特許第5718595号(P5718595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5718595
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】レーザー光を用いた接合方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/16 20060101AFI20150423BHJP
   B23K 26/32 20140101ALI20150423BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20150423BHJP
   B23K 26/18 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   B29C65/16
   B23K26/32
   B23K26/21 J
   B23K26/18
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-173871(P2010-173871)
(22)【出願日】2010年8月2日
(65)【公開番号】特開2012-30559(P2012-30559A)
(43)【公開日】2012年2月16日
【審査請求日】2013年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】591000506
【氏名又は名称】早川ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077931
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100110939
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100110940
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋田 高久
(74)【代理人】
【識別番号】100113262
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 祐二
(74)【代理人】
【識別番号】100115059
【弁理士】
【氏名又は名称】今江 克実
(74)【代理人】
【識別番号】100117581
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 克也
(74)【代理人】
【識別番号】100117710
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智雄
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100124671
【弁理士】
【氏名又は名称】関 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100131060
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 靖也
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100131901
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 雅典
(74)【代理人】
【識別番号】100132012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩下 嗣也
(74)【代理人】
【識別番号】100141276
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 康二
(74)【代理人】
【識別番号】100143409
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100157093
【弁理士】
【氏名又は名称】間脇 八蔵
(74)【代理人】
【識別番号】100163186
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 裕吉
(74)【代理人】
【識別番号】100163197
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100163588
【弁理士】
【氏名又は名称】岡澤 祥平
(72)【発明者】
【氏名】山田 功作
(72)【発明者】
【氏名】村上 博文
(72)【発明者】
【氏名】藤田 和也
【審査官】 阿川 寛樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−305985(JP,A)
【文献】 特表2009−532236(JP,A)
【文献】 特開2009−083406(JP,A)
【文献】 特開2010−162832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/00− 65/82
B23K 26/18− 26/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー光を透過する樹脂製の第1管部材と、該第1管部材に挿入される樹脂製の第2管部材とを用意し、上記第2管部材における上記第1管部材に挿入される部分の外周面に形成された段部に、レーザー光を吸収するエラストマーからなるレーザー光接合用中間部材を嵌め、その後、上記第1管部材に上記第2管部材を挿入して、上記第1管部材の内周面と上記第2管部材の外周面との間に上記中間部材を配置し、上記第1管部材の内周面と上記第2管部材の外周面とで上記中間部材を所定量圧縮する接合準備工程と、
上記接合準備工程の後、上記第1管部材の外側からレーザー光を照射して上記中間部材を加熱することによって上記第1及び第2管部材を上記中間部材を介して接合する接合工程とを備えていることを特徴とするレーザー光を用いた接合方法。
【請求項2】
請求項に記載のレーザー光を用いた接合方法において、
接合準備工程では、滑り性が付与された中間部材を第1管部材の内周面と第2管部材の外周面との間に配置することを特徴とするレーザー光を用いた接合方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のレーザー光を用いた接合方法において、
接合準備工程では、第2管部材の外周面に沿って環状に延びる帯型の中間部材を、第1管部材の内周面と第2管部材の外周面との間に配置することを特徴とするレーザー光を用いた接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管部材同士をレーザー光を用いて接合する接合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹脂製の管部材同士をレーザー光を用いて接合することが行われている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の接合方法では、レーザー光を吸収するレーザー光吸収性を有する樹脂製の中間部材を使用している。具体的には、一方の管部材の端面と他方の管部材の端面との間に上記中間部材を配置し、この中間部材を両管部材の端面で挟持しておき、その後、レーザー光を管部材の外側から中間部材へ向かって照射する。すると、中間部材がレーザー光を吸収して溶融し、これにより、両管部材が接合されるとともに、接合後には両管部材の間がシールされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−90629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の接合方法では、管部材の端面同士を接合しているので、接合面積は、管部材の肉厚に相当する面積しか確保できない。接合面積の大小は、接合強度の強弱に影響するので、できるだけ広く確保したい。そこで、管部材の端部に径方向へ延出するフランジを設けて接合面積の拡大を図ることが考えられるが、このようにした場合には、管部材を使用する実際の現場においてフランジが邪魔になることがある。
【0005】
また、特許文献1の接合方法では、中間部材を両管部材の端面で挟持しているが、接合前においては、両管部材の端面が中間部材に突き当てられているだけなので、両管部材が不安定であり、そのため、中間部材が接合までの間に管部材に対して位置ずれを起こすことが考えられる。中間部材が位置ずれを起こすと、管部材の接合強度が得られなくなったり、両管部材の間のシール性を確保できなくなる。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、中間部材を介して管部材同士を接合する場合に、フランジ等を設けることなく、広い接合面積で接合できるようにするとともに、接合までの間に中間部材の位置ずれを抑制できるようにし、これによって、高い接合強度を得るとともに、シール性を確保できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、第1管部材の端部の内側に第2管部材の端部を挿入し、中間部材を第1管部材の内周面と第2管部材の外周面との間に配置するようにした。
【0008】
第1の発明は、レーザー光を透過する樹脂製の第1管部材と、該第1管部材に挿入される樹脂製の第2管部材とを用意し、上記第2管部材における上記第1管部材に挿入される部分の外周面に形成された段部に、レーザー光を吸収するエラストマーからなるレーザー光接合用中間部材を嵌め、その後、上記第1管部材に上記第2管部材を挿入して、上記第1管部材の内周面と上記第2管部材の外周面との間に上記中間部材を配置し、上記第1管部材の内周面と上記第2管部材の外周面とで上記中間部材を所定量圧縮する接合準備工程と、上記接合準備工程の後、上記第1管部材の外側からレーザー光を照射して上記中間部材を加熱することによって上記第1及び第2管部材を上記中間部材を介して接合する接合工程とを備えていることを特徴とするものである。
【0009】
この構成によれば、第1管部材の内側に第2管部材が挿入され、これら管部材の間に中間部材が介在することになるので、フランジを設けなくても、第2管部材の挿入深さを深くすることによって接合面積の拡大が可能になる。
【0010】
また、第1管部材の内側に第2管部材が挿入されているので、従来のように管部材の端面を突き合わせただけの場合に比べて、両管部材が接合前において安定する。そして、これら管部材の間に中間部材が配置されることで、中間部材の位置ずれが抑制される。
【0011】
また、第2管部材の段部に中間部材を嵌めることで、第1管部材に第2管部材を挿入する際に中間部材の中心線方向の位置ずれが起こりにくくなる。
【0012】
また、中間部材が圧縮されることにより、第1管部材の内周面及び第2管部材の外周面に密着するようになる。
【0013】
の発明は、第の発明において、接合準備工程では、滑り性が付与された中間部材を第1管部材の内周面と第2管部材の外周面との間に配置することを特徴とするものである。
【0014】
この構成によれば、中間部材を第1管部材と第2管部材との間に配置する際に中間部材が第1管部材や第2管部材に対し滑りやすくなる。これにより、中間部材に無理な力がかかりにくくなる。
【0015】
の発明は、第1または2の発明において、接合準備工程では、第2管部材の外周面に沿って環状に延びる帯型の中間部材を、第1管部材の内周面と第2管部材の外周面との間に配置することを特徴とするものである。
【0016】
この構成によれば、中間部材が第1管部材と第2管部材の間の広い範囲に存在することになる。これにより、第1管部材と第2管部材との接合面積がより一層広くなる。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明によれば、第1管部材の内側に第2管部材を挿入するとともに、第1管部材の内周面と第2管部材の外周面との間にレーザー光を吸収する中間部材を配置し、その後、第1管部材の外側からレーザー光を照射して中間部材を加熱するようにしたので、両管部材の接合面積を拡大できるとともに、中間部材の位置ずれを抑制できる。これにより、第1及び第2管部材の接合強度及びシール性を高めることができる。
【0018】
また、中間部材を第2管部材の段部に嵌めた後、第1管部材に第2管部材を挿入するようにしたので、中間部材の中心線方向の位置ずれを抑制でき、接合強度及びシール性をより一層高めることができる。
【0019】
また、第1管部材の内周面と第2管部材の外周面とで中間部材を所定量圧縮するようにしたので、中間部材を第1管部材の内周面及び第2管部材の外周面に密着させることができる。これにより、接合不良の発生を抑制できる。
【0020】
の発明によれば、滑り性が付与された中間部材を第1管部材の内周面と第2管部材の外周面との間に配置するようにしたので、第2管部材の挿入時に中間部材に無理な力がかかりにくくなり、中間部材の損傷を抑制できるとともに、所定位置に確実に配置することができる。
【0021】
の発明によれば、第2管部材の外周面に沿って環状に延びる帯型の中間部材を、第1管部材の内周面と第2管部材の外周面との間に配置するようにしたので、接合面積がより一層広くなり、これにより、接合強度及びシール性をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態にかかる接合品の斜視図である。
図2】接合品の断面図である。
図3】接合品の分解斜視図である。
図4】第2管部材を第1管部材に挿入する前の状態を示す図2相当図である。
図5参考例にかかる図2相当図である。
図6参考例にかかる図4相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0024】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態にかかるレーザー光を用いた接合方法によって接合された接合品1を示すものである。接合品1は、第1管部材10と、第1管部材10よりも小径の第2管部材20とが、中間部材30により接合されてなるものである。接合時には、詳細は後述するが、レーザー光を中間部材30に照射して加熱し、溶融状態にした後、冷却して固化させる。この接合品1は、例えば、流体が流れる配管等として用いられるものである。
【0025】
第1管部材10は、レーザー光を通すレーザー光透過性を有する樹脂材料で構成された円管部材である。レーザー光透過性とは、加熱源としてのレーザー光を殆ど反射も吸収もせずに透過させるか、レーザー光を一部透過及び/又は反射しても溶融することなく、残りのレーザー光を透過させることのできる性質をいい、レーザー光の全てを透過させるものも含む。第1管部材10を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリブデン、塩化ビニル等が挙げられる。
【0026】
第2管部材20は、レーザー光を通すレーザー光透過性を有する材料やレーザー光を通さないレーザー光非透過性を有する材料で構成された円管部材である。レーザー光非透過性とは、レーザー光を吸収するレーザー光吸収性のことであり、加熱源としてのレーザー光を一部透過及び/又は反射しても残りを吸収する性質をいい、レーザー光の全てを吸収するものも含む。第2管部材20を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリブデン、塩化ビニル等が挙げられる。
【0027】
また、図2に示すように、第2管部材20の外径は、第2管部材20を第1管部材10へ挿入可能となるように、第1管部材10の内径よりも若干小さく設定されている。
【0028】
さらに、図3に示すように、第2管部材20における第1管部材10との接合側の外周面には、段部21が形成されている。第2管部材20の段部21が形成された領域は、第2管部材20の接合側の端面から中心線方向の反対側へ所定距離A(図4参照)だけ離れた部分までの領域である。このAの寸法としては、例えば1mm以上50mm以下が好ましい。段部21の深さB(図4参照)は、例えば100μm以上1000μm以下に設定されている。
【0029】
中間部材30は、段部21に嵌るように形成され、第2管部材の外周面に沿って環状に延びる帯型をなしている。中間部材30の厚み寸法は、段部21の深さBよりも若干長めに設定されている。また、中間部材30の幅は、寸法Aと略同じに設定されている。
【0030】
また、中間部材30の内径は、第2管部材20の段部21が形成された部分の外径よりも小さめに設定されている。従って、中間部材30を段部21に嵌めた際に中間部材30が段部21から脱落しにくくなる。
【0031】
中間部材30は、レーザー光で加熱された際に溶融するホットメルト材で構成されており、常温付近でゴム弾性を示す高分子物質(エラストマー)及びそのアロイであり、熱可塑性を有するものである。
【0032】
また、中間部材30の外周面及び内周面には、滑り性が付与されている。中間部材30の外周面の滑り性とは、中間部材30の外周面を第1管部材10の内周面に接触させた状態で中心線方向に移動させる際に、中間部材30に無理な変形や破断等が生じないように、中間部材30の外周面を第1管部材10の内周面に対し滑らせて移動可能な性質のことである。また、中間部材30の内周面の滑り性とは、中間部材30の内周面を第2管部材20の外周面に接触させた状態で中心線方向に移動させる際に、中間部材30に無理な変形や破断等が生じないように、中間部材30の内周面を第2管部材20の外周面に対し滑らせて移動可能な性質のことである。
【0033】
上記滑り性は、中間部材30を構成する樹脂が持っている性質を利用して得ることができ、その場合、樹脂の種類としては、例えば、スチレン系、ポリエステル系、ウレタン系、アクリル系のエラストマー等やそのアロイが好ましい。また、中間部材30に滑り性を付与する方法としては、中間部材30の外周面や内周面に、滑り性を向上させるためのコーティングを施したり、滑り性を向上させるための物質を塗布するようにしてもよい。コーティングとしては、ロールコート、ディッピング、スポンジ塗布、はけ塗り等で行うのが好ましく、また、塗布する物質としては、管部材10,20同士の接合を阻害しない粘着性の低いエラストマーや一般のポリマーを挙げることができ、それらに更に滑性を与える着色顔料、体質顔料や樹脂粒子を混合することができる。
【0034】
中間部材30の滑り性の具体的な値としては、静摩擦係数が0.5以下であることが好ましい。静摩擦係数が0.5よりも大きいと、中間部材30の外周面を第1管部材10の内周面に接触させた状態で中心線方向に移動させる際に破断等が生じ易くなる。尚、中間部材30の静摩擦係数は、新東科学株式会社製のStatic Friction Tester HEIDON-10を用いて測定した値である。
【0035】
また、中間部材30は、弾性を有している。弾性率としては、例えば、20℃の貯蔵弾性率を0.05〜500MPaの範囲に設定するのが好ましい。中間部材30が弾性を有することで、中間部材30を第1管部材10と第2管部材20との間にセットする際に弾性変形させながらセットすることが可能になり、作業性が向上する。また、中間部材30が弾性を有することで、第1管部材10と第2管部材20との間に中間部材30を配置して圧縮したとき、中間部材30が反発して第1管部材10及び第2管部材20に密着するようになる。
【0036】
次に、上記接合品1を製造する要領について説明する。まず、図4に示すように、第2管部材20の段部21に中間部材30を嵌める。このとき、中間部材30が弾性を有しているので、中間部材30を拡げるようにすることができ、簡単に嵌めることができる。また、中間部材30の内周面に滑り性が付与されているので、中間部材30を滑らせながら段部21に嵌めることができ、このことで中間部材30を嵌める際の作業性が向上するとともに、中間部材30が途中に破断したりすることもない。また、中間部材30は段部21が形成された部分の外径よりも小径であるため、中間部材30が段部21から脱落しにくい。
【0037】
その後、第2管部材20の段部21を第1管部材10に挿入する。このとき、中間部材30の外周面に滑り性が付与されているので、中間部材30を第1管部材10の内周面に滑らせながら挿入することができ、このことで第2管部材20を第1管部材30に挿入する作業性が向上するとともに、中間部材30が途中に破断したりすることもない。
【0038】
そして、第2管部材20の段部21が第1管部材10に挿入されると、中間部材30が第1管部材10の内周面と第2管部材20の外周面とで厚み方向に圧縮される。中間部材30は弾性を持っているので、圧縮力によって薄くなるように弾性変形する。この変形後の中間部材30の厚みは、例えば、変形前の厚み(もとの厚み)の90%以下となるようにするのが好ましく、この変形量は、中間部材30の厚み、第1管部材10の内径、第2管部材20の外径等によって任意に設定することができる。
【0039】
中間部材30をもとの厚みの90%以下となるように圧縮することで、中間部材30の内周面が段部21の外周面の略全周に亘って密着し、中間部材30の外周面が第1管部材10の内周面の略全周に亘って密着する。
【0040】
しかる後、図1に示すように、第1管部材10の外側から中間部材30に向かってレーザー光Lを照射する。レーザー光Lの種類としては、例えば、ガスレーザー、固体レーザー、半導体レーザー等のいずれでもよく、レーザー光Lの種類は限定されない。レーザー光Lの種類は、基材2及び透光部材3の材料や、透光部材3の厚さ、意匠層4の溶融又は分解温度、透光部材3のレーザー光透過度合い等に応じて適宜選択できる。また、レーザー光Lは、1つの波長からなるものであってもよいし、2つ以上の波長を有するものであってもよい。
【0041】
レーザー光Lを照射する際には、レーザー照射装置(図示せず)の照射口側は固定しておき、第1管部材10及び第2管部材20をその中心線周りに回転させる。
【0042】
第1管部材30に照射されたレーザー光Lは、第1管部材10を透過し、中間部材30に達する。このとき、第1管部材10及び第2管部材20を回転させているので、レーザー光が中間部材30の周方向に全体に亘ってムラ無く当たることになる。レーザー光Lは中間部材30に吸収され、これにより、中間部材30が加熱されて溶融する。中間部材30の発熱によって第1管部材10の内周面が加熱されて溶融し、中間部材30を構成する樹脂と混ざり、また、第2管部材20の段部21の外周面が加熱されて溶融し、中間部材30を構成する樹脂と混ざる。
【0043】
そして、レーザー光Lの照射を停止して放置すると、溶融状態にあった樹脂が固化し、ホットメルト接着または溶融接着で第1管部材10と第2管部材20とが中間部材30を介して接合される。中間部材30が圧縮状態であったため、固化しても中間部材30と第1管部材10との間、及び中間部材30と第2管部材20との間に隙間が形成されてしまうことはなく、接合状態では、第1管部材10と第2管部材20との間が中間部材30により全周に亘って確実にシールされる。
【0044】
したがって、この実施形態によれば、第1管部材10の内側に第2管部材20を挿入し、これら管部材10,20の間に帯型の中間部材30を介在させて接合するようにしたので、管部材10,20にフランジを設けなくても、第1管部材10及び第2管部材20の接合面積を拡大できる。
【0045】
また、第1管部材10の内側に第2管部材20が挿入されているので、従来のように管部材の端面を突き合わせただけの場合に比べて、両管部材10,20が接合前において安定する。そして、これら第1及び第2管部材10,20の間に中間部材30が配置されることで、中間部材30の位置ずれが抑制される。
【0046】
以上説明したように、第1管部材10の内側に第2管部材20を挿入するとともに、第1管部材10の内周面と第2管部材20の外周面との間にレーザー光Lを吸収する中間部材30を配置し、この中間部材30をレーザー光Lにより加熱するようにしている。これにより、両管部材10,20の接合面積を拡大できるとともに、中間部材30の位置ずれを抑制でき、第1及び第2管部材10,20の接合強度及びシール性を高めることができる。
【0047】
また、中間部材30を第2管部材20の段部21に嵌めた後、第1管部材10に挿入するようにしたので、中間部材30の中心線方向の位置ずれが起こらず、接合強度及びシール性をより一層高めることができる。
【0048】
また、第1管部材10の内周面と第2管部材20の外周面とで中間部材30を所定量圧縮するようにしたので、中間部材30を第1管部材10の内周面及び第2管部材20の外周面に密着させることができる。これにより、接合不良の発生を抑制できる。
【0049】
また、滑り性が付与された中間部材30を第1管部材10の内周面と第2管部材20の外周面との間に配置するようにしたので、第2管部材20を挿入する際、中間部材30に無理な力がかかりにくくなり、中間部材30の損傷を抑制できるとともに、所定位置に確実に配置することができる。
【0050】
また、中間部材30が環状をなしており、それを回転させながらレーザー光Lを照射するようにしたので、第1管部材10及び第2管部材20の接合部分を略均一に加熱することが可能になる。よって、加熱ムラが少なくなる。
【0051】
参考例
図5及び図6は、本発明の参考例にかかる接合品1を示すものである。この参考例の接合品1は、実施形態のものに対し第2管部材20の形状が異なっている。以下、実施形態と異なる部分について詳細に説明する。
【0052】
すなわち、参考例では、第2管部材20における第1管部材10との接合側の外周面に段部を形成せず、テーパー面22を設けている。テーパー面22は、第2管部材20の接合側の端部に近づくほど小径となるように形成されている。
【0053】
中間部材30の内径は、第2管部材20におけるテーパー面22が形成された部分の外径よりも小さめに設定されている。
【0054】
次に、上記接合品1を製造する要領について説明する。まず、第2管部材20のテーパー面22に中間部材30を嵌める。このとき、中間部材30が弾性を有しているので、中間部材30を拡げるようにすることができ、簡単に嵌めることができる。また、中間部材30の内周面に滑り性が付与されているので、中間部材30を滑らせながらテーパー面22に嵌めることができる。また、中間部材30はテーパー面22が形成された部分の外径よりも小径であるため、中間部材30がテーパー面22から脱落しにくい。
【0055】
その後、第2管部材20のテーパー面22を第1管部材10に挿入する。このとき、中間部材30の外周面に滑り性が付与されているので、中間部材30を第1管部材10の内周面に滑らせながら挿入することができる。
【0056】
そして、第2管部材20の段部21が第1管部材10に挿入されると、中間部材30が第1管部材10の内周面と第2管部材20の外周面とで厚み方向に圧縮される。中間部材30は弾性を持っているので、圧縮力によって薄くなるように弾性変形し、中間部材30の内周面がテーパー面22の外周面の略全周に亘って密着し、中間部材30の外周面が第1管部材10の内周面の略全周に亘って密着する。
【0057】
その後、実施形態と同様に、レーザー光Lを照射する。これにより、第1管部材10と第2管部材20とが接合される。
【0058】
したがって、この参考例によれば、実施形態と同様に、第1及び第2管部材10,20の接合強度及びシール性を高めることができる。
【0059】
尚、第2管部材20には、段部21やテーパー面22を設けなくてもよい。
【0060】
また、図示しないが、第1管部材10における第2管部材20との接合側の内周面にテーパー面を設けてもよい。このテーパー面は、第1管部材20の接合側の端部に近づくほど大径となるように形成する。
【0061】
また、中間部材30は、上記のように溶融させてもよいが、溶融させずに軟化させるだけであってもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、第1管部材10と第2管部材20とを溶着する際、両管部材10,20を回転させながらレーザー光Lを照射している。この場合、レーザー光Lを、単一の軌跡上に1回だけ照射するようにしてもよいし、単一の軌跡上に複数回照射するようにしてもよいし、複数本の軌跡を描くように照射してもよい。レーザー光Lを複数本の軌跡を描くように照射する場合、軌跡がその一部において重なるように照射してもよいし、軌跡が全く重ならないように間隔をあけて照射してもよい。軌跡をその一部において重なるように複数回照射すれば、レーザー光Lのトータルの照射面積が広くなり、有効な接合面積を広くできるという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上説明したように、本発明にかかるレーザー光を用いた接合方法によれば、例えば、配水管等を接合することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 接合品
10 第1管部材
20 第2管部材
21 段部
22 テーパー面
30 中間部材
L レーザー光
図1
図2
図3
図4
図5
図6