特許第5718807号(P5718807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5718807自己抗体の除去による閉塞性血栓血管炎の治療
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5718807
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】自己抗体の除去による閉塞性血栓血管炎の治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20150423BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20150423BHJP
   A61K 35/14 20150101ALI20150423BHJP
【FI】
   A61K39/395 A
   A61P7/02
   A61K35/14 Z
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2011-504387(P2011-504387)
(86)(22)【出願日】2009年4月20日
(65)【公表番号】特表2011-517690(P2011-517690A)
(43)【公表日】2011年6月16日
(86)【国際出願番号】EP2009002993
(87)【国際公開番号】WO2009143944
(87)【国際公開日】20091203
【審査請求日】2012年4月6日
(31)【優先権主張番号】08075309.8
(32)【優先日】2008年4月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510276629
【氏名又は名称】バウマン,ゲルト
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100152319
【弁理士】
【氏名又は名称】曽我 亜紀
(74)【代理人】
【識別番号】100163544
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 緑
(72)【発明者】
【氏名】バウマン,ゲルト
【審査官】 瀬下 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−504831(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0246203(US,A1)
【文献】 RICHTER, W. O. et al,Efficacy and safety of immunoglobulin apheresis,ASAIO Journal,1997年,Vol.43,p.53-59
【文献】 HEPER, G. et al,Two female nonsmoker Buerger's disease cases with anticardiolipin autoantibodies and a poor prognosis,International heart journal,2005年,Vol.46, No.3,p.563-9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/395
A61K 35/14
A61P 7/02
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉塞性血栓血管炎に罹患している患者の治療のためのヒト免疫グロブリンに対する特異的リガンドを連結したカラムの製造における、ヒト免疫グロブリンに対する特異的リガンドの使用であって、前記治療が、前記特異的リガンドと該患者の血漿中の免疫グロブリンとの結合を達成する条件下で該カラムに該患者の血漿を通過させること、それにより該免疫グロブリンの大部分であって、閉塞性血栓血管炎治療上有効な量のヒト免疫グロブリンが該患者の血漿から除去されること、及び該血漿が該患者に再注入されることを含む、特異的リガンドの使用。
【請求項2】
特異的リガンドが、ポリクローナル抗ヒト免疫グロブリン抗体、モノクローナル抗ヒト免疫グロブリン抗体、これらの抗体の断片、抗体イディオタイプの組換え分子、合成ペプチド、プロテインA、及びプロテインGから成る群から選択される、請求項1に記載の特異的リガンドの使用。
【請求項3】
特異的リガンドが、動脈組織又は静脈組織に指向性を有する自己抗体を認識する、請求項1に記載の特異的リガンドの使用。
【請求項4】
特異的リガンドが、ポリクローナル抗イディオタイプ抗体及びモノクローナル抗イディオタイプ抗体、これらの抗体の断片並びに合成ペプチドから成る群から選択される抗原模倣分子である、請求項3に記載の特異的リガンドの使用。
【請求項5】
イムノアフェレーシスにより閉塞性血栓血管炎に罹患している患者を治療するためのカラムであって、該カラムはポリクローナル抗ヒト免疫グロブリン抗体若しくはモノクローナル抗ヒト免疫グロブリン抗体又はその断片、プロテインA、及びプロテインGから成る群から選択される特異的リガンドを連結したものである、カラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉塞性血栓血管炎の治療のためのカラムの製造における、抗体、好ましくは自己抗体に対する特異的リガンドの使用に関する。本発明はさらに、閉塞性血栓血管炎の治療のための、少なくとも1種類の抗IgG抗体を有するアフェレーシス(apharesis)カラムに関する。
【背景技術】
【0002】
多細胞生物、特に哺乳動物、より具体的にはヒトは、様々な生化学的及び/又は免疫学的調節機構を介して環境に対応している。例えば、重要な生化学的調節機構は、生物中の一定の特定の内部温度を維持するのに関与する機構である。別の重要な調節機構は、細胞性物質及び液性物質(例えば抗体)をもたらし、生物が微生物、寄生生物、また腫瘍、又は他の疾患に首尾良く対応することを可能にする。とりわけ、抗体の機能は、「異物」と「自己」との間を識別する能力に基づいている。すなわち、生物それ自体が、組織又は器官等の内在構造は攻撃しないように設計されているが細菌、寄生生物、又は他の外来(exogenic)成分と結合し、それにより免疫学的反応を開始又は支持する抗体を産生する。
【0003】
生物中における抗体応答の生化学的発生の際、T細胞依存性免疫応答時に抗体産生B細胞の体細胞超突然変異(somatic hypermutations)が起こる。かかる突然変異は、免疫グロブリン遺伝子に選択的に関与し、高い親和性を有する抗体産生細胞の前駆体細胞の形成に必須である。この関連では、かかる突然変異は正常かつ本質的に非病原性のプロセスであることに留意すべきである。しかし、突然変異は、高親和性(affine)自己抗体の形成も引き起こし、それにより生物に損傷を及ぼすことがある。
【0004】
自己抗体は、自己免疫疾患の発症と密接に関連し、又はかかる疾患にその原因として関与する。抗体媒介性自己免疫疾患は、リウマチ又はエリテマトーデス等の疾患も含む。罹患した者にとっては非常に不便な多数の自己免疫疾患は、生物中の重要な生化学的サイクルに関係している。
【0005】
心筋症及びITPに対するイムノアフェレーシス治療の使用は、現行の技術水準において既知である(特許文献1、非特許文献1(XP−002492543))。心筋症は、閉塞性血栓血管炎に関連しない心疾患であるので、両方の疾患において同一又は類似の治療を使用することは全く示唆されていなかった。
【0006】
閉塞性血栓血管炎(バージャー病としても既知である)は、手及び足の動脈及び静脈の急性の炎症及び血栓症(凝固)である。閉塞性血栓血管炎は、タバコ製品の使用と強く関連し、主に喫煙に由来し、また無煙タバコにも由来する。手及び足の動脈及び静脈の、再発性の急性及び慢性の炎症及び血栓症が存在する。主な症状は、罹患した領域の疼痛である。体肢における潰瘍形成及び壊疽は一般的な合併症であり、関連する体肢の切断が必要となることが多い。
【0007】
閉塞性血栓血管炎/バージャー病の正確な原因は、現行の技術水準では知られていない。閉塞性血栓血管炎/バージャー病は、ヘビースモーカーの若者〜中年の男性(年齢20歳〜40歳)において最も多く見られる。非喫煙者におけるこの疾患の症例は非常に稀であるので、喫煙が原因たる因子であると考えられる。およそ40%の患者が、バージャー病の発症の一因となり得る静脈の炎症(静脈炎)の病歴を有する。この疾患は、罹患した者の脚において主に見られるが、腕にも現れることがある。初期の症状としては、血液供給の減少(動脈虚血)、及び表在性(皮膚表面近くの)静脈炎が挙げられる。主な症状は、罹患した領域における疼痛である。疾患の開始は漸進的であり、最初に足又は手において起こる。炎症は、四肢の表面近くの小動脈及び中動脈並びに小静脈及び中静脈において起こる。進行した症例では、体の他の部分の血管も影響を受けることがある。罹患した領域への血流が漸進的に減少する。足の動脈の脈拍は弱い又は検出不可能である。血流の不足により、壊疽(血液供給の制限による組織の崩壊である)が引き起こされることがある。レイノー病において見られるのと同様の、手における低温過敏症が発症することがある。この症例では、手を低温に曝すと、手の色が白色、青色、その後赤色に変化する。
【0008】
しかし不都合なことに、閉塞性血栓血管炎に対して効果的な投薬処置又は外科処置は知られていない。この疾患に対する治療が存在しないため、症状に対して処置がなされている。現在利用可能な唯一の治療は、罹患した領域の切断である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第97/17980号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Richter et al 1997(XP-002492543)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって本発明の目的は、容易であり、信頼性がありかつ効果的な閉塞性血栓血管炎の診断及び治療法を可能にする手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、抗体、好ましくはIgG抗体に対するリガンド、好ましくは特異的リガンドを含むデバイスを使用することにより、上記の技術的課題を解決する。しかし、自己抗体に対するリガンドを閉塞性血栓血管炎の治療法において適用することができることは全く驚くべきことであった。
【0013】
閉塞性血栓血管炎をIgG抗体の除去により治療することができることは、非常に驚くべきことであった。数ある抗体の内のIgGの除去が、これらの優れた結果をもたらすことは予測されていなかった。閉塞性血栓血管炎を自己免疫疾患として治療することができることは、現行の技術水準においては知られていなかった。自己免疫疾患は女性において起こることがより多いが、閉塞性血栓血管炎はほとんどの場合男性に影響を及ぼす。閉塞性血栓血管炎及びタバコ消費の関連も、自己免疫のバックグラウンドを示唆してはいない。免疫アフェレーシスにより閉塞性血栓血管炎を治療することができるという知見は、その結果が予見不可能であったため、幸運な選択により得られたものである。特に驚くべきことは、動脈組織及び/又は静脈組織に指向性を有するIgG抗体を認識する抗体を使用して閉塞性血栓血管炎を治療することができるという事実であった。現在まで、動脈組織及び/又は静脈組織に対する抗体を中和、排除又はブロックするために、免疫アフェレーシスは使用されていなかった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】疼痛尺度を示す図である。
図2】歩行距離を示す図である。
図3】NASR消費を示す図である。
図4】オピエート消費を示す図である。
図5】右足に関するtpOを示す図である。
図6】左足に関するtpOを示す図である。
図7】右足に関するtpCOを示す図である。
図8】左足に関するtpCOを示す図である。
図9】tpO(最も重度の(afflicted)体肢)を示す図である。
図10】tpCO(最も重度の体肢)を示す図である。
図11】患者8の壊死の治癒の例を示す図である。図11A及び図11B:IA前。図11C及び図11D:IAの6週間後。
【発明を実施するための形態】
【0015】
したがって好ましい一実施形態では、本発明は、閉塞性血栓血管炎に罹患している患者の治療のための、ヒト免疫グロブリンに対する特異的リガンドを連結したカラムの製造における、ヒト免疫グロブリンに対する特異的リガンドの使用であって、上記治療が、上記特異的リガンドと患者の血漿中の免疫グロブリンとの結合を達成する条件下でカラムに患者の血漿を通過させることであって、それにより免疫グロブリンの大部分を患者の血漿から除去する、通過させること、及び血漿を患者に再注入することを含む、使用に関する。本発明との関連では、「大部分」という用語は、血漿からの除去により患者の病態が改善する、又はさらなる悪化が現れない自己抗体の量を対象とする。患者の病態のこの改善は、当業者に既知の閉塞性血栓血管炎の態様の少なくとも1つに関する。
【0016】
現行の技術水準において既知のカラムを使用して根本的な問題を解決することができることは、非常に驚くべきことであった。これらのカラムを使用して閉塞性血栓血管炎を治療することができることは、現在まで知られていなかった。
【0017】
本発明のさらに好ましい一実施形態では、特異的リガンドは、特異的抗体と結合するカラム中の抗体結合セファロースである。本発明のこれらの態様は、閉塞性血栓血管炎が、自己抗体により、特に強力な血管収縮を引き起こすアゴニスト自己抗体により引き起こされるという、本発明者らに導かれた結論に基づいている。リガンドをセファロースに結合することにより優れた結果がもたらされることは驚くべきことであった。
【0018】
本発明は、閉塞性血栓血管炎の治療のための、いずれか又は全てのクラス及びサブクラスの免疫グロブリンを除去することによる閉塞性血栓血管炎の構造(例えば手、腕、足及び脚の動脈又は静脈)に指向性を有する自己抗体の体外除去のためのカラムの製造における、特異的リガンドの使用も包含する。かかる除去は、免疫親和性クロマトグラフィカラムに連結したヒト免疫グロブリンに対する任意の特異的リガンドを使用することにより、達成することができる。かかるリガンドとしては、ポリクローナル抗ヒト免疫グロブリン抗体及びモノクローナル抗ヒト免疫グロブリン抗体、かかる抗体の断片(FAB、FAB)、組換え抗体又はタンパク質、合成ペプチド、プロテインA、並びにプロテインGが挙げられる。
【0019】
したがって本発明の別の態様は、閉塞性血栓血管炎に罹患している患者から採取した血漿由来の免疫グロブリンを本質的に非特異的に除去すること、及び上記血漿を患者に再注入することでもある。患者の免疫系との関連では、再注入した血漿は、正の効果を誘発するこれらの免疫グロブリンも含有し得る。
【0020】
本発明は、特異的IgG、IgM、IgA、IgE、IgD、IgY及び/又はIgW自己抗体の体外除去のための、カラムの製造における、より特異的なリガンドの使用も包含する。このことは、全ての抗体の除去、又は自己抗体の全て若しくは一部の除去、又は特異的IgG、IgM、IgA、IgE、IgD、IgY及び/若しくはIgW自己抗体の全て若しくは一部の除去が、本発明の一部であることを意味する。
【0021】
別の好ましい実施形態では、抗IgG抗体は、α−アミノカルボン酸並びにそのホモ−及びヘテロオリゴマー、α,ω−アミノカルボン酸及びその分岐鎖ホモ−又はヘテロオリゴマー、他の脂肪族及び/又は芳香族アミノ酸、並びに直鎖及び分岐鎖ホモ−又はヘテロオリゴマー(ペプチド);アミノオリゴアルコキシアルキルアミン;マレインイミドカルボン酸誘導体;アルキルアミンのオリゴマー;4−アルキルフェニル誘導体;4−オリゴアルコキシフェニル又は4−オリゴアルコキシフェノキシ誘導体;4−オリゴアルキルメルカプトフェニル又は4−オリゴアルキルメルカプトフェノキシ誘導体;4−オリゴアルキルアミノフェニル又は4−オリゴアルキルアミノフェノキシ誘導体;(オリゴアルキルベンジル)フェニル又は4−(オリゴアルキルベンジル)フェノキシ誘導体、及び4−(オリゴアルコキシベンジル)フェニル又は4−(オリゴアルコキシベンジル)フェノキシ誘導体;トリチル誘導体;ベンジルオキシアリール又はベンジルオキシアルキル誘導体;キサンテン−3−イルオキシアルキル誘導体;(4−アルキルフェニル)−又はω−(4−アルキルフェノキシ)アルカン酸誘導体;オリゴアルキルフェノキシアルキル又はオリゴアルコキシフェノキシアルキル誘導体;カルバメート誘導体;アミン;トリアルキルシリル又はジアルキルアルコキシシリル誘導体;脂肪族又は芳香族モノ−又はオリゴメルカプト誘導体;アルキル又はアリール誘導体、及び/又はそれらの組合せを含む群から選択されるリンカー及び/又はスペーサーを含む。加えて、システインのSH基は、マレインイミド基の二重結合(double bound)と反応して、リンカー分子と共有結合(covalent bound)を形成する。この結合は、別の分子又は固体相との連結を可能にする(is could couple to)。
【0022】
本発明の好ましい一実施形態では、IgG抗体に指向性を有する抗体が、上述の本発明の材料及び製品、装置、特にクロマトグラフィ装置により、結合し、複合体形成し、及び/又は中和される。例えば、本発明のカラムは、当業者に既知のELISA又は他の免疫学的検出方法を使用して、患者の血清中の自己抗体の検出に使用することができる。検出のためには、例えば自己抗体がビオチン化ペプチド又は他の連結ペプチドにより結合し、磁性粒子又はプレート等のストレプトアビジン連結支持体により分離される場合、有利であり得る。かかる方法は独国特許第10256897.9号(本出願の開示において本明細書に援用される)で説明されている。より具体的には、分離した自己抗体は、IgGサブタイプ特異的標識抗体を使用して検出される。
【0023】
本発明は、閉塞性血栓血管炎に罹患している患者の治療のための、ヒト免疫グロブリンに対する特異的リガンドを連結したカラムの製造における、ヒト免疫グロブリンに対する特異的リガンドの使用であって、上記治療が、上記特異的リガンドと患者の血漿中の免疫グロブリンとの結合を達成する条件下でカラムに患者の血漿を通過させることであって、それにより免疫グロブリンの大部分を患者の血漿から除去する、通過させること、及び血漿を患者に再注入することを含む、使用にも関する。
【0024】
本発明の好ましい一実施形態では、Ig−TheraSorbシステムでの治療により、高い割合の、全てのクラス及びIgG−サブクラスの抗体の除去、したがって動脈及び静脈、好ましくは手及び足の動脈及び静脈に指向性を有する抗体の除去が達成される。この治療により、動脈組織又は静脈組織に対して任意の他の特異性を有する抗体も除去される。これらの自己抗体の除去は、閉塞性血栓血管炎を有する患者のIg−TheraSorb治療の有効性に関する基礎であると考えられる。Prosorbaカラムの使用も好ましい。
【0025】
治療計画は、連続する5日の期間内に最初に一連の(an initial series of)Ig−TheraSorbイムノアフェレーシスを行うことを想定している(foresees)。自己抗体モニタリング及び/又は臨床的症状により確定される兆候があった場合、最初に一連のIg−TheraSorbイムノアフェレーシスを行った後、さらなるイムノアフェレーシスが行われ得る。驚くべきことに本発明の方法は非常に効果的であり、患者はオピエート又は他の鎮痛剤をもはや必要としない。本方法の効果は1年間を超える期間持続するが、これは現行の技術水準において既知の治療方法と比較して著しい成功である。
【0026】
本発明は、閉塞性血栓血管炎の治療のための、いずれか又は全てのクラス及びサブクラスの免疫グロブリンを除去することによる、動脈構造又は静脈構造に指向性を有する自己抗体の体外除去を包含する。かかる除去は、Therasorbカラムに連結した任意のヒト免疫グロブリンに対する特異的リガンドを使用することにより達成することができる。
【0027】
本発明は、Therasorbカラムに連結した、自己抗体の抗原標的を模倣する構築物を使用する、動脈構造又は静脈構造に対する自己抗体のより特異的な体外除去も包含する。かかる抗原模倣分子としては、抗イディオタイプ抗体(ポリクローナル若しくはモノクローナル)、かかる抗体の断片、又は合成ペプチド、受容体構造の類似部分、又は他の化学物質が挙げられる。
【0028】
加えて、本発明は、閉塞性血栓血管炎に罹患している患者の治療であって、
(a)ヒト免疫グロブリンに対する特異的リガンドを連結したカラムを用意する工程、
(b)上記特異的リガンドと患者の血漿中の免疫グロブリンとの結合を達成する条件下でカラムに患者の血漿を通過させる工程であって、それにより免疫グロブリンの大部分を患者の血漿から除去する、通過させる工程、及び
(c)上記血漿を患者に再注入する工程を含む、治療にも関する。
【0029】
好ましい一実施形態では、患者の治療は、特異的リガンドが、ポリクローナル抗ヒト免疫グロブリン抗体、モノクローナル抗ヒト免疫グロブリン抗体、かかる抗体の断片、抗体イディオタイプの組換え分子、合成ペプチド、プロテインA、及びプロテインGから成る群から選択されることを特徴とする。
【0030】
患者の治療の別の好ましい実施形態では、特異的リガンドは、静脈及び動脈の組織に指向性を有する抗体を認識する。好ましくは、特異的リガンドは、ポリクローナル抗イディオタイプ抗体及びモノクローナル抗イディオタイプ抗体、かかる抗体の断片、並びに合成ペプチドから成る群から選択される抗原模倣分子である。
【0031】
特異的リガンドが、動脈組織又は静脈組織に対して任意の他の特異性を有する抗体を除去することが好ましい。驚くべきことに、これらの自己抗体の除去は、閉塞性血栓血管炎を有する患者の治療の有効性に関する基礎である。
【0032】
好ましくは、特異的リガンドは、抗体の配列を模倣する合成ペプチドである。
【0033】
本発明との関連では、閉塞性血栓血管炎に罹患している患者の治療は、患者の治療のためのカラムの製造におけるヒト免疫グロブリンに対する特異的リガンドの使用の好ましい一実施形態である。
【0034】
本発明の教示は、以下の特色を特徴とする:
一般的方法からの逸脱
問題の新しい認識
長年の必要性又は要求を満たしたこと
従来は専門化達の全ての努力が無駄となっていた
本解決方法の単純性(特に本解決方法は、より複雑な理論に取って替わることから、本発明の効果を証明する)
さらなる方向に続く科学技術の発達
この達成が発達を前進させる
本問題の解決方法についての専門家達の間の誤解(先入観)
技術の進歩、例えば:改善、性能の向上、価格低減、時間、材料、作業工程、費用、若しくは入手困難な資源の節約、信頼性の向上、欠陥の修復、品質の向上、メンテナンスが不要であること、効率の増大、収率の向上、技術的可能性の増大、さらなる製品の提供、第2の手段の創出、新しい分野の創出、初めての問題解決方法、予備的産物、代替手段、合理化、自動化若しくは小型化の可能性、又は製薬資金の拡充
特別な選択;或る特定の可能性(その結果は予見不可能であった)が非常に多数の可能性の中から選択されたので、これは特許可能な幸運な選択である
引用の誤り
未成熟な技術分野
組合せの発明;驚くべき効果を有する、多数の既知の要素の組合せ
ライセンスの発行
専門化達の賞賛、及び
商業的成功。
【0035】
上記利点を、特に本発明の優先的な実施形態において示す。
【0036】
本発明の抗IgG抗体に関して機能的に類似の手段を提供することが可能であることは、当業者に明らかに既知である。本発明の意味において、「機能的に類似の手段」は、本発明のペプチド及び核酸と機能的に同等の、又は同等の手段である。類似の手段が本発明の抗IgG抗体と機能的に同等(=同等)であるか否かを確認するためには、当該機能的に類似/同等の手段が本質的に同じ方法において本質的に同じ機能をもたらし本質的に同じ成果をもたらすか否かを確認しなければならない。すなわち、本発明の手段によりもたらされる成果は、機能的に類似/同等の手段でももたらすことができる。したがって当業者は、自らの提供する機能的に類似/同等の手段が本発明に包含されるか否かを容易かつ迅速に検証することができる。機能的に類似の手段は、本発明の問題を解決するために使用することができる場合、及び本発明の問題の解決を本発明により特許請求されるものと本質的に同じ方法で実施することができる場合、本発明に包含される。本発明を好ましい実施形態に関して説明しているが、当業者は、その精神から逸脱することなく様々な修正、置換、省略及び変更を行うことができることを理解するだろう。したがって、本発明の範囲は、本発明の特許請求の範囲によってのみ限定され、その均等物を含むことが意図される。したがって、本発明が対象とする技術分野の当業者には明らかであるように、本発明は、本発明の精神又は本質的特徴から逸脱することなく、具体的に開示された形態以外の形態で具体化することができる。したがって、上記の本発明の特定の実施形態は、全ての観点で例示目的のものであり限定目的のものではないと考えるべきである。本発明の範囲は、前述の説明に含有される実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲に示したようなものである。
【0037】
閉塞性血栓血管炎に加えて、他の疾患、例えば未分化結合組織症候群、抗リン脂質症候群、種々の形態の血管炎(結節性多発動脈炎、アレルギー性肉芽腫症及び脈管炎)、ウェゲナー肉芽腫症、川崎病、過敏性血管炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、ベーチェット病、高安動脈炎、巨細胞動脈炎、リウマチ性多発筋痛、本態性(混合型)クリオグロブリン血症、尋常性乾癬及び乾癬性関節炎、好酸球増加症を伴う又は伴わないびまん性筋膜炎、再発性脂肪織炎、再発性多発性軟骨炎、リンパ腫様肉芽腫症、結節性紅斑、強直性脊椎炎、重症筋無力症、ライター症候群、種々の形態の炎症性皮膚炎、骨格筋症、及び原発性肺高血圧症を治療することも可能である。
【0038】
本発明の方法は、手及び足の血管が塞がれる疾患、血管炎、手及び足の組織への血流の低減、手及び足の動脈及び静脈の炎症及び血栓症、心筋疾患、又は病的な心筋若しくは血管の病態、例えばアミロイドーシス、又はゴーシェ病、シャーガス心筋症、心内膜線維弾性症、心筋線維症、心内膜心筋線維症、カーンズ症候群、心筋炎、循環器疾患若しくは血管疾患、血管異形成、血管腫症、スタージ・ウェーバー症候群、血管神経性浮腫、高安動脈炎、大動脈炎、ルリッシュ症候群、動脈閉塞症、動脈炎、動脈内膜炎(enarteritis)、結節性多発動脈炎、脳血管の疾患、障害及び/若しくは病態、糖尿病性血管障害、糖尿病性網膜症、血栓症、肢端紅痛症、痔核、肝静脈閉塞症、高血圧症、低血圧症、特発性肺線維症、末梢血管疾患、静脈炎、肺静脈閉塞症、クレスト症候群、網膜静脈閉塞症、シミター症候群、上大静脈症候群、毛細血管拡張症、毛細血管拡張性運動失調症(atacia telangiectasia)、遺伝性出血性毛細血管拡張症、精索静脈瘤、静脈瘤、静脈瘤性潰瘍、血管炎、静脈不全、並びに動脈閉塞症、例えば動脈硬化症、間欠性跛行、頚動脈狭窄、線維筋性異形成、腸間膜脈管閉塞症、もやもや病、網膜動脈閉塞症、又はアテローム性動脈硬化症(それらのいずれも、初期段階であっても、又はより進行した段階若しくは後期段階であってもよい)の1つ又は複数の症状を治療、予防又は改善するために使用することもできる。
【0039】
本発明の方法を、高タバコ消費と関連する症状を治療、予防又は改善するために使用することもできることは、特に驚くべきことであった。
【0040】
また、本発明の方法により治療することもできる疾患及び病態としては、手及び足の血管が塞がれる疾患、血管炎、手及び足の組織への血流の低減、手及び足の動脈及び静脈の炎症及び血栓症、閉塞性血栓血管炎−心疾患(例えば、不整脈、カルチノイド心疾患、心拍出量低下、心タンポナーデ、うっ血性心不全、心臓性浮腫、左室肥大、右室肥大、心筋疾患、心筋虚血、心膜気腫、心膜切開後症候群、リウマチ性心疾患、肥大型心筋症、拘束型心筋症、心筋虚血(例えば、冠動脈疾患、例えば狭心症、冠動脈瘤、冠状動脈硬化症、冠状血栓症、冠攣縮及び心筋気絶)、血管腫症、ルリッシュ症候群、動脈閉塞症、動脈炎、動脈内膜炎(enarteritis)、結節性動脈周囲炎、脳血管障害、糖尿病性血管障害、糖尿病性網膜症、塞栓症、血栓症、肢端紅痛症、肝静脈閉塞症、高血圧症、低血圧症、虚血、末梢血管疾患、静脈炎、肺静脈閉塞症、網膜静脈閉塞症、毛細血管拡張症、遺伝性出血性毛細血管拡張症、精索静脈瘤、静脈瘤、静脈瘤性潰瘍、血管炎、静脈不全、もやもや病、腎動脈閉塞症、網膜動脈閉塞症、脳血管障害(例えば、頚動脈疾患、脳アミロイド血管症、脳動脈瘤、無酸素脳症、脳動脈硬化症、脳動脈疾患)、血栓塞栓症、血栓症(例えば、冠状血栓症、肝静脈血栓症、網膜静脈閉塞症、頚動脈血栓症、静脈洞血栓症及び血栓性静脈炎)、虚血性障害(例えば、虚血性大腸炎、クローン病(Morbus Crohn)、潰瘍性大腸炎、コンパートメント症候群、前脛骨区画症候群及び末梢性肢虚血)、血管炎(例えば、アレルギー性皮膚血管炎及びウェゲナー肉芽腫症)、並びに原発性肺高血圧症が挙げられるがこれらに限定されない。
【0041】
本明細書中で開示するように選択及び使用される本発明の方法は、さらに、望ましくない血栓症を特徴とする病態を予防又は治療するために、例えば(a)任意の血栓症媒介性の急性冠症候群、例えば血栓溶解療法後又は冠動脈再建後に発症する心筋梗塞、不安定狭心症、治療抵抗性狭心症、閉塞性冠血栓の治療又は予防、(b)任意の血栓症媒介性の脳血管症候群、例えば塞栓性脳卒中、血栓性脳卒中又は一過性脳虚血発作の治療又は予防、(c)静脈系において発症する任意の血栓性症候群、例えば自発的に、又は悪性病変、外科処置若しくは外傷の状況で発症する深部静脈血栓症又は肺塞栓症の治療又は予防、(d)任意の凝固障害、例えば播種性血管内凝固(敗血症性ショック、又は他の感染、外科処置、外傷、若しくは悪性病変の状況を含む(多臓器不全と関連するか否かに関わらない))、血栓性血小板減少性紫斑病、ヘパリン起因性血小板減少症と関連する血栓性疾患の治療又は予防、(e)体外循環(例えば腎透析、心肺バイパス、若しくは他の酸素負荷手順、プラズマフェレーシス)と関連する血栓性合併症の治療又は予防、(f)器具使用(例えば、心臓カテーテル処置若しくは他の血管内カテーテル処置、大動脈内バルーンポンプ、冠動脈ステント、又は心臓弁)と関連する血栓性合併症の治療又は予防、並びに(g)補綴デバイスの装着に関連する病態の治療又は予防のために、有用であると考えられている。
【0042】
動脈閉塞症としては、動脈硬化症、間欠性跛行、頚動脈狭窄、線維筋性異形成、腸間膜脈管閉塞症、もやもや病、腎動脈閉塞症、網膜動脈閉塞症及び虚血全般が挙げられる。
【0043】
虚血としては、脳虚血、虚血性大腸炎、コンパートメント症候群、前脛骨区画症候群、心筋虚血、再灌流傷害及び末梢性肢虚血が挙げられる。血管炎としては、大動脈炎、動脈炎、ベーチェット病、チャーグ・ストラウス症候群、皮膚粘膜リンパ節症候群、過敏性血管炎、シェーンライン・ヘノッホ紫斑病、アレルギー性皮膚血管炎及びウェゲナー肉芽腫症が挙げられる。
【0044】
本発明を実施する際には本明細書中に記載した本発明の実施形態に対する様々な代替形態を利用することができることを理解すべきである。本発明の特許請求の範囲は本発明の範囲を規定しており、これらの特許請求の範囲内の方法及び装置並びにそれらの均等物がそれにより包含されることが意図される。
【0045】
限定することを意図することなく、本発明を実施例を参照してより詳細に説明する。
【実施例】
【0046】
実施例1:パイロット試験
本願の目的では、閉塞性血栓血管炎は、現在まで長い間検討されている多数の疾患、又は今までのところ自己免疫学的バックグラウンドを有する症状像(symptom picture)と考えられていなかった多数の疾患に関するモデル性質を有する症状像の役割を果たす。この症状像の改善又はさらに治癒をもたらす治療戦略は、これらの他の疾患の治療法にもはっきりと(precisely)有益であることが分かる。
【0047】
この関連において、疾患の経過内において既に切断(例えば、足指(toes)、足の前部(forefeet)、下腿、若しくは指の切断)を受けた、又は耐え難い疼痛、虚血若しくは壊死によりかかる切断のための兆候が確立されている閉塞性血栓血管炎(TAO)の患者10名を含むパイロット試験を行った。免疫吸着(IA)の時点で、全ての患者が、鎮痛のために最大用量の非ステロイド性抗リウマチ薬(NSAR)と組み合わせてオピエート(モルヒネ)を投与された。ほとんどの患者に関して運動は厳しく制限され(例えば、数メートルの徒歩のみ)、車椅子に完全に拘束された者もいた。
【0048】
治療計画は、連続する5日の期間内の、最初に一連のイムノアフェレーシス治療を想定している。自己抗体モニタリング及び/又は臨床的症状により確定される兆候があった場合、最初に一連のイムノアフェレーシス治療の後に、さらなるイムノアフェレーシス治療が行われ得る。
【0049】
閉塞性血栓血管炎に罹患しているヒト患者の血液由来の免疫グロブリンの除去のために、抗ヒト免疫グロブリン連結カラムを使用した。
【0050】
簡潔に述べると、一次分離システムの管システム(tubing system)を、まず無菌0.9%NaClで満たした。2つの抗ヒトIgカラム(Ig−Therasorb、Baxter、ImmunotherapyDivision、Europe)を、一次分離システムと接続した。全ての管の接続は、無菌条件下で行った。
【0051】
カラムから保存溶液を除去するために、各カラムを、その第1回目の使用の前に、90 100ml/分の流速で5Lの無菌0.9%NaCl溶液でリンスした。その後の各使用のためには、同じ流速で2Lの無菌溶液で各カラムをリンスすることで十分であった。
【0052】
手順の開始前に、気泡及び漏出がないこと、溶液(抗凝固剤を含む)の正しい接続、デバイスのプログラムの正しいインストール、自動クランプの機能、並びに安全システムに関してシステム全体をテストした。
【0053】
患者の左及び右の肘脈に、適切なカニューレ(canulae)を接続した。血液試料を採取した。血球分離装置への接続を整えた。
【0054】
ヘパリン又はクエン酸塩(ACD−A又はACD−B)で、抗凝固を達成した。クエン酸塩が抗凝固剤である場合、手順の前半の間、クエン酸塩を1:22〜1:18の希釈度で使用した。第2の治療段階では、利用する希釈度は1:12〜1:8とした。低カルシウム血症の症状(指又は唇における感覚異常)をモニタリングし、クエン酸塩の投与量をそれに応じて減少させた。明らかな低カルシウム血症の場合には、カルシウム錠剤を投与することもあった。
【0055】
静脈を穿刺し管システムを患者に接続した後、血球分離装置を患者の血液で満たした。血液流速は50ml/分〜90ml/分に維持した。容量100mlのカラムを使用した場合、液体レベルは、カラム中のセファロース上約0.8cmに維持した。分離プロセスの安定化後、細胞を含まない血漿を、管システムを通して第1のカラムへ向かわせた。流速を一定に維持すること、及びカラム中のセファロース上の血漿レベルをモニタリングすることが重要であった。患者へのより大きな負担、及びカラム中の血漿保持による血漿損失をもたらすことになるため、より高い血漿レベルは望ましくなかった。
【0056】
最大40ml/分の血漿流速を使用して、15分の間、カラムに可能な限り多くの血漿を装荷した。その後血漿の流れを第2のカラムに切り替えて、同様に15分で可能な限り多くの血漿で満たした。
【0057】
第2のカラムを満たす間、その血漿流速で無菌0.9%NaClを使用して第1のカラム中の血漿を洗い流した。1カラム容量の血漿を、除去した血球と共に患者に戻した。
【0058】
また第2のカラムを満たす間、第1のカラムを以下のように再生した:(1)100ml/分の流速、50mlの0.9%NaClでのさらなるリンス。(2)1カラム容量の無菌0.2Mグリシン/HCl緩衝液(pH2.8)での結合した免疫グロブリンの脱着。デバイスの制御器により、この溶液と患者との接触は防がれた。脱着した免疫グロブリンを廃棄した。(3)1カラム容量の無菌PBS(pH7.4)での中和。中和の確認はpH試験紙を使用して行った。(4)少なくとも1カラム容量の無菌0.9%NaClでPBSを洗い流した。そのようにしてカラムについて、次の回の吸着の準備ができた。
【0059】
その後、カラムを満たす操作は、さらに自動的に切り替えることで行った。この手順は、所望の容積の血漿を処理するのに必要な回数繰り返した。使用するサイクル数は、患者の病態及び要求に応じて担当医師が選択した。現在まで、本発明者らの臨床経験の範囲内では、1回のカラム手順の間に、所定の患者の体外容積の最大3.5倍を処理することが可能であった。さらに、使用するサイクル数は、カラムの結合容量によっては制限されず、むしろ個々の患者の要求により制限された。
【0060】
結果:予備段階の結果により、被験体の血液中のIgG濃度が出発濃度と比較して少なくとも70%〜99%超、低減したことが示された。IgA及びIgMレベルは70%〜90%低減した。
【0061】
カラム手順の使用と関連する罹患者又は死亡者は存在しなかった。血漿損失は典型的には低く、血漿補充は必要ではなかった。
【0062】
要約すると、免疫吸着は、循環ヒト抗体の存在下における閉塞性血栓血管炎のための代替的な治療原理であり得る。免疫吸着は、患者の血漿免疫グロブリンの大部分を除去することができる。本明細書中「大部分」という用語は、患者の免疫グロブリンの少なくとも20%を指す。或る特定の場合には、患者の免疫グロブリンの最大80%、或る特定の場合には80%超、好ましくは90%を除去することが望ましい。
【0063】
結果:
(1)5日間の治療の過程で、全患者において病状がなくなり、0〜10の疼痛尺度(0=疼痛なし。10=最大の耐えられない疼痛)について結果が測定された。手順それ自体の間に既に(或る場合においてはさらに最初の24時間経過後すぐに)、疼痛から完全に解放された(図1)。全鎮痛療法下ではおよそ8の初期値を記録した。その後の値は全く投薬せずに得た。
【0064】
(2)全患者に関して、或る場合では治療法の最初の24時間後又は48時間後において既に、モルヒネ又はNSARの形態の全ての鎮痛薬を低減する又は完全に排除することが可能であった。1名の患者が例外であった。免疫吸着療法後、彼は症状又は疼痛を全く有していなかった。しかし、残存するオピエート依存症の結果として、彼は依然として低用量のモルヒネを要求した(図3及び図4)。
【0065】
(3)患者が歩行することができる距離(主に脚に関する能力)は、免疫吸着の直後だけでなく、以降数ヶ月においても増大した。彼らの歩行距離は劇的に増大した(IA前のわずか数メートルから、1500mを超える距離まで)(図2)。
【0066】
(4)関連する体肢の組織中の酸素分圧(tpO)は免疫吸着療法後、ほとんどの場合で2日目の治療の後に既に、劇的に増大した。免疫吸着の完了後、及び以降数ヶ月間、酸素分圧の値は正常レベルに到達した(図5及び図6)。
【0067】
(5)組織中の二酸化炭素分圧(tpCO)は類似の挙動を示し、病的に高い値から正常レベルまで低下した(図7及び図8)。
【0068】
(6)腕に主に現れる閉塞性血栓血管炎の形態を有する2名の患者に関しては、結果は、上で要約したtpO及びtpCOレベルの変化と同程度の改善(development)であった(図には示していない)。
【0069】
(7)かかる治療の治療効果は長期的な性質を有するものであり、少なくとも6ヶ月間持続した(1名を例外として)。現在までに行った追跡検査の間、正の治療効果が12ヶ月間持続していた(図1図10)。
【0070】
(8)図9及び図10では、全10名の患者についての最も重度の体肢(すなわち、最も激しい疼痛を経験した、及び/又は最も重大な壊死を示した、及び/又は切断が必要となった体肢)における、tpO及びtpCOに関する結果を要約している。
【0071】
(9)治療した10名の患者のうち3名に関しては、壊死病斑は既に数年間存在し、あらゆる治療努力をもってしても治癒しなかったにもかかわらず、免疫吸着療法後8週間以内に、壊死が完全に治癒した(図11a、図11b、図11c、図11d)。
【0072】
(10)全患者の間に顕著な形態で存在するレイノルド症候群(Reynould syndrome)は、フォトプレチスモグラフィにより客観的に開示されるように、10名の患者全てにおいて決定的に改善した。寒冷誘発下でさえも、免疫吸着後に脈動プロファイルが足指及び指の末節骨で明らかになった。免疫吸着前には、脈動循環の兆候はなかった。
【0073】
(11)患者は、全ての上述の変化を、それぞれの体肢の温まりとして、完全な症状の消失まで及び閉塞性血栓血管炎症候群に特異的でない主観として経験した病状のさらなる改善(例えば、男性患者10名のうち8名における勃起不全の改善)まで拡張する疼痛の軽減として、その主観として経験した。
【0074】
(12)疾患のために雇用されていなかった、又は働くことができなかった患者の多数が、彼らの専門的職業に、又は他の賃金労働に戻った。
【0075】
(13)免疫吸着療法は、再生可能なTheraSorb(登録商標)カラムを用いていつでも繰り返すことができることを強調することが必須である。4℃で維持すれば、5年の期間にわたり、該カラムはいつでも免疫吸着療法のために再使用することができる。しかしこのことは必要ではなかった:6ヵ月後には10名の患者に、12ヶ月後には4名の患者に。したがって免疫吸着は、この治療手順のために主要な費用となる要素は免疫吸着カラムの購入であるため、費用対効果に優れた治療形態の典型である。
図1
図2
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図11