾性補償エレメント40の変形能により、当該偏差の場合に、フレーム側部品26またはドア側部品28への過度な負荷が避けられる。
【0060】
補償エレメント40自体は、補償エレメント40の高いレベルの弾性にもかかわらず、いわばできるだけとくに柔軟な設計にも関わらず、外部からの補償エレメント40の損傷を回避できるように、アクチュエータフレーム51およびドア側部品ハウジング38(図9も参照)によって取り付けた状態で適切に保護されている。
図2図3および図9により、弾性補償エレメント40はとくにドア側部品ハウジング38に対するアクチュエータ48の変位を許し、この変位は図3の視界平面に平行な平面でドア側部品ハウジング38に対するアクチュエータ48の動きに対応することが分かる。一方で、前記変位は、例えば受け形材52を中心とする回転とすることができ、また、フレーム側部品26とドア側部品28との間に存在する相対位置偏差によって最終的に生じる直線変位、オフセットまたは複合移動も考えられる。
【0061】
変位を補償するために、腹板41は定められたように変形でき、例えば、曲がり、長くなりまたは同時に押圧される。弾性補償エレメント40の最大限の変形を決定し、したがって過度な伸長による損傷を回避できる変形ストッパ54が、ドア側部品ハウジング38に配置されている。弾性補償エレメント40の場合、凹部44と連動して、偏向が比較的小さいときには、例えば凹部44が補償エレメント40の高い柔軟度をもたらす場合に前進特性が生じることができるが、偏向が大きいときには補償エレメント40をある程度に動かなくする目的で変形ストッパ54が実現されている。
【0062】
図9を参照して、例えば、ドア側部品ハウジング38に対して横揺れするアクチュエータ48に対応する偏向は、これに関連してアクチュエータ48が非常に素早く動いてドア側部品ハウジング38に側方から当接できるため、より緊密に明白に画定できることがわかる。
本発明の安全装置22のブロックおよび解除を、図3図4および図5を参照しながら説明する。
【0063】
アクチュエータ48はアクチュエータ先端50を用いてフレームエレメント26の受け口66に挿入可能である。アクチュエータ48が受け口66に深く侵入しすぎるのを防ぐ挿入ストッパ56がアクチュエータ48に設けられている。
さらに、アクチュエータ48には、ブロック面58、60および凹部62が実現されている。この場合、ブロック面58、60は凹部62とともに、アクチュエータ48にほぼM字形の切り込みを形成する。
【0064】
受け口66の他に、フレーム側部品26は追加でブロック部材68および位置検出器69を有する。図4の展開によると、ブロック部材68はフレーム側部品ハウジング70に受け入れられている受け口66に配置されている。
図4は、ブロック位置に対応する位置を示している。アクチュエータ48は受け口66に挿入されて、そこでブロック部材68によって錠止されている。この状態では、安全ドア18は開くことができない。ロボット12は運転させることができる。
【0065】
対して、図5は受け口66の方向に供給されているときのアクチュエータ48を示している。
挿入しやすくするために、アクチュエータ48に誘導勾配72が実現されて、受け口66に誘導勾配74が実現されているので、変位があるとき、つまり施錠装置22が前記変位の補償のために実現されるときに、アクチュエータ48は受け口66への経路を確実に「見つける」。
【0066】
アクチュエータ48にはトランスポンダ76が配置されており、アンテナ78および信号ユニット80がライン82によって接続されている。位置検出器69(図5には図示していない)がトランスポンダ76の信号によってアクチュエータ48の挿入状態を検出するために実現されている。トランスポンダ76は好ましくはRFIDユニットとして実現される。信号はアンテナ78から位置検出器69に無線で送信される。位置検出器69は追加でトランスポンダ76にエネルギを供給するために実現できる。これは電磁波によってもたらすことができ、その影響下でアンテナ78のコイルは電圧を誘導できる。
【0067】
この代わりに、トランスポンダ76はアクティブRFIDユニットとしても実現でき、したがって例えばバッテリまたは個別の供給線によって、自己のエネルギ供給を有する。
図5によると、アンテナ78は信号ユニット80から明白な間隔があいている。アクチュエータ48の機械的損傷、例えば破損は、アクチュエータ48の重要な領域を通り抜けることができるライン82の不具合がある場合には、アンテナ78による信号送信がもはや起こりえないので、位置検出器が解除信号を出力できないため、このように認識できる。
【0068】
アクチュエータ48は、図5の配置から進んで、さらに受け口の方向に供給され、または前記受け口に挿入される(つまり、図5の右側に変位する)場合、まずアクチュエータ先端50はブロック部材68の挿入領域84に侵入して、誘導勾配72がブロック部材68のブロック対向面86に接触し、その結果、ブロック部材68は矢印93で示すように、エントレインメントシャフト90を中心に枢動する。さらに前進すると、ブロック部材68は、ブロック対向面86およびブロック対向面88とともに、ブロック面58、60によって形成されるアクチュエータの凹部に掛止できる。図4も参照。施錠装置22はこの状態で錠止される。
【0069】
例えば、削りくずまたは同様な他のものにより施錠装置22が汚損する場合、施錠状態で挿入領域84とともに空腔を画成する凹部62は、解錠プロセスを可能にすることもできる。したがって、安全ドア18を開くことができる。解錠するには、図4に図示する位置から進んでいるブロック部材68は、ブロック対向面86、88がブロック面58、60との係合から外れて案内されるように解除位置(図4および図5、つまり右回り)の方向に枢動しなければならず、その結果、アクチュエータ48はフレーム側部品26の受け口66から抜くことができる。これで凹部62は削りくずまたは他の異物が挿入領域84に侵入しても、ブロック部材68の所望の変位をブロックするのを防ぐことができる。換言すると、凹部62は、アクチュエータ48を解除位置で解錠するためにブロック部材68の十分な枢動角が自由に可動するままにするように当該異物を押し込むことのできる「隙間」を作る。
【0070】
ブロック部材68は、受け口66に設けられているストッパ対向面95とともに、ブロック位置の方向にブロック部材68の枢動を制限するストッパ94も有する。
ブロック部材68の駆動装置は、図6図10および図11を参照して説明される。
ブロック部材68は、軸91を中心に枢動可能なエントレインメントシャフト90のエントレインメント形材92で受け止められる。図10はブロック部材68が受け口66とともにフレーム側部品26から取り外されている状態を示している。エントレインメントシャフト90の駆動はアクチュエータ96によって行われ、これは図6および図11に単純化してソレノイド磁石として示している。アクチュエータ96はフレームに固定されている容器98および変位可能な誘導器100を有する。
【0071】
誘導器100は、結合駆動装置103を推進するために、矢印102で示すように、並進運動を行うために実現されている。図6により、結合駆動装置103は矢印106で示すように枢動可能な結合部材104を有する。さらに、結合部材108の運動は純粋に並進性ではないが、矢印110で示すように、本質的に変位可能な結合部材108を有する。結合部材108は、矢印93で示すように、別の結合部材112を枢動するためにそれに作用する。ブロック部材68がエントレインメントシャフト90によって、回転取付されて結合部材112に接続されている。さらに、ブロック位置の方向にブロック部材68に負荷を加える安全ばね114がフレーム側部品ハウジング70に設けられている。安全ばね114は別の結合部材116によって、例えば矢印118で示す方向に、結合部材112に作用し、そのためブロック部材68に作用する。
【0072】
この種の設計は通常のケースに対応する。ブロック部材68は、アクチュエータ96に電流が供給されていない状態にあり、ブロック位置の方向に恒久的に押される(図5によると、左回りに押される)。アクチュエータ96に電流が供給される状態では、アクチュエータはブロック部材68を解除位置の方向でばねに押し当てる。
特定のアプリケーションの場合、前記原理を逆にすることができる。一実施形態はブロック部材を電流がない状態で解除位置に向かって押すことになり、電流がある場合にのみブロック位置のままである。
【0073】
光学センサ、例えばライトバリアとして象徴的に示している不正操作検出器119を、フレーム側部品ハウジング70に配置している。結合部材112に凹部113が設けられており、凹部はライトバリアからの光を結合部材112の一定の枢動位置に通過させて、それによって不正操作検出器119に反応させるように設計されている。図10の図に対応する状態はこのように認識できる、つまり、ブロック部材68がフレーム側部品26から抜かれている状態である。このために、受け口66またはブロック部材68にストッパ94またはストッパ対向面95が実現されており、前記ストッパまたはストッパ対向面は、上記で説明するように、ブロック位置の方向にブロック部材68の枢動を制限する。ストッパ94がストッパ対向面95に当接する場合(図5の図とは逆に)、安全ばね114はブロック部材68をストッパの方向にさらにプレテンションすることが考えられる。
【0074】
結合部材112の枢動も、ストッパ94によって制限される。ブロック部材68は、適切な場合受け口66とともに、今度はフレーム側部品26から取り外されている場合、前記位置的な制限は結合部材112には適用されない。安全ばね114によるプレテンションがまだ存在するため、結合部材112は図6に図示する位置にさらに枢動できる。この位置で、包囲し錠止するべき機械が運転されるのを防ぐために、凹部113は不正操作検出器119の経路を開き、信号を出力できる。
【0075】
図7は、解錠スイッチ120を含むフレーム側部品26を示す。解錠スイッチ120は、例えば、オペレータが不注意にエンクロージャ内に閉じ込められた場合に、施錠装置22の緊急解錠を可能にする。このために、解錠スイッチ120は例えばドアの相手構造物16に配置されている。とくに、解錠スイッチ120はエンクロージャの外部から起動可能であるべきではない。
【0076】
解錠スイッチ120は、機械的に、この場合ボーデンケーブル124によってフレーム側部品に結合されている回転ノブ122を有する。回転ノブ122の起動は、ボーデンケーブル124によって、例えば結合部材112によって間接的に解除位置の方向にブロック部材68の枢動をもたらし、その後潜在的に危険なエリアから離れることができるように安全ドア18を開くことができる。
【0077】
本発明の施錠装置22の多様なアプリケーションを図8図9および図10によって示すことができる。
すでに述べたように、ブロック部材68はエントレインメントシャフト90のエントレインメント形材92に確動ロック式に配置されている。ブロック部材68は、適切な場合、受け口66とともに、エントレインメントシャフト90またはフレーム側部品ハウジング70から分離して、回転させて、さらに新たな位置に組み立てることができる。
【0078】
それぞれの場合にドア側部品28の供給方向を表し、エントレインメント形材92が正方形として実現される結果得られる変型例が、図8に28、28’および28’’で示されている。したがって、1つだけの実施形態を使用して、とくに部品を交換または取り替える必要なく、施錠装置22のもっとも異なる設置条件への適応は、フレーム側部品26の単純な変換によって行うことができる。このように、図8のドア側部品28の供給方向は、例えば、左側に開くスライドドアに適し、ドア側部品28’’の供給方向は右側に開くスライドドアに適し、ドア側部品28’の供給方向は上部に配置されている回転シャッターに適する。
【0079】
フレーム側部品126は、図8の参照番号126が付されている接続プラグによって接続ライン30に接続できる。
図11は、アクチュエータと結合部材との間に接続されている代替結合駆動装置を示している。例えば図7による解錠スイッチ120のボーデンケーブル124を挿し込むことのできる凹部128が、結合部材に配置されている。
【0080】
図12図13および図14は、本発明による施錠装置22aの代替実施形態を表す。
図12はフレーム側部品26aを示しており、これはアクチュエータ48a(図13を参照)を錠止するために並進状に変位可能なブロック部材68aを有する。円錐対向面134を有し、アクチュエータ48aを挿入できる円錐座面130もフレーム側部品26aに実現されている。このために、アクチュエータ48aは適切な円錐面133を有する。アクチュエータ48aのために容器状の受け口がある。アクチュエータ48aは弾性補償エレメント40aによってドア側部品28aに受け止められる。
【0081】
円錐座面130は、図14の矢印132、132’、132’’で示すように、アクチュエータ48aが回転対称の展開のためにさまざまな方向から供給できるようにする。
アクチュエータ48aを錠止するために、凹部131に配置されているブロック面58a、60aも前記アクチュエータに実現されている。これに関連して、可能なさまざまな供給方向132、132’、132’’のために、ブロック面58a、60aのアクチュエータ48aのさまざまな位置へのアクセス可能性も確保しなければならないことに留意する。
【0082】
図14は、アクチュエータ48aが供給方向132’に沿って円錐座面130に挿入されて、ブロック部材68aがブロック面86aとともにブロック面60aに押し当てられることによって錠止されている状態を示している。したがって、アクチュエータ48aの円錐座面130からの解除が防止されているので、施錠装置22aの閉止状態が確保される。ドア側部品28aが施錠装置22aの開放位置の方向に、つまり、例えば図14の矢印132’の反対に負荷が加えられる場合、円錐座面130が前記負荷の大部分を引き受けることができ、本質的にアクチュエータ48aを円錐座面130から解除されないようにするだけでよいブロック部材68aは前記負荷の小さな割合に耐えるだけでよいことも付言しておかなければならない。したがって、施錠装置22aが高い力に耐えることができながら、ブロック部材68aは比較的小型に実現できる。
【0083】
図15は、2つの施錠装置22、1つの制御デバイス36および2つの安全スイッチ34を備える安全装置10の配線回路の略模式図を示す。前述したように、安全装置10は別の安全デバイスを含むことができる。
制御デバイス36は、システムインターフェース148によって施錠装置22から信号を受信するように設計されており、それを処理して、その機能として、機械またはシステムを運転させるまたは電源を切ることができるように、システムインターフェース150によって安全スイッチ34を起動するように設計されている。
【0084】
ケーブリングおよび接続に関する出費を最小限にするために、いくつかの施錠装置22を結合して、それを共通のラインによって制御デバイス36に接続することが考えられる。この場合、ラインは、個別のケーブリングに比べて必要な導体が少なくてすむように、バスラインとして有利に実現されている。
施錠装置22は制御ユニット140を有しており、これはインターフェース141によって制御デバイス36に接続されており、これは単方向または双方向結線として実現できる複数の結線142を有する。
【0085】
結線142a、142b、142c、142eおよび142fは双方向結線として実現されている一方、結線142d、142gおよび142hは単方向結線として実現されている。施錠装置22の結線142の数は、システムインターフェース148によって制御デバイス36に供給される導体の数よりも多いことが認識できる。これは個々の結線の信号をバス方式でバスモードに束ねる内部バス146を使用して可能にすることができ、それを少ない数の導体によって制御デバイスに利用できるようにする。
【0086】
いくつかの施錠装置22を結合または接続するために、原則として信号の入力用ではなく出力のためにのみ実現されている個々の結線142を双方向モードで動作させて、信号の出力とともに、別の施錠装置22からくる信号も受信できるようにすることが考えられる。この場合も、上流に配置されている施錠装置22の受信信号はバス方式で準備できるので、現在の施錠装置22の信号とともにバス方式で下流に配置されている別の施錠装置22(図示せず)に送信できる。
【0087】
1つの施錠装置22で生成される信号を束ねる役目を果たす内部バスモードと、いくつかの施錠装置22が接続されている場合に信号を束ねる役目を果たす外部バスモードはともに、施錠装置22も完全に独立して動作でき、個別に配線または起動できるように選択的に起動できる。
図15の図によると、結線142dは制御デバイス36に結合されていない。これは例えば、図6によるアクチュエータ96に供給電圧を提供する例えば給電線とすることができる。あるいは、前記給電線は制御デバイス36に結合することもできる。
【0088】
そのため、施錠装置は、単純な設計で、確実に作動させることができ、作動時には高いレベルのロバスト性、とくに施錠するべきコンポーネントの展開偏差に関して大きい公差によって特徴づけられ、さらに多方向に配置することができ、少額の出費でとくに単純に接続またはネットワーク化できる施錠装置が提供されている。
図1
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図11
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図13
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図15