(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カバー層は上部カバー層及び下部カバー層を含み、前記カバー層の厚さtは上部カバー層と下部カバー層の厚さの算術平均値である請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
前記カバー層は上部カバー層及び下部カバー層を含み、前記カバー層の厚さtは上部カバー層と下部カバー層の厚さの算術平均値である請求項5に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は積層セラミック電子部品、その製造方法、積層セラミック電子部品が内蔵された印刷回路基板及び積層セラミック電子部品の研磨装置を提供する。
チッピング不良を防止し、容量減少による容量不良を改善できる最適化されたセラミック本体の研磨寸法が適用された積層セラミックキャパシタを提供する
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態は、誘電体層、カバー層、及び上記誘電体層を介して対向配置される第1内部電極及び第2内部電極を含む0603サイズのセラミック本体と、上記第1内部電極と電気的に連結される第1外部電極及び上記第2内部電極と電気的に連結される第2外部電極とを含み、上記セラミック本体のL−T断面において、一辺が上記セラミック本体の第1主面の中心部と平行で、且つ対角線方向の頂点が上記セラミック本体の外部面に位置する一辺の長さが30μmである正方形を定義し、上記正方形内でセラミック本体を除いた領域の広さをA−out、上記カバー層の厚さをtとするとき、10μm
2≦A−out及びA−out/t≦3.5
μmを満たす積層セラミックキャパシタを提供する。
【0010】
上記セラミック本体は、焼成後の厚さが0.12mm以下であってもよい。
【0011】
上記カバー層は上部カバー層及び下部カバー層を含み、上記カバー層の厚さtは上部カバー層と下部カバー層の厚さの算術平均値であってもよい。
【0012】
本発明の他の実施形態は、電子部品を収容するための溝が備えられた回路基板と、誘電体層、カバー層、及び上記誘電体層を介して対向配置される第1及び第2内部電極を含む0603サイズのセラミック本体、上記第1内部電極と電気的に連結される第1外部電極及び上記第2内部電極と電気的に連結される第2外部電極を含み、上記セラミック本体のL−T断面において、一辺が上記セラミック本体の第1主面の中心部と平行で、且つ対角線方向の頂点が上記セラミック本体の外部面に位置する一辺の長さが30μmである正方形を定義し、上記正方形内でセラミック本体を除いた領域の広さをA−out、上記カバー層の厚さをtとするとき、10μm
2≦A−out及びA−out/t≦3.5
μmを満たし、上記溝に配置される積層セラミックキャパシタと、を含む積層セラミックキャパシタ内蔵型回路基板を提供する。
【0013】
本発明の他の実施形態は、セラミックグリーンシートを設ける段階と、内部電極用導電性ペーストを利用して上記セラミックグリーンシート上に内部電極パターンを形成する段階と、上記内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートと内部電極パターンの形成されないセラミックグリーンシートを積層した後に焼成し、内部に対向するように配置される第1及び第2内部電極、誘電体層及びカバー層を含む0603サイズのセラミック本体を形成する段階と、上記セラミック本体の角部を研磨する段階と、上記第1内部電極と電気的に連結される第1外部電極及び上記第2内部電極と電気的に連結される第2外部電極を形成する段階と、を含み、上記セラミック本体のL−T断面において、一辺が上記セラミック本体の第1主面の中心部と平行で、且つ対角線方向の頂点が上記セラミック本体の外部面に位置する一辺の長さが30μmである正方形を定義し、上記正方形内でセラミック本体を除いた領域の広さをA−out、上記カバー層の厚さをtとするとき、10μm
2≦A−out及びA−out/t≦3.5
μmを満たす積層セラミックキャパシタの製造方法を提供する。
【0014】
上記セラミック本体は、焼成後の厚さが0.12mm以下であってもよい。
【0015】
上記カバー層は上部カバー層及び下部カバー層を含み、上記カバー層の厚さtは上部カバー層と下部カバー層の厚さの算術平均値であってもよい。
【0016】
本発明のさらに他の実施形態は、重力に垂直な方向の回転軸を有する公転テーブルと、上記公転テーブルの一面に配置され、重力に垂直な方向の回転軸を有し、0603サイズのセラミック本体と研磨媒体が投入される研磨槽と、上記研磨槽の回転を制御する研磨槽回転制御部と、上記公転テーブルの回転を制御する公転テーブル回転制御部とを含み、上記研磨槽の回転軸と上記公転テーブルの回転軸は平行で、且つ異なる位置に形成される研磨装置を提供する。
【0017】
上記研磨槽の回転を自転、上記公転テーブルの回転を公転とするとき、自転速度/公転速度は整数ではない有理数であってもよい。
【0018】
上記0603サイズのセラミック本体は誘電体層、カバー層、及び第1及び第2内部電極を含み、焼成後の厚さが0.12mm以下であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、セラミック本体同士または他の部品との衝突によりセラミック本体が損傷するチッピング不良を防止することができ、容量減少による容量不良を改善することができる最適化されたセラミック本体の研磨寸法が適用された積層セラミックキャパシタを提供することができる。
【0020】
また、本発明は研磨効率が高く、偏研磨現象を減少させることができる積層セラミックキャパシタの研磨方法及び研磨装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0023】
<積層セラミックキャパシタ100>
図1は本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタ100を示す斜視図であり、
図2は
図1のX−X’断面図である。
【0024】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施形態による基板内蔵用積層セラミックキャパシタはセラミック本体10と、第1及び第2外部電極31、32を含む。
【0025】
上記セラミック本体10は、キャパシタの容量形成に寄与する部分としてのアクティブ層と、上下マージン部としてアクティブ層の上下部にそれぞれ形成された上部及び下部カバー層12a、12bとを含んでもよく、上記アクティブ層は誘電体層11と内部電極21、22を含み、誘電体層11を介して複数の第1及び第2内部電極21、22が交互に形成されてもよい。
【0026】
本発明の一実施形態において、セラミック本体10の形状は特に制限されないが、実質的に六面体であってもよい。チップ焼成時のセラミック粉末の焼成収縮と内部電極パターンの有無による厚さの差及びセラミック本体の角部の研磨により、セラミック本体10は完全な六面体ではなく、実質的に六面体に近い形状を有することができる。
【0027】
本発明の実施形態を明確に説明するために、六面体の方向を定義すると、図面上に示されたL、W及びTはそれぞれ長さ方向、幅方向及び厚さ方向を示す。ここで、厚さ方向は、誘電体層が積層された積層方向と同じ概念で用いることができる。
【0028】
また、本実施形態では、説明の便宜のために、セラミック本体の厚さ方向に対向する二つの面を第1主面1及び第2主面2、幅方向に対向する二つの面を第1側面3及び第2側面4、長さ方向に対向する二つの面を第1端面5及び第2端面6に設定して説明する。
【0029】
上記セラミック本体は焼成後の厚さが0.12mm以下で、0603サイズであってもよい。0603サイズは焼成後のセラミック本体の長さ(L方向の長さ)が0.56mm±0.05mmで、幅(W方向の長さ)が0.28mm±0.05mmであることを意味する。
【0030】
上記内部電極は第1及び第2内部電極21、22からなり、第1及び第2内部電極は上記誘電体層11を介して対向配置されてもよい。第1及び第2内部電極21、22は異なる極性を有する一対の電極であって、誘電体層11上に導電性金属を含む導電性ペーストを所定の厚さで印刷し、誘電体層11の積層方向に沿ってセラミック本体の両端面を通じて交互に露出するように形成されてもよく、中間に配置された誘電体層11により互いに電気的に絶縁されることができる。
【0031】
即ち、第1及び第2内部電極21、22はセラミック本体10の両端面を通じて交互に露出する部分を介して第1及び第2外部電極31、32とそれぞれ電気的に連結されることができる。
【0032】
従って、第1及び第2外部電極31、32に電圧を印加すると、対向する第1及び第2内部電極21、22の間に電荷が蓄積される。このとき、積層セラミックキャパシタ100の静電容量は、第1及び第2内部電極21、22が重畳する領域の面積と比例する。
【0033】
このような第1及び第2内部電極21、22の厚さは、用途によって決まるが、例えば、セラミック本体10のサイズを考慮し、0.2〜1.0μmの範囲内とすることができ、本発明はこれに限定されない。
【0034】
また、第1及び第2内部電極21、22に含まれる導電性金属はニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、またはこれらの合金であってもよく、本発明はこれに限定されない。
【0035】
このとき、誘電体層11の厚さは積層セラミックキャパシタの容量設計に合わせて任意に変更することができ、1層の厚さは焼成後に0.1〜10μmとなるように構成することが好ましいが、本発明はこれに限定されない。
【0036】
また、誘電体層11は高誘電率を有するセラミック粉末、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO
3)系またはチタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)系粉末を含んでもよく、本発明はこれに限定されない。
【0037】
上部及び下部カバー層12a、12bは内部電極を含まないことを除き、誘電体層11と同じ材質及び構成を有することができる。上部及び下部カバー層は、単一誘電体層または2個以上の誘電体層をアクティブ層の上下面にそれぞれ上下方向に積層して形成したものであり、基本的に物理的または化学的ストレスによる第1及び第2内部電極21、22の損傷を防止する役割をすることができる。
【0038】
上記第1外部電極31は上記第1内部電極21と電気的に連結され、上記第2外部電極32は上記第2内部電極22と電気的に連結されることができる。第1及び第2外部電極31、32は導電性金属を含むことができ、上記導電性金属はニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、金(Au)またはこれらの合金であってもよく、本発明はこれに限定されない。
【0039】
以下、本発明の実施形態による積層セラミックキャパシタのセラミック本体10の寸法によるチッピング不良及び容量との関係を説明する。
【0040】
図3は本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタのセラミック本体10を示す斜視図であり、
図4は
図3のX−X’断面図である。
【0041】
図4を参照し、上部カバー層の厚さをt
1、下部カバー層の厚さをt
2と規定する。また、上記セラミック本体のL−T断面において、一辺が上記セラミック本体の第1主面の中心部と平行で、且つ対角線方向の頂点a、a’が上記セラミック本体の外部面に位置する一辺の長さが30μmである正方形Aを定義し、上記正方形内でセラミック本体を除いた領域の広さをA−out、上記下部カバー層及び上部カバー層の厚さの平均をtと規定する。
【0042】
上記第1主面の中心部とは、セラミック本体の長さ方向の1/2地点から左右側の長さ方向に10μmずつ延長した領域を意味することができる。
【0043】
ここで、上部カバー層12aの厚さは、セラミック本体の第1主面1の長さ方向に1/2及び幅方向に1/2である地点からアクティブ層の厚さ方向の最上部に形成された第1内部電極21までの距離を意味し、下部カバー層12bの厚さは、セラミック本体の第2主面2の長さ方向に1/2及び幅方向に1/2である地点からアクティブ層の厚さ方向の最下部に形成された第2内部電極22までの距離を意味する。ここで、上記tはt
1及びt
2の算術平均((t
1+t
2)/2)値である。
【0044】
焼成後に脆性を有するセラミック本体10は、積層セラミックキャパシタの製造工程のために搬送する過程で互いにぶつかって割れるチッピング不良がしばしば発生する。従って、チッピング不良を解決するために、上記セラミック本体の頂点と角部が緩い曲線状となるように一定部分が磨耗されてもよい。
【0045】
上記セラミック本体10の頂点と角部が一定水準以上磨耗されないと、チッピング不良が発生し、過度に磨耗されると、セラミック本体の端部と隣接するカバー層の厚さが薄くて内部電極21、22の酸化を防ぐことができず、最外角の内部電極が酸化されて容量減少が発生する。チッピング不良及び容量減少を防ぐために、0603サイズにおいて、上記セラミック本体は、10μm
2≦A−out及びA−out/t≦3.5
μmを満たすように磨耗されることができる。
【0046】
焼成後の厚さが0.12mm以下である0603サイズのセラミック本体において、A−outが10μm
2未満では、チッピング不良の発生頻度が高く、A−out/tが3.5
μmを超えると、内部電極の酸化により容量が減少する容量不良が発生する。
【0047】
従って、上記セラミック本体は、10μm
2≦A−out及びA−out/t≦3.5
μmを満たすことが好ましい。
【0048】
<実験例>
本発明の実施例と比較例による積層セラミックキャパシタは下記のように製作された。
【0049】
チタン酸バリウム(BaTiO
3)などの粉末を含んで形成されたスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥し、1.6μmの厚さに製造された複数個のセラミックグリーンシートを設ける。
【0050】
次に、上記セラミックグリーンシート上にスクリーン法を利用してニッケル内部電極用導電性ペーストを塗布することで内部電極を形成する。
【0051】
上記セラミックグリーンシートを約60層に積層するが、上下部は内部電極の形成されないセラミックグリーンシートを約20層積層した。この積層体を85℃で、1000kgf/cm
2の圧力条件で等圧圧縮成形(isostatic pressing)した。
【0052】
圧着が完了したセラミック積層体を個別チップの形態に切断し、切断したチップを大気雰囲気で230℃、60時間維持して脱バインダを行った。
【0053】
その後、1200℃で内部電極が酸化されないようにNi/NiO平衡酸素分圧より低い10
−11〜10
−10atmの酸素分圧下還元雰囲気で焼成した。焼成後の積層チップキャパシタのチップサイズは、長さ×幅(L×W)が約0.56mm×0.28mm(L×W、0603サイズ)であった。ここで、製作公差は長さ×幅(L×W)で±0.05mm内とし、これを満たす場合、研磨してチッピング不良及び容量減少による容量不良を測定した。
【0054】
設計容量に比べて実際容量が90%未満であるものの個数が1000個のうち20個以上のときを容量不良(○)、20個未満のときを正常(×)と規定する。
【0055】
研磨は後述する研磨装置を用いて行い、回転速度(RPM)は公転テーブルの回転速度を基準にした。
【0056】
その後、外部電極の形成工程を経て積層セラミックキャパシタに製作した。
【0058】
上記表1に示されたように、A−outが10μm
2未満のサンプル1、2及び5では、チッピング不良がかなり発生したが、A−outが10μm
2以上では、チッピング不良が全く発生しないことが分かる。
【0059】
また、A−out/tが3.5
μmを超えるサンプル8、12及び24では、最外角の内部電極の端部の酸化により容量不良が発生したが、3.5
μm以下では、容量不良が発生しない。
【0060】
従って、実験例からも、セラミック本体は10μm
2≦A−out及びA−out/t≦3.5
μmを満たすことが好ましいことが分かる。
【0061】
本実施形態によると、セラミック本体同士または他の部品との衝突によりセラミック本体が損傷するチッピング不良を防止することができ、容量減少による容量不良を改善することができる最適化されたセラミック本体の研磨寸法が適用された積層セラミックキャパシタを提供する。
【0062】
<積層セラミックキャパシタ内蔵型回路基板200>
図5は本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタ内蔵型回路基板200を示す断面図である。
【0063】
図5を参照すると、上記積層セラミックキャパシタ内蔵型回路基板200は、電子部品を収容するための溝が備えられた回路基板110と、誘電体層、カバー層、及び上記誘電体層を介して対向するように配置される第1及び第2内部電極を含む0603サイズのセラミック本体10、上記第1内部電極と電気的に連結される第1外部電極及び上記第2内部電極と電気的に連結される第2外部電極を含み、上記セラミック本体のL−T断面において、一辺が上記セラミック本体の第1主面の中心部と平行で、且つ対角線方向の頂点が上記セラミック本体の外部面に位置する一辺の長さが30μmである正方形を定義し、上記正方形内でセラミック本体を除いた領域の広さをA−out、上記カバー層の厚さをtとするとき、10μm
2≦A−out及びA−out/t≦3.5
μmを満たし、上記溝に配置される積層セラミックキャパシタと、を含んでもよい。
【0064】
本実施形態による積層セラミックキャパシタ内蔵型回路基板に関する説明のうち上述した積層セラミックキャパシタに関する説明と重なる内容は省略し、差異を中心に以下で説明する。
【0065】
上記回路基板110は絶縁層120が含まれた構造からなり、必要に応じて、
図4に示されたように、多様な形態の層間回路を構成する導電性パターン130及び導電性ビアホール140を含んでもよい。このような回路基板110は、内部に積層セラミックキャパシタを収容するために溝を含んでもよい。
【0066】
上記導電性ビアホールは、回路基板の内部に収容された積層セラミックキャパシタの外部電極と電気的に接続して外部から電力を供給することができる。
【0067】
<積層セラミックキャパシタの研磨装置300及び研磨方法>
図5を参照すると、本発明の他の一実施形態は研磨槽310と、公転テーブル320と、研磨槽回転制御部330と、公転テーブル回転制御部340とを含む研磨装置300を提供する。
【0068】
図6は本発明の研磨装置300を概略的に示す斜視図である。
【0069】
上記研磨槽310は、研磨の対象となる加工物と研磨を行う研磨媒体が収容されてもよく、上記研磨媒体はボール(ball)であってもよい。
【0070】
上記公転テーブル320の回転により、上記研磨槽310が公転テーブル320の回転軸を中心に公転するようになる。研磨槽の公転のために、上記公転テーブルの回転軸は、研磨槽の自転軸と異なる位置に形成されてもよい。上記研磨槽には、公転テーブルの回転による公転とは別途に研磨槽自体の回転が伴われてもよい。研磨槽自体の回転は、研磨槽の中心を回転軸として自転形態で行われることができる。
【0071】
上記公転テーブル320の回転軸と上記研磨槽310の回転軸の両方とも重力に垂直で、互いに平行であり、異なる位置に形成されてもよい。これは、公転テーブルの回転軸と研磨槽の回転軸が同一位置に形成される場合、研磨槽の公転が起こらないためである。
【0072】
公転テーブルの回転軸と研磨槽の回転軸が重力と平行な方向にある既存の研磨装置の場合、遠心力は重力と垂直に作用し、遠心力により研磨槽内の研磨媒体や加工物が研磨槽の壁面に偏るようになる。
【0073】
この場合、通常、密度の大きい研磨媒体は重力方向に研磨槽の下部に密集され、密度の小さい加工物は重力方向に研磨槽の相対的に上部に密集されるため、位置により研磨媒体と加工物の分離が発生する。研磨媒体が多い研磨槽の下部では、加工物と研磨媒体の衝撃回数が多くて過度に研磨が起こるが、研磨媒体の数が小さい研磨槽の上部では、加工物と研磨媒体の衝撃回数が少なくて十分に研磨されない。即ち、研磨状態の分布が不均一であるという問題がある。
【0074】
また、研磨槽内部の遠心力により加工物が研磨槽の壁面に付着して回転すると、研磨槽の壁面に付着した加工物の面は研磨されない偏研磨現象が発生するという問題がある。
【0075】
上記加工物は誘電体層及びカバー層を含み、焼成後の厚さが0.12mm以下である0603サイズのセラミック本体であることができる。上記セラミック本体は、上記誘電体層を介して対向配置される第1内部電極及び第2内部電極を含んでもよい。加工物が平たい形状の長方形であるほど、偏研磨現象が酷く発生する。即ち、薄いセラミック本体であるほど、偏研磨現象が酷い。
【0076】
しかし、研磨槽と公転テーブルの回転軸を重力に垂直な方向に配置した本発明の研磨装置の場合、遠心力と重力の方向が直線上にあるため、遠心力により加工物が研磨槽の壁面に付着して回転することを防止することができる。従って、加工物と研磨媒体の分離現象が減り、偏研磨現象を改善することができる。
【0077】
また、上記研磨槽310自体の回転速度を自転速度、公転テーブル320の回転速度を公転速度とするとき、自転速度/公転速度は整数ではない有理数となることができる。
【0078】
公転速度に対する自転速度の比が整数の場合、研磨効率が減少する。これは、公転速度と自転速度の比が整数であると、公転と自転の不一致により研磨媒体及び加工物の混合効率が著しく減少するためである。
【0079】
<実験例>
下記表2には、公転テーブルの回転軸と研磨槽自体の回転軸が重力と平行な方向に配置された従来の研磨装置を使用した場合(従来)と公転テーブルの回転軸と研磨槽自体の回転軸が重力に垂直な方向に配置された本発明の研磨装置を使用した場合(新規)の磨耗水準及びチッピング不良について調査した資料を示した。
【0080】
長さ×幅(L×W)が約0.56mm×0.28mm(L×W、0603サイズ)のセラミック本体を利用し、セラミック本体の厚さによる結果を整理した。研磨条件は、公転テーブルの公転速度が150RPMになるようにして150分間行い、公転速度と自転速度の比が1:1.3になるようにした。
【0082】
表2を参照すると、セラミック本体が薄いほど、うまく研磨されないことが分かる。特に、従来方法では、セラミック本体の厚さが0.25mm以下の場合にチッピング不良が発生したが、新規方法では、セラミック本体の厚さが0.12mm以下になっても研磨がかなりの水準で行われ、チッピング不良が発生しないことが分かる。
【0083】
従って、従来方法を適用した研磨装置より新規方法を適用した本発明の研磨装置の研磨効率が著しく向上したことが分かる。
【0084】
下記表3は、自転速度/公転速度の値による研磨結果(A−out及びチッピング不良)を示す資料である。
【0085】
長さ×幅×厚さ(L×W×T)が約0.56mm×0.28mm×0.10mm(L×W、0603サイズ)のセラミック本体を利用した。
【0087】
表3に示されたように、自転速度/公転速度が1または2と整数比のときにチッピング不良が発生した。特に、速度比が1の場合、回転速度200RPMで200分間研磨した場合を除き、チッピング不良が多量発生し、速度比が2の場合も、多くの場合にチッピング不良が発生した。これに反し、自転速度/公転速度が1.3の場合、チッピング不良が全く発生しないことから、自転速度/公転速度は整数でないことが好ましいことが分かる。
【0088】
本実施形態によると、研磨効率が高くて偏研磨現象を減少させることができる積層セラミックキャパシタの研磨方法及び研磨装置を提供することができる。
【0089】
<積層セラミックキャパシタの製造方法>
図7は本発明の他の実施形態による基板内蔵用積層セラミック電子部品の製造工程図である。
【0090】
図7を参照すると、本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法は、誘電体層セラミックグリーンシート及びカバー層セラミックグリーンシートを設ける段階と、内部電極用導電性ペーストを利用して上記セラミックグリーンシート上に内部電極パターンを形成する段階と、上記内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層した後に焼成し、内部に対向配置される第1及び第2内部電極、誘電体層及びカバー層を含む0603サイズのセラミック本体を形成する段階と、上記セラミック本体の角部を研磨する段階と、上記第1内部電極と電気的に連結される第1外部電極及び上記第2内部電極と電気的に連結される第2外部電極を形成する段階と、を含む。
【0091】
以下では、本発明の一実施形態による基板内蔵用積層セラミック電子部品の製造方法について説明するが、これに制限されない。
【0092】
本発明の一実施形態による基板内蔵用積層セラミック電子部品の製造方法はまず、チタン酸バリウム(BaTiO
3)などの粉末を含んで形成されたスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥し、複数個のセラミックグリーンシートを設け、これにより誘電体層及びカバー層を形成することができる。
【0093】
上記セラミックグリーンシートはセラミック粉末、バインダー、溶剤を混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレード法で数μmの厚さを有するシート状に製作することができる。
【0094】
次に、ニッケル粉末を含む内部電極用導電性ペーストを設けることができる。
【0095】
上記セラミックグリーンシート上に上記内部電極用導電性ペーストをスクリーン印刷工法で塗布して内部電極を形成した後、内部電極が印刷されたセラミックグリーンシートを数百層積層し、積層体の上下面に内部電極の印刷されないセラミックグリーンシートを数十層積層した後に焼成してセラミック本体10を製造することができる。上記セラミック本体は内部電極、誘電体層及びカバー層を含み、上記誘電体層は内部電極の印刷されたセラミックグリーンシートが焼成されて形成されたものであり、上記カバー層は内部電極の印刷されないセラミックグリーンシートが焼成されて形成されたものである。
【0096】
上記セラミック本体は焼成後の厚さが0.12mm以下になるように形成されることができる。
【0097】
次に、上記セラミック本体のL−T断面において、一辺が上記セラミック本体の第1主面1の中心部と平行で、且つ対角線方向の頂点a、a’が上記セラミック本体の外部面に位置する一辺の長さが30μmである正方形Aを定義し、上記正方形内でセラミック本体を除いた領域の広さをA−out、上記カバー層の厚さをtとするとき、10μm
2≦A−out及びA−out/t≦3.5
μmを満たすように上記セラミック本体を研磨する。
【0098】
研磨は上述した研磨装置を利用して行われることができる。
【0099】
研磨装置及び方法に関する説明及びセラミック本体の寸法に関する説明は、上述した内容と重複するため、省略する。
【0100】
次に、上記セラミック本体の上下面及び端部に、第1導電性金属及びガラスを含む第1外部電極及び第2外部電極を形成することができる。
【0101】
上記第1導電性金属は特に制限されないが、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及びこれらの合金からなる群から選択される一つ以上であってもよい。
【0102】
上記ガラスは特に制限されず、一般的な積層セラミックキャパシタの外部電極の製作に用いられるガラスと同じ組成の物質を使用してもよい。
【0103】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。