(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5718862
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】プリント配線板上保護フィルムの剥離治具
(51)【国際特許分類】
H05K 3/00 20060101AFI20150423BHJP
B65H 41/00 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
H05K3/00 Z
B65H41/00 B
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-161679(P2012-161679)
(22)【出願日】2012年7月20日
(65)【公開番号】特開2014-22648(P2014-22648A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2014年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108742
【氏名又は名称】タツタ電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100084858
【弁理士】
【氏名又は名称】東尾 正博
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由
(72)【発明者】
【氏名】春名 裕介
(72)【発明者】
【氏名】田島 宏
【審査官】
井上 信
(56)【参考文献】
【文献】
特開平 6−219636(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3107036(JP,U)
【文献】
実開平 1− 89747(JP,U)
【文献】
特開昭49− 71600(JP,A)
【文献】
特開2003−335454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/00
B65H 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板上に貼着された保護フィルム(4)を剥離する治具であって、
治具本体(10)に突出して可撓性の片状剥離刃(11)が設けられ、その剥離刃(11)の先端縁(11a)は先側に突出する円弧状となっているとともに、上記保護フィルム(4)の接する面側に向かい前記先側に下り傾斜面(11b)となっていることを特徴とするプリント配線板上の保護フィルム剥離治具。
【請求項2】
上記剥離刃(11)が、上記保護フィルム(4)の被貼着面より柔らかい樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板上の保護フィルム剥離治具。
【請求項3】
上記プリント配線板が、プリント回路(1b)を有する基板(1)の片面にシールドフィルム(2)を被覆し、そのシールドフィルム(2)に上記保護フィルム(4)が貼着されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のプリント配線板上の保護フィルム剥離治具。
【請求項4】
上記プリント配線板が、プリント回路(1b)を有する基板(1)の片面にグランド材(3)を被覆し、そのグランド材(3)に上記保護フィルム(4)が貼着されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のプリント配線板上の保護フィルム剥離治具。
【請求項5】
上記プリント配線板が、プリント回路(1b)を有する基板(1)の片面にシールドフィルム(2)を被覆し、そのシールドフィルム(2)の外側の面にシールド層(2a)に接続されたグランド材(3)が設けられ、そのグランド材(3)に上記保護フィルム(4)が貼着されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のプリント配線板上の保護フィルム剥離治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プリント配線板における、プリント回路が形成された基板にシールドフィルム或いはグランド部材を熱圧着(熱プレス)し、又は同基板にシールドフィルムを熱圧着後、さらにそのシールドフィルムにグランド部材を熱圧着し、そのシールドフィルム又はグランド部材の表面に貼付された保護フィルムを剥離する治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板の一つであるフレキシブルプリント配線板(以下、「FPC]とも言う。)は、小型化、高性能化が急速に進む携帯電話、ビデオカメラ、ノートパソコン等の電子機器において、その複雑な機構の中に電子回路を組み込むために多用されている。
このとき、この種の電子機器は、内部で電磁波などのノイズを輻射することがあり、さらに、電磁波が外部から侵入すると誤動作を起こすことがある。このため、電磁波が電子機器内外を通り抜けることがないようにする必要があり、そのための電磁シールドといった遮蔽層は、筐体等に接続(接地)される。
このような状況下、FPCにおいても、電磁波シールド対策が必須となっており、電磁波シールド対策を施したフレキシブルプリント配線板(以下、「シールドFPC」とも言う。)が多用されている。
【0003】
そのシールドFPCの一例として、
図5に示すように、基体フィルム1及びシールドフィルム2とからなり、その基体フィルム1は、ベースフィルム1a上にプリント回路1bと絶縁フィルム1cを順次設けたものであり、シールドフィルム2は、シールド層をなす金属薄膜層2aの下面に導電性接着剤層2b、同上面にカバーフィルム(保護層)2cを設けたものがある(特許文献1段落0003
図7参照)。
【0004】
このシールドFPCのプリント回路1bは、複数の信号線1b
1と少なくとも1本のグランド線1b
2を有している。一方、基体フィルム1の絶縁フィルム1cにはグランド線1b
2上の一部に開口部1dが設けられてグランド線1b
2が露出している。このため、シールドフィルム2を接着させると、その導電性接着剤2bが絶縁フィルム1cの開口部1dに入り込んでグランド線1b
2に接触し、シールドフィルム2のシールド層(金属薄膜層)2aがグランド線1b
2と接続されて接地される。
【0005】
このようなシールドFPCにおいて、接地効果を向上させるため、シールドフィルム2をグランド材3を介して直接に筐体等に接続することが行なわれている。そのグランド材3には、例えば、
図5に示すように、金属箔3aと、その金属箔3aの片面の導電性接着剤層3cとからなるものがある。このグランド材3を、例えばその一端を筐体に接続してシールドフィルム2を接地する。このとき、前記導電性接着剤層3c中に金属フィラー3bを混入し、導電性接着剤層3cのシールドフィルム2への貼着時、その金属フィラー3bが保護層2cを破って金属薄膜層2aに接して接地するものがある(特許文献1段落0047〜0051
図5参照)。
【0006】
このグランド材3の筐体等との接続端は、
図5に示すように、シールドFPCから突出させる場合のみならず、
図6に示すように、シールドFPC内に位置する場合もある。最近は後者が多くなっており、特に、シールドフィルム2の中央に位置させる場合が多く、この場合は、グランド材3のシールドフィルム2との接続はそのシールドフィルム2の中央付近となる。
なお、シールドフィルム2をグランド材3でもって接地した場合、上記絶縁フィルム1cの開口部1dを介したシールドフィルム2のシールド層(金属薄膜層)2aとグランド線1b
2との接続による接地は省略される場合が多い。
【0007】
ところで、このシールドFPCは、基体フィルム1、シールドフィルム2及びグランド材3を個別に製作し、基体フィルム1の上にシールドフィルム2を熱圧着し、さらに、そのシールドフィルム2の上にグランド材3を熱圧着することによって製造される。
このとき、熱圧着前のグランド材3の表面には小片の保護フィルム4が接着層を介して貼着され、接続前にその保護フィルム4を剥がしている。
その保護フィルム4を剥がす(剥離)には、粘着テープや粘着剤塗布の棒をその保護フィルム4に当てがい、その粘着力で行なったり、剥離治具を使用したり、
図7に示すように、保護フィルム4にタグ4aを付けてそのタグ4aでもって剥がしたりしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−86907号公報
【特許文献2】特開2000−53316号公報
【特許文献3】特開2009−46283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記粘着棒等による粘着力による剥離は、その粘着力が弱かったり、使用につれて粘着力も低下したりするため、円滑に剥がれない恐れがあって作業性が悪い。
また、剥離治具は、特許文献2や同3に記載のものがあるが、何れも、大型であって、小さな片(例えば、5mm×5〜10mm四方形)の保護フィルム4の剥離には向いていない。さらに、大型であると、グランド材3やシールドフィルム2やさらに基体フィルム1に傷を付け易い。
【0010】
また、剥離治具としてカッター刃を使用したりしているが、その刃先でグランド材3等を損傷させる場合が多い。また、ヘラを使用することもなされているが、やはり、剥離性が悪く、損傷させやすい問題がある。何れにしても、損傷なく円滑に剥離するには熟練が必要となる。これらの損傷は、
図6に示すグランド材3がシールドFPC内にある場合、特に、中央にある場合には、その中央での剥離作業となるため、シールドフィルム2や基体フィルム1の損傷も生じやすいため、より問題となる。
タグ4aを有する保護フィルム4は、そのタグ4aを介した剥離は比較的容易ではあるが、上記圧着(プレス)時、そのタグ4aもグランド材3表面に押圧されるため、その表面に凹部が形成され(凹みとなり)、外観不良の原因となる。また、タグ4aに粘着剤が塗布されていた場合、保護フィルム4の剥離後においてもその粘着剤がグランド材3の表面に残る恐れもある。
【0011】
この発明は、上記の実状の下、保護フィルムを剥がす際、保護フィルム下の部材を損傷することなく円滑に剥がし得るようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を達成するために、この発明は、上記剥離刃による剥離を採用し、その剥離刃が可撓性を有してその先端縁は先側に突出する円弧状となっているとともに、上記保護フィルムに接する面側に向かい前記先側に下り傾斜面となっている構成としたのである。
剥離刃の先端縁の形状が直線状であると、直線的な接触であるため、剥がれ難いと共に傷付け易い。また、同形状が先の尖った形状であると、尖端で傷付け易い。これに対し、剥離刃が可撓性を有すれば、押圧されることによって、円弧状の先端縁がある程度の長さを有して接して、尖端による点接触とならないから、傷付け難いと共に、円弧縁で徐々に接触線が長くなって接触するため、剥がし易い。このとき、剥離刃の先端縁が保護フィルムに接する面側に向かい先側に下り傾斜面となっているので、その先端縁は薄いため、保護フィルムとプリント配線板等の表面の間に円滑に入り込んでその保護フィルムを円滑に剥がし得る。
【0013】
この発明の構成としては、プリント配線板上に貼着された保護フィルムを剥離する治具であって、治具本体に突出して片状剥離刃が設けられ、その剥離刃の先端縁は先側に突出する円弧状となっているとともに、前記保護フィルムに接する面側に向かい前記先側に下り傾斜面となっている構成を採用したものである。
上記プリント配線板は、プリント回路を有する基板の片面にシールドフィルムを被覆し、そのシールドフィルムの外側面に保護フィルムが貼着されたものとしたり、同基板の片面にグランド材を被覆し、そのグランド材の外側面に保護フィルムが貼着されたものとしたり、同基板の片面にシールドフィルムを被覆し、そのシールドフィルムの外側面にシールド層に接続されたグランド材が設けられ、そのグランド材の外側面に保護フィルムが貼着されたものとしたりすることができる。
【0014】
上記剥離刃は、上記保護フィルムの被貼着面に比べて柔らかい(硬度が低い)ものとすれば、接触による損傷をさらに抑えることができる。例えば、鉛筆硬度でB〜8Hの樹脂を使用する。8Hを超えると、保護フィルムを剥離する際、剥離刃が現在使用されているシールドフィルム等の被貼着面を傷付けてしまうからであり、B未満となると、剥離時の剥離刃への押圧によって剥離刃の先端が曲がったり、数回の剥離作用によって剥離刃先端が摩耗して旨く剥離作用が行えなかったりするからである。
【発明の効果】
【0015】
この発明は、以上のようにしたので、保護フィルムをその被貼付面を傷付けることなく円滑に剥がすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】この発明に係るプリント配線板上保護フィルムの剥離治具の一実施形態の斜視図
【
図2】(a)は同実施形態の平面図、(b)は同正面図、(c)は切断正面図
【
図5】フレキシブルプリント配線板の一例を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線断面図
【
図6】フレキシブルプリント配線板の他例を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1、
図2にこの発明に係る剥離治具の一実施形態を示し、正面視:台形状の樹脂製治具本体10の下面に突出して可撓性の片状のアクリル製剥離刃11が設けられている。治具本体10は、手で持ちやすい形状を適宜に選択し、その大きさも例えば、
図2に示すものとする(同図中寸法:mm)。この剥離刃11は鉛筆硬度で「2H」としたため、一般的なグランド材3の金属箔(層)3aに比べて柔らかいものとなった。
【0018】
剥離刃11は、その先端縁11aが先側に突出する円弧状となっているとともに、下面側に向かい前記先側に下り傾斜面11bとなっている。それらの寸法も剥離度合を考慮して適宜に設定する。例えば、先端縁11aの先端厚は10μm以下とする。
剥離刃11の上面には副刃12が設けられており、その副刃12の先端縁12aは上方に向かって立上がっている。この円弧状先端縁12aは剥離刃11によって剥ぎ取られた保護フィルム4の剥ぎ取られ端が当ってその端を上方に押し上げたり、剥離刃11との間で剥ぎ取られた保護フィルム4を挟持したりして剥離作用を円滑にする。この副刃12も剥離刃11と同様に鉛筆硬度で「2H」とした。
【0019】
剥離刃11と副刃12は、
図2(c)に示すように、その中程(
図2(b)の寸法:8.0部分)が治具本体10に接着され、その中程後方に治具本体10に接しない部分が存在する(治具本体10に空隙10cが形成されている)。この空隙10cの存在によって、剥離刃11及び副刃12の先端部は円滑に撓むことができる(可撓性が増す)。前記中程の接着によって剥離刃11と副刃12の治具本体10への取付強度が不十分であれば、剥離刃11及び副刃12の基部(先端縁11aの反対側端部)を治具本体10に埋設モールドしてもよい。
【0020】
この剥離治具による保護フィルム4の剥離は、例えば、
図3に示すように、保護フィルム4の端とグランド材3(金属箔3a)の端との間に剥離刃10の先端縁11aを食込ませ、剥離治具を前方に進めることによって行なう。
このとき、剥離刃11は樹脂製で可撓性を有するため、押圧されることによって、円弧状の先端縁11aがある程度の長さを有して接して、尖端による点接触とならないから、傷付け難いと共に、円弧縁で徐々に接触線が長くなって接触するため、保護フィルム4を円滑に剥がし得る。また、剥離刃11の先端縁11aが保護フィルム4に接する面側に向かい先側に下り傾斜面11bとなっているので、その先端縁11aは薄くて保護フィルム4とグランド材3の間に円滑に入り込んでグランド材3を傷付けることなくその保護フィルム4を円滑に剥がし得る。
【0021】
上記保護フィルム4は、グランド材3に貼着されたものであったが、
図4に示すように、シールドフィルム2表面に貼着の保護フィルム4であっても、その保護フィルム4の剥離にこの発明に関わる剥離治具を使用し得ることは勿論である。シールドフィルム2は金属薄膜層2aを省略して導電性接着剤層2bのみによってシールド層を構成することもできる。このとき、その導電性接着剤は等方導電性接着剤であることが好ましい。
また、
図4に示すシールドフィルム2にかえてグランド材3を貼りつけることもできる。この際の保護フィルム4の剥離にこの発明に関わる剥離治具を使用し得ることは勿論である。
【0022】
因みに、このグランド材3の接続は、金属フィラー3bによる手段に限らず、他の手段、例えば、金属フィラー3bに代えて、導電バンプや金属突起等とし得たり(特許文献1段落0035〜0046、
図3、
図4参照)する手段を採用することもできる。
なお、グランド材3の構成は、金属フィラー3bによる手段による態様に限らず、従来の種々の態様の物が採用できることは勿論である。
また、上記実施形態は、プリント回路1bを有する基板1を、ベースフィルム1aの一方の面にのみプリント回路を有する片面型FPCとしたが、その片面型FPCに限らず、ベースフィルム1aの両面にプリント回路を有する両面型FPC、この様なFPCが複数層積層された多層型FPC、さらに多層部品搭載部とケーブル部を有するフレクスボード(登録商標)や、多層部を構成する部材を硬質なものとしたフレックスリジッド基板、或いは、リジッドプリント配線板、テープキャリアパッケージの為のTABテープ等を使用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0023】
1 基体フィルム
1a ベースフィルム
1b プリント回路
1b
1 信号線
1b
2 グランド線
2 シールドフィルム
2a シールド層(金属薄膜層)
2b 導電性接着剤層
2c 保護層
3 グランド材
3a グランド材の金属箔
3b 金属フィラー
3c 導電性接着剤層
4 保護フィルム
10 剥離治具本体
11 剥離刃
11a 剥離刃の先端縁
11b 同先端縁の傾斜面
12 副刃
12a 副刃の先端縁