【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく研究した結果、O/W/O型ピッケリングエマルションとしては、特定の形状を有する有機シリコーン微粒子と、水相と、油相とが所定割合から成るものが正しく好適であることを見出した。
【0009】
すなわち本発明は、内部に油相の粒子を閉じ込めた水相の粒子が油相中に分散した状態のO/W/O型ピッケリングエマルションにおいて、水相とその両側の油相との界面に下記の中空半球状有機シリコーン微粒子を50質量%以上含有する有機シリコーン微粒子が局在しており、且つ水相を10〜35質量%、油相を55〜80質量%及び有機シリコーン微粒子を1〜10質量%(合計100質量%)の割合で含有して成ることを特徴とするO/W/O型ピッケリングエマルションに係る。また本発明は、かかるO/W/O型ピッケリングエマルションの製造方法に係る。
【0010】
中空半球状有機シリコーン微粒子:ポリシロキサン架橋構造体から成る有機シリコーン微粒子であって、縦断面で見て内側小劣弧(11)とこれを覆う外側大劣弧(21)と双方の端部間に渡る稜線(31)とで形成された全体としては中空半球状体様を呈し、内側小劣弧(11)の端部間の幅(W
1)の平均値が0.01〜9.5μm、外側大劣弧(21)の端部間の幅(W
2)の平均値が0.05〜10μm、外側大劣弧(21)の高さ(H)の平均値が0.015〜9μmの範囲内にあり、且つ下記の化1で示されるシロキサン単位/下記の化2で示されるシロキサン単位=30/70〜70/30(モル比)の割合で有する有機シリコーン微粒子。
【0011】
【化1】
【0012】
【化2】
【0013】
化2において、
R
1:ケイ素原子に直結した炭素数1〜4の有機基又はフェニル基
【0014】
本発明に係るO/W/O型ピッケリングエマルション(以下、本発明のエマルションという)は、有機シリコーン微粒子、油相及び水相から成り、内部に油相の粒子を閉じ込めた水相の粒子が油相中に分散した状態のO/W/O型ピッケリングエマルションにおいて、水相とその両側の油相との界面に前記したような特定の形状の有機シリコーン微粒子を含有する有機シリコーン微粒子が局在し、且つ水相と油相と有機シリコーン微粒子とが前記した所定割合から成るものである。
【0015】
本発明のエマルションに供する有機シリコーン微粒子は、前記したような中空半球状有機シリコーン微粒子を含有するものであるが、該中空半球状有機シリコーン微粒子を50質量%以上含有するものである。中空半球状有機シリコーン微粒子以外の他の有機シリコーン微粒子としては、球状有機シリコーン微粒子の他に、いずれもそれ自体は公知の、ゴルフボール状のもの(特開2000−191788号公報)、断面馬蹄形のもの(特開2000−191789号公報)、ラグビーボール形のもの(特開2003−171465号公報)、円形リング形のもの(特開2006−117867号公報)等、各種の異形有機シリコーン微粒子が挙げられる。
【0016】
本発明のエマルションに供する中空半球状有機シリコーン微粒子は、ポリシロキサン架橋構造体からなるもので、それ自体は既に知られているものである(特開2009−114330号公報)。このポリシロキサン架橋構造体は、シロキサン単位が3次元の網目構造を形成した構造体であり、それを構成するシロキサン単位が前記の化1で示されるシロキサン単位と化2で示されるシロキサン単位であるものである。
【0017】
前記の化2で示されるシロキサン単位において、化2中のR
1は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等いずれもケイ素原子に直結した炭素数1〜4の有機基又はフェニル基であるが、なかでもメチル基が好ましい。したがって、化2で示されるシロキサン単位としては、メチルシロキサン単位、エチルシロキサン単位、プロピルシロキサン単位、ブチルシロキサン単位、フェニルシロキサン単位等が挙げられるが、なかでもメチルシロキサン単位が好ましい。
【0018】
ポリシロキサン架橋構造体は、前記したようなシロキサン単位で構成するが、化1で示されるシロキサン単位/化2で示されるシロキサン単位=30/70〜70/30(モル比)の割合で有するものとする。
【0019】
本発明のエマルションに供する中空半球状有機シリコーン微粒子は、下記の化3で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物と下記の化4で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物とを、化3で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物/化4で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物=30/70〜70/30(モル比)の割合で用い、これらを触媒存在下で水と接触させて加水分解することによりシラノール化合物を生成させ、引き続き生成させたシラノール化合物を縮合反応させることにより得ることができる。
【0020】
【化3】
【0021】
【化4】
【0022】
化3,化4において、
R
2:ケイ素原子に直結した炭素数1〜4の有機基又はフェニル基
X,Y:炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基を有するアルコキシエトキシ基、炭素数2〜4のアシロキシ基、炭素数1〜4のアルキル基を有するN,N−ジアルキルアミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子又は水素原子
【0023】
化3で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物は、結果として化1で示されるシロキサン単位を形成することとなる化合物である。また化4で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物は、結果として化2で示されるシロキサン単位を形成することとなる化合物である。化3中のX及び化4中のYは、1)メトキシ基やエトキシ基等の、炭素数1〜4のアルコキシ基、2)メトキシエトキシ基やブトキシエトキシ基等の、炭素数1〜4のアルコキシ基を有するアルコキシエトキシ基、3)アセトキシ基やプロピオキシ基等の、炭素数2〜4のアシロキシ基、4)ジメチルアミノ基やジエチルアミノ基等の、炭素数1〜4のアルキル基を有するN,N−ジアルキルアミノ基、5)ヒドロキシル基、6)塩素原子や臭素原子等のハロゲン原子、又は7)水素原子である。
【0024】
化4中のR
2は、ケイ素原子に直結した炭素数1〜4の有機基又はフェニル基であり、化2のR
1について前記したことと同様である。
【0025】
化4で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリブトシキシラン、ブチルトリブトキシシラン、フェニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、メチルトリス(2−ブトキシエトキシ)シラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリプロピオキシシラン、メチルシラントリオール、メチルクロルジシラノール、メチルトリクロルシラン、メチルトリハイドロジェンシラン等、化2中のR
1について前記したように、結果としてメチルシロキサン単位、エチルシロキサン単位、プロピルシロキサン単位、ブチルシロキサン単位又はフェニルシロキサン単位を形成することとなるシラノール基形成性ケイ素化合物が挙げられるが、なかでもメチルシロキサン単位を形成することとなるシラノール基形成性ケイ素化合物が好ましい。
【0026】
本発明のエマルションに供する中空半球状有機シリコーン微粒子の製造では、以上説明した化3で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物と化4で示されるシラノール基形成性化合物とを、化3で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物/化4で示されるシラノール基形成性化合物=30/70〜70/30(モル比)の割合で用い、双方を触媒存在下で、水と接触させて加水分解し、シラノール化合物を生成させるが、ここで加水分解するための触媒は従来公知のものを用いることができる。これには例えば、塩基性触媒として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア等の無機塩基類や、トリメチルアミン、トリエチルアミン、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、ドデシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド、ナトリウムメトキシド等の有機塩基類が挙げられる。また酸性触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸類や、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルスルホン酸等の有機酸類が挙げられる。
【0027】
化3で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物と化4で示されるシラノール基形成性化合物とを、触媒存在下で、水と接触させて加水分解する場合、通常、水にシラノール基形成性ケイ素化合物と触媒とを加えて攪拌し、水に不溶のシラノール基形成性化合物が反応系から消失して均一な液層が形成された時点を加水分解の終点とする。シラノール基形成性ケイ素化合物の種類により、本来的な加水分解反応性の他に、水に対する分散性の差に基づく加水分解反応性が異なるため、反応系に加える触媒の種類、その使用量及び反応温度等を適宜選択するが、シラノール基形成性ケイ素化合物と水との接触反応を容易にするため、反応系に界面活性剤を加えることもできる。
【0028】
触媒と共に反応系に加える界面活性剤としては、いずれも公知のノニオン性界面活性剤及び/又はアニオン性界面活性剤が使用できる。ノニオン性界面活性剤としては、オキシアルキレン基としてオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基を有するα−アルキル−ω−ヒドロキシ(ポリオキシアルキレン)、α−(p−アルキルフェニル)−ω−ヒドロキシ(ポリオキシアルキレン)、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンヒマシ油等の、ポリオキシアルキレン基を有するノニオン性界面活性剤が挙げられる。なかでもα−アルキル−ω−ヒドロキシ(ポリオキシアルキレン)が好ましく、α−ドデシル−ω−ヒドロキシポリ(オキシエチレン)(オキシエチレン単位の数が6〜16)がより好ましい。
【0029】
またアニオン性界面活性剤としては、オクチル硫酸塩、セチル硫酸塩、ラウリル硫酸塩等の炭素数8〜18の有機硫酸塩、オクチルスルホン酸塩、セチルスルホン酸塩、ラウリルスルホン酸塩、ステアリルスルホン酸塩、オレイルスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、オレイルベンゼンスルホン酸塩、ナフチルスルホン酸塩、ジイソプロピルナフチルスルホン酸塩等の炭素数8〜30の有機スルホン酸塩等が挙げられる。なかでも炭素数8〜30の有機スルホン酸塩が好ましく、ドデシルベンゼンスルホン酸塩がより好ましい。
【0030】
反応系に界面活性剤を存在させる場合、以上説明したようなノニオン性界面活性剤やアニオン性界面活性剤は、それぞれを単独で用いることもできるし、双方を共存させて用いることもできる。その際、それぞれの界面活性剤の濃度範囲としては、単独、双方の共存にかかわらず、ノニオン性界面活性剤については0.001〜0.05質量%となるようにするのが好ましく、アニオン性活性剤については0.005〜0.55質量%となるようにするのが好ましい。
【0031】
水/シラノール基形成性ケイ素化合物全量の仕込み割合は、通常、10/90〜70/30(質量比)とする。触媒の使用量は、その種類及びシラノール基形成性ケイ素化合物の種類によっても異なるが、通常、シラノール基形成性ケイ素化合物の全量に対して1質量%以下とするのが好ましい。また反応温度は、通常0〜40℃とするが、加水分解反応によって生成させたシラノール化合物の即製的な縮合反応を避けるために30℃以下とするのが好ましい。
【0032】
化3で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物と化4で示されるシラノール基形成性化合物とは、例えば水中へ一度にこれらのシラノール基形成性ケイ素化合物を投入してから加水分解しても良いし、又は逐次投入しつつ加水分解しても良い。用いるシラノール基形成性ケイ素化合物の間で加水分解速度が著しく異なるような場合には、予め加水分解速度の遅いシラノール基形成性ケイ素化合物の加水分解を行い、次いで加水分解速度の速いシラノール基形成性ケイ素化合物を投入して引き続き加水分解を行うのが好ましい。
【0033】
以上で生成させたシラノール化合物を含有する反応液を引き続き縮合反応に供し、中空半球状体様を呈した有機シリコーン微粒子を生成させる。本発明において、縮合反応の触媒としては加水分解における前記したような触媒を使用できるので、加水分解させて生成したシラノール化合物を含有する反応液をそのまま或は更に触媒を加え、反応を続けることにより縮合反応させて有機シリコーン微粒子をその水性懸濁液として得る。かくしてシラノール化合物を縮合反応させた後、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを加えることにより水性懸濁液のpHを8〜10の範囲に調整することが好ましい。またシラノール化合物を縮合反応させた後の水性懸濁液の固形分濃度(有機シリコーン微粒子の濃度)は水の量を調整することにより2〜12質量%の範囲となるようにするのが好ましく、5〜9質量%の範囲となるようにするのがより好ましい。
【0034】
本発明のエマルションに供する中空半球状有機シリコーン微粒子は、前記の水性懸濁液から分離し、例えば金網を通して抜き取り、遠心分離法又は加圧濾過法等により固形分を30〜70質量%に調整した含水物として用いることができる。またかかる含水物を更に100〜250℃で加熱乾燥し、必要に応じて解砕した乾燥物として用いることもできる。
【0035】
かくして得られる中空半球状有機シリコーン微粒子は、縦断面で見て内側小劣弧(11)とこれを覆う外側大劣弧(21)と双方の端部間に渡る稜線(31)とで形成された、全体として中空半球状体様を呈し、内側小劣弧(11)の端部間の幅(W
1)の平均値が0.01〜9.5μm、外側大劣弧(21)の端部間の幅(W
2)の平均値が0.05〜10μm、且つ外側大劣弧(21)の高さ(H)の平均値が0.015〜9μmの範囲内にあるものである。
【0036】
図1は本発明のエマルションに供する中空半球状有機シリコーン微粒子を略示する拡大縦断面図である。図示した中空半球状有機シリコーン微粒子は、前記したようなポリシロキサン架橋構造体から成るものであって、縦断面で見て内側小劣弧(11)とこれを覆う外側大劣弧(21)と双方の端部間に渡る稜線(31)とで形成された、全体として中空半球状体様を呈するものである。言い替えれば、中空球状体を2分割したときの一方の分割部側の形状を呈するものであり、例えば中空球状体を不均等に2分割したときの小分割部側の形状を呈するものである。そして内側小劣弧(11)の端部間の幅(W
1)の平均値が0.01〜9.5μm、外側大劣弧(21)の端部間の幅(W
2)の平均値が0.05〜10μm、且つ外側大劣弧(21)の高さ(H)の平均値が0.015〜9μmの範囲内にあるものであるが、内側小劣弧(11)の端部間の幅(W
1)の平均値が0.02〜6μm、外側大劣弧(21)の端部間の幅(W
2)の平均値が0.06〜8μm、且つ外側大劣弧(21)の高さ(H)の平均値が0.03〜6μmの範囲内にあるものが好ましい。かかる中空半球状有機シリコーン微粒子において、内側小劣弧(11)の端部間の幅(W
1)の平均値、外側大劣弧(21)の端部間の幅(W
2)の平均値、及び外側大劣弧(21)の高さ(H)の平均値はいずれも、中空半球状有機シリコーン微粒子の走査電子顕微鏡像から抽出した任意の100個についてそれぞれを測定し、その平均を求めた値である。
【0037】
本発明のエマルションに供する水相の成分としては、イオン交換水の他に、フローラルウオーター等、使用目的に応じた任意の水ベースの物質が適用できる。
【0038】
本発明のエマルションに供する油相の成分としては、皮膚外用薬剤や化粧料等、使用目的に応じた実質的に水に不溶の任意の油が適用できる。油相成分は様々な機能を発揮し得るので、特定のものの選択はそれが意図される目的によって決定される。油は揮発性であっても不揮発性であっても、それらの混合であってもよい。油脂、液体油、固体脂のいずれでもよく、固体脂の場合は溶解、溶融させて液状として用いられる。油相成分の具体例としては、例えば植物油、動物油、天然製油、ロウ、炭化水素油、エステル油、エーテル油、高級アルコール、高級脂肪酸、シリコーン油、フッ素系油剤、機能性油性物質等が挙げられる。
【0039】
植物油としては、ユーカリ油、ハッカ油、ツバキ油、椰子油、ココナッツ油、ホホバ油、コーン油、ヒマワリ油、パーム油、ダイズ油、ヒマシ油、オリーブ油、アボガド油、カカオ油、カルナウバワックス、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ゴマ油、サフラワー油、綿実油、硬化ヤシ油、硬化ヒマシ油等が挙げられる。動物油としては、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、牛脂、豚脂、馬油、獣脂、卵黄油、ミンク油、コレステロール等が挙げられる。天然精油としては、ローズマリー、ルイボス、ローヤルゼリー、ハマメリス、ツボクサ、スフィンゴシン、フィトステロール、フィトステロール配糖体、ヒオウギイソフラボン、ダイズイソフラボン等が挙げられる。ロウとしては、木ロウ、ラノリンロウ、モンタンロウ、ミツロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、キャンデリラロウ、ホホバロウ等が挙げられる。炭化水素油としては、炭素原子を有する直鎖状又は分鎖状炭化水素であるデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、炭素数8〜20のイソパラフィン、ペトロラタム、流動パラフィン、固形パラフィン、プリスタン、オゾケライト、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン、スクワレン等が挙げられる。エステル油としては、ネオペンタン酸イソステアリル、オクタン酸セチル、イソオクタン酸セチル、リシノール酸セチル、パルミチン酸オクチル、リンゴ酸ジオクチル、イソステアリン酸デシル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ラノリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラノリン酸ヘキシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、セバチン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、アジピン酸ジイソプロピル、モノステアリン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、リノール酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、乳酸ミリスチル、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸セチル、乳酸セチル、1−イソステアロイル−3−ミリストイルグリセロール、2−エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、オレイン酸2−オクチルドデシル、トリイソステアリン酸グリセロール、ジパラメトキシ桂皮酸モノ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等が挙げられる。エーテル油としては、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンソルビットモノラウレート、ポリオキシエチレングリセリンモノイソステアレート、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリオキシエチレンジステアレート、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。高級アルコールとしては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等が挙げられる。高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、ラノリン酸、リチノレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等が挙げられる。シリコーン油としては、メチコン、ジメチコン、ジメチコノール、ジメチコンコポリオール、フェニルトリメチコン、ジフェニルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン、デカメチルペンタシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、アミノ酸変性シリコーン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、アルキルグリセリルエーテル変性シリコーン、フッ素変性ポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン等が挙げられる。フッ素系油剤としては、常温で液体のパーフルオロ有機化合物であるパーフルオロポリエーテルが挙げられ、例えばパーフルオロデカリン、パーフルオロアダマンタン、パーフルオロブチルテトラハイドロフラン、パーフルオロオクタン、パーフルオロノナン、パーフルオロペンタン、パーフルオロデカン、パーフルオロドデカン、パーフルオロポリエーテル等が挙げられる。機能性油性物質としては、リグナン、ビタミンE、油溶性ビタミンC、ビタミンA誘導体、セラミド類、セラミド類似構造物質、油溶性紫外線吸収剤、香料等が挙げられる。これらの油相成分は2種以上を併用することもできる。
【0040】
本発明のエマルションは、以上説明したような水相の成分と、油相の成分と、中空半球状有機シリコーン微粒子を50質量%以上含有する有機シリコーン微粒子とを用いて製造されるもので、水相を10〜35質量%、油相を55〜80質量%及び有機シリコーン微粒子を1〜10質量%(合計100質量%)の割合で含有して成るものである。
【0041】
本発明のエマルションは、前記したように製造した中空半球状有機シリコーン微粒子を50質量%以上含有する有機シリコーン微粒子と、油相の成分と、水相の成分とを、それぞれ所要量用いて、乳化機で攪拌し、混合することにより製造される。例えば、それぞれ所要量の有機シリコーン微粒子と油相の成分と水相の成分とを同時に攪拌層に投入し、撹拌して混合する方法や、先に所要量の有機シリコーン微粒子と油相の成分とを攪拌し、混合して均一分散状態とした後、所要量の水相の成分を滴下しながら、更に撹拌し、混合する方法等が挙げられる。攪拌及び混合手段の例としては、振とう法、プロペラ攪拌機やタービン型攪拌機等のミキサーによる高速攪拌法、コロイドミル法、ホモジナイザー法、超音波照射法、膜乳化法等が挙げられる。強力な剪断力をかけられる攪拌混合機としては、ボルテックスミキサー、ホモキミサー、ナノマイザー、マントンゴウリン、フレンチプレス、コロイドミル、ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、超音波乳化機、高圧乳化機等の乳化機が挙げられる。本発明のエマルションを調製する際には、必要に応じて加熱することもできる。
【0042】
本発明のエマルションは、使用目的に応じて、有機シリコーン微粒子、油相の成分、水相の成分以外に、その適用対象に通常用いられる、例えば通常皮膚外用薬剤や化粧料等で使用される増粘剤、ゲル化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色剤、防腐剤、粉体、分散剤、湿潤剤、消泡剤、pH調整剤等の任意成分を、本発明の効果を損なわない範囲に於いて併用することができる。これらの好ましい含有量は、0.1〜1重量%である。また有機シリコーン微粒子に対して分散性向上のための前処理を施すこともできる。