特許第5718489号(P5718489)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5718489クラッチのための接触点の決定に関する方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5718489
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】クラッチのための接触点の決定に関する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/00 20060101AFI20150423BHJP
   F16D 48/02 20060101ALI20150423BHJP
   F02D 29/00 20060101ALI20150423BHJP
   B60W 10/04 20060101ALI20150423BHJP
   B60W 10/11 20120101ALI20150423BHJP
   B60W 40/12 20120101ALI20150423BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20150423BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20150423BHJP
   B60W 10/184 20120101ALI20150423BHJP
   B60W 10/02 20060101ALI20150423BHJP
   B60W 10/10 20120101ALI20150423BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20150423BHJP
   B60W 20/00 20060101ALI20150423BHJP
   B60K 6/54 20071001ALI20150423BHJP
【FI】
   B60W10/00 148
   F16D25/14 640K
   F02D29/00 G
   B60W10/00 108
   B60W40/12
   B60W10/11
   B60W10/06
   B60W10/08
   B60W10/184
   B60W10/00 102
   B60W10/00 122
   B60W10/02
   B60K6/48
   B60K6/20 360
   B60K6/54
   B60K6/20 310
   B60K6/20 320
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-558815(P2013-558815)
(86)(22)【出願日】2012年3月12日
(65)【公表番号】特表2014-514199(P2014-514199A)
(43)【公表日】2014年6月19日
(86)【国際出願番号】SE2012050274
(87)【国際公開番号】WO2012125112
(87)【国際公開日】20120920
【審査請求日】2013年10月30日
(31)【優先権主張番号】1150218-4
(32)【優先日】2011年3月14日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】594097848
【氏名又は名称】スカニア シーブイ アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】レッドブラント, カール
(72)【発明者】
【氏名】ラーギュハムン, アンドレアス
【審査官】 山村 秀政
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−540952(JP,A)
【文献】 特開2002−147502(JP,A)
【文献】 特開平08−210381(JP,A)
【文献】 特開平06−221349(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/125112(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00
B60K 6/48
B60K 6/54
B60W 10/02
B60W 10/04
B60W 10/06
B60W 10/08
B60W 10/10
B60W 10/11
B60W 10/184
B60W 20/00
B60W 40/12
F02D 29/00
F16D 48/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)のクラッチ(106)の接触点を決定する方法であって、前記クラッチ(106)はエンジン(101)の形態の第1の動力源と少なくとも1つの動力ホイール(113、114)との間で原動力を伝達することを目的としており、前記接触点決定は前記クラッチ(106)を開くことを含み前記方法は、
前記クラッチ(106)が開く前の前記第1の動力源(101)の速度(ω1)を測定するステップと、
前記車両(100)が動いておりかつ前記接触点が決定されている時に、前記第1の動力源(101)の速度を、前記第1の動力源(101)のアイドリング速度より高い前記測定された速度(ω1)の方へ制御するステップと、
前記接触点が決定された後に前記クラッチ(106)の開放時に係合していたギアに係合するステップをさらに含む、方法。
【請求項2】
前記車両(100)は、接触点決定が開始すると前記クラッチ(106)が閉じられた状態で動いている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の動力源(101)に関して、実質的に、接触点決定が行われなかった場合に前記第1の動力源(101)が示すであろうものである予想速度変換を判定することであり、その目的のために、接触点決定中に、前記速度が前記予想速度変換に従って変化するように前記第1の動力源(101)が制御される、判定すること
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の動力源(101)に関して、前記車両(100)の前方の旅程に関するデータに基づいて、予想速度変換を判定することであり、前記接触点決定中に、前記速度が前記予想速度変換に従って変化するように前記第1の動力源(101)が制御される、判定すること
をさらに含む、請求項1ないしのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記車両(100)は、前記クラッチ(106)の下流に据えられている第2の動力源をさらに含み、前記クラッチ(106)の開放時に、前記第1の動力源(101)から前記動力ホイール(113、114)に与えられるトルクは、前記第2の動力源により少なくとも部分的に取って代わられる、請求項1ないしのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の動力源は、電動機、常用ブレーキ、または補助ブレーキの形態をとる、請求項に記載の方法。
【請求項7】
接触点決定が開始すると、前記第1の動力源(101)により与えられる最大トルクが、最大でも第1のトルク値以下である、請求項1ないしのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記接触点が決定されている時に、前記クラッチ(106)の開放時に前記車両(100)が受ける加速または遅延は、現在の加速または遅延から第2の値以上に逸脱しない、請求項1ないしのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
自動車両速度維持のための運転制御機能が起動される、請求項1ないしのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
第1の時点で、前記クラッチ(106)の第1の温度を決定することと、
前記クラッチ(106)に関して決定される前記第1の温度を、第1の時点に先立つ第2の時点で決定される第2の温度と比較することと、
前記第1の温度が前記第2の温度と第1の値以上に異なるときに、前記方法を適用することと
をさらに含む、請求項1ないしのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
車両(100)のクラッチ(106)のための接触点の決定に関するシステムであって、前記クラッチ(106)はエンジン(101)の形態の第1の動力源と少なくとも1つの動力ホイール(113、114)との間で原動力を伝達することを目的としており、前記システムは、
前記クラッチ(106)が開く前の前記第1の動力源(101)の速度(ω1)を測定する手段と、
前記接触点の決定の間に前記クラッチ(106)を開くための手段と、
前記接触点が決定されておりかつ前記車両(100)が動いている時に、前記第1の動力源(101)の速度を、前記第1の動力源(101)のアイドリング速度より高い前記測定された速度(ω1)の方へ制御するための手段と、
前記接触点が決定された後に前記クラッチ(106)の開放時に係合していたギアに係合するための手段と、を含むシステム。
【請求項12】
請求項11に記載されているシステムが設けられていることを特徴とする、車両(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動制御クラッチを備えた車両に関し、詳細には、請求項1の前提部に記載のクラッチのための接触点の決定に関する方法およびシステムに関する。また、本発明は、請求項14に記載のシステムおよび請求項15に記載の車両に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両には種々様々なパワートレイン構造が存在し、例えば、ギアボックスは、手動操作ギアボックスまたは自動ギアボックスの形態をとっていてもよい。大型車両の場合、ギアボックスは、運転者が可能な限り快適であるように駆動可能であることが望ましいことが多く、そのため、通常、ギアボックスでのギアチェンジが車両の制御システムにより自動的に達成されることが必要になる。したがって、やはり、大型車両では、ギアを自動的に切り替えるギアボックスがますます普通になってきている。
【0003】
この自動ギアチェンジは、大型車両では、(オートメーテッドマニュアルトランスミッション(AMT)とも呼ばれる)「手動」ギアボックスでの制御システムのギアチェンジ制御により達成されることが多く、1つには、「手動」ギアボックスでの制御システムが作製するのに実質的により安いという理由、ならびに「手動」ギアボックスでの制御システムのより高い効率性の理由によるものである。
【0004】
自動車に設けられることが多いタイプの自動ギアボックスの効率性は、例えば、頻繁に停止し、次いで再び発動する市内バスおよび配送用車両の場合以外は、低過ぎて正当化することができない。したがって、ギアを自動的に切り替える「手動」ギアボックスは、主として高速道路/国道で使用される大型車両では普通である。
【0005】
このギアチェンジは種々様々な方法で達成されてもよく、その1つは、アップシフト/ダウンシフトのための自動制御クラッチを使用することを含み、その場合、運転者はアクセルペダルおよびブレーキペダルへのアクセスを必要とするのみである。
【0006】
原則として、他のギアチェンジは、クラッチを全く使用せずに車両の制御システムにより達成されることが可能であって、他のギアチェンジは代わりに「トルクフリー」で達成されるので、クラッチは、もっぱら車両を静止から発動するのに使用される必要がある。また、自動制御クラッチは、一定のギア段階のみにまたはアップシフトもしくはダウンシフトにおいて、使用されることが可能である。
【0007】
しかし、快適性の理由で、自動制御クラッチは、多くの場合、全てのまたは実質的に全てのアップシフトおよびダウンシフトにおいて使用される。自動クラッチを備えた車両では、クラッチの接触点(トラクション位置)すなわちクラッチがトルクを伝達し始める位置を知ることが重要である。
【0008】
例えば車両が発動、停止、およびギアチェンジしている時に接触点を知ることにより、その制御システムに、エンジンからパワートレインの残部へのトルク伝達が開始または停止するクラッチ位置の知識がもたらされる。このことは、パワートレインにおける許容し難いガタガタ動作または許容し難い磨耗を生じさせないように車両を発動させることおよびギアを入れ替えることが達成され得ることを意味する。
【0009】
しかし、接触点は定位置ではなく、例えばクラッチの磨耗の故に、変動する可能性がある。また、接触点は、車両が動いている時に変化する可能性があり、そのことは、接触点の位置が行程の最初に決定されたとしても、行程の後期の実際の接触点が最初に決定された接触点に確実に対応するとは限らないことを意味する。
【0010】
したがって、行程中に接触点決定を達成する必要がある可能性がある。車両の運転者を邪魔することなくそのように行う機会が、車両が走行している環境に応じて、多かれ少なかれ得られる可能性がある。
【0011】
接触点決定に関する問題は、車両が動いている時に気付かれずに行われるには、接触点決定にかかる時間が長過ぎる可能性があることである。
【0012】
例えば、車両が何度も始動および停止をしながら都市交通において走行している場合、接触点決定を行う好機、例えば赤信号で静止している時、がある可能性がある。しかし、車両が主に高速道路で使用されている場合、可能性のある機会の数は遥かに限られている可能性がある。これは、接触点適応が可能であるようにギアボックスがニュートラル位置にある必要があるためである。車両が高速道路上を走行している場合、特に低い領域において、任意のギアチェンジ間に非常に長い時間がある可能性がある。したがって、接触点適応は、ギアチェンジを含まない状況においては問題がある。
【0013】
したがって、車両が動いている時に接触点を決定する改善された方法が必要である。
【発明の概要】
【0014】
本発明の目的は、車両の運転者を邪魔することなく、可能性のある行程の間に接触点の決定をする、車両のための接触点の決定に関する方法を提案することである。この目的は請求項1に記載の方法を用いて達成される。
【0015】
本発明は車両のクラッチのための接触点の決定に関する方法に関し、前記クラッチは、例えば燃焼エンジンなどのエンジンの形態の第1の動力源と少なくとも1つの動力ホイールとの間で原動力を伝達することを目的としており、前記接触点決定は、前記クラッチを開くことを含み、本方法は、
−接触点の決定中、車両が動いている時に、前記第1の動力源の回転速度を、前記第1の動力源のアイドリング速度を超過する第1の速度の方へ制御すること
をさらに含む。
【0016】
これは、許容し難いほど車両の運転者を邪魔することなく、クラッチの接触点すなわちエンジンとギアボックスとの間で接触が起こるクラッチ位置が、以前に可能であったよりも多くの場合に決定され得るという利点をもたらす。このことは、接触点決定中にエンジンがアイドリング速度に低下することがなく、例えばパワートレインが依然として閉じているかのように制御され得るようなエンジン制御により可能になる。したがって、動力源は、接触点決定が車両の運転者に実質的に気付かれずに起こり得るように制御されてもよい。
【0017】
したがって、接触点決定は、パワートレインが閉じている状況、すなわちクラッチが閉じており、ギアがギアボックス内に係合されており、前記第1の動力源がアイドリング速度を超過する速度で動作している状態で車両が走行している状況で開始してもよく、車両が動いている間に接触点決定を行う実質的により多くの機会をもたらす。例えば、長距離運搬車は、原則として、停止することなく終日走行することが可能であり、このことは、車両が動いている間に運転者を邪魔することなく接触点を修正する機会がなく、行程中に接触点が著しく変化するであろうことを意味する。したがって、そのような問題は本発明により解決される。
【0018】
さらに、本発明の特性およびその利点は、以下に提示されている実施形態の詳細な説明および添付図面により示されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1a】本発明が使用され得る車両のパワートレインの図である。
図1b】車両制御システム内の制御ユニットの図である。
図2】本発明による方法の図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1aは、本発明の実施形態による車両100のパワートレインを示す。図1に概略的に示されている車両100は、動力ホイール113、114を備えつけられている車軸を1つだけ有するが、本発明はまた、2つ以上の車軸に動力ホイールが備えつけられている車両に適用可能である。パワートレインは、従来の方法ではエンジンの出力シャフトを介して、通常はフライホイール102を介して、クラッチ106を介してギアボックス103に連結されている燃焼エンジン101の形態の第1の動力源を含む。
【0021】
クラッチ106は自動制御クラッチの形態をとっており、本実施形態ではディスク型であって、そのことにより、第1のギアボックス要素、例えばギアボックス103の入力シャフト109、に連結された摩擦要素(ディスク)110が、フライホイール102と選択的に係合し、ギアボックス103を介してエンジン101から動力ホイール113、114まで原動力を伝達する。クラッチディスク110のエンジンフライホイール102との係合は、例えば、レバーアーム112により横に移動可能なプレッシャープレート111により制御され、その機能はクラッチアクチュエータ115により制御されている。
【0022】
クラッチアクチュエータ115のレバーアーム112への作用は、作用自体、車両の制御システムにより制御される。最新の車両の制御システムが、通常、いくつかの電子制御ユニット(ECU)すなわちコントローラを繋ぐ1つまたは複数の通信バスから構成されている通信バスシステムと、車両に配置されている種々の構成要素とを含む。そのような制御システムは、多数の制御ユニットを含んでいてもよく、特定の機能に関する応答性は、2つ以上の制御ユニット間で分割されていてもよい。簡単にするために、図1aは、制御ユニット116、117、118、119のみを示しているが、当業者には当然のことながら、ここで取り上げられているタイプの車両は、大抵、遥かにより多くの制御ユニットを有する。
【0023】
制御ユニット116が、クラッチ106(クラッチアクチュエータ115)を制御し、図示の実施形態では、本発明は制御ユニット117で実施されている。制御ユニット117は、本発明の専用の制御ユニットであってもよいが、本発明はまた、車両100の1つまたは複数の既存の制御ユニット、例えばここで車両のエンジン101を制御する制御ユニット116および/もしくは制御ユニット118、ならびに/またはここでギアボックス103を制御する制御ユニット119で完全にまたは部分的に実施されてもよい。
【0024】
また、クラッチアクチュエータ115を支配して制御ユニット116により実行される制御は、制御ユニット117ばかりでなく、例えば、例えばギアボックス103の機能に関与している制御ユニットから受信される情報、およびエンジン機能を制御する1つまたは複数の制御ユニットすなわち本例では制御ユニット118、119から受信される情報に依存している可能性がある。
【0025】
ここで取り上げられているタイプの制御ユニットは、通常、車両100の様々な部分からセンサ信号を受信するようになされており、例えば、制御ユニット116は、クラッチディスクおよび/またはレバーアームの位置を示すセンサ信号を受信してもよい。制御ユニット117は、例えば、制御ユニット116から、かつまたは例えばエンジン制御ユニット118およびギアボックス制御ユニット119から、信号を受信してもよい。また、ここで取り上げられているタイプの制御ユニットは、通常、種々の車両部分および構成要素に制御信号を送るようになされている。本例では、制御ユニット117が、例えば制御ユニット116へ信号を送って、以下の通りエンジンの速度の制御を要求/命令する。
【0026】
制御は、通常コンピュータプログラムの形で、コンピュータまたは制御ユニットで実行されると、コンピュータ/制御ユニットに所望の形の制御動作、例えば本発明による方法のステップ、を引き起こさせるプログラムされた命令により支配されていることが多い。コンピュータプログラムは、通常、例えば、制御ユニット内にあるまたは制御ユニットに接続されているROM(読出し専用メモリ)、PROM(プログラマブル読出し専用メモリ)、EPROM(消去可能PROM)、フラッシュメモリ、EEPROM(電気的消去可能PROM)、ハードディスクユニット等の制御ユニットにより実行される、デジタル記憶媒体121(図1b参照)に格納されているコンピュータプログラム製品129の形態をとる。したがって、特定の状況における車両の挙動は、コンピュータプログラムの命令を修正することにより変更可能である。
【0027】
制御ユニット(制御ユニット117)の例が図1bに概略的に示されており、実質的に任意の適切なタイプのプロセッサまたはマイクロコンピュータ、例えばデジタル信号処理のための回路(デジタルシグナルプロセッサ(DSP))または所定の特定の機能を有する回路(特定用途向け集積回路(ASIC))、の形をとり得る計算ユニット128を含む可能性がある。計算ユニット128は、計算ユニット128が計算を実施するために必要とする、例えば格納プログラムコード129および/または格納データを計算ユニット128に提供するメモリユニット121に接続されている。また、計算ユニット128は、計算の部分的なまたは最終的な結果をメモリユニット121に格納するようになされている。
【0028】
制御ユニット117には、入出力信号を送受信する各デバイス122、123、124、125がさらに設けられている。これらの入出力信号は、入力信号受信デバイス122、125が情報として検出することができかつ計算ユニット128が処理することができる信号に変換され得る、波形、パルス、または他の属性を含んでいてもよい。したがって、これらの信号は計算ユニット128に伝達される。出力信号送信デバイス123、124は、例えば信号を変調することにより、信号が向けられている車両の制御システムの他の部分および/または構成要素/複数の構成要素に伝達され得る出力信号を生成するために、計算ユニット128から受信された信号を変換するようになされている。入出力信号を送受信する各デバイスへの接続の各々は、ケーブル、データバス、例えばCAN(コントローラエリアネットワーク)バス、MOST(Media Orientated Systems Transport)バスもしくは何らかの他のバス構造、あるいは無線接続からの1つまたは複数の形態をとっていてもよい。
【0029】
図1aに戻って、車両100は、その動力ホイール113、114に連結されておりかつアクセルギア108、例えば従来の差動装置、を介してギアボックス103の出力シャフト107により駆動されるドライブシャフト104、105をさらに含む。図1aに示されている車両100においてギアチェンジが達成される場合、クラッチ106は、制御ユニットにより制御されているクラッチアクチュエータ115により開かれ、異なるギアがギアボックス内で係合され、次いで、クラッチが閉じる。前述の通り、そのようなギアチェンジでは、車両の制御システムが、クラッチの接触点、すなわちクラッチディスクがフライホイールと接触する物理的位置に関する十分な知識を有し、したがってエンジンとパワートレインの残部との間にトルクを伝達し始めることができることが重要である。
【0030】
クラッチにより変化する可能性があり、かつ接触点と同様に規則的な間隔で推定される必要がある(クラッチ特性のそのような推定に関して、ここではさらに記載されない)、接触点の位置に関する知識およびクラッチ106の特性、ならびに様々な位置でクラッチが伝達することができるトルクに関する結果として生じる知識により、例えば許容し難いガタガタ動作を伴わずに起こり得る点で運転者に快適である方法ばかりでなく、不必要なパワートレインの磨耗を低減する点火方法でも、ギアチェンジが達成されることが可能になる。また、本ギアチェンジ方法は、レバーアームの最大可能な動作(full potential movement)を用いるのではなく、ギアチェンジ方法の間にクラッチがフライホイールからクラッチディスクを開放するのに必要である以上に開かれる必要がないという点で、迅速化することもできる。
【0031】
本記載における接触点および以下に記載されている特許請求の範囲は、クラッチディスクがフライホイールと(またはエンジン出力シャフトに連結されている何か他の要素と)ちょうど物理的に接触した時にクラッチディスクがある物理的位置すなわちクラッチがトルクを伝達し始める点ばかりでなく、その位置の任意の表示を意味するので、接触点は、例えば、クラッチディスクがフライホイールとちょうど接触する瞬間の、レバーアームおよび/またはクラッチアクチュエータの位置であってもよい。
【0032】
接触点の決定が、通常、クラッチ106がトルクを伝達し始める正確な位置を見出すために行われる。しかし、接触点は定点ではないが、例えばクラッチが経時的に磨耗するために、変化する可能性がある。クラッチの磨耗は、短期間にごく僅かと見なされる可能性があるが、接触点は車両が動いている間に変化する可能性が考えられ、接触点が行程の開始時に決定されるとしても、行程後期の実際の接触点が開始時に決定された接触点と確実に対応するとは限らないことを意味する。例えば、接触点の位置は極めて温度依存性であり、行程中にクラッチ温度の変化に伴って変化する。
【0033】
したがって、車両100が動いている間に接触点決定を行う必要がある。運転者を邪魔することなくそのように行う機会が、車両が走行している環境に基づいて多かれ少なかれ得られる可能性がある。
【0034】
本発明は、車両の運転者を邪魔することなく接触点決定(接触点適応)を行う機会を増やす方法を提案する。
【0035】
本発明による方法200が図2に示されている。本発明による方法は、接触点決定が行われるべきかどうかを確認することにより、ステップ201において開始する。行われるべきではない場合、本方法はステップ201に留まるが、接触点決定が行われるべきである場合、方法はステップ202に進む。ステップ201からステップ202へ進むことは、種々様々な経緯で引き起こされる可能性がある。例えば、前に行われて以来経過した時間は、接触点決定が必要であることを決定するのに用いられてもよい。別の例によれば、その必要性は、出願人、発明者および出願日が本願と同一であり、かつクラッチ106の温度における接触点決定の必要性を基礎とする、「Method and system for determination of a need for contact point adaptaion」という名称の並行するスウェーデン特許出願第1150217〜6号に記載されている方法に従って決定される。その出願に記載されている方法は、クラッチの第1の温度を決定することと、該第1の温度を、前に決定された第2の温度と比較することとを含む。第1の温度が第2の温度と第1の値以上に異なるときに、接触点決定が必要と考えられる。
【0036】
また、接触点決定、およびしたがって図2のステップ201からステップ202へ進むことの必要性は、当然、他の適切な方法で決定されてもよい。
【0037】
本方法は、ステップ202において、接触点決定が適用可能であるかどうか、すなわち車両の現在の走行挙動が、接触点決定が適用可能であるものなのかどうかを判定することをさらに含む。本方法は、車両が走っている道が接触点決定を行うことを適切にすることが判定されるまで、ステップ202に留まっていてもよい。例えば、車両が急勾配の上り坂、すなわち車両が駆動力を失わないようにクラッチの開放ができるだけ回避されなければならない状況にある場合、接触点決定が行われるべきではない。
【0038】
ステップ202における条件は、種々様々な方法で定義されてもよい。該条件は、例えば、車両のエンジンによりパワートレインに与えられるトルクが第1のトルク値以下、例えばある数のニュートンメートルまたはエンジンにより送達可能な最大トルクのあるパーセンテージ、である可能性があることと考えられる。あるいは、該条件は、クラッチの開放時に車両が受ける加速/遅延が、現在の加速/遅延と、例えば車両の現在の速度、貨物荷重等によって決まる所定の値以上に異ならないことと考えられる。上記の値は、例えば、加速/遅延が車両の運転者に非常によく分かることまたは彼/彼女を邪魔することがないよう十分に小さいように設定されてもよい。
【0039】
車両の制動が第2の動力源、例えばギアボックスの下流に据えられている常用ブレーキ、補助ブレーキもしくは電動機、により実施され得る場合、またはギアボックスの下流に据えられている電動機により車両が推進され得る場合、ある実施形態によれば、クラッチの上流に据えられている動力源から与えられるトルクが、ギアボックスの下流に据えられている動力源が十分な能力を有するならば、接触点決定中に該動力源により取って代わられることが可能である。
【0040】
例えば燃焼エンジンがドラッグする(drag)すなわちパワートレインに制動トルクを与える場合、このトルクは、代わりに、例えばギアボックの下流に据えられている第2の動力源により与えられてもよい。これは、そのような状況において、車両の速度に全く影響を及ぼすことなく、燃焼エンジンが完全に切断されることを可能にする。この場合、第2の動力源が十分であるかどうか、すなわち第2の動力源がエンジンのトルクに取って代わることができる十分なトルクを送ることが予想され得るかどうかが、最初に判定される。あるいは、ギアボックスの下流に据えられている第2の動力源または動力源の組合せが、上記の加速/遅延条件が満たされるような第1の動力源のトルクの大部分に取って代わってもよい。
【0041】
第2の動力源は、例えば、燃焼エンジン101を制御する制御ユニットにより制御されてもよい。あるいは、この第2の動力源は自律的あってもよく、例えば、例えば運転制御機能から要求される車両速度による一定速度の制動を引き受けるリターダなどの上位機能により、トルクの付与を自動的に引き受ける可能性がある。
【0042】
接触点決定が適用可能である場合、本方法はステップ203に進み、車両100が動いておりかつクラッチ106が閉じているかどうかを判定する。
【0043】
一実施形態は、車両は既に、エンジン101とギアボックス103との間で力の伝達のない走行状態にあるので、車両が動いているかどうかのみを判定する。例には、高いエンジン速度でのエンジンドラッギング(engine dragging)の代わりに、パワートレインが切断されている高い車両速度の状況が含まれる。ある場合には、これはネルギーの観点から効果的である可能性がある。そのような場合、したがって、接点決定が、クラッチ106が既にトルクから解放されておりかつエンジン制御が必要とされていない状況において行われる。
【0044】
車両100が動いている場合、本方法は、例えば以下に記載されている方法のいずれかにおいて、接触点決定が行われるようにステップ204へ進む。車両が動いておらず静止している場合、運転者を邪魔することなく、より自由度の大きい接触点決定が可能であり、例えば以下に記載されている方法のいずれかにより行われてもよい。
【0045】
しかし、パワートレインが閉じられている状態で車両100が動いている場合、本方法は、本発明による接触点決定中のエンジン制御のためにステップ205へ進む。したがって、本発明は、車両が動いている状態で接触点決定において適用され、パワートレインが閉じられている場合すなわちクラッチが閉じられておりかつギアがギアボックス内に係合されている場合に開始する。
【0046】
車両100が動いている場合に本発明による接触点決定が行われるので、接触点決定は、上記の通り、好ましくは、車両の走行状態が適切である状況において行われるべきである。可能性のある例には、エンジンが低トルクで車両を駆動しているかまたは制動している状況が含まれる。
【0047】
ステップ205において現在のエンジン速度が判定され、方法は、クラッチ106が開いているステップ206へ進むが、これがドライブラインが閉じられた状態で車両が動いている時に起こった場合、エンジンはアイドリング速度に低下して、運転者はこのことを不可解な不穏な車両挙動と見なすと考えられる。本発明によれば、したがって、エンジン速度は、運転者がクラッチの開放に全く気付く必要がないように制御される。
【0048】
ギアボックス内のギアを解除するために、ギアを切り替えている場合のように、ギアボックス103によりトルクが伝達されないように、エンジン101は、最初にドライブラインにおいてゼロトルクに制御される(いわゆるランプダウン)。次いで、クラッチ106の開放が開始し、何か他の速度の方へ積極的に制御されない限り、エンジンは普通、アイドリング速度の方へ低下し始める。本発明によれば、本発明によるエンジン速度制御は、クラッチが開き始めたことが検出され次第、開始することが好ましい。
【0049】
この後に、エンジンをステップ205において判定された速度、例えばギアが係合されていたらそうであろう速度、の方へ継続的に制御することが続く。
【0050】
したがって、このようにエンジン101を制御することにより、エンジンはクラッチの開放が開始した時にそうであった速度に保たれることが可能であるので、車両の運転者に気付かれることなくクラッチ106が開くことが可能になる。このようにクラッチが開いた場合、ギアボックスはニュートラル位置に入れられて、車両に接触点決定による影響が及ばないようにする。また、ある種の接触点決定は、ギアボックスがニュートラル位置に入れられていることを必要とする。エンジンがステップ205において判定された速度すなわちギアが係合されている状態でパワートレインが閉じられていた場合にそうであったろう速度の方へ制御されると同時に、次いで、ステップ207において接触点適応が可能であり、任意の適切な方法で実施されてもよい。
【0051】
したがって、本発明は、パワートレインが閉じられている状態で車両が動いている時に、運転者に気付かれずにまたは実質的に気付かれずに接触点決定が行われ得るように、エンジン101の制御が適用されるという利点をもたらす。したがって、彼/彼女は不必要な変動に晒されない。
【0052】
したがって、クラッチ106の開放中に、回転速度は、クラッチが開く直前に優勢な速度の方へ制御されてもよい。一実施形態が、前記接触点決定後のクラッチの閉鎖時の予想速度である前記エンジン101の速度を代わりに判定し、その目的のために、接触点決定中の前記エンジンの速度は、判定された前記速度の方へ制御される。この速度変換は、例えば、接触点決定が行われている時間の間に、車両が加速または遅延されていると考えられる可能性によって決まる。また、速度判定は、例えば、ギアチェンジによる速度変換の形をとっていてもよい。すなわち、エンジン速度は、ギアチェンジが起こっているかのようにシミュレーションされてもよい。
【0053】
あるいは、予想速度変換は、例えばいわゆるルックアヘッド機能により得られる、車両100より前に旅程に関するデータ、または例えばナビゲーションデータに基づいて決定されてもよく、その場合、接触点決定中のエンジン101の速度は、速度が予想速度変換に従って変化するように制御されてもよい。
【0054】
接触点決定が実施されなかった場合、エンジン101が経験したであろう予想速度変換もまた、接触点決定中の各時点について推定されてもよく、例えば上記の通り、その場合、接触点決定中のエンジン速度は、エンジン速度が前記予想速度変換に従って変化するように制御されてもよい。
【0055】
また、本発明による方法は、車両の速度の自動維持のために運転制御機能が起動された時に適用されるようになされていてもよい。この場合、車両の制御システムは、制御システムが車両の次回の速度をより大きな範囲で決定し計算することができるので、接触点決定を行うのに適切なより多くの時点を発見する可能性がある。ここで再度、車両より前に旅程に関する任意の利用可能なデータが考慮される。前方の車両からの一定の距離の維持をもたらす運転制御機能を有する場合、接触点決定はまた、例えば、車両がより遅い車両に追い付こうとしていることが検出された場合に行われてもよく、その場合、接触点決定は、前方の車両の減速中に行われ得る。
【0056】
ステップ207における接触点決定は、任意の適切な方法で行われてもよい。先行技術では、接触点適応は、通常、クラッチ106を開放位置から閉鎖位置まで動かし、入力シャフトが加速し始める位置を決定することを可能にすることにより、ギアボックス入力シャフトが静止している時に行われる。接触点は、例えば、ギアボックス入力シャフト上の回転速度センサが車両速度を登録する位置として決定される。
【0057】
しかし、本方法による適応に必要な時間は、車両が動いている時に気付かれずに行われるには長過ぎる可能性がある。これは、1つには、多くの場合、ギアボックスがニュートラル位置に入れられた後に、特にギアボックスが暖まっている(通常は僅かな摩擦があることを意味する)場合に、ギアボックス入力シャフトが停止するのに長い時間がかかるためである。ある車両では、この過程は、普通はブレーキが設けられている可能性がある前記入力シャフトに連結されている、通常は存在する副軸により迅速化される可能性がある。しかし、多くの車両はこの設備を欠いている。
【0058】
また、速度センサのタイプに応じて、入力シャフトの低回転速度およびしたがって実際の接触点を、正確に検出することは困難である。代わりに明らかにされるものは、入力シャフトがセンサにより検出可能な速度に到達した時にクラッチ106がある点(位置)である。
【0059】
また、接触点適応は、例えば、スウェーデン特許出願第0950663〜5号に記載されている解決策に基づいて行われてもよく、該解決策は、接触点適応が、より短時間で、かつしたがってより多くの場合に車両が動いている間に、例えばギアチェンジ中にかつブレーキをかけて停止する間に、行われることを可能にする。
【0060】
スウェーデン特許出願第0950663〜5号は、クラッチにより伝達されるトルクMClutch
として推定され得るという事実を用いており、Jは、(前記特許出願に記載されている通り、既知である可能性があるかまたは計算から消去されてもよい)第1のギアボックス要素の慣性モーメントである。MClutchを計算することは、角加速度
およびMFriction(ギアボックス入力シャフト(第1のギアボックス要素)に作用する摩擦モーメント)を推定することを含む。
【0061】
ギアボックス入力シャフトは、ギアボックスがニュートラルに入れられている状態で、クラッチ106を介して、例えばエンジン出力シャフトにより、所望の速度まで加速され、その後に第1のギアボックス要素(例えば、クラッチディスクを含むギアボックス入力シャフト、またはギアボックス入力シャフトおよび副軸)の固有の摩擦の摩擦係数の推定が続く。
【0062】
開放位置から、クラッチ106は次いで閉じられ、そこで、上記の通りクラッチにより伝達されるトルクは推定摩擦モーメントの関数であり、クラッチの閉鎖時に、クラッチにより伝達されるトルクは複数のクラッチの位置について決定される。接触点はクラッチの位置として決定され、そこでクラッチにより伝達されるトルクは、第1の値、例えばゼロ、を超過している。すなわちMClutch>0である。
【0063】
本発明によれば、第1のギアボックス要素は、クラッチにより回転させることができかつ上記の通り車両のエンジンおよびその動力ホイールの両方から切断され得る構成要素の任意のセット、すなわちエンジン101および動力ホイール113、114の両方から切断され得るパワートレインの一部、の形態をとってもよい。したがって、上記の通り推定される摩擦モーメントは、構成要素の組合せの摩擦モーメントである。
【0064】
あるいは、接触点決定は、当然、何か他の適切な方法で行われてもよい。
【0065】
ステップ207において接触点決定が行われた場合、適切なギア(例えば、クラッチを開く時の車両のギア、または上記の通りギアチェンジがシミュレーションされたギア)が係合されており、エンジンからのトルク伝達が、パワートレインに再び与えられ、同時に、ステップ208においてクラッチが閉じる。本方法は、次いで、ステップ209において終了するか、またはステップ201に戻って、別の接触点適応を必要とするように、クラッチの接触点が再度変化した可能性があるかどうかを判定する。
【0066】
本発明によるデバイスのさらなる実施形態が、添付の特許請求の範囲において言及されている。また、本発明による本方法の種々の実施形態に従って、デバイスは修正されてもよい(逆の場合も同じ)こと、および本発明は、本方法の前述の実施形態に決して限定されず、全ての実施形態に関連し、全ての実施形態を添付の独立した特許請求の範囲の保護範囲内に含めることに留意すべきである。
図1a
図1b
図2