(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車などの車両において、回動可能に枢支される複数のドア(以下、「車両用ドア」と記載する)には、既知の構成からなるドアチェッカーが各々配設されている。
前記ドアチェッカーは、各車両用ドアの開閉動作(回動動作)が行われる際に、前記開閉動作の方向と逆向きの力(以下、「開閉反力」と記載する)を、前記各車両用ドアに加えることによって、前記開閉動作を行うオペレータなどに「手応え」を感じさせるための部材である。
そして、前記「手応え」は、車両の高級感を演出するうえでも重要な要素であり、新型車種の開発現場などにおいては、各車両用ドアの開閉動作が繰り返し行われ、前記「手応え」に関する調整・評価が行われる。
【0003】
ここで、従来の開発現場における、前記「手応え」に関する調整・評価については、発現する開閉反力が各々異なる、複数のドアチェッカーを用いることによって行われていた。
具体的には、あるドアチェッカーによる「手応え」の調整・評価が完了すると、該ドアチェッカーは車両より取り外される。その後、別のドアチェッカーが車両に組み付けられ、当該ドアチェッカーによる「手応え」の調整・評価が行われるのである。
このようなことから、従来の開発現場においては、これら複数のドアチェッカーの製作費が嵩むばかりでなく、該ドアチェッカーの組み付け、取り外しが面倒であることから、経済的、且つ容易な前記「手応え」に関する調整・評価を行うための技術の開発が望まれていた。そして近年、このような要望を踏まえて、ドア開閉反力発生システムが開発されたのである。
【0004】
前記ドア開閉反力発生システムは、主に車両の外部に設置される治具装置や、前記ドア開閉反力発生システム全体の運転を制御する制御装置などによって構成される。ここで、前記治具装置は、一端部において車両用ドアに連結される連結アームや、該連結アームの他端部において出力軸を介して連結される駆動部などにより構成される。
そして、ドア開閉反力発生システムにおいては、車両用ドアの開閉動作(回動動作)に伴って、所望の大きさの前記開閉反力が、駆動部の出力軸より連結アームを介して、前記車両用ドアに加えられるようになっている。
【0005】
このようなことから、ドア開閉反力発生システムによれば、複数のドアチェッカーを用いる必要がないため、従来の場合と比べてコストの削減が図られ、前記「手応え」に関する調整・評価を経済的に行うことができるのである。
また、ドア開閉反力発生システムによれば、駆動部によって出力軸に加えられる力(トルク)を変更することによって、連結アームを介して車両用ドアに加えられる開閉反力の大きさを任意に変更することができるため、従来の場合のように、ドアチェッカーの組み付け、取り外しを繰返す必要もなくなり、前記「手応え」に関する調整・評価を容易に行うことができるのである。
【0006】
ところで、車両の車種によっては、車両用ドアの開閉動作を補助するためのモータ機構部が、車両本体と車両用ドアとの間に配設されているものも存在する(例えば、「特許文献1」を参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記「特許文献1」に示すような、車両用ドアの開閉動作を補助するためのモータ機構部が備えられるか否かに関わらず、ドア開閉反力発生システムによって、車両用ドアの開閉動作に伴う「手応え」を正確に調整・評価するためには、前記車両用ドアの状態を自然な状態(即ち、車両用ドアの開閉動作に伴って、該車両用ドアが外部からの影響を受けない状態)に保つことが必要である。
しかし、車両用ドアの開閉動作に伴い、当該車両用ドアにドア開閉反力発生システムからの開閉反力が加えられる際には、ドア開閉反力発生システム(より詳しくは、治具装置の連結アーム。以下同じ。)の可動箇所に慣性モーメントが発生し、前記車両用ドアに加えられる開閉反力に影響を及ぼすこととなる。
その結果、自然な状態における車両用ドアの開閉動作によって発生する「手応え」と、ドア開閉反力発生システムによって車両用ドアに与えられる「手応え」との間に誤差が生じることとなり、ドア開閉反力発生システムによって、車両用ドアの開閉動作に伴う「手応え」を正確に調整・評価することが困難となる。
【0009】
このようなことから、ドア開閉反力発生システムの運転に関するプログラム上において、当該ドア開閉反力発生システムの可動箇所に発生する慣性モーメントを予め設定しておき、前記ドア開閉反力発生システムによって車両用ドアに開閉反力を加える際は、常に前記慣性モーメントによる影響を差し引くことによって、車両用ドアの開閉動作に伴う「手応え」を正確に調整・評価することも考えられる。
しかし、車両用ドアの開閉動作は、例えばオペレータなどの人力によって行われるところ、前記開閉動作時における角速度は、一定に保持されることなく常に変動することとなり、治具装置の可動箇所に発生する慣性モーメントも常に変動する。
従って、前述したようなドア開閉反力発生システムの運転に関するプログラム上において、慣性モーメントを予め設定することは困難であり、ドア開閉反力発生システムによって、車両用ドアの開閉動作に伴う「手応え」を正確に調整・評価することは困難である。
【0010】
本発明は、以上に示した現状の問題点を鑑みてなされたものであり、回動可能に枢支される車両用ドアの開閉動作に伴って、該開閉動作の方向と逆向きの反力を前記車両用ドアに加えることによって、前記開閉動作に伴う「手応え」を与えるためのドア開閉反力発生システムであって、当該ドア開閉反力発生システムの可動箇所に発生する慣性モーメントによる影響を受けることなく、前記「手応え」を正確に調整・評価することができる開閉反力発生システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0012】
即ち、請求項1においては、回動可能に枢支される車両用ドアの開閉動作に伴って、該開閉動作の方向と逆向きの反力を前記車両用ドアに加えるためのドア開閉反力発生システムであって、前記車両用ドアの開閉状態を回動角度によって把握して検出する開閉角度検出手段と、前記車両用ドアの開閉加速度を角加速度によって把握して検出する角加速度検出手段と、
前記車両用ドアの開閉動作に伴って慣性トルクが発生するとともに、前記車両用ドアに前記反力を加える反力発生装置と、前記開閉角度検出手段、
前記角加速度検出手段
、及び前記反力発生装置と電気的に接続されるとともに、前記車両用ドアに対して適切な手応えを付与するために必要な前記反力と、前記車両用ドアの回動角度との関係を示した反力/角度マップ、及び前記車両用ドアの開閉動作に伴って前記反力発生装置に発生する
前記慣性トルクを算出するための慣性力演算式が、予め内部に格納される制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記反力/角度マップに基づいて、前記開閉角度検出手段によって検出した回動角度に対応する前記反力を、加算出力として算出するとともに、前記慣性力演算式に基づいて、前記角加速度検出手段によって検出した角加速度に対応する前記慣性トルクを、減算出力として算出し、前記加算出力と前記減算出力との代数和によって、前記車両用ドアに加える前記反力を算出して、出力信号として前記反力発生装置に送信
し、
前記反力発生装置は、前記制御装置からの出力信号に基づいて、前記車両用ドアに前記反力を加えるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明におけるドア開閉反力発生システムによれば、当該ドア開閉反力発生システムの可動箇所に発生する慣性モーメントによる影響を受けることなく、前記車両用ドアの開閉動作に伴う「手応え」を正確に調整・評価することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[反力発生システム1]
先ず、本発明に係るドア開閉反力発生システムを具現化する反力発生システム1の全体構成について、
図1及び
図4を用いて説明する。
反力発生システム1は、例えば自動車などの車両100に備えられるドア(以下、「車両用ドア」と記載する)101に対して、車両用ドア101の開閉動作を行う際の「手応え」を、車両100の外部より与えるためのシステムである。
より具体的には、反力発生システム1は、回動軸101aを介して、車両100に回動可能に枢支される車両用ドア101に対して、該車両用ドア101の開閉動作(回動動作)に同調しつつ、前記開閉動作の方向と逆向きの反力(以下、「開閉反力」と記載する)を、車両100の外部より加えることによって、前記車両用ドア101を開閉操作するオペレータなどに、「手応え」を感じさせるためのシステムである。
【0017】
反力発生システム1は、
図1に示すように、主に反力発生装置2や、検出器群3(より具体的には、開閉角度センサー31及び角加速度センサー32)や、システム(反力発生システム1)全体の運転を制御する制御装置4などにより構成される。
【0018】
反力発生装置2は、制御装置4と電気的に接続されるとともに、該制御装置4からの出力信号に基づいて、車両用ドア101の開閉動作に伴う「手応え」を生み出すための「開閉反力」を、実際に発生させるための装置である。
反力発生装置2は、治具装置21や指令装置22などにより構成される。
【0019】
治具装置21は、車両用ドア101と直接的に連結され、該車両用ドア101に「開閉反力」を加えるための装置である。
治具装置21は、例えばリンク機構からなる連結アーム21aや、既知のサーボモータからなる駆動部21bなどにより構成される。
【0020】
連結アーム21aは水平方向に延出するようにして配設される。一方、駆動部21bは、出力軸21cを直立させて配設される。
そして、連結アーム21aは、その一端において、車両用ドア101のドアハンドル101b(或いは、ドアパネルであってもよい)と連結されるとともに、その他端において、駆動部21bの出力軸21cと連結される。
【0021】
このような構成からなる治具装置21において、例えば、車両用ドア101が開方向(
図1における矢印X1の方向。以下同じ。)に動作されると、駆動部21bの出力軸21cには、平面視時計回り方向(
図1における矢印Y1の方向。以下同じ。)の回転力が、連結アーム21aを介して加えられる。
よって、反力発生システム1においては、平面視時計回り方向に回転される出力軸21cに対して、平面視反時計回り方向(
図1における矢印Y2の方向。以下同じ。)の回転トルクを加えることによって、車両用ドア101に、閉方向(
図1における矢印X2の方向。以下同じ。)に向かう力を、「開閉反力」として連結アーム21aを介して加え、これにより、前記車両用ドア101を開閉操作するオペレータなどに、「手応え」を感じさせるように構成している。
【0022】
一方、例えば、車両用ドア101が閉方向に動作されると、駆動部21bの出力軸21cには、平面視反時計回り方向の回転力が、連結アーム21aを介して加えられる。
よって、反力発生システム1においては、平面視反時計回り方向に回転される出力軸21cに対して、平面視時計回り方向の回転トルクを加えることによって、車両用ドア101に、開方向に向かう力を、「開閉反力」として連結アーム21aを介して加え、これにより、前記車両用ドア101を開閉操作するオペレータなどに、「手応え」を感じさせるように構成している。
【0023】
なお、治具装置21の構成は、本実施例によるものに限定されるものではない。
即ち、制御装置4からの出力信号に基づいて、開閉動作(回動動作)が行われる車両用ドア101に「開閉反力」を加えることが可能な構成であればよい。
【0024】
指令装置22は、制御装置4からの出力信号に基づいて、治具装置21(より具体的には駆動部21b)を駆動させるための装置である。
指令装置22は、所謂既知のサーボドライバであって、制御装置4及び駆動部21b(本実施例においては、サーボモータ)と、電気的に接続されている。
【0025】
そして、指令装置22は、制御装置4からの出力信号を受信すると、該出力信号に基づいて、駆動部21bに関する駆動指令を演算し、電気信号として該駆動部21bへと送信する。すると、前記電気信号を受信した駆動部21bは、前記電気信号に基づいて駆動される。
こうして、指令装置22は、制御装置4からの出力信号に基づいて、駆動部21bを駆動させるのである。
【0026】
なお、本実施例における反力発生装置2においては、治具装置21の駆動部21bが、サーボモータによって構成されることから、該駆動部21bの駆動指令を行う指令装置22(サーボドライバ)を別途設ける構成となっている。
しかし、これに限定されるものではなく、例えば、指令装置22を設けることなく、制御装置4によって、治具装置21の駆動部21bに対して、直接駆動指令を行うような構成としてもよい。
【0027】
次に、検出器群3について説明する。
検出器群3は、制御装置4と電気的に接続される開閉角度センサー31や角加速度センサー32などによって構成される。
【0028】
開閉角度センサー31は、車両用ドア101の開閉状態を数値的に把握するための検出手段として、反力発生システム1に備えられる検出器である。
開閉角度センサー31は、例えば車両用ドア101の回動軸101a近傍に配設され、該車両用ドア101の開閉状態を、回動軸101aを中心とする回動角度(
図1における角度θ。以下、「開閉角度」と記載する)として、数値的に把握して検出する。
【0029】
角加速度センサー32は、治具装置21(より具体的には、駆動部21bの出力軸21c)の角加速度を数値的に把握するための検出手段として、反力発生システム1に備えられる検出器である。
角加速度センサー32は、例えば治具装置21に備えられる駆動部21bの出力軸21c近傍に配設され、車両用ドア101の開閉動作に連動して、前記車両用ドア101と一体的に回転される前記出力軸21cの角加速度を検出する。
換言すれば、角加速度センサー32は、車両用ドア101の開閉加速度として、出力軸21cの角加速度を検出する。
【0030】
次に、制御装置4について説明する。
制御装置4は、記憶部や演算部を備えた、反力発生システム1全体の運転を制御するための装置であって、入力手段として、前記検出器群3などと電気的に接続される一方、出力手段として、前記反力発生装置2(より具体的には、指令装置22)などと電気的に接続される。
そして、制御装置4は、検出器群3によって検出される様々な測定結果に基づいて、指令装置22に出力信号を送信し、治具装置21(より具体的には、駆動部21b)の駆動・停止に関する動作を制御することで、反力発生システム1全体の運転の制御を行うように構成されているのである。
【0031】
ところで、
図4に示すように、従来の車両100に関する開発現場においては、複数種類のドアチェッカー102・102・・・(
図4(b)を参照)を、予め試作品として用意しておき、車両用ドア101の回動軸101a近傍に、各ドアチェッカー102を順次組付けたうえで、オペレータなどが、既知の荷重計103を介してドアハンドル101bを操作し、車両用ドア101の開閉動作を繰り返し実行しながら、該開閉動作を行う際の「手応え」の評価を行っていた。
よって、従来においては、試作品である複数のドアチェッカー102・102・・・の製作費が嵩むとともに、各ドアチェッカー102を車両100に組付ける際の手間もかかるため、容易、且つ経済的に、車両用ドア101の開閉動作を行う際の「手応え」の評価を行うことができる方法を見出すことが望まれていた。
【0032】
なお、
図4(b)に示すように、ドアチェッカー102は、例えば、緩やかに湾曲しつつ延出する板状部材からなるチェックレバー102aや、該チェックレバー102aを内部に挿入しつつ、内装する複数の球体(図示せず)などによって、前記チェックレバー102aの表裏両面を挟持するホルダー102bなどから構成される。
前記チェックレバー102aの表裏両面には、複数の隆起部が形成される。また、チェックレバー102aは、車両用ドア101の開閉動作に伴って、ホルダー102bの内部を摺動移動するように構成されている。
そして、ホルダー102b内におけるチェックレバー102aの隆起部の形状(より詳しくは、隆起部の高さ)が、車両用ドア101の開閉動作に伴って変化することにより、該開閉動作を行う際の「手応え」も、該開閉動作に伴って変化するのである。
【0033】
このようなことから、本実施例の反力発生システム1においては、車両用ドア101の開閉動作に伴って、車両用ドア101に加えられる「手応え」を変化させて、車両用ドア101の開閉動作を行う際の「手応え」の評価を行うこととしている。
具体的には、反力発生システム1においては、治具装置21の駆動部21b(より具体的には、出力軸21c)に加えられる回転トルク(車両用ドア101に加える反力)を変化させることによって、車両用ドア101の開閉動作を行う際の「手応え」を任意に変化させることとしている。これにより、従来のような複数種類のドアチェッカー102・102・・・を試作品として製作する必要もなく、経済的且つ容易に車両用ドア101の開閉動作を行う際の「手応え」の評価を行うことが可能となっている。
また、前記「手応え」の評価を行う車両用ドア101のドアハンドル101bに、治具装置21の連結アーム21aを一旦連結させれば、その後、前記評価が完了するまで、ドアハンドル101bと連結アーム21aとを再び連結し直すこともないので、従来のような各ドアチェッカー102を車両100に組付ける際の手間がかかることはなく、容易に前記評価をおこなうことができるのである。
【0034】
ここで、本実施例における反力発生システム1においては、前述したように、車両用ドア101の開閉動作に伴って、連結アーム21aを介して治具装置21の駆動部21b(より具体的には、出力軸21c)が回転することにより、該駆動部21bに慣性トルクが発生し、発生した慣性トルクが車両用ドア101に加える反力である前記回転トルクに加算されるため、そのままでは意図する適切な「手応え」を車両用ドア101に与えることが困難となる。
従って、本実施例における反力発生システム1においては、後述するように、車両用ドア101の開閉動作に伴って回転される出力軸21cの角加速度に基づいて、該出力軸21cに発生し得る慣性トルクの値を算出し、該算出値を除いた回転トルクを出力軸21cに加えることによって、意図する適切な「手応え」を、車両用ドア101に与えるような制御を行っているのである。
【0035】
[運転手順]
次に、本実施例における反力発生システム1の運転手順について、
図2及び
図3を用いて説明する。
なお、前記運転手順の内容については、車両用ドア101の動作が「開動作」及び「閉動作」の何れの場合であっても、略同様の内容となることから、以下の説明においては、主に、「開動作」が行われる際の車両用ドア101に対する、反力発生システム1の運転手順について記載し、「閉動作」が行われる際の車両用ドア101に対する、反力発生システム1の運転手順については、相異点についてのみ記載する。
【0036】
先ず始めに、「閉状態」(
図1において、車両用ドア101Aによって示される状態)にある車両用ドア101の近傍に、治具装置21が配設され、該治具装置21の連結アーム21aの先端部と、車両用ドア101のドアハンドル101b(或いは、ドアパネルであってもよい)とが、互いに連結される。
【0037】
そして、
図2に示すように、例えば、オペレータなどによる人力や、モータなどの動力によって、前記車両用ドア101の開閉動作(本実施例においては、開動作)が開始される(ステップS101)。
すると、治具装置21の駆動部21b(より具体的には、出力軸21c)は、連結アーム21aを介して、車両用ドア101の開動作に連動して回動動作を開始する。
【0038】
車両用ドア101の開動作が開始すると、制御装置4は、開閉角度センサー31によって、現時点における車両用ドア101の開閉角度を検出する(ステップS102)。
そして、開閉角度センサー31によって得られた検出結果(以下、「開閉角度(ra)」と記載する)は、制御装置4の記憶部に記憶される。
【0039】
一方、制御装置4の記憶部には、反力/角度マップ5(
図3を参照)が予め格納されている。
そして、制御装置4は、前記検出結果である開閉角度(ra)とともに、反力/角度マップ5を演算部に読み出し、該反力/角度マップ5に基づいて、前記開閉角度(ra)に応じた開閉荷重(Pa)を、加算出力として算出するのである(ステップS103)。
【0040】
ここで、反力/角度マップ5の具体的内容について、
図3を用いて説明する。
図3は、縦軸に開閉荷重(単位[N])を表し、横軸に開閉角度(単位[deg])を表すこととして、これら両者の関係を、連続線によって示したものである。つまり、反力/角度マップ5は、車両用ドア101の開閉動作の方向と逆向きの方向に作用することにより、車両用ドア101に対して適切な「手応え」を付与するために必要な反力と、車両用ドア101の回動角度との関係を示したマップである。
【0041】
なお、本図において、開閉荷重は、開閉動作実行中の車両用ドア101に加えられる開閉抵抗力(反力)として、予め設定された荷重を示す。
また、本図においては、車両用ドア101に対して、当該車両用ドア101の閉方向(矢印X2の方向)に作用する開閉荷重(反力)を「正の数値」によって表し、車両用ドア101に対して、当該車両用ドア101の開方向(矢印X1の方向)に作用する開閉荷重(反力)を「負の数値」によって表すこととしている。
さらに、開閉角度が0[deg]の状態とは、車両用ドア101が「閉状態」であることを示し、開閉角度がR[deg](但し、R>0)の状態とは、車両用ドア101が「全開状態」(即ち、車両用ドア101の回動角度が最大値となる状態)であることを示す。
【0042】
本図に示すように、「開動作」が行われる車両用ドア101において、該車両用ドア101の開閉荷重と開閉角度との両者の関係は、実線によって表される連続線L1によって示される。また、「閉動作」が行われる車両用ドア101において、該車両用ドア101の開閉荷重と開閉角度との両者の関係は、二点鎖線によって表される連続線L2によって示される。
【0043】
そして、本実施例に示すように、例えば、「開動作」が行われる車両用ドア101に対して、開閉角度センサー31によって検出された開閉角度が、r1[deg]であった場合、制御装置4は、反力/角度マップ5の連続線L1に基づいて、開閉角度r1[deg]に対応する開閉荷重p1[N]を、加算出力として算出するのである。
【0044】
また、前記ステップS101における車両用ドア101の開動作が開始されると、換言すれば、治具装置21において、前記車両用ドア101の開動作に連動して、駆動部21bの出力軸21cが、連結アーム21aを介して回動動作を開始すると、制御装置4は、角加速度センサー32を通じて、現時点における治具装置21(より具体的には、駆動部21bの出力軸21c)の角加速度を検出する(ステップS104)。
そして、角加速度センサー32によって得られた検出結果(以下、「角加速度(αa)」と記載する)は、制御装置4の記憶部に記憶される。
【0045】
一方、制御装置4の記憶部には、後述する「慣性力演算式」が予め格納されている。
そして、制御装置4は、前記検出結果である角加速度(αa)とともに、前記「慣性力演算式」をあらたに演算部に読み出し、前記「慣性力演算式」に基づいて、前記角加速度(αa)に応じた出力軸21cの慣性トルク(Ta)を、減算出力として算出するのである(ステップS105)。
【0046】
なお、前記「慣性力演算式」は、次の式(数1)によって与えられる。
【0048】
ここで、Tは、車両用ドア101の開閉動作に連動して出力軸21cが回動される際に、該出力軸21cに発生する、前記回動動作と逆向きの慣性トルク(単位[N・m])を示す。また、Iは、出力軸21c固有の慣性モーメント(単位[Kg・m
2])を示す。さらに、αは、ある瞬間における出力軸21cの角加速度(単位[rad/sec
2])を示す。
【0049】
こうして、前記ステップS103において得られた加算出力としての開閉荷重(Pa)、及び前記ステップS105において得られた減算出力としての慣性トルク(Ta)に基づいて、制御装置4は、代数和の演算を実行し(Pa−Ta)、治具装置21の駆動部21b(より具体的には、出力軸21c)に加える適切な回転トルク(Tu=Pa−Ta、単位[N・m])を算出する(ステップS106)。
【0050】
そして、算出されたトルク(Tu)に基づいて、制御装置4は、指令装置22に出力信号を送信し、該指令装置22により、治具装置21の駆動部21b(サーボモータ)の出力軸21cに、前記回転トルク(Tu)を出力させる(ステップS107)。
【0051】
その後、現時点において、車両用ドア101の開閉動作(本実施例においては、開動作)が終了しているか否かが判断され(ステップS108)、終了していなければ、再び前記ステップS102及びステップS104が実行され、終了していれば、反力発生システム1の運転は終了する。
【0052】
以上のように、本実施例における反力発生システム1は、回動可能に枢支される車両用ドア101の開閉動作に伴って、該開閉動作の方向と逆向きの反力(開閉反力)を前記車両用ドア101に加えるためのドア開閉反力発生システムであって、前記車両用ドア101の開閉状態を回動角度(θ)によって把握して検出する開閉角度センサー(開閉角度検出手段)31と、前記車両用ドア101の開閉加速度を角加速度(αa)によって把握して検出する角加速度センサー(角加速度検出手段)32と、前記開閉角度センサー(開閉角度検出手段)31、及び前記角加速度センサー(角加速度検出手段)32と電気的に接続されるとともに、前記車両用ドア101に対して適切な手応えを付与するために必要な前記反力(開閉反力)と、前記車両用ドア101の開閉角度(回動角度)との関係を示した反力/角度マップ5、及び前記車両用ドア101の開閉動作に伴って前記反力発生装置2に発生する慣性トルク(Ta)を算出するための慣性力演算式(数1)が、予め内部に格納される制御装置4と、該制御装置4と電気的に接続されるとともに、該制御装置4からの出力信号に基づいて、前記車両用ドア101に前記反力(開閉反力)を加える反力発生装置2と、を備え、前記制御装置4は、前記反力/角度マップ5に基づいて、前記開閉角度センサー(開閉角度検出手段)31によって検出した開閉角度(回動角度)(ra)に対応する前記開閉荷重(反力)(Pa)を、加算出力として算出するとともに、前記慣性力演算式(数1)に基づいて、前記角加速度センサー(角加速度検出手段)32によって検出した角加速度(αa)に対応する前記慣性トルク(Ta)を、減算出力として算出し、前記加算出力である開閉荷重(Pa)、及び前記減算出力である慣性トルク(Ta)との代数和(Pa−Ta)によって、前記車両用ドア101に加える前記反力(開閉反力)、即ち、反力発生装置2の駆動部21b(より具体的には、出力軸21c)に加えられる適切な回転トルク(Tu)を算出して、出力信号として前記反力発生装置2に送信することとしている。
【0053】
このように、本実施例における反力発生システム1においては、出力軸21cに加えられた回転トルクの角加速度(αa)に基づいて、該出力軸21cに加算され得る慣性モーメントによる影響、即ち慣性トルク(Ta)の値を予め算出し、該慣性トルク(Ta)を除いた回転トルク(Tu)を出力軸21cに加えることによって、意図する適切な「手応え」を、車両用ドア101に与えるような制御を行っているのである。
【0054】
従って、本実施例における反力発生システム1によれば、当該反力発生システム1の可動箇所、即ち、反力発生装置2の駆動部21b(より具体的には、出力軸21c)に発生する慣性モーメントによる影響を受けることもなく、前記車両用ドア101の開閉動作に伴う「手応え」を正確に調整・評価することができるのである。