特許第5718507号(P5718507)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5718507
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】3又の調整機構を備えたカツラベース
(51)【国際特許分類】
   A41G 3/00 20060101AFI20150423BHJP
【FI】
   A41G3/00 F
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-86652(P2014-86652)
(22)【出願日】2014年4月18日
【審査請求日】2014年8月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000126676
【氏名又は名称】株式会社アデランス
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100122297
【弁理士】
【氏名又は名称】西下 正石
(74)【代理人】
【識別番号】100138874
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 雅晴
(72)【発明者】
【氏名】中島 佑美子
(72)【発明者】
【氏名】江刺家 俊也
【審査官】 青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭47−004678(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0029467(US,A1)
【文献】 特開2000−328336(JP,A)
【文献】 特開2008−163497(JP,A)
【文献】 特開2007−239153(JP,A)
【文献】 実開平01−164723(JP,U)
【文献】 特許第5449609(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41G 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カツラベース内面上の任意の3箇所に対して、伸縮可能な第1調整ベルト(10)の一端と、伸縮可能な第2調整ベルト(20)の一端と、伸縮可能な第3調整ベルト(30)の一端と、をそれぞれ固定するとともに、
第1〜第3調整ベルトの他端を1箇所で3又に連結してなる、カツラベース。
【請求項2】
上記3箇所は、着用者頭部の周囲方向に沿って間隔をおいた2箇所と、当該2箇所よりもカツラベース内方に位置する別の1箇所とである、請求項1記載のカツラベース。
【請求項3】
着用者の後頭部を覆う後頭部ベース(A)と、
後頭部ベース(A)に連接されていて、着用者の頭頂部から前頭部を覆う天頂部ベース(B)と、
天頂部ベース(B)に連接されていて、着用者の側頭部を覆うサイドベース(C)と、
後頭部ベース(A)に連接されていて、着用者の襟足を覆うネープ部ベース(D)と、を備えた、請求項2記載のカツラベースであって、
サイドベース(C)に上記第1調整ベルト(10)の一端が、天頂部ベース(B)に上記第2調整ベルト(20)の一端が、ネープ部ベース(D)に上記第3調整ベルト(30)の一端が、それぞれ固定されている、カツラベース。
【請求項4】
上記第1〜第3調整ベルト(10、20、30)の少なくとも1つは、外力が作用しない場合の基準長さが可変に構成されている、請求項1〜3のいずれか1つに記載のカツラベース。
【請求項5】
上記第1〜第3調整ベルト(10、20、30)の他端にそれぞれループ部(11、21、31)が形成されていて、これらループ部をリング部材(40)に通すことで、当該他端が1箇所で3又に連結されている、請求項1〜4のいずれか1つに記載のカツラベース。
【請求項6】
上記ネープ部ベース(D)には、カツラベースの周囲方向に沿って複数のベルト端連結部(65)が設けられていて、
上記第3調整ベルト(30)の上記一端は、当該一端に設けた連結部(35)をいずれかのベルト端連結部(65)に連結することで、位置変更可能にネープ部ベース(D)に固定されている、請求項3〜5のいずれか1つに記載のカツラベース。
【請求項7】
上記第1および第3調整ベルトの少なくとも一方は、伸縮性部材(75a、b)によって後頭部ベース(A)に係止されている、請求項3〜6のいずれか1つに記載のカツラベース。
【請求項8】
上記第1〜第3調整ベルト(10、20、30)の少なくとも1つについて、その内面に滑り止めコーティングを施してなる、請求項1〜7のいずれか1つに記載のカツラベース。
【請求項9】
上記第1〜第3調整ベルト(10、20、30)およびリング部材(40)の少なくとも一部を収容するカバー部材(81、82)をさらに備えた、請求項1〜7のいずれか1つに記載のカツラベース。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1つに記載のカツラベースに対して、擬毛を植設して構成されるカツラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部全体を覆うカツラベースに関し、さらに詳しくは、3又の調整機構を備えることで頭部への装着性を高めたカツラベースに関する。本発明のカツラベースは、先天的要因もしくは後天的な疾病治療などにより、頭部毛髪の一部または全部が脱毛し、治療過程での頭部毛量の増減により頭部寸法に変化が生じる人が着用する全頭カツラを作製するのに適している。
【背景技術】
【0002】
従来、レディメイドまたはオーダーメイドで作製される全頭カツラのカツラベースは、一般的に頭部形状に合わせた周縁部を有する帽子状とされている。このようなカツラベースは、一般的に合成繊維製のメッシュ状に織られた生地を用い、頭部全休をいくつかの部位に分け、これら各部位を接合して形成している。
【0003】
装着感を考慮したカツラとして、例えば特許文献1では、装着者の頭部形状及び頭部の大小に対応させる目的で、カツラベースのサイドプロテクタに金属製や樹脂製の耳芯を介挿し、サイドプロテクタの浮き上がりを抑えている。
特許文献1では、頭皮からカツラベースが浮き上がらないようにすべく、カツラベースの耳周り形状に沿った「くり部」に、金属線やプラスチック材等の剛性部材、または鋼材を挿入すると共に樹脂で硬化させ、当該「くり部」の伸びや変形を抑えている。
【0004】
特許文献2のカツラでは、細線材を複数本幅状に配列して湾曲状に成形してボーンを形成し、このボーンをネープ部の盆の窪に対応する位置に圧接するよう配置することで、ネープ部の浮き上がりを防止すると共に頭部へのフット感を向上させている。
特許文献3のカツラでは、カツラベースのサイド部の一部、サイド部の前側に連結されたサイドプロテクタの一部、またはネープ部の中央領域を、ポリウレタン等の弾性ネットで形成し、浮き上がりや、ずり上がりを防止している。
【0005】
特許文献4のカツラでは、頭部形状に合うように全体が帽子状に形成されたカツラベースを使用し、このカツラベースのネープ部にアジャスタを設け、アジャスタの長さを調節することで、カツラベースを着用者の頭部形状にフィットさせている。
また特許文献5には、ネープ部及びサイド部の浮き上がりや、ずり上がりを解消し快適な装着感が得られるようにしたカツラが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭57−143218号公報
【特許文献2】特開2001―81618号公報
【特許文献3】特開2007−321298号公報
【特許文献4】特開2007−239153号公報
【特許文献5】特開2008−63696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、カツラベースに関して、着用者の頭部形状にフィットさせて装着感を高めることを目的として、これまで種々の工夫が提案されてきた。本発明は、従来のカツラベースよりも微妙な調整が可能であって、したがって高いフィット感を得ることのできるカツラベースを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
本発明のカツラベースにおいては、カツラベース内面上の任意の3箇所に対して、伸縮可能な第1調整ベルトの一端と、伸縮可能な第2調整ベルトの一端と、伸縮可能な第3調整ベルトの一端と、をそれぞれ固定している。そして、第1〜第3調整ベルトの他端を1箇所で3又に連結している。
【0009】
上記構成を備えた本発明のカツラベースでは、3本の調整ベルトによる3方向からの引っ張り合いを利用して、カツラベースを着用者の頭部にフィットするよう微調整が可能となり、頭部に対する高いフィット感を得ることができる。
【0010】
本発明のカツラベースにおいて、上記3箇所として「着用者頭部の周囲方向に沿って間隔をおいた2箇所」と「当該2箇所よりもカツラベース内方に位置する別の1箇所」を選択することが好ましい。この場合には、「頭部の周囲方向における調整」と「頭部の前後方向における調整」が可能となる。
【0011】
本発明のカツラベースにおいて、第1〜第3調整ベルトの少なくとも1つは、外力が作用しない場合の基準長さが可変に構成されていることが好ましい(例えばバックル等を利用する)。
このような構成を採用した場合には、単に伸縮可能な調整ベルトだけで微調整する場合と比べて、大きなスケールでのサイズ調整も可能となる。
【0012】
また、本発明により、上記カツラベースに人工または天然の擬毛を植設することで、微妙な調整が可能なカツラが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るカツラベースの基本構成を説明する図。
図2図1のカツラベースの内面側(裏面側)を示しており、3又状に連結されたアジャスタ機構を併せて示している。
図3図2中のアジャスタ機構のリング部材近傍を拡大して示す詳細図。
図4】第1調整ベルトおよび第3調整ベルトを伸縮性バンドで係止する例を説明する図。
図5】アジャスタ機構をカバー部材で覆う例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を、添付の図面を参照して以下に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るカツラベース1の基本構成を説明する概略図である。図1(a)は、カツラベース1を真横から見た状態を、図1(b)は斜め後方から見た状態を、それぞれ示している。
【0015】
《カツラベースの基本構成》
カツラベース1は、次に説明する4つの領域からなり、これらを適宜縫い合わせて構成される。
(a)着用者の後頭部を覆う後頭部ベースA。
(b)後頭部ベースAに連接されていて、着用者の頭頂部から前頭部を覆う天頂部ベースB。
(c)後頭部ベースAおよび天頂部ベースBに連接されていて、着用者の側頭部を覆うサイドベースC。なお、サイドベースCは、少なくとも天頂部ベースBに連接されていれば足り、必ずしも後頭部ベースAに対しても縫い合わせられている必要はない。
(d)後頭部ベースAに連接されていて、着用者の襟足を覆うネープ部ベースD。
【0016】
図1(a)の反対側の側面にも、同様のサイドベースCが設けられている。
なお、各ベースA〜Dは、一般的にカツラベースに使用されるネット部材、樹脂、その他適当な材料で構成すればよい。図では示していないが、カツラベース1に対して、人工または天然の擬毛を植設して、カツラ製品となる。
【0017】
《アジャスタ機構の構成》
図1で説明したカツラベース1に対して、以下に説明する3又構造のアジャスタ機構を設ける(図2)。なお、図2では、図1中のカツラベースを裏返して示している。すなわち、図2中に現れるカツラベース面は、着用者の頭部と接触する側(すなわち、内面側)である。
【0018】
アジャスタ機構は、弾性的に伸縮可能な第1〜第3の3つの調整ベルト10、20、30と、これらを3又状に連結するリング部材40とで構成される。図3は、図2中におけるリング部材40近傍を詳細に示している。
【0019】
第1調整ベルト10は、一端がサイドベースCに固定されるとともに、他端がループ部11とされていて、このループ部11がリング部材40に通される。
第2調整ベルト20は、一端が天頂部ベースBに固定されるとともに、他端がループ部21とされていて、このループ部21がリング部材40に通される。
第3調整ベルト30は、一端がネープ部ベースDに固定されるとともに、他端がループ部31とされていて、このループ部31がリング部材40に通される。
【0020】
図示した実施形態では、第1〜第3の調整ベルト10、20、30は、それぞれ他端を折り返すように縫い付けて、ループ部11、21、31を有するように構成されている。そして、各ループ部をリング部材40に通すことで、3又の連結部が構成されている。
ただし、本発明においては、3つの調整ベルト10、20、30の他端が1箇所で3又に連結されていればよく、その具体的態様として任意のものを採用できる。例えば、3つの端部を単に1箇所で縫い付けて3又状に固定してもよい。
【0021】
本発明では伸縮可能な3本の調整ベルトを1箇所で3又に連結しているので、3方向からの引っ張り合いを利用して、カツラベースを着用者の頭部にフィットするよう微妙な調整が可能となる。特に、第1調整ベルト10と第3調整ベルト30との引っ張り合いにより、頭部の周囲方向の調整が可能となり、これに加えて、第2調整ベルト20から上方向に引っ張り上げる力が作用するので、頭部の前後方向における調整も可能となる。
そして、周囲方向への調整を行うと、第2調整ベルト20を介して、前後方向にも微妙な影響を与えることができ、逆に前後方向への調整を行うと、第1および第3調整ベルト10、30を介して、周囲方向にも微妙な影響を与えることができる。このように、「伸縮可能な3本の調整ベルト」および「1箇所における3又状の連結」を利用したことで、カツラベースに対してこれまでにない微妙な調整を行うことが可能となり、極めて高いフィット感を実現することができる。
【0022】
特に、「1箇所における3又状の連結」の具体的態様として、各調整ベルトの端部にループ部11、21、31を設け、これらをリング部材40に通す場合には、次のようなメリットが得られる。すなわち、個々の調整ベルト10、20、30とリング部材40とが、リング周方向への相対スライドが自由な状態で連結されている。
したがって、バックル等の公知の機構を利用して調整ベルトの長さを調整した場合や、頭部に対するカツラベースの位置を調整した場合に、調整ベルトがリングに対してフレキシブルに相対移動できる。これにより、カツラベース1に貯まる応力を有効に解放することができ(すなわち、カツラベースの歪みを解放することができ)、その結果、快適な装着感を高い次元で達成することができる。
【0023】
なお、調整ベルトの端部にループ部11、21、31を構成するための具体的態様は、図示のものに限定されず適宜の構成を採用すればよい。また、リング部材40の形状は、円形であることが好ましいが、略三角形等、他の形状であってもよい。
【0024】
《調整ベルトの長さを調整する態様》
第1〜第3の調整ベルト10、20、30は、弾性部材で構成されていて伸縮可能とされている。さらに第2調整ベルトについては、バックル25を設けることで、全体の長さが可変とされている(すなわち、外力が作用しない場合の基準長さが可変である)。
このような構成を採用することで、単に伸縮可能な調整ベルトだけで微調整する場合と比べて、大きなスケールでのサイズ調整が併せて可能となる。
【0025】
外力が作用しない場合の基準長さが可変である限り、具体的な態様は図示したものに限定されない。図示した例では、第2調整ベルト20のみがバックル25を備えていて、全体の長さが可変とされているが、他の調整ベルトに対しても、適宜同様の構成を採用することができる。
【0026】
《調整ベルトの位置変更を可能とする態様》
図2中に一部拡大して示したように、ネープ部ベースDには、頭部周囲方向に沿って延在する帯体60が縫い付けられている。帯体60は、間隔を置いた複数箇所で、ネープ部ベースDに縫い付け固定されている。すなわち、図2において、複数の縫目61の間に複数の挿通部65(ベルト端連結部)が形成される。
一方、第3調整ベルト30の端部には、差込み固定用のフック部材35(連結部)が固定されている。したがって、フック部材35を差し込む挿通部65を変更することで、第3調整ベルト30のカツラベース1に対する相対位置を変更することでき、これによって、カツラベース1の周囲方向サイズを変更することが可能となる。すなわち、単に伸縮可能な調整ベルトだけを使用する場合と比べて、大きなスケールでのサイズ調整が併せて可能となる。
図示した具体的態様に限らず、第3調整ベルト30の端部に何らかの連結部を設け、これに対応する複数の連結部をネープ部ベースDを設けることで、第3調整ベルト30の端部をネープ部ベースDに固定する位置を変更できる構成であればよく、それにより同様の効果を得ることができる。
【0027】
図示した例では、第3調整ベルト30に対してのみ、上のような位置変更を可能とする構成を採用しているが、他の調整ベルトに対して、同様の構成を採用してもよい。
【0028】
《第1調整ベルトおよび第3調整ベルトの変位を抑制する態様》
図4を参照して、第1調整ベルト10および第3調整ベルト30に関して、その上方への変位を抑制する態様について説明する。これは、第2調整ベルト20からの上方へ向かう引張力に対して、第1調整ベルト10および第3調整ベルト30が過剰に上方へ移動することを防止して、装着感を高めるための工夫である。
図4(a)は当該態様の外観を示しており、図4(b)は、その構造を説明するための一部分解図である。
【0029】
まず、後頭部ベースAの外周縁に沿って帯状部材70を(例えば、縫い付けることで)固定する。この帯状部材70に沿うように、第1調整ベルト10および第3調整ベルト30を配置し、伸縮性のあるバンド75a(伸縮性部材)を周囲に巻くように固定して、帯状部材70と第1調整ベルト10を連結する。同様に、伸縮性のあるバンド75bを周囲に巻くように固定して、帯状部材70と第3調整ベルト30を連結する。すなわち、第1調整ベルト10および第3調整ベルト30は、それぞれ、帯状部材70を介して、後頭部ベースAに係止されている。
【0030】
バンド75a、bは伸縮性を有しているので、第1調整ベルト10および第3調整ベルト30が、第2調整ベルト20によって上方へ引き上げられるとき、ベルト10、30はある程度は上方に移動可能であるが、過剰に上方移動することが防止される(図4c参照)。このような効果の程度は、伸縮性バンド75a、bの材質や構成によって適宜設定できる。
第2調整ベルト20を短くすることでカツラベース1のサイズ調整を行う際には、第1調整ベルト10および第3調整ベルト30が上方へ移動することとなるが、過剰に移動すると着用者の頭部に圧力が作用して、装着感が低下する。バンド75a、bを利用することで、これを防止することができる。
【0031】
なお、図示の例では、第1調整ベルト10および第3調整ベルト30の両方に対して、バンド75a、bを使用しているが、いずれか一方のみとしてもよい。また、図示した態様以外でも、何らかの伸縮性部材をもって、第1調整ベルト10または第3調整ベルト30を後頭部ベースAに係止するものであれば、同様の効果を得ることができる。
【0032】
《滑り止めのコーティングを施してグリップ力を高める態様》
図示はしていないが、本発明において、調整ベルト10〜30の内面(すなわち、着用者の頭皮に接する面)に滑り止めのコーティングを施してもよい。これは、着用者の地肌に対する滑りを防止するために設けるものであって、残毛状況に応じて、すべての調整ベルト10〜30に設けてもよいし、一部の調整ベルトに対してのみ設けてもよい。
コーティングに用いる材質としては、シリコン、ウレタン、ラテックス等が一般的であるが、滑り止めの効果を有するものであれば、これらに限定されるものではない。
【0033】
《3又状のアジャスタ機構をカバー部材で覆う態様》
図5に示したように、3又状に構成されるアジャスタ機構を覆うカバー部材81、82を設けてもよい。これは、リング部材40その他が着用者の頭皮に接触することに起因する不快感を低減することを目的としたものである。
図5(a)では、リング部材40および第1〜第3調整ベルト10、20、30の全体をカバー部材81で覆っており、図5(b)では、リング部材40の近傍のみをカバー部材82で覆っている。図示したもの以外にも、カバーする領域は適宜自由に定めることができる。
【0034】
《その他》
図示して説明した実施態様においては、3又状のアジャスタ機構を構成する3本の調整ベルトがカツラベースの天頂部ベースB、サイドベースC、ネープ部ベースDに固定されている。しかし、3本の調整ベルトによる3方向からの引っ張り合いを利用して、カツラベースの微調整を可能とした点に本発明の本質的特徴があり、したがって、3本の調整ベルトは、図示した態様以外にも、カツラベースの内面において任意の3箇所に固定することができる。
また、カツラベースの基本構成についても、図示したような4つのベースA、B、C、Dに区画されているもの以外でも、任意の構成を採用することができる。
【0035】
図示した実施形態では、第1調整ベルト10と第3調整ベルト30が頭部の周囲方向に沿って配置されており、これと交差するように第2調整ベルト20が上方に延在しているので、「頭部の周囲方向における調整」と「頭部の前後方向における調整」とが可能となる。
【符号の説明】
【0036】
A 後頭部ベース
B 天頂部ベース
C サイドベース
D ネープ部ベース
1 カツラベース
10 第1調整ベルト
11 ループ部
20 第2調整ベルト
21 ループ部
25 バックル
30 第3調整ベルト
31 ループ部
35 フック部材
40 リング部材
60 帯体
61 縫目
65 挿通部
70 帯状部材
75a、b 伸縮性ベルト
81、82 カバー部材
【要約】
【課題】従来のカツラベースよりも微妙な調整が可能であって、したがって高いフィット感を得ることのできるカツラベースを提供する。
【解決手段】後頭部ベースAと、天頂部ベースBと、サイドベースCと、ネープ部ベースDとを備えたカツラベースにおいて、サイドベースCに伸縮可能な第1調整ベルト10の一端を、天頂部ベースBに伸縮可能な第2調整ベルト20の一端を、ネープ部ベースDに伸縮可能な第3調整ベルト30の一端を、それぞれ固定する。そして、第1〜第3調整ベルトの他端を1箇所で3又に連結して、アジャスタ機構を構成する。このような構成によれば、3本の調整ベルトによる3方向からの引っ張り合いを利用して、カツラベースを着用者の頭部にフィットするよう微妙な調整が可能となる。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5