(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5718471
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】選択的カプセル封じを含むコンパクトな真空遮断器
(51)【国際特許分類】
H01H 33/662 20060101AFI20150423BHJP
【FI】
H01H33/662 R
【請求項の数】9
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-530804(P2013-530804)
(86)(22)【出願日】2010年11月30日
(65)【公表番号】特表2014-510989(P2014-510989A)
(43)【公表日】2014年5月1日
(86)【国際出願番号】IB2010003054
(87)【国際公開番号】WO2012042294
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2013年9月27日
(31)【優先権主張番号】2914/CHE/2010
(32)【優先日】2010年10月1日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】505403360
【氏名又は名称】アーベーベー・テヒノロギー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(72)【発明者】
【氏名】ブラムハプリカー、ヒリシケシュ・エス.
(72)【発明者】
【氏名】サブビアーセベー、ドゥッカイアッパン
(72)【発明者】
【氏名】アヒア、シャシカント・アール.
(72)【発明者】
【氏名】クハンダルカー、サンジャイ
(72)【発明者】
【氏名】プラバハラン、ベンカテサン
(72)【発明者】
【氏名】ビスワナサン、ラメシュ
(72)【発明者】
【氏名】ヒンガネ、ヨゲシュ・ビー.
【審査官】
関 信之
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭55−040957(JP,U)
【文献】
特開2006−049329(JP,A)
【文献】
特開2006−087260(JP,A)
【文献】
特開2006−004952(JP,A)
【文献】
特開2008−293686(JP,A)
【文献】
特開昭57−9021(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/015604(WO,A1)
【文献】
特開2000−268685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/662
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁器筐体内に収容された真空遮断器であって、
軸方向に、互いに離れた位置関係で配置された固定接点および可動接点と、
それぞれ前記固定接点および前記可動接点を囲んだ2つのセラミックの絶縁体のシリンダと、
前記固定並びに可動接点の金属キャップから延びているとともにそれぞれの前記セラミックの絶縁体のシリンダを部分的に被覆距離だけ覆う少なくとも一つの接触端子のカプセル封じを含む、前記真空遮断器に設けられているカプセル封じ材料で形成されたカプセル封じと、
前記2つのセラミックの絶縁体のシリンダの中に位置し、前記2つのセラミックの絶縁体のシリンダの間に配置されるとともに外部環境に露出された浮動電位フランジを有する、浮動シールドと、
を具備し、
前記浮動電位フランジの外部環境に露出した一部は、前記磁器筐体の内面へのストレスを減じるように、前記カプセル封じで覆われていない、真空遮断器。
【請求項2】
前記カプセル封じ材料は、シリコーンゴムのような固体の絶縁体である請求項1に記載の真空遮断器。
【請求項3】
前記部分的な被覆距離は約12乃至18mmである請求項1または2に記載の真空遮断器。
【請求項4】
真空遮断器を収容した前記磁器筐体は、空気、油、もしくはガスで満たされている請求項1ないし3のいずれか1に記載の真空遮断器。
【請求項5】
前記外部環境は規定の圧力または大気圧を有する請求項1または4に記載の真空遮断器。
【請求項6】
前記真空遮断器の電圧定格が45.5kVまでである請求項1ないし5のいずれか1に記載の真空遮断器。
【請求項7】
前記真空遮断器がコンパクトで、且つ重量及び欠点が少なく、コストがより小さい、請求項1ないし6のいずれか1に記載の真空遮断器。
【請求項8】
前記真空遮断器を、カプセル封じ材料で、対応する前記固定並びに可動接点の金属キャップからの少なくとも一つの接触端子のカプセル封じを含むカプセル封じをするとともに、それぞれの前記セラミックの絶縁体のシリンダを部分的な被覆距離だけ覆う工程と、
前記浮動電位フランジを有する前記一部分を、外部環境に露出させるとともに、カプセル封じを免れさせる工程とを具備する、請求項1ないし7のいずれか1に記載の真空遮断器の電圧耐性を向上させる方法。
【請求項9】
前記覆う工程は、前記カプセル封じ材料を、接着剤によって前記2つのセラミックのシリンダの表面に接着することをさらに有する、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
発明の分野
本発明は、配電系統における電流遮断装置に、また特に、中位電圧での利用のためのコンパクトな真空遮断器(vacuum interrupter)に関する。
【0002】
背景
一般的に、真空遮断器は、配電系統において、障害電流の確実な遮断および負荷遮断に用いられる。真空遮断器は、その確実性およびコンパクトさのために、空気、油または六フッ化硫黄で満たされる電流遮断装置と比べて重要性を増していた。当該真空遮断器は、向上した性能、コンパクトさ、およびより良い誘電耐性(dielectric withstandability)のため、カプセル封じがされる(encapsulated)。前記真空遮断器のカプセル封じは、ここでは、シリコンゴムのようなカプセル封じ材料での前記真空遮断器の鋳造または絶縁材への埋め込みに当たる。
【0003】
真空遮断器は、室内用(indoor)の回路遮断器の電極(pole)を形成するために、エポキシ樹脂に埋め込まれる。しかしながら、屋外用(outdoor)の回路遮断器のため、真空遮断器は、磁器またはセラミックの筐体に組み込まれる。真空遮断器の外部誘電クリーページ要求(external dielectric creepage requirement)は、真空遮断器全体の上の絶縁材料の層をカプセル封じすることによって克服される。カプセル封じは、高電位または浮遊電位もしくは大地電位のどれか一つの金属部分が覆われることで行われる。接着剤が、適切な接着の為に前記セラミックおよび前記絶縁材料の間で用いられる。
【0004】
真空遮断器は、沿面距離およびクリアランスの増加から、そして高ストレスゾーン(stress zones)および不均一なストレスゾーンの減少から引き出される利益を得るためにカプセル封じされる。これらは、前記真空遮断器をカプセル封じする間に、説明される最重要な考慮すべき事項のうちの幾つかである。しかしながら、上記のことを達成するための試みを伴う現在の慣習では、前記真空遮断器全体がカプセル封じされ、それにより前記真空断熱材の重量が、コストおよびカプセル封じの工程の間に直面される他の性質の増加と同等に増加する。さらに、電界強度が増加し、そしてそのためストレス領域(stress region)が電極頂部端子から前記真空遮断器のセラミック筐体の底に連続する。前記屋外用の真空回路遮断器の磁器/セラミック筐体の内面でのこの連続するストレス領域は、表面誘電損(surface dielectric failure)の原因となる。
【0005】
上記の為に、ゆくゆくは前記真空遮断器のカプセル封じについての問題の解決を提供する、より良い設計を通じた前記真空遮断器のカプセル封じを得ること、そして、この前に言及されたそのようなカプセル封じの特別な利益を供することが必要である
本発明の目的
本発明の目的は、コンパクトな真空遮断器を提供することである。
【0006】
また、本発明の他の目的は、剥き出しの真空遮断器より優れた、より高い沿面距離およびクリアランスディスタンス、および、完全に覆われた真空遮断器より優れた、より小さい高ストレスゾーンおよび不均一なストレスゾーンを有するという長所を持つ真空遮断器を提供することである。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、より高い電圧の能力定格(voltage capacity rating)にアップグレードできる真空遮断器を提供することである。
【0008】
発明の概要
したがって、本発明は固定接点および可動接点を備える真空遮断器を提供する。前記固定および可動接点は、軸方向に、離れた位置関係で配置される。前記剥き出しの真空遮断器はまた、二つのセラミックの絶縁体のシリンダを備える。それぞれのセラミックのシリンダは、前記固定接点および前記可動接点を囲む。また、浮動シールドが設けられるとともに、それは前記セラミックのシリンダの中に位置する。前記浮動シールドは、二つの前記セラミックのシリンダの間に配置された浮動電位フランジ(floating potential flange)を有するとともに、外部環境に露出される。前記外部環境は、規定の圧力または大気圧である。前記真空遮断器は、筐体に囲まれる。前記筐体は、適切にまたは状況に応じて、空気または油もしくはガスで満たされる。また、カプセル封じは、カプセル封じ材料で前記真空遮断器になされる。前記カプセル封じは、対応する前記接点の金属キャップ(metalic end cap)から延びるとともに、部分的被覆距離(overlapping distance)だけ対応する前記セラミックのシリンダを覆う、少なくとも一つの接触端子に提供されるカプセル封じを含む。部分的被覆距離だけ前記セラミックのシリンダを覆うとともに前記浮動電位フランジを外部環境に露出させるそのようなカプセル封じは、選択的カプセル封じと呼ばれる。前記カプセル封じ材料は、シリコンゴムのような固体の絶縁体である。ここで言及された前記部分的被覆距離は、約12〜18mmである。浮動電位フランジが露出される部分は、カプセル封じから免れる。本発明の前記真空遮断器は、適切な変形を通じて40.5kVまでの種々の電圧定格で用いられることができる。前記真空遮断器は、より高い能力定格にアップグレードされる能力を提供する。
【0009】
従って、本発明はまた、剥き出しの真空遮断器および完全にカプセル封じされた真空遮断器を超えて、本発明の前記真空遮断器に係る真空遮断器の電圧耐性を向上させる方法を提供する。本発明の方法は:a)前記真空遮断器をカプセル封じすること。前記真空遮断器のカプセル封じは、対応する前記接点の金属キャップから少なくとも一つの接触端子をカプセル封じすることと、部分的被覆距離だけそれぞれの前記セラミックのシリンダを覆うことと、を含む;および、b)前記浮動電位フランジを有する部分を外部環境に露出すること、というステップを備えるとともに、カプセル封じを免れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
添付する以下の図面を参考にする:
【
図1】
図1は、現在の慣習に係る筐体内の前記真空遮断器の鉛直断面図を示す。
【
図2】
図2は、本発明に係る筐体内の前記真空遮断器の鉛直断面図を示す。
【0011】
詳細な説明
図1の通り、前記真空遮断器は、固定接点(1)と、可動接点(2)とを有する。前記固定および可動接点は、絶縁の目的で、それらの対応するセラミックのシリンダ(3,4)の中にそれぞれ存在する。
【0012】
高圧電位または大地電位のどちらにも直接的に接続されない浮動電位フランジ(6)を有する浮動シールド(5)がある。前記浮動電位フランジ(6)は、二つのセラミックのシリンダ(3,4)の間に配置され、等距離に存在しても良く、その場合、電位は前記高圧電位の半分により近くなる。この電位は、浮動電位と呼ばれる。
【0013】
べローズ(7)は、前記真空遮断器の可動接点(2)の移動を容易にするために設けられるとともになおかつ前記遮断器内の真空を保ち、そして、ベローズシールド(8)が前記ベローズの上に配置される。
【0014】
前記真空遮断器の機構全体は、シリコンゴムのような固体の絶縁体である適切なカプセル封じ材料でカプセル封じされる。このカプセル封じ(9)は、高電位または浮動電位もしくは大地電位の金属部を覆う。前記カプセル封じ材料は、前記カプセル封じ材料を前記セラミックの表面に適切に接着するため、接着剤によって前記セラミックのシリンダの表面に接着される。カプセル封じされた前記真空遮断器は、前記真空回路遮断器の磁器の筐体(10)の中に配置される。筐体(10)は、規定の圧力または大気圧の空気または油もしくはガスを収容している。
【0015】
この種の真空遮断器の機構は、磁器被覆された屋外用の回路遮断器に適している。外部誘電クリーページ限界(external dielectric creepage limitation)は、この前に説明されたカプセル封じを通じて克服される。
【0016】
しかしながら、この上で説明された前記真空遮断器において、前記カプセル封じ材料がセラミックの表面全体を覆うため、静電界は高められる。ストレス領域は、端子頂部の電極から磁器筐体の底まで連続する。この連続するストレス領域は、前記磁器の内面に広がっている。当該連続するストレス領域の為に、稼働中、前記磁器筐体と前記真空遮断器との間の空洞におけるイオン化の加速のために起こる表面誘電損が生じる可能性がある。
【0017】
上記を考慮すれば、より小さい高ストレスゾーンを有する真空遮断器を有することと、不均一なストレスゾーンを回避するとともにさらなる沿面距離およびクリアランスディスタンスを加えることとの必要が感じられる。しかし、これは、より小さい高ストレスゾーンおよび不均一なストレスゾーンを有するという長所を供するとともにさらなる沿面距離およびクリアランスディスタンスに結びつく前記真空遮断器の特別の設計を要求する。これのみならず、真空遮断器は、向上した性能に伴い、より小さい重量を有するべきであり、比較的低いコストで利用可能にした。また、それは、適切な変形を通じて、適切かつ適用可能なように、前記真空遮断器の電圧定格をアップグレードすることに対応するべきである。
【0018】
本発明は、
図2および3を参照してさらに説明される。ここで、上で表明されたような前記真空遮断器全体のためのカプセル封じ(9)は行われない。前記カプセル封じ材料での少なくとも一つの接触端子(11,12)のカプセル封じ(9)は、対応する固定または可変接点に付属する金属キャップから前記セラミックのシリンダの表面を部分的に覆う距離に亘って存在する。ここでは、当該部分的に覆う距離は、要求されるアップグレードの量次第で、約12〜18mmであり得る。
【0019】
なお、浮動電位フランジ(6)は、規定の圧力または大気圧である外部環境に露出され、空気または油もしくはガスが磁器筐体(10)内に囲まれていても良く、完全なカプセル封じが行われたときより早い。ここで、浮動電位フランジ(6)を有する部分はカプセル封じされず、カプセル封じされない部分は12〜18mmだけの部分的な被覆がセラミックの絶縁体全体に保たれる大きさに増大させられ、そのため、それを外部環境に露出させる。さらに、より長い前記セラミックの部分は、カプセル封じが免れた部分である。これは、磁器筐体(10)の内面における前記高ストレスゾーンおよび不均一ストレスゾーンを効果的に減少させる。さらに、上述の前記真空遮断器の外径と磁器の内径との付近における表面誘電損を除く、表れた前記ストレス領域は、連続しない。
【0020】
前記真空遮断器の電圧定格は、選択的カプセル封じによって、前記真空遮断器の前記電圧定格のアップグレードの大きい例を示す40.5kVまで増大する。さもなくば、現在の真空遮断器では不可能である。
【0021】
また、前記真空遮断器の重量は、カプセル封じを欠く部分のために減少する。カプセル封じに関する欠点は減少する。コストは比較的低くなる。
【0022】
本発明のいくつかの側面は、明確に記載されないが、当業者には良く理解される。本発明におけるいくつかの他の変形または変体は、本発明の範囲内にあると解釈される。