特許第5718900号(P5718900)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5718900電気による熱源および燃料による熱源を有する加熱装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5718900
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】電気による熱源および燃料による熱源を有する加熱装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 3/00 20060101AFI20150423BHJP
   F23D 14/28 20060101ALI20150423BHJP
   F23K 5/00 20060101ALI20150423BHJP
   H05B 3/14 20060101ALN20150423BHJP
【FI】
   F24H3/00 A
   F24H3/00 B
   F23D14/28 B
   F23K5/00 307A
   !H05B3/14 A
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-508833(P2012-508833)
(86)(22)【出願日】2010年5月10日
(65)【公表番号】特表2013-526694(P2013-526694A)
(43)【公表日】2013年6月24日
(86)【国際出願番号】US2010034204
(87)【国際公開番号】WO2010127371
(87)【国際公開日】20101104
【審査請求日】2013年5月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】508093414
【氏名又は名称】ザ スカウベル コーポレーシヨン
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ウェンダー
(72)【発明者】
【氏名】シャピロ、ステファン
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−055646(JP,A)
【文献】 特開平08−312964(JP,A)
【文献】 特開昭52−028983(JP,A)
【文献】 特開2000−184843(JP,A)
【文献】 特開平07−322798(JP,A)
【文献】 特開2009−080956(JP,A)
【文献】 米国特許第5825975(US,A)
【文献】 米国特許第5928605(US,A)
【文献】 米国特許第7288748(US,B1)
【文献】 米国特許第7482091(US,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0079889(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 3/00
F23D14/28
F23K 5/00
H05B 3/14
A01M 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
電流により給電される電気加熱素子と、炭化水素燃料の燃焼を助ける燃焼ノズルを有し炭化水素燃焼を助ける燃焼チャンバとを含む、前記筐体内に設けられた少なくとも2つの熱源と、
前記燃焼のための炭化水素燃料を含む燃料カートリッジ、または、前記加熱素子に給電するために電流を供給するコネクタを有する電気カートリッジを選択的に受け入れるタンク接続アセンブリと
を備え、
前記筐体は、一度に前記燃料カートリッジおよび前記電気カートリッジのいずれか1つだけが接続可能である
発熱装置。
【請求項2】
前記電気カートリッジから前記加熱素子へと流れる直流を含む電気回路をさらに備える請求項1に記載の発熱装置。
【請求項3】
前記電気回路の電流の流れを阻止するためのスイッチをさらに備える請求項2に記載の発熱装置。
【請求項4】
前記加熱素子はPTCR材料を含む請求項1に記載の発熱装置。
【請求項5】
前記燃料カートリッジからの気体の解放を制御する燃料調整デバイスをさらに備える請求項1に記載の発熱装置。
【請求項6】
前記筐体は、前記少なくとも2つの熱源を収容する放出端およびハンドルを有する請求項1に記載の発熱装置。
【請求項7】
前記ハンドルは穴部を含み、前記穴部は、前記電気カートリッジおよび前記燃料カートリッジの一方を受け入れる請求項6に記載の発熱装置。
【請求項8】
筐体と、
電流により給電される電気加熱素子と、炭化水素燃料の燃焼を助ける燃焼ノズルを有し炭化水素燃焼を助ける燃焼チャンバとを含む、前記筐体内に設けられた少なくとも2つの熱源と、
前記燃焼のための炭化水素燃料を含む燃料カートリッジが接続可能なタンク接続アセンブリと
を備え、
前記加熱素子に給電するための電源コードが接続可能であり、1度に前記少なくとも2つの熱源のうちのいずれか1つだけが利用可能である
発熱装置。
【請求項9】
蒸発可能物質放出装置であって、
筐体と、
前記筐体に設けられ、蒸発可能物質を浸したマットを載置するための熱伝導性を有する加熱板と
を備え、
前記加熱板は、電流により給電される電気加熱素子と、炭化水素燃料の燃焼を助ける燃焼ノズルを有し炭化水素燃焼を助ける燃焼チャンバとを含む2つの分離された熱源の上に設けられ、
前記蒸発可能物質放出装置はさらに、
前記燃焼のための炭化水素燃料を含む燃料カートリッジ、または、前記加熱素子に給電するために電流を供給するコネクタを有する電気カートリッジを選択的に接続可能なタンク接続アセンブリを備え、
前記筐体には、一度に前記燃料カートリッジおよび前記電気カートリッジのいずれか1つだけが接続可能である
蒸発可能物質放出装置。
【請求項10】
前記コネクタから前記加熱素子へと流れる電流を含む電気回路をさらに備える請求項9に記載の蒸発可能物質放出装置。
【請求項11】
前記電気回路内の電流の流れを阻止するためのスイッチをさらに備える請求項10に記載の蒸発可能物質放出装置。
【請求項12】
前記加熱素子はPTCR材料を含む請求項9に記載の蒸発可能物質放出装置。
【請求項13】
前記燃料カートリッジからの気体の解放を制御する燃料調整デバイスをさらに備える請求項9に記載の蒸発可能物質放出装置。
【請求項14】
前記筐体は、前記2つの分離された熱源を収容する放出端およびハンドルを有する請求項9に記載の蒸発可能物質放出装置。
【請求項15】
前記ハンドルは穴部を含み、前記穴部は、前記電気カートリッジおよび前記燃料カートリッジの一方を受け入れる請求項14に記載の蒸発可能物質放出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本国際出願は、2009年5月1日提出の米国出願第12/434,271号の優先権を主張している。
【0002】
本発明は概して、熱源として炭化水素燃焼または電流を利用することができる加熱装置に係る。
【背景技術】
【0003】
温風乾燥機、ヘアアイロン等、動作中に熱を利用する可搬型装置が数多く存在する。物質を蒸発させたり揮発させたりするために熱を利用する可搬型装置も公知である。これらの装置は通常、空気清浄剤のような、害虫防除作用のある活性材料または空気処理材料を放出するために利用される。ユーザはこれらの装置を、裏庭、プール付近、またはパティオといった様々な場所で利用する。これらの装置はまた、狩猟またはキャンプ用の道具とともに、電源から遠いことが多い野原へと運ばれることも多い。
【0004】
しかし、先行技術による装置は、燃料燃焼または電力のいずれか一つの熱源しか利用できない、という制約がある。従って、電力を利用するプラグインタイプの装置は、電流を利用できないキャンプ/狩猟には適さず、燃料による燃焼を利用する装置は、電流を楽に利用することのできる家庭等の環境では不要である。従って、先行技術によるシステムはいずれも限られた用途にしか適合していない。
【0005】
本発明は、炭化水素燃料源または電流による給電を交番することのできる、物質を揮発させる単一の装置の提供、という課題を解決する。
【0006】
ユニットは軽量で搬送しやすいことが望ましく、先行技術ではシステムの簡素化に重点が置かれていた。2つの熱源およびこれに対応する2つの燃料源を組み合わせると、寸法、重量が増え、ユニットのユーティリティも増える。さらに、2つの熱源を同時に利用すると、温度制御面で問題が生じ、ユニットを損傷させる可能性も否めない。従って、発熱可能で、ユーザの好みおよび/または必要に応じて、電流と燃料燃焼とを交番させることで給電可能な、単一の、軽量で、可搬型の装置が望まれている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、これらの課題を、電力カートリッジまたは燃料カートリッジという2つのカートリッジのいずれかにより発電することのできる放出装置の提供により解決する。これらカートリッジは、いずれかを受ける取着手段を有する1つの同じ穴部に挿入されるよう設計される。これらカートリッジは同時に挿入または利用されることはできないようになっているので、装置は、二重の加熱機能をサポートしつつも、簡素化された軽量なものとなっている。また温度制御の問題も回避することができる。
【0008】
本発明は、防虫装置の観点から説明を行うが、当業者であれば、本発明が、他の燃料源を利用する可搬型装置に広義に適用可能であることを理解する。
【0009】
本発明の装置は、気体密閉型の燃料タンクまたは装置を電気源に接続する電気カートリッジのいずれかを交互に受けるよう構成されているタンク接続手段の利用により、気体燃料型および電気型の両方の熱源を含む。可搬型装置として利用される場合には、燃料タンクを、燃焼燃料を提供するために挿入する。一方でプラグイン型の装置として利用する場合には、安全で低電圧の電力を供給する電源(アダプタ)に接続された電気カートリッジを挿入して、装置を標準的な電源差込口に差し込む。本願では、装置を電気カートリッジとともに利用する場合は「プラグインモード」の利用と称し、燃料カートリッジとともに利用する場合は「可搬型モード」の利用と称することにする。
【0010】
熱源がいずれであろうと、蒸発可能物質の放出方法は基本的に同じである。つまり、熱伝導性を有する加熱板を提供して、その上に、蒸発可能物質を浸したマットを載置する。いずれかの熱源により加熱板が十分加熱されると、蒸発可能物質が蒸発して、放出される。
【0011】
可搬型モードでは、タンク接続アセンブリへ、燃料カートリッジを挿入するが、このタンク接続アセンブリは、燃料カートリッジから、燃焼チャンバ内の燃焼ノズルに入ってくる燃料を調整する(metering)手段を有する。燃焼ノズルには、燃料/空気の混合物に点火して燃焼させるためのスパーク源が供給される。
【0012】
プラグインモードでは、燃料カートリッジに代えて、電気カートリッジ(以下、eカートリッジとも称される場合がある)を挿入する。eカートリッジは、タンク接続アセンブリの電気コネクタと選択的に係合するように適合されている。eカートリッジからプラグ搭載低電圧アダプタに延びるコードを利用して、装置を電気ソケットに差し込む。装置は、加熱素子を有する電気回路を含む。回路を流れる電流によって、加熱素子は、物質を揮発させるに十分な熱を加熱板に供給することのできる温度に達する。加熱素子が、正の抵抗温度係数を持つ素子(PTCR:positive temperature coefficient resistor)である場合には、この素子が加熱板の温度を制御する。簡単な抵抗ヒータを利用する場合には、所望の加熱板温度で熱入力が熱損失と拮抗する必要がある。あるいは、サーモスタットを提供して、加熱素子への電力を制御して、所望の加熱板温度を保つようにしてもよい。
【0013】
本発明の実施形態は、このように、必ずしも電気コンセントに差し込まれる必要がない装置を、安全且つ容易に、しかもどこでも利用することができるようにして、さらに、燃料カートリッジを利用しない場合には電気差込口に差し込んで利用することもできるようにする。さらに、固有のカートリッジを差し込むことで簡単に利用できるので、この装置は、プラグインモードでは燃料が不要であり、可搬モードでは外部低電圧アダプタが不要となる。これにより、簡素化且つ軽量化され、物質を放出するのに適した方法をユーザが選択できる単一の装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】上部ケースが取り外され、eカートリッジが内部に取り付けられた状態の放出ユニットの上面透視図である。
図2】本発明の一実施形態における燃料カートリッジの側面透視図である。
図3】本発明の一実施形態におけるeカートリッジの側面透視図である。
図4】上部ケースが取り外され、eカートリッジが挿入される前の状態の放出ユニットの上面透視図である。
図5】本発明の一実施形態における、上部ケースを取り外された放出ユニットの一部拡大上面図である。
図6】本発明の一実施形態における、燃料カートリッジが内部に取着された状態の放出ユニットの一部上面断面図である。
図7】本発明の一実施形態における、放出ユニットの底面分解図であり、点火回路が見えている。
図8】本発明の一実施形態における、放出ユニットの底面分解図であり、点火回路が見えている。
図9】本発明の一実施形態における、「プラグインモード」と「可搬型モード」との間で交番するノブの構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上で簡単に説明した図面を参照して本発明の実施形態を説明する。本発明の図面および説明は、本発明の範囲を制限する意図はない。本発明の精神を逸脱しない範囲で、本発明の本記載には様々な変形例が可能である。さらに、ここに記載する特徴を省いたり、さらに特徴を追加したり、および/または、ここに記載する特徴同士を、ここに記載する特定の組み合わせとは異なるように組み合わせたりすることも、本発明の精神に違反しない。
【0016】
図1を参照すると、放出装置10の機械構成部品が筐体に含まれている様子が示されている。筐体は、上部ケース(不図示)と下部ケース14とを含むことが望ましい。1つの好適な実施形態では、装置は、放出端38とハンドル40とを含む。放出端38は、蒸発可能物質を放出するのに利用される熱源を含み、ハンドル40は、バレルまたはロッド形状であり、ユーザの手に容易に収まる。ハンドル40の一実施形態は、燃料カートリッジおよび電気カートリッジを1つずつ収容することのできる寸法および形状に形成された穴部を含む。従って、eカートリッジを利用しているときは、燃料カートリッジの利用が物理的に不可能であり、この逆もまた然りである。
【0017】
放出端38は、蒸発可能物質を浸したマット60を受け取るための、熱伝導性を有する材料(例えばアルミニウム、銅)を含む加熱板16を収容している。加熱板16は熱源の上に取り付けられ、熱源から熱が伝わってくるようになっている。図示されているように、タブ17が加熱板16から延び、スクリュー等の固定装置と係合して、加熱板16を筐体14に固定する。図1の加熱板は、その下の熱源を示すために透視図で示されている。図4では、板16を、熱源の上に固定された固体物として示している。
【0018】
熱源のいずれかが起動されると、熱伝導性を有する板に熱が伝わる。熱伝導性を有する板16は、十分な温度に達すると、熱を伝えて蒸発可能物質を放出する。
【0019】
熱源にエネルギーを安定して供給し続けるためには、燃料カートリッジまたは電気(electronic)カートリッジを固定して位置させて、燃料または電流を放出させる必要がある。こうするために、筐体内に、燃料カートリッジ(図2)または電気カートリッジ(図3)を交互に受け取るように適合されたタンク接続アセンブリ18を設ける。接続アセンブリ18は、燃料タンク21の対応するねじ山に係合するねじ込み手段(threaded attachment means)を含む。接続アセンブリ18はさらに、eカートリッジ20を受けることのできる寸法および形状も有している。電気カートリッジ20は、接続アセンブリ18のねじ山受け部へと摩擦しながら滑入する、ねじ山をもたない係合部22を含む。
【0020】
図3には、屋外でも安全に電流を変換することができ、加熱素子内で利用できるAC/DCコンバータに接続される電気カートリッジ20が示されている。eカートリッジ20から延びるコード30が電気ソケットに挿入されると、AC/DCコンバータへと電流が流入する。eカートリッジ20からは、装置内の対応する導電線25と係合する電気コネクタ24が突出する。eカートリッジ20が接続アセンブリ18と係合すると、電気コネクタ24は導電線25を通じて内部電気加熱回路と電気接触して、eカートリッジ20から出力される電流が加熱素子へと流れる。このようにして電気カートリッジ20がコネクタとして機能して、電気接触によって、装置の内部導電線を電源に接続する。
【0021】
本発明の一実施形態では、アダプタ/電源が、eカートリッジ内に収容されていてもよい。この実施形態では、壁のコンセントとeカートリッジとの間の電源コードおよび接続は、eカートリッジまで危険な電流を搬送することを鑑みて、防水性および水密性を有するべきである。従って、アダプタ/電源は、壁のコンセントに挿入されることが望ましい。
【0022】
ある好適な実施形態では、図1に最もよく示されているように、スイッチ26が回路に挿入される。このようにして、スイッチ26が「オフ」位置にあるときには(つまり、回路が開状態のとき)、電流は流れない。この実施形態では、eカートリッジ20を挿入して電気コンセントに差し込んでから、スイッチを「オン」位置にして回路を閉じることで、加熱素子に電流を流す。一実施形態では、突出部29を含む回転可能なノブ27を設けて、スイッチをオン・オフさせる。
【0023】
図1には、加熱素子28に電流を供給するための電線25が示されている。加熱素子は先行技術からも公知であり、熱を必要とする可搬型装置で広く利用されている。
【0024】
殆どの加熱素子または抵抗でも利用可能であるが、好適な実施形態では、加熱素子28は、PTCR材料を含むことが望ましい。PTCR(正の抵抗温度係数を持つ素子:positive temperature co-efficient of resistivity)材料は、当技術分野で加熱に適していることがよく知られている。これは、材料の熱が上がると、電流に対する抵抗が高くなっていき、十分高温になると、熱伝達が完全に止まるためである。従って、PTCRは、過熱されると熱源から効果的に切り離され、冷却されるとまた伝達を始める(従って加熱を始める)、という優れた自己調整材料である。
【0025】
図4は、放出装置の機械構成部品の一部の一部分解透視図である。図示されているように、eカートリッジ20は、タンク接続アセンブリ18に整列して挿入されるように位置している。コード30(不図示)がeカートリッジ20から延びる。コード30の第1端は、電気ソケットに挿入される突起部を有する低電圧変圧器を含み、コード30の第2端は、eカートリッジ30に挿入される。
【0026】
前述したように、放出装置は、「プラグインモード」または「可搬型モード」を交互に利用可能である。可搬型モードでは、炭化水素燃料を含む燃料カートリッジがタンク接続アセンブリ18に挿入される。タンク接続アセンブリ18は、燃料カートリッジ上の対応するねじ山に係合するねじ受け領域を含む。当業者には、差込み型、スナップ型等のその他の代替例が自明であり、これらも本発明の範囲に含まれる。
【0027】
可搬型モードでは、空気と気体との混合物による燃焼を利用して、加熱板16に熱を供給する。この実施形態では、米国特許第4,699,123号明細書、米国特許第4,759,343号明細書、米国特許第4,815,441号明細書(これらの文献は、参照としてここに組み込まれる)の教示に従って、蒸発可能物質を放出するために炭化水素燃料源を利用する。これらの特許文献は、2つのバーナを利用するシステムを記載しているが、本発明では、米国特許第5,700,430号明細書(この文献の全体も、参照としてここに組み込む)が記載しているような、1つのバーナを利用するシステムを利用する。
【0028】
図6は、接続アセンブリ18に固定され気体を放出するよう配置されている、燃料カートリッジ21を有する放出ユニットの断面図を示す。燃料調整デバイスまたはシステムが、気体を調整するために設けられている。例えば、弁起動システムを設けて、カートリッジ21からの気体の解放を制御する。図6に示すように、ある好適な実施形態では、弁起動システムが、燃料カートリッジ弁を押しつぶすために利用される1つの尖った端部25と、弾性力をかけるスプリングに接続される第2の端部とを有するプランジャー23を含む。カートリッジ21がアセンブリ18に挿入されて固定されると、プランジャー23は、弾性力をかけるスプリング(不図示)によって下方(カートリッジ方向)に押されて、カートリッジ弁が開き、そこから気体が流入する。その後、出て行く気体からの圧力が蓄積して、プランジャー23に対抗力が働く。最終的には、外に出て行く気体からの圧力が、スプリングがかける圧力と拮抗して、蓄積された圧力により、プランジャーがカートリッジ弁から外れて、供給が停止される。気圧が低減してスプリングに対抗圧が働かなくなると、プランジャーはまた弁内に収まり、気流を流入させ始める。これにより効果的な気体調整システムが達成される。
【0029】
燃料カートリッジからの燃料はベンチューリ・チューブ31へと供給され、ベンチューリ・チューブ31は、空気を流入させる開口61を有しており、これにより燃料/空気の混合物が生成される。燃料/空気の混合物は、燃焼ノズル34へと加速して入る(図1参照)。一実施形態では、燃料/空気の混合物を運ぶ炭化水素燃料ライン35(図7および図8に最もよく示されている)が、加熱素子28の下およびその周りを通り、その上の燃焼チャンバ33に到達する。当業者であれば、2つの熱源を、隣同士、または互いから離して配置する等、様々な構成が可能であることを想到するであろう。本発明の他の実施形態では、2つの別個の加熱板を、一方が電気加熱素子28の上にあって、これに熱を伝達したり、他方が燃焼チャンバ33の上にあって、これに熱を伝達したりするように配置することができる。
【0030】
燃焼チャンバ33は、炭化水素燃焼を開始させる点火システムを含む。図7では、圧電装置37からの一対の電極ワイヤ39が設けられている。ワイヤ39aは、圧電装置37から始まり加熱板16と接触して終端する第1端を有している。圧電装置37からの別のワイヤ39bは、燃焼ノズル34に近接した位置で終端される。燃焼ノズルは加熱板16に接触しているので、ワイヤ39aと電気接触する。このようにして、ワイヤ39bの終端部と燃焼ノズル34との間の間隙以外では閉じている点火回路が設けられている。圧電装置37が起動されると、火花がワイヤ39bの終端部から燃焼ノズル34へと飛び、点火回路が閉じられる。好適な実施形態では、圧電装置37は、ユーザが点火ボタン41を押下することで、起動される。
【0031】
2つの異なる熱源は互いに排他的に利用される。プラグインモードでは加熱素子28が熱源として排他的に利用され、可搬型モードでは燃焼ノズル34が排他的に利用される。熱源は両方とも加熱板16(図1)の下に設けられており、加熱板16に熱を供給する。従って各用途にそれぞれ別のカートリッジが提供されており、ユーザは、プラグインモードと可搬型モードとを切り替えるときに、カートリッジを(燃料カートリッジからeカートリッジへ、またはその逆へ)変更する必要がある。さらに装置は、一度の1つのカートリッジのみを受け取るようになっている。これによりユーザは、同時に両方の熱源を利用することはできないので、温度制御の問題が生じない。さらにこの構成では、装置が前のモデルと同じ大きさなので、軽量で小型でありつつ、二重の加熱機能を持つことができるようになる。さらに、同じ出願人による前の放出装置とともに広く利用されてきた燃料カートリッジを、本願の二重の動力源を有する装置でも利用することができる。
【0032】
本発明の一実施形態では、図5に示すように、カートリッジ21から気流をイネーブル/ディセーブルするためのスイッチメカニズムが提供されており、これにより、スイッチの「オン」および「オフ」が行われる。図示されているように、レバー40がプランジャー23に略直交する方向に取り付けられている。レバー40の第1端41は、放出装置に、例えば旋回軸42によって枢動可能に接続されている。この構成では、プランジャー23は、枢動するレバー40に邪魔されずに、上述したカートリッジ21に対して自由に近づいたり離れたりすることができる。しかしレバー40を固定することで、プランジャー23の動きを制限して、カートリッジ21から気流が出ないようにすることもできるようになっている。例えば図5に示すように、ノブ27には、レバー40の第2端43に近接した位置で終端する突出アーム44が設けられる。ノブ27は、アーム44をレバー40に接触した位置に移動させるように、回転可能である(図の時計回りの方向に)。このようにして、アーム44は、レバー40の動きを物理的に妨げる。レバー40がこのようにして固定されると、取り付けられているプランジャー23もまた固定され、カートリッジ21方向に下がらなくなり、カートリッジの弁を押圧することができなくなる。これは、装置が可搬型モードで利用される際に、効果的な「オフ」スイッチとなる。
【0033】
本発明の別に実施形態では、プラグインモードでは、ここで記載するeカートリッジを利用する代わりに、従来良く知られている標準的な電源コードを装置につなぐ構成とすることもできる。安全で適切な温度制御を維持するべく、装置には、一度に1つの熱源だけを利用可能とする。例えば、図9に示すように、電源コードを受け取るための電源ジャック50を、スイッチノブ52付近に設ける。電源ジャックに挿入されている場合には、スイッチノブ52のフランジ54a、54bによって、スイッチノブ52が、気体「オン」位置にまで回転しないようにする。図9に示すように(位置A)、フランジ54aおよび54bが画定する開口によって、電源コードが電源ジャック50に入っている。このようにして電源コードが挿入されているときには、フランジ54aおよび54bに対する物理的な障害として働き、スイッチノブ52は実質的に動かない。これによりノブ52は、電源コードがつながれている限り、気体「オン」位置にまで回転しなくなる。同様に、フランジ54が、スイッチが気体「オン」位置(位置C)にあるときには、電源ジャックの挿入が妨げられる。図示されているように、ノブ52が気体「オン」位置へと回転すると、フランジのいずれか(図では54a)が電源ジャック50を被い、気体が「オン」のときには電源コードの挿入が妨げられる。
【0034】
図5は、熱源28、34の上方に配置されたグリル36を示している。利用時には、マット60をグリル36の下方に挿入して、マットがその下の加熱板16と熱接触して、上にあるグリル36により保護されるようにする。グリル36はスロット62を有し、これにより蒸発可能物質を逃がす。
【0035】
本発明を特定の実施形態の観点から説明してきたが、さらなる変更例および変形例が明らかであり、当業者には自明であることから、本記載は制限として受け取られるべきではない。本発明は、これらの変更例および変形例が全て添付請求項の範囲内に含まれることを意図している。例えば当業者であれば、本発明が教示する二重の電源を、ヘアアイロン、温風乾燥機、電力ツール、その他の加熱装置等の他の装置に適用可能であることを理解する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9