(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記受電部は、前記受電部と前記送電部の間に形成され、かつ特定の周波数で振動する磁界と、前記受電部と前記送電部の間に形成され、かつ特定の周波数で振動する電界との少なくとも一方を通じて、前記送電部から電力を受電する、請求項1または3に記載の車両の駐車支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0022】
[非接触送受電システムの全体構成]
図1は、非接触送受電システムの一例を示す全体ブロック図である。車両100は、駆動源として回転電機を用いる電気自動車が例示されるが、非接触で受電するものであれば、他の自動車であってもよいし、さらに、受電対象は車両でなくてもよい。
【0023】
図1を参照して、この非接触電力伝送システムは、送電装置200と、車両100とを備える。送電装置200は、電源部250と、送電ユニット220と、通信部230とを含む。車両100は、受電ユニット110と、整流器180と、蓄電装置190と、動力生成装置118とを含む。
【0024】
電源部250は、電源12から電力を受けて高周波の交流電力を生成する。電源12は、商用電源であっても、独立電源装置であってもよい。送電ユニット220は、電源部250から高周波の交流電力の供給を受け、受電ユニット110へ非接触で電力を伝送する。一例として、送電ユニット220は、コイルおよびキャパシタを含む共振回路によって構成される。
【0025】
一方、車両100において、受電ユニット110は、送電装置200側の送電ユニット220から送出される電力を非接触で受電して整流器180へ出力する。一例として、受電ユニット110も、コイルおよびキャパシタを含む共振回路によって構成される。
【0026】
整流器180は、受電ユニット110から受ける交流電力を直流電力に変換し、その変換された直流電力を蓄電装置190へ出力することによって蓄電装置190を充電する。蓄電装置190は、整流器180から出力される電力を蓄えるほか、動力生成装置118によって発電される電力も蓄える。そして、蓄電装置190は、その蓄えられた電力を動力生成装置118へ供給する。なお、蓄電装置190として二次電池以外にも大容量のキャパシタも採用可能である。
【0027】
動力生成装置118は、蓄電装置190に蓄えられる電力を用いて車両100の走行駆動力を発生する。
図1には特に図示しないが、動力生成装置118は、たとえば、蓄電装置190から電力を受けるインバータ、インバータによって駆動されるモータ、モータによって駆動される駆動輪等を含む。なお、動力生成装置118は、蓄電装置190を充電するための発電機と、その発電機を駆動可能なエンジンを含んでもよい。
【0028】
この非接触電力伝送システムにおいては、送電装置200の送電ユニット220の固有周波数は、車両100の受電ユニット110の固有周波数と同じである。ここで、送電ユニット220(受電ユニット110)の固有周波数とは、送電ユニット220(受電ユニット110)を構成する電気回路(共振回路)が自由振動する場合の振動周波数を意味する。なお、送電ユニット220(受電ユニット110)を構成する電気回路(共振回路)において、制動力または電気抵抗をゼロまたは実質的にゼロとしたときの固有周波数は、送電ユニット220(受電ユニット110)の共振周波数とも称される。
【0029】
また、固有周波数が「同じ」とは、完全に同じ場合だけでなく、固有周波数が実質的に同じ場合も含む。固有周波数が「実質的に同じ」とは、たとえば、送電ユニット220の固有周波数と受電ユニット110の固有周波数との差が、送電ユニット220または受電ユニット110の固有周波数の10%以内の場合を意味する。
【0030】
本実施の形態に係る電力伝送システムにおいては、送電ユニット220の固有周波数と、受電ユニット110の固有周波数との差は、受電ユニット110または送電ユニット220の固有周波数の10%以下である。このような範囲に各送電ユニット220および受電ユニット110の固有周波数を設定することで、電力伝送効率を高めることができる。その一方で、固有周波数の差が受電ユニット110または送電ユニット220の固有周波数の10%よりも大きくなると、電力伝送効率が10%より小さくなり、蓄電装置190の充電時間が長くなるなどの弊害が生じる。
【0031】
そして、送電ユニット220は、送電ユニット220と受電ユニット110間に形成され、かつ、特定の周波数で振動する磁界と、送電ユニット220と受電ユニット110間に形成され、かつ、特定の周波数で振動する電界との少なくとも一方を通じて、車両100の受電ユニット110へ非接触で送電する。
【0032】
このように、送電ユニット220と受電ユニット110とを電磁界によって共振(共鳴)させることで、送電装置200の送電ユニット220から車両100の受電ユニット110へ非接触で電力が伝送される。
【0033】
なお、上記のように、この非接触電力伝送システムにおいては、送電ユニット220と受電ユニット110とを電磁界によって共振(共鳴)させることで、送電ユニット220から受電ユニット110へ非接触で電力が伝送される。電力伝送における、このような送電ユニット220と受電ユニット110との結合を、たとえば、「磁気共鳴結合」、「磁界(磁場)共鳴結合」、「磁場共振(共鳴)結合」、「近接場共振(共鳴)結合」、「電磁界(電磁場)共振結合」、または「電界(電場)共振結合」等という。「電磁界(電磁場)共振結合」は、「磁気共鳴結合」、「磁界(磁場)共鳴結合」、「電界(電場)共振結合」のいずれも含む結合を意味する。
【0034】
送電ユニット220と受電ユニット110とが上記のようにコイルによって形成される場合には、送電ユニット220と受電ユニット110とは、主に磁界(磁場)によって結合し、「磁気共鳴結合」または「磁界(磁場)共鳴結合」が形成される。なお、送電ユニット220と受電ユニット110とに、たとえばメアンダライン等のアンテナを各々採用することも可能である。この場合には、送電ユニット220と受電ユニット110とは、主に電界(電場)によって結合し、「電界(電場)共鳴結合」が形成される。
【0035】
図2は、共鳴法による送電の原理を説明するための模式的な図である。
図2を参照して、この共鳴法では、2つの音叉が共鳴するのと同様に、同じ固有振動数を有する2つのLC共振コイルが電磁場(近接場)において共鳴することによって、一方のコイルから他方のコイルへ電磁場を介して電力が伝送される。
【0036】
具体的には、高周波電源310に一次コイル320を接続し、電磁誘導により一次コイル320と磁気的に結合される一次自己共振コイル330へ高周波電力を給電する。一次自己共振コイル330は、コイル自身のインダクタンスと浮遊容量とによるLC共振器であり、一次自己共振コイル330と同じ共振周波数を有する二次自己共振コイル340と電磁場(近接場)を介して共鳴する。そうすると、一次自己共振コイル330から二次自己共振コイル340へ電磁場を介してエネルギー(電力)が移動する。二次自己共振コイル340へ移動したエネルギー(電力)は、電磁誘導により二次自己共振コイル340と磁気的に結合される二次コイル350によって取出され、負荷360へ供給される。なお、共鳴法による送電は、一次自己共振コイル330と二次自己共振コイル340との共鳴強度を示すQ値がたとえば100よりも大きいときに実現される。
【0037】
また、本実施の形態に係る電力送受電システムにおいては、送電ユニットと受電ユニットとを電磁界によって共鳴(共振)させることで送電ユニットから受電ユニットに電力を送電している例を示しているが、送電ユニットと受電ユニットとの間の結合係数(κ)は電力伝送が良好となる種々の値をとり得る。
【0038】
なお、
図1との対応関係については、二次自己共振コイル340および二次コイル350が
図1の受電ユニット110に対応し、一次コイル320および一次自己共振コイル330が
図1の送電ユニット220に対応する。
【0039】
次に、
図3および
図4を用いて、固有周波数の差と電力伝送効率との関係とを解析したシミュレーション結果について説明する。
図3は、電力伝送システムのシミュレーションモデルを示す図である。電力伝送システム89は、送電ユニット90と、受電ユニット91とを備え、送電ユニット90は、電磁誘導コイル92と、送電部93とを含む。送電部93は、共鳴コイル94と、共鳴コイル94に設けられたキャパシタ95とを含む。
【0040】
受電ユニット91は、受電部96と、電磁誘導コイル97とを備える。受電部96は、共鳴コイル99とこの共鳴コイル99に接続されたキャパシタ98とを含む。
【0041】
共鳴コイル94のインダクタンスをインダクタンスLtとし、キャパシタ95のキャパシタンスをキャパシタンスC1とする。共鳴コイル99のインダクタンスをインダクタンスLrとし、キャパシタ98のキャパシタンスをキャパシタンスC2とする。このように各パラメータを設定すると、送電部93の固有周波数f1は、下記の式(1)によって示され、受電部96の固有周波数f2は、下記の式(2)によって示される。
【0042】
f1=1/{2π(Lt×C1)
1/2}・・・(1)
f2=1/{2π(Lr×C2)
1/2}・・・(2)
図4は、送電部93および受電部96の固有周波数のズレと、電力伝送効率との関係を示した図である。
図4においては、インダクタンスLrおよびキャパシタンスC1,C2を固定して、インダクタンスLtのみを変化させた場合が示されている。
【0043】
なお、このシミュレーションにおいては、共鳴コイル94および共鳴コイル99の相対的な位置関係は固定した状態であって、さらに、送電部93に供給される電流の周波数は一定である。
【0044】
図4に示すグラフのうち、横軸は、固有周波数のズレ(%)を示し、縦軸は、一定周波数での伝送効率(%)を示す。固有周波数のズレ(%)は、下記式(3)によって示される。
【0045】
(固有周波数のズレ)={(f1−f2)/f2}×100(%)・・・(3)
図4からも明らかなように、固有周波数のズレ(%)が±0%の場合には、電力伝送効率は、100%近くとなる。固有周波数のズレ(%)が±5%の場合には、電力伝送効率は、40%となる。固有周波数のズレ(%)が±10%の場合には、電力伝送効率は、10%となる。固有周波数のズレ(%)が±15%の場合には、電力伝送効率は、5%となる。すなわち、固有周波数のズレ(%)の絶対値(固有周波数の差)が、受電部96の固有周波数の10%以下の範囲となるように各送電部および受電部の固有周波数を設定することで電力伝送効率を高めることができることがわかる。さらに、固有周波数のズレ(%)の絶対値が受電部96の固有周波数の5%以下となるように、各送電部および受電部の固有周波数を設定することで電力伝送効率をより高めることができることがわかる。なお、シミュレーションソフトしては、電磁界解析ソフトウェア(JMAG(登録商標):株式会社JSOL製)を採用している。
【0046】
ここで、
図1の送電ユニット220中の共鳴コイルの周囲に形成される特定の周波数の磁界について説明する。「特定の周波数の磁界」は、典型的には、電力伝送効率と送電ユニット220中の共鳴コイルに供給される電流の周波数と関連性を有する。そこで、まず、電力伝送効率と、送電ユニット220中の共鳴コイルに供給される電流の周波数との関係について説明する。送電ユニット220中の共鳴コイルから受電ユニット110中の共鳴コイルに電力を伝送するときの電力伝送効率は、送電ユニット220中の共鳴コイルおよび受電ユニット110中の共鳴コイルの間の距離などの様々な要因よって変化する。たとえば、送電ユニット220および受電ユニット110の固有周波数(共振周波数)を固有周波数f0とし、送電ユニット220中の共鳴コイルに供給される電流の周波数を周波数f3とし、受電ユニット110中の共鳴コイルおよび送電ユニット220中の共鳴コイルの間のエアギャップをエアギャップAGとする。
【0047】
図5は、固有周波数f0を固定した状態で、エアギャップAGを変化させたときの電力伝送効率と、
図1の送電ユニット220中の共鳴コイルに供給される電流の周波数f3との関係を示すグラフである。
【0048】
図5に示すグラフにおいて、横軸は、送電ユニット220中の共鳴コイルに供給する電流の周波数f3を示し、縦軸は、電力伝送効率(%)を示す。効率曲線L1は、エアギャップAGが小さいときの電力伝送効率と、送電ユニット220中の共鳴コイルに供給する電流の周波数f3との関係を模式的に示す。この効率曲線L1に示すように、エアギャップAGが小さい場合には、電力伝送効率のピークは周波数f4,f5(f4<f5)において生じる。エアギャップAGを大きくすると、電力伝送効率が高くなるときの2つのピークは、互いに近づくように変化する。そして、効率曲線L2に示すように、エアギャップAGを所定距離よりも大きくすると、電力伝送効率のピークは1つとなり、送電ユニット220中の共鳴コイルに供給する電流の周波数が周波数f6のときに電力伝送効率がピークとなる。エアギャップAGを効率曲線L2の状態よりもさらに大きくすると、効率曲線L3に示すように電力伝送効率のピークが小さくなる。
【0049】
たとえば、電力伝送効率の向上を図るため手法として次のような第1の手法が考えられる。第1の手法としては、エアギャップAGにあわせて、
図1に示す送電ユニット220中の共鳴コイルに供給する電流の周波数を一定として、キャパシタのキャパシタンスを変化させることで、送電ユニット220と受電ユニット110との間での電力伝送効率の特性を変化させる手法が考えられる。具体的には、送電ユニット220中の共鳴コイルに供給される電流の周波数を一定とした状態で、電力伝送効率がピークとなるように、キャパシタのキャパシタンスを調整する。この手法では、エアギャップAGの大きさに関係なく、送電ユニット220中の共鳴コイルおよび受電ユニット110中の共鳴コイルに流れる電流の周波数は一定である。なお、電力伝送効率の特性を変化させる手法としては、送電ユニット220と電源部250との間に設けられた整合器を利用する手法や、受電側のコンバータを利用する手法などを採用することもできる。
【0050】
また、第2の手法としては、エアギャップAGの大きさに基づいて、送電ユニット220中の共鳴コイルに供給する電流の周波数を調整する手法である。たとえば、
図5において、電力伝送特性が効率曲線L1となる場合には、送電ユニット220中の共鳴コイルには周波数が周波数f4または周波数f5の電流を送電ユニット220中の共鳴コイルに供給する。そして、周波数特性が効率曲線L2,L3となる場合には、周波数が周波数f6の電流を送電ユニット220中の共鳴コイルに供給する。この場合では、エアギャップAGの大きさに合わせて送電ユニット220中の共鳴コイルおよび受電ユニット110中の共鳴コイルに流れる電流の周波数を変化させることになる。
【0051】
第1の手法では、送電ユニット220中の共鳴コイルを流れる電流の周波数は、固定された一定の周波数となり、第2の手法では、送電ユニット220中の共鳴コイルを流れる周波数は、エアギャップAGによって適宜変化する周波数となる。第1の手法や第2の手法などによって、電力伝送効率が高くなるように設定された特定の周波数の電流が送電ユニット220中の共鳴コイルに供給される。送電ユニット220中の共鳴コイルに特定の周波数の電流が流れることで、送電ユニット220中の共鳴コイルの周囲には、特定の周波数で振動する磁界(電磁界)が形成される。受電ユニット110は、受電ユニット110と送電ユニット220の間に形成され、かつ特定の周波数で振動する磁界を通じて送電ユニット220から電力を受電している。したがって、「特定の周波数で振動する磁界」とは、必ずしも固定された周波数の磁界とは限らない。なお、上記の例では、エアギャップAGに着目して、送電ユニット220中の共鳴コイルに供給する電流の周波数を設定するようにしているが、電力伝送効率は、送電ユニット220中の共鳴コイルおよび受電ユニット110中の共鳴コイルの水平方向のずれ等のように他の要因によっても変化するものであり、当該他の要因に基づいて、送電ユニット220中の共鳴コイルに供給する電流の周波数を調整する場合がある。
【0052】
本実施の形態に係る電力伝送システムにおいては、電磁界の「静電磁界」が支配的な近接場(エバネッセント場)を利用することで、送電および受電効率の向上が図られている。
図6は、電流源または磁流源からの距離と電磁界の強度との関係を示した図である。
図6を参照して、電磁界は3つの成分から成る。曲線k1は、波源からの距離に反比例した成分であり、「輻射電磁界」と称される。曲線k2は、波源からの距離の2乗に反比例した成分であり、「誘導電磁界」と称される。また、曲線k3は、波源からの距離の3乗に反比例した成分であり、「静電磁界」と称される。なお、電磁界の波長を「λ」とすると、「輻射電磁界」と「誘導電磁界」と「静電磁界」との強さが略等しくなる距離は、λ/2πとあらわすことができる。
【0053】
「静電磁界」は、波源からの距離とともに急激に電磁波の強度が減少する領域であり、本実施の形態に係る電力伝送システムでは、この「静電磁界」が支配的な近接場(エバネッセント場)を利用してエネルギー(電力)の伝送が行なわれる。すなわち、「静電磁界」が支配的な近接場において、近接する固有周波数を有する送電ユニット220および受電ユニット110(たとえば一対のLC共振コイル)を共鳴させることにより、送電ユニット220から他方の受電ユニット110へエネルギー(電力)を伝送する。この「静電磁界」は遠方にエネルギーを伝播しないので、遠方までエネルギーを伝播する「輻射電磁界」によってエネルギー(電力)を伝送する電磁波に比べて、共鳴法は、より少ないエネルギー損失で送電することができる。
【0054】
[非接触送受電の構成の詳細説明]
図7は、
図1に示した電力送受電システム10の詳細な構成を示す回路図である。
図7を参照して、車両100は、受電ユニット110および通信部160に加えて、整流器180と、充電リレー(CHR)170と、蓄電装置190と、システムメインリレー(SMR)115と、パワーコントロールユニットPCU(Power Control Unit)120と、モータジェネレータ130と、動力伝達ギヤ140と、駆動輪150と、制御装置である車両ECU(Electronic Control Unit)300と、電流センサ171と、電圧センサ172とを含む。受電ユニット110は、コイル111(以下二次自己共振コイル111といい、「共鳴コイル」などと適宜の呼び方をしてもよい)と、コンデンサ112と、二次コイル113とを含む。
【0055】
なお、本実施の形態においては、車両100として電気自動車を例として説明するが、蓄電装置に蓄えられた電力を用いて走行が可能な車両であれば車両100の構成はこれに限られない。車両100の他の例としては、エンジンを搭載したハイブリッド車両や、燃料電池を搭載した燃料電池車などが含まれる。
【0056】
二次自己共振コイル111は、送電装置200に含まれる一次自己共振コイル221から、電磁場を用いて電磁共鳴により受電する。
【0057】
この二次自己共振コイル111については、送電装置200の一次自己共振コイル221との距離や、一次自己共振コイル221および二次自己共振コイル111の共鳴周波数等に基づいて、一次自己共振コイル221と二次自己共振コイル111との共鳴強度を示すQ値が大きくなり(たとえば、Q>100)、その結合度を示す結合係数(κ)等が小さくなるようにその巻数やコイル間距離が適宜設定される。
【0058】
コンデンサ112は、二次自己共振コイル111の両端に接続され、二次自己共振コイル111とともにLC共振回路を形成する。コンデンサ112の容量は、二次自己共振コイル111の有するインダクタンスに応じて、所定の共鳴周波数となるように適宜設定される。なお、二次自己共振コイル111自身の有する浮遊容量で所望の共振周波数が得られる場合には、コンデンサ112が省略される場合がある。
【0059】
二次コイル113は、二次自己共振コイル111と同軸上に設けられ、電磁誘導により二次自己共振コイル111と磁気的に結合可能である。この二次コイル113は、二次自己共振コイル111により受電された電力を電磁誘導により取出して整流器180へ出力する。
【0060】
整流器180は、二次コイル113から受ける交流電力を整流し、その整流された直流電力を、CHR170を介して蓄電装置190に出力する。整流器180としては、たとえば、ダイオードブリッジおよび平滑用のコンデンサ(いずれも図示せず)を含む構成とすることができる。整流器180として、スイッチング制御を用いて整流を行なう、いわゆるスイッチングレギュレータを用いることも可能であるが、整流器180が受電ユニット110に含まれる場合もあり、発生する電磁場に伴うスイッチング素子の誤動作等を防止するために、ダイオードブリッジのような静止型の整流器とすることがより好ましい。
【0061】
なお、本実施の形態においては、整流器180により整流された直流電力が蓄電装置190へ直接出力される構成としているが、整流後の直流電圧が、蓄電装置190が許容できる充電電圧と異なる場合には、整流器180と蓄電装置190との間に、電圧変換するためのDC/DCコンバータ(図示せず)が設けられてもよい。
【0062】
整流器180の出力部分には、直列に接続された位置検出用の負荷抵抗173とリレー174とが接続されている。本格的な充電が開始される前に、送電装置200から車両へはテスト用信号として微弱な電力が送電される。このとき、リレー174は車両ECU300からの制御信号SE3によって制御され、導通状態とされる。
【0063】
電圧センサ172は、整流器180と蓄電装置190とを結ぶ電力線対間に設けられる。電圧センサ172は、整流器180の二次側の直流電圧、すなわち送電装置200から受電した受電電圧を検出し、その検出値VCを車両ECU300に出力する。車両ECU300は、電圧VCによって受電効率を判断し、通信部160を経由して送電装置に受電効率に関する情報を送信する。
【0064】
電流センサ171は、整流器180と蓄電装置190とを結ぶ電力線に設けられる。電流センサ171は、蓄電装置190への充電電流を検出し、その検出値ICを車両ECU300へ出力する。
【0065】
CHR170は、整流器180と蓄電装置190とに電気的に接続される。CHR170は、車両ECU300からの制御信号SE2により制御され、整流器180から蓄電装置190への電力の供給と遮断とを切換える。
【0066】
蓄電装置190は、充放電可能に構成された電力貯蔵要素である。蓄電装置190は、たとえば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池あるいは鉛蓄電池などの二次電池や、電気二重層キャパシタなどの蓄電素子を含んで構成される。
【0067】
蓄電装置190は、CHR170を介して整流器180と接続される。蓄電装置190は、受電ユニット110で受電され整流器180で整流された電力を蓄電する。また、蓄電装置190は、SMR115を介してPCU120とも接続される。蓄電装置190は、車両駆動力を発生させるための電力をPCU120へ供給する。さらに、蓄電装置190は、モータジェネレータ130で発電された電力を蓄電する。蓄電装置190の出力はたとえば200V程度である。
【0068】
蓄電装置190には、いずれも図示しないが、蓄電装置190の電圧VBおよび入出力される電流IBを検出するための電圧センサおよび電流センサが設けられる。これらの検出値は、車両ECU300へ出力される。車両ECU300は、この電圧VBおよび電流IBに基づいて、蓄電装置190の充電状態(「SOC(State Of Charge)」とも称される。)を演算する。
【0069】
SMR115は、蓄電装置190とPCU120とを結ぶ電力線に介挿される。そして、SMR115は、車両ECU300からの制御信号SE1によって制御され、蓄電装置190とPCU120との間での電力の供給と遮断とを切換える。
【0070】
PCU120は、いずれも図示しないが、コンバータやインバータを含む。コンバータは、車両ECU300からの制御信号PWCにより制御されて蓄電装置190からの電圧を変換する。インバータは、車両ECU300からの制御信号PWIにより制御されて、コンバータで変換された電力を用いてモータジェネレータ130を駆動する。
【0071】
モータジェネレータ130は交流回転電機であり、たとえば、永久磁石が埋設されたロータを備える永久磁石型同期電動機である。
【0072】
モータジェネレータ130の出力トルクは、動力伝達ギヤ140を介して駆動輪150に伝達されて、車両100を走行させる。モータジェネレータ130は、車両100の回生制動動作時には、駆動輪150の回転力によって発電することができる。そして、その発電電力は、PCU120によって蓄電装置190の充電電力に変換される。
【0073】
また、モータジェネレータ130の他にエンジン(図示せず)が搭載されたハイブリッド自動車では、このエンジンおよびモータジェネレータ130を協調的に動作させることによって、必要な車両駆動力が発生される。この場合、エンジンの回転による発電電力を用いて、蓄電装置190を充電することも可能である。
【0074】
通信部160は、上述のように、車両100と送電装置200との間で無線通信を行なうための通信インターフェースである。通信部160は、車両ECU300からの、蓄電装置190についてのSOCを含むバッテリ情報INFOを送電装置200へ出力する。また、通信部160は、送電装置200からの送電の開始および停止を指示する信号STRT,STPを送電装置200へ出力する。
【0075】
車両ECU300は、いずれも
図7には図示しないがCPU(Central Processing Unit)、記憶装置および入出力バッファを含み、各センサ等からの信号の入力や各機器への制御信号の出力を行なうとともに、車両100および各機器の制御を行なう。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
【0076】
車両ECU300は、ユーザの操作などによる充電開始信号TRGを受けると、所定の条件が成立したことに基づいて、送電の開始を指示する信号STRTを、通信部160を介して送電装置200へ出力する。また、車両ECU300は、蓄電装置190が満充電になったこと、またはユーザによる操作などに基づいて、送電の停止を指示する信号STPを、通信部160を介して送電装置200へ出力する。
【0077】
送電装置200は、充電スタンド210と、送電ユニット220とを含む。充電スタンド210は、通信部230に加えて、制御装置である送電ECU240と、電源部250と、表示部242と、料金受領部246とをさらに含む。また、送電ユニット220は、コイル221(以下一次自己共振コイル221といい、「共鳴コイル」などと適宜の呼び方をしてもよい)と、コンデンサ222と、一次コイル223とを含む。
【0078】
電源部250は、送電ECU240からの制御信号MODによって制御され、商用電源などの交流電源から受ける電力を高周波の電力に変換する。そして、電源部250は、その変換した高周波電力を一次コイル223へ供給する。
【0079】
なお、
図7には、インピーダンス変換を行なう整合器が記載されていないが、電源部250と送電ユニット220の間または受電ユニット110と整流器180の間に整合器を設ける構成としても良い。
【0080】
一次自己共振コイル221は、車両100の受電ユニット110に含まれる二次自己共振コイル111へ、電磁共鳴により電力を転送する。
【0081】
一次自己共振コイル221については、車両100の二次自己共振コイル111との距離や、一次自己共振コイル221および二次自己共振コイル111の共鳴周波数等に基づいて、一次自己共振コイル221と二次自己共振コイル111との共鳴強度を示すQ値が大きくなり(たとえば、Q>100)、その結合度を示す結合係数κ等が小さくなるようにその巻数やコイル間距離が適宜設定される。結合係数κの値は限定されるものでなく、電力伝送が良好となる種々の値をとり得る。
【0082】
コンデンサ222は、一次自己共振コイル221の両端に接続され、一次自己共振コイル221とともにLC共振回路を形成する。コンデンサ222の容量は、一次自己共振コイル221の有するインダクタンスに応じて、所定の共鳴周波数となるように適宜設定される。なお、一次自己共振コイル221自身の有する浮遊容量で所望の共振周波数が得られる場合には、コンデンサ222が省略される場合がある。
【0083】
一次コイル223は、一次自己共振コイル221と同軸上に設けられ、電磁誘導により一次自己共振コイル221と磁気的に結合可能である。一次コイル223は、整合器260を介して供給された高周波電力を、電磁誘導によって一次自己共振コイル221に伝達する。
【0084】
通信部230は、上述のように、送電装置200と車両100との間で無線通信を行なうための通信インターフェースである。通信部230は、車両100側の通信部160から送信されるバッテリ情報INFO、および、送電の開始および停止を指示する信号STRT,STPを受信し、これらの情報を送電ECU240へ出力する。
【0085】
料金受領部246には充電に先立って、現金、プリペイドカード、クレジットカードなどが挿入される。送電ECU240は電源部250に微弱電力によるテスト信号を送信させる。ここで、「微弱電力」とは、認証後にバッテリを充電する充電電力よりも小さい電力、あるいは、位置合わせの際に送電する電力であって、間欠的に送電する電力も含んでも良い。
【0086】
車両ECU300はテスト信号を受信するために、リレー174をオン状態とし、CHR170をオフ状態とするように制御信号SE2,SE3を送信する。そして電圧VCに基づいて受電効率および充電効率を算出する。車両ECU300は、算出した充電効率または受電効率を通信部160によって送電装置200に送信する。
【0087】
送電装置200の表示部242は、充電効率やそれに対応する充電電力単価をユーザに対して表示する。表示部242は、たとえばタッチパネルのように入力部としての機能も有しており、充電電力単価をユーザが承認するか否かの入力を受け付けることができる。
【0088】
送電ECU240は、充電電力単価が承認された場合には電源部250に本格的な充電を開始させる。充電が完了すると料金受領部246において料金が精算される。
【0089】
送電ECU240は、いずれも
図7には図示しないがCPU、記憶装置および入出力バッファを含み、各センサ等からの信号の入力や各機器への制御信号の出力を行なうとともに、充電スタンド210における各機器の制御を行なう。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
【0090】
なお、送電装置200から車両100への電力伝送については、
図3、
図4で説明した送電ユニット90および受電ユニット91についての関係が成立する。
図7の電力伝送システムにおいては、送電ユニット220の固有周波数と、受電ユニット110の固有周波数との差は、送電ユニット220の固有周波数または受電ユニット110の固有周波数の±10%以下である。このような範囲に送電ユニット220および受電ユニット110の固有周波数を設定することで電力伝送効率を高めることができる。一方、上記の固有周波数の差が±10%よりも大きくなると、電力伝送効率が10%よりも小さくなり、電力伝送時間が長くなるなどの弊害が生じる。
【0091】
車両100は、さらに、送電装置200と通信を行ない、送電ユニット220が車両100の受電ユニット110に適合するか否かの判断結果を表示する表示部142を含む。
【0092】
図8は、送電ユニットおよび受電ユニットの変形例を示した図である。
図8に示すように、
図7の電磁誘導コイル113,223を介在させないようにしてもよい。
図8の構成では、送電装置200には送電ユニット220Kが設けられ、車両100には受電ユニット110Kが設けられる。
【0093】
送電ユニット220Kは、電源部250に直列的に接続された自己共振コイル221およびキャパシタ222を含む。
【0094】
受電ユニット110Kは、整流器180に直列的に接続された自己共振コイル121およびコンデンサ112を含む。
【0095】
他の部分の構成については、
図8の構成は
図7で説明した構成と同じであるので説明は繰返さない。
【0096】
[送電ユニット、受電ユニットのコイルタイプ]
送電ユニット、受電ユニットのコイルタイプは代表的には、磁束が中心を通過する中心型(環状型または円型コイルタイプ:Circular Coil Type)と、磁束が一方端から他方端に抜ける両端型(Polarized Coil Type)とがある。両端型は、磁束が通過する方向が車両の前後方向であるか左右方向であるかによって、両端前後型と両端左右型とにさらに分類される。両端型コイルは、ソレノイド型コイルと呼ぶこともある。
【0097】
以下、本明細書において、中心型または円型コイルのようなコイルを環状型コイルと総称し、両端型コイルのようなコイルをソレノイド型コイルと総称することとする。
【0098】
図9は、本実施の形態で送電装置の送電ユニットに含まれるコイルの構造を示す斜視図である。
図9を参照して、コイル221は、環状型コイルとソレノイド型コイルとを合成した合成型コイルである。コイル221は、Z軸を取り囲むように巻回した環状コイル221Aと、環状コイル221Aに直列接続され、Z軸と交差するY軸を取り囲むように巻回したソレノイドコイル221Bとを備える。ソレノイドコイル221Bは、平板の磁性材421の周囲に導電線を巻回した構成を有する。ソレノイドコイル221Bは、Z軸が平板の磁性材421の中央部を貫くように環状コイル221Aとの位置が定められる。
【0099】
なお、平板の磁性材421の中央部は、平板が矩形である場合には、対角線の交点付近、または平板の対向する一対の辺の中点同士を結んだ線と他の対向する一対の辺の中点同士を結んだ線との交点付近などである。他の材料でも良いが、好ましくは、平板の磁性材421としてフェライトプレートを使用することができる。
【0100】
なお、平板は必ずしも矩形である必要はなく、矩形の角を丸めたり角を斜めに切り落としたりしたような形状であっても良い。さらにH型のような形状であっても良い。また、以下は、送電ユニット側に
図9の合成型コイルを配置する例を示すが、受電ユニット側に合成型コイルを配置しても良い。
【0101】
次に、環状型のコイルとソレノイド型のコイルの磁束の通過方向について説明する。
図10は、環状型のコイルユニットを説明するための図である。
図10を参照して、環状型のコイルユニットの例では、送電ユニットは送電用の環状コイル221Aを含み、受電ユニットは受電コイル111Aを含む。
【0102】
図11は、環状型のコイルユニットの磁束の通過経路を説明するための図である。
図10、
図11を参照して、環状型のコイルユニットは、円形のコイルの中央部分に磁束が通る。環状型のコイルについては、円形コイルの外形円の中心付近であって、巻線が存在せず中空となっている部分を中央部と呼ぶことにする。送電用の環状コイル221Aの中央部から受電コイル111Aの中央部に抜けた磁束は、磁性材411Aの内部を外側に向けて通過して、コイル巻線の外側を戻り、磁性材421Aの内部を中央部に向けて通過して、送電用の環状コイル221Aの中央部に戻る。送電ユニットには交流電流が流れるので、コイルに流れる電流の向きが反転すると磁束の向きも反転する。
【0103】
図12は、ソレノイド型のコイルユニットを説明するための図である。
図12を参照して、ソレノイド型のコイルユニットの例では、送電ユニットは送電用のソレノイドコイル221Bを含み、受電ユニットは受電コイル111Bを含む。送電用のソレノイドコイル221Bは、平板状の磁性材421Bに巻回される。受電コイル111Bは、平板状の磁性材411Bに巻回される。
【0104】
図13は、ソレノイド型のコイルユニットの磁束の通過経路を説明するための図である。
図12、
図13を参照して、ソレノイド型のコイルユニットは、磁性材に巻回されたコイルの中央部分(磁性材内部)に磁束が通る。送電用のソレノイドコイル221Bの一方端から他方端に向けて磁性材421Bの内部を通った磁束は、受電コイル111Bの一方端に向かい、受電コイル111Bの一方端から他方端に向けて磁性材411Bの内部を通り、送電用のソレノイドコイル221Bの一方端に戻る。送電ユニットには交流電流が流れるので、コイルに流れる電流の向きが反転すると磁束の向きも反転する。
【0105】
図10〜
図13に示したように、送電側も受電側も複数のコイルタイプが考えられる。送電側と受電側で異なるコイルタイプのユニットで給電される場合も考えられる。異なるコイルタイプ間では送受電が不可能ではないが、最適な条件で送受電ができるように車両の駐車位置をコイルタイプに対応させて調整する必要がある。
【0106】
図14は、車両が駐車する場合の状況を説明するための図である。
図14において、車両100Aは環状型の受電コイル111Aが搭載された車両である。車両100Bはソレノイド型の受電コイル111Bが搭載された車両である。このとき、充電インフラである送電装置200には、環状型、ソレノイド型、合成型のいずれかの送電ユニット220が設置されている。
【0107】
図15は、送電ユニットのコイルタイプが環状型である場合の、駐車位置のずれと結合係数の関係を示した図である。
図15においては、縦軸に結合係数が示され、横軸にY方向のずれが示されている。なお、Y方向は、
図9のY軸に沿う方向と同じであり、ソレノイド型のコイルの場合には、Y軸の周りにコイルが巻回されている。受電ユニットのコイルタイプが環状型である場合のグラフG1と、受電ユニットのコイルタイプがソレノイド型である場合のグラフG2が記載されている。
【0108】
グラフG1に示すように、受電ユニットのコイルタイプも送電ユニットのコイルタイプも共に環状型である場合には、Y方向ずれが0であるときに結合係数が最大を示している。これに対し、グラフG2に示すように、受電ユニットのコイルタイプがソレノイド型であり、送電ユニットのコイルタイプが環状型である場合には、Y方向ずれがD1であるときに結合係数が最大を示している。これは、車両に搭載するコイルタイプが異なると駐車の最適位置が少しずれることを意味する。
【0109】
図16は、車両側のコイルタイプも送電装置側のコイルタイプも共に環状型である場合の最適駐車位置を示した図である。
図17は、車両側のコイルタイプがソレノイド型であり、送電装置側のコイルタイプが環状型である場合の最適駐車位置を示した図である。
【0110】
図15のグラフG1および
図16に示すように、車両側のコイルタイプが環状型であればコイル中心同士が一致する位置が最適駐車位置である。これに対して
図15のグラフG2および
図17に示すように車両側のコイルタイプがソレノイド型である場合には、受電ユニットの中心と送電ユニットの中心が一致する位置よりもズレ量D1だけ車両を前進させて駐車した位置が最適駐車位置である。
【0111】
これでは、車両が搭載する受電ユニットのコイルタイプによって、駐車位置を変える必要があり、ドライバーにとって煩雑である。したがって、いずれのコイルタイプでも同じ駐車位置で最適となることが望ましい。そこで本実施の形態では送電ユニットに、
図9に示した合成型のコイルタイプを採用する。
【0112】
図18は、送電ユニット(一次側)のコイルタイプが合成型であり、受電ユニット(二次側)のコイルタイプが環状型である場合の、駐車位置のずれと結合係数の関係を示した図である。
図18においては、縦軸に結合係数が示され、横軸にY方向のズレ量が示されている。なお、Y方向は、
図9のY軸に沿う方向と同じであり、合成型コイルのソレノイドコイル部分は、Y軸の周りにコイルが巻回されている。受電ユニットのコイルタイプが環状型である場合の実測グラフG3と、シミュレーション値を示すグラフG4が記載されている。
【0113】
図18では、実測結果とシミュレーション結果が良く一致していることがわかる。グラフG3,G4に示すように、Y方向ズレ量がD2であるときに結合係数が最大を示している。このズレ量D2は
図15に示したズレ量D1よりも小さい。
【0114】
図19は、
図18に対応するコイルタイプの組み合わせの場合の最適駐車位置を示した図である。
図18のグラフおよび
図19に示すように、送電装置のコイルタイプが合成型であり、車両側のコイルタイプが環状型であれば、受電ユニットの中心と送電ユニットの中心が一致する位置よりもズレ量D2だけ車両を前進させて駐車した位置が最適駐車位置である。
【0115】
図20は、送電ユニット(一次側)のコイルタイプが合成型であり、受電ユニット(二次側)のコイルタイプがソレノイド型である場合の、駐車位置のずれと結合係数の関係を示した図である。
図20においては、縦軸に結合係数が示され、横軸にY方向またはX方向のずれが示されている。なお、Y方向は、
図9のY軸に沿う方向と同じであり、合成型コイルのソレノイドコイル部分は、Y軸の周りにコイルが巻回されている。また、受電ユニットのソレノイド型コイルは、Y軸と平行な軸の周りにコイルが巻回されている。受電ユニットのコイルタイプがソレノイド型である場合のY方向ズレ量の実測グラフG5と、シミュレーション値を示すグラフG6が記載されているが、実測結果とシミュレーション結果が良く一致していることがわかる。グラフG5,G6に示すように、Y方向ずれがD3であるときに結合係数が最大を示している。このズレ量D3は
図15に示したズレ量D1よりも小さく、また
図18に示したズレ量D2とは略等しい。
【0116】
なお、
図20には、参考としてX方向のズレ量と結合係数の関係(シミュレーション値)を示すグラフG7が記載されているが、X方向のズレ量については、Y方向のズレほどは結合係数が変化しないので、X方向のズレ量が概ねゼロ付近であれば受電に適する駐車位置であるといえる。
【0117】
図21は、
図20に対応するコイルタイプの組み合わせの場合の最適駐車位置を示した図である。
図20のグラフおよび
図21に示すように、送電装置のコイルタイプが合成型であり、車両側のコイルタイプが環状型であれば、受電ユニットの中心と送電ユニットの中心が一致する位置よりもズレ量D2だけ車両を前進させて駐車した位置が最適駐車位置である。
【0118】
本願発明者の研究により、合成型コイルの給電効率のピークは、
図18、
図20に示すように相手方のコイルタイプ環状型、ソレノイド型いずれの場合でも、合成型コイルのソレノイド部分の巻回軸方向に所定距離ずれた位置に現れることが明らかになった。ズレ量D2とズレ量D3が略等しいので、
図19、
図21を比較すればわかるように、車両に搭載するコイルタイプが異なっても、同じ駐車位置を受電の最適位置とすることが可能である。したがって、合成型のコイルタイプを送電装置に採用することによって、駐車位置を統一することが可能となり、運転者にとって便利になる。
【0119】
[実施の形態1]
図22は、実施の形態1において車両と送電装置で実行される制御を説明するためのフローチャートである。
【0120】
図14、
図22を参照して、車両100では、ステップS810において、車両ECU300によって、充電要求の有無が監視されている。ユーザの操作などによる充電開始信号TRGの入力されたことが検出されると、車両ECU300は通信部160を経由して送電装置200に充電要求がある旨を送信する。そしてステップS810からステップS820に処理が進む。
【0121】
一方、送電装置200では、ステップS710において、送電ECU240によって、充電要求の有無が監視されている。車両100の通信部160から充電要求があった旨が送信され、通信部230を経由して送電ECU240が充電要求を検出すると、ステップS710からステップS720に処理が進む。
【0122】
送電装置200ではステップS720において、送電ユニット220のコイルタイプに関する情報が通信部230によって車両100に向けて送信され、車両100ではステップS820において送電ユニット220のコイルタイプに関する情報が通信部160によって受信され、ステップS830において送電ユニット220のコイルタイプが判定される。コイルタイプに関する情報は、たとえば、コイルが環状型か、ソレノイド型か、合成型かといった情報を含む。
【0123】
さらに、ステップS840において、車両ECU300は、ステップS820で受信した送電ユニットのコイルタイプに関する情報に基づいて、送電ユニットのコイルタイプが受電ユニットが受電可能なコイルタイプに適合するか否かを判断する。コイルタイプが適合する場合には、充電可能と判断され、不適合である場合には充電不可能と判断される。
【0124】
ステップS840においてコイルタイプが不適合であった場合には、ステップS910に処理が進み、車両ECU300は、充電不可の判定を確定させ、表示部142に表示させるとともに、送電装置200に判定結果を送信し、車両側の処理はステップS920で処理終了となる。
【0125】
一方、ステップS840においてコイルタイプが適合であった場合、すなわち送電装置のコイルタイプに対応可能な受電コイルが搭載されている場合には、ステップS850に処理が進み、車両ECU300は、充電可能の判定を確定させ、表示部142に表示させると共に、送電装置200に判定結果を送信する。
【0126】
たとえば、送電装置のコイルタイプが環状型であり、受電コイルが環状型コイルから電力を受電可能なコイルタイプである場合(たとえば、環状型)には受電可能であると判断される。
【0127】
また、送電装置のコイルタイプがソレノイド型であり、受電コイルがソレノイド型コイルから電力を受電可能なコイルタイプである場合(たとえば、ソレノイド型)には受電可能であると判断される。
【0128】
また、送電装置のコイルタイプが合成型であり、受電コイルが合成型コイルから電力を受電可能なコイルタイプである場合(たとえば、環状型やソレノイド型)には受電可能であると判断される。
【0129】
送電装置200では、ステップS730において通信部230によって判定結果が受信され、ステップS740において送電ECU240は液晶ディスプレイなどの表示部242に判定結果を表示させる。なお、表示部242への表示に代えて音声で判定結果を運転者に報知しても良い。
【0130】
車両100では、ステップS850で充電可能表示がされた後には、ステップS860において、送電装置200のコイルタイプが合成型か否かが判断される。ステップS850においてコイルタイプが合成型であると判断された場合には、ステップS870に処理が進み、車両ECU300は、合成型に対応可能な駐車位置(目標位置)を選択する。この場合、車両に搭載されたコイルタイプが環状型であってもソレノイド型であっても、目標駐車位置は略同じ位置とすることができる。たとえば、送電ユニットの位置を車載カメラ等で認識し、
図19および
図21で説明したように、送電ユニットの中心をソレノイドの巻回軸方向(車両前後方向)に沿って所定距離D3(=D2)ずらした点を受電ユニットの中心に合わせるような駐車位置を目標駐車位置とすることができる。
【0131】
ステップS860においてコイルタイプが合成型ではないと判断された場合には、ステップS880に処理が進み、車両ECU300は、送電装置のコイルタイプに自車のコイルタイプが対応可能な駐車位置(目標位置)を選択する。
【0132】
ステップS870またはS880で駐車目標位置が選択された後には、車両は、ステップS882において受信した情報に基づいて表示部142に目標駐車位置を示す枠などを表示する。たとえば、駐車枠をカメラ画像上の白線などから自動で認識し、認識した駐車枠の中に目標駐車位置を示す枠をコイルタイプに基づいて決定してもよい。その場合、駐車枠は自動認識しなくても、ユーザがカメラ画像などを見ながら、矢印キーなどを使用して表示画面上に設定するようにしてもよい。
【0133】
さらにステップS884に示すように、目標駐車位置に車両を駐車させるための駐車支援制御を行なってもよい。駐車支援制御は、完全に車両を自動で動かすものであってもよいし、ハンドル操作を自動で行ない、前進・後退速度についてはユーザがアクセルペダル等で指示するものであってもよい。また、駐車支援制御は、ハンドル操作量を画面等に示し、ハンドル操作はユーザが手動で行なうものであってもよい。
【0134】
駐車位置が確定したら、ステップS890に処理が進む。ステップS890において、車両ECU300は車両に対する充電シーケンスを開始し、ステップS900において充電処理のルーチンに処理が移動する。
【0135】
送電装置200では、ステップS750において、車両からの充電可否判定結果に基づいて充電可能か否かが判断される。ステップS750において充電不可能であれば、ステップS780に処理が進み、送電装置200での充電処理は終了する。
【0136】
ステップS750において充電可能であれば、ステップS760に処理が進む。ステップS890における充電シーケンスを開始に合わせて、車両から送電装置へ充電開始する旨の通信が行なわれ、送電装置側でもステップS760で充電シーケンスが開始される。そして、ステップS770において充電処理のルーチンに処理が移動する。
【0137】
実施の形態1では、通信(
図14のメッセージM3)によって送電装置のコイル構造等の情報を受信し、送電装置のコイルタイプを判定後、1)充電可能な駐車エリアを決定、2)車両停車位置をユーザへ明示、3)充電シーケンスを開始、のいずれかを実施する車両を説明した。車両から送電装置へのメッセージM4は行なっても行なわなくても良い。
【0138】
これにより、どのような送電装置であっても、充電実施をスムーズに開始することができ、ユーザの利便性が向上する。
【0139】
特に、送電装置のコイルタイプが合成型である場合には、駐車位置を車両のコイルタイプに合わせて変えなくてもよいので、ドライバーが駐車位置を間違えにくくすることができる。
【0140】
実施の形態1について、図面を再び参照して総括する。実施の形態1に示した車両の駐車支援装置は、駐車場に設置された給電装置の送電ユニット220のコイルタイプを検知する検知手段(
図22:S820)と、送電ユニット220のコイルタイプと送電ユニット220の位置とに応じて車両の駐車目標位置を設定する目標位置設定手段(
図22:S860〜880)とを備える。
図7、
図8の構成では、通信部160が検知手段として動作し、車両ECU300が目標位置設定手段として動作する。目標位置設定手段は、検知手段が検知したコイルタイプが、
図9に示すような第1軸(Z軸)を取り囲むように巻回した環状コイル221Aと第1軸(Z軸)と交差する第2軸(Y軸)を取り囲むように巻回したソレノイドコイル221Bとを直列接続した構成を有する合成型コイルである場合には、車両が搭載する受電ユニット110の中心が
図19、
図21に示すように第1軸から第2軸に沿って所定距離(D3(=D2))離れた位置となるように駐車目標位置を設定する。
図9に示すように、ソレノイドコイル221Bは、第1軸(Z軸)がソレノイドコイル221Bの側面中央部を貫くように環状コイル221Aとの位置が定められる。
【0141】
好ましくは、車両が搭載する受電ユニット110のコイルタイプは、環状コイルまたはソレノイドコイルのいずれか一方である。
【0142】
好ましくは、
図9に示すように、ソレノイドコイル221Bは、平板の磁性材421の周囲に導電線を巻回した構成を有する。ソレノイドコイル221Bは、合成型コイルにおいて、第1軸(Z軸)が平板の中央部を貫くように環状コイル221Aとの位置が定められる。
【0143】
[実施の形態2]
実施の形態1では、送電装置のコイルに関する情報を車両側が受取り、車両側の制御装置が駐車位置を決定する例を説明した。実施の形態2では、車両側のコイルに関する情報を送電装置が受取り、送電装置側の制御装置が駐車位置を決定する例を説明する。
【0144】
図23は、実施の形態2の非接触送受電システムの動作を説明するための図である。
図23を参照して、車両100Aは環状型の受電コイル111Aが搭載された車両である。車両100Bはソレノイド型の受電コイル111Bが搭載された車両である。
【0145】
車両100A,100Bは、自車が搭載するコイルユニットのタイプが環状型であるのか、ソレノイド型であるのかを含むメッセージM1を送電装置の通信部230に送信する。環状型、ソレノイド型という各コイルタイプを示す情報は、コイルユニット中をどのように磁束が通るかを表わす磁束通過特性を示す情報の一例である。送信する情報は、磁束通過特性を示す情報であれば、他の形式で表現されてもよい。
【0146】
車両側から送信されたメッセージM1に基づいて、車両が充電インフラで充電可能か否かが判断され、車両に対してその結果を示すメッセージM2が返信される。
【0147】
このメッセージM2を受信して充電可否を表示部に表示することによって、ユーザは、駐車位置に車両を駐車させなくても、その充電施設で充電が可能か否かを知ることができる。したがって、ユーザが充電施設を利用するか否かを判断する際に便利である。
【0148】
その際に、実施の形態2では、車両が搭載する受電ユニットの位置に合う駐車位置を送電装置が選択し、その位置を車両に連絡することによって車両を案内する。
【0149】
図24は、実施の形態2において車両と送電装置で実行される制御を説明するためのフローチャートである。
【0150】
図23、
図24を参照して、車両100では、ステップS410において、車両ECU300によって、充電要求の有無が監視されている。ユーザの操作などによる充電開始信号TRGが入力されたことが検出されると、車両ECU300は通信部160を経由して送電装置200に充電要求がある旨を送信する。そしてステップS410からステップS420に処理が進む。
【0151】
一方、送電装置200では、ステップS510において、送電ECU240によって、充電要求の有無が監視されている。車両100の通信部160から充電要求があった旨が送信され、通信部230を経由して送電ECU240が充電要求を検出すると、ステップS510からステップS520に処理が進む。
【0152】
車両100ではステップS420において、受電ユニット110のコイルタイプに関する情報が通信部160によって送電装置200に向けて送信され、送電装置200ではステップS520において受電ユニット110のコイルタイプに関する情報が通信部230によって受信され、ステップS530において送電ユニット220のコイルタイプが判定される。コイルタイプに関する情報は、たとえば、コイルが環状型か、ソレノイド型か、合成型かといった情報を含む。
【0153】
さらに、ステップS540において、送電ECU240は、ステップS520で受信した受電ユニット110のコイルタイプに関する情報に基づいて、受電ユニット110のコイルタイプが送電ユニット220が構成しうるコイルタイプに適合するか否かを判断する。コイルタイプが適合する場合には、充電可能と判断され、不適合である場合には充電不可能と判断される。ここでは、コイルタイプが環状型、ソレノイド型のいずれかであれば充電可能と判断される。
【0154】
ステップS540においてコイルタイプが不適合であった場合には、ステップS610に処理が進み、送電ECU240は、充電不可の判定を確定させ、表示部242に充電不可表示を表示させると共に、車両100に判定結果を送信し、送電装置200側の処理はステップS620で処理終了となる。
【0155】
一方、ステップS540においてコイルタイプが適合であった場合、すなわち車両のコイルタイプが環状型、ソレノイド型のいずれかであり、送電装置の合成型のコイルで対応可能である場合には、ステップS550に処理が進み、送電ECU240は、充電可能の判定を確定させ、表示部242に判定結果を表示させると共に、車両100に判定結果を送信する。
【0156】
車両100では、ステップS430において通信部160によって判定結果が受信され、ステップS440において車両ECU300は液晶ディスプレイなどの表示部142に判定結果を表示させる。なお、表示部142への表示に代えて音声で判定結果を運転者に報知しても良い。
【0157】
送電装置200では、ステップS550で充電可能表示がされた後には、ステップS570において、車両100のコイルタイプが環状型かソレノイド型かに関わらず、略同じ位置を駐車位置(目標位置)として選択する。目標位置は、
図19および
図21に示したようにソレノイド型コイルの巻回軸に沿って所定距離D2(=D3)だけズレた位置である。
【0158】
ステップS570で駐車位置が選択された後には、ステップS580に処理が進み、駐車位置がユーザに報知される。たとえば、駐車位置をユーザに知らせるために、駐車枠を光らせてもよいし、車両に駐車位置を示す情報を送信してもよい。
【0159】
続いて、ステップS590において、送電ECU240は車両に対する充電シーケンスを開始し、ステップS600において充電処理のルーチンに処理が移動する。
【0160】
車両側では、ステップS450において、送電装置からの充電可否判定結果に基づいて充電可能か否かが判断される。ステップS450において充電不可能であれば、ステップS480に処理が進み、車両側での充電処理は終了する。
【0161】
ステップS585において車両に駐車位置を示す情報を送信する場合には、車両は、ステップS452において受信した情報に基づいて表示部142に駐車位置を示す枠などを表示する。さらにステップS454に示すように、目標駐車位置に車両を駐車させるための駐車支援制御を行なってもよい。駐車支援制御は、完全に車両を自動で動かすものであってもよいし、ハンドル操作を自動で行ない、前進・後退速度についてはユーザがアクセルペダル等で指示するものであってもよい。また、駐車支援制御は、ハンドル操作量を画面等に示し、ハンドル操作はユーザが手動で行なうものであってもよい。
【0162】
駐車位置が確定したら、ステップS460に処理が進む。ステップS590における充電シーケンスの開始に合わせて、車両側にも充電開始を指示する旨の通信が行なわれ、車両側でもステップS460で充電シーケンスが開始される。そして、ステップS470において充電処理のルーチンに処理が移動する。
【0163】
以上説明したように、コイルタイプに関する情報を車両から送電装置に送信して送電装置が駐車位置を決定して車両に連絡するようにしても実施の形態1と同様な効果が得られる。
【0164】
実施の形態2について、図面を再び参照して総括する。実施の形態2に示した車両の駐車支援装置は、車両に設置された受電ユニット110のコイルタイプを検知する検知手段(
図24:S520)と、受電ユニット110のコイルタイプと受電ユニット110の位置とに応じて車両の駐車目標位置を設定する目標位置設定手段(
図24:S530,S570)とを備える。
図7、
図8の構成では、通信部230が検知手段として動作し、送電ECU240が目標位置設定手段として動作する。送電装置は、合成型コイルを含む。合成型コイルは、
図9に示すような第1軸(Z軸)を取り囲むように巻回した環状コイル221Aと第1軸(Z軸)と交差する第2軸(Y軸)を取り囲むように巻回したソレノイドコイル221Bとを直列接続した構成を有する。
【0165】
目標位置設定手段は、検知手段が検知したコイルタイプが、環状型またはソレノイド型である場合には、車両が搭載する受電ユニット110の中心が
図19、
図21に示すように第1軸から第2軸に沿って所定距離(D3(=D2))離れた位置となるように駐車目標位置を設定する。
図9に示すように、ソレノイドコイル221Bは、第1軸(Z軸)がソレノイドコイル221Bの側面中央部を貫くように環状コイル221Aとの位置が定められる。
【0166】
好ましくは、
図9に示すように、ソレノイドコイル221Bは、平板の磁性材421の周囲に導電線を巻回した構成を有する。ソレノイドコイル221Bは、合成型コイルにおいて、第1軸(Z軸)が平板の中央部を貫くように環状コイル221Aとの位置が定められる。
【0167】
[実施の形態3]
実施の形態1,2では、送電装置側に合成型コイルが配置される例を説明したが、車両の受電装置に合成コイルが配置されても良い。
【0168】
図15において車両100が合成型のコイルを搭載すれば、送電装置のコイルが環状型のコイルタイプであっても、ソレノイド型のコイルタイプであっても、駐車位置を同じにすることが可能である。このような場合には、送電装置にコイルタイプに関わらず、同じ位置を目標駐車位置として決定することが可能であり、さらにはその目標駐車位置に対して駐車支援制御を行なうことも可能となる。
【0169】
実施の形態3に示した車両の駐車支援装置は、非接触で電力を受電する受電ユニット110を含む
図7,8に示すような車両の駐車支援を行なう。受電ユニット110は、
図9に示すような第1軸(Z軸)を取り囲むように巻回した環状コイル221Aと第1軸(Z軸)と交差する第2軸(Y軸)を取り囲むように巻回したソレノイドコイル221Bとを直列接続した構成を有する合成型コイルを含む。受電ユニット110に合成型コイルを搭載する場合には、
図9において交流電源に代えて負荷が接続される。駐車支援装置は、駐車場に設置された給電装置の送電ユニット220の位置に応じて車両の駐車目標位置を設定する目標位置設定手段を備える。
図7、
図8の構成では、送電ECU240または車両ECU300が目標位置設定手段として動作する。目標位置設定手段は、送電ユニット220の中心が第1軸(Z軸)から第2軸(Y軸)に沿って所定距離(
図18〜
図21のD3(=D2)に相当)離れた位置となるように駐車目標位置を設定する。
図9に示すように、ソレノイドコイル221Bは、第1軸(Z軸)がソレノイドコイル221Bの側面中央部を貫くように環状コイル221Aとの位置が定められる。
【0170】
好ましくは、送電ユニット220のコイルタイプは、環状コイルまたはソレノイドコイルのいずれか一方である。
【0171】
好ましくは、
図9に示すように、ソレノイドコイル221Bは、平板の磁性材421の周囲に導電線を巻回した構成を有する。ソレノイドコイル221Bは、合成型コイルにおいて、第1軸(Z軸)が平板の中央部を貫くように環状コイル221Aとの位置が定められる。
【0172】
なお、本実施の形態は、受電装置が車両である例を示したが、受電装置が携帯型機器の場合であっても、本発明は適用可能である。
【0173】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。