(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、いずれの特許文献1,2に記載の技術でも、エンジンが停止している状態から油圧動作器を動作させるためには、複数の操作が必要である上に、油圧動作器が動作し始めるまでに時間がかかってしまう、という問題点がある。
【0008】
そこで、本発明は、このような従来の問題点に着目し、原動機がアイドリングストップしている状態から、少ない操作で且つ短時間で油圧動作器を動作させることができる車両、及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記問題点を解決するための発明に係る車両は、
油圧で動作する油圧動作器と、該油圧動作器の動作を指示するための操作端と、該油圧動作器に油圧を加える油圧源と、該油圧源を駆動すると共に走行駆動力を提供する原動機と、を備えている車両において、
前記原動機が駆動している際に、予め定められたアイドルストップ条件を満たしたか否かを判断し、該アイドルストップ条件を満たしたと判断すると、前記原動機をアイドリングストップさせ、該原動機がアイドリングストップしている際に、前記操作端の操作による前記油圧動作器に対する動作指令のみの受け付けで、該原動機を始動させると共に、該油圧動作器の前記油圧源をオンロード状態にする制御器を有し、
前記油圧動作器には、該油圧動作器に油圧を加える複数の前記油圧源と、複数の該油圧源のいずれもがアンロード状態になる際に、該油圧動作器にかかる油圧を維持する油圧維持器と、該油圧動作器にかかる油圧を検知する油圧検知器と、が設けられ、前記制御器は、前記原動機がアイドリングストップしている際に、前記油圧動作器に対する動作指令を受け付けると、該原動機を始動させると共に、前記油圧維持器により維持されている前記油圧動作器にかかる油圧を前記油圧検知器より取得し、該油圧の大きさに応じた数量分の前記油圧源を前記オンロード状態にする、ことを特徴とする。
【0010】
当該車両では、アイドリングストップ状態の際に、操作端を操作するだけで、原動機が始動し、この原動機の始動に伴い油圧源が駆動し始める。さらに、この油圧源がオンロード状態になり、油圧動作器が動作する。よって、当該車両では、アイドリングストップ状態であっても、一の操作のみで短時間のうちに油圧動作器を動作させることができる。
【0011】
ここで、前記車両において、前記制御器は、前記原動機がアイドリングストップしている際に、前記油圧動作器に対する動作指令を受け付けると、該原動機を始動させると共に、該原動機が予め定められているアイドリング回転数域に達する前に、該油圧動作器の前記油圧源をオンロード状態にしてもよい。
【0012】
当該車両では、原動機の回転数が高くなる前に、油圧動作器を動作させることができる。
【0014】
当該車両では、油圧動作器に対して複数の油圧源が設けられている場合、この油圧動作器にかかる油圧の大きさに応じた数量分の油圧源がオンロード状態になるため、原動機の始動時における原動機の負荷が軽減され、確実に原動機を始動させることができる。
【0015】
また、前記車両において、複数の前記油圧動作器と、複数の該油圧動作器毎の前記操作端と、複数の該油圧動作器毎の前記油圧源と、を備え、前記制御器は、前記原動機がアイドリングストップしている際に、複数の前記油圧動作器のうち、二以上の油圧動作器に対する動作指令を、前記原動機が始動するまでに受けると、先に受けた動作指令に基づいて該原動機を始動させると共に、予め定められた優先順位を参照して、該二以上の油圧動作器のうちで優先順位が最も高い油圧動作器を定め、該油圧動作器の前記油圧源のみを前記オンロード状態にしてもよい。
【0016】
当該車両では、アイドリングストップしている際に、複数の動作指令を受け付けても、優先順位の高い一の油圧動作器の油圧源のみがオンロード状態になるので、原動機の始動時における原動機の負荷が軽減され、確実に原動機を始動させることができる。
【0017】
前記問題点を解決するための発明に係る他の車両は、
油圧で動作する油圧動作器と、該油圧動作器の動作を指示するための操作端と、該油圧動作器に油圧を加える油圧源と、該油圧源を駆動すると共に走行駆動力を提供する原動機と、を備えている車両において、
前記原動機が駆動している際に、予め定められたアイドルストップ条件を満たしたか否かを判断し、該アイドルストップ条件を満たしたと判断すると、前記原動機をアイドリングストップさせ、該原動機がアイドリングストップしている際に、前記操作端の操作による前記油圧動作器に対する動作指令のみの受け付けで、該原動機を始動させると共に、該油圧動作器の前記油圧源をオンロード状態にする制御器と、複数の前記油圧動作器と、複数の該油圧動作器毎の前記操作端と、複数の該油圧動作器毎の前記油圧源と、を備え、
複数の前記油圧動作器のうち、少なくとも一の油圧動作器には、該一の油圧動作器が前記オンロード状態からアンロード状態に移行する際に、該一の油圧動作器にかかる油圧を維持する油圧維持器と、該一の油圧動作器にかかる油圧を検知する油圧検知器とが設けられ、
前記制御器は、前記原動機がアイドリングストップしている際に、複数の前記油圧動作器のうち、前記一の油圧動作器を含む二つの油圧動作器に対する動作指令を、前記原動機が始動するまでに受けると、先に受けた動作指令に基づいて該原動機を始動させると共に、前記油圧維持器により維持されている前記一の油圧動作器にかかる油圧を前記油圧検知器より取得し、該油圧の大きさに応じて、該二つの油圧動作器のうち、いずれか一方の油圧動作器の前記油圧源のみを前記オンロード状態に
する、ことを特徴とする。
【0018】
当該車両では、アイドリングストップしている際に、複数の動作指令を受け付けても、一の油圧動作器の油圧源のみがオンロード状態になるので、原動機の始動時における原動機の負荷が軽減され、確実に原動機を始動させることができる。
【0019】
前記問題点を解決するための発明に係る車両の制御方法は、
油圧で動作する油圧動作器と、該油圧動作器の動作を指示するための操作端と、該油圧動作器に油圧を加える油圧源と、該油圧源を駆動すると共に走行駆動力を提供する原動機と、を備えている車両の制御方法において、
前記油圧動作器には、該油圧動作器に油圧を加える複数の前記油圧源と、複数の該油圧源のいずれもがアンロード状態になる際に、該油圧動作器にかかる油圧を維持する油圧維持器と、が設けられており、
前記原動機が駆動している際に、予め定められたアイドルストップ条件を満たしたか否かを判断し、該アイドルストップ条件を満たしたと判断すると、前記原動機をアイドリングストップさせるアイドリングストップ工程と、前記原動機がアイドリングストップしている際に、前記操作端の操作による前記油圧動作器に対する動作指令のみの受け付けで、該原動機を始動させると共に、該油圧動作器の前記油圧源をオンロード状態にするアイドリングストップ解除工程と、
前記油圧維持器により維持されている前記油圧動作器にかかる油圧を検知する油圧検知工程と、を実行
し、前記アイドリングストップ解除工程では、前記原動機がアイドリングストップしている際に、前記油圧動作器に対する動作指令を受け付けると、該原動機を始動させると共に、前記油圧検知工程で検知された前記油圧動作器にかかる油圧の大きさに応じた数量分の前記油圧源を前記オンロード状態にする、ことを特徴とする。
【0020】
当該制御方法では、アイドリングストップ状態の際に、操作端を操作するだけで、原動機が始動し、この原動機の始動に伴い油圧源が駆動し始める。さらに、この油圧源がオンロード状態になり、油圧動作器が動作する。よって、当該制御方法では、アイドリングストップ状態であっても、一の操作のみで短時間のうちに油圧動作器を動作させることができる。
【0021】
ここで、前記車両の制御方法において、前記アイドリングストップ解除工程では、前記原動機がアイドリングストップしている際に、前記油圧動作器に対する動作指令を受け付けると、該原動機を始動させると共に、該原動機が予め定められているアイドリング回転数域に達する前に、該油圧動作器の前記油圧源をオンロード状態にしてもよい。
【0022】
当該制御方法では、原動機の回転数が高くなる前に、油圧動作器を動作させることができる。
前記問題点を解決するための発明に係る他の車両の制御方法は、
油圧で動作する油圧動作器と、該油圧動作器の動作を指示するための操作端と、該油圧動作器に油圧を加える油圧源と、該油圧源を駆動すると共に走行駆動力を提供する原動機と、を備えている車両の制御方法において、
前記車両は、複数の前記油圧動作器と、複数の該油圧動作器毎の前記操作端と、複数の該油圧動作器毎の前記油圧源と、を備えており、複数の前記油圧動作器のうち、少なくとも一の油圧動作器には、該一の油圧動作器が前記オンロード状態からアンロード状態に移行する際に、該一の油圧動作器にかかる油圧を維持する油圧維持器が設けられており、
前記原動機が駆動している際に、予め定められたアイドルストップ条件を満たしたか否かを判断し、該アイドルストップ条件を満たしたと判断すると、前記原動機をアイドリングストップさせるアイドリングストップ工程と、前記原動機がアイドリングストップしている際に、前記操作端の操作による前記油圧動作器に対する動作指令のみの受け付けで、該原動機を始動させると共に、該油圧動作器の前記油圧源をオンロード状態にするアイドリングストップ解除工程と、前記油圧維持器により維持されている前記一の油圧動作器にかかる油圧を検知する油圧検知工程
と、を実行し、前記アイドリングストップ解除工程では、前記原動機がアイドリングストップしている際に、複数の前記油圧動作器のうち、前記一の油圧動作器を含む二つの油圧動作器に対する動作指令を、前記原動機が始動するまでに受けると、先に受けた動作指令に基づいて該原動機を始動させると共に、前記油圧検知工程で検知された前記油圧動作器にかかる油圧の大きさに応じて、該二つの油圧動作器のうち、いずれか一方の油圧動作器の前記油圧源のみを前記オンロード状態に
する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、アイドリングストップ中であっても、操作端の操作のみで、短時間のうちに油圧動作器を動作させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る車両の各種実施形態について、図面を用いて説明する。
【0026】
「
参考例」
まず、本発明
に関する車両の参考例について、
図1及び
図2を用いて説明する。
【0027】
本
参考例の車両は、
図1に示すように、荷を載せて、これを上下動させるフォーク11を備えているフォークリフトである。
【0028】
このフォークリフトは、前述のフォーク11と、原動機としてのエンジン12と、このエンジン12を始動等させるための電動モータ13と、クラッチ14や変速機構等を含む走行駆動機構と、ステアリングハンドル15と、ステアリングハンドル15の操作に応じて操舵輪を操舵するステアリング機構16と、フォーク11の上下動等の指示を与える荷役レバー17と、アクセルペダル18と、エンジン12を冷却するための空冷ファン19と、フォーク11、ステアリング機構16及び空冷ファン19を動作させるための油圧回路30と、エンジン12、電動モータ13及び油圧回路30等を制御するコントローラ(制御器)20と、を備えている。
【0029】
エンジン12には、回転数センサ21や温度センサ22等の各種センサが取り付けられている。
【0030】
油圧回路30は、オイルが満たされているオイルタンク31と、荷役用オイルポンプ32と、ステアリング用オイルポンプ33と、ファン用オイルポンプ34と、荷役用オイルポンプ32をオンロード状態とアンロード状態とに切り替える荷役用アンロードバルブ35と、ステアリング用オイルポンプ33をオンロード状態とアンロード状態とに切り替えるステアリング用アンロードバルブ36と、ファン用オイルポンプ34をオンロード状態とアンロード状態とに切り替えるファン用アンロードバルブ37と、荷役用オイルポンプ32からのオイルにより動作するフォーク駆動シリンダ41と、荷役用オイルポンプ32からフォーク駆動シリンダ41へのオイルの流量等を制御する荷役用コントロールバルブ42と、フォーク駆動シリンダ41にかかる油圧を検知するシリンダ圧センサ43と、ステアリング用オイルポンプ33からのオイルにより動作するステアリング駆動シリンダ45と、ステアリング用オイルポンプ33からステアリング駆動シリンダ45へのオイルの流量等を制御するステアリング用コントロールバルブ46と、を備えている。
【0031】
各オイルポンプ32,33,34とエンジン12の駆動軸と電動モータ13の回転軸とは、互いに、伝達機構29を介してつながっている。このため、電動モータ13が駆動すると、エンジン12及び各オイルポンプ32,33,34も駆動する。また、エンジン12が駆動しているときには、この駆動力により各オイルポンプ32,33,34も駆動している。
【0032】
各オイルポンプ32,33,34には、オイルタンク31に満たされているオイルを吸い込むための吸込みライン51が接続されていると共に、各オイルポンプ32,33,34が加圧したオイルが流れる吐出ライン52,53,54が接続されている。オイルポンプ32,33,34毎の吐出ライン52,53,54は、途中で分岐しており、一方がそのまま吐出ラインとしてシリンダ41,45,19等に接続され、他方が戻りライン55,56,57としてオイルタンク31に接続されている。
【0033】
オイルポンプ32,33,34毎の対応アンローダバルブ35,36,37は、いずれも、各オイルポンプ毎の対応戻りライン中に設けられている。各アンローダバルブ35,36,37は、閉状態になることで、対応オイルポンプ32,33,34からのオイルにより対応シリンダ41,45,19等に油圧がかかるオンロード状態にする。また、各アンローダバルブ35,36,37は、開状態になることで、対応オイルポンプ32,33,34からのオイルをオイルタンク31に戻し、対応シリンダ41,45,19等に油圧がかからないアンロード状態にする。
【0034】
荷役用オイルポンプ(油圧源)32の吐出ライン52の先には、荷役用コントロールバルブ(油圧維持器)42が接続され、その先にフォーク駆動シリンダ(油圧動作器)41が接続されている。また、ステアリング用オイルポンプ(油圧源)33の吐出ライン53の先には、ステアリング用コントロールバルブ(油圧維持器)46が接続され、その先にステアリング駆動シリンダ(油圧動作器)45が接続されている。また、ファン用オイルポンプ(油圧源)34の吐出ラインの先には、空冷ファン(油圧動作器)19が接続されている。
【0035】
次に、
図2に示すフローチャートに従って、コントローラの動作について説明する。
【0036】
ここで、エンジン12は、アイドリングストップ状態で、各アンロードバルブ35,36,37は開状態、つまり各オイルポンプ32,33,34はアンロード状態であるとする。なお、アイドリングストップ状態とは、フォークリフトのキースイッチがオンにされ、エンジン12が一旦駆動した後、予め定められたアイドリングストップ条件を満たしたため、キースイッチがオンのままエンジン12が停止している状態のことである。また、アイドリングストップ条件とは、例えば、ここでは、アクセルペダル18、ハンドル15、荷役レバー17のいずれもが予め定められた時間操作されていない、ことである。
【0037】
コントローラ20は、アイドリングストップ状態のときに、アクセルペダル(操作端)18、ハンドル(操作端)15、荷役レバー(操作端)17のいずれかが操作され、これらのいずれかから動作指令を受け付けると(S1)、電動モータ13を駆動させ、エンジン12を始動させる(S2)。なお、この際、コントローラ20は、エンジン12に対して、燃料供給指令も出力して、燃料供給も開始させる。また、各オイルポンプ32,33,34は、このエンジン12の始動により駆動し始める。
【0038】
次に、コントローラ20は、先の動作指令がアクセルペダル18の操作による指令であるか否かを判断する(S4)。コントローラ20は、アクセルペダル18の操作による指令であると判断すると、エンジン12を始動させてから所定時間経過後、つまりエンジン12回転数が十分に上がった後、ブレーキがかけられていなければ、クラッチ14に接続指令を出力し、クラッチ14を接続状態にする(S5)。
【0039】
一方、コントローラ20は、アクセルペダル18の操作による指令ではない、つまり荷役レバー17又はハンドル15の操作による指令であると判断すると、エンジン12が予め定められたアイドリング回転数域に達する前に、該当アンロードバルブ35,36のみを閉にして、該当オイルポンプ32,33のみをオンロード状態にする(S8)。この結果、該当オイルポンプ32,33からのオイルが該当コントロールバルブ42,46を介して該当シリンダ41,45に送られ、該当シリンダ41,45が動作する。
【0040】
具体的に、コントローラ20は、例えば、荷役レバー17の操作による動作指令を受け付けると、荷役用アンロードバルブ35を閉にする。この場合、荷役用オイルポンプ32からのオイルは、荷役用コントロールバルブ42を介して、フォーク駆動シリンダ41に送られ、このフォーク駆動シリンダ41を動作させる。この結果、フォーク11が上下動する。また、コントローラ20は、ハンドル15の操作による動作指令を受け付けると、ステアリング用アンロードバルブ36を閉にする。この場合、ステアリング用オイルポンプ33からのオイルは、ステアリング用コントロールバルブ46を介して、ステアリング駆動シリンダ45に送られ、このステアリング駆動シリンダ45を動作させる。この結果、ステアリング機構16が駆動する。
【0041】
コントローラ20は、ステップ5又はステップ8の処理が終了すると、エンジン駆動時モード(S10)での制御を開始する。このエンジン駆動時モード(S10)では、従来から行われている油圧回路30等の制御が実行される。
【0042】
コントローラ20は、このエンジン駆動時モードにおける油圧回路30の制御で、荷役レバー17又はハンドル15の操作による動作指令を受け付けると、該当アンロードバルブ35,36を閉にして、該当オイルポンプ32,33をオンロード状態にする。また、荷役レバー17又はハンドル15の操作による動作指令が入力しなくなると、該当アンロードバルブ35,36を開にして、該当オイルポンプ32,33をアンロード状態にする。さらに、コントローラ20は、エンジン12に取り付けられている温度センサ22からの出力値が予め定められている値を超えると、つまり、エンジン12が高温になると、ファン用アンロードバルブ37を閉にして、ファン用オイルポンプ34をオンロード状態にして、空冷ファン19を動作させ、エンジン12の温度が下がると、ファン用アンロードバルブ37を開にして、ファン用オイルポンプ34をアンロード状態にして、空冷ファン19を停止させる。
【0043】
さらに、コントローラ20は、エンジン回転数があまり高くないときに、いずれかのシリンダ圧が高まると、優先順位等に基づいて、いずれかのアンロードバルブを開にして、エンジン負荷を低減させる。また、場合によっては、エンジン12に燃料供給信号を出力して、燃料量を増加させて、エンジン回転数を上げて、エンジン負荷の増大に対応する。
【0044】
コントローラ20は、このエンジン駆動時モード(S10)で、さらに、前述のアイドリングストップ条件を満たしたか否かの判断処理(S11)と、アイドルストップ条件を満たした場合のアイドリングストップ処理(S12)と、を実行する
【0045】
コントローラ20は、この判断処理(S11)で、アイドリングストップ条件を満たしていないと判断すると、エンジン駆動時モード(S10)を維持する。また、コントローラ20は、この判断処理(S11)で、アイドリングストップ条件を満たしたと判断すると、前述のアイドリングストップ処理(S12)を実行する。コントローラ20は、このアイドリングストップ処理(S12)で、エンジン12に対して燃料供給停止指令等を出力して、エンジン12を停止させる。コントローラ20は、このアイドリングストップ処理(S12)が終了すると、ステップ1の判断処理に移行する。
【0046】
以上、本
参考例では、アイドリングストップ状態で、荷役レバー17又はハンドル15を操作するだけで、エンジン12が始動し、該当シリンダ41,45を動作させることができる。しかも、エンジン12がアイドリング回転域に至るまえに、シリンダ41,45が動作するので、アイドリングストップ状態から、該当シリンダ41,45を動作し始めるまでの時間を短縮することができる。
【0047】
「
第一実施形態」
次に、本発明に係る車両の
第一実施形態について、
図3及び
図4を用いて説明する。
【0048】
本実施形態の車両は、
図1に示すものと同一構成のフォークリフトである。但し、本実施形態では、このフォークリフトのコントローラ20の動作が
参考例と異なっている。そこで、以下では、
図3及び
図4に示すフローチャートに従って、このコントローラ20の動作について説明する。
【0049】
コントローラ20は、
参考例と同様、アイドリングストップ状態のときに、アクセルペダル18、ハンドル15、荷役レバー17のいずれかが操作され、これらのいずれかから動作指令を受け付けると(S1)、電動モータ13を駆動させ、エンジン12を始動させる(S2)。
【0050】
ここで、コントローラ20は、アイドリングストップ状態のときに、一の動作指令を受けた後、エンジン12が始動するまでの間に他の動作指令を受ける場合がある。本実施形態は、この他の動作指令の受け付けを考慮するものである。なお、第一実施形態では、この他の動作指令を無視している。
【0051】
コントローラ20は、アイドリングストップ状態のときに、一つの動作指令を受け付けたか、複数の動作指令を受けかに関わらず、最先の動作指令に基づいて、電動モータ13を駆動させ、エンジン12を始動させる(S2)。
【0052】
次に、コントローラ20は、複数の動作指令を受け付けたか否かを判断する(S3)。
コントローラ20は、複数の動作指令を受け付けていない、つまり、一つの動作指令のみを受け付けたと判断すると、この指令がアクセルペダル18の操作による指令であるか否かを判断する(S4)。コントローラ20は、アクセルペダル18の操作による指令であると判断すると、
参考例のステップ5での処理と同様に、クラッチ接続処理(S5)を実行し、前述のエンジン駆動時モード(S10)に移行する。また、アクセルペダル18の操作による指令ではない、つまり荷役レバー17又はハンドル15の操作による指令であると判断すると、
参考例でのステップ8と同様、エンジン12が予め定められたアイドリング回転数域に達する前に、該当アンロードバルブ35,36のみを閉にして、該当オイルポンプ32,33のみをオンロード状態にしてから(S8a)、前述のエンジン駆動時モード(S10)に移行する。
【0053】
また、コントローラ20は、ステップ3で、複数の動作指令を受け付けたと判断すると、荷役レバー17の操作による指令とハンドル15の操作による指令を受け付けたか否かを判断する(S6)。
【0054】
コントローラ20は、荷役レバー17の操作による指令とハンドル15の操作による指令を受け付けていない、つまり、アクセルペダル18の操作による指令と荷役レバー17の操作による指令、又は、アクセルペダル18の操作による指令とハンドル15の操作による指令を受け付けたと判断すると、クラッチ接続処理を実行せずに、該当アンロードバルブ35,36のみを閉にして、該当オイルポンプ32,33のみをオンロード状態にしてから(S8a)、前述のエンジン駆動時モード(S10)に移行する。
【0055】
コントローラ20は、ステップ6で、荷役レバー17の操作による指令とハンドル15の操作による指令を受け付けたと判断すると、フォーク駆動シリンダ41のシリンダ圧センサ43からの出力を取得し、シリンダ圧が予め定められたリフト圧以上であるか否かを判断する(S7)。
【0056】
ここで、フォーク駆動シリンダ41には、実際に荷を持ち上げている際にはこの荷の重量に応じたシリンダ圧がかかる。また、フォーク11に荷が載っていない場合でも、フォーク11が上がっている場合には、フォーク11を上げるため、又は上げておくためのシリンダ圧がかかる。一方、フォーク11が最下位置に位置している際には、フォーク11上に荷が載っているか否かに関わらず、実質的にシリンダ圧はかからない。
【0057】
荷役用コントロールバルブ42は、荷役用アンロードバルブ35が開になっても、フォーク駆動シリンダ41から油圧が抜けて、フォーク11が下降しないよう、荷役用アンロードバルブ35が開になるとき、フォーク駆動シリンダ41から油圧が抜けるのを防いで、開になる直前のシリンダ圧を維持する。このため、シリンダ圧センサ43からの出力が前述のリフト圧以上であるか否かを判断することで、荷役用アンロードバルブ35が開である場合でも、フォーク11が上がっている状態か、フォーク11が最下位置に位置している状態であるかを判断することができる。
【0058】
コントローラ20は、ステップ7で、シリンダ圧がリフト圧以上である、つまりフォーク11が上がっている状態であると判断すると、ステアリング用アンロードバルブ36を閉にして、ステアリング用オイルポンプ33のみをオンロード状態にしてから(S8b)、前述のエンジン駆動時モード(S10)に移行する。
【0059】
また、コントローラ20は、ステップ7で、シリンダ圧がリフト圧以上でない、つまりフォーク11が最下位置に位置している状態であると判断すると、荷役用アンロードバルブ35を閉にして、荷役用オイルポンプ32のみをオンロード状態にしてから(S8c)、前述のエンジン駆動時モード(S10)に移行する。
【0060】
ここで、フォーク11が最下位置に位置しているとき、荷役用オイルポンプ32のみをオンロード状態にして、ステアリング用オイルポンプ33をアンロード状態のまま維持しておくのは、フォーク11が最下位置に位置しているとき、ステアリング機構16が駆動して、フォーク11が移動すると、フォーク11が傷付くおそれがあるためである。
【0061】
以上、本実施形態では、アイドリングストップ状態の際に複数の動作指令を受け付けても、一つの動作指令しか実行しないので、エンジン始動時におけるエンジン12及び電動モータ13の負荷を抑えることでき、確実にエンジン12を始動させることができる。
【0062】
さらに、本実施形態では、荷役レバー17の操作による指令とハンドル15の操作による指令を受け付けた場合には、フォーク駆動シリンダ41の状況に応じて、適切なシリンダを動作させることができる。すなわち、本実施形態では、複数の動作指令のうち、一つの動作指令を実行するにあたり、各動作指令に対応する油圧動作器の状況を把握し、この状況に応じて、適切な一の動作指令を実行している。
【0063】
なお、以上では、荷役レバー17の操作による指令とハンドル15の操作による指令を受け付けた場合には、フォーク駆動シリンダ41の状況を参照しているが、各シリンダに関して動作優先順位を予め定めておき、この優先順位を参照して、優先順位の高いシリンダのオイルポンプのみをオンロード状態にするようにしてもよい。この場合、フォーク駆動シリンダ41の優先順位をステアリング駆動シリンダ45の優先順位よりも高くする。
【0064】
「
第二実施形態」
次に、本発明に係る車両の
第二実施形態について、
図5及び
図6を用いて説明する。
【0065】
本実施形態の車両は、
図5に示すように、
図1に示すものと基本的に同一構成のフォークリフトである。但し、本実施形態の油圧回路30aは、荷役用オイルポンプとして、第一荷役用オイルポンプ32aと第二荷役用オイルポンプ32bの二台を備え、オイルポンプ32a,32b毎に、荷役用アンロードバルブ35a,35bが設けられている。
【0066】
各荷役用オイルポンプ32a,32bには、それぞれ、吐出ライン52a,52bが接続され、その下流側で一つの吐出ライン52になっている。各吐出ライン52a,52bからは、戻りライン55a,55bが分岐しており、この戻りライン55a,55bに前述の荷役用アンロードバルブ35a,35bが設けられている。
【0067】
以上のように、本実施形態の油圧回路30aは、
参考例の油圧回路30と若干異なっている関係で、本実施形態のコントローラ20の動作は、
参考例のコントローラ20の動作と異なっている。そこで、以下では、
図6に示すフローチャートに従って、このコントローラ20の動作について説明する。
【0068】
コントローラ20は、
参考例と同様、アイドリングストップ状態のときに、アクセルペダル18、ハンドル15、荷役レバー17のいずれかが操作され、これらのいずれかから動作指令を受け付けると(S1)、電動モータ13を駆動させ、エンジン12を始動させる(S2)。
【0069】
次に、コントローラ20は、動作指令がいずれの操作による指令であるか否かを判断する(S4a)。コントローラ20は、アクセルペダル18の操作による指令であると判断すると、
参考例と同様に、クラッチ接続処理(S5)を実行した後、エンジン駆動時モード(S10)に移行する。
【0070】
コントローラ20は、ステップ4aで、ハンドル15の操作による動作指令であると判断すると、ステアリング用アンロードバルブ36を閉にして、ステアリング用オイルポンプ33をオンロード状態にしてから(S8b)、エンジン駆動時モード(S10)に移行する。
【0071】
また、コントローラ20は、ステップ4aで、荷役レバー17の操作による動作指令であると判断すると、フォーク駆動シリンダ41のシリンダ圧センサ43からの出力を取得し、シリンダ圧があるか否かを判断する(S7)。コントローラ20は、シリンダ圧があると判断すると、1台の荷役用オイルポンプ32aのみをオンロード状態にするために、第一荷役用アンロードバルブ35aと第二荷役用アンロードバルブ35bとのうち一方のみを閉にしてから(S8d)、エンジン駆動時モード(S10)に移行する。この結果、2台の荷役用オイルポンプ32a,32bのうち、1台の荷役用オイルポンプ32aからのオイルのみが、荷役用コントロールバルブ42を介してフォーク駆動シリンダ41に送られ、このフォーク駆動シリンダ41が駆動する。
【0072】
ところで、第一荷役用アンロードバルブ35aと第二荷役用アンロードバルブ35bとのうち一方のアンロードバルブ35aが閉であっても、他方のアンロードバルブ35bが開であると、一方のアンロードバルブ35aに対応する荷役用オイルポンプ32aからのオイルが、他方のアンロードバルブ35bを介してオイルタンク31に流れ込み、この荷役用オイルポンプ32aがオンロード状態にならない。そこで、本実施形態では、
図5に示すように、各荷役用オイルポンプ32a,32bの吐出ライン52a,52bが合流する手前に、各吐出ライン52a,52bに逆止弁59a,59bを設け、一方のアンロードバルブ35aに対応する荷役用オイルポンプ32aからのオイルが、他方のアンロードバルブ35bを介してオイルタンク31に流れ込むのを防いでいる。
【0073】
コントローラ20は、ステップ7で、シリンダ圧がないと判断すると、2台の荷役用オイルポンプ32のいずれもオンロード状態にするために、第一荷役用アンロードバルブ35a及び第二荷役用アンロードバルブ35bを閉にしてから(S8d)、エンジン駆動時モード(S10)に移行する。
【0074】
以上、本実施形態では、あるシリンダに対するオイルポンプが複数ある場合、このシリンダにかかるシリンダ圧を参照し、シリンダ圧がある場合には、少ない数量のオイルポンプをオンロード状態にしているので、エンジン始動時におけるエンジン12及び電動モータ13の負荷を抑えることでき、確実にエンジン12を始動させることができる。
【0075】
なお、ここでは、あるシリンダに対するオイルポンプが2台ある場合を例示したが、3台以上あってもよい。この場合、シリンダ圧が高いほどオンロード状態にするオイルポンプの数量が少なくなるように、オンロード状態にするオイルポンプの数量を定め、この数量分のオイルポンプをオンロード状態にする。
【0076】
以上、フォークリフトに関する複数の実施形態を説明したが、本発明は、フォークリフトに限定されるものではなく、ショベルカー等、油圧シリンダと、そのオイルポンプと、このオイルポンプを駆動すると共に走行駆動力を提供する原動機とを備えている車両であれば、如何なる車両に本発明を適用してもよい。
【0077】
また、以上の実施形態では、アクセルペダル18、ハンドル15、荷役レバー17のいずれもが予め定められた時間操作されていないことをアイドルストップ条件にしているが、さらに、ブレーキが掛けられていることを条件に加えてもよいし、さらに、エンジン12温度が予め定められた温度よりも低いことを条件に加えてもよい。