特許第5718462号(P5718462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5718462
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】強化不織布
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/28 20060101AFI20150423BHJP
   D04H 1/46 20120101ALI20150423BHJP
   B29B 11/16 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   B32B5/28 Z
   D04H1/46
   B29B11/16
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-522272(P2013-522272)
(86)(22)【出願日】2011年11月3日
(65)【公表番号】特表2013-540902(P2013-540902A)
(43)【公表日】2013年11月7日
(86)【国際出願番号】EP2011069313
(87)【国際公開番号】WO2012059538
(87)【国際公開日】20120510
【審査請求日】2013年1月31日
(31)【優先権主張番号】102011078741.0
(32)【優先日】2011年7月6日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102011078739.9
(32)【優先日】2011年7月6日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102011077879.9
(32)【優先日】2011年6月21日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102011077881.0
(32)【優先日】2011年6月21日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102011077880.2
(32)【優先日】2011年6月21日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102010043349.7
(32)【優先日】2010年11月3日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102010043347.0
(32)【優先日】2010年11月3日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102010043300.4
(32)【優先日】2010年11月3日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102010043345.4
(32)【優先日】2010年11月3日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102010043346.2
(32)【優先日】2010年11月3日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513000182
【氏名又は名称】エスゲーエル・オートモーティブ・カーボン・ファイバーズ・ゲーエムベーハー・ウント・コ・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・ダンザー
【審査官】 中村 勇介
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−046891(JP,U)
【文献】 特開2005−336407(JP,A)
【文献】 特開平10−018146(JP,A)
【文献】 特開平02−038038(JP,A)
【文献】 国際公開第01/085439(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
D04H 1/00−18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な布構造体(1)を含む部品であって、
前記平坦な布構造体(1)が、強化グリッド(3)と、前記強化グリッド(3)の少なくとも一つの表面の上に平坦に配置された少なくとも一つのパイル層(2)とを含
前記平坦な布構造体(1)が40から140g/mの単位面積当たりの重量を有し、
前記パイル層(2)が主に炭素繊維で構成されていて、
前記平坦な布構造体(1)内の炭素繊維が単位面積当たりの重量の60から97%を占め、
前記強化グリッド(3)が2.5から12.5g/mの単位面積当たりの比例的重量を有し
前記平坦な布構造体(1)が固められていて、
前記平坦な布構造体(1)がポリマーマトリクスで含浸されていることを特徴とする部品
【請求項2】
前記平坦な布構造体(1)が80から110g/mの単位面積当たりの重量を有し、
前記平坦な布構造体(1)内の炭素繊維が単位面積当たりの重量の65から84%を占め、
前記強化グリッド(3)が3から10g/mの単位面積当たりの比例的重量を有することを特徴とする請求項1に記載の部品
【請求項3】
前記強化グリッド(3)が前記平坦な布構造体(1)の外側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の部品
【請求項4】
前記強化グリッド(3)が二つの連続するパイル層の間に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の部品
【請求項5】
前記強化グリッド(3)の材料がポリエステル及び/又はガラスを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の部品
【請求項6】
前記強化グリッドのブレース(30)が120から350dtexの太さを有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の部品
【請求項7】
前記強化グリッド(3)の交差点が結合剤を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の部品
【請求項8】
前記強化グリッド(3)がスクリムとして構成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の部品
【請求項9】
前記強化グリッド(3)が、一組の特定の方向に平行な長手方向ブレース(4a)と、前記長手方向ブレース(4a)に対して対角の二組の平行な対角ブレース(4b、4c)とを有し、前記平行な対角ブレースの一方(4b)が前記平行な長手方向ブレース(4a)に対して45°以上で90°以下の角度に配置されていて、前記平行な対角ブレースの他方(4c)が前記平行な長手方向ブレース(4a)に対して−45°以下で−90°以上の角度に配置されていて、前記平行な長手方向ブレース(4a)に対する両方の組の前記平行な対角ブレース(4b、4c)の角度がそれぞれ数値的に等しいことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の部品
【請求項10】
前記長手方向ブレース(4a)が互いに5から20mmの間隔とされていて、前記対角ブレース(4b、4c)が互いに7から50mmの間隔とされていることを特徴とする請求項9に記載の部品
【請求項11】
前記強化グリッド(3)がチェッカーボード構造を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の部品
【請求項12】
平行なブレース(5a)が互いに10から50mmの間隔とされていることを特徴とする請求項11に記載の部品
【請求項13】
前記パイル層(2)が主にステープルファイバーで構成されていることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の部品
【請求項14】
自動車部品を製造するための請求項1から13のいずれか一項に記載の部品の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造プロセス中の処理を改善するために強化された不織布材、強化不織布材を組み込んだ部品、及びその使用に関する。特に、本発明は、強化グリッドが含有された炭素不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
布繊維の周りに比較的低い凝集性を有する平坦な布構造体の製造中において、例えば不織布やパイルの場合、最も単純な処理プロセスは、平坦構造を巻くことをオン、オフにしたり、その平坦構造を自動的に追加の製造段階に供給したりすること等の問題を生じさせ得る。この問題を解消するために考えられる一方法は、平坦構造に強化グリッドを組み込むことである。パイル層間に組み込まれた強化層のこの基本構造が、本発明の出発点を表す。
【0003】
特許文献1には、スパンボンド式不織布を用いてその表面部が形成されたラミネートが開示されていて、そのラミネートは、少なくとも二層のスパンボンド式不織布と、少なくとも一つのスクリム層(好ましくは、強化糸製のスクリム層)とで構成されて、複数のスクリム層又は一つのスクリム層が、二つのスパンボンド式不織布層の間に存在している(特許文献1の第1頁第2文)。
【0004】
特許文献2には、平坦な布構造体及び強化材で構成されたキャリアインサートが開示されていて、既に強化性を示している平坦な布構造体が、流体力学的に固められている。特に、スパンボンド式不織布が開示されていて、そのスパンボンド式不織布は、新鮮な溶融紡糸フィラメントをランダムに堆積させることによって形成されて、溶融紡糸ポリマー材料製の継ぎ目無し合成繊維で構成されている(特許文献2の段落[0036])。
【0005】
特許文献3には、少なくとも二層のポリエステル製継ぎ目無し不織布と、不織布層の間に固定されたガラスファイバーとを含む平坦な強化不織布が開示されている。
【0006】
上記特許文献は主に瀝青化屋根やリニアシートを製造するための平坦な布構造体の使用に関する。これらでは、炭素繊維ではなくて、主に溶融紡糸ポリマーが不織布材として用いられている。しかしながら、このような応用では、重量の低減や機械的安定性に対する特別な要求は必要でない。このため、既知の方法は、例えば自動車産業や航空産業におけるより厳しい要求に晒される部品の製造には適していない。
【0007】
こうした応用では、平坦な布構造体を完全に組み込んだ完成部品が想定される最大の機械的負荷に耐えられるようにする薄くて平坦な布構造体も要求される。そのため、本発明は、完全に又は主に炭素繊維製の平坦な布構造体を対象としている。
【0008】
製造方法に関する炭素繊維の一つの問題点は、炭素繊維表面の組成の処置である。他のポリマー繊維と比較して、炭素繊維は非常に滑らかな表面を有する。そのため、平坦な布構造体の炭素繊維は、繊維間において非常に弱い接着性を有し、平坦な布構造体間の低い凝集につながる。この低い接着性又は低い凝集性は最終的に炭素繊維で構成された平坦な布構造体の製造プロセスに影響を与え、強化グリッドが必要となる。
【0009】
特定の光学的要求及び触覚要求を満たす平坦な布構造体も必要とされている。不織布材に含有されている強化グリッドは外部から可能な限り目立たないものである必要があり、強化グリッドのメッシュは、平坦な布構造体の表面に溝(トラフ)を生じさせてはならない。
【0010】
しかしながら、主に、不織布層が、炭素繊維のパーセンテージに応じて、平坦な布構造体を組み込んだ最終的な部品の機械的安定性に関与するものであって、強化グリッドの存在は、部品の強度‐重量の比に対して悪影響を有する。
【0011】
また、強化グリッドの使用は、不織布材のドレープ性に影響を与える。強化グリッドの強度が上昇すると、ドレープ性が損なわれる。
【0012】
一方で、強化グリッドは、平坦な布構造体に対する適切な強化を提供して、製造プロセスにおける平坦な布構造体の処理の改善を確保するという目的を果たされなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】独国実用新案第9207367号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102006060241号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1584737号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明の課題は、上述の欠点を大幅に回避しながら上述の所望の特性を示す平坦な布構造体を調製することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の課題は、平坦な布構造体に対する層の厚さ又は単位面積当たりの重量、単位面積当たりの重量における炭素繊維の割合、及び、強化グリッドの単位面積当たりの比例的重量の有利な組み合わせによって達成可能である。
【0016】
本発明の一側面は、強化グリッドと、その強化グリッドの少なくとも一方の表面に平坦に配置された少なくとも一つのパイル層とを含む平坦な布構造体を含み、
‐ 平坦な布構造体が40から140g/mの単位面積当たりの重量を示し、
‐ パイル層が主に炭素繊維で構成されていて、
‐ 平坦な布構造体内の炭素繊維が単位面積当たりの重量の60から97%を占め、
‐ 強化グリッドが、2.5から12.5g/mの単位面積当たりの比例重量を示し、且つ、
‐ 平坦な布構造体が固められていることを特徴としている。
【0017】
本発明の他の側面は、本発明に従って互いに結合された少なくとも二つの平坦な布構造体を含む製品である。
【0018】
本発明の他の側面は、ポリマーマトリクスで含浸させた本発明に係る平坦な布構造体又は本発明に係る製品を含む部品である。
【0019】
本発明の他の側面は、自動車部品を製造するための本発明に係る部品の使用である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一側面に係る平坦な布構造体(1)の概略的な構造設計を示す。本発明に係る強化グリッド(3)は、そのグリッドブレース(30)によって表されるように、本発明に係る二つのパイル層(2)(その繊維(20)によって表されている)の間に固定されている。
図2】本発明に係る平坦な布構造体(1)の好ましい実施形態の概略駅な構造設計を示す。二つの垂直に積層されたパイル層(2)が強化グリッド(3)の一方の側の上に存在する一方で、一つのパイル層(2)が他方の側に存在している。この実施形態は、平坦な布構造体が、二つの垂直に積層されたパイル層(2)を有する側に対してより良い光学特性及び触覚特性を示すため、好ましい。これは、例えば自動車のドアの場合等、平坦な布構造体(1)を取り込んだ部品において主に部品の一方の側しか見えない場合に、有利となる。
図3】本発明に係る平坦な布構造体(1)の一実施形態の概略的な構造設計を示す。二つの垂直に積層されたパイル層が強化グリッド(3)の一方の側の上に存在する一方、強化グリッド(3)の他方の側はそのままである。この実施形態は、平坦な布構造体(1)の一方の側にしか光学要求及び触覚要求がない場合に特に有利である。
図4】本発明に係る構造のカットアウトを示す概略図を提供する。
図5】本発明に係る構造のカットアウトを示す概略図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
“パイル層”との用語は当業者には既知である。パイル層は、例えばニードリングを用いて固められておらずランダムに絡み合わせた一本一本の個々の繊維の緩い層のことを称する。
【0022】
パイル層(2)の製造方法は当業者には既知であり、例えばウィローイング(willowing)や梳綿が挙げられる。方法に応じて、パイル層(20)内の一本一本の個々の繊維(20)は多かれ少なかれ均一に分布する。
【0023】
しかしながら、パイル層(2)の繊維(20)は、例えば梳綿方法等の一部の方法では優先方向を示す。これは、パイル層(2)の繊維(20)が、他の方向よりも特定の一方向を向いていることが多いことを意味する。これは、梳綿プロセスにおいて、繊維が常に同じ方向において前後に梳かれるからである。結果物としてのパイル層(2)は、繊維(20)の優先方向に対して長手方向において垂直方向よりも大きな強度を示すことが多い。本発明において、パイル層の“優先方向”との用語は、本願で提供される定義に基づいて理解されるものである。
【0024】
“不織布”、“不織布材”、“不織布層”、“不織布材層”は、例えばニードリングによって固められたパイル層(2)のことを称する。
【0025】
例えばニードリング等のパイル層(2)を不織布層に固める方法は当業者に既知である。固める方法は、熱的なもの、機械的なもの、化学的なものであり得る。熱的に固めることは典型的に、例えばパイルを製造する前に既に平坦な布構造体に加えられていた媒体を溶融させることを含む。他方、機械的な方法は、ニードリング及び縫い合わせを含む。化学的な方法は典型的に、接着剤を塗布することを含む。また、パイル層(2)に関する方が、本発明に係る平坦な布構造体(1)を固める間に適用される。そして、平坦な布構造体(1)内に存在する全てのパイル層(2)と強化グリッド(3)が互いに結合される。機械的に固める場合、これは、強化グリッド(3)のグリッドブレースを隣接するパイル層(2)の各繊維と絡み合わせるように行われて、強化グリッド(3)とパイル層(2)との間のより強力な接続が得られる。
【0026】
不織布へと更に処理されたパイル層(2)が繊維(20)の優先方向を示す場合、例えばパイル層(2)がニードリング処理された後において、その優先方向を、不織布材の表面から識別できることが多い。
【0027】
本発明の枠組みにおいて、本発明に係る平坦な布構造体(1)は、文脈によっては“不織布パイル”のことを称する。
【0028】
本発明の好ましい実施形態において、平坦な布構造体(1)は、80〜110g/mの単位面積当たり重量を示し、平坦な布構造体(1)内の炭素繊維は65〜84%の比例した単位面積当たりの重量を示し、強化グリッド(3)は、3〜10g/mの比例した単位面積当たりの重量を示す。本実施形態は、自動車産業において、例えばボンネット、ドア、フェンダー等の部品の薄い金属シートを置き換えるのに特に適している。
【0029】
強化グリッド(3)は、平坦な布構造体(1)内部において二つの連続するパイル層(2)の間に配置可能である。この利点は、平坦な布構造体(1)の両面に対して所望の光学及び触覚組成を確保することができる点である。
【0030】
これとは別に、強化グリッド(3)を平坦な布構造体(1)の外側に配置することも有利となり得る。この場合、非常に薄い平坦な布構造体(1)を製造することができて、少なくともその一方の側が、所望の光学及び触覚組成を示す。そのため、本実施形態は、例えば自動車ドア等の設置されると完成品の一方の側からのみ見られる本発明に係る部品の使用に特に適している。
【0031】
本発明によると、パイル層(2)は主に炭素繊維で構成される。本発明の枠組みにおいて、炭素繊維で構成されていない部分のことを、“異種繊維部分”と称する。文脈に応じて、異種繊維部分は、平坦な布構造体全体、パイル層(2)のみに関し得る。本発明に係る部品の安定性は、異種繊維部分が増加すると低下するので、少ない異種繊維部分が望ましい。しかしながら、炭素繊維は非常にコストが大きい。従って、部品に対して十分な安定性が得られたならば、目的とする方法において、異種繊維をその繊維に加えることができて、特に、炭素繊維が本発明の対象に係る平坦な布構造体(1)の単位面積当たりの総重量の或るパーセンテージ(好ましくは65から84%のパーセンテージ)を占めるような方法で加えることができる。
【0032】
強化グリッド(3)の材料及び組成には特別な制限は課されない。好ましくは、継ぎ目の無い繊維(30)のより糸で構成されて、スクリム(骨材)、織物、ノット、編物として存在する。スクリムは、製造が簡単であり、編物と比較すると交差点において最小の層厚さを示すので、好ましい。
【0033】
例えば、強化グリッド(3)の繊維は、ポリエステル、ガラス、ポリイミド、ポリエチレン、アラミド繊維及び/又は炭素で構成可能であり、ポリエステル及びガラスが、強度と繊維厚さとの間の比に関するコストのために、好ましい物質である。
【0034】
強化材(3)がスクリム、編物、ノット、織物のいずれで構成されるかに関わらず、強化グリッド(3)の構造要素のことを、グリッドに属する一般的意味を保ちつつ、本発明の枠組み内において、“ブレース”、“グリッドブレース”、“交差点”と称する。
【0035】
強化グリッド(3)のブレース(30)の好ましい太さは、120から350dtex(デシテックス)である。また、150から280dtexの間の太さも好ましい。何故ならば、本発明に係る平坦な布構造体(1)の表面上の強化グリッド(3)のメッシュによって形成される溝(トラフ)の大きさ及び範囲に関して、この範囲において最適な結果が得られて、十分なドレープ性が確保されるからである。
【0036】
強化グリッド(3)の交差点は結合剤を有し得る。強化グリッド(3)がスクリム層である場合、交差点に結合剤を用いるのが好ましい。結合剤の選択には特別な制限は課されない。しかしながら、PVACベースの結合剤が、ヒートシール可能であり、強化グリッド(3)を形成するのに特に簡単で安価であるので、好ましい。
【0037】
構造設計に関して、強化グリッド(3)は、平行なブレース(30)の二つから三つの組で構成されることが好ましい。しかしながら、三つ以上の組も可能である。
【0038】
構造設計が二組の平行なブレース(5a)で構成される場合、チェッカーボード構造(5)が好ましく、つまり、強化グリッド(3)が正方形メッシュを示す。図5は、この構造のカットアウトを示す概略図を提供する。この利点は、平坦な構造の強度に対する最大の等方性であり、これは、方向に依存しない強度を意味する。本実施形態において、ブレース(5a)の間隔は好ましくは10から50mmであり、より好ましくは10から18mmである。何故ならば、メッシュが小さくなると、上述の溝が目立たなくなるからである。
【0039】
構造設計が三組の平行なブレース(4a、4b、4c)で構成される場合、一つの組のブレースは、“長手方向ブレース”(4a)と称され、残りの二組のブレースは、“対角ブレース”(4b、4c)と称される。図4は、この構造のカットアウトを示す概略図を提供する。好ましい構造設計では、一組の対角ブレース(4b)が、長手方向ブレース(4a)に対して45°以上90°以下の角度で配置され、他方の組の対角ブレース(4c)に対しては−45°以下−90°以上の角度となり、長手方向ブレース(4a)に対する二組の対角ブレース(4b、4c)の角度はそれぞれ数値的に等しい。個別に見てみると、二組の対角ブレース(4b、4c)は菱形メッシュを形成する。本実施形態では、長手方向ブレース(4a)の間隔は好ましくは5から20mmである。本実施形態では、各組における対角ブレース(4b、4c)の間隔は好ましくは7から50mmである。何故ならば、その結果として、上述の溝が目立たなくなるのと同時に、十分な強度が確保されるからである。
【0040】
グリッド(3)をどのように設計するかに関わらず、パイル層(2)の繊維(20)の優先方向が存在する場合には、強化グリッド(3)及びパイル層(2)を組み合わせながら、強化グリッド(3)の一組の平行なブレース(30)を、パイル層(2)の繊維(20)の優先方向に対して長手方向に整列させることが好ましい。これは製造プロセスを簡単にするのに役立つ。
【0041】
強化グリッド(3)が二つの連続するパイル層(2)の間に配置される本発明に係る平坦な布構造体(1)の製造方法は、好ましくは連続プロセスにおいて、典型的には、
a)所望の単位面積当たりの重量を有するパイル層(2)を形成するステップと、
b)必要に応じて追加のパイル層(2)を形成して、ステップa)において形成されたパイル層に適用するステップと、
c)ステップa)において形成されたパイル層に、又は必要に応じて、ステップa)及びb)で形成されたパイル層の積層体に強化グリッド(3)を提供するステップと、
d)ステップc)において形成された強化グリッド(3)の上に少なくとも一つの追加のパイル層(2)を適用するステップと、
e)ステップa)からd)において積層されたプライを例えばニードリングによって固めるステップと、
f)ステップe)において形成された平坦構造(1)を例えばローラーでまとめるステップとを含む。
【0042】
強化グリッド(3)が平坦な布構造体(1)の外側に固定される本発明に係る平坦な布構造体(1)の製造方法は、好ましくは連続プロセスにおいて、典型的には、
a)強化グリッド(3)の上に少なくとも一つのパイル層(2)を適用するステップと、
b)ステップa)において積層されたプライを例えばニードリングによって固めるステップと、
c)ステップb)において形成された平坦構造(1)を例えばローラーでまとめるステップとを含む。
【0043】
上述の方法に関する“プライ(層)”との用語は、パイル層(2)及び強化グリッド(3)の両方を称するものである。
【0044】
本発明の他の側面では、本発明に係る平坦な布構造体(1)の複数のプライ(以下、“不織布プライ”と称する)を互いに平坦に結合させることによって、本発明に係る製品を得ることができる。
【0045】
個々の不織布プライ(1)に優先方向が存在する場合、それらの優先方向を互いに平行に整列させることができる。しかしながら、製品の使用方法及び使用場所に応じて、優先方向に対して互いに異なる角度で不織布プライ(1)を平坦に結合させることも有利となり得る。好ましい一実施形態は、三つの不織布プライ(1)の複合材を提供し、真ん中及び上方の不織布プライの優先方向が、下方の不織布プライ(1)の優先方向に対して45°又は−45°の角度で整列される。これは、その製品及びそれから製造される部品の強度の等方性を増大させる。
【0046】
例えば、本発明に係る不織布プライ(1)間の接続は、それらを互いに単純に縫い合わせることによって、又は、再びニードリング処理することによって得られ得る。しかしながら、他の種類の結合も可能である。
【0047】
好ましい実施形態では、少なくとも一つのグリッドプライを、本発明に係る製品の二つ以上の不織布プライ(1)の間に提供することができる。本発明に係る部品を製造するための含浸プロセス(例えば、流体ポリマーマトリクスの注入)中に、これによって、個々の不織布プライ(1)を互いにずらすことなく、ポリマー材料を複数の不織布プライの複合体内により良く浸透させて、その複合体を最適に含浸することができる。グリッドプライは、本発明に係る強化グリッド(3)に基づいて設計可能である。しかしながら、異なる構造設計を有するグリッドも使用可能である。この場合、ポリエステルより糸で構成された編物又はスクリムが、製造が簡単で安価であるので、好ましい。
【0048】
本発明の他の側面では、本発明に係る平坦な布構造体(1)又は本発明に係る製品が、ポリマーマトリクスで含浸されて、本発明に係る部品が得られる。
【0049】
ポリマーマトリクスの材料には、特別な制限は課されない。ポリマーマトリクスに適した材料として一般的に、繊維複合材の製造において用いられているポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂等の樹脂が挙げられる。
【0050】
例えば、樹脂注入方法等の平坦な布構造体(1)を含浸する適切な方法は当業者には既知である。後続の処理(例えば、高温に晒すこと)で、所望の形状の部品が得られる。そのため、大抵の場合、予め、所望の形状のリジッドな型の上に平坦な布構造体(1)を掛けることが必要である。この場合、本発明に係る平坦な布構造体(1)は、その構成に起因した最適なドレープ性によって区別される。
【0051】
本発明の他の側面では、本発明に係る部品が、自動車部品を製造するのに用いられる。部品の種類及び機能に対しては特に制限が課されない。非耐力壁が好ましい。
【0052】
Aピラー、Bピラー、Cピラー等の自動車の耐力部品は、大きな応力のかかる部品である。これらが繊維複合材で構成される場合、織物のマット又はスクリムが一般的に用いられ、その織物のマット又はスクリムの繊維束は、作用力を最適に吸収又は発散するように整列されて、つまり、織物のマット又はスクリムの繊維束は、好ましくは、印加力の方向に整列される。不織布材では、強度は、その構造に起因して全ての方向に分布しているが、パイルを梳くことによって生じた優先方向が、不織布材の強度に対する異方性を上昇させ得る。これが、不織布製の繊維複合材が自動車の大きな応力のかかる部品に使用可能である理由である。しかしながら、不織布材料及び織物のマット又はスクリムを組み合わせて使用することも可能であり、例えば、不織布スクリム複合材として使用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 平坦な布構造体
2 パイル層
3 強化グリッド
20 繊維
30 ブレース
図1
図2
図3
図4
図5