(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スイッチング回路は、前記第1の蓄電セルの他端と電気的に接続する第1の端子、前記コンデンサの他端と電気的に接続する第2の端子、および、前記コンデンサの一端と電気的に接続する第3の端子を含む第3のスイッチング素子を有し、
前記第3のスイッチング素子は、
前記第1のスイッチング素子をオン動作させる前記制御信号または前記第2のスイッチング素子をオフ動作させる前記制御信号に基づいて、前記第1の端子と前記第2の端子とを電気的に接続し、
前記第1のスイッチング素子をオフ動作させる前記制御信号または前記第2のスイッチング素子をオン動作させる前記制御信号に基づいて、前記第2の端子と前記第3の端子とを電気的に接続する、
請求項1に記載のバランス補正装置。
前記スイッチング回路は、一端が前記コンデンサの他端と電気的に接続し、他端が前記第1の蓄電セルの一端と前記第2の蓄電セルの一端との前記接続点と電気的に接続する第4のスイッチング素子を有し、
前記第4のスイッチング素子は、
前記第1のスイッチング素子をオン動作させる前記制御信号または前記第2のスイッチング素子をオフ動作させる前記制御信号に基づいて、オン動作し、
前記第1のスイッチング素子をオフ動作させる前記制御信号または前記第2のスイッチング素子をオン動作させる前記制御信号に基づいて、オフ動作する、
請求項1または請求項2に記載のバランス補正装置。
前記補正信号発生部は、前記コンデンサの電極間の電圧および前記中間値の電圧が入力され、前記コンデンサの電極間の電圧と前記中間値の電圧との差に応じた出力を出力するコンパレータを有し、
前記コンパレータのカットオフ周波数は、前記制御信号の周波数よりも小さい、
請求項1から請求項3までの何れか一項に記載のバランス補正装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、図面を参照して、実施形態について説明するが、図面の記載において、同一または類似の部分には同一の参照番号を付して重複する説明を省く場合がある。
【0014】
図1は、蓄電システム110を備える装置100の一例を概略的に示す。装置100は、モータ102と、蓄電システム110とを備える。装置100は、電気自動車、ハイブリッド自動車、電気二輪車、鉄道車両、昇降機などの輸送装置であってよい。装置100は、PC、携帯電話などの電気機器であってよい。
【0015】
蓄電システム110は、端子112と、端子114と、蓄電セル122、蓄電セル124、蓄電セル126および蓄電セル128を含む直列に接続された複数の蓄電セルと、バランス補正回路132、バランス補正回路134およびバランス補正回路136を含む複数のバランス補正回路とを有する。バランス補正回路132、バランス補正回路134およびバランス補正回路136は、バランス補正装置の一例であってよい。
【0016】
「電気的に接続される」とは、ある要素と他の要素とが直接接続される場合に限定されない。ある要素と他の要素との間に、第三の要素が介在してもよい。また、ある要素と他の要素とが物理的に接続されている場合に限定されない。例えば、変圧器の入力巻線と出力巻線とは物理的には接続されていないが、電気的には接続されている。さらに、ある要素と他の要素とが現実に電気的に接続されている場合だけでなく、蓄電セルとバランス補正回路とが電気的に接続されたときに、ある要素と他の要素とが電気的に接続される場合をも含む。また、「直列に接続される」とは、ある要素と他の要素とが直列に電気的に接続されていることを示す。
【0017】
モータ102は、蓄電システム110に電気的に接続され、蓄電システム110の供給する電力を利用する。モータ102は、電力負荷の一例であってよい。モータ102は、回生ブレーキとして使用されてもよい。蓄電システム110は、モータ102に電気的に接続され、モータ102に電力を供給する。蓄電システム110は、図示されない充電装置に電気的に接続され、電気エネルギーを蓄える。
【0018】
端子112および端子114は、モータ102、充電装置などのシステム外部の装置と、蓄電システム110とを電気的に接続する。蓄電セル122、蓄電セル124、蓄電セル126および蓄電セル128は、直列に接続される。蓄電セル122、蓄電セル124、蓄電セル126および蓄電セル128は、二次電池またはキャパシタであってよい。蓄電セル122、蓄電セル124、蓄電セル126および蓄電セル128のそれぞれは、複数の蓄電セルを含んでもよい。
【0019】
例えば、蓄電セル122と蓄電セル124との間で、製造品質、劣化の程度などが異なる場合、蓄電セル122および蓄電セル124の電池特性に差が生じる場合がある。電池特性としては、電池容量、または、放電時間に対する電池電圧の関係を示す放電電圧特性を例示することができる。例えば、蓄電セルの劣化が進行するにつれて、より短い放電時間で電池電圧が低下するようになる。
【0020】
蓄電セル122および蓄電セル124の電池特性が異なる場合、蓄電システム110の充電完了時に蓄電セル122および蓄電セル124の電圧が略同一であったとしても、蓄電システム110の放電が進行するにつれて、蓄電セル122および蓄電セル124の電圧にばらつきが生じる。また、蓄電システム110の充電開始時に蓄電セル122および蓄電セル124の電圧が略同一であったとしても、蓄電システム110の充電が進行するにつれて、蓄電セル122および蓄電セル124の電圧にばらつきが生じる。
【0021】
蓄電セル122および蓄電セル124は、利用可能な充電レベル(State of Charge、SOCという場合がある。)の範囲が予め定められているので、蓄電セル122および蓄電セル124の電圧にばらつきが生じると、蓄電システム110の利用効率が悪化する。そこで、蓄電セル122および蓄電セル124の電圧を均等化させることで、蓄電システム110の利用効率を向上させることができる。
【0022】
バランス補正回路132は、蓄電セル122および蓄電セル124の電圧を均等化させる。バランス補正回路132は、蓄電セル122の端子112側の一端(正極側という場合がある。)と、蓄電セル122の端子114側の一端(負極側という場合がある。)と蓄電セル124の正極側との接続点143とに電気的に接続される。バランス補正回路132は、接続点143と、蓄電セル124の負極側と蓄電セル126の正極側との接続点145とに電気的に接続される。
【0023】
図示していないが、バランス補正回路132は、接続点143と電気的に接続するインダクタを有してよい。バランス補正回路132と、蓄電セル122および蓄電セル124とを、上記のように電気的に接続することで、蓄電セル122および上記のインダクタを含む第1の回路と、蓄電セル124および上記のインダクタを含む第2の回路が形成される。バランス補正回路132は、第1の回路と、第2の回路とに交互に電流を流す。これにより、蓄電セル122と蓄電セル124との間でインダクタを介して電気エネルギーを授受することができる。その結果、蓄電セル122および蓄電セル124の電圧を均等化させることができる。
【0024】
バランス補正回路134は、蓄電セル124および蓄電セル126の電圧を均等化させる。バランス補正回路134は、接続点143と、接続点145と、蓄電セル126の負極側と蓄電セル128の正極側との接続点147とに、電気的に接続される。バランス補正回路136は、蓄電セル126および蓄電セル128の電圧を均等化させる。バランス補正回路136は、接続点145と、接続点147と、蓄電セル128の負極側とに、電気的に接続される。バランス補正回路134およびバランス補正回路136は、バランス補正回路132と同様の構成を有してよい。
【0025】
図2は、蓄電システム210の一例を概略的に示す。蓄電システム210は、端子212と、端子214と、直列に接続された蓄電セル222および蓄電セル224と、バランス補正回路232とを備える。バランス補正回路232は、バランス補正装置の一例であってよい。蓄電セル222は、第1の蓄電セルの一例であってよい。蓄電セル224は、第2の蓄電セルの一例であってよい。
【0026】
端子212および端子214は、それぞれ、蓄電システム110の端子112および端子114と同様の構成を有してよい。蓄電セル222および蓄電セル224は、蓄電セル122、蓄電セル124、蓄電セル126または蓄電セル128と同様の構成を有してよい。また、蓄電システム110は、蓄電システム210と同様の構成を有してよい。バランス補正回路132、バランス補正回路134およびバランス補正回路136は、バランス補正回路232と同様の構成を有してよい。
【0027】
バランス補正回路232は、均等化部234と、補正部236とを有する。均等化部234は、蓄電セル222および蓄電セル224の電圧を均等化させる。補正部236は、均等化部234の補正に用いられる補正信号φ26を発生させる。均等化部234は、補正信号φ26を受信して、補正信号φ26に基づいて出力を調整する。これにより、均等化部234による電圧均等化の精度を向上させることができる。
【0028】
均等化部234は、インダクタ250と、スイッチング素子252と、スイッチング素子254と、制御信号発生部272と、ダイオード282と、ダイオード284とを備える。スイッチング素子252は、第1のスイッチング素子の一例であってよい。スイッチング素子254は、第2のスイッチング素子の一例であってよい。
【0029】
均等化部234は、蓄電セル222の正極側と、蓄電セル222の負極側と蓄電セル224の正極側との接続点243とに電気的に接続される。これにより、蓄電セル222と、スイッチング素子252と、インダクタ250とを含む第1の開閉回路が形成される。均等化部234は、接続点243と、蓄電セル224の負極側とに電気的に接続される。これにより、蓄電セル224と、インダクタ250と、スイッチング素子254とを含む第2の開閉回路が形成される。接続点243は、第1の蓄電セルの一端と第2の蓄電セルの一端との接続点の一例であってよい。
【0030】
インダクタ250は、一端が接続点243に電気的に接続される。インダクタ250の他端は、スイッチング素子252およびスイッチング素子254の接続点263に電気的に接続されてよい。スイッチング素子252およびスイッチング素子254が交互にオン動作およびオフ動作(オン・オフ動作という場合がある。)を繰り返すと、インダクタ250にはインダクタ電流I
Lが生じる。
【0031】
スイッチング素子252は、インダクタ250の他端と蓄電セル222の正極側との間に電気的に接続される。スイッチング素子252は、制御信号発生部272から制御信号φ22を受信して、制御信号φ22に基づきオン動作またはオフ動作を行う。これにより、第1の開閉回路を開閉する。スイッチング素子252は、MOSFETであってよい。スイッチング素子252は、制御信号φ22を受信しない場合にはオフ動作をする素子であってよい。
【0032】
スイッチング素子254は、インダクタ250の他端と蓄電セル224の負極側との間に電気的に接続される。スイッチング素子254は、制御信号発生部272から制御信号φ24を受信して、制御信号φ24に基づきオン動作またはオフ動作を行う。これにより、第2の開閉回路を開閉する。スイッチング素子254は、MOSFETであってよい。スイッチング素子254は、制御信号φ24を受信しない場合にはオフ動作をする素子であってよい。
【0033】
制御信号発生部272は、スイッチング素子252のオン・オフ動作を制御する制御信号φ22と、スイッチング素子254のオン・オフ動作を制御する制御信号φ24とを発生させる。制御信号発生部272は、制御信号φ22をスイッチング素子252に供給する。制御信号発生部272は、制御信号φ24をスイッチング素子254に供給する。
【0034】
制御信号発生部272は、スイッチング素子252およびスイッチング素子254が交互にオン・オフ動作を繰り返すように、制御信号φ22および制御信号φ24を発生させてよい。これにより、スイッチング素子252とスイッチング素子254とを交互にオン・オフ動作させることができる。制御信号φ22および制御信号φ24は、それぞれ、デューティ比が50%の方形波であってよい。デューティ比は、方形波の周期に対するON期間の割合として算出することができる。
【0035】
制御信号発生部272は、蓄電セル222の正極側と電気的に接続する基準電圧入力端子274と、蓄電セル224の負極側と電気的に接続する基準電圧入力端子276とを有してよい。制御信号発生部272は、スイッチング素子252およびスイッチング素子254と同一の基板に形成されてよい。
【0036】
制御信号発生部272は、予め定められた周期のパルス列を発生するパルス発生器であってよい。制御信号発生部272は、制御信号φ22および制御信号φ24の少なくとも一方のデューティ比を可変制御する可変パルス発生器であってもよい。
【0037】
制御信号発生部272は、補正信号φ26を受信する。制御信号発生部272は、補正信号φ26に基づいて、制御信号φ22および制御信号φ24の少なくとも一方のデューティ比を補正してよい。制御信号発生部272は、補正信号φ26に基づき、蓄電セル222または蓄電セル224の電圧の値が、蓄電セル222の電圧および蓄電セル224の電圧の算術平均値と等しくなるように、制御信号φ22および制御信号φ24の少なくとも一方のデューティ比を補正してよい。
【0038】
補正信号φ26が、蓄電セル222または蓄電セル224の電圧の値が、蓄電セル222の電圧および蓄電セル224の電圧の算術平均値より小さいことを示す場合、制御信号発生部272は、制御信号φ24のデューティ比の設定値を大きくしてよい。補正信号φ26が、蓄電セル222または蓄電セル224の電圧の値が、蓄電セル222の電圧および蓄電セル224の電圧の算術平均値より大きいことを示す場合、制御信号発生部272は、制御信号φ22のデューティ比の設定値を大きくしてよい。
【0039】
ダイオード282は、スイッチング素子252と並列に配される。ダイオード282は、一端がインダクタ250の他端と電気的に接続する。ダイオード282の他端は、蓄電セル222の正極側と電気的に接続する。ダイオード282は、インダクタ250の他端から蓄電セル222の正極側への方向に電流を流す。
【0040】
ダイオード284は、スイッチング素子254と並列に配される。ダイオード284は、一端が蓄電セル224の負極側と電気的に接続する。ダイオード284の他端は、インダクタ250の他端と電気的に接続する。ダイオード284は、蓄電セル224の負極側からインダクタ250の他端への方向に電流を流す。ダイオード282およびダイオード284は、MOSFETのソース・ドレイン間に等価的に形成される寄生ダイオードであってよい。
【0041】
ダイオード282およびダイオード284を設けることで、スイッチング素子252およびスイッチング素子254が共にオフ状態となった期間にインダクタ電流I
Lが残留した場合であっても、当該インダクタ電流I
Lがダイオード282またはダイオード284を通して流れ続けることができる。これにより、インダクタ250に一旦生じたインダクタ電流I
Lを無駄なく利用することができる。また、インダクタ電流I
Lを遮断した場合に生じるサージ電圧の発生を抑制することができる。
【0042】
補正部236は、補正信号φ26を発生させる。補正信号φ26は、蓄電セル222または蓄電セル224の電圧の値と、蓄電セル222の電圧および蓄電セル224の電圧の算術平均値との大小関係を示す信号であってよい。補正部236は、接続点243における電圧の時間平均値の電圧と、蓄電セル222の電圧および蓄電セル224の電圧の中間値の電圧との差に基づいて、補正信号φ26を発生させてよい。補正部236は、積分回路292と、分圧回路295と、コンパレータ298とを有してよい。積分回路292は、平均値生成部の一例であってよい。分圧回路295は、中間値生成部の一例であってよい。
【0043】
積分回路292は、接続点243における電圧の時間平均値の電圧を生成する。積分回路292は、接続点243と電気的に接続する。積分回路292は、接続点243における電圧を入力され、当該入力電圧の時間積分値を出力する。積分回路292は、コンデンサ293と、抵抗294とを含むRC積分回路であってよい。コンデンサ293は、一端が蓄電セル224の負極側と電気的に接続されてよい。コンデンサ293の他端は、コンパレータ298の反転入力と電気的に接続されてよい。抵抗294は、一端が接続点263と電気的に接続されてよい。抵抗294の他端は、コンパレータ298の反転入力と電気的に接続されてよい。
【0044】
これにより、ある時間間隔における接続点243の電圧の平均値(時間平均値という場合がある。)が、コンパレータ298の反転入力に入力される。本実施形態において、抵抗294の一端は、接続点263およびインダクタ250を介して、接続点243と電気的に接続する。しかし、抵抗294の接続方法はこれに限定されない。抵抗294の一端が、接続点243に直接接続されてもよい。
【0045】
分圧回路295は、蓄電セル222の電圧と蓄電セル224の電圧との中間値の電圧を生成する。分圧回路295は、蓄電セル222の正極側と電気的に接続する。分圧回路295は、蓄電セル224の負極側と電気的に接続する。分圧回路295は、蓄電セル222の正極側の電圧と蓄電セル224の負極側の電圧を入力され、当該入力電圧に比例した電圧を発生させる。
【0046】
分圧回路295は、抵抗296と、抵抗297とを含んでよい。抵抗296は、一端が抵抗297の一端と電気的に接続されてよい。抵抗296の他端は、蓄電セル222の正極側と電気的に接続されてよい。抵抗297は、一端が抵抗296の一端と電気的に接続されてよい。抵抗297の他端は、蓄電セル224の負極側と電気的に接続されてよい。抵抗296の一端と抵抗297の一端との接続点は、コンパレータ298の非反転入力と電気的に接続されてよい。抵抗296の抵抗値と、抵抗297の抵抗値とは同一であってよい。これにより、蓄電セル222の電圧と蓄電セル224の電圧との中間値の電圧が、コンパレータ298の非反転入力に入力される。
【0047】
コンパレータ298は、非反転入力と反転入力との差に応じた出力を出力する。コンパレータ298の反転入力には、接続点243における電圧の時間平均値の電圧が入力される。コンパレータ298の非反転入力には、蓄電セル222の電圧と蓄電セル224の電圧との中間値の電圧が入力される。コンパレータ298は、接続点243における電圧の時間平均値の電圧と、蓄電セル222の電圧と蓄電セル224の電圧との中間値の電圧との差に比例した電圧を、補正信号φ26として出力してよい。
【0048】
コンパレータ298は、制御信号φ22または制御信号φ24の周波数よりも小さなカットオフ周波数を有してよい。蓄電セル222の電圧と蓄電セル224の電圧がほぼ均等化された状態(定常状態という場合がある。)において、積分回路292からの出力信号の波形は三角波になる。そこで、コンパレータ298の入力側のカットオフ周波数を制御信号φ22または制御信号φ24の周波数よりも小さくすることで、コンパレータ298の出力信号を安定化させることができる。
【0049】
本実施形態において、補正部236がアナログ回路である場合について説明した。しかし、補正部236はこれに限定されない。補正部236の機能の一部または全部は、デジタル回路によって実現されてもよい。補正部236の機能の一部または全部は、ソフトウエアまたはプログラムにより実現されてもよい。
【0050】
以上のとおり、本願明細書には、第1の蓄電セルと第2の蓄電セルの電圧を均等化させる方法であって、上記第1の蓄電セルの一端と上記第2の蓄電セルの一端との接続点における電圧の時間平均値の電圧を生成または算出する段階と、上記第1の蓄電セルの電圧と上記第2の蓄電セルの電圧との中間値の電圧を生成または算出する段階と、上記時間平均値の電圧と上記中間値の電圧との差に基づいて、補正信号を発生する段階とを備えるバランス補正方法が記載されている。また、コンピュータに当該バランス補正方法を実行させるプログラムが記載されている。
【0051】
図3は、蓄電システム210の動作の一例を概略的に示す。
図3は、制御信号φ22および制御信号φ24の波形の一例に対応づけて、グラフ302、グラフ304およびグラフ306を示す。グラフ302、グラフ304およびグラフ306において、横軸は時間の経過を示す。また、縦軸はインダクタ電流I
Lの大きさを示す。
図3において、インダクタ電流I
Lの大きさは、接続点263から接続点243に向かって流れる電流(
図2において実線の矢印で示す。)を正として表す。
【0052】
グラフ302は、蓄電セル222の電圧E
2が蓄電セル224の電圧E
4よりも大きい場合のインダクタ電流I
Lの経時変化の一例を概略的に示す。グラフ304は、蓄電セル222の電圧E
2が蓄電セル224の電圧E
4よりも小さい場合のインダクタ電流I
Lの経時変化の一例を概略的に示す。グラフ306は、蓄電セル222の電圧E
2と蓄電セル224の電圧E
4とが略同一である場合のインダクタ電流I
Lの経時変化の一例を概略的に示す。
【0053】
図3において、制御信号φ22および制御信号φ24は、デューティ比が50%の方形波である。
図3に示すように、制御信号φ22および制御信号φ24は、スイッチング素子252およびスイッチング素子254の一方がオン状態の間は他方がオフ状態になるように、互いに相補な論理または位相極性を有する。
【0054】
グラフ302に示すように、蓄電セル222の電圧E
2が蓄電セル224の電圧E
4よりも大きい場合には、スイッチング素子252がオン状態のときに、蓄電セル222の正極側−スイッチング素子252−接続点263−インダクタ250−接続点243−蓄電セル222の負極側の電流経路で電流が流れる。このとき、インダクタ250には、インダクタ電流I
Lが
図2における実線矢印の方向に充電される。
【0055】
次に、スイッチング素子252がオフ状態になり、スイッチング素子254がオン状態になると、インダクタ250に充電されたインダクタ電流I
Lがインダクタ250の一端−接続点243−蓄電セル224−スイッチング素子254−接続点263−インダクタ250の他端の電流経路で放電される。この放電は、蓄電セル224を充電しながら行われる。
図3に示すように、インダクタ電流I
Lは放電により時間と共に減少し、放電電流が0になると、インダクタ250には、放電電流とは逆方向の充電電流が流れるようになる。
【0056】
グラフ304に示すように、蓄電セル222の電圧E
2が蓄電セル224の電圧E
4よりも小さい場合には、スイッチング素子254がオン状態のときに、蓄電セル224の正極側−接続点243−インダクタ250−接続点263−スイッチング素子254−蓄電セル224の負極側の電流経路で電流が流れる。このとき、インダクタ250には、インダクタ電流I
Lが
図2における点線矢印の方向に充電される。
【0057】
次に、スイッチング素子254がオフ状態になり、スイッチング素子252がオン状態になると、インダクタ250に充電されたインダクタ電流I
Lがインダクタ250の他端−接続点263−スイッチング素子252−蓄電セル222−接続点243−インダクタ250の一端の電流経路で放電される。この放電は、蓄電セル222を充電しながら行われる。
【0058】
上記のように、バランス補正回路232が第1の開閉回路と、第2の開閉回路とに交互に電流を流すことで、蓄電セル122と蓄電セル124との間でインダクタ250を介して電気エネルギーを授受することができる。その結果、蓄電セル122および蓄電セル124の電圧を均等化させることができる。
【0059】
グラフ306に示すように、蓄電セル222の電圧E
2と蓄電セル224の電圧E
4とが略同一である場合には、スイッチング素子252またはスイッチング素子254がオン状態の期間において、インダクタ電流I
Lの放電と充電とがほぼ等量ずつ実施される。その結果、電圧がほぼバランスした状態を維持することができる。
【0060】
制御信号発生部272は、デューティ比が予め定められた設定値となるように、制御信号φ22および制御信号φ24を発生させる。しかし、制御信号発生部272の信号発生器の精度、スイッチング素子252またはスイッチング素子254の電気特性などにより、スイッチング素子252またはスイッチング素子254において観測される現実のデューティ比と、上記の設定値との間に誤差が生じる場合がある。
【0061】
例えば、スイッチング素子252において観測される現実のデューティ比が設定値よりも大きくなると、当該デューティ比が設定値どおりであった場合と比較して、スイッチング素子252がオン状態にある時間(オン時間という場合がある。)が長くなる。その結果、定常状態において、蓄電セル222の電圧E
2が蓄電セル224の電圧E
4よりも大きくなる。一方、スイッチング素子252において観測される現実のデューティ比が設定値よりも小さくなると、当該デューティ比が設定値どおりであった場合と比較して、スイッチング素子252がオン状態にある時間が短くなる。その結果、定常状態において、蓄電セル222の電圧E
2が蓄電セル224の電圧E
4よりも小さくなる。
【0062】
本実施形態において、補正部236は、接続点243における電圧の時間平均値の電圧と、蓄電セル222の電圧および蓄電セル224の電圧の中間値の電圧との差に基づいて、補正信号φ26を発生させる。均等化部234は、補正信号φ26に基づいて、接続点243における電圧の時間平均値の電圧と、蓄電セル222の電圧および蓄電セル224の電圧の中間値の電圧との差が小さくなるように、制御信号φ22および制御信号φ24の少なくとも一方のデューティ比を補正する。
【0063】
これにより、制御信号発生部272による誤差だけでなく、スイッチング素子252またはスイッチング素子254による誤差をも考慮して、制御信号φ22および制御信号φ24の少なくとも一方のデューティ比を調整することができる。その結果、スイッチング素子252またはスイッチング素子254において観測される現実のデューティ比と、上記の設定値との間に誤差を小さくすることができ、蓄電セル222の電圧および蓄電セル224の電圧を精度よく均等化することができる。
【0064】
本実施形態においては、説明を簡単にする目的で、制御信号φ22および制御信号φ24のデューティ比が50%である場合について説明した。しかし、制御信号φ22および制御信号φ24のデューティ比はこれに限定されない。制御信号φ22および制御信号φ24のデューティ比は、蓄電セル222および蓄電セル224の電圧差に応じて変更されてもよい。
【0065】
本実施形態において、制御信号発生部272が、補正信号φ26に基づいて、制御信号φ22および制御信号φ24の少なくとも一方のデューティ比を調整する場合について説明した。しかし、制御信号発生部272はこれに限定されない。補正信号φ26が、上記の時間平均値の電圧と上記の中間値の電圧との差が予め定められた値よりも小さいことを示す場合、制御信号発生部272は、制御信号φ22および制御信号φ24の発生を停止してよい。補正信号φ26が、上記の時間平均値の電圧と上記の中間値の電圧との差が予め定められた値よりも大きいことを示す場合、制御信号発生部272は、制御信号φ22および制御信号φ24の発生を再開してよい。
【0066】
図4は、蓄電システム210の動作の一例を概略的に示す。
図4は、制御信号φ22および制御信号φ24の波形の一例に対応づけて、グラフ402(図中、太字の点線で示す。)およびグラフ404(図中、太字の実線で示す。)を示す。グラフ402は、定常状態における、接続点243の電圧の経時変化の一例を概略的に示す。グラフ404は、定常状態における、コンパレータ298の反転入力に入力される電圧の経時変化の一例を概略的に示す。グラフ402およびグラフ404において、横軸は時間の経過を示す。また、縦軸は電圧を示す。なお、説明を簡単にする目的で、
図4には、定常状態におけるグラフ402およびグラフ404の一部を表示する。
【0067】
図4において、制御信号φ22および制御信号φ24は、デューティ比が50%の方形波である。
図4に示すように、制御信号φ22および制御信号φ24は、スイッチング素子252およびスイッチング素子254の一方がオン状態の間は他方がオフ状態になるように、互いに相補な論理または位相極性を有する。
【0068】
スイッチング素子252がオン状態の場合、接続点243における電圧は、グラフ402に示すように、蓄電セル222の電圧E
2と蓄電セル222の電圧E
4との合計値E
2+E
4になる。このとき、コンパレータ298の反転入力に入力される電圧は、グラフ404に示すように、時間とともに増加する。一方、スイッチング素子252がオフ状態の場合、接続点243における電圧は、グラフ402に示すように、蓄電セル224の負極側の電圧となる。本実施形態において、スイッチング素子252がオフ状態の場合、接続点243における電圧は0となる。このとき、コンパレータ298の反転入力に入力される電圧は、グラフ404に示すように、時間とともに減少する。
【0069】
これにより、コンパレータ298の反転入力には、接続点243における電圧の時間平均値に相当する電圧が入力される。制御信号発生部272、スイッチング素子252およびスイッチング素子254が理想的に動作している場合、スイッチング素子252のオン時間とオフ時間とは等しく、スイッチング素子254のオン時間とオフ時間とは等しい。このとき、定常状態においてコンパレータ298の反転入力に入力される電圧は、蓄電セル222の電圧と蓄電セル224の電圧との中間値の電圧(E
2+E
4)/2を中心として周期的に増減する。
【0070】
一方、制御信号発生部272、スイッチング素子252またはスイッチング素子254が理想的な動作をしていない場合、スイッチング素子252のオン時間とオフ時間とが等しくなるとは限らない。また、スイッチング素子254のオン時間とオフ時間とが等しくなるとは限らない。このとき、定常状態においてコンパレータ298の反転入力に入力される電圧は、蓄電セル222の電圧と蓄電セル224の電圧との中間値の電圧(E
2+E
4)/2から少しずれた値を中心として周期的に増減する。
【0071】
コンパレータ298の非反転入力には、分圧回路295により、蓄電セル222の電圧と蓄電セル224の電圧との中間値の電圧(E
2+E
4)/2が入力される。したがって、スイッチング素子252のオン時間とオフ時間とが等しくない場合、または、スイッチング素子254のオン時間とオフ時間とが等しくない場合には、コンパレータ298の非反転入力と反転入力との差に応じて、補正信号φ26が出力される。制御信号発生部272が補正信号φ26に基づいて、制御信号φ22および制御信号φ24の少なくとも一方のデューティ比を調整することで、蓄電セル222の電圧および蓄電セル224の電圧を精度よく均等化することができる。
【0072】
図5は、蓄電システム510の一例を概略的に示す。蓄電システム510は、端子212と、端子214と、直列に接続された蓄電セル222および蓄電セル224と、バランス補正回路532とを備える。バランス補正回路532は、バランス補正装置の一例であってよい。
【0073】
均等化部534は、制御信号発生部272が、制御信号φ22および制御信号φ24の少なくとも一方を補正部536にも提供する点で均等化部234と相違する。その他の点については、均等化部234と同様の構成を有してよい。
【0074】
補正部536は、コンデンサ542と、スイッチング回路544と、分圧回路295と、コンパレータ298とを有する。補正部536は、積分回路292の代わりに、コンデンサ542およびスイッチング回路544を備える点で補正部236と相違する。補正部536は、接続点243の電圧の時間平均値の電圧の代わりに、コンデンサ542の電極間の電圧がコンパレータ298の反転入力に入力される点で補正部236と相違する。その他の点については、補正部236と同様の構成を有してよい。
【0075】
図5において、蓄電システム210またはバランス補正回路232の各部と同一または類似の部分には同一の参照番号を付して重複する説明を除く。また、蓄電システム110は、蓄電システム210と同様の構成を有してよい。バランス補正回路132、バランス補正回路134およびバランス補正回路136は、バランス補正回路532と同様の構成を有してよい。
【0076】
コンデンサ542は、一端が蓄電セル224の他端に電気的に接続する。コンデンサ542の他端は、コンパレータ298の反転入力または蓄電セル222の正極側のいずれかと電気的に接続する。コンデンサ542の他端の接続先は、スイッチング回路544により切り替えられる。コンデンサ542の他端がコンパレータ298の反転入力と電気的に接続されると、コンデンサ542は電荷を放電する(コンデンサ542の放電動作という場合がある。)。コンデンサ542の他端が蓄電セル222の正極側と電気的に接続されると、コンデンサ542は電荷を充電する(コンデンサ542の充電動作という場合がある。)。
図5は、コンデンサ542の放電動作の一例を概略的に示す。
【0077】
スイッチング回路544は、補正信号φ26を受信する。スイッチング回路544は、補正信号φ26に基づいて、コンデンサ542の充電動作と放電動作とを交互に切り替える。スイッチング回路544は、スイッチング素子560と、スイッチング素子572と、定電流回路582とを有してよい。スイッチング素子560は、第3のスイッチング素子の一例であってよい。スイッチング素子572は、第4のスイッチング素子の一例であってよい。
【0078】
スイッチング素子560は、端子562と、端子564と、端子566と、端子568とを含んでよい。端子562は、蓄電セル222の正極側と電気的に接続する端子564は、コンデンサ542の他端と電気的に接続する。端子566は、コンデンサ542の他端と電気的に接続する。端子568は、コンデンサ542の一端と電気的に接続する。端子562は、第1の端子の一例であってよい。端子564および端子566は、第2の端子の一例であってよい。端子568は、第3の端子の一例であってよい。
【0079】
スイッチング素子560は、スイッチング素子252をオン動作させる制御信号φ22またはスイッチング素子254をオフ動作させる制御信号φ24に基づいて、端子562と、端子566とを電気的に接続する。これにより、スイッチング素子252がオン動作するタイミングまたはスイッチング素子254がオフ動作するタイミングに合わせて、蓄電セル224と、蓄電セル222と、端子562と、定電流回路582と、端子566と、コンデンサ542とを含む電流回路を形成することができる。端子562と端子566とが電気的に接続している間、コンデンサ542は電荷を充電する。
【0080】
スイッチング素子560は、スイッチング素子252をオフ動作させる制御信号φ22またはスイッチング素子254をオン動作させる制御信号φ24に基づいて、端子564と端子568とを電気的に接続する。これにより、スイッチング素子252がオフ動作するタイミングまたはスイッチング素子254がオン動作するタイミングに合わせて、コンデンサ542と、端子564と、定電流回路582と、端子568とを含む電流回路を形成することができる。端子564と端子568とが電気的に接続している間、コンデンサ542は電荷を放電する。
【0081】
スイッチング素子572は、一端がコンデンサ542の他端と電気的に接続する。スイッチング素子572の他端は、蓄電セル222の負極側と蓄電セル224の正極側との接続点243と電気的に接続する。スイッチング素子572は、スイッチング素子252をオン動作させる制御信号φ22またはスイッチング素子254をオフ動作させる制御信号φ24に基づいて、オン動作する。スイッチング素子572は、スイッチング素子252をオフ動作させる制御信号φ22またはスイッチング素子254をオン動作させる制御信号φ24に基づいて、オフ動作する。
【0082】
これにより、コンデンサ542の電極間の電圧が、接続点243の電圧と略同一になるまでの時間を短縮することができる。その結果、バランス補正回路532が定常状態になるまでの時間を短縮することができる。
【0083】
定電流回路582は、端子562および端子566とが電気的に接続している場合と、端子564および端子568とが電気的に接続している場合とで、それぞれの電流回路に流れる電流を略同一に維持する。定電流回路582は、定電流源および定電流ダイオードの少なくとも一方を含んでよい。
【0084】
コンパレータ298は、非反転入力と反転入力との差に応じた出力を出力する。コンパレータ298の反転入力には、コンデンサ542の他端の電圧が入力される。コンパレータ298の非反転入力には、蓄電セル222の電圧と蓄電セル224の電圧との中間値の電圧が入力される。コンパレータ298は、コンデンサ542の他端の電圧と、蓄電セル222の電圧と蓄電セル224の電圧との中間値の電圧との差に比例した電圧を、補正信号φ26として出力してよい。
【0085】
これにより、何らかの原因により、制御信号φ22および制御信号φ24の少なくとも一方のデューティ比が設定値とは異なる値を示している場合であっても、制御信号φ22および制御信号φ24の少なくとも一方のデューティ比を調整することができる。その結果、蓄電セル222の電圧および蓄電セル224の電圧を精度よく均等化することができる。
【0086】
本実施形態において、スイッチング回路544が定電流回路582を有する場合についいて説明した。しかし、スイッチング回路544はこれに限定されない。スイッチング回路544は、定電流回路582に代えて、抵抗を有してもよい。
【0087】
図6は、蓄電システム510の動作の一例を概略的に示す。
図6は、制御信号φ22および制御信号φ24の波形の一例に対応づけて、グラフ602(図中、太字の点線で示す。)およびグラフ604(図中、太字の実線で示す。)を示す。グラフ602は、定常状態における、接続点243の電圧の経時変化の一例を概略的に示す。グラフ604は、定常状態における、コンパレータ298の反転入力に入力される電圧の経時変化の一例を概略的に示す。グラフ602およびグラフ604において、横軸は時間の経過を示す。また、縦軸は電圧を示す。なお、説明を簡単にする目的で、
図6には、定常状態におけるグラフ602およびグラフ604の一部を表示する。
【0088】
図6において、制御信号φ22および制御信号φ24は、デューティ比が50%の方形波である。
図6に示すように、制御信号φ22および制御信号φ24は、スイッチング素子252およびスイッチング素子254の一方がオン状態の間は他方がオフ状態になるように、互いに相補な論理または位相極性を有する。
【0089】
スイッチング素子252がオン状態の場合、接続点243における電圧は、グラフ602に示すように、蓄電セル222の電圧E
2と蓄電セル222の電圧E
4との合計値E
2+E
4になる。このとき、スイッチング素子572もオン状態になる。また、スイッチング素子560は、定電流回路582を介して、端子562と、端子566とを電気的に接続する。これにより、コンデンサ542の充電動作により、コンパレータ298の反転入力に入力される電圧は、グラフ604に示すように時間とともに増加する。
【0090】
一方、スイッチング素子252がオフ状態の場合、接続点243における電圧は、グラフ402に示すように、蓄電セル224の負極側の電圧となる。本実施形態において、スイッチング素子252がオフ状態の場合、接続点243における電圧は、0となる。このとき、スイッチング素子572もオフ状態になる。また、スイッチング素子560は、定電流回路582を介して、端子564と、端子568とを電気的に接続する。これにより、コンデンサ542の放電動作により、コンパレータ298の反転入力に入力される電圧は、グラフ604に示すように、時間とともに減少する。
【0091】
これにより、コンパレータ298の反転入力には、コンデンサ542の電極間の電圧に相当する電圧が入力される。制御信号発生部272が理想的に動作している場合、制御信号φ22および制御信号φ24のデューティ比は50%となる。このとき、定常状態においコンパレータ298の反転入力に入力される電圧は、蓄電セル222の電圧と蓄電セル224の電圧との中間値の電圧(E
2+E
4)/2を中心として周期的に増減する。
【0092】
一方、制御信号発生部272が理想的な動作をしていない場合、制御信号φ22および制御信号φ24のデューティ比が50%となるとは限らない。このとき、定常状態においてコンパレータ298の反転入力に入力される電圧は、蓄電セル222の電圧と蓄電セル224の電圧との中間値の電圧(E
2+E
4)/2から少しずれた値を中心として周期的に増減する。
【0093】
コンパレータ298の非反転入力には、分圧回路295により、蓄電セル222の電圧と蓄電セル224の電圧との中間値の電圧(E
2+E
4)/2が入力される。したがって、制御信号φ22および制御信号φ24のデューティ比が50%でない場合には、コンパレータ298の非反転入力と反転入力との差に応じて、補正信号φ26が出力される。制御信号発生部272が補正信号φ26に基づいて、制御信号φ22および制御信号φ24の少なくとも一方のデューティ比を調整することで、蓄電セル222の電圧および蓄電セル224の電圧を精度よく均等化することができる。
【0094】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0095】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。