(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5718592
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】連続して四角形の管を成形するための線形物形状可変装置
(51)【国際特許分類】
B21D 5/12 20060101AFI20150423BHJP
B21C 37/15 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
B21D5/12 A
B21D5/12 H
B21C37/15 A
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-163267(P2010-163267)
(22)【出願日】2010年7月20日
(65)【公開番号】特開2011-36916(P2011-36916A)
(43)【公開日】2011年2月24日
【審査請求日】2013年7月16日
(31)【優先権主張番号】MI2009A 001284
(32)【優先日】2009年7月21日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】509254834
【氏名又は名称】オリンピア 80 ソシエタ レスポンサビリタ リミタータ
【氏名又は名称原語表記】OLIMPIA 80 S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】リヴィオ トラヴィニ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィットリオ トラヴィニ
【審査官】
福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−099725(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3044619(JP,U)
【文献】
特開2003−340525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 5/12−9/18
B21C 37/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角形の管(32)を連続して成形するための線形物形状可変装置(31)であって、
進行的に帯状シート(34)を曲げるための少なくとも1つの成形ステーション(33)と、上記曲げた帯状シート(34)の端(36)同士をさらに近づけるための少なくとも1つの仕上げステーション(35)と、少なくとも1つの上記四角形の管(32)の溶接ステーションとをこの順で備え、
−各成形ステーション(33)は、上記帯状シート(34)の平面に対して平行な軸(45)に取り付けられたモーター駆動する成形ロール(1,2;3,4;5,6;7,8;9,10)を2対有し、当該2対のモーター駆動するロールは互いに対向して配置されており、上記帯状シート(34)の平面に対して平行移動が可能であり、上記各対(1,2;3,4;5,6;7,8;9,10)における上方ロール(1,3,5,7,9)は上記金属シート(34)の平面に対してさらに平行移動および/または垂直移動が可能であり、
−上記各仕上げステーション(35)は、成形中の上記四角形の管(32)の下方に配置された少なくとも1つのアイドル成形ロール(12;16;20)と、成形中の上記四角形の管(32)の両側に配置され、上記帯状シート(34)の平面に対して平行移動が可能である2つのアイドル成形ロール(11;15;19)と、成形中の上記四角形の管(32)の上方に配置され、上記帯状シート(34)の平面に対して垂直移動が可能である2つのアイドル成形ロール(13,14;17,18;21,22)とを有し、
−上記仕上げステーション(35)において、成形中の上記四角形の管(32)の下方に配置された上記成形ロール(12,16,20)の回転軸は、上記帯状シート(34)の平面および成形中の上記四角形の管(32)の上方に配置された上記成形ロール(13,14;17,18;21,22)の回転軸に対して平行であり、成形中の上記四角形の管(32)の両側に配置された各対の成形ロール(11、15,19)の上記回転軸は互いに平行であり、上記帯状シート(34)の平面に対して垂直であることを特徴とする線形物形状可変装置(31)。
【請求項2】
四角形の管(32)を連続して成形するための線形物形状可変装置(31)であって、
進行的に帯状シート(34)を曲げるための少なくとも1つの成形ステーション(33)と、上記曲げた帯状シート(34)の端(36)同士をさらに近づけるための少なくとも1つの仕上げステーション(35)と、少なくとも1つの上記四角形の管(32)の溶接ステーションとをこの順で備え、
−各成形ステーション(33)は、上記帯状シート(34)の平面に対して平行な軸(45)に取り付けられたモーター駆動する成形ロール(1,2;3,4;5,6;7,8;9,10)を2対有し、当該2対のモーター駆動するロールは互いに対向して配置されており、上記帯状シート(34)の平面に対して平行移動が可能であり、上記各対(1,2;3,4;5,6;7,8;9,10)における上方ロール(1,3,5,7,9)は上記金属シート(34)の平面に対してさらに平行移動および/または垂直移動が可能であり、
−上記各仕上げステーション(35)は、成形中の上記四角形の管(32)の下方に配置された少なくとも1つのアイドル成形ロール(12;16;20)と、成形中の上記四角形の管(32)の両側に配置され、上記帯状シート(34)の平面に対して平行移動が可能である2つのアイドル成形ロール(11;15;19)と、成形中の上記四角形の管(32)の上方に配置され、上記帯状シート(34)の平面に対して垂直移動が可能である2つのアイドル成形ロール(13,14;17,18;21,22)とを有し、
−上記仕上げステーション(35)において、成形中の上記四角形の管(32)の一方の側に配置された上記成形ロール(11,15,19)の上記帯状シート(34)の平面に対する平行移動は、成形中の上記四角形の管(32)の他方の側に配置された上記成形ロール(11,15,19)の上記帯状シート(34)の平面に対する平行移動から独立しており、成形中の上記四角形の管(32)の上方に配置された一方の上記成形ロール(13,14;17,18;21,22)の上記帯状シート(34)の平面に対する垂直移動は、成形中の上記四角形の管(32)の上方に配置された他方の上記成形ロール(13,14;17,18;21,22)の上記帯状シート(34)の平面に対する垂直移動から独立していることを特徴とする線形物形状可変装置(31)。
【請求項3】
上記各成形ステーション(33)に属する上記2対の成形ロール(1,2;3,4;5,6;7,8;9,10)は、上記帯状シート(34)の両端を同時に変形させることを特徴とする請求項1または2に記載の線形物形状可変装置(31)。
【請求項4】
成形ステーション(33)における上記2対の成形ロール(1,2;3,4;5,6;7,8;9,10)は、上記帯状シート(34)の平面に対する平行移動を同時に行うことを特徴とする請求項1または2に記載の線形物形状可変装置(31)。
【請求項5】
成形ステーション(33)に属する1対の成形ロール(1,2;3,4;5,6;7,8;9,10)における一方の上方ロール(1,3,5,7,9)の上記帯状シート(34)の平面に対する平行移動および垂直移動は、同じ対の成形ロール(1,2;3,4;5,6;7,8;9,10)における他方の上方ロール(1,3,5,7,9)の上記帯状シート(34)の平面に対する平行移動および垂直移動から独立していることを特徴とする請求項1または2に記載の線形物形状可変装置(31)。
【請求項6】
成形ステーション(33)に属する各対の成形ロール(1,2;3,4;5,6;7,8;9,10)における下方ロール(2,4,6,8,10)の回転軸(45)は、互いに一列に並び、上記帯状シート(34)の平面に対して平行であることを特徴とする請求項1または2に記載の線形物形状可変装置(31)。
【請求項7】
成形ステーション(33)は、
上記帯状シート(34)の平面に対して平行なガイド上を摺動するための担持手段であって、各々が上記帯状シート(34)の平面に対して平行な軸(45)によって担持される1対の成形ロール(1,2;3,4;5,6;7,8;9,10)を担持するための担持手段(44)と、上記対の成形ロール(1,2;3,4;5,6;7,8;9,10)間の距離を上記帯状シート(34)の幅に合わせるために、上記対の成形ロール(1,2;3,4;5,6;7,8;9,10)に上記帯状シート(34)の平面に対する平行移動を反対方向に行わせるための手段(46)と、各対の成形ロール(1,2;3,4;5,6;7,8;9,10)における下方ロール(2,4,6,8,10)と上方ロール(1,3,5,7,9)と間の距離に合わせて、上記対の成形ロール(1,2;3,4;5,6;7,8;9,10)の上記各上方ロール(1,3,5,7,9)に上記帯状シート(34)の平面に対する垂直移動を行わせるための手段(47)と、上記上方ロール(1,3,5,7,9)間の距離および上記担持手段(44)間の距離を上記帯状シート(34)の厚さに合わるために、上記対の成形ロール(1,2;3,4;5,6;7,8;9,10)に上記帯状シート(34)の平面に対する平行移動を行わせるための手段(48)とをさらに有し、上記上方ロール(1,3,5,7,9)を担持する上記軸(45)は、上記担持手段(44)に形成された開口部を介して摺動し、一方、上記下方ロール(2,4,6,8,10)を担持する上記軸(45)は固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の線形物形状可変装置(31)。
【請求項8】
1対の成形ロール(1,2;3,4;5,6;7,8;9,10)における1つの上方ロール(1,3,5,7,9)の上記帯状シート(34)の平面に対する垂直移動および/または平行移動は、同じ対の成形ロール(1,2;3,4;5,6;7,8;9,10)の他方の上方ロール(1,3,5,7,9)の上記帯状シート(34)の平面に対する垂直移動および/または平行移動とは移動量が異なることを特徴とする請求項7に記載の線形物形状可変装置(31)。
【請求項9】
仕上げステーション(35)は、成形中の上記四角形の管(32)の下方に配置された上記成形ロール(12,16,20)を担持するための担持手段(49)と、成形中の上記四角形の管(32)の両側に配置された上記成形ロール(11,15,19)に、供給される上記帯状シート(34)の平面に対する平行移動を行わせるための手段(50)と、成形中の上記四角形の管(32)の上方に配置された上記成形ロール(13,14;17,18;21,22)に、供給される上記帯状シート(34)の平面に対する垂直移動を行わせるための手段(51)とをさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の線形物形状可変装置(31)。
【請求項10】
上記仕上げステーション(35)において、成形中の上記四角形の管(32)の上記両側に配置された一方の上記成形ロール(11,15,19)の、供給される上記帯状シート(34)の平面に対する平行移動は、成形中の上記四角形の管(32)の他方側に配置された上記成形ロール(11,15,19)の、供給される上記帯状シート(34)の平面に対する平行移動とは移動量が異なり、
上記仕上げステーション(35)において、成形中の上記四角形の管(32)の上方に配置された上記成形ロール(13,14)の、供給される上記帯状シート(34)の平面に対する垂直移動は、成形中の上記四角形の管(32)の上方に配置された他の上記成形ロール(14,13)の、供給される上記帯状シート(34)の平面に対する垂直移動とは移動量が異なることを特徴とする請求項9に記載の線形物形状可変装置(31)。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明の目的は、連続して四角形の管(すなわち、正方形または長方形の形状)を成形する「線形物形状可変」装置である。当該装置は、帯状シートを進行的に曲げる複数の成形ステーションと、成形ステーションにて曲げられた帯状シートの端部同士を最終溶接のためにさらに近づける少なくとも1つの仕上げステーションと、四角形の管を溶接する少なくとも1つの最終溶接ステーションとを有する。
【0002】
連続して帯状シートを曲げることによって四角形の管を成形する装置は周知であり、連なった複数のステーションを有する。当該ステーションにおいて、共役ロール対を用いて帯状シートを進行的に変形させる。共役ロール対は、溝を有することで相補的な形状となっている。
【0003】
上記従来装置は、製造する管の大きさを変更したい(または変更する必要がある)ときに、ロール対を取り替えなければならないという欠点を持つ。これにより、可変装置の休止時間が生じ、システムの生産性低下が起こる。
【0004】
上述した重大な欠点を克服するために、連続してシートを曲げることにより四角形の管を成形する装置として次のようなものが提案されている。当該装置では、成形ステーションのロール対の上方ロールは、下方ロールに対応する溝の二等分線に沿って配置された斜交軸に沿って移動する。上記によって、四角形の管の製造において、同じロール対を用いて管の大きさを異ならせて、製造可能なサイズ範囲を多少大きくすることができる。
【0005】
四角形の管を成形するための周知の装置のいくつかは、各ステーションのロールが1対のみであり、帯状シートの1つの端(右端もしくは左端のどちらか)のみを曲げる。当該装置は、成形ステーションを多数有する必要があるので、サイズが大きく、高価である。
【0006】
本発明の目的は、四角形の管を成形するための「線形物形状可変」装置を提供することにある。当該発明により、ロール対を取り替えずに製造可能な四角形の管のサイズ範囲を広げることができるため、従来の成形装置の性能を向上させることができる。
【0007】
本発明の目的は、独立請求項1に記載された特徴を有する装置によって達成することができる。
【0008】
本発明に係るさらなる好適な構成は、従属請求項の一部を構成する。
【0009】
本発明に係る、連続して四角形の管を成形するための装置は、進行的に帯状シートを曲げる成形ステーションと、曲げた帯状シートの端同士を最終溶接のためにさらに近づける少なくとも1つの仕上げステーションと、少なくとも1つの四角形の管の最終溶接ステーションとをこの順で備える。
【0010】
各成形ステーションは、水平軸上に取り付けられた(すなわち、帯状シートの平面に対して平行な)モーター駆動する2対の成形ロールを有する。2対の成形ロールは互いに対向して配置されており、帯状シートの幅に合わせて、互いに反対方向に水平移動することでロール対間の距離を調整できるように構成されている。さらに、各対の上方ロールは、水平移動および/または垂直移動(すなわち、帯状シートの平面に対して平行および/または垂直な移動)することで、ロール対間の距離および下方ロールからの距離を帯状シートの厚さに合わせて調整できるように構成されている。
【0011】
2対の成形ロールの水平移動は同時に行われ、成形ロール対の上方ロールの水平移動および垂直移動は、同じ成形ロール対の他方の上方ロールの水平移動および垂直移動とは独立していることが好ましい。
【0012】
本発明の範囲から逸脱することなく、互いに対向している2対の成形ロールにおける上方ロールは、同じ移動量にて水平移動および/または垂直移動するという構成にすることができる。
【0013】
各対の成形ロールにおける下方ロールの回転軸は、互いに一列に並んでいる。
【0014】
各成形ステーションは、成形ステーションにおける成形ロールに上述した移動を行わせるために好適な手段を担持する2つの段部をさらに有する。
【0015】
各仕上げステーションは、成形中の四角形の管の下方に配置された円筒形状を有する1つのアイドル成形ロールと、成形中の四角形の管の両側に配置された円錐台形状を有する2つのアイドル成形ロールと、成形中の四角形の管の上方に配置された双円錐台形状を有する2つのアイドル成形ロールとを有する。成形中の四角形の管の両側に配置された円錐台形状を有する2つのアイドル成形ロールは、帯状シートの幅にロールの間隔を合わせるために水平移動が可能である。また、成形中の四角形の管の上方に配置された双円錐台形状の2つのアイドル成形ロールは、少なくともそれらと下方ロールとの距離を成形中の管の大きさに合わせるために垂直移動が可能である。
【0016】
成形中の四角形の管の一方の側に配置された成形ロールの水平移動は、成形中の四角形の管の他方の側に配置された成形ロールの水平移動から独立していることが望ましい。成形中の四角形の管の上方に配置された一方の成形ロールの垂直移動は、成形中の四角形の管の上方に配置された他方の成形ロールの垂直移動から独立していることが望ましい。
【0017】
本発明の範囲から逸脱することなく、成形中の四角形の管の両側に配置された2つの成形ロールは、同じ移動量の水平移動を行う、および/または、成形中の四角形の管の上方に配置された2つの成形ロールは、同じ移動量の垂直移動を行うという構成にすることができる。
【0018】
各仕上げステーションは、成形中の四角形の管の両側に配置された成形ロール、および当該管の上方に配置された成形ロールに上記した移動を行わせるための好適な手段を担持する段部を有する。
【0019】
本発明に係る装置は、ロール対および/または各ロール対の少なくとも1つの相互位置を変更することによって異なる大きさの四角形の管を製造することができるため、「線形物形状可変」装置と呼ばれる。
【0020】
添付の図面に図示された実施形態に基づいて本発明について説明する。各実施形態は本発明を単に例示するものであり、よって本発明を限定するものではない。
【0021】
図1は、本発明に係る四角形の管を成形する装置の上面図(
図1a)および側面図(
図1b)である。
【0022】
図2は、
図1の装置の成形ロールのカバー部材および担持手段を図示せずに、成形ロールおよび成形中の四角形の管のみを示した斜視側面図である。
【0023】
図3は、
図1の装置の成形ロールのカバー部材および担持手段を図示せずに、成形ロールおよび成形中の四角形の管のみを示した上面図(
図3a)、および側面図(
図3b)である。
【0024】
図4は、成形ロールと、各成形ステーションおよび仕上げステーションにおいて成形中の四角形の管の断面を概略的に示す図である。
【0025】
図5は、カバー部材を図示せずに、帯状シートの平面に対して直交する平面に沿って切り取った成形ステーションの断面図である。
【0026】
図6は、カバー部材を図示せずに、帯状シートの平面に対して直交する平面に沿って切り取った仕上げステーションの断面図(
図6a)、および帯状シートの平面に対して平行な平面に沿って切り取った仕上げステーションの断面図(
図6b)である。
【0027】
添付の各図面では、対応する部材には同じ部材番号が付されている。
【0028】
図1は、本発明に係る、四角形の管32の成形装置31を示す上面図(
図1a)および側面図(
図1b)である。装置31は、順に、帯状シート34の成形ステーション33(帯状シート34は装置31に矢印E方向に入る)と、少なくとも1つの仕上げステーション35と、少なくとも1つの溶接ステーション(それ自体は周知であり、
図1〜4では省略している)とを有する。溶接ステーションから管32が矢印U方向に出ていく。
【0029】
図1〜4に示した実施形態では、装置31は、5つの成形ステーション33と、3つの仕上げステーション35とを有する。しかし、ある具体的な装置31の具体的な用途を満たすように成形ステーション33および仕上げステーション35の数を変更しても本発明の範囲から逸脱しない。
【0030】
図2〜
図5を参照して成形装置33を説明する。そして、
図2〜
図4および
図6を参照して仕上げステーション35を説明する。
【0031】
図2および3は、
図1の装置の成形ロール1〜22のカバー部材、担持手段、および/または、移動手段を図示せずに、成形ロール1〜22および成形中の四角形の管32のみを示した斜視側面図(
図2)、上面図(
図3a)、側面図(
図3b)である。
【0032】
図2および
図3からわかるように、各成形ステーション33は、互いに対向する2対の成形ロール(1,2;3,4;5,6;7,8;9,10)を有する。当該ロールは、帯状シート34の両端を同時に変形させる。したがって、本発明に係る装置31は、各成形ステーションが帯状シートの一端(左端または右端のどちらか)のみを曲げる1対の成形ロールを有する従来の装置よりも、小型で廉価である。
【0033】
図4の断面図を見ればよくわかるように、各成形ステーション33では、成形ロール(1,2;3,4;5,6;7,8;9,10)の各対における下方ロール(2,4,6,8,10)は、それぞれの回転軸45(
図5)が互いに一列に並び、かつ帯状シート34の平面に対して平行になるように配置されている。各仕上げステーション35では、成形中の四角形の管32の下に配置された成形ロール(12,16,20)の回転軸が帯状シート34の平面、および成形中の四角形の管32の上に配置された成形ロール(13,14;17,18;21,22)の回転軸に対して平行である。一方、成形中の四角形の管32の両側に配置された各対の成形ロール(11;15;19)の回転軸は、互いに平行であり、帯状シート34の平面に対して直交している。
【0034】
本出願人は、成形ロールの回転軸の上記配置が、四角形の管を成形する装置を極めて小型にでき、有効であることを実験より実証した。
【0035】
図2および
図3に図示されている、四角形の管32を得るための帯状シート34の段階的な変形を
図4により詳細に図示する。
図4は、成形ロール1〜22、成形ステーション33(
図4a〜
図4e)にて進行的に変形される帯状シート34、および、仕上げステーション35における成形中の四角形の管32(
図4f〜
図4h)の断面を概略的に示している。
【0036】
図5は、カバー部材を図示せずに、帯状シート34の平面に対して直交する平面に沿って切り取った成形ステーション33の断面である。
【0037】
図5に示された実施形態では、成形ステーション33は、成形ロール対1および2を有するが、以下の説明を装置31に属する他の成形ステーションに適用してもよい。
【0038】
成形ステーション33は、水平ガイド上を摺動する2つの段部44と、2対の成形ロール(1,2)間の距離を帯状シート34の幅に合わせて調整するために、2対の成形ロール(1,2)を互いに反対方向に水平移動させるために好適な手段46と、下方ロール2と上方ロール1との距離を帯状シート34の厚さに合わせて調整するために、2対の成形ロール(1,2)を縦方向に移動させるのに好適な手段47と、上方ロール1間の距離および段部44間の距離を帯状シート34の厚さに合わせて調整するために、成形ロール対(1,2)の上方ロール1を水平移動させるのに好適な手段48とを有する。段部44の各々は、水平軸45に担持される成形ロール対(1,2)を担持している。
【0039】
上方ロール1を担持する水平軸45は、段部44に形成された開口部を介して摺動し、2つの下方ロール2を担持する水平軸45は固定されている。
【0040】
帯状シート34の厚さのばらつきを補正するため、一方の上方ロール1の垂直移動および/または水平移動は、他方の上方ロール1の垂直移動および/または水平移動とは異なる移動量で移動する(または可動である)。
【0041】
図5に示された実施形態では、手段46は、電動ウォームねじ(endless screw)46’からなる。電動ウォームねじ46’は、段部44と一体化した固定ナットねじに係合する。当該ナットねじは、図面の簡素化のために
図5には図示していない。手段47は、段部44と一体化した垂直ガイド上を摺動するスライドからなる。該スライドは、例えば電動ウォームねじ群によって駆動される。手段47は、一方の上方ロール1の上記軸45を担持する。
【0042】
上述した方法は単なる例示であり、限定を意図するものではない。当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、上述した方法以外の他の周知の方法を用いて成形ロール1および2を移動させる手段46、47および48や、段部44を形成することができる。
【0043】
図6はカバー部材を図示せずに仕上げステーション35の概略を示す断面図であり、
図6aは帯状シートの平面に対して直交する平面に沿って切り取った仕上げステーション35の断面図で、
図6bはおよび帯状シートの平面に対して平行な平面に沿って切り取った仕上げステーション35の断面図である。
【0044】
図6に示された実施形態では、仕上げステーション35は、成形中の四角形の管32の下方に配置された成形ロール12と、成形中の四角形の管32の両側に配置された成形ロール11と、成形中の四角形の管32の上方に配置された成形ロール13および14とを有する。以下に説明する事項は、装置31に搭載されている他の仕上げステーション35にも共通する。
【0045】
仕上げステーション35は、成形中の四角形の管32の下方に配置された成形ロール12を担持する段部49と、成形中の四角形の管32の両側に配置された成形ロール11を水平移動させるのに好適な手段50と、成形中の四角形の管32の上方に配置された成形ロール(13,14)を垂直移動させるのに好適な手段51とを有する。
【0046】
帯状シート34の厚さのばらつきを補正するため、四角形の管32の両側に配置された一方の成形ロール11は、他方の側に配置された成形ロール11の水平移動とは異なる移動量で水平移動する(または可動である)。成形中の四角形の管32の上方に配置された成形ロール13は、成形中の四角形の管32の上方に配置された他方の成形ロール14の垂直移動とは異なる移動量で垂直移動する(または可動である)。
【0047】
図6に示した実施形態では、手段50は、段部49に統合された水平ガイド上を摺動しジャックによって移動するスライドと、段部49に統合された垂直ガイド上を摺動し、ジャックによって移動するスライドとからなる。しかし、上述した方法は、単なる例示であり、限定を意図するものではない。当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、上述した方法ではない他の周知の方法を用いて段部49ならびに手段50および51を形成することができる。
【0048】
本発明の範囲から逸脱することなく、当業者は、四角形の管を成形するための線形物形状可変装置に対して、当該技術における通常の経験および/または通常の技術進歩によって示唆される変更および改良の全てを適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1a】本発明に係る四角形の管を成形する装置の上面図である。
【
図1b】本発明に係る四角形の管を成形する装置の側面図である。
【
図2】
図1の装置の成形ロールのカバー部材および担持手段を図示せずに、成形ロールおよび成形中の四角形の管のみを示した斜視側面図である。
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図3a】
図1の装置の成形ロールのカバー部材および担持手段を図示せずに、成形ロールおよび成形中の四角形の管のみを示した上面図である。
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図3b】
図1の装置の成形ロールのカバー部材および担持手段を図示せずに、成形ロールおよび成形中の四角形の管のみを示した側面図である。
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図4】成形ロールと、各成形ステーションおよび仕上げステーションにおいて成形中の四角形の管の断面を概略的に示す。
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図5】カバー部材を図示せずに、帯状シートの平面に対して直交する平面に沿って切り取った成形ステーションの断面図である。
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図6a】カバー部材を図示せずに、帯状シートの平面に対して直交する平面に沿って切り取った仕上げステーションの断面図である、および帯状シートの平面に対して平行な平面に沿って切り取った仕上げステーションの断面図(
図6b)である。
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図6b】カバー部材を図示せずに、帯状シートの平面に対して平行な平面に沿って切り取った仕上げステーションの断面図である。