(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
微小構造の特徴を有する流体素子、より具体的にはガラス、ガラスセラミックおよびセラミックの微小流体素子(微小構造)は、例えば特許文献1等の多くの特許に記載されている。
【0004】
反応物のための導入口および排出口、並びに、典型的には熱流体の導入口および排出口を設けるために、微小流体素子の後面または(および)前面は穿孔され得る。具体的な接続システムは既に説明されている。
【0005】
このような接続システムは、特許文献2および特許文献3(いずれの文献にもポリマーシールを有するマルチポートコネクタが記載されている。面接続を確実にするものであるが、これは微小構造に対する機械的応力を生じる)、並びに特許文献4(この文献に記載されている接続は、雌部と雄部の協働を暗示している)および特許文献5(この文献におけるコネクタは、機械的手段(ねじ、ペグ等の固定具)によって微小反応器に固定されている)により具体的に説明されている。本出願人も、特許文献6において、具体的な接続システムを提案している。この具体的な接続システムは、添付の従来技術の
図1〜
図5に示されている。
【0006】
図1の断面図に示されるように、特許文献6によれば、各導入口および排出口における流体接続はO‐リング56を用いて達成される。O‐リング56は、流体コネクタ30のO‐リング溝58内に拘束され、ねじ切りされたジョイント64によって生じる張力の調節を容易にするためのグリップ面またはレンチ面62を有するねじ切りされた接続部品の形態の調節可能なテンショナー60によって、微小構造11の入口面18に押し付けられて保持される。一般的にC字クランプ52の形態の張力または力伝達手段は、少なくとも部分的に微小構造11の外面16の両側18、20の周囲に達しており、パッド66(一般的にはエラストマーパッド)を、O‐リング56とは反対側の表面20に押し付け可能になっている。従って、O‐リングの圧迫によって微小構造11にかかる力は圧迫力に限られ、微小構造11の好ましい材料であるガラス、ガラスセラミックおよびセラミックが十分に耐えることができる。
【0007】
図2の左側に示されるように、微小構造11の反対側の表面20を、パッド66の代わりに、もう1つのO‐リングおよび流体コネクタ30に接触させてもよい。個々のC字クランプ52は、これらのO‐リング位置間でせん断力が生じないようにする。
図3Aおよび3Bに示されているように、C字クランプ52は一般的にフレーム50内に固定される。
図4に示されるように、フレーム50は、微小構造11を最適に位置合わせするための付加的な支持梁70であり得るより大きな構造支持フレーム68内に取り付けられる。
図5に示されるように、複数の構造支持フレーム68を組み合わせてフレームアセンブリ72にすることにより、より大きなモジュール式反応器を構成することができる。
【0008】
図1〜
図5に反映されている特許文献6の接続および相互接続システムは汎用であるが、
図3Aおよび3Bに示される2通りの非常に異なるC字クランプパターン等といった、複数のカスタム部品またはカスタムアセンブリ構成を必要とし得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】微小構造に対する流体接続の断面図(従来技術)
【
図2】
図1に示されているタイプの流体接続の更の別の実施形態の断面図(従来技術)
【
図3A】
図1および
図2に示されているタイプの流体接続と共に用いられるフレームの概略斜視図(従来技術)
【
図3B】
図1および
図2に示されているタイプの流体接続と共に用いられるフレームの概略斜視図(従来技術)
【
図4】
図1〜3図のフレームおよび微小構造と共に用いられる構造フレームの概略斜視図(従来技術)
【
図5】
図4に示されているタイプのフレームのアセンブリの概略斜視図(従来技術)
【
図6A】フレーム内に嵌め込まれた、本発明の一態様による微小構造または微小構造モジュールの概略斜視図
【
図6B】フレーム内に嵌め込まれた、本発明の一態様による微小構造または微小構造モジュールの概略斜視図
【
図6C】本発明の1以上の態様に従って接続され支持されたモジュール式反応器または反応器システムの概略斜視図
【
図7】全てのポートが他方の縁部よりも一方の縁部に近い微小構造または微小構造モジュールの概略斜視図
【
図8】全てのポートが他方の縁部よりも一方の縁部に近く、全てのポートが共通の線上にある微小構造または微小構造モジュールの別の実施形態の概略部分平面図
【
図9】全てのポートが他方の縁部よりも一方の縁部に近く、全てのポートが共通の線上にある微小構造または微小構造モジュールの更に別の実施形態の概略部分平面図
【
図10】複数の微小構造を有する微小構造モジュールの概略断面図
【
図11】異なるサイズの複数の微小構造11または微小構造モジュール12を用いた本発明の一実施形態による反応器システムの概略図
【
図12】導入口ポートおよび排出口ポートの相対的な位置が異なる微小構造または微小構造モジュールの概略断面図
【
図13】導入口ポートおよび排出口ポートの相対的な位置が異なる微小構造または微小構造モジュールの概略断面図
【
図14】
図13の微小構造または微小構造モジュールで有用な流体コネクタの斜視断面図
【
図18】異なるサイズの複数の微小構造11または微小構造モジュール12を用いた、本発明の一実施形態による別の反応器システムの概略図
【
図20】モジュール式反応器または反応器システムの別の実施形態の概略斜視図
【
図21】モジュール式反応器または反応器システムの別の変形例の概略斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面に例示されている、本発明の現時点において好ましい実施形態を詳細に参照する。図面を通して、可能な場合には常に、同一または類似の部分は同一の参照番号を用いて示されている。
【0016】
本願明細書において、「微小構造」とは、数ミリメートルから1ミリメートル未満の範囲の断面寸法を特徴とする内部通路を有する微小流体素子を指す。微小構造には、例えば、「微小流体素子およびその製造(A Microfluidic Device and Manufacture Thereof」という名称の米国特許第7007709号に開示されている方法または他の方法によって製造された、同特許に開示され説明されている素子およびそれらに類似の素子が含まれ得る。「反応器」とは、化学的プロセス若しくは物理的プロセスまたはそれらの組み合わせを行うための装置を指し、本願明細書の文脈においては、この装置は、互いに連通するよう接続された2以上の微小構造を含む。「微小構造モジュール」とは、単一の微小構造、または、重ねられて若しくは他の構成において流体的且つ機械的に一体に接続された2以上の微小構造を指す。
【0017】
図1〜
図5(従来技術)については上述した。
【0018】
図6Aは、フレーム50内に嵌め込まれた、本発明の一態様による微小構造11または微小構造モジュール12の概略斜視図であり、
図6Bはその側面図である。各図において、微小構造11または微小構造モジュール12は、少なくとも第1の内部流体通路(ここでは図示しないが、
図12および
図13に関して図示して後述する)を有する。各微小構造11または微小構造モジュール12は、入口側18および該入口側18とは反対の出口側20を有する外面16を有する。各微小構造11または微小構造モジュール12は、微小構造11または微小構造モジュール12の入口側18を通って第1の内部流体通路へと延びる入口ポート22と、第1の内部流体通路から出口側20を通って延びる出口ポート24とも有する。各微小構造11または微小構造モジュール12は、第1の縁部26および該第1の縁部26とは反対側の第2の縁部28も有し、第1および第2の縁部26、28は入口側18から出口側20へと延在している。
【0019】
本発明の一変形例によれば、各微小構造11について、入口側18を通って延びる入口ポート22および1以上の他のポート(一般的に熱制御流体に用いられるポート32aおよび32b、並びに34a〜34d等)は、第2の縁部28よりも第1の縁部26に近い位置に標準的なパターンで配置されており、入口ポート22と出口ポート24とは同心である。この標準的なパターンは、第1の縁部26から所定の距離にある線であるのが望ましい場合がある。そのような線は5〜30mmの距離にあるのが望ましく、2〜10個のポートの範囲を含むのが望ましい。全てのポートの直径は1〜10mm、好ましくは1.5〜5mmのサイズ範囲にあるのが望ましく、熱流体ポートに関しては、2〜5mmのサイズ範囲がより望ましく、3〜5mmのサイズ範囲が最も望ましい。
【0020】
微小構造11の第1の縁部26にまっすぐに向いた平面図である
図6Bから特に理解され得るように、ポート22、32aおよび32bの全てが一方の縁部(第1の縁部26)に近いことで、微小構造11または微小構造モジュール12への流体接続に容易に接近可能になっている。この一方の縁部26から、全ての流体コネクタ30と、関連付けられたC字クランプをフレーム50内に固定するのに用いられているねじ74とに直接接近可能である。
図6Bにはねじの頭76も見えており、このねじの頭は、後述するように、延在構造支持部材40上にフレームを支持するために協働するものである。
【0021】
図6Cはモジュール式反応器または反応器システムの概略斜視図であり、そのような延在構造支持部材40が示されている。少なくとも2つの直線変位自由度44、46(1つが延在部材40の長手方向に平行であり、1つが延在部材40の長手方向に垂直である)において調節可能な個々の接続支持構造42によって、複数の微小構造11a〜11jまたは微小構造モジュール12a〜12jのそれぞれが独立して延在部材40上に支持されている。この構成は、微小構造11a〜11jまたは微小構造モジュール12a〜12jの組み立てを容易にすると共に、個々の微小構造11a〜11jまたは微小構造モジュール12a〜12jの交換を容易にすることができる。
【0022】
図6からは、延在支持部材の有無に関わらず有用な本発明の他の有利な態様も理解され得る。例えば、
図6のモジュール式反応器または反応器システム10においては、複数の微小構造11a〜jまたは微小構造モジュール12a〜jが一列に接続されており、少なくとも第1、第2および第3の微小構造モジュール(例えば12a〜12c)が次々に連通するように流体的に接続されている。第1、第2および第3のモジュールはそれぞれ、少なくとも第1の内部流体通路14(後で示す)と、入口側18および該入口側18とは反対側の出口側20を有する外面16とを有し、モジュール12a〜12cまたは微小構造11a〜11cの入口側18を通って第1の内部流体通路14へと入口ポート22が延びていると共に、第1の内部流体通路14から出口側20を通って出口ポート24が延びている。図面中、第1の縁部26および該第1の縁部とは反対側の第2の縁部28に標示が付されており、第1および第2の縁部26、28は入口側18から出口側20へと延在している。
【0023】
第1、第2および第3のモジュール12a〜12cまたは微小構造11a〜11cのそれぞれについて、入口ポート22および出口ポート24は、モジュール12a〜12cの第2の縁部28よりも第1の縁部26の近くに配置されると共に、第1のモジュール12aの出口側20は第2のモジュール12bの入口側18に面し、第1のモジュール12aの出口ポート24は第2のモジュール12bの入口ポート22と同心であるかまたは該入口ポート22から特定の距離だけオフセットされているのが特に有利である。同様に、第2のモジュール12bの出口側20は第3のモジュール12cの入口側18に面し、第2のモジュール12bの出口ポート24は第3のモジュール12cの入口ポート22と同心であるかまたは該入口ポート22から上記と同じ特定の距離だけオフセットされている。第1、第2および第3のモジュール12a〜12cの第1の縁部26は互いに位置合わせされており、第1の流体コネクタ30aが第1のモジュール12aの出口ポート24から第2のモジュール12bの入口ポート22まで延びており、第2の流体コネクタ30bが第2のモジュール12bの出口ポート24から第3のモジュール12cの入口ポート22まで延びている。
【0024】
この結果、多くの流体接続を一列に設けて、側面から全ての流体接続に十分に接近可能とし、全ての流体接続が標準的な流体コネクタ30を用いることが可能になる。第1のモジュール12aの出口ポート24が第2のモジュールの入口ポート22と同心である場合には、
図12の断面図に示されているもの等の微小構造11または微小構造モジュール12が好ましく用いられる。ここでは、モジュールの入口側18を通る入口ポート22は、3つの層の中心に主に留まっている第1の流体経路14とつながっている。熱制御流体に有用な第2の流体経路36は、外側の層の残りの部分に見出される。第1の縁部が
図6Aのように位置合わせされ、第1の縁部に隣接した縁部も位置合わせされた状態では、出口ポート24は入口ポート22と直接位置合わせされるかまたは入口ポート22と同心である。これにより、簡単で直接的でまっすぐな流体コネクタ30を各モジュール12間で用いることができる。
【0025】
第1のモジュール12aの出口ポート24が第2のモジュールの入口ポート22から特定の距離だけオフセットされている場合には、
図13の断面図に示されているもののような微小構造11または微小構造モジュール12が好ましく用いられる。ここでは、モジュールの入口側18を通る入口ポート22は、
図12の実施形態のような入口ポート22および出口ポート24に必要な内部容積間の対立が無いためにより容易に3つの層の中心に留まることが可能な第1の流体経路14とつながっている。
図13の実施形態では、
図12のように、熱制御流体に有用な第2の流体経路36は、第1の流体経路14が用いていない外側の層の一部に見出される。第1の縁部26が
図6Aのように位置合わせされ、第1の縁部26に隣接した縁部も位置合わせされた状態では、出口ポート24は入口ポート22と位置合わせされているが、特定の距離54だけオフセットされている。この同じ量、即ち特定の距離54の流体経路の平行移動は、
図14の斜視断面図に示される別の流体コネクタ30に組み込まれている。従って、
図14のコネクタ30は、オフセットに相等する特定の距離54が維持される限り、連続した各モジュール12間での直接的でまっすぐな流体コネクタ30の使用を可能にするものである。
【0026】
図7〜
図9には、ポート22、32a、32b、34a〜34dの現時点において好ましい幾つかの構成が示されている。
図12を参照して説明したように、
図7の斜視図に示されている本発明による現時点において好ましい一代替例では、(第1の流体経路14の)入口ポート22(小さい丸として示されている)および出口ポート24(大きい黒い丸として示されている)は、同心であるが、微小構造11または微小構造モジュール12のそれぞれ反対側18、20に配置されるのが望ましい。第2の流体経路の入口および出口ポート32a、32bは、モジュール12の同じ側、この例では前側18(図面中では後に向いている側)に配置されるのが望ましい。ポート22、24、32aおよび32bの全ては、本願明細書では第1の縁部26として示されている一方の縁部の近く(少なくとも第2の縁部28よりも第1の縁部26の近く)にあるのが望ましい。これらのポートは、縁部28よりも縁部26にかなり(2倍、3倍、可能であればそれ以上)近いのが望ましい。
【0027】
図8は、微小構造11または微小構造モジュール12の別の実施形態の概略部分平面図であり、ここでは入口側18が前を向いており、全てのポートが他方の縁部よりも一方の縁部(第1の縁部26)に近いが、このケースでは、全てのポートが共通の線38上に特定のパターンで配置されている。(線38は物理的な構造物である必要はなく、単に幾何学的なものであることも意図される。)
図7に既に図示して述べたポートと比べて、
図8の実施形態は、第1の内部流体通路14(ここでは図示せず)に更なる入口ポート34aを追加するものである。或いは、ポート34aは、微小構造を垂直に通るまっすぐなライン以外の、モジュールのどの内部通路にも入らずに、モジュールまたは微小構造をまっすぐに通過する貫通ポートであってもよい。
【0028】
図9は、
図8のものと類似の、微小構造11または微小構造モジュール12の別の実施形態の概略部分平面図であるが、ここでは、
図8の1つのみではなく、複数の更なる入口ポート34a〜34dが第1の内部流体通路(ここでは図示せず)に追加されている。いずれの実施形態でも、ポートは標準的な分布で配置されるのが望ましい。そのような標準的な分布の1つは、
図8および
図9の実施形態に共通のポートによって示されているものであり得る。
図9の更なるポートは同一線上にあるが、
図8のモジュールのポートに対応するポートの位置は変わっていない。標準的な分布は、微小構造またはモジュールの一端または両端においてグループ化されてもよく、或いは、第1の縁部に沿ってほぼ均等に広がっていてもよい。所望であれば、通路14から出口側20を通る1以上の更なる出口ポート(図示せず)も用いられ得る。
【0029】
上述したように、微小構造モジュールは1または複数の微小構造であってよく、複数の微小構造は、重ねられて若しくは他の構成において流体的且つ機械的に一体に接続されている。
図10は、複数の微小構造11a〜11eを有するそのような微小構造モジュール12の概略断面図である。モジュール12は、流体を微小構造11a〜11eに通すポート32a、32b、22、24を有する。微小構造11a〜11eは、ガスケットまたはより長持ちする手段を含む任意の適切な手段によって、機械的に且つ流体的に密封された状態で一体に接続され得る。図示されるように、第1の微小構造11aの入口側の面はモジュール12の入口側18になり、同様に、最後の微小構造11dの出口側はモジュール12の出口側20になる。
【0030】
図11は、本発明の一実施形態による、異なるサイズの複数の微小構造11または微小構造モジュール12を用いた反応器システムの概略図である。同一の延在構造支持部材40から、異なるサイズの複数のフレーム50が懸架され得る。この実施形態では、矢印で示されるように、システム10内に一緒に配置されたモジュール12/微小構造11の長さおよび/または幅がそれぞれ異なっているにも関わらず、入口および出口ポートは同心に位置合わせされる。
【0031】
図15Aは
図6Cに示されている延在構造支持部材40の一部を下から見た平面図であり、
図15Bはその断面図である。これらの実施形態では、支持部材40は押出成形された金属レール41の形態であり得る。レール41の図示されている部分には、直交方向の3つの押出成形されたレール片45が取り付けられ、個々の接続支持構造42によって長いレール41に接続されている。
【0032】
図16は接続支持構造42の上側から見た斜視図であり、
図17は
図16の接続支持構造42の下側から見た斜視図である。使用の際には、構造42は、関連付けられた直交方向のレール片にしっかりと固定され、下部レール係合部材49は、関連付けられた直交方向のレール45の中心の凹部と位置合わせされている。構造42の上端には、ねじの頭(図示せず)が突出した状態で残されており、このねじの頭は、押出成形された長いレール41のチャネル内に捕えられて、レール41の長さに沿った移動の自由があるしっかりとした取り付けを提供するようになっている。このようにして、延在構造支持部材40の長さに平行な方向への移動の自由、即ち、直線変位の自由度44が生じる(その方向を示す標示を付された矢印については
図6を参照)。大きな上部レール係合部材は、レール41の下側の中心スロットと位置合わせされ且つ該中心スロットの中へと上に延びて、固定(binding)を防止する一助となる。
【0033】
図18は、本発明の別の実施形態による、異なるサイズの複数の微小構造11または微小構造モジュール12を用いた別の反応器システムの概略図である。矢印で示されるように、同心に位置合わせされた入口および出口ポートは、これらのモジュール12または微小構造11の第1の縁部26の中心に存在し得る。従って、図示されるように、同一の延在構造支持部材40から異なるサイズの複数のフレーム50が異なる高さに懸架され得る。
図18において構造42の様々な垂直断面によって象徴的に示されるように、これらの異なる高さは、必要に応じて、それぞれ厚さが異なる複数の接続支持構造42によって設けられ得る。
図19の斜視図には、高さを増加させた構造42の一例が示されている。
【0034】
当然ながら、押出成形されたレール41以外の支持部材40も用いられ得る。その一代替例が、
図20のモジュール式反応器またはシステム10に示されており、ここでは、長尺の構造支持部材40はロッド39の形態であり、その上に、個々の接続支持構造42の一部として、個々のリニア軸受43が担持されている。このような構成は、微小構造または微小構造モジュールを、支持部材40の長さに平行な方向44に低摩擦で容易に移動可能にするものである。そのような低摩擦の支持は、反応器の動作中に、まっすぐな流体コネクタ30の熱膨張に対応するために、フレーム50が互いに対して僅かに動くことも可能にする。
【0035】
本発明のモジュール式反応器および反応器システムには多くの長所がある。その幾つかは全ての変形例に共通であり、他のものは特定の変形例に限定される。その大半は当業者に認識されるであろう。
【0036】
そのような長所の1つは
図21に関して示され得るものである。
図21は、平行に且つ略同じ高さに配置された2つの延在構造支持部材を有するモジュール式反応器または反応器システムの概略斜視図であり、各延在構造支持部材には複数のモジュール12または微小構造11が懸架されている。この構成において特に長所となるのは、全てのモジュール12または微小構造11の第1の縁部が外側を向いていることである。従って、複数のモジュール12または微小構造11は(図面中、反応器/システム10の中央から下の位置に)互いに非常に近接して配置されてもよく、そのように配置されても、組立作業者、技術者、オペレータまたは修理担当者が所望によりまたは必要に応じて流体接続の調節および保守並びに微小構造11またはモジュール12の交換を行うために、それらに完全に近づくことができる。当然ながら、反応器の設置場所をコンパクトにするために、これらの二列の構成を垂直方向に複数重ねてもよい。
【0037】
他の長所としては以下のものが含まれるが、それらに限定されない。
【0038】
使い易さおよびトラブルシューティングが向上する。
図6Cに示されるように、反応器または列の片側で全ての導入口および排出口が見えるようになっている、本発明の(本発明のシステム内で設けることができる)モジュール式反応器の簡単なレイアウトにより、所与の反応器の理解または把握が遥かに容易になる。トラブルシューティングを片側(前側)から行うことができるので、反応器の四方の側の全てに近づけるようにすることはもはや必要ない。反応器の後側を壁に接触させて置いても、メンテナンス上の問題が生じない。そのような反応器を覆いの中に配置することも、多少の制約はあるとしても、全く可能である。
【0039】
組み立て時間が短縮される。全ての微小構造またはモジュールが同じやり方で取り付けられ、全ての接続が同じやり方で実装されるので、反応器の組み立て時間が大きく短縮される。
【0040】
機械的構造が簡素化され、機械的複雑さが低減される。機能に関わらず、全ての微小構造に対して同じ接続パターンを有することにより、(
図4aおよび4bとは異なり)全体を通して同じ機械的インターフェイスが用いられ得るため、固有の機械部品の数の減少が達成される。
【0041】
微小構造の製造において、より高い標準化が達成される。
【0042】
全ての異なる流体設計に対して接続パターンを標準化することにより、異なる穿孔パターンの数が低減される。それにより、様々な微小構造設計を、より標準化された形態でより容易に行うことができる。
【0043】
微小構造間の短くまっすぐな接続が達成される。
【0044】
生成物の排出口が、反応物導入口の正面に同心にまたは所定のオフセットで配置されていることにより、2つのモジュール間または微小構造間の短くまっすぐな接続が可能になる。これにより、接続のために管を曲げる必要がなくなり、多様なカスタム接続部品の必要性が大きく低減される。従って、FDA認証を容易に受けられる材料のみを用いて、まっすぐで短い接続(微小構造間またはモジュール間の相互接続)を容易に設けることができる。例えば、コネクタ30またはコネクタ30の流体と接触する部分の全体を、PTFEまたは特定の等級のPFAから加工することができる。
【0045】
小型化が向上する。生成物の排出口が、主要な反応物導入口に対して同軸にまたは所定の小さいオフセットで配置されていることにより、接続位置を合わせるために微小構造をずらしたりすることを必要とせずに、全ての微小構造を位置合わせして、まっすぐで短い接続を設けることができる。この反応器は、より高い小型化を達成する点で有益である。(
図6)
従来技術と異なり、標準的な接続パターンを用いているので、同一の反応器内において異なるサイズの複数の微小構造を関連付けるのに便利である。
【0046】
本願明細書に開示された使用方法および/または装置は、一般的に、微小構造内で流体または流体混合物(流体の多相混合物、および固形物も含む流体の多相混合物を含む流体または流体混合物を含む)の混合、分離、抽出、結晶化、沈降等を含む任意のプロセスを行うのに有用である。プロセスは、物理的プロセス、有機、無機、または有機および無機の両方の種の相互変換を生じるプロセスとして定義される化学反応、生化学的プロセス等を含み得る。開示された方法および/または装置を用いて、以下のリスト(本発明を限定するものではない)の反応が行われ得る。酸化、還元、置換、除去、付加、配位子交換、金属交換およびイオン交換。より具体的には、開示された方法および/または装置を用いて、以下のリスト(本発明を限定するものではない)の任意の反応が行われ得る。重合、アルキル化、脱アルキル化、ニトロ化、過酸化、スルホキシド化、エポキシ化、アンモ酸化、水素化、脱水素化、有機金属反応、貴金属化学/均一触媒反応、カルボニル化、チオカルボニル化、アルコキシ化、ハロゲン化、脱ハロゲン化水素、脱ハロゲン化、ヒドロホルミル化、カルボキシル化、脱カルボキシル化、アミノ化、アリール化、ペプチド結合、アルドール縮合、環状縮合、脱水素環化、エステル化、アミド化、複素環合成、脱水、アルコール分解、加水分解、アンモニア分解、エーテル化、酵素合成、ケタール化、鹸化、異性化、四級化、ホルミル化、相間移動反応、シリル化、ニトリル合成、リン酸化、オゾン分解、アジド化学、メタセシス、ヒドロシリル化、カップリング反応、および酵素反応。