(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
肉厚検査の対象部位の静電容量を検出する静電容量検出器と、この静電容量検出器により検出された静電容量を取り込んで肉厚に換算する処理を実行する演算制御装置とから成る肉厚検査装置であって、前記静電容量検出器は、肉厚検査の対象部位の表面に当接させるセンサー部と、そのセンサー部を対象部位に向けて付勢する弾性体とを有し、前記センサー部は、曲率半径Rが2mm≦R≦10mmの湾曲面を有しており、前記湾曲面は、帯板状の取付基板の湾曲させた部分の表面に、測定電極の電極パターンとアース電極の電極パターンのうちの少なくとも測定電極の電極パターンが位置するように各電極パターンが表された合成樹脂製の電極シートを取付基板に貼着することにより形成されており、前記弾性体は、扇形状をなす一定肉厚のスポンジまたは連続気泡の発泡体であり、扇形状のかなめに当たる部分を支点として全体が拡縮するように、一方の第1の側端面には前記湾曲する部分が外向きとなるように前記取付基板が貼着され、他方の第2の側端面は基板上に貼着されてなる肉厚検査装置。
前記電極シートは、前記取付基板の表面から裏面にわたって貼着されており、前記取付基板の表面に測定電極の電極パターンが位置し、裏面側にアース電極の電極パターンが位置するように各電極パターンが表されている請求項1に記載された肉厚検査装置。
【背景技術】
【0002】
例えば、製びん工場では、製びん機の複数のセクションで次々に製造されるびんは、最終の包装工程まで搬送される間に、検査ラインを通過して欠陥の有無などが検査される。この種の検査ラインに設置されるびん検査装置として、スターホイールの周囲に複数の検査ステーションを配置する構成のものがある。
図17に示すスターホイール8は、外周面に複数の凹部80が設けられており、各凹部80内へ導入されたびん10は、スターホイール8の間欠回転により各検査ステーションへ順送りされる。びん10の肉厚を検査する検査ステーションでは、検査対象のびん10は支持テーブルの上面の回転中心に支持され、このびん10を回転駆動機構により中心軸のまわりに軸回転させることにより、肉厚検査装置によりびん10の肉厚を全周にわたって測定し、びん10の良否を検査している。
【0003】
この種の肉厚検査装置として、びん10の表面にセンサー部90を当接させて測定電極の電極パターンとアース電極の電極パターンとの間の静電容量を検出する静電容量検出器9を用いたものがある(例えば、特許文献1参照)。この静電容量検出器9は、前記センサー部90をびん10の表面に向けて付勢して押し付ける弾性体91を備えているので、たとえ、びん10が振動しても、その振動を弾性体91により吸収することで、センサー部90とびん10の表面との接触状態を安定保持している。
【0004】
センサー部90は、全長にわたって湾曲する帯板状の取付基板92の表面に、電極パターンが表された合成樹脂製の電極シート93が貼り合わされたものである。測定電極の電極パターンとアース電極の電極パターンとの間で、びん10に当接した部位の静電容量が検出されるとともに、静電容量の検出出力が図示しない演算制御装置に取り込まれて肉厚に換算される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
検査対象物が
図17に示すような胴部の形状が円筒形をなす丸形のびん10である場合、びん10の胴部の周面の周方向に沿う湾曲の度合は全周にわたって一定である。このため、センサー部90とびん10の外周面との当接状態は一定に保たれる。これに対して、検査対象物が
図18および
図19に示すような角形びん10Aである場合、びん10Aの胴部の周面の周方向に沿う湾曲の度合は全周にわたって一定でない。このため、湾曲の度合が小さいほぼフラットな対面部分11に当接する状態(
図18(1)に示す状態)と湾曲の度合が大きいコーナー部分12に当接する状態(
図18(2)(3)に示す状態)とでは、角形びん10Aの表面とセンサー部90の電極パターンとの相対位置関係が変化する。その結果、たとえ、角形びん10Aの肉厚が全周にわたって均一であっても、検出される静電容量が部位により違った値となり、角形びん10Aの肉厚が誤って認識される。
【0007】
検査対象物が
図20に示す楕円形びん10Bである場合も同様であり、楕円形びん10Bの胴部の周面の周方向に沿う湾曲の度合が全周にわたって一定でない。このため、緩やかに湾曲する短径部分13に当接する状態と急峻に湾曲する長径部分14に当接する状態とでは楕円形びん10Bの表面とセンサー部90の電極パターンとの相対位置関係が変化する。その結果、たとえ、楕円形びん10Bの肉厚が全周にわたって均一であっても、検出される静電容量は部位によって違った値となる。
【0008】
図21(1)(2)は、角形びん10Aの胴部の上端部の肉厚を全周にわたって測定した結果を示している。
図21(1)において、折線グラフIは機械式ゲージ(例えば、後述するダイヤル厚みゲージ100)により角形びん10Aの肉厚を所定の角度毎に測定して得られたびん全周にわたる肉厚の測定値(以下「基準値」という。)を示し、折線グラフKは
図17に示した静電容量検出器9を用いた肉厚検査装置により角形びん10Aの肉厚を所定の角度毎に測定して得られたびん全周にわたる肉厚の測定値を示している。また、
図21(2)において、折線グラフQは基準値Iに対する測定値Kの角度毎の測定誤差を示すもので、前記対面部分11での測定誤差は小さいが、コーナー部分12での測定誤差は大きな値となっている。
【0009】
図22(1)(2)は、角形びん10Aの胴部の下端部の肉厚を全周にわたって測定した結果を示している。
図22(1)(2)において、折線グラフIは機械式ゲージ(例えば、後述するダイヤル厚みゲージ100)により角形びん10Aの肉厚を所定の角度毎に測定して得られたびん全周にわたる肉厚の測定値(基準値)を示し、折線グラフKは
図17に示した静電容量検出器9を用いた肉厚検査装置により角形びん10Aの肉厚を所定の角度毎に測定して得られたびん全周にわたる肉厚の測定値を示し、折線グラフQは基準値Iに対する測定値Kの角度毎の測定誤差を示しており、前記対面部分11での測定誤差は小さいが、コーナー部分12での測定誤差は大きな値となっている。
なお、図示していないが、楕円形びん10Bについても測定部位によって肉厚の測定誤差が相違するもので、緩やかに湾曲する短径部分13での測定誤差に対して、急峻に湾曲する長径部分14での測定誤差が大きくなる。
【0010】
また、角形びん10Aでは、対面部分11に当接する状態(
図18(1)に示す状態)からコーナー部分12に当接する状態(
図18(3)に示す状態)へ移行するとき、センサー部90が角形びん10Aの回転方向(図中、矢印aで示す。)に引っ張られて弾性体91が回転方向aへ歪みながら圧縮変形するおそれがある。このような変形が生じると、びん10Aのコーナー部分12と対面部分11とでは、センサー部90のびん10Aの外周面との当接位置が変わり、肉厚の測定値にバラツキが生じるだけでなく、次に、びん10Aの外周面に対するセンサー部90の当接位置がコーナー部分12から対面部分11へ移るとき、びん10Aの対面部分11とコーナー部分12との差が大きい場合や、その差が小さくてもびん10Aの回転速度が速い場合は、弾性体91の復元力が十分でないため、センサー部90は角形びん10Aの回転に追従できない。このため、センサー部90が角形びん10Aの外周面より乖離する現象(以下、「ジャンピング現象」という。)が起こり、肉厚が測定できない箇所(図中、点線で示す。)が生じるおそれがある。
【0011】
この発明は、上記問題に着目してなされたもので、検査対象物が角形びんや楕円形びんのように、胴部の周面の周方向に沿う湾曲の度合が全周にわたって一定でないものであっても、検査対象物の表面と電極パターンとの相対位置関係が殆ど変化せず、全周にわたり正確な肉厚検査が可能な肉厚検査装置を提供することを目的とする。
また、この発明が他に目的とするところは、検査対象物が角形びんのようなものであっても、センサー部が肉厚検査の対象部位の外周面より乖離するジャンピング現象が起こるおそれのない肉厚検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明による肉厚検査装置は、肉厚検査の対象部位の静電容量を検出する静電容量検出器と、この静電容量検出器により検出された静電容量を取り込んで肉厚に換算する処理を実行する演算制御装置とから成るものである。前記静電容量検出器は、肉厚検査の対象部位の表面に当接させるセンサー部と、そのセンサー部を対象部位に向けて付勢する弾性体とを有し、前記センサー部は、曲率半径Rが2mm≦R≦10mmの湾曲面を有している。前記湾曲面は、帯板状の取付基板の湾曲させた部分の表面に、測定電極の電極パターンとアース電極の電極パターンのうちの少なくとも測定電極の電極パターンが位置するように各電極パターンが表された合成樹脂製の電極シートを取付基板に貼着することにより形成されている。
前記弾性体は、扇形状をなす一定肉厚のスポンジまたは連続気泡の発泡体であり、扇形状のかなめに当たる部分を支点として全体が拡縮するように、一方の第1の側端面には前記湾曲する部分が外向きとなるように前記取付基板が貼着され、他方の第2の側端面は基板上に貼着されている。
【0013】
上記した構成の肉厚検査装置により例えばびんの肉厚を検査する場合、検査対象物が角形びんのように、胴部の周面の周方向に沿う湾曲の度合が全周にわたって一定でないものであっても、センサー部の曲率半径Rをできる限り小さな値に設定しているので、センサー部が湾曲の度合の小さいほぼフラットな対面部分に当接する状態と湾曲の度合の大きなコーナー部分に当接する状態との間で、検査対象物の表面とセンサー部の電極パターンとの相対位置関係が殆ど変化しない。その結果、検査対象物の肉厚が全周にわたって同一であるにもかかわらず検出される静電容量が部位によって違った値となるなどのおそれはなく、肉厚が誤まって認識されるのを防止できる。
また、例えば、角形びんの外周面にセンサー部を当接させた場合において、角形びんの軸回転により対面部分に当接する状態からコーナー部分に当接する状態へ移行するとき、たとえセンサー部がびんの回転方向に引っ張られても、弾性体は回転方向へ歪まずに支点を中心として全体が圧縮変形するので、コーナー部分であっても対面部分であっても、センサー部の角形びんの外周面との当接位置は殆ど変わらない。また、角形びんの外周面に対するセンサー部の当接位置がコーナー部分から対面部分へ移るとき、弾性体は回転方向へ歪まずに圧縮変形しているから、弾性体の復元力が弱められることがなく、角形びんに向かう方向へその復元力が有効に作用する結果、センサー部は角形びんの回転に追従して動き、角形びんの外周面より乖離するジャンピング現象が起こるのが防止される。
【0014】
この発明の好ましい実施態様においては、前記電極シートは、前記取付基板の表面から裏面にわたって貼着されており、前記取付基板の表面に測定電極の電極パターンが位置し、裏面にアース電極の電極パターンが位置するように各電極パターンが表されている。
【0015】
この実施態様によると、測定電極の電極パターンとアース電極の電極パターンとがともに取付基板の表面に位置するものと比較して、肉厚検査の対象部位に多くの電荷が蓄えられる結果、静電容量の測定感度が高められる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、検査対象物が角形びんや楕円形びんのように、胴部の周面の周方向に沿う湾曲の度合が全周にわたって一定でないものであっても、検査対象物の表面と電極パターンとの相対位置関係が全周にわたって殆ど変化せず、全周にわたり正確な肉厚検査が可能である。
また、弾性体は扇形状をなす一定肉厚のスポンジまたは連続気泡の発泡体を用いて構成されるので、検査対象物の表面よりセンサー部が乖離するジャンピング現象の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】この発明の一実施例である肉厚検査装置の概略構成を示す正面図である。
【
図3】静電容量検出器のセンサー部の構成を拡大して示す側面図である。
【
図4】電極シートに表された電極パターンを示す平面図である。
【
図5】取付基板に電極シートが貼着された状態を拡大して示す斜視図である。
【
図7】電極パターンの他の実施例を示す断面図である。
【
図8】検出された静電容量を肉厚に変換するための肉厚変換曲線を示す図である。
【
図9】厚みが2mmの複数種のサンプルについての複数種の静電容量検出器による肉厚の測定結果とその測定誤差とを示す図である。
【
図10】厚みが1mmの複数種のサンプルについての複数種の静電容量検出器による肉厚の測定結果とその測定誤差とを示す図である。
【
図11】肉厚の測定に用いられる機械式ゲージの構成を示す正面図である。
【
図12】従来の静電容量検出器による肉厚の測定状態を説明するための図である。
【
図13】この発明に係る静電容量検出器による肉厚の測定状態を説明するための図である。
【
図14】この発明に係る静電容量検出器による角形びんの胴部の上端部についての肉厚の測定結果を示す図である。
【
図15】この発明に係る静電容量検出器による角形びんの胴部の下端部についての肉厚の測定結果を示す図である。
【
図16】この発明に係る静電容量検出器による楕円形びんの肉厚の測定結果を示す図である。
【
図17】従来のびんの肉厚検査装置に用いられる静電容量検出器の構成を示す平面図である。
【
図18】
図17の静電容量検出器による角形びんの肉厚検査の状況を示す平面図である。
【
図21】従来の静電容量検出器による角形びんの胴部の上端部についての肉厚の測定結果を示す図である。
【
図22】従来の静電容量検出器による角形びんの胴部の下端部についての肉厚の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、この発明の一実施例である肉厚検査装置1の全体の構成を示している。図示の肉厚検査装置1は、ガラス製のびんの肉厚を検査するのに用いているが、これに限らず、合成樹脂製のびんの肉厚を検査することも可能であり、また、びんに限らず、各種の容器の肉厚、さらには、板状体の肉厚を検査することもできる。
【0021】
図示の肉厚検査装置1は、
図19に示した角形びん10Aを検査しており、スターホイール(図示せず)の周囲に設けられた複数の検査ステーションのうちのいずれかに設置されている。なお、図示例の肉厚検査装置1は、角形びん10Aの肉厚検査に適しているが、
図20に示した楕円形びん10Bの肉厚を検査するのにも好適である。また、角形びん10Aは、平面視した胴部の形状が四角形のものに限らず、五角形のもの、六角形のものなどであってもよい。スターホイールの外周面には複数の凹部が設けられており、各凹部内へ導入された角形びん(以下、単に「びん」という。)10Aは、凹部内に拘束された状態で、スターホイールの間欠回転によって各検査ステーションへ順送りされる。
【0022】
肉厚検査装置1が設置されている検査ステーションでは、検査対象のびん10Aは回転自由な水平な支持テーブル20の回転中心上に支持されている。このびん10Aは回転駆動機構2によりびん10Aの中心軸cのまわりに軸回転させられ、これによりびん10Aの肉厚が全周にわたって検査される。図示例の回転駆動機構2は、前記支持テーブル20と、支持テーブル20上に支持されたびん10Aの口部の外周面に接して回転時の摩擦力によりびん10Aを回転駆動する駆動ローラ21と、駆動ローラ21との間でびん10Aの口部を支持する左右一対の自在ローラ22,23と、駆動ローラ21を回転駆動する図示しない駆動装置とで構成されている。なお、回転駆動機構2は、支持テーブル20を直接回転駆動する方式のものであってもよい。
【0023】
図1には、びん10Aの肉厚を胴部の上部位置と下部位置との2か所で同時に測定して検査している状態が示されているが、測定箇所は1か所であっても3か所以上であってもよい。同時に2か所の肉厚を測定する場合は、装置本体3に2個の静電容量検出器4,4をそれぞれコード線30,30により電気接続する。装置本体3の前面には、検査結果などの各種のデータを表示するためのモニター部31の他、複数個のキースイッチや表示ランプなどが配置された操作部32が設けられている。各静電容量検出器4は、縦設された取付スタンド33に沿って昇降可能に配備された固定台34,35上にそれぞれ取付け固定されている。各静電容量検出器4,4により得られたアナログ量の検出出力は所定のサンプリング周期で抽出されてデジタル量に変換され、装置本体3に組み込まれた演算制御装置に取り込まれる。
【0024】
図示しない演算制御装置は、
図8に示されるような肉厚変換曲線A,B(詳細は後述する。)に基づいて静電容量検出器4による検出出力の各サンプルデータを肉厚に換算する。また、演算制御装置は、前記操作部32の入出力動作を一連に制御したり、モニター部31の表示動作を制御したりする。この演算制御装置には、演算および制御の主体となるマイクロプロセッサ、プログラムやデータを記憶させるメモリなどが含まれる。メモリには前記肉厚変換曲線A,Bを構成する変換データが記憶されている。マイクロプロセッサは、メモリを参照して静電容量検出器4による検出出力のびん10Aの一周分の各サンプルデータをそれぞれ肉厚に変換してメモリに記憶させるとともに、その記憶データをモニター部31に表示させる。
【0025】
各静電容量検出器4は、支持テーブル20上で軸回転するびん10Aに当接した部位の静電容量を検出するもので、
図2および
図3に示すように、びん10Aの表面に当接させるセンサー部5と、センサー部5をびん10Aの表面に向けて付勢して押し付ける弾性体6と、検出器本体40とで構成されている。検出器本体40は、センサー部5を構成する合成樹脂製の電極シート7の電極パターン(詳細は後述する。)にプリント配線基板41および3本のコネクターピン42a〜42cを介して電気接続される静電容量検出回路を内蔵するものである。
【0026】
センサー部5は、所定の曲率半径Rに設定された湾曲面50を有するものである。センサー部5の湾曲面50上には後述する電極シート7を保護するための保護フィルム54が被せられている。前記湾曲面50は、帯板状の取付基板51の一端に形成された湾曲部52の表面に、後述する測定電極の電極パターン71が位置するように、可撓性を有する電極シート7を円弧状に撓ませて貼着することにより構成されている。この湾曲面50の曲率半径Rは、可能な限り小さな値に設定するのが望ましく、この実施例では4mmに設定されているが、2mm≦R≦10mmであれば、湾曲面50の製作が可能であり、かつ、上記した測定誤差も実用上許容し得るものである。なお、曲率半径Rを2mm以上、10mm以下とすることについては後述する。
上記の電極シート7は、
図4に示すように、帯状をなし、ほぼ全長にわたって一定幅に形成されており、取付基板51の湾曲部52および平面部53の表裏にわたって貼着されている。
【0027】
前記弾性体6は、扇形状をなす一定肉厚のスポンジまたは連続気泡の発泡体により構成されている。センサー部5の湾曲面50に対して押圧力が作用すると、扇形状のかなめに当たる部分を支点60とし、この支点60を中心として両側端面61,62がなす角度θが小さくなるように弾性体6の全体が収縮する。この弾性体6の一方の第1の側端面61には前記取付基板51がセンサー部5を外向きにして貼着されている。弾性体6の他方の第2の側端面62は、検出器本体40を構成するケース体43の開口部上に取り付けられた帯板状のプリント配線基板41の上面に貼着されている。
【0028】
前記電極シート7には、
図4に示すように、測定電極の電極パターン(以下「測定電極パターン」という。)71とアース電極の電極パターン(以下「アース電極パターン」という。)72a,72bとが表されている。また、この実施例では、びん10A以外の静電容量の影響を抑えるためのガード電極の電極パターン(以下「ガード電極パターン」という。)73a,73bがさらに表されている。
【0029】
図4において、S1は前記取付基板51の湾曲部52の表面に位置決め固定される領域であり、この領域S1には測定電極パターン71のみが存在する。S2は湾曲部52の裏面に沿って位置決め固定される領域であり、この領域S2にはガード電極パターン73bとそれを挟むようにアース電極パターン72b,72bが存在する。S3は取付基板51の平面部53の表面に沿って位置決め固定される領域であり、この領域S3には測定電極パターン71とガード電極パターン73aとアース電極パターン72aとが存在する。S4は取付基板51の平面部53の裏面およびプリント配線基板41の表面に沿って固定される領域であり、この領域S4にはガード電極パターン73bとそれを挟むようにアース電極パターン72b,72bが存在する。また、領域S4の端部には、3本のコネクターピン42a〜42cと導通させる接続パターン74〜76が形成されている。
【0030】
センサー部5の湾曲面50では、
図5および
図6に示すように、測定電極パターン71が幅中央部に位置している。また、アース電極パターン72bは、湾曲面50の裏側、すなわち、取付基板51の湾曲部52の裏面の両側縁に位置している。この実施例によると、湾曲部52の表面の両側縁にアース電極パターン72を位置させた
図7に示す他の実施例と比較して、センサー部5が当接する肉厚検査の対象部位に多くの電荷が蓄えられる結果、静電容量の測定感度が高められる。なお、
図6および
図7において、点線で示す矢印は測定電極パターン71からアース電極パターン72b(
図6),72(
図7)に至る電気力線を示している。
【0031】
取付基板51の平面部53上に位置する電極シート7の測定電極パターン71とガード電極パターン73aにはリード線55a,55bが接続されている。この2本のリード線55a,55bは1本のリード線55に束ねられて前記プリント配線基板41の裏面まで導かれ、プリント配線基板41の裏面に印刷された導電パターン(図示せず)に電気接続されている。また、取付基板51の平面部53上のアース電極パターン72aは裏面の両側のアース電極パターン72b,72bに導線56,56によって導通させてある。プリント配線基板41の裏面の前記導電パターンと電極シート7の前記接続パターン74〜76とはコネクターピン42a〜42cに導通させている。各コネクターピン42a〜42cは検出器本体40の内部に組み込まれたコネクタ(図示せず)に接続され、これにより電極シート7の測定電極パターン71、アース電極パターン72a,72b、およびガード電極パターン73a,73bと検出器本体40に組み込まれた静電容量検出回路とが電気接続されている。
なお、静電容量検出回路は肉厚検査の対象部位、すなわち、センサー部5を当接させた部位の静電容量に相応する電圧値Vを出力する。この検出出力は装置本体3に組み込まれた演算制御装置に取り込まれる。なお、静電容量検出回路の構成は、前記した特許文献1(特許第3416084)に開示された公知のものであり、ここでは詳細な説明を省略する。
【0032】
図8は、演算制御装置において前記電圧値Vを肉厚dに変換するのに用いられる肉厚変換曲線を例示している。図中、Aは上記した構成の静電容量検出器4(以下、「新タイプ静電容量検出器4」という。)であってセンサー部5の湾曲面50の曲率半径Rが4mmのものに適用される肉厚変換曲線である。また、Bは
図17に示した従来の静電容量検出器9(以下、「旧タイプの静電容量検出器9」という。)に適用される肉厚変換曲線である。いずれの肉厚変換曲線A,Bも、それぞれの静電容量検出器4,9により肉厚が既知の板ガラスの肉厚を測定して得られた測定データに係数を掛けることにより求められるもので、前記係数はその乗算値が既知の肉厚の値となるように定められる。なお、旧タイプの静電容量検出器9は、主として、角形びん10Aや楕円形びん10B以外のものを対象とした肉厚検査に用いられるもので、上記の肉厚変換曲線Bが適用されるもののセンサー部90の湾曲面の曲率半径Rは17mmに設定されたものである。
【0033】
図9(1)は、平板より成るサンプル1、半径が30mmの円筒体より成るサンプル2、および半径が14mmの円筒体より成るサンプル3のそれぞれについて、ダイヤル厚みゲージ100と、新タイプの静電容量検出器4であってセンサー部5の湾曲面50の曲率半径Rが4mmのもの、8mmのもの、および10mmのものと、旧タイプの静電容量検出器9とによって、肉厚が2mmの各サンプル1〜3を対象として肉厚測定を行ったときの測定結果を示している。
図中、I
1〜I
3は
図11に示すダイヤル厚みゲージ100による肉厚の測定データ(基準データ)、J
1〜J
3は湾曲面50の曲率半径Rが4mmの新タイプの静電容量検出器4による肉厚の測定データ、N
1〜N
3は湾曲面50の曲率半径Rが8mmの新タイプの静電容量検出器4による肉厚の測定データ、M
1〜M
3は湾曲面50の曲率半径Rが10mmの新タイプの静電容量検出器4による肉厚の測定データ、K
1〜K
3は旧タイプの静電容量検出器9による肉厚の測定データである。なお、各サンプル1〜3は合成樹脂製であり、材質はソーダガラスと誘電率が似通ったポリフッ化ビニリデン(PVDF)である。
【0034】
図11に示すダイヤル厚みゲージ100は、可撓性を有するU字状のアーム101,101の先端に互いに対向する接触子102,103が設けられたものであり、接触子102,103間でサンプル1〜3を挟んだとき、その肉厚に応じてダイヤル104の指針105が触れて肉厚に相当する目盛を指すようになっている。
【0035】
図9(2)は、前記基準データI
1〜I
3に対する測定データJ
1〜J
3,N
1〜N
3,M
1〜M
3,K
1〜K
3の測定誤差P
1〜P
3,R
1〜R
3,S
1〜S
3,Q
1〜Q
3をそれぞれ示している。
図9(1)(2)によると、新タイプの静電容量検出器4による肉厚の測定データの測定誤差P
2〜P
3,R
2〜R
3,S
2〜S
3は、旧タイプの静電容量検出器9による肉厚の測定データの測定誤差Q
2〜Q
3より十分に小さく、P
2,R
2,S
2<Q
2、P
3,R
3,S
3<Q
3である。また、新タイプの静電容量検出器4による肉厚の測定データの測定誤差P
2〜P
3,R
2〜R
3,S
2〜S
3は、センサー部5の湾曲面50の曲率半径Rが小さいものほど小さく、P
2<R
2<S
2、P
3<R
3<S
3である。
【0036】
つぎに、旧タイプの静電容量検出器9による半径が30mmのサンプル2の肉厚の測定データK
2と半径が14mmのサンプル3の肉厚の測定データK
3とを比較すると、K
2<K
3であり、測定誤差もQ
2<Q
3である。このことは、旧タイプの静電容量検出器9により角形びん10Aの肉厚を測定した場合、対面部分11の肉厚とコーナー部分12の肉厚とが同じであるにもかかわらず、肉厚の測定値はコーナー部分12の方が小さな値に検出されることを示している。
これに対して、新タイプの静電容量検出器4による半径が30mmのサンプル2の肉厚の測定データJ
2,N
2,M
2と半径が14mmのサンプル3の肉厚の測定データJ
3,N
3,M
3とを比較すると、N
3<N
2,M
3<M
2であって、測定誤差はR
2<R
3、S
2<S
3であるが、測定データJ
2,J
3についてはJ
2≒J
3であり、測定誤差もP
2≒P
3である。このことは、新タイプの静電容量検出器4であってセンサー部5の湾曲面50の曲率半径Rが4mmのものにより肉厚が2mmの角形びん10Aの肉厚を測定した場合、対面部分11の肉厚の測定値とコーナー部分12の肉厚の測定値とがほぼ同じになることを示している。
【0037】
図10(1)(2)は、肉厚が1mmの各サンプル1〜3を対象として、ダイヤル厚みゲージ100と、新タイプの静電容量検出器4であってセンサー部5の湾曲面50の曲率半径Rが4mmのもの、8mmのもの、および10mmのものと、旧タイプの静電容量検出器9とによって、肉厚測定を行ったときの測定データと前記した測定誤差とを示している。
【0038】
図10(1)(2)によると、新タイプの静電容量検出器4による肉厚の測定データの測定誤差P
2〜P
3,R
2〜R
3,S
2〜S
3は、旧タイプの静電容量検出器9による肉厚の測定データの測定誤差Q
2〜Q
3より十分に小さく、P
2,R
2,S
2<Q
2、P
3,R
3,S
3<Q
3である。また、新タイプの静電容量検出器4による肉厚の測定データの測定誤差P
2〜P
3,R
2〜R
3,S
2〜S
3は、センサー部5の湾曲面50の曲率半径Rが小さいものほど小さく、P
2<R
2<S
2、P
3<R
3<S
3である。
【0039】
つぎに、旧タイプの静電容量検出器9による半径が30mmのサンプル2の肉厚の測定データK
2と半径が14mmのサンプル3の肉厚の測定データK
3とを比較すると、K
2<K
3であり、測定誤差もQ
2<Q
3である。このことは、旧タイプの静電容量検出器9により角形びん10Aの肉厚を測定した場合、対面部分11の肉厚とコーナー部分12の肉厚とが同じであるにもかかわらず、肉厚の測定値はコーナー部分12の方が小さな値に検出されることを示している。
これに対して、新タイプの静電容量検出器4による半径が30mmのサンプル2の肉厚の測定データJ
2,N
2,M
2と半径が14mmのサンプル3の肉厚の測定データJ
3,N
3,M
3とを比較すると、N
2≒N
3、M
2≒M
3、J
2≒J
3であり、測定誤差もR
2≒R
3、S
2≒S
3、P
2≒P
3である。このことは、新タイプの静電容量検出器4により肉厚が1mmの角形びん10Aの肉厚を測定した場合、対面部分11の肉厚の測定値とコーナー部分12の肉厚の測定値がほぼ同じになることを示している。
【0040】
図12(1)(2)は、上記した旧タイプの静電容量検出器9により角形びん10Aの肉厚を測定している状態を示している。
図12(1)はセンサー部90が周方向に沿う湾曲の度合が小さい対面部分11に当接している状態を、
図12(2)はセンサー部90が周方向に沿う湾曲の度合が大きいコーナー部分12に当接している状態を、それぞれ示している。いま、角形びん10Aの表面から距離Lまでの領域の静電容量が測定されるものと仮定すると、コーナー部分12の測定範囲e2と対面部分11の測定範囲e1とはe2<e1となり、両者の比(e1/e2)は1より大きな値となる。静電容量は電極の面積に比例するから、コーナー部分12の肉厚の測定値は対面部分11の肉厚の測定値より小さな値となる。
【0041】
図13(1)(2)は、新タイプの静電容量検出器4であってセンサー部5の湾曲面50の曲率半径Rが4mmのものにより角形びん10Aの肉厚を測定している状態を示している。
図13(1)はセンサー部5が周方向に沿う湾曲の度合が小さい対面部分11に当接している状態を、
図13(2)はセンサー部5が周方向に沿う湾曲の度合が大きいコーナー部分12に当接している状態を、それぞれ示している。いま、角形びん10Aの表面から距離Lまでの領域の静電容量が測定されるものと仮定すると、コーナー部分12の測定範囲f2と対面部分11の測定範囲f1とはf2≒f1となり、両者の比(f1/f2)は1に近い値となり、コーナー部分12の肉厚の測定値と対面部分11の肉厚の測定値とはほぼ同じ値となる。
【0042】
上記した
図9,10,12,13から明らかなように、センサー部5の湾曲面50の曲率半径Rは、できる限り小さい値であることが望ましく、曲率半径Rが小さければ小さい程、コーナー部分12の肉厚の測定値と対面部分11の肉厚の測定値とは近い値になる。ところが、センサー部5の湾曲面50は、取付基板51の湾曲部52上に電極シート7を貼着するなどして形成する必要があるため、製作技術、製作効率、製作コストなどの観点から、曲率半径Rを2mmより小さな値に設定するのが難しく、曲率半径Rの下限値は2mmとする。
【0043】
一方、製造規格値で最も薄いガラスびんの肉厚が1mm程度であることを考慮すると、湾曲面50の曲率半径Rは10mmを上限値とし、それ以下の値に設定するのが望ましい。肉厚が最も薄い1.0mmのガラスびんと誘電率が同等のポリフッ化ビニリデン(PVDF)製のサンプルの肉厚を上記した旧タイプの静電容量検出器9(R=17mm)により測定した場合、
図10(2)に示したように、測定誤差は0.5mmとなり(サンプル3)、これでは1.5mm以下のものを肉厚不良として廃棄するものとせざるを得ず、良品破棄が多くなって実用上支障がある。これに対して、新タイプの静電容量検出器4であってセンサー部5の湾曲面50の曲率半径Rが10mmのもので上記のサンプル3の肉厚を測定した場合、測定誤差は0.3mmとなる(
図10(2)参照)。センサー部5の湾曲面50の曲率半径Rが10mmを超えると、測定誤差がさらに大きくなって実用的でないので、曲率半径Rの上限値は10mmとする。
上記のことから、製作効率と測定誤差の双方を考慮すると、センサー部5の湾曲面50の曲率半径Rは、4mmの前後、すなわち、3mm以上、5mm以下に設定するのがより望ましい。
【0044】
図14(1)(2)は、センサー部5の湾曲面50の曲率半径Rが4mmの静電容量検出器4を用いて角形びん10Aの胴部の上端部の肉厚を全周にわたって測定した結果を示し、
図15(1)(2)は、角形びん10Aの胴部の下端部の肉厚を全周にわたって測定した結果を示している。同図中、折線グラフIは前記したダイヤル厚みゲージ100により角形びん10Aの肉厚を所定の角度毎に測定して得られたびん全周にわたる肉厚の測定値(基準値)を示し、折線グラフJは新タイプの静電容量検出器4(R=4mm)を用いて角形びん10Aの肉厚を所定の角度毎に測定して得られたびん全周にわたる肉厚の測定値を示し、折線グラフQは基準値Iに対する測定値Jの角度毎の測定誤差を示しており、胴部の上端部および下端部のいずれについても、前記対面部分11での測定誤差もコーナー部分12での測定誤差も十分に小さい値に抑えられている。
【0045】
楕円形びん10Bについても同様であり、
図16(1)(2)には、センサー部5の湾曲面50の曲率半径Rが4mmの静電容量検出器4を用いて楕円形びん10Aの胴部の上端部の肉厚を全周にわたって測定した結果が示してある。同図によれば、楕円形びん10Bの短径部分13であっても長径部分14であっても測定誤差は十分に小さい値に抑えられている。