(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、パチンコ機などの遊技機における制御基板はハーネスと称される配線部材を介して他の基板と電気的に接続される。ハーネスは電気部品を電気的に接続する配線部材であり、シールド被覆が施されていない多数本の配線(たとえば18本)からなる配線束と、その両端に取り付けたコネクタ(接続用コネクタと称する)とで構成され、その接続用コネクタの一方は制御基板に設けた上記コネクタ(被接続用コネクタと称する)と電気的に接続される。このハーネスのシールド被覆が施されていない配線部が、制御基板と他の基板を接続するために、静電ノイズおよび外部ノイズとなる電磁波の飛び交う遊技機内を引き回されることになる。このため、ハーネスを介してノイズが制御基板内に持ち来される可能性がある。
【0009】
遊技機においては、ハーネスの使用環境として、ハーネスの周辺からノイズ発生源を完全になくすことは困難であり、ハーネスにシールド被覆などを施すことも有効な対策となり得るが、経済的な見地から、できるだけノイズの影響を受ける制御基板側でノイズ対策を講じることが望まれる。しかし、このような観点に立ったノイズ対策については、従来は何ら提案されていなかった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、
遊技機内に設けられた基板におけるコネクタと配線パターンを工夫してノイズの影響を受けにくい構造の遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。なお括弧内は実施形態における対応要素を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0012】
(1)遊技機内に設けられハーネスにより接続された制御基板(27)により遊技に係る各種の制御が実行される遊技機において、
前記制御基板は、
絶縁基板(50)と、
前記絶縁基板の片面上に実装され、前記ハーネスを介して他の基板と電気的に接続するための2列配置の複数の端子(61)を有するコネクタ(60)と、
前記絶縁基板の他方の片面上に全部または一部が形成され、前記コネクタの複数の端子中の電源端子に接続された電源パターン(51、53、54)と、
前記絶縁基板の前記他方の片面上に前記電源パターンを囲むように形成され、前記コネクタの複数の端子中のグラウンド端子に接続されたグラウンドパターン(56)と、
前記電源パターンおよび前記グラウンドパターンを介して電源が供給される電子部品(71〜73)と、を備え、
前記ハーネスは、その配線中に同じ電源を供給する複数本の配線を含み、
前記コネクタの前記2列配置の端子は、その列方向に相隣る少なくとも2つが前記ハーネスの同じ電源を供給する複数本の配線に1対1の関係で接続される同一電源用の電源端子とされ、これらの電源端子から引き出されて前記電子部品の少なくとも1個に至るまでの前記電源パターンの幅(W)が、前記端子の2個分以上の幅に形成されている、ことを特徴とする遊技機。
【0013】
(2)前記コネクタの2列配置の端子は、その列方向に相隣る少なくとも2つが前記同一電源用の電源端子とされ、これらの同一電源用の電源端子から個別に引き出されて合流された後に前記電子部品の少なくとも1個に至るまでの前記電源パターンの幅が、前記端子2個分以上の幅に形成されている、ことを特徴とする上記(1)に記載の遊技機。
【0014】
(3)前記コネクタの2列配置の端子は、その列方向に相隣る少なくとも2つが前記同一電源用の電源端子とされ、これらの同一電源用の電源端子から共通に引き出されて前記電子部品の少なくとも1個に至るまでの前記電源パターンの幅が、前記端子2個分以上の幅に形成されている、ことを特徴とする上記(1)に記載の遊技機。
【0015】
(4)前記コネクタの2列配置の端子は、その列方向に相隣る複数の同一電源用の電源端子からなる同一電源用の電源端子の組を同じ列中に少なくとも2組含み、その同一電源用の電源端子の組同士の間にグラウンド端子を備え、このグラウンド端子から前記グラウンドパターンが引き出されている、ことを特徴とする上記(1)に記載の遊技機。
【0016】
(5)前記コネクタの2列配置の端子は、その一方の列中に、列方向に相隣る複数の同一電源用の電源端子からなる同一電源用の電源端子の組を少なくとも2組含み、その同一電源用の電源端子の組同士の間にグラウンド端子を備え、また他方の列中にグラウンド端子を備え、前記一方の列中の前記同一電源用の電源端子の組同士間のグラウンド端子と前記他方の列中のグラウンド端子とから、これらに共通に前記グラウンドパターンが引き出されている、ことを特徴とする上記(4)に記載の遊技機。
【0017】
(6)前記コネクタの2列配置の端子はその列方向に信号端子(
図5の4番の端子)を含み、この信号端子から引き出されて前記電子部品の少なくとも1個に至るまでの信号線パターン(55)の幅が前記電源パターンよりも狭い幅に形成され、前記信号線パターンの引出部を除き前記信号端子の周囲がグラウンド用の導電体(端子番号1〜3と6)または前記グラウンドパターン(56b)で囲まれている、ことを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の遊技機。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、
遊技機内に設けられた基板におけるコネクタと配線パターンを工夫してノイズの影響を受けにくい構造の遊技機を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る遊技機の実施形態を、パチンコ遊技機を例にして説明する。
【0021】
図示のパチンコ遊技機1は、木製の外枠4の前面に額縁状の前面枠2を開閉可能に取り付け、前面枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム(図示せず)内に遊技盤3を装着し、この遊技盤3の表面に形成した遊技領域3aを前面枠2の開口部に臨ませた構成を有する。上記遊技領域3aは、遊技盤3の面上に配設した球誘導レール5(
図3参照)で囲まれた領域からなる。この遊技領域3aの前側に、透明ガラスを支持したガラス扉枠6が設けられている。
【0022】
またパチンコ遊技機1は、ガラス扉枠6の下側に配設された前面操作パネル7を有している。前面操作パネル7には上受け皿ユニット8が設けられ、この上受け皿ユニット8には、排出された遊技球を貯留する上受け皿9が形成されている。前面操作パネル7には、球貸しボタン11およびプリペイドカード排出ボタン12(カード返却ボタン12)が設けられている。また、上受け皿9の上皿表面部分には、内蔵ランプが点灯されて操作可能となり、その内蔵ランプ点灯時に押下することにより演出効果を変化させることができる押しボタン式の枠演出ボタン13が設けられている。この上受け皿9には、上受け皿9に貯留された遊技球をパチンコ遊技機1の下方に抜くための球抜きボタン14が設けられている。
【0023】
また、前面操作パネル7の右端部側には、発射ユニットを作動させるための発射操作ハンドル15が設けられている。また、前面枠2の上部の両側、発射操作ハンドル15の上側には、効果音を発生するスピーカ46が設けられている。またさらに、ガラス扉枠6の各所には、光の装飾により演出効果を現出する装飾ランプ45が設けられている。
【0024】
図2に示すように、パチンコ遊技機1の背面には、遊技盤収納フレームを覆って遊技盤3を裏側から押さえる枠体状の裏機構盤16が取り付けられ、これにより遊技盤3と前面枠2とが一体化されている。この裏機構盤16の上部の一側寄りには、パチンコホール側島設備の遊技球補給装置(図示せず)から供給される遊技球を貯留する遊技球貯留タンク17が設けられている。また、遊技球貯留タンク17から球を導出するタンクレール18の傾斜下端に接続して、遊技球を払い出すための遊技球払出装置19を設けてある。さらに、裏機構盤16の上部の他側隅部には、パチンコホール全体の遊技機を統括的に管理する管理用コンピュータ(図示せず)に電気的に接続するための外部端子基板21が端子基板ケース22に収めて設けられている。
【0025】
また、裏機構板16の略中央には、遊技盤3の裏側に装着された透明の裏カバー23が嵌合しており、この裏カバー23内に、演出制御基板24を収納した透明の演出制御基板ケース24aと、液晶制御基板25を収納した透明の液晶制御基板ケース25aとが設けられている。演出制御基板ケース24aの下方には、内部に主制御基板27を収納した透明な主制御基板ケース26が設けられている。
【0026】
さらに主制御基板ケース26の下方には、払出制御基板29を収めた透明な払出制御基板ケース28が設けてあると共に、電源基板31を収めた透明な電源基板ケース30が配設されている。さらにまた、発射操作ハンドル15に対応する位置には、遊技球を打撃する打撃槌やこれを駆動する発射モータを備えた遊技球発射装置(図示せず)の後側に発射制御基板33が設けられている。
【0027】
次に、遊技盤3の遊技領域3aについて説明する。
図3に示すように、遊技盤3の略中央部には、3つ(左、中、右)の表示エリアにおいて、独立して数字やキャラクタや記号などによる図柄(装飾図柄)の変動表示が可能である画像表示装置としての液晶表示装置36(LCD:Liquid Crystal Display)が配設されている。この液晶表示装置36の真下には、第1の特別図柄始動口である上始動口34と、第2の特別図柄始動口である下始動口35とが上下に配設され、それぞれの内部には、入賞球を検出する特別図柄始動口センサが設けられている。下始動口35には、左右一対の可動翼片47が下始動口35を開閉可能に設けられ、いわゆるチューリップ型の電動役物(普通変動入賞装置41)を構成している。
【0028】
上始動口34より上左側には、ゲートからなる普通図柄始動口37が配設されており、通過する遊技球を検出する普通図柄始動口センサが配設されている。
【0029】
上記下始動口35の下方には、大入賞口40を開閉する開放扉42bで開閉可能に構成した特別変動入賞装置42が配設され、その内部には、入賞球を検出する大入賞口センサが配設されている。
【0030】
特別変動入賞装置42の両側に一般入賞口43が計4つ配設されており、それぞれ内部には、遊技球の通過を検出する一般入賞口センサが形成されている。各入賞口に入賞しなかった遊技球は、アウト口49を介して遊技領域3aから排出される。
【0031】
また、遊技領域3aの右上縁付近には、7セグを3桁に並べて構成される特別図柄表示装置38と、2個のLEDからなる普通図柄表示装置39が設けられている。さらに、遊技領域3aには、センター飾り48、遊技球の落下方向変換部材としての風車44や複数の遊技釘(図示せず)、複数の発光装置(ランプ、LED等:図示せず)などが配設されている。さらに遊技盤3の両側端部近傍にも、装飾ランプ45などのランプ表示装置やLED装置が配設されている。
【0032】
遊技球が上始動口34または下始動口35に入賞したことに基づき、主制御基板27において乱数抽選による大当りに関する抽選(大当り抽選)が行なわれる。この抽選結果に応じて特別図柄を特別図柄表示装置38に変動表示させて、特別図柄変動表示ゲーム(図柄遊技)を開始し、一定時間経過後に、その結果を特別図柄表示装置38に表示するようになっている。このとき、上記特別図柄変動表示ゲームに連動する形態で、装飾図柄を液晶表示装置36に変動表示させて、装飾図柄変動表示ゲームを開始し、上記一定時間経過後に、特別図柄表示装置38に抽選結果が表示されると共に、液晶表示装置36にも装飾図柄によりその結果が表示される。
【0033】
したがって、特別図柄表示装置38での特別図柄変動表示ゲームの結果が「大当り」であった場合、この液晶表示装置36の装飾図柄変動表示ゲームの結果も「大当り」を反映させた演出が現出される。また、特別図柄表示装置38には、大当りを示す特別図柄が所定の表示態様(たとえば、2個の7セグが全て「7」の表示状態)で停止表示され、液晶表示装置36には、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、当り有効ライン上で装飾図柄が上記大当り抽選結果を反映させた所定の表示態様(たとえば、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、3個の装飾図柄が「7」「7」「7」の表示状態)で停止表示される。
【0034】
そして、この大当りとなった場合には、特別変動入賞装置ソレノイドが作動して開放扉42bが開き、これにより大入賞口40が所定パターンで開閉制御されて、通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態(大当り遊技)が発生する。この大当り遊技では、開放扉42bが所定時間(たとえば、29秒)開放して大入賞口40が開放されるか、または所定個数(たとえば、9個)の遊技球が入賞するまで大入賞口40が開放され、その後、所定時間(たとえば、2秒)開放扉42bが閉まって大入賞口40を閉鎖する、といった動作(ラウンド遊技)が所定回数(たとえば、最大15回(最大15R(ラウンド))繰り返されるようになっている。
【0035】
<主制御基板>
図4は、主制御基板27の片面(裏面側)の概略を示す。
図4に示すように、主制御基板27は矩形状のプリント配線基板からなり、その絶縁基板50の片面(表面側)には、中央寄りの部分にワンチップマイクロコンピュータ(ワンチップマイコン)を構成するCPU、ROM、RAM等の種々の電子部品71〜73が配置され、また外縁部近傍には、図示してないハーネスの接続用コネクタが差し込まれる被接続用コネクタ60が実装されている。また主制御基板27の他の片面(裏面側)には、上記コネクタ60の端子から複数本の配線パターン51〜55が配設されているとともに、その周囲にグラウンド用の配線パターン(グラウンドパターン)56が配設されている。
【0036】
上記コネクタ60には、省スペース化などの見地から、複数の導電端子61を2列に配置したコネクタを用いる。導電端子を2列(デュアル)配置にすることによりコネクタの全長寸法が約1/2になるなどの利点があるためである。本実施形態の場合、コネクタ60は、2列に等間隔で配置された合計18本の端子61を有し、これらの端子61は絶縁基板50に設けられたスルーホール(図示せず)を通して裏面側に突出している。2列に配置された合計18本の端子61は、
図5に拡大して示すように、裏面側から見て、基板縁に近い方の左側列が奇数番号1〜17の端子列、そして右側が偶数番号2〜18の端子列となっている。
【0037】
(右側の端子列:
図4〜
図7)
まず、コネクタ60の計18本の端子61のうちの右側列について説明する。右側列中の最上位の18番の端子は、右側のグラウンドパターン56に接続されている。
【0038】
上記18番の端子の下側に位置する列方向に相隣る同一電源用の2つの端子、つまり右側列中の16番と14番の2つの端子は、ハーネスの同じ電源を供給する複数本(ここでは2本)の配線に1対1の関係で接続される端子であり、この2つの端子には、1本の電源供給用の配線パターン(電源パターン)51の一端が共通に接続されている。この電源パターン51は、16番および14番の2つの端子61から共通に、列方向と直交する外側方向である右側に引き出された後、配線基板50の裏面上に所定の配線幅Wで延設され、途中で2つの分岐パターンに分岐し、一方の分岐パターン(枝路)51aは電子部品71まで延在して終端しており、また他方の分岐パターン(枝路)51bは電子部品72まで延在して終端している。
【0039】
コネクタ60の2列配置の端子61のうちの2本から電源パターン51を共通に引き出す形態としては、上記の形態の他に、左右の列間で向き合う端子同士の2本から、当該2本の端子を結ぶ方向に、電源パターン51を共通に引き出す形態もある。しかし、本発明ではこの形態を採用せず、
図4に示すように、列方向に相隣る2つの端子から、その列方向と直交する方向に、電源パターン51を引き出す形態とする。この形態とすることにより、前者に比べ幅の広い電源パターン51を、2本の端子から共通に引き出すことが可能になる。
【0040】
電源パターン51の配線幅Wは、
図6に示すように、電源端子61の部分でも隣のグラウンド端子と接触しない幅であること、すなわち端子間ピッチPの2倍(W=2P)に至らないことを条件として、端子61の直径dの2個分以上の配線幅Wを有している。
【0041】
この実施形態の場合、電源パターン51は、16番および14番の端子に接続されている部分が幅広のパターン基端部510として形成されている。このパターン基端部510は、16番端子に対する円形パッド510aと、14番端子に対する円形パッド510bと、これらに共通に引き出した共通部分510cとから構成されている。そして、電源パターン51の配線幅Wは、このパターン基端部510においては、円形パッド510aの直径と円形パッド510bの直径と、そして両パッド間の隙間510dの間隔とを、列方向に加算した寸法の幅(第1幅W1)になっており、パターン基端部510はパッド状に形成されている。そして、パターン基端部510から後のパターン部分、つまりコネクタ60の領域を出た直後から右側のパターン本体部511は、端子61の直径のほぼ2倍の幅(第2幅W2)で形成され、その配線幅Wが第1幅W1より狭い幅に縮小されている。
【0042】
このように電源パターン51は、14番および16番の2つの端子61から共通に第1幅W1で列方向と直交する外側方向(
図5の右側)に引き出され、コネクタ60の領域を出た直後から端子61の直径のほぼ2倍の第2幅W2で配線基板50の裏面上に延設され、以後同じ第2幅W2を保って分岐パターン51aと分岐パターン51bに分岐し、それぞれ電子部品71と電子部品72まで延在して終端している。
【0043】
本実施形態の場合、
図4の配線パターン51〜56は、
図7に一部を示す電源基板インターフェース回路の構成要素であり、電源パターン51はDC5Vの電源供給用の配線ラインとして働くようになっている。また電源パターン52〜54およびグラウンドパターン56は、
図7に示す電源基板インターフェース回路のDC32V、VBB、DC12V、電源異常信号、およびグラウンド(GND)用の配線ラインとして働くようになっている。
【0044】
図4に戻り、コネクタ60の計18本の端子61のうち、右側列中の上記16番と14番の端子対の下側に位置する12番の端子は、右側のグラウンドパターン56に接続されている。その下側の列方向に相隣る同一電源用の2つの端子、つまり右側列中の10番と8番の端子は、ハーネスの同じ電源を供給する複数本(ここでは2本)の配線に1対1の関係で接続される端子であり、この2つの端子からは、共通に1本のVBB電源供給用の配線パターン(電源パターン)53が引き出され、図示してない電子部品に至るまで延在されている。この電源パターン53は、電源パターン51の場合と同様に、10番と8番の2つの端子61から共通に第1幅W1で、列方向と直交する外側方向である右側に引き出され、コネクタ60の領域を出た直後から端子61の直径dのほぼ2倍の第2幅W2で配線基板50の裏面上に延設され、以後同じ第2幅W2を保って図示してない電子部品まで延在されている。
【0045】
またコネクタ60の2列配置の端子61のうち、右側列中の上記10番と8番の端子対の下側に位置する6番の端子は、右側のグラウンドパターン56に接続されている。その下側の1つの端子、つまり右側列中の4番の端子からは、上記電源パターン51よりも細い1本の電源異常信号用の配線パターン(信号線パターン)55が、列方向と直交する外側方向である右側に引き出され、図示してない電子部品に至るまで延在されている。そして上記4番の端子の下側に位置する2番の端子、すなわち右側列中の最下位の端子は、右側のグラウンドパターン56に接続されている。
【0046】
(左側の端子列:
図4〜
図5)
次に、コネクタ60の計18本の端子61の左側列について説明する。
【0047】
まず、その左側列中の最上位の17番の端子は、左側のグラウンドパターン56に接続されていると共に、ワイヤ接続体からなる導電体62で右側列の18番の端子とも接続されている。また、この17番の端子の下側に位置する15番の端子は、左側に存在するグラウンドパターン56に接続されている。そして、この15番の端子の下側に位置する13番の端子からは、1本のDC32V電源供給用の配線パターン(電源パターン)52が、列方向と直交する外側方向である左側に引き出され、途中で方向を変えつつ、図示してない電子部品まで延設されている。本実施形態の場合、この電源パターン52の幅も上記第2幅W2に定められている。
【0048】
上記13番の端子の下側に位置する11番と9番の2つの端子は、左側のグラウンドパターン56に接続されるグラウンド端子となっている。このうち上側の11番の端子は、ワイヤ接続体からなる導電体63を介して右側列の12番の端子とも接続されている。
【0049】
この11番と9番のグラウンド端子の下側に位置して列方向に相隣る2つの端子、つまり左側列中の7番と5番の端子は、ハーネスの同じ電源を供給する複数本(ここでは2本)の配線に1対1の関係で接続される同一電源用の端子であり、この2つの端子には、両端子に共通の1本のDC12V電源供給用の配線パターン(電源パターン)54が接続されている。この電源パターン54は端子の列方向と直交する外側方向である左側に引き出されており、その直後に下方に屈曲されて延在している。この電源パターン54の配線幅Wも、電源パターン51の場合と同様に、7番と5番の2つの端子61に接続されたパターン基端部541では第1幅W1に形成され、そして7番と5番の2つの端子61から引き出されたパターン基端部541から後のパターン部分、つまりコネクタ60の領域を出た直後から下側に向かうパターン本体部542では、第1幅W1より狭い第2幅W2に縮小されている。
【0050】
電源パターン51ではその全部(全長)が配線基板50の裏面上に延設されていたが、この電源パターン54では、その一部であるパターン本体部542だけが配線基板50の裏面上に延設され、残りは配線基板50の表面上に延設されている。すなわち、この電源パターン54は、その途中のパターン本体部542の端部で、裏面側から図示してないスルーホールを通して、表面側の電源パターン部分54aに電気的に接続されて引き継がれる。そして、この電源パターン54の幅は、パターン本体部542が端子61の直径のほぼ2倍の第2幅W2で配線基板50の裏面上に延設され、これ以後の電源パターン部分54aも同じ第2幅W2を保って電子部品73まで延在される。
【0051】
また、左側列において上記7番と5番の電源端子の下側に位置する3番の端子は、右側列の6番の端子に、ワイヤ接続体からなる導電体64により接続されている。同時に、この左側列の3番の端子は、その下側の1番の端子に、ワイヤ接続体からなる導電体65により接続されており、この下側の1番の端子はグラウンドパターン56に接続されている。また、左側列の1番の端子は、グラウンドパターン56に接続された右側列の2番の端子に、ワイヤ接続体からなる導電体66により接続されている。したがって右側列の6番、左側列の3番、左側列の1番および右側列の2番の各端子相互間が、順次にワイヤ接続体からなる導電体64〜66により接続されている。
【0052】
(配線幅とグラウンドの作用)
このように電源パターン51、53、54は、それぞれ端子列中の相隣る2つの端子を接続対象とし、この接続対象の端子対(端子番号16と14の対、10と8の対、7と5の対)から、それぞれ端子61の直径の2倍以上の配線幅W(第1幅W1、第2幅W2)で、電源の供給先である電子部品まで延設される。ただし、これらの電源パターン51、53、54の配線幅Wは、2つの電源端子から共通に1つのパターンを引き出す際に、電源端子の部分では当該2つの電源端子の隣の端子と接触しない幅であることが必要である。したがって、電源パターン51、53、54の配線幅Wは、端子間ピッチPの2倍に至らないことを限度として、端子61の直径の2倍以上の幅に定められる。
【0053】
一方、ハーネスは、図示していないが、シールド被覆が施されていない多数本の配線(ここでは18本)からなる配線束と、その両端に取り付けた接続用コネクタとで構成され、その接続用コネクタの一方を制御基板27に設けた上記被接続用コネクタ60に差し込むことで、制御基板27上の配線パターン51〜56と電気的に接続される。なお、接続用コネクタの他方は電源基板31の被接続用コネクタ(図示せず)に差し込まれる。そして、上記コネクタ60の上記端子番号16と14の対、10と8の対、7と5の対に対応する各2本の配線と、端子番号1〜3、6、9、11〜12、15、17〜18の各グラウンド(GND)端子に対応する配線とによって、DC5V、VBB、DC12Vが供給される。
【0054】
これらの電源供給路は、ハーネス部分では、複数本(たとえば2本)の配線によって同じ1つの給電路(往路)が形成され、制御基板27上では、コネクタ60の端子の直径の2倍以上の配線幅W(第1幅W1、第2幅W2)を持つ電源パターン51、53、54によって所定の電子部品までの給電路(往路)が形成されている。また、これらの給電路の帰路は、ハーネス部分では、端子番号1〜3、6、9、11〜12、15、17〜18の各グラウンド(GND)端子に対応する複数本の配線によって構成され、制御基板27上では、これらの端子に接続されているグランドパターン56によって構成される。
【0055】
このため給電先の全ての電子部品において必要とされる定格値を十分にカバーする大きな電流を、ハーネスの配線を通して制御基板27に流し、所定の直流電源を供給すことができる。このためハーネスのシールド被覆が施されていない配線部が、制御基板27と他の基板を接続するために遊技機内を引き回された場合でも、賞球や貸球の払い出しなどにより生じた静電ノイズや電子ライターなどからの外部ノイズが、電源ラインに乗りにくくなる。したがってハーネスを介して静電ノイズおよび外部ノイズが制御基板内に持ち来される可能性を小さくし、ハーネスの配線を通して制御基板27の電子部品が静電ノイズおよび外部ノイズの影響を受ける度合を低減することができる。
【0056】
またグラウンド端子については、次のように配置に工夫がなされている。
【0057】
まずコネクタ60の右側の端子列は、列方向に相隣る関係で端子番号16と14の同一電源用の電源端子の組(第1組)と、端子番号10と8の同一電源用の電源端子の組(第2組)とを含み、その第1組と第2組の電源端子の組同士間には、12番のグラウンド端子が配置されている。そして、この第1組と第2組の電源端子の全体に対して、その列方向外側(
図5の上側と下側)には、上側に18番のグラウンド端子が、また下側に6番のグラウンド端子が配置されている。また、コネクタ60の左側の端子列は、列方向に相隣る関係で端子番号13の電源端子の組(第3組)と、端子番号7と5の同一電源用の電源端子の組(第4組)とを含み、その各組の電源端子対同士の間には11番と9番のグラウンド端子が配置されている。そして、この第3組の電源端子と第4組の電源端子の全体に対して、その列方向外側には、上側に15番のグラウンド端子が、また下側に3番のグラウンド端子が配置されている。したがって、これら第1組から第4組の電源端子は、その端子配列方向に見て、それぞれ電源端子の組が、その両側からグランド端子で挟まれた形になっている。
【0058】
さらにまた、右側列と左側列の端子間の隙間(
図5の左右方向の隙間)については、この隙間に介在する形で、次のように、ワイヤ接続体からなる導電体62〜64が設けられ、それぞれグラウンドパターン56に接続されている。
【0059】
まず列相互間方向に隣り合う第1組の電源端子(端子番号16と14)および第3組の電源端子(端子番号13)からなる上側電源端子群と、列相互間の方向に隣り合う第2組の電源端子(端子番号10と8)および第4組の電源端子(端子番号7と5)からなる下側電源端子群とに大別して見た場合、上側電源端子群の上側においては、右側列の端子番号18と左側列の端子番号17のグラウンド端子間を接続する形でワイヤ接続体からなる導電体62が存在している。また、この上側電源端子群と下側電源端子群との間においては、右側列の12番の電源端子と左側列の11番の電源端子を結ぶ形でワイヤ接続体からなる導電体63が存在している。そして、下側電源端子群の下側においては、右側列の端子番号6と左側列の端子番号3のグラウンド端子間を接続する形でワイヤ接続体からなる導電体64が存在している。そして、これらの導電体62〜64はそれぞれグラウンドパターン56に接続されている。
【0060】
このため、上記4つの電源パターン51〜54の周囲がグラウンドパターン56によって囲まれているだけでなく、これが引き出されている電源端子対または電源端子(端子番号16と14、端子番号10と8、端子番号13、端子番号7と5)の部分においても、その同じ端子列中における両側がグラウンド端子(右列では端子番号18、12、6または左列では端子番号15、11、9、3の端子)によって囲まれていると共に、さらに右側と左側の端子列間の隙間においても、上記上側電源端子群(端子番号16、14、13)と下側電源端子群(端子番号10、8、7、5)が導電体62〜64によって囲まれていて、それぞれ接地電位になっている。このため、電源パターン相互間、列方向端子間および左右列間端子間(列間隙間)における電位の相違などの電気的影響が除去される。
【0061】
また、電源異常信号用の信号線パターン55が引き出されている4番の端子(信号端子)については、その周囲の右側列の6番、左側列の3番、左側列の1番および右側列の2番の各端子相互間が、順次にワイヤ接続体からなる導電体64〜66により接続され、これにより信号端子の周囲が、信号線パターン55の引出部を除き、接地電位の導電体64〜66により取り囲まれている形となっている。このため電源異常信号に他の電源端子からのノイズが乗るなどの影響を受けない構成となっている。
【0062】
<変形例1:
図8>
この実施形態の場合、電源パターン51のパターン基端部510は、
図8(a)に示すように、16番端子に対する円形パッド510aと、14番端子に対する円形パッド510bと、これらに共通に引き出した共通部分510cとを有し、両円形パッド510aと510b間の隙間510dは、端子61のほぼ半径程度の深さで形成され、それ以降の部分は共通部分510cとして形成されている。すなわち隙間510dの部分が共通部分510cの端子側辺510eに付けられた「くびれ」となるような形状となっている。
【0063】
しかしパターン基端部510の形状は、
図8(b)に示すように、両円形パッド510aと510b間の隙間510dを、端子61の直径を超えてコネクタ60の領域外まで延在する深さで形成することもできる。これは、16番端子から個別に引き出された引き出しパターン510fと、14番端子から個別に引き出された引き出しパターン510gとを、コネクタ60の領域外で合流させて共通部分510cとした構成である。この構成の場合でも引き出しパターン510fと510gの列方向幅の和は端子2個分以上の幅Wとなっており、また共通部分510cの配線幅W1やパターン本体部511の配線幅W2も端子2個分以上の幅Wとなっている。
【0064】
またパターン基端部510の形状は、
図8(c)に示すように、両円形パッド510aと510b間の隙間510dを無くし、その端子側辺510eを平坦な縁として形成することもできる。この構成の場合も、共通部分510cの配線幅W1やパターン本体部511の配線幅W2は端子2個分以上の幅Wとなっている。
【0065】
他の電源パターン53や54についても、上記した
図8(b)や(c)で説明したような形状にすることができる。
【0066】
<変形例2:
図9>
上記実施形態では、右側列と左側列の端子間(左右列間端子間)のグラウンド接続に関し、右側列の12番の端子と左側列の11番の端子間をワイヤ接続体からなる導電体63により接続し、そして、右側列の6番の端子と左側列の3番の端子間、左側列の3番の端子と左側列の1番の端子間、左側列の1番の端子と右側列の2番の端子間を、それぞれワイヤ接続体からなる導電体64、65、66により接続した。
【0067】
しかし、左右列間端子間のグラウンド接続に関しては、一方の列中の電源端子の組同士間のグラウンド端子と他方の列中のグラウンド端子にかけてグラウンドパターンを延在させ、両列のグラウンド端子から共通にグラウンドパターンを引き出す形態とすることもできる。たとえば
図9に示すように、右側列の12番端子と左側列の11番端子の間を、ワイヤ接続体からなる導電体63の代わりにグラウンドパターン56aにより接続し、そして、右側列の6番端子と左側列の3番端子の間、左側列の3番端子と左側列の1番端子の間、左側列の1番端子と右側列の2番端子の間について、それぞれワイヤ接続体からなる導電体64、65、66により接続する代わりに、グラウンドパターン56aにより、これらのグラウンド端子(端子番号1、2、3、6)を共通に接続する形態とすることができる。このようにグラウンドパターン56aにより4番の信号端子の周囲を囲む形態にすることにより、電源異常信号に他の電源端子からのノイズが乗るなどの影響を受けない構成を得ることが可能である。
【0068】
<変形例3:
図10〜
図11>
上記実施形態では、電子部品へ電源を供給する電源パターン51〜54にパターン基端部を設け、そのパターン基端部を出た後のパターン本体部511、542について、配線幅Wをほぼ端子2個分の一定幅に保って全ての電子部品71〜73まで延在させた。
【0069】
しかし、電源パターン51〜54はパターン基端部を設けないで、端子2個分以上の一定幅で端子の部分から引き出し、その幅を維持して目的地まで引き回してもよい。たとえば
図10に示すように、列方向に相隣る2つの端子61から、共通に電源パターン51を端子2個分以上の一定幅W1で引き出し、これから順に分岐パターン51a、51c、51eを電子部品71〜73に延在させてもよい。
図10の例では、電子部品71および72の消費電力が大きいため、分岐パターン51a、51cについてはほぼ端子2個分の幅W1としているが、電子部品73は消費電力が小さいため、これに対応する分岐パターン51eは、分岐パターン51a、51cより狭い幅に形成されている。
【0070】
またパターンは、電子部品の少なくとも1個に至るまでの電源パターン幅が、端子2個分以上の幅に形成されていればよく、これにより本発明所期の効果を得ることができる。たとえば最寄りの電子部品71までの電源パターン(パターン本体部511および分岐パターン51a)について、その幅を端子2個分以上の幅Wとすることにより、本発明所期の効果を得ることができる。
【0071】
また遠い電子部品への給電になるに従って、順次に幅の狭いパターンとすることもできる。
図11はこの形態を、電源パターン51を例にして示したもので、電源パターン51の配線幅Wは、最寄りの電子部品71までのパターン本体部511および分岐パターン51aではほぼ端子2個分の幅W1とされている。そして、このパターン本体部511からの分岐パターン51bおよびこの分岐パターン51bからの分岐パターン51cについては、幅W1より少し小さい幅W2の配線幅とし、そして分岐パターン51bからの分岐パターン51dおよび51eについてはさらに少し小さい幅W3の配線幅としている。したがって、最寄りの電子部品71から、その次の電子部品72、および最も遠い電子部品73まで、順次に幅の狭いパターンとなっている。
【0072】
<他の変形例>
上記実施形態では、同じ端子列中に列方向に相隣る2つの端子に着目し、この2つの端子から共通の一つの電源パターンを引き出す構成について説明した。しかし、同じ端子列中に列方向に相隣る3つ以上の端子に着目し、これらの一群の端子から共通の一つの電源パターンを引き出す構成とすることもできる。
【0073】
また上記実施形態では、コネクタの2列配置の端子に関し、その右側列中に、列方向に相隣る2つの電源端子からなる電源端子の組を2組(端子番号16と14の第1組、端子番号10と8の第2組)含み、そして左側列中に、列方向に相隣る2つの電源端子からなる電源端子の組を2組(端子番号13の第3組、端子番号7と5の第4組)含む形態とし、それぞれの列中の電源端子の組同士の間(第1組と第2組の間、および第3組と第4組の間)にグラウンド端子を備え、それぞれの列中の電源端子の組同士間のグラウンド端子から、これらに共通にグラウンドパターンを引き出す構成とした。しかし、コネクタの2列配置の端子に関し、その一方の列中に、列方向に相隣る複数の電源端子からなる電源端子の組を少なくとも2組(たとえば端子番号16と14の第1組、端子番号10と8の第2組)含み、その電源端子の組同士の間にグラウンド端子(たとえば右側列の12番端子)を備え、また他方の列中にグラウンド端子(たとえば右側列の12番端子に対応する左側列の11番端子)を備え、上記一方の列中の電源端子の組同士間のグラウンド端子(右側列の12番端子)と前記他方の列中のグラウンド端子(左側列の11番端子)とから、これらに共通にグラウンドパターンが引き出す形態とすることで、上記の左右列間端子間(列間隙間)における電位の相違などの電気的影響を除去する効果を得ることも可能である。
【0074】
また上記実施形態では、導電体62〜64をワイヤ接続体により構成したが、ワイヤを用いずに半田のみにより導電体62〜64を構成することもできる。