(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の溝部は、前記第1の溝部と同じ幅で形成された上溝部と、この上溝部の底面に位置して、前記第1の溝部よりも大きい幅で形成された下溝部とから構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の半導体装置。
前記素子分離領域に前記第2の溝部を形成する際は、前記素子分離用の溝部を形成した後、前記素子分離絶縁膜として、当該溝部に埋め込まれたシリコン酸化膜と、このシリコン酸化膜上に当該溝部に埋め込まれた状態で前記基板の面上を覆うシリコン窒化膜とを形成する工程と、
前記シリコン窒化膜上に少なくとも前記埋め込みゲート用の溝部を形成する位置に開口部を有するマスクパターンを形成する工程と、
前記マスクパターンの開口部を通して前記シリコン窒化膜を異方性エッチングにより選択的に除去することによって、当該シリコン窒化膜に前記第1の溝部と同じ幅となる上溝部を形成する工程と、
前記上溝部の底面に位置する前記シリコン酸化膜を等方性エッチングにより選択的に除去することによって、当該シリコン酸化膜に前記上溝部よりも大きい幅となる下溝部を形成する工程とを含むことを特徴とする、請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
前記素子分離領域に前記第2の溝部を形成する際は、前記素子分離用の溝部を形成した後、前記素子分離絶縁膜として、当該溝部に埋め込まれた状態で前記基板の面上を覆うシリコン酸化膜とを形成する工程と、
前記シリコン酸化膜上に少なくとも前記埋め込みゲート用の溝部を形成する位置に開口部を有するマスクパターンを形成する工程と、
前記マスクパターンの開口部を通して前記シリコン酸化膜を異方性エッチングにより選択的に除去することによって、当該シリコン酸化膜に前記第1の溝部と同じ幅となる上溝部を形成する工程と、
前記上溝部及び前記第1の溝部の側面を覆うように前記第2の方向に延在するサイドウォール膜を形成する工程と、
前記上溝部の底面に位置する前記シリコン酸化膜を等方性エッチングにより選択的に除去することによって、当該シリコン酸化膜に前記上溝部よりも大きい幅となる下溝部を形成する工程とを含むことを特徴とする、請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明を適用した半導体装置の一例(第1の実施形態)を示す平面図である。
【
図2】
図1に示す半導体装置の要部を拡大した鳥瞰図である。
【
図3】
図1に示す半導体装置のチャネル構造を示す断面図である。
【
図4】本発明の半導体装置のチャネル構造を示す断面図である。
【
図5】従来の半導体装置のチャネル構造を示す断面図である。
【
図6】本発明及び従来の半導体装置について、フィン部の高さと駆動電流(Ion)との関係を示すグラフである。
【
図7】本発明及び従来の半導体装置について、フィン部の高さと閾値電圧(Vt)との関係を示すグラフである。
【
図8】本発明及び従来の半導体装置について、フィン部の高さとサブスレッシュオールド係数(SS)との関係を示すグラフである。
【
図9】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図である。
【
図10】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図、(f)は切断線Y3−Y3’による断面図である。
【
図11】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図、(f)は切断線Y3−Y3’による断面図である。
【
図12】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図、(f)は切断線Y3−Y3’による断面図である。
【
図13】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図、(f)は切断線Y3−Y3’による断面図である。
【
図14】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図、(f)は切断線Y3−Y3’による断面図である。
【
図15】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図、(f)は切断線Y3−Y3’による断面図である。
【
図16】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図、(f)は切断線Y3−Y3’による断面図である。
【
図17】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図、(f)は切断線Y3−Y3’による断面図である。
【
図18】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図、(f)は切断線Y3−Y3’による断面図である。
【
図19】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図、(f)は切断線Y3−Y3’による断面図である。
【
図20】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図、(f)は切断線Y3−Y3’による断面図である。
【
図21】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図、(f)は切断線Y3−Y3’による断面図である。
【
図22】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図、(f)は切断線Y3−Y3’による断面図である。
【
図23】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図、(f)は切断線Y3−Y3’による断面図である。
【
図24】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図、(f)は切断線Y3−Y3’による断面図である。
【
図25】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図、(f)は切断線Y3−Y3’による断面図である。
【
図26】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図、(f)は切断線Y3−Y3’による断面図である。
【
図27】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図、(f)は切断線Y3−Y3’による断面図である。
【
図28】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図である。
【
図29】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図である。
【
図30】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)はクラウン型のキャパシタを示す切断線X1−X1’による断面図、(b)は円柱型のキャパシタを示す切断線X1−X1’による断面図である。
【
図31】本発明を適用した別の半導体装置の一例(第2の実施形態)を示す平面図である。
【
図32】
図31に示す別の半導体装置の要部を拡大した鳥瞰図である。
【
図33】
図31に示す別の半導体装置のチャネル構造を示す断面図である。
【
図34】
図31に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図である。
【
図35】
図31に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図である。
【
図36】
図31に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図である。
【
図37】
図31に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図である。
【
図38】
図31に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図である。
【
図39】
図31に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図である。
【
図40】
図31に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図である。
【
図41】
図31に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図である。
【
図42】
図31に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図である。
【
図43】
図31に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図である。
【
図44】
図31に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図である。
【
図45】本発明を適用した別の半導体装置の一例(第3の実施形態)を示す平面図である。
【
図46】
図45に示す別の半導体装置の要部を拡大した鳥瞰図である。
【
図47】
図45に示す別の半導体装置のチャネル構造を示す断面図である。
【
図48】
図45に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図である。
【
図49】
図45に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図である。
【
図50】
図45に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図である。
【
図51】
図45に示す半導体装置の製造工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図である。
【
図52】データ処理システムを示す概略構成図である。
【
図53】従来の半導体装置の一例を示す鳥瞰図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を適用した半導体装置の製造方法及び半導体装置、並びにデータ処理システムについて、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0016】
[第1の実施形態]
(半導体装置)
先ず、第1の実施形態として、
図1及び
図2に示す本発明を適用した半導体装置1の構造について説明する。なお、
図1は、この半導体装置1の平面図であり、
図2は、この半導体装置1の要部を拡大した鳥瞰図である。
【0017】
この半導体装置1は、
図1及び
図2に示すように、最終的にDRAMとして機能させるものであり、半導体基板2の面内に、セルアレイ領域SAと、このセルアレイ領域SAの周辺に位置する周辺回路領域CAとを備えている。このうち、セルアレイ領域SAは、複数のメモリーセルがマトリックス状に並んで配置される領域である。一方、周辺回路領域CAは、各メモリーセルの動作を制御するための回路が形成される領域である。なお、セルアレイ領域SAに配置されるメモリーセルは、選択用トランジスタと、この選択用トランジスタのソース・ドレインの何れか一方と電気的に接続されるキャパシタとから構成される。
【0018】
セルアレイ領域SAには、半導体基板2の表層に第1の方向に延在する複数の素子分離用の溝部3を形成し、これら複数の溝部3に素子分離絶縁膜4(シリコン酸化膜26及びシリコン窒化膜31)を埋め込むことによって、STI(Shallow Trench Isolation)と呼ばれる複数の素子分離領域5と、これら素子分離領域5によって絶縁分離された複数の活性領域6とが、ストライプ状に交互に並んで設けられている。
【0019】
また、セルアレイ領域SAには、これら素子分離領域5及び活性領域6と交差する第2の方向に延在する複数のワード線7が、ストライプ状に並んで設けられている。ワード線7は、上記選択用トランジスタのゲート電極8を構成するものであり、素子分離領域5及び活性領域6に形成された埋め込みゲート用の溝部9,10に、ゲート絶縁膜11を介して導電材料を埋め込むことによって、いわゆる埋め込みゲート電極を形成している。
【0020】
具体的に、このセルアレイ領域SAには、埋め込みゲート用の溝部9,10のうち、活性領域6に形成される第1の溝部9よりも素子分離領域5に形成される第2の溝部10の深さを深くすることによって、第2の溝部10の底面の間から活性領域6の一部が突き出した第1のフィン部12aと、埋め込みゲート用の溝部9,10の少なくとも上面開口部よりも下部側において、第1の溝部9よりも第2の溝部10の第1の方向における幅を大きくすることによって、第2の溝部10の両側面の間から第1のフィン部12aに連続して活性領域6の一部が突き出した一対の第2のフィン部12bとが形成されている。
【0021】
この半導体装置1では、
図3に拡大して示すように、上記素子分離絶縁膜4として、素子分離用の溝部3にシリコン酸化膜26とシリコン窒化膜31とが順に埋め込まれている。そして、第2の溝部10は、シリコン窒化膜31に上記第1の溝部9と同じ幅W1となる上溝部10aと、この上溝部10aの底面に位置するシリコン酸化膜26に上溝部10aよりも大きい幅W2となる下溝部10bとを形成することによって構成されている。また、第2の溝部10は、第1の方向において第1の溝部9の中心に対して線対称となる断面形状を有している。なお、ここで言う幅とは、第1の方向における幅を意味している。また、上記上溝部9aは、活性領域6の表面、すなわち半導体基板2の表面から上記ドレイン領域13a及びソース領域13bの厚みと同じ深さで形成されている。
【0022】
この場合、第1のフィン部12aは、第1の溝部9の深さD1と第2の溝部10の深さD2との差分ΔD(=D2−D1)だけ、第2の溝部10の底面の間から第1の溝部9の底面が突き出すことによって、第1の方向における幅がW1となる第1のチャネル領域FCUを形成している。
【0023】
一方、一対の第2のフィン部12bは、第1の溝部9の幅W1と第2の溝部10(下溝部10b)の幅W2との差分2ΔW(=W2−W1)の半分(ΔW)だけ、第2の溝部10(下溝部10b)の両側面の間から第1の溝部9の両側面が各々突き出すことによって、第1の方向における第1のフィン部12aの両端から半導体基板2の表面に対して垂直な方向に延在する第2のチャネル領域FCSを形成している。また、この第2のチャネル領域FCSの第1の方向(ここでは、半導体基板2の表面に対して垂直な方向)における幅は、ΔDとなっている。
【0024】
そして、この半導体装置1は、これら第1及び第2のフィン部12a,12bの表面を覆うゲート絶縁膜11が形成され、このゲート絶縁膜11を介して第1及び第2のフィン部12a,12bを跨ぐように、埋め込みゲート用の溝部9,10にゲート電極8の一部が埋め込まれることによって、いわゆるサドルフィン型のチャネル構造を有している。
【0025】
また、ゲート電極8を挟んだ両側の活性領域6には、イオンを注入することによって、上記選択用トランジスタのソース又はドレインとして機能するドレイン領域13a及びソース領域13b(不純物拡散層)が設けられている。そして、これらドレイン領域13a及びソース領域13bは、その下にある第2のフィン部12bと接続されている。
【0026】
以上のようにして、この半導体装置1では、半導体基板2の表面よりも下方に位置して、第2の方向に延在する第1及び第2の溝部9,10に埋め込まれたゲート電極8と、このゲート電極8を挟んだ両側に、それぞれ当該ゲート電極8の上面よりも高い位置に上面を有するドレイン領域13a及びソース領域13b(不純物拡散層)と、これらドレイン領域13a及びソース領域13bの各々の底面に接続されて、その底面から深さ方向に延在する一対の第2のフィン部(第2のチャネル領域FCS)12bと、これら一対の第2のフィン部12bの下端部に接続されて、一対の第2のフィン部12bの間で第1の方向に延在する第1のフィン部12a(第1のチャネル領域FCU)と、第1及び第2のフィン部12a,12bの表面を覆うゲート絶縁膜11とから、いわゆる埋め込みゲート型のトランジスタが構成されている。
【0027】
そして、以上のような構造を有する半導体装置1では、ソース領域13bから放出される電荷が、ソース領域13bから一方の第2のフィン部12bと、第1のフィン部12aと、他方の第2のフィン部12bとを順次に通過しながら、ドレイン領域13aへと入ることとなる。
【0028】
以上のように、本発明を適用した半導体装置1では、第1の方向における第1のフィン部12a(第1のチャネル領域FCU)の両端から一対の第2のフィン部12b(第2のチャネル領域FCS)が半導体基板2の表面に対して垂直な方向に延在して設けられていることから、これら一対の第2のフィン部12b(第2のチャネル領域FCS)の分だけ第1の方向におけるチャネル領域の長さを従来よりも拡大することが可能である。
【0029】
これにより、従来の底部のみがサドルフィン型のチャネル構造である場合に比べて、チャネル全体の抵抗を低減してIonを増大させること可能である。したがって、この半導体装置1では、メモリーセル寸法の縮小化に伴って、埋め込みゲート用の溝部9,10の幅が狭くなる場合でも、チャネル領域を半導体基板2の表面に対して垂直な方向、すなわちドレイン領域13a及びソース領域13bの底面に対して垂直な方向に拡大することができることから、短チャネル効果を抑制して、オン電流を十分に確保することが可能となる。
【0030】
なお、上記
図1に示すセルアレイ領域SAには、実際は上記素子分離領域5及び活性領域6が多数並んで形成されているものの、
図1では便宜上、セルアレイ領域SAに並んで形成される素子分離領域5及び活性領域6の一部を拡大した状態で模式的に示している。
【0031】
また、上記半導体装置1では、図示を省略するものの、正規のトランジスタとして動作するワード線7の2本置きに1本のダミーワード線が配置されている。このダミーワード線は、素子分離用の埋め込み配線(ダミーゲート)であり、所定の電位をかけることによって、同一の活性領域上で隣接するトランジスタの間を分離する。また、所定の電位を維持することで、寄生トランジスタをオフ状態として分離する。このダミーワード配線は、上記ワード線7と同じ構成の溝部を同時に形成し、この溝部に導電材料を埋め込むことによって形成されている。
【0032】
(比較評価試験)
次に、
図4に示す本発明の半導体装置と、
図5に示す従来の半導体装置について、駆動電流(Ion)、閾値電圧(Vt)、及びサブスレッシュオールド係数(SS:subthreshold slope)の各特性を比較した比較評価試験を行い、それぞれの評価結果を
図6、
図7及び
図8に示す。
【0033】
なお、
図4及び
図5に示す半導体装置においては、上記
図2に示す半導体装置1と同等の部位については、図面において同じ符号を付している。また、
図4,5中に示す矢印CP(current pass)は、チャネルとなる電流経路を表している。
【0034】
具体的に、
図4に示す本発明の半導体装置は、上記
図3に示す半導体装置1と同様に、第1のフィン部12a(第1のチャネル領域FCU)の両端から一対の第2のフィン部12b(第2のチャネル領域FCS)が半導体基板2の表面に対して垂直な方向に延在して設けられたサドルフィン型のチャネル構造を有している。そして、一対の第2のフィン部12bの上にソース領域13a及びドレイン領域13bが設けられ、埋め込みゲート用の溝部9,10にゲート電極8が埋め込まれた構成となっている。
【0035】
一方、
図5に示す従来の半導体装置は、第1のフィン部12a(第1のチャネル領域FCU)のみからなるサドルフィン型のチャネル構造を有している以外は、上記
図3に示す半導体装置1と同様である。
【0036】
そして、これら本発明の半導体装置と従来の半導体装置について、第1のフィン部12の突出量ΔDを、それぞれ0、10、20nmと変化させた場合の上記各特性の変化を比較した。なお、本比較評価試験では、本発明の半導体装置における第2のフィン部12bの突出量ΔWを10nmとし、その他の物理サイズや印加電圧などは何れも同じ条件としている。
【0037】
図6に示すように、駆動電流(Ion)の比較では、本発明の半導体装置(invention)が従来の半導体装置(conventional)よりもIonの値が約3(μA)大きくなっている。このトランジスタの駆動電流は、半導体装置の安定動作のために、トランジスタが微細化されても一定の能力を有することが要求され、大きな値となることが好ましい。したがって、本発明の半導体装置が従来の半導体装置よりも優位であることが示されている。
【0038】
図7に示すように、閾値電圧(Vt)の比較では、全体として、本発明の半導体装置(invention)が従来の半導体装置(conventional)よりもVtの値が小さくなっている。特に、フィン部12の高さが10nmとなる場合では、Vtが0.07(V)程度と低い値となっている。このトランジスタの閾値電圧は、半導体装置の低電力化の要求を満たすために低電圧であることが好ましい。したがって、本発明の半導体装置が従来の半導体装置よりも優位であることが示されている。
【0039】
図8に示すように、サブスレッシュオールド係数(SS)の比較では、全体として、本発明の半導体装置(invention)が従来の半導体装置(conventional)よりもVtの値が小さくなっている。特に、フィン部12の高さが10nmとなる場合では、SSが60(mV/decade)程度と小さい値となっている。このトランジスタのサブスレッシュオールド係数は、オン/オフ特性の指標であり、半導体装置の高速動作の観点から小さい値であることが好ましい。したがって、本発明の半導体装置が従来の半導体装置よりも優位であることが示されている。
【0040】
以上のように、本発明の半導体装置は、閾値電圧(Vt)、駆動電流(Ion)、及びサブスレッシュオールド係数(SS:subthreshold slope)の各特性において、従来の半導体装置よりも優位性を示す結果となった。
【0041】
(半導体装置の製造方法)
次に、上記半導体装置1の製造方法について
図9〜
図29を参照して説明する。
なお、各図中において、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図、(f)は切断線Y3−Y3’による断面図を示している。さらに、切断線Y1−Y1’及び切断線Y2−Y2’は、セルアレイ領域SAの内側の領域における断面部分を示すものであり、切断線Y3−Y3’は、セルアレイ領域SAと周辺回路領域CAに跨る境界領域の断面部分を示すものである。
また、
図9(a)〜
図29(a)に示すセルアレイ領域SAには、実際は上記素子分離領域5及び活性領域6が多数並んで形成されているものの、
図9(a)〜
図29(a)では便宜上、セルアレイ領域SAに並んで形成される素子分離領域5及び活性領域6の一部を拡大した状態で模式的に示している。
【0042】
上記半導体装置1を製造する際は、先ず、
図9に示すように、加工前の半導体基板2を用意する。半導体基板2としては、所定濃度の不純物を含有する単結晶基板、例えばシリコン単結晶基板により形成されている。
【0043】
そして、半導体基板2の上に、シリコン窒化膜21と、アモルファスカーボン膜22と、反射防止(BARC)膜23とを順次積層したマスク層24を形成する。さらに、このマスク層24の上に、フォトレジスト(PR)を塗布した後、このフォトレジストをリソグラフィ(Lithography)技術によりパターニングしながら、上記活性領域6に対応した形状のレジストパターン25を形成する。また、このようなレジストパターン25を形成することによって、上記素子分離領域5に対応する位置に開口部25aと、周辺回路領域CAに対応する位置に開口部25bとが形成される。
【0044】
次に、
図10に示すように、このレジストパターン25を用いた異方性ドライエッチングによりマスク層24をパターニングする。このとき、レジストパターン25は、エッチングの進行に伴って、マスク層24の上から除去されるが、このレジストパターン25の形状がマスク層24にそのまま転写される。これにより、マスク層24をレジストパターン25に対応した形状にパターニングすることができる。さらに、マスク層24も、エッチングの進行に伴って、レジストパターン24の形状を上層側から下層側へと転写しながら除去される。このため、マスク層24のパターニングが終了した時点では、例えば、反射防止(BARC)膜23が完全に除去されて、上記素子分離領域5に対応する位置に開口部24aと、周辺回路領域CAに対応する位置に開口部24bとを有するようにパターニングされたアモルファスカーボン膜22及びシリコン窒化膜21からなるマスク層24が残存している。
【0045】
さらに、このパターニングされたマスク層24を用いた異方性ドライエッチングにより半導体基板2の表層をパターニングする。これにより、マスク層24の形状が半導体基板2の表層に転写されて、半導体基板2の上記セルアレイ領域SAに、上記第1の方向に延在する素子分離用の溝部3がストライプ状に複数並んで形成されると共に、上記周辺回路領域CAに、この溝部3よりも幅の広い溝部3Aが形成される。また、これら溝部3,3Aを形成する段階で、マスク層24を形成するアモルファスカーボン膜22がエッチングにより除去される。
【0046】
次に、
図11に示すように、半導体基板2の全面に亘って、HDP−CVD(High Density Plasma−Chemical Vapor Deposition)法によりシリコン酸化膜26を溝部3,3Aに埋め込むのに十分な厚みで成膜した後に、このシリコン酸化膜26が成膜された面を化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)により研磨しながら、ストッパとなる上記シリコン窒化膜21の表面が露出するまで平坦化を行う。
【0047】
次に、
図12に示すように、シリコン酸化膜26をフッ酸(HF)を用いたウェットエッチングにより選択的に除去しながら、半導体基板2の表面と同じ高さとなるようにシリコン酸化膜26の高さを調整する。その後、シリコン窒化膜21を熱燐酸(H
3PO
4)を用いたウェットエッチングにより除去する。これにより、上記素子分離用の溝部3に、上記素子分離絶縁膜4として、上記シリコン酸化膜26が埋め込まれた上記素子分離領域5と、この素子分離領域5によって絶縁分離された上記活性領域6とが、第1の方向に延在しながら交互に隣接した状態で形成される。
【0048】
次に、
図13に示すように、シリコン酸化膜26の間から露出した半導体基板2の表面(活性領域6)を熱酸化(ISSG:In Situ Steam Generation)により酸化させてシリコン酸化膜27を形成した後、半導体基板2の全面に亘ってノンドープシリコン膜28を形成する。そして、このノンドープシリコン膜28をマスクとして、シリコン酸化膜26の間から露出した活性領域6に低濃度のN型不純物(リン等)をイオン注入することによって、この部分に不純物拡散層29を形成する。この不純物拡散層29は、上記半導体装置1のドレイン領域13a及びソース領域13bとして機能する部分である。
【0049】
次に、
図14に示すように、半導体基板2の上にフォトレジストを塗布した後、このフォトレジストをリソグラフィ技術によりパターニングしながら、上記周辺回路領域CAを覆うレジストパターン(図示せず。)を形成する。そして、このレジストパターンを用いたドライエッチングにより、上記周辺回路領域CA上のノンドープシリコン膜28を残して、セルアレイ領域SA内にあるノンドープシリコン膜28を除去する。
【0050】
次に、
図15に示すように、異方性の選択エッチングにより、上記シリコン酸化膜26,27のみを選択的に除去し、上記素子分離領域5に上記ゲート電極8の上面と同一レベルとなる深さの溝部30を形成する。すなわち、溝部30の底面に位置するシリコン酸化膜26の上面は、後工程で形成されるゲート電極8の上面と同一高さとなると同時に、不純物拡散層29の底面とも同一高さとなる。
【0051】
次に、
図16に示すように、図示しない保護酸化膜を形成した後、溝部30に埋め込まれた状態で半導体基板2の面上を覆うシリコン窒化膜31を形成する。
【0052】
次に、
図17に示すように、シリコン窒化膜31上に、アモルファスカーボン膜32を形成した後、この上に塗布したフォトレジストをリソグラフィ技術によりパターニングしながら、上記埋め込みゲート用の溝部9,10を形成する位置に開口部を有するレジストパターン(図示せず。)を形成する。そして、このレジストパターンを用いたドライエッチングにより、アモルファスカーボン膜32をパターニングする。このとき、レジストパターンは、エッチングの進行に伴って、アモルファスカーボン膜32の上から除去されるが、このレジストパターンの形状がアモルファスカーボン膜32にそのまま転写されるため、アモルファスカーボン膜32には、上記埋め込みゲート用の溝部9,10を形成する位置に開口部32aが形成される。
【0053】
次に、
図18に示すように、このパターニングされたアモルファスカーボン膜32をマスクとして、開口部32aから露出した部分を異方性エッチングにより除去する。このととき、シリコン窒化膜31の上からアモルファスカーボン膜32も同時に除去される。これにより、開口部32aから露出した上記シリコン窒化膜31、シリコン酸化膜26、不純物拡散層29、及び半導体基板2の表層が等速でエッチングされながら、少なくとも半導体基板2の表層(上記活性領域6)に上記第1の溝部9が形成されると共に、シリコン窒化膜31(素子分離領域5)に上記第2の溝部10の一部となる上溝部10aが形成される。
【0054】
次に、
図19に示すように、上溝部10aの底面に位置するシリコン酸化膜26をフッ酸(HF)含有溶液を用いたウェットエッチングにより除去する。このフッ酸(HF)含有溶液を用いることにより、シリコン窒化膜31に対してシリコン酸化膜26を高選択比でエッチングすることができる。したがって、上記シリコン窒化膜31は除去されずに、その下にあるシリコン酸化膜26が選択的に除去される。また、このウェットエッチングは等方性エッチングのため、上溝部10aの底面に位置するシリコン酸化膜26が深さ方向と幅方向にエッチングされることによって、上溝部10aの下には、この上溝部10aよりも2ΔWだけ幅広となる下溝部10bが形成される。
【0055】
なお、本実施形態では、下溝部10bを形成する方法として、フッ酸(HF)含有溶液による湿式エッチング法を用いたが、無水フッ化水素ガスとアンモニアガスを用いたケミカルドライエッチング法を用いることもできる。例えば、
図18に示す工程が終了した段階で、半導体基板2をエッチング装置にセットし、エッチング装置内の圧力を20mTorr、温度37℃に維持した状態で、等量の無水フッ化水素ガスとアンモニアガスを供給して1分間保持すると、シリコン酸化膜26の表面に珪フッ化アンモニウムが形成される。その後、180℃に昇温すると、珪フッ化アンモニウムが昇華して除去される。このときのシリコン酸化膜26のエッチング量は、厚さ換算で5nm程度であり、条件によりエッチング量を制御することができる。この方法は、等方性エッチングであり、シリコン酸化膜26しかエッチングされないので、他の構造部材に何ら影響することなく、上述した湿式エッチング法よりも更に高精度の下溝部10bを形成することができる。
【0056】
これにより、活性領域6を挟んだ両側の素子分離領域5に上記第2の溝部10が形成され、これら第2の溝部10の底面の間から活性領域6の一部がΔDだけ突き出した上記第1のフィン部12aと、これら第2の溝部10の両側面の間から第1のフィン部12aに連続して活性領域6の一部がΔWだけ突き出した一対の第2のフィン部と12bとが形成される。
【0057】
次に、
図20に示すように、上記第1及び第2のフィン部12a,12bの表面を熱酸化(ISSG:In Situ Steam Generation)により酸化させることによって、シリコン酸化膜からなる上記ゲート絶縁膜11を形成する。その後、上記埋め込みゲート用の溝部9,10に埋め込まれた状態で半導体基板2の面上を覆う導電膜33を形成する。
【0058】
次に、
図21に示すように、導電膜33が成膜された面を化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)により研磨しながら、ストッパとなる上記シリコン窒化膜31の表面が露出するまで平坦化を行った後、この導電膜33の表面が上記シリコン酸化膜26の表面と同じ高さとなるまでエッチバックを行う。これにより、上記ゲート電極8が形成される。このゲート電極8は、メモリーセル領域SAにおけるワード線7となる。
【0059】
次に、
図22に示すように、半導体基板2の全面に亘って、HDP−CVD(High Density Plasma−Chemical Vapor Deposition)法により、ゲート電極8のキャップ絶縁膜となるシリコン酸化膜34を成膜する。
【0060】
次に、
図23に示すように、このシリコン酸化膜34が成膜された面を化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)により研磨しながら、ストッパとなる上記周辺回路領域CAに形成されたシリコン窒化膜31の表面が露出するまで平坦化を行う。その後、シリコン酸化膜34をフッ酸(HF)を用いたウェットエッチングにより選択的に除去しながら、上記セルアレイ領域SAに形成されたシリコン窒化膜31の表面と同じ高さとなるまでエッチバックを行う。
【0061】
以上の工程を経ることによって、セルアレイ領域SAには、上記
図1及び
図2に示した半導体装置1として、メモリーセルを構成する選択用トランジスタが形成される。
本発明を適用して製造される半導体装置1では、上記
図3に示すように、上記第1のフィン部12a(第1のチャネル領域FCU)の両端から一対の第2のフィン部12b(第2のチャネル領域FCS)が半導体基板2の表面に対して垂直な方向に延在して形成されていることから、これら一対の第2のフィン部12b(第2のチャネル領域FCS)の分だけ第1の方向におけるチャネル領域の長さを拡大することが可能である。
【0062】
なお、上記
図23に示す工程の後は、選択用トランジスタのソース・ドレインの何れか一方と電気的に接続されるビット線と、他方と電気的に接続されるキャパシタと、この上に配線層とを順次積層することで、最終的にセルアレイ領域SA内に複数のメモリーセルが並ぶDRAMを製造することができる。
【0063】
具体的に、上記
図23に示す工程の後には、
図24に示すように、半導体基板2の上に、ビットコンタクトホールを形成する位置に開口部35aを有するレジストパターン35を形成する。ビットコンタクトホールは、上記ビット線を形成するための溝部である。
【0064】
次に、
図25に示すように、このレジストパターン35を用いて、開口部35aから露出した上記シリコン窒化膜31を異方性エッチングにより除去する。このとき、上記セルアレイ領域SAに形成された不純物拡散層29と、上記周辺回路領域CAに形成されたノンドープシリコン膜28が露出するまでエッチングを行う。これにより、上記ゲート電極8と平行な方向(第2の方向)に延在するビットコンタクトホール36が形成される。
【0065】
次に、
図26に示すように、ビットコンタクトホール36に埋め込まれた状態で半導体基板2の面上を覆う不純物含有ポリシリコン膜37aと、この上にタングステンシリサイド膜37bとからなる積層膜を形成する。なお、不純物含有ポリシリコン膜37aは、CVD法による成膜段階で不純物を含有させることができる。また、ノンドープシリコン膜を形成した後に、イオン注入により不純物を含有させることもできる。
【0066】
次に、
図27に示すように、この積層膜の上に、上記ビット線を形成する位置を覆うレジストパターン(図示せず。)を形成した後、このレジストパターンを用いて、ドライエッチングにより積層膜をパターニングすることによって、上記ゲート電極8と平行な方向(第2の方向)に延在するビット線37を形成する。なお、ビット線37を形成する際は、タングステンシリサイド膜37bを形成した後、続けてカバーシリコン窒化膜を形成しておき、レジストパターンを用いてカバーシリコン窒化膜にパターンを一旦形成し、さらにカバーシリコン膜をマスクとして下層のタングステンシリサイド膜37b及び不純物含有ポリシリコン膜37aをエッチングすることもできる。
【0067】
次に、
図28に示すように、半導体基板2の上にSOD(Spin-on Dielectrics)を塗布してビット線37間の空間を充填した後、蒸気(H
2O)雰囲気中でアニール処理を行なって固体の膜に改質することにより、SOD膜(絶縁膜)38を形成する。そして、この上に容量コンタクトプラグを形成する位置に開口部を有するレジストパターン(図示せず。)を形成した後、このレジストパターンを用いて、ドライエッチングによりSOD膜38をパターニングすることによって、コンタクトホール39を形成する。
【0068】
次に、
図29に示すように、コンタクトホール39に導電材料を埋め込むことによって容量コンタクトプラグ40を形成する。そして、この上に容量コンタクトプラグ40に臨む位置に開口部を有する絶縁膜41を形成した後、この開口部に容量コンタクトプラグ40と電気的に接続される容量コンタクトパッド42を埋め込み形成する。
【0069】
次に、
図30に示すように、容量コンタクトパッド42に臨む位置に、下部電極43、容量絶縁膜44及び上部電極45から構成されるキャパシタ46を形成する。このキャパシタ46については、特に限定されるものではなく、例えば、
図30(a)に示す下部電極43の外壁のみを電極として利用する円柱型キャパシタ構造や、
図30(b)に示す下部電極43の内壁及び外壁を電極として利用する王冠型キャパシタ構造などを形成することができる。
【0070】
さらに、このキャパシタ46の上に、層間絶縁膜47を介して配線層48を形成することで、上述したセルアレイ領域SA内に並ぶ複数のメモリーセルを有するDRAMを形成することができる。
【0071】
[第2の実施形態]
(半導体装置)
次に、第2の実施形態として、
図31及び
図32に示す本発明を適用した別の半導体装置50について説明する。
なお、
図31は、この半導体装置50の平面図であり、
図32は、この半導体装置50の要部を拡大した鳥瞰図である。また、以下の説明では、上記半導体装置1と同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0072】
この半導体装置50は、
図31及び
図32に示すように、上記素子分離絶縁膜4として、上記素子分離用の溝部3にシリコン酸化膜26が埋め込まれ、このシリコン酸化膜26に上記第2の溝部10を構成する上溝部10a及び下溝部10bが形成されると共に、上記第1の溝部9及び上溝部10aの両側面を覆うように、第2の方向に延在するサイドウォール膜51(シリコン窒化膜)が形成された構成である。
【0073】
すなわち、上記半導体装置1では、シリコン酸化膜26の上をシリコン窒化膜31が覆うように設けられているものの、この半導体装置50では、シリコン酸化膜26の上には無く、シリコン窒化膜が上記第1の溝部10及び上溝部9aの両側面を覆うサイドウオール膜51として設けられている点が異なっている。それ以外は、上記半導体装置1とほぼ同様の構成を有している。
【0074】
この半導体装置50は、上記半導体装置1と同様に、上述した第1及び第2のフィン部12a,12bによって、第1の方向における長さを従来よりも拡大したチャネル領域が形成されている。
【0075】
具体的に、この半導体装置50では、
図33に拡大して示すように、上記素子分離絶縁膜4として、素子分離用の溝部3にシリコン酸化膜26が埋め込まれている。そして、第2の溝部10は、シリコン酸化膜26に上記第1の溝部9と同じ幅W1となる上溝部10aと、この上溝部10aの底面に位置するシリコン酸化膜26に上溝部10aよりも大きい幅W2となる下溝部10bとを形成することによって構成されている。また、第2の溝部10は、第1の方向において第1の溝部9の中心に対して線対称となる断面形状を有している。
【0076】
この場合、第1のフィン部12aは、第1の溝部9の深さD1と第2の溝部10の深さD2との差分ΔD(=D2−D1)だけ、第2の溝部10の底面の間から第1の溝部9の底面が突き出すことによって、第1の方向における幅がW1となる第1のチャネル領域FCUを形成している。
【0077】
一方、一対の第2のフィン部12bは、第1の溝部9の幅W1と第2の溝部10の幅W2との差分2ΔW(=W2−W1)の半分(ΔW)だけ、第2の溝部10の両側面の間から第1の溝部9の両側面が各々突き出すことによって、第1の方向における第1のフィン部12aの両端から半導体基板2の表面に対して垂直な方向に延在する第2のチャネル領域FCSを形成している。また、この第2のチャネル領域FCSの第1の方向(ここでは、半導体基板2の表面に対して垂直な方向)における幅は、ΔDとなっている。
【0078】
そして、この半導体装置50は、これら第1及び第2のフィン部12a,12bの表面を覆うゲート絶縁膜11が形成され、このゲート絶縁膜11を介して第1及び第2のフィン部12a,12bを跨ぐように、埋め込みゲート用の溝部9,10にゲート電極8の一部が埋め込まれることによって、いわゆるサドルフィン型のチャネル構造を有している。
【0079】
また、ゲート電極8を挟んだ両側の活性領域6には、イオンを注入することによって、上記選択用トランジスタのソース又はドレインとして機能するドレイン領域13a及びソース領域13b(不純物拡散層)が設けられている。そして、これらドレイン領域13a及びソース領域13bは、その下にある第2のフィン部12bと接続されている。
【0080】
以上のようにして、この半導体装置50では、半導体基板2の表面よりも下方に位置して、第2の方向に延在する第1及び第2の溝部9,10に埋め込まれたゲート電極8と、このゲート電極8を挟んだ両側に、それぞれ当該ゲート電極8の上面よりも高い位置に上面を有するドレイン領域13a及びソース領域13b(不純物拡散層)と、これらドレイン領域13a及びソース領域13bの各々の底面に接続されて、その底面から深さ方向に延在する一対の第2のフィン部(第2のチャネル領域FCS)12bと、これら一対の第2のフィン部12bの下端部に接続されて、一対の第2のフィン部12bの間で第1の方向に延在する第1のフィン部12a(第1のチャネル領域FCU)と、第1及び第2のフィン部12a,12bの表面を覆うゲート絶縁膜11とから、いわゆる埋め込みゲート型のトランジスタが構成されている。
【0081】
そして、以上のような構造を有する半導体装置50では、ソース領域13bから放出される電荷が、ソース領域13bから一方の第2のフィン部12bと、第1のフィン部12aと、他方の第2のフィン部12bとを順次に通過しながら、ドレイン領域13aへと入ることとなる。
【0082】
以上のように、本発明を適用した半導体装置50では、第1の方向における第1のフィン部12a(第1のチャネル領域FCU)の両端から一対の第2のフィン部12b(第2のチャネル領域FCS)が半導体基板2の表面に対して垂直な方向に延在して設けられていることから、これら一対の第2のフィン部12b(第2のチャネル領域FCS)の分だけ第1の方向におけるチャネル領域の長さを従来よりも拡大することが可能である。
【0083】
これにより、従来の底部のみがサドルフィン型のチャネル構造である場合に比べて、チャネル全体の抵抗を低減してIonを増大させること可能である。したがって、この半導体装置50では、メモリーセル寸法の縮小化に伴って、埋め込みゲート用の溝部9,10の幅が狭くなる場合でも、チャネル領域を半導体基板2の表面に対して垂直な方向、すなわちドレイン領域13a及びソース領域13bの底面に対して垂直な方向に拡大することができることから、短チャネル効果を抑制して、オン電流を十分に確保することが可能となる。
【0084】
また、この半導体装置50では、上記素子分離絶縁膜4として、上記素子分離用の溝部3にシリコン酸化膜26が埋め込まれ、このシリコン酸化膜26に上記第2の溝部10を構成する上溝部10a及び下溝部10bが形成されると共に、上記第1の溝部9及び上溝部10aの両側面を覆うように、第2の方向に延在するサイドウォール膜51が形成されている。
【0085】
これにより、サイドウォール膜51が後述するシリコン窒化膜からなる場合でも、膜厚の薄いサイドウォール膜51(シリコン窒化膜)が溝部9,10aの側面に位置するだけなので、ドレイン領域13a及びソース領域13b(不純物拡散層)の接合リークが増大する懸念を上記半導体装置1の場合に比べて、より抑制することが可能である。
【0086】
(半導体装置の製造方法)
次に、上記半導体装置50の製造方法について
図34〜
図38を参照して説明する。
なお、各図中において、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図、(f)は切断線Y3−Y3’による断面図を示している。さらに、切断線Y1−Y1’及び切断線Y2−Y2’は、セルアレイ領域SAの内側の領域における断面部分を示すものであり、切断線Y3−Y3’は、セルアレイ領域SAと周辺回路領域CAに跨る境界領域の断面部分を示すものである。
また、
図34(a)〜
図38(a)に示すセルアレイ領域SAには、実際は上記素子分離領域5及び活性領域6が多数並んで形成されているものの、
図34(a)〜
図38(a)では便宜上、セルアレイ領域SAに並んで形成される素子分離領域5及び活性領域6の一部を拡大した状態で模式的に示している。
【0087】
上記半導体装置50を製造する際は、先ず、上記
図9〜
図14に示す工程までは、上記半導体装置1の製造工程と基本的に同じであるため、説明を省略するもののとする。
【0088】
そして、上記
図14に示す工程の後は、
図34に示すように、半導体基板2の上に、シリコン窒化膜52とアモルファスカーボン膜53とを順次積層した後、この上に塗布したフォトレジストをリソグラフィ技術によりパターニングしながら、上記埋め込みゲート用の溝部9,10を形成する位置に開口部を有するレジストパターン(図示せず。)を形成する。そして、このレジストパターンを用いたドライエッチングにより、アモルファスカーボン膜53及びシリコン窒化膜52をパターニングする。このとき、レジストパターンは、エッチングの進行に伴って、アモルファスカーボン膜53の上から除去されるが、このレジストパターンの形状がアモルファスカーボン膜53及びシリコン窒化膜52にそのまま転写されるため、アモルファスカーボン膜53及びシリコン窒化膜52には、上記埋め込みゲート用の溝部9を形成する位置に開口部53a,52aが形成される。
【0089】
次に、
図35に示すように、このパターニングされたアモルファスカーボン膜53及びシリコン窒化膜52をマスクとして、開口部53a,52aから露出した部分を異方性エッチングにより除去する。このとき、シリコン窒化膜52の上からアモルファスカーボン膜53も同時に除去される。これにより、開口部52aから露出した上記シリコン酸化膜26、不純物拡散層29、及び半導体基板2の表層が等速でエッチングされながら、少なくとも半導体基板2の表層(上記活性領域6)に上記第1の溝部9が形成されると共に、シリコン酸化膜26に上記第2の溝部10の一部となる上溝部10aが形成される。
【0090】
次に、
図36に示すように、上記第1の溝部9及び上溝部10aの両側面を覆う一対のサイドウォール膜51を形成する。このサイドウォール膜51を形成する際は、半導体基板2の表面を覆うシリコン窒化膜を形成する。このシリコン窒化膜は、上記溝部9,10aに内側に完全に埋め込まれない厚みとする。次に、異方性のドライエッチングによりシリコン窒化膜をエッチバックし、上記溝部9,10aの側面のみにシリコン窒化膜を残す。これにより、上記第1の溝部9及び上溝部10aの両側面を覆うサイドウォール膜51を形成することができる。
【0091】
次に、
図37に示すように、上記第1の溝部9の底面に位置する半導体基板2(シリコン)と、上記上溝部10aの底面に位置するシリコン酸化膜26とを等速エッチングにより除去する。これにより、これら溝部9,10aの側面に形成されたサイドウォール膜51の下に溝部が形成される。
【0092】
次に、
図38に示すように、上溝部10aの底面に位置するシリコン酸化膜26をフッ酸(HF)含有溶液を用いたウェットエッチングにより選択的に除去する。このフッ酸(HF)含有溶液を用いることにより、シリコン窒化膜(サイドウォール膜51)に対してシリコン酸化膜26を高選択比でエッチングすることができる。したがって、上記シリコン窒化膜(サイドウォール膜51)は除去されずに、その下にあるシリコン酸化膜26が選択的に除去される。また、このウェットエッチングは等方性エッチングのため、上溝部10aの底面に位置するシリコン酸化膜26が深さ方向と幅方向にエッチングされることによって、上記上溝部10aの下には、この上溝部10aよりも2ΔWだけ幅広となる下溝部10bが形成される。
【0093】
なお、本実施形態では、下溝部10bを形成する方法として、フッ酸(HF)含有溶液による湿式エッチング法を用いたが、上記第1の実施形態で記載したように、無水フッ化水素ガスとアンモニアガスを用いたケミカルドライエッチング法を用いることもできる。
【0094】
これにより、活性領域6を挟んだ両側の素子分離領域5に上記第2の溝部10が形成され、これら第2の溝部10の底面の間から活性領域6の一部がΔDだけ突き出した上記第1のフィン部12aと、これら第2の溝部10の両側面の間から第1のフィン部12aに連続して活性領域6の一部がΔWだけ突き出した一対の第2のフィン部と12bとが形成される。
【0095】
次に、
図39に示すように、上記第1及び第2のフィン部12a,12bの表面を熱酸化(ISSG:In Situ Steam Generation)により酸化させることによって、シリコン酸化膜からなる上記ゲート絶縁膜11を形成する。その後、上記埋め込みゲート用の溝部9,10に埋め込まれた状態で半導体基板2の面上を覆う導電膜33を形成する。
【0096】
次に、
図40に示すように、導電膜33が成膜された面を化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)により研磨しながら、ストッパとなる上記シリコン窒化膜52の表面が露出するまで平坦化を行った後、この導電膜33の表面が上記シリコン酸化膜26の表面と同じ高さとなるまでエッチバックを行う。これにより、上記ゲート電極8が形成される。このゲート電極8は、メモリーセル領域SAにおけるワード線7となる。
【0097】
次に、
図41に示すように、半導体基板2の全面に亘って、HDP−CVD(High Density Plasma−Chemical Vapor Deposition)法により、ゲート電極8のキャップ絶縁膜となるシリコン酸化膜34aを成膜する。
【0098】
次に、
図42に示すように、このシリコン酸化膜34aが成膜された面を化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)により研磨しながら、ストッパとなる上記シリコン窒化膜52の表面が露出するまで平坦化を行う。
【0099】
次に、
図43に示すように、シリコン酸化膜34aをフッ酸(HF)を用いたウェットエッチングにより選択的に除去しながら、上記半導体基板2の表面と同じ高さとなるまでエッチバックを行った後、上記シリコン窒化膜52及びサイドウォール膜51の一部を熱燐酸(H
3PO
4)を用いたウェットエッチングにより除去する。
【0100】
次に、
図44に示すように、半導体基板2の全面に亘って、HDP−CVD(High Density Plasma−Chemical Vapor Deposition)法によりシリコン酸化膜34bを成膜する。そして、上記ビットコンタクトホール36を形成する位置に開口部を有するレジストパターン(図示せず。)を形成した後、このレジストパターンを用いて、開口部から露出した上記シリコン酸化膜34bを異方性エッチングにより除去する。これにより、上記ゲート電極8と平行な方向(第2の方向)に延在するビットコンタクトホール36が形成される。
【0101】
図44に示す工程の後は、上記
図26〜
図30に示す工程まで、上記半導体装置1の製造工程と基本的に同じであるため、説明を省略するもののとする。そして、以上の工程を経ることによって、上記
図31及び
図32に示す半導体装置50を作製することができる。
【0102】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態として、
図45及び
図46に示す本発明を適用した別の半導体装置70について説明する。
なお、
図45は、この半導体装置70の平面図であり、
図46は、この半導体装置70の要部を拡大した鳥瞰図である。また、以下の説明では、上記半導体装置1,50と同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0103】
この半導体装置70は、
図45及び
図46に示すように、上記素子分離絶縁膜4として、上記素子分離用の溝部3にシリコン酸化膜26が埋め込まれ、このシリコン酸化膜26に上記第2の溝部10を構成する上溝部10a及び下溝部10bが形成された構成であり、上記サイドウォール膜51(シリコン窒化膜)が設けられていない以外は、上記半導体装置50とほぼ同様の構成を有している。
【0104】
この半導体装置70は、上記半導体装置1,50と同様に、上述した第1及び第2のフィン部12a,12bによって、第1の方向における長さを従来よりも拡大したチャネル領域が形成されている。
【0105】
具体的に、この半導体装置50では、
図47に拡大して示すように、上記素子分離絶縁膜4として、素子分離用の溝部3にシリコン酸化膜26が埋め込まれている。そして、第2の溝部10は、シリコン酸化膜26に上記第1の溝部9と同じ幅W1となる上溝部10aと、この上溝部10aの底面に位置するシリコン酸化膜26に上溝部10aよりも大きい幅W2となる下溝部10bとを形成することによって構成されている。また、第2の溝部10は、第1の方向において第1の溝部9の中心に対して線対称となる断面形状を有している。
【0106】
この場合、第1のフィン部12aは、第1の溝部9の深さD1と第2の溝部10の深さD2との差分ΔD(=D2−D1)だけ、第2の溝部10の底面の間から第1の溝部9の底面が突き出すことによって、第1の方向における幅がW1となる第1のチャネル領域FCUを形成している。
【0107】
一方、一対の第2のフィン部12bは、第1の溝部9の幅W1と第2の溝部10の幅W2との差分2ΔW(=W2−W1)の半分(ΔW)だけ、第2の溝部10の両側面の間から第1の溝部9の両側面が各々突き出すことによって、第1の方向における第1のフィン部12aの両端から半導体基板2の表面に対して垂直な方向に延在する第2のチャネル領域FCSを形成している。また、この第2のチャネル領域FCSの第1の方向(ここでは、半導体基板2の表面に対して垂直な方向)における幅は、ΔDとなっている。
【0108】
そして、この半導体装置70は、これら第1及び第2のフィン部12a,12bの表面を覆うゲート絶縁膜11が形成され、このゲート絶縁膜11を介して第1及び第2のフィン部12a,12bを跨ぐように、埋め込みゲート用の溝部9,10にゲート電極8の一部が埋め込まれることによって、いわゆるサドルフィン型のチャネル構造を有している。
【0109】
また、ゲート電極8を挟んだ両側の活性領域6には、イオンを注入することによって、上記選択用トランジスタのソース又はドレインとして機能するドレイン領域13a及びソース領域13b(不純物拡散層)が設けられている。そして、これらドレイン領域13a及びソース領域13bは、その下にある第2のフィン部12bと接続されている。
【0110】
以上のようにして、この半導体装置70では、半導体基板2の表面よりも下方に位置して、第2の方向に延在する第1及び第2の溝部9,10に埋め込まれたゲート電極8と、このゲート電極8を挟んだ両側に、それぞれ当該ゲート電極8の上面よりも高い位置に上面を有するドレイン領域13a及びソース領域13b(不純物拡散層)と、これらドレイン領域13a及びソース領域13bの各々の底面に接続されて、その底面から深さ方向に延在する一対の第2のフィン部(第2のチャネル領域FCS)12bと、これら一対の第2のフィン部12bの下端部に接続されて、一対の第2のフィン部12bの間で第1の方向に延在する第1のフィン部12a(第1のチャネル領域FCU)と、第1及び第2のフィン部12a,12bの表面を覆うゲート絶縁膜11とから、いわゆる埋め込みゲート型のトランジスタが構成されている。
【0111】
そして、以上のような構造を有する半導体装置70では、ソース領域13bから放出される電荷が、ソース領域13bから一方の第2のフィン部12bと、第1のフィン部12aと、他方の第2のフィン部12bとを順次に通過しながら、ドレイン領域13aへと入ることとなる。
【0112】
以上のように、本発明を適用した半導体装置70では、第1の方向における第1のフィン部12a(第1のチャネル領域FCU)の両端から一対の第2のフィン部12b(第2のチャネル領域FCS)が半導体基板2の表面に対して垂直な方向に延在して設けられていることから、これら一対の第2のフィン部12b(第2のチャネル領域FCS)の分だけ第1の方向におけるチャネル領域の長さを従来よりも拡大することが可能である。
【0113】
これにより、従来の底部のみがサドルフィン型のチャネル構造である場合に比べて、チャネル全体の抵抗を低減してIonを増大させること可能である。したがって、この半導体装置70では、メモリーセル寸法の縮小化に伴って、埋め込みゲート用の溝部9,10の幅が狭くなる場合でも、チャネル領域を半導体基板2の表面に対して垂直な方向、すなわちドレイン領域13a及びソース領域13bの底面に対して垂直な方向に拡大することができることから、短チャネル効果を抑制して、オン電流を十分に確保することが可能となる。
【0114】
また、この半導体装置70では、上記素子分離絶縁膜4として、上記素子分離用の溝部3にシリコン酸化膜26が埋め込まれ、このシリコン酸化膜26に上記第1の溝部9を構成する上溝部9a及び下溝部9bが形成されると共に、上記サイドウォール膜51が除去されている。
【0115】
したがって、この半導体装置70では、ドレイン領域13a及びソース領域13b(不純物拡散層)の近傍にシリコン窒化膜が存在しないため、上述した接合リークを更に抑制することが可能である。
【0116】
(半導体装置の製造方法)
次に、上記半導体装置70の製造方法について
図48〜
図51を参照して説明する。
なお、各図中において、(a)は平面図、(b)は切断線X1−X1’による断面図、(c)は切断線X2−X2’による断面図、(d)は切断線Y1−Y1’による断面図、(e)は切断線Y2−Y2’による断面図、(f)は切断線Y3−Y3’による断面図を示している。さらに、切断線Y1−Y1’及び切断線Y2−Y2’は、セルアレイ領域SAの内側の領域における断面部分を示すものであり、切断線Y3−Y3’は、セルアレイ領域SAと周辺回路領域CAに跨る境界領域の断面部分を示すものである。
また、
図48(a)〜
図51(a)に示すセルアレイ領域SAには、実際は上記素子分離領域5及び活性領域6が多数並んで形成されているものの、
図48(a)〜
図51(a)では便宜上、セルアレイ領域SAに並んで形成される素子分離領域5及び活性領域6の一部を拡大した状態で模式的に示している。
【0117】
上記半導体装置70を製造する際は、先ず、上記
図9〜
図14に示す工程までは、上記半導体装置1の製造工程と基本的に同じであり、その後、上記
図34〜
図38に示す工程までは、上記半導体装置50の製造工程と基本的に同じであるため、説明を省略するもののとする。
【0118】
そして、上記
図38に示す工程の後は、
図48に示すように、上記サイドウォール膜51及びシリコン窒化膜52を熱燐酸(H
3PO
4)を用いたウェットエッチングにより除去する。
【0119】
次に、
図49に示すように、上記第1及び第2のフィン部12a,12bの表面を熱酸化(ISSG:In Situ Steam Generation)により酸化させることによって、シリコン酸化膜からなる上記ゲート絶縁膜11を形成する。その後、上記埋め込みゲート用の溝部9,10に埋め込まれた状態で半導体基板2の面上を覆う導電膜33を形成し、この導電膜33が成膜された面を化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)により研磨しながら、ストッパとなる上記シリコン酸化膜27の表面が露出するまで平坦化を行った後、この導電膜33の表面が上記シリコン酸化膜26の表面と同じ高さとなるまでエッチバックを行う。これにより、上記ゲート電極8が形成される。このゲート電極8は、メモリーセル領域SAにおけるワード線7となる。
【0120】
次に、
図50に示すように、半導体基板2の全面に亘って、HDP−CVD(High Density Plasma−Chemical Vapor Deposition)法により、ゲート電極8のキャップ絶縁膜となるシリコン酸化膜34aを溝部9,10に埋め込むのに十分な厚みで成膜した後に、このシリコン酸化膜34aが成膜された面を化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)により研磨しながら、ストッパとなる上記シリコン酸化膜27の表面が露出するまで平坦化を行う。
【0121】
次に、
図51に示すように、半導体基板2の全面に亘って、HDP−CVD(High Density Plasma−Chemical Vapor Deposition)法によりシリコン酸化膜34bを成膜する。そして、上記ビットコンタクトホール36を形成する位置に開口部を有するレジストパターン(図示せず。)を形成した後、このレジストパターンを用いて、開口部から露出した上記シリコン酸化膜34bを異方性エッチングにより除去する。これにより、上記ゲート電極8と平行な方向(第2の方向)に延在するビットコンタクトホール36が形成される。
【0122】
図51に示す工程の後は、上記
図26〜
図30に示す工程まで、上記半導体装置1の製造工程と基本的に同じであるため、説明を省略するもののとする。そして、以上の工程を経ることによって、上記
図45及び
図46に示す半導体装置70を作製することができる。
【0123】
[データ処理システム]
次に、
図52に示す本発明を適用したデータ処理システム400について説明する。
本発明を適用したデータ処理システム400は、上記半導体装置1,50,70を備えたシステムの一例であり、このデータ処理システム400には、例えばコンピュータシステムが含まれるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0124】
このデータ処理システム400は、データプロセッサ420及び上記本発明を適用したDRAM460を含む。データプロセッサ420は、例えば、マイクロプロセッサ(MPU)、デジタルシグナルプロセッサ(DPS)などを含むが、これらに限定されない。
【0125】
また、データプロセッサ420は、システムバス410を介して上記DRAM460に接続されているが、システムバス410を介さずにローカルなバスによって接続される場合もある。さらに、
図52中には、1本のシステムバス410が図示されているが、必要に応じてコネクタなどを介して、シリアル乃至パラレルに接続される。
【0126】
このデータ処理システム400では、必要に応じて、ストレージデバイス430、I/Oデバイス440、ROM450がシステムバス410に接続されるが、必ずしも必須の構成要素ではない。ここで、I/Oデバイス440には、入力デバイス若しくは出力デバイスの何れか一方のみの場合も含まれる。さらに、各構成要素の個数についても、特に限定されるものではなく、少なくとも1個又は複数個の場合も含まれる。