特許第5718792号(P5718792)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立造船株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5718792-浮体式フラップゲート 図000002
  • 特許5718792-浮体式フラップゲート 図000003
  • 特許5718792-浮体式フラップゲート 図000004
  • 特許5718792-浮体式フラップゲート 図000005
  • 特許5718792-浮体式フラップゲート 図000006
  • 特許5718792-浮体式フラップゲート 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5718792
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】浮体式フラップゲート
(51)【国際特許分類】
   E02B 7/44 20060101AFI20150423BHJP
   E02B 7/50 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   E02B7/44
   E02B7/50
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-244850(P2011-244850)
(22)【出願日】2011年11月8日
(65)【公開番号】特開2013-100681(P2013-100681A)
(43)【公開日】2013年5月23日
【審査請求日】2014年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089462
【弁理士】
【氏名又は名称】溝上 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100116344
【弁理士】
【氏名又は名称】岩原 義則
(74)【代理人】
【識別番号】100129827
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 進
(72)【発明者】
【氏名】森井 俊明
(72)【発明者】
【氏名】仲保 京一
(72)【発明者】
【氏名】木村 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】乾 真規
【審査官】 ▲高▼橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−253912(JP,A)
【文献】 特公昭31−002525(JP,B1)
【文献】 実開平01−176134(JP,U)
【文献】 実公昭39−019423(JP,Y1)
【文献】 実開昭53−043727(JP,U)
【文献】 実公昭37−025184(JP,Y1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0026660(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 7/20 − 7/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部或いは出入口に設置され、水が流入する際、前記開口部或いは前記出入口を遮断すべく、前記流入する水の方向に高さ方向の平面内で扉体の先端側が基端側を支点として起立揺動可能に構成した浮体式フラップゲートであって、
前記扉体の先端部にロープの一端を取付ける一方、ロープの他端は、固定及び移動兼用滑車、固定滑車、及びカウンタウエイトの吊り下げ滑車を介してドラムに取り付けると共に、前記ドラムには回転機構を設けてこのドラムの回転時のみ、ドラムの回転に伴って前記固定及び移動兼用滑車を固定滑車に接離移動可能に構成することで、
前記ドラムが非回転の常時は、起立又は倒伏途中における扉体の水平面に対する傾斜角が所定の範囲内の角度になった時に前記カウンタウエイトが最下点となるような位置に、前記固定及び移動兼用滑車が位置した状態で、水の流入、流出に伴ってカウンタウエイトが昇降することで、扉体の起立補助、起立完了時の衝撃吸収、倒伏時の水位追従を行い、
人為的な扉体の起伏操作時は、ストッパで前記カウンタウエイトの降下を阻止した状態で、回転機構により前記ドラムを正逆回転させることで、前記固定及び移動兼用滑車を前記固定滑車に対して接離移動させて扉体を起伏揺動させるようにしたことを特徴とする浮体式フラップゲート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば防波堤の開口部に設置され、増水時、増水した水が生活空間や地下空間に流れ込まないように、扉体を浮上させて前記開口部を遮断する浮体式フラップゲートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
増水時に、増水した水が生活空間や地下空間に流れ込まないように、流入しようとする水により発生する浮力を利用して扉体を浮上させ、例えば防波堤の開口部を遮断する浮体式フラップゲートがある(例えば特許文献1)。
【0003】
しかしながら、特許文献1で開示された浮体式フラップゲートは、流入初期の速度が速い場合には扉体1の浮上動作が遅れ、生活空間や地下空間に越流する問題がある(図6(a)参照)。
【0004】
また、水位が低下した際には、扉体1は、扉体1の1/3程度の高さの水位までは起立状態を維持し、その後急激に倒伏するという危険な挙動を示す(図6(b)参照)。
【0005】
前記問題点の内、流入初期の越流を防ぐために、一端にカウンタウエイトを取付けたロープの他端を、滑車を介して扉体に繋いだ浮体式フラップゲートが提案されている(例えば特許文献2の図6)。
【0006】
この特許文献2の図6で提案された浮体式フラップゲートは、カウンタウエイトの重さで浮体式フラップゲートの浮力不足を補うことで、流入初期の扉体の浮上動作の遅れを解決している。
【0007】
しかしながら、特許文献2の図6で提案された浮体式フラップゲートのように、常時、扉体の浮上動作を助ける方向にカウンタウエイトの重さを作用させる場合は、水位低下時の倒伏がし難くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−214425号公報
【特許文献2】特開2003−253912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする問題点は、流入初期に扉体の浮上動作が遅れて生活空間や地下空間へ越流する浮体式フラップゲートの問題を解決すべく、扉体の浮上動作を常時補助する装置を設置した場合、水位低下時の倒伏がし難くなるという点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、流入初期に扉体の浮上動作が遅れて生活空間や地下空間へ越流することがなく、また、水位低下時にも倒伏がし難くなることがなく、かつ急激に倒伏するという危険な挙動もないようにすることを目的としてなされたものである。
【0011】
加えて、本発明は、点検時に起立させたい場合や、事前に起立させておきたい場合に、これらの起立を容易に行えるようにすることを第2の目的としてなされたものである。
【0012】
本発明の浮体式フラップゲートは、
開口部或いは出入口に設置され、水が流入する際、前記開口部或いは前記出入口を遮断すべく、前記流入する水の方向に高さ方向の平面内で扉体の先端側が基端側を支点として起立揺動可能に構成した浮体式フラップゲートであって、
前記扉体の先端部にロープの一端を取付ける一方、ロープの他端は、固定及び移動兼用滑車、固定滑車、及びカウンタウエイトの吊り下げ滑車を介してドラムに取り付けると共に、前記ドラムには回転機構を設けてこのドラムの回転時のみ、ドラムの回転に伴って前記固定及び移動兼用滑車を固定滑車に接近移動可能に構成することで、
前記ドラムが非回転の常時は、起立又は倒伏途中における扉体の水平面に対する傾斜角が所定の範囲内の角度になった時に前記カウンタウエイトが最下点となるような位置に、前記固定及び移動兼用滑車が位置した状態で、水の流入、流出に伴ってカウンタウエイトが昇降することで、扉体の起立補助、起立完了時の衝撃吸収、倒伏時の水位追従を行い、
人為的な扉体の起伏操作時は、ストッパで前記カウンタウエイトの降下を阻止した状態で、回転機構により前記ドラムを正逆回転させることで、前記固定及び移動兼用滑車を前記固定滑車に対して接離移動させて扉体を起伏揺動させるようにしたことを最も主要な特徴としている。
【0013】
上記の本発明では、常時は、ドラムが非回転で、起立又は倒伏途中における扉体の水平面に対する傾斜角が所定の範囲内の角度、例えば起立完了時の扉体傾斜角が水平に対して90度の場合は10度〜80度内の角度になった時にカウンタウエイトが最下点となる位置に、固定及び移動兼用滑車が位置しているので、次のように扉体の起伏揺動が行われる。
【0014】
扉体の起立時は、カウンタウエイトが最下点となる位置までは、扉体はカウンタウエイトによって起立方向に引っ張られて起立を補助される。そして、カウンタウエイトが最下点となる位置を超えると、カウンタウエイトが抵抗となって扉体の起立速度が減速する。
【0015】
また、扉体の倒伏時は、カウンタウエイトが最下点となる位置までは、扉体はカウンタウエイトによって倒伏方向に引っ張られて水位の低下への追従を補助される。そして、カウンタウエイトが最下点となる位置より倒伏すると、カウンタウエイトが抵抗となって扉体の倒伏速度が減速する。
【0016】
一方、人為的な扉体の起伏操作時は、次のように扉体の起伏揺動を行う。
まず、ストッパでカウンタウエイトの降下を阻止する。扉体の起立時は、前記カウンタウエイトの降下を阻止した状態で回転機構を駆動し、ドラムを回転させる。ドラムの回転により、固定及び移動兼用滑車が固定滑車に向けて接近移動しつつロープがドラムに巻き取られて倒伏状態の扉体が起立揺動する。
【0017】
また、扉体の倒伏時は、前記カウンタウエイトの降下を阻止した状態で回転機構を駆動してドラムを反転させれば、ドラムの反転により、固定及び移動兼用滑車が固定滑車から離反する方向に移動しつつロープがドラムから巻き戻されて起立状態の扉体が倒伏揺動する。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、常時は、起立又は倒伏途中における扉体の水平面に対する設定傾斜角を分岐点として、扉体の起立又は倒伏を補助したり、起立又は倒伏の抵抗となるので、流入初期には越流を防止できるのと共に、倒伏完了前には急激な倒伏を防止できる。また、起立完了時の衝撃を緩和できるのと共に、倒伏初期には水位ヘの追従性が良くなる。
【0019】
一方、人為的な扉体の起伏操作時は、ストッパでカウンタウエイトの降下を阻止した後に、ドラムを正逆方向に回転させるだけで扉体の起伏を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の浮体式フラップゲートの概略構成図である。
図2】本発明の浮体式フラップゲートの人為的な扉体の起伏動作を行う機構について説明する図で、(a)は側面方向から見た図、(b)は平面方向から見た図である。
図3】本発明の浮体式フラップゲートにおける扉体の傾斜角度とカウンタウエイトによる扉体起立方向の旋回力の一例を示した図である。
図4】本発明の浮体式フラップゲートの、常時における動作原理を説明する図で、(a)は流入初期、(b)は起立又は倒伏中期、(c)は起立後期、(d)は倒伏初期、(e)は倒伏後期を示した図である。
図5】本発明の浮体式フラップゲートの、人為的な扉体の起伏操作時における動作原理を説明する図で、(a)は起立前、(b)は起立中期、(c)は起立完了期、(d)は倒伏後期を示した図である。
図6】従来の浮体式フラップゲートの問題点を説明する図で、(a)は流入初期、(b)は水位低下時を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、流入初期に生活空間や地下空間へ越流せず、また、水位低下時にも倒伏がし難くならず、かつ急激に倒伏しないようにするという目的を、起立又は倒伏途中における扉体の水平面に対する設定傾斜角を分岐点として、扉体の起立又は倒伏を補助したり、起立又は倒伏の抵抗となるようにすることで実現した。
【0022】
また、点検時に起立させたい場合や、事前に起立させておきたい場合に、これらの起立を容易に行えるようにするという目的を、ストッパでカウンタウエイトの降下を阻止した後に、ドラムを回転させることで実現した。
【実施例】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態を、図1図5を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の浮体式フラップゲートの概略構成を示した図である。
【0024】
図1において、11は例えば防波堤の、開口部の路面rsに設置される本発明の浮体式フラップゲートである。この浮体式フラップゲート11は、海洋(或いは河川)から生活空間や地下空間に水wが流入しようとする際、流入する水wによって発生する浮力および水圧を利用して、基端側12aを支点として扉体12の先端側12bを起立揺動させて開口部を水密状態に遮断するものである。
【0025】
この浮体式フラップゲート11を構成する扉体12は、遮断する開口部の幅が広い場合は、複数の扉体12を開口部の幅方向に連結した構成とされ、各扉体12間は扉間水密ゴムによって連結されている。また、両側の扉体12の、防波堤の開口部に設けた戸当りと相対する側には水密ゴムが設けられている。
【0026】
図1に示す本発明の浮体式フラップゲート11は、例えば扉体12の先端部の幅方向全域に1本のロッド13が取付けられ、水圧荷重の支持とワイヤロープ14の一端を取付ける機能を有している。
【0027】
前記ワイヤロープ14の他端は、固定及び移動兼用滑車15、固定滑車16、及びカウンタウエイト17を吊り下げた吊り下げ滑車18を介してドラム19に取り付けられている。
【0028】
このうち、固定及び移動兼用滑車15は、戸当り20の、倒伏時の扉体12の先端上方から扉体12の基端側に向けて水平移動が自在なように取り付けられている。また、固定滑車16は、扉体12の基端側の前記固定及び移動兼用滑車15と同一高さ位置に設置されている。
【0029】
一方、ドラム19は、前記固定滑車16を挟んで前記固定及び移動兼用滑車15と反対側に設置され、これらドラム19と固定滑車16の間にカウンタウエイト17の吊り下げ滑車18が昇降自在にワイヤロープ14によって吊り下げられている。
【0030】
21は前記ドラム19の回転機構であり、例えば図2に示すように、ウォームギヤ減速機の出力軸に取り付けたスプロケット21aとドラム19の回転軸19aに取り付けたスプロケット21b間にチェーン21cで巻き回してドラム19を正逆回転するようになっている。なお、図2中の22はドラム19を回転自在に支持する軸受である。
【0031】
また、本発明では、前記ドラム19の回転により固定及び移動兼用滑車15が固定滑車16に対して接離移動可能なように構成している。
【0032】
例えば図2では、固定及び移動兼用滑車15の反固定滑車16側にスプロケット22aを回転自在に配置し、このスプロケット22aと前記回転軸19aに取り付けたスプロケット22b間に巻き回したチェーン22cに固定及び移動兼用滑車15の回転軸15aを取り付けたものを示している。このような構成の場合、ドラム19の回転に同調して固定及び移動兼用滑車15が固定滑車16に対して接離移動するようになる。
【0033】
また、図2では、前記固定及び移動兼用滑車15の固定滑車16への接離移動を円滑に行うため、固定及び移動兼用滑車15の回転軸15aの両端に車輪22dを取り付け、子の車輪が固定及び移動兼用滑車15と固定滑車16間に敷設されたガイドレール22e上を移動するものを示している。
【0034】
本発明例のように、起立完了時の扉体12の傾斜角θを例えば水平より90度とするならば、常時における前記固定及び移動兼用滑車15は、扉体12が起立揺動したときの水平面に対する傾斜角θ(図3参照)が例えば45度になった時に前記カウンタウエイト17が最下点となる位置となるようにしている。
【0035】
発明者らの調査結果によれば、起立完了時の扉体傾斜角が水平より例えば90度のフラップゲートでは、カウンタウエイト17が最下点となる前記傾斜角θは10度〜80度の範囲であれば問題がないことが分かっている。なお、起立完了時の扉体傾斜角が水平より90度未満、例えば75度のフラップゲートでは、カウンタウエイト17が最下点となる前記傾斜角θの問題の無い範囲の上限は、起立完了時の扉体傾斜角が水平より90度の場合の80度よりも小さい値になることは言うまでもない。
【0036】
上記構成の本発明の浮体式フラップゲート11では、ドラム19が非回転の常時は、回転機構21は扉体12が倒伏する位置となるようにしておき、ドラム19の回転、及び固定及び移動兼用滑車15がウォームギヤ減速機のセルフロック機構により固定された状態としておく。そして、このような状態下における扉体12の起立時、及び扉体12の倒伏時は、以下に説明するような機能を奏する。
【0037】
(扉体12の起立時)
流入初期は、カウンタウエイト17が降下し、扉体12は起立方向に引っ張られて起立を補助される(図4(a)参照)。そして、水平面に対する扉体12の傾斜角θが例えば45度になると、扉体12とワイヤロープ14が一直線になり(図4(b)参照)、カウンタウエイト17は最下端の位置となる。水平面に対する扉体12の傾斜角θが例えば45度を超えると、扉体12の起立揺動により、カウンタウエイト17が上昇するので、カウンタウエイト17が抵抗となって扉体12の起立速度を減速し、起立完了時の衝撃力を緩和する(図4(c)参照)。
【0038】
(起立状態の扉体12の倒伏時)
倒伏初期は、カウンタウエイト17が下降し、扉体12は倒伏方向に引っ張られて水位の低下に追従して倒伏する(図4(d)参照)。そして、水平面に対する扉体12の傾斜角θが例えば45度になると、扉体12とワイヤロープ14が一直線になり(図4(b)参照)、カウンタウエイト17は最下端の位置となる。水平面に対する扉体12の傾斜角が例えば45度より小さくなると、扉体12の倒伏により、カウンタウエイト17が上昇するので、カウンタウエイト17が抵抗となって扉体12の倒伏速度を減速し、倒伏完了時の衝撃力を緩和する(図4(e)参照)。
【0039】
本発明の浮体式フラップゲート11における上記の扉体12の傾斜角度θとカウンタウエイト20による扉体起立方向の旋回力の関係(例えば起立完了時の扉体傾斜角が水平より90度のフラップゲートの場合)を図3に示す。
【0040】
上記のように、本発明の浮体式フラップゲート11では、ドラム19が非回転の常時は、カウンタウエイト17を有する起立・倒伏機構を使って複数の機能を働かせることで、扉体12の起立補助、衝撃緩和、水位追従が可能となる。
【0041】
一方、上記構成の本発明の浮体式フラップゲート11では、点検時に起立させたい場合や、事前に起立させておきたい場合等の人為的な扉体12の起伏操作時は、以下に説明するようにして扉体12を起伏させる。
【0042】
先ず、扉体12の起立に先立ち、下限ストッパ23aをセットしてカウンタウエイト17が降下するのを阻止する。上限ストッパ23bは、カウンタウエイト17の上昇を阻止するために、カウンタウエイト17の上昇限位置に固定されている(図5(a)参照)。
【0043】
(扉体12の起立時)
下限ストッパ23aをセットしてカウンタウエイト17の昇降動を阻止した後は、回転機構21を駆動してドラム19を正回転させる。ドラム19の正回転に伴い、固定及び移動兼用滑車15が、図5(b)のように固定滑車16に向けて接近移動しつつワイヤロープ14をドラム19に巻き取り、図5(c)のように倒伏状態の扉体12を起立揺動する。
【0044】
(起立状態の扉体12の倒伏時)
扉体12の倒伏時は、カウンタウエイト17の昇降動を阻止した状態で回転機構21を駆動してドラム19を反転させる。ドラム19の反転に伴い、固定及び移動兼用滑車15が、図5(d)のように固定滑車16から離反する方向に移動しつつワイヤロープ14をドラムから巻き戻し、図5(a)のように起立状態の扉体12を倒伏させる。
【0045】
本発明は、前記の例に限るものではなく、請求項に記載の技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
【0046】
例えば、前記実施例では、扉体12の先端部の幅方向全域に1本のロッド13を取り付けたものを示したが、扉体12の両側に各々ロッド13を取り付けても良い。また、ロッド13の代わりに、扉体12の先端部に吊りピースを取付け、その吊りピースにワイヤロープ14の一端を取付けても良い。
【0047】
また、前記実施例では、ワイヤロープ14を使用しているが、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、アラミド系、ポリアリレート系、超高密度ポリエチレンなどの繊維ロープを使用しても良い。
【0048】
また、前記実施例では扉体12が単一の浮体で構成された浮体式フラップゲートを示したが、複数の浮体を高さ方向に連結した浮体連結式フラップゲートに適用しても良い。
【0049】
また、前記回転機構21の正逆回転は電動で行うものであっても、手動で行うものであっても良い。また、エンジン等を用いるものでも良い。
【0050】
また、減速機は前記実施例のようにセルフロック機構を有するウォームギヤを使用したものが望ましいが、扉体12の起伏動作時以外にロックする機能があれば、セルフロック機構を有さないギヤを使用したものにブレーキなどを併用したものでも良い。
【0051】
また、回転機構21からドラム19への動力の伝達、ドラム19から固定及び移動兼用滑車15への動力の伝達は、チェーン21c、22cとスプロケット21a,21b、22a,22bに限らず、巻き上げに合わせて位置を規定できるものであれば、ワイヤ駆動、送りねじ駆動等を使用しても良い。
【符号の説明】
【0052】
11 浮体式フラップゲート
12 扉体
12a 基端側
12b 先端側
13 ロッド
14 ワイヤロープ
15 固定及び移動兼用滑車
16 固定滑車
17 カウンタウエイト
18 カウンタウエイトの吊り下げ滑車
19 ドラム
21 回転機構
23a 下限ストッパ
23b 上限ストッパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6