【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するために、以下の形態または適用例を取ることが可能である。
[形態1]
イオンガス中の物体の発熱に基づいて、前記イオンガス中の所定領域の温度の分布を推定する温度分布推定装置であって、
前記所定領域の各位置における電位の分布を算出する電位分布算出部と、前記所定領域の各位置におけるイオンの速度の分布を算出するイオン速度分布算出部と、前記所定領域の各位置におけるイオンの密度の分布を算出するイオン密度分布算出部と、を有する装置によって算出された、前記所定領域の各位置における電位のデータとイオンの速度のデータとイオンの密度のデータとを取得し、
前記取得した各イオンの密度に基づいて、前記所定領域の各位置に存在するイオンが単位時間当たりに前記物体に衝突する数である衝突イオン数を算出する衝突イオン数算出部と、
前記取得した各イオンの速度のデータを用いて算出した前記各イオンの運動エネルギと、前記取得した各電位のデータを用いて算出した前記各イオンの電位エネルギとに基づいて、前記各イオンが前記物体に衝突した際に該物体に与えるエネルギである衝突エネルギを算出する衝突エネルギ算出部と、
前記取得した各イオンの速度のデータに基づいて、前記所定領域の各位置に存在するイオンが単位時間当たりに前記物体に衝突する頻度である衝突頻度を算出する衝突頻度算出部と、
前記衝突イオン数と前記衝突エネルギと前記衝突頻度とに基づいて、前記イオンの衝突による前記物体の発熱量の分布を算出することにより、前記所定領域の温度の分布を算出する温度分布算出部と、
前記算出した温度の分布を外部に出力する外部出力部と
を備える温度分布推定装置。
この温度分布推定装置によると、衝突イオン数と衝突エネルギと衝突頻度とに基づいて、イオン衝突に起因する発熱による温度分布を出力することができる。従って、イオン衝突に起因した物体の発熱による温度を予測することができる。
[形態2]
形態1記載の温度分布推定装置であって、さらに、前記外部出力部が出力した前記温度の分布を視認可能に表示する表示部を備える温度分布推定装置。
この温度分布推定装置によれば、イオン衝突に起因する発熱による温度分布を視認可能に表示することができる。
[形態3]
イオンガス中の物体の発熱に基づいて、前記イオンガス中の所定領域の温度の分布を推定する温度分布推定方法であって、
前記所定領域の各位置
において電位の分布を有する前記各位置における電位のデータを取得し、
前記所定領域の各位置
においてイオンの速度の分布を有する前記各位置におけるイオンの速度のデータを取得し、
前記所定領域の各位置
においてイオンの密度の分布を有する前記各位置におけるイオンの密度のデータを取得し、
前記取得した各イオンの密度に基づいて、前記所定領域の各位置に存在するイオンが単位時間当たりに前記物体に衝突する数である衝突イオン数を算出し、
前記取得した各イオンの速度のデータを用いて算出した前記各イオンの運動エネルギと、前記取得した各電位のデータを用いて算出した前記各イオンの電位エネルギとに基づいて、前記各イオンが前記物体に衝突した際に該物体に与えるエネルギである衝突エネルギを算出し、
前記取得した各イオンの速度のデータに基づいて、前記所定領域の各位置に存在するイオンが単位時間当たりに前記物体に衝突する頻度である衝突頻度を算出し、
前記衝突イオン数と前記衝突エネルギと前記衝突頻度とに基づいて、前記イオンの衝突による前記物体の発熱量の分布を算出することにより、前記所定領域の温度の分布を算出し、
前記算出した温度の分布を外部に出力する温度分布推定方法。
この温度分布推定方法によると、衝突イオン数と衝突エネルギと衝突頻度とに基づいて、イオン衝突に起因する発熱による温度分布を出力することができる。従って、イオン衝突に起因した物体の発熱による温度を予測することができる。
[形態4]
イオンガス中の物体の発熱に基づいて、前記イオンガス中の所定領域の温度の分布をシミュレーションするシミュレーション装置であって、
前記所定領域の各位置における電位の分布を算出する電位分布算出部と、前記所定領域の各位置におけるイオンの速度の分布を算出するイオン速度分布算出部と、前記所定領域の各位置におけるイオンの密度の分布を算出するイオン密度分布算出部と、前記所定領域の各位置におけるイオンの密度に基づいて、前記所定領域の各位置に存在するイオンが単位時間当たりに前記物体に衝突する数である衝突イオン数を算出する衝突イオン数算出部と、前記所定領域の各位置におけるイオンの速度のデータを用いて算出した各イオンの運動エネルギと、前記所定領域の各位置における電位を用いて算出した前記各イオンの電位エネルギとに基づいて、前記各イオンが前記物体に衝突した際に該物体に与えるエネルギである衝突エネルギを算出する衝突エネルギ算出部と、前記所定領域の各位置におけるイオンの速度のデータに基づいて、前記所定領域の各位置に存在するイオンが単位時間当たりに前記物体に衝突する頻度である衝突頻度を算出する衝突頻度算出部と、を有する装置によって算出された、前記所定領域の各位置における前記衝突イオン数と前記衝突エネルギと前記衝突頻度とを取得し、
前記衝突イオン数と前記衝突エネルギと前記衝突頻度とに基づいて、前記イオンの衝突による前記物体の発熱量の分布を算出することにより、前記所定領域の温度の分布を算出する温度分布算出部と、
前記算出した温度の分布を外部に出力する外部出力部と
を備えるシミュレーション装置。
このシミュレーション装置によると、衝突イオン数と衝突エネルギと衝突頻度とに基づいて、イオン衝突に起因する発熱による温度分布を出力することができる。
[適用例1]
イオンガス中の物体の発熱に基づいて、前記イオンガス中の所定領域の温度の分布を推定する温度分布推定装置であって、前記所定領域における電位のデータを取得する電位取得部と、前記所定領域におけるイオンの速度のデータを取得するイオン速度取得部と、前記所定領域におけるイオンの密度のデータを取得するイオン密度取得部と、前記取得したイオンの密度に基づいて、前記所定領域に存在するイオンが単位時間当たりに前記物体に衝突する数である衝突イオン数を算出する衝突イオン数算出部と、前記取得したイオンの速度のデータを用いて算出した前記所定領域における1つのイオンの運動エネルギと、前記取得した電位のデータを用いて算出した前記1つのイオンの電位エネルギとに基づいて、前記1つのイオンが前記物体に衝突した際に該物体に与えるエネルギである衝突エネルギを算出する衝突エネルギ算出部と、前記取得したイオンの速度のデータに基づいて、前記所定領域に存在するイオンが単位時間当たりに前記物体に衝突する頻度である衝突頻度を算出する衝突頻度算出部と、前記衝突イオン数と前記衝突エネルギと前記衝突頻度とに基づいて、前記イオンの衝突による前記物体の発熱量の分布を算出することにより、前記所定領域の温度の分布を算出する温度分布算出部と、前記算出した温度の分布を外部に出力する外部出力部とを備える温度分布推定装置。
【0007】
この温度分布推定装置によると、衝突イオン数と衝突エネルギと衝突頻度とに基づいて、イオン衝突に起因する発熱による温度分布を出力することができる。従って、イオン衝突に起因した物体の発熱による温度を予測することができる。
【0008】
[適用例2]
適用例1記載の温度分布推定装置であって、さらに、前記外部出力部が出力した前記温度の分布を視認可能に表示する表示部を備える温度分布推定装置。
この温度分布推定装置によれば、イオン衝突に起因する発熱による温度分布を視認可能に表示することができる。
【0009】
[適用例3]
イオンガス中の物体の発熱に基づいて、前記イオンガス中の所定領域の温度の分布を推定する温度分布推定方法であって、前記所定領域における電位のデータを取得し、前記所定領域におけるイオンの速度のデータを取得し、前記所定領域におけるイオンの密度のデータを取得し、前記取得したイオンの密度に基づいて、前記所定領域に存在するイオンが単位時間当たりに前記物体に衝突する数である衝突イオン数を算出し、前記取得したイオンの速度のデータを用いて算出した前記所定領域における1つのイオンの運動エネルギと、前記取得した電位のデータを用いて算出した前記1つのイオンの電位エネルギとに基づいて、前記1つのイオンが前記物体に衝突した際に該物体に与えるエネルギである衝突エネルギを算出し、前記取得したイオンの速度のデータに基づいて、前記所定領域に存在するイオンが単位時間当たりに前記物体に衝突する頻度である衝突頻度を算出し、前記衝突イオン数と前記衝突エネルギと前記衝突頻度とに基づいて、前記イオンの衝突による前記物体の発熱量の分布を算出することにより、前記所定領域の温度の分布を算出し、前記算出した温度の分布を外部に出力する温度分布推定方法。
【0010】
この温度分布推定方法によると、衝突イオン数と衝突エネルギと衝突頻度とに基づいて、イオン衝突に起因する発熱による温度分布を出力することができる。従って、イオン衝突に起因した物体の発熱による温度を予測することができる。
【0011】
[適用例4]
イオンガス中の物体の発熱に基づいて、前記イオンガス中の所定領域の温度の分布をシミュレーションするシミュレーション装置であって、前記所定領域に存在するイオンが単位時間当たりに前記物体に衝突する数である衝突イオン数を取得する衝突イオン数取得部と、前記所定領域における1つのイオンの運動エネルギと電位エネルギとに基づいて決定されるエネルギであって、前記1つのイオンが前記物体に衝突した際に該物体に与えるエネルギである衝突エネルギを取得する衝突エネルギ取得部と、前記所定領域に存在するイオンが単位時間当たりに前記物体に衝突する頻度である衝突頻度を取得する衝突頻度取得部と、前記衝突イオン数と前記衝突エネルギと前記衝突頻度とに基づいて、前記イオンの衝突による前記物体の発熱量の分布を算出することにより、前記所定領域の温度の分布を算出する温度分布算出部と、前記算出した温度の分布を外部に出力する外部出力部とを備えるシミュレーション装置。
【0012】
このシミュレーション装置によると、衝突イオン数と衝突エネルギと衝突頻度とに基づいて、イオン衝突に起因する発熱による温度分布を出力することができる。
【0013】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、ボンバード効果シミュレーション装置および方法、成膜方法、基材温度制御方法および装置、基材温度制御システム、それらの方法または装置の機能を実現するための集積回路、コンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。