(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、有効とされた前記出力抑制機能を無効にするか、あるいは前記出力抑制機能を継続して有効にするかの判断を、前記キー入力がないと判断した後、所定時間の経過後に行う請求項1記載の入力装置。
キー入力時間を保存可能な保存部を備え、前記制御部では、前記キー入力がないと判断した後、前記保存部に保持された最後のキー入力時間から所定時間を経過したか否かを判断し、前記最後のキー入力時間から所定時間を経過しているときは、続いて、前記タッチ入力信号に基づいてタッチ状態であるかないかを判断し、タッチ状態でないと判断したとき、有効とされた前記出力抑制機能を無効にし、タッチ状態であると判断したとき、前記出力抑制機能を継続して有効とする請求項2記載の入力装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、操作者が、パーソナルコンピュータの前で、次に打つ文章を頭の中で考えている場合などに、なにげなく指をキーボード上に軽く載せ、手のひらの手首に近い部分をタッチパッド上に載せた状態が長い時間、続くことがある。このとき、特許文献1の制御方法では、キー入力を止めてから所定時間経過後に、タッチパッド上への手のひらの接触に基づいてタッチ操作信号が出力される問題があった。このとき出力されるタッチ操作信号は、操作者の意思に基づくものでなく、タッチ操作信号の出力により画面上のカーソルが動いたり、画面がスクロールし始めるなど、操作者の意図しない画面表示の変化が生じてしまい、タッチパッドの誤操作が発生することがあった。
【0006】
そこで本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、特に、従来に比べてタッチパッドの誤操作を適切に防止できるようにした入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における入力装置は、
キー入力信号を出力するキー入力部と、
タッチ入力信号を出力するタッチ入力部と、
前記キー入力部及び前記タッチ入力部にそれぞれ接続され、前記タッチ入力信号に基づいてタッチ操作信号を出力する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記キー入力に基づいてキー入力ありと判断したとき、前記タッチ操作信号に対する出力抑制機能を有効にし、前記タッチ入力信号に基づきタッチ状態であると判断したとき前記出力抑制機能を継続して有効とし、前記キー入力信号及び前記タッチ入力信号に基づき、キー入力がなくかつタッチ状態でないと判断したとき前記出力抑制機能を無効にすることを特徴とするものである。
【0008】
本発明では、キー入力がされていないことのみならず、タッチ状態でないことも、タッチ操作信号に対する出力抑制機能の無効条件としている。したがって、出力抑制機能が有効とされたあと、例えば、指をキー入力部上に軽く載せ、手のひらの手首に近い部分をタッチ入力部上に載せた状態が長く続いても、この状態では、タッチ状態でないという条件を満たさないから、出力抑制機能は無効とされない。このように本発明では、キー入力部を操作しない時間の長さにかかわらず、手をキー入力部とタッチ入力部の双方から離すことではじめて、有効とされた前記出力抑制機能を無効にできるため、従来に比べて、タッチ入力部の誤操作を適切に防止することができる。
【0009】
本発明では、前記制御部は、有効とされた前記出力抑制機能を無効にするか、あるいは前記出力抑制機能を継続して有効にするかの判断を、前記キー入力がないと判断した後、所定時間の経過後に行うことが好ましい。これにより、より安定してタッチ入力部の誤操作を防止することができる。
【0010】
また本発明では、キー入力時間を保存可能な保存部を備え、前記制御部では、前記キー入力がないと判断した後、前記保存部に保持された最後のキー入力時間から所定時間を経過したか否かを判断し、前記最後のキー入力時間から所定時間を経過しているときは、続いて、前記タッチ入力信号に基づきタッチ状態であるかないかを判断し、タッチ状態でないと判断したとき、有効とされた前記出力抑制機能を無効にし、タッチ状態であると判断したとき、前記出力抑制機能を継続して有効とする構成にできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、キー入力信号が出力されていないことのみならず、タッチ状態でないことも、タッチ操作信号に対する出力抑制機能の無効条件としている。したがって、出力抑制機能が有効とされたあと、例えば、指をキー入力部上に軽く載せ、手のひらの手首に近い部分をタッチ入力部上に載せた状態が長く続いても、この状態では、タッチ入力信号が出力されていないという条件を満たさないから、出力抑制機能は無効とされない。このように本発明では、キー入力部を操作しない時間の長さにかかわらず、手をキー入力部とタッチ入力部の双方から離すことではじめて、有効とされた前記出力抑制機能を無効にできるため、従来に比べて、タッチ入力部の誤操作を適切に防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本実施形態における入力装置を備えたノートブック型のパーソナルコンピュータの斜視図である。
図2は、本実施形態における入力装置のブロック図である。
【0014】
図1に示すパーソナルコンピュータ(電子機器)1は、機器本体2と蓋体部3とが折り畳み可能に連結されている。機器本体2の表面の操作盤には、キーボード(キー入力部)4と、タッチパッド(タッチ入力部)5が設けられている。前記蓋体部3の手前側の面には、表示画面6が設けられている。タッチ入力部は、タッチして操作できるポインティングデバイスであれば、タッチパッドに限定されるものでない。またキー入力部は、キーボードに限定されない。例えばゲーム機の操作ボタンなどもキー入力部に該当する。タッチ入力部はキー入力部の近傍に配置される。ここで近傍とは、キー入力部を指で操作しているときに、手の一部がタッチ入力部に対向する程度に、キー入力部とタッチ入力部との間が近い状態である。
【0015】
図1,
図2に示すように、タッチパッド5は、表面に位置する入力操作面7と、入力操作面7の裏面側に位置する検知部10とを備えて構成される。検知部10は、入力操作面7上を指(指示体)で操作したときに操作位置を検知可能な例えば静電容量式センサである。静電容量式センサでは、指を入力操作面7上で操作したときに変化する容量変化に基づいて操作位置の平面座標を知ることができる。
【0016】
図2に示すようにキーボード4及びタッチパッド5は、入力装置9の一部を構成している。また入力装置9は電子機器1の機器本体2の一部を構成している。
図2に示すように入力装置9は、機器本体2内の本体制御部16に接続されている。
【0017】
キーボード4を押圧操作することでキーボード4からキー入力信号が入力装置9の制御部11に送信される。
図2に示す実施形態では、保存部12にて、キーボード4の各キーを操作した時刻が保存されるようになっている。
【0018】
操作者が指でキーボード4を操作することで、制御部11では、キー入力信号を本体制御部16に送信し、表示装置の表示画面6には、キーボード4への操作に連動して文字などが表示される。
【0019】
また、指でタッチパッド5の入力操作面7上を操作すると、タッチ入力信号が、制御部11に送信される。制御部11ではタッチ入力信号に基づいてタッチ操作信号を本体制御部16に出力する。タッチ入力信号及びタッチ操作信号は同じ位置座標であってもよいし、あるいはタッチ操作信号は、タッチ入力信号に基づく時間経過に伴うXY座標変化量などである。
【0020】
タッチ操作信号が本体制御部16に送られると、表示装置の表示画面6では、例えば、
図1に示すカーソル(マウスポインタ)15が、指の操作と連動して動くように制御される。
【0021】
図3(a)は、操作者の手13の指14で、キーボード4の一つのキー4aを押圧操作した状態を示している。
図3(a)では、手のひら13aはタッチパッド5から上方に離れた位置にある。
図3(a)の操作状態では、キーボード4から制御部11にキー入力信号が送信される。
【0022】
図3(b)は、
図3(a)と同様に、指14でキー4aを押圧操作しているが、
図3(b)と違って、手のひら13aの一部(手首に近い部分)がタッチパッド5上に接触している。
図3(b)に示す操作状態では、キーボード4からのキー入力信号が優先して表示画面6にキー入力に基づく表示がなされる。すなわち
図3(b)の操作状態ではタッチパッド操作を無効にすることができる。
【0023】
図3(c)は、
図3(b)の状態から指14を上方に上げており、このとき指14がキー4a上に接触してはいるがキーボード4に対する操作がなされていない。
図3(c)では、
図3(b)と同様に、手のひら13aの一部がタッチパッド5上に接触している。よって
図3(c)では、タッチパッド5からタッチ入力信号が制御部11に送信されているが、キー入力信号は制御部11に送信されていない。
【0024】
図3(d)は、指14及び手のひら13aの双方をキーボード4及びタッチパッド5から上方に離した状態である。
図3(d)では、キー入力信号及びタッチ入力信号の双方が生成されない。
【0025】
図3(e)は、指14でタッチパッド5の入力操作面7上を操作している状態を示す。
図3(e)では、タッチパッド5からタッチ入力信号が制御部11に送信され、制御部11ではタッチ入力信号に基づいてタッチ操作信号が生成される。タッチ操作信号は本体制御部16に送られ、例えば、指14の動きに連動して、
図1に示す表示画面6内のカーソル15を動かすことができる。
【0026】
ところで
図3(c)は、操作者がキーボード4及びタッチパッド5の双方を操作する意思のない状態である。すなわち例えば
図3(c)は、操作者が無意識に手13をタッチパッド5上及びキーボード4上に軽く置き、表示画面6に対する次の操作を模索している段階などである。
【0027】
このとき
図3(c)の状態では手のひら13aの一部がタッチパッド5の入力操作面7上に接触しており、タッチパッド5からタッチ入力信号が制御部11に送信されるため、従来では、時間制御によりタッチパッド操作を一時的に無効にして、タッチパッド5への誤操作を防止していた。
【0028】
しかしながら時間による制御方法では、所定時間が経過しても
図3(c)の状態が維持されていれば、所定時間経過後にタッチパッド操作が有効になってしまい、タッチパッドの誤操作を適切に防止できなかった。
【0029】
そこで本実施形態の入力装置9では、
図4に示すフローチャートに示す制御方法にて
図3(c)の状態が維持されてもタッチパッドの誤操作を適切に防止できるようにした。以下、
図4のフローチャートについて説明する。
【0030】
図4のステップST1では、キーボード4に対するキー入力の有無を判断する。制御部11では、キーボード4からのキー入力信号の送信の有無により、キー入力の有無を判断できる。
【0031】
図3(a)(b)の操作がされた場合、いずれもキー入力信号が制御部11に送信されるから、キー入力ありと判断され、ステップST2に移行する。ステップST2では、タッチ操作信号に対する出力抑制フラグをONにする。
【0032】
次に、ステップST3では、キーボード4からの各キー入力信号の検出時刻を保存部12(
図2参照)にて保存する。
【0033】
次に、ステップST4では、タッチ操作信号に対する出力抑制フラグがONになっているか否かを判断する。ステップST2でONになっているので、ステップST5に移行する。ステップST5では、タッチ操作信号に対する出力抑制機能をON(有効)にする。
【0034】
ステップST5で出力抑制機能が有効とされると、例えば
図3(b)のように、手のひら13aがタッチパッド5上に接触していてもタッチパッド操作は無効になっており(制御部11にてタッチ操作信号が生成されない。あるいはタッチ操作信号が本体制御部16に出力されない)、したがって
図3(b)では、指14によるキーボード4の操作のみが有効な状態になっている。
【0035】
図4に示したフローは終了後に最初に戻って繰り返される。ステップST5からステップST1に戻ってキーボード4へのキー入力があると判断されると、タッチ操作信号に対する出力抑制機能は有効であり続ける。ステップST5からステップST1に戻ってキー入力がないと判断されると、ステップST6に移行する。例えば
図3(c)の状態である。
図3(c)では、指14でキー4aを押圧操作していないので、キー入力信号が生じておらず、したがって制御部11ではキー入力がないと判断する。
【0036】
ステップST6では、最後のキー入力から所定時間が経過しているか否かを判断する。ここで「最後のキー入力」とは、ステップST1でキー入力がないと判断したときに、ステップST3に保存されたキー入力の最後の検出時刻を指す。このようにステップST6では、キー入力の最後の検出時刻から所定時間が経過しているか否か(
図3(b)から
図3(c)の状態に移行して所定時間経過しているか否か)を判断する。
【0037】
所定時間経過していなければステップST4に移行し、ステップST5にて出力抑制機能の有効状態が維持される。再び、ステップST1に戻り、ステップST1でキー入力がないと判断されれば再びステップST6で最後のキー入力から所定時間が経過しているか否かを判断する。
【0038】
ステップST6で、最後のキー入力から所定時間が経過したと判断されるとステップST7に移行する。ステップST7では、手13(操作体)がタッチパッド5に接触しているか否かを判断する。
【0039】
図3(c)の状態では、手のひら13aの一部がタッチパッド5の入力操作面7上に接触しているので、タッチパッド5から制御部11にタッチ入力信号が送信される。タッチ入力信号の出力を受けて制御部11ではタッチパッド5に接触した状態であると判断できる。タッチパッド5に接触していると判断されるとステップST4に移行する。よって、
図3(c)のように、指14によるキーボード4への操作を止めたときに、手のひら13aがタッチパッド5の入力操作面7上に接触していても、タッチ操作信号に対する出力抑制機能はON(有効)の状態を維持し続ける(ステップST5)。したがって本実施形態では
図3(c)の状態において、タッチパッド5の誤操作が生じるのを防止することができる。
【0040】
一方、ステップST7にて、手13(操作体)がタッチパッド5に接触していないと判断されるとステップST8に移行する。
【0041】
このステップST7で、手13がタッチパッド5に接触していない状態とは
図3(d)の状態である。すなわち手13が、タッチパッド5及びキーボード4の双方から離れた状態である。
【0042】
ステップST8では、タッチ操作信号に対する出力抑制フラグをOFFにする。これによりステップST4からステップST9に移行し、タッチ操作信号に対する出力抑制機能が無効(OFF)とされる。よって
図3(d)から
図3(e)に移行したときにタッチパッド操作を適切に行うことができる。
【0043】
通常、
図3(a)(b)に示すキーボード入力から
図3(e)のタッチパッド操作に移行する場合、
図3(d)に示すように手13を、一旦、キーボード4及びタッチパッド5の双方から離すため、ステップST1からステップST6、ステップST7、ステップST8のルートを通り、したがって有効とされた出力抑制機能をステップST9で無効にすることができる。
【0044】
このように本実施形態では、、キー入力信号及びタッチ入力信号の双方が出力されておらず、キー入力がなくかつタッチ状態でないと判断したときに、出力抑制機能を無効にできるようにした(
図4のステップST1からステップST7、ステップST8、ステップST4、ステップST9を通るルート)。
【0045】
例えば
図3(b)から
図3(c)の状態に移行したときは、タッチ入力信号は出力状態にあってタッチ状態であると判断されているため、出力抑制機能は無効とされず、有効状態が維持されることになる。したがって本実施形態では従来と異なって、キーボード操作をしない時間の長さにかかわらず、タッチパッド5の誤操作を適切に防止することができる。
【0046】
図4のフローチャートではステップST6で最後のキー入力から所定時間が経過しているか否かを判断している。すなわちステップST6は所定時間、キーボード入力が行われていないか否かを判断している。ステップST1からステップST6、ステップST7、ステップST8に移行しても、途中でキーボード入力があればステップST1からステップST2〜ステップST5へと移行するルートを辿るように制御されている。
【0047】
ステップST6のように所定時間の経過を判断材料の条件にしているのは、例えば
図3(a)の状態から指14を上げてキーボード入力を止めた後、すぐに
図3(c)の状態に移行する場合があるが、かかる場合を考察すると、
図3(a)の状態から指14によるキーボード入力を止めると、この時点では手のひら13aはタッチパッド5から離れているので、ステップST6がないとステップST1からステップST7にすぐさま移行し、ステップST7でタッチパッド操作がないとしてステップST8に移行して、出力抑制機能が無効(OFF)になる(ステップST9)。しかし、次の瞬間、
図3(c)のように手のひら13aをタッチパッド5の入力操作面7上に置いてしまうと、出力抑制機能が無効(OFF)になっているのでタッチパッド操作は有効状態になっており、タッチパッド5の誤操作に繋がる。よって、キー入力がない状態が所定時間経過したことを条件の一つとして出力抑制機能を無効(OFF)にすることで、より安定してタッチパッド5の誤操作を防止することができる。
【0048】
なお、
図3に示す各操作状態はあくまでも一例であって、
図3に示す操作状態以外の操作についても本実施形態は適用することができる。
【0049】
また、本実施形態における入力装置9は、
図1に示すパーソナルコンピュータなどの電子機器や携帯機器、ゲーム機等に組み込むことができる。