特許第5718908号(P5718908)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5718908足の骨に円弧状のボアを形成するための装置、および、該装置とインプラントとを含むキット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5718908
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】足の骨に円弧状のボアを形成するための装置、および、該装置とインプラントとを含むキット
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/16 20060101AFI20150423BHJP
   A61B 17/56 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   A61B17/16
   A61B17/56
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-511360(P2012-511360)
(86)(22)【出願日】2010年5月12日
(65)【公表番号】特表2012-527285(P2012-527285A)
(43)【公表日】2012年11月8日
(86)【国際出願番号】IB2010001089
(87)【国際公開番号】WO2010133933
(87)【国際公開日】20101125
【審査請求日】2013年2月1日
(31)【優先権主張番号】00777/09
(32)【優先日】2009年5月18日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】511211737
【氏名又は名称】ビーダーマン・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BIEDERMANN TECHNOLOGIES GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クラウエ,カイ
【審査官】 井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−539910(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/099176(WO,A1)
【文献】 特表2011−505180(JP,A)
【文献】 特表2006−510445(JP,A)
【文献】 特表2005−507726(JP,A)
【文献】 特表2005−504573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/16
A61B 17/56
A61B 17/86
A61B 17/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
足の骨に円弧状のボアを形成するための装置(9)であって、穴あけ装置を備え、
該穴あけ装置は、
− 中心軸(14)を有する堅い円弧状の管(10)と、
− 管(10)の内部に挿入可能であるかまたは挿入される可撓軸(11)と、
− 可撓軸(11)の前方端部に装着可能である工具頭部(12)とを備え、
A)管(10)が堅く、
B)堅い管(10)の各々の微小区域の湾曲が、少なくとも130mmである中心軸(14)の曲率半径を含み、
前記穴あけ装置はさらに、
治療される身体の部分に搭載可能なターゲット装置(13)を備え、該ターゲット装置(13)は、
− 先端(35)を含む第1固定装置を有する、一つの骨の表面に配置可能な第1の端部(20)と、
− 第2固定装置(18)を支持する、他の骨の表面に配置可能な第2の端部(21)と、
前記堅い管(10)を受け取りかつ移動させる案内部(16)とを含み、
前記第1および第2の固定装置は、互いに向き合うように配置される、装置(9)。
【請求項2】
工具頭部(12)が外径Dを含み、管の外径daと外径Dとの比da/Dが、最大で0.95となることを特徴とする、請求項1に記載の装置(9)。
【請求項3】
管の外径daと外径Dとの比da/Dが、最大で0.92となることを特徴とする、請求項2に記載の装置(9)。
【請求項4】
前記案内部(16)は、堅い管(10)を移動可能に受けるために円弧状をなしている、請求項1から3のいずれかに記載の装置(9)。
【請求項5】
案内部(16)が2つ以上のターゲットリング(17)を含むことを特徴とする、請求
項4に記載の装置(9)。
【請求項6】
工具頭部(12)が、骨材料の破片を取除くための軸方向の穿孔(36)を備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の装置(9)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の装置(9)と、骨釘として形成される、かかとのための少なくとも1つのインプラント(8)とを含むキットであって、
A)骨への挿入のために規定され、先端(47)を有する前部(45)と、
B)端部(48)を有する後部(46)とを含み、
C)骨釘は面が湾曲しており、
D)骨釘の各々の微小区域のための湾曲が少なくとも130mmとなる曲率半径を有する、キット。
【請求項8】
後部(46)が、その端部(48)から始まるものとして計算される少なくとも120mmの長さにわたって堅固であることを特徴とする、請求項7に記載のキット。
【請求項9】
円形の骨ボア(37)を製造するのに使用される、請求項1から6のいずれかに記載の装置(9)。
【請求項10】
脛踵の関節固定に使用される、請求項1から6のいずれかに記載の装置(9)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足の骨に円弧状のボアを形成するための装置と、この装置および骨釘として形成されるかかと用の少なくとも1つのインプラントを含むキットとに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、円弧状のチャネルに沿って制御された態様でボアを配置することが必要であった。特に、骨外科手術の分野においては、骨材料を不必要に失うことなく、弧状のインプラントを如何に制御しながら骨に挿入することができるかについて問題が提起されてきた。厳密に円弧状に形成されたボアを配置することができ、円弧状のインプラント、特に釘、の挿入を可能にし得るような工具は今日までなかった。厳密に円弧状に形成されたボアだけが、単一構造のインプラントを問題なく挿入することを可能にする。というのも、ボアが円弧以外の形状であれば、挿入すべきインプラントが詰まってしまうからである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、請求項1に記載の特徴を備えた装置と、装置、および骨釘として形成されるかかと用の少なくとも1つのインプラントを含み、請求項8の特徴を備えたキットと、請求項11の特徴を備えた、円弧状のボアを空ける方法とによって提示される課題を解決する。
【0004】
本発明によって達成される利点は、本発明に記載の装置により、厳密に円弧状に形成されたボアを設けることができる点で、実質的に認識され得る。
【0005】
本発明のさらに有利な実施例は以下のように説明され得る。
特定の実施例においては、装置は、可撓軸のためのモータ駆動部を含む。これにより、可撓軸はその後方端部を介して駆動機械と接続される。ここで、駆動機械のクランプ手段が、堅い管の後方端部において軸方向に固定して配置される。さらに、可撓軸の外径は、可撓軸が管内でごく小さな許容差しか有さないように、管の内径に対して寸法が規定される。このように許容差が小さく、かつ、管内でその全長に沿って可撓軸によって案内されることで、工具頭部の方にトルクが伝わることにより可撓軸の螺旋状に湾曲したワイヤ巻線の広がりが確実に防止され、これにより、曲げ弾性があるにもかかわらず、可撓軸の高いねじり剛性が保証される。当該装置にはハンドルを設けることができる。
【0006】
別の実施例においては、当該装置はプッシュカップを含む。プッシュカップは、可撓軸の後方端部に固定され、管の後方端部に取付けることができる。プッシュカップには、駆動機械にクランプすることのできる駆動ピンが配置される。送り込む力を駆動機械に加えることにより、管を可撓軸と共に前方向に移動させ得る。
【0007】
さらなる実施例においては、連結手段が可撓軸の前方端部に配置され、これにより、工具頭部が取外し可能に可撓軸に連結され得る。可撓軸は、管の後方端部においてプッシュカップによって軸方向に堅固に支持されており、工具は、管の前方端部において軸方向に配置されている。
【0008】
可撓軸および工具頭部の組付けは、以下のステップに従って実行される。
a)可撓軸は後方端部から管に挿入され、プッシュカップは、さらなる実施例においては、プッシュリングとして輪状に形成されており、可撓軸上でナットとして前方もしくは後方に回転させられるか、または、可撓軸上のばねシステムによってラスタの態様でノッチからノッチへとずらされる。
【0009】
b)可撓軸がわずかに前方に動かされて管の前方開口部から出ると、工具頭部が剛性のラスタシステムで引掛けて留められる。
【0010】
c)プッシュカップまたはプッシュリングは、たとえば、ラスタシステムを含む実施例においては、可撓軸上で、後側部から管の後方端部と反対方向に動かされる。この場合、工具頭部が管の前方端部に配置されているので可撓軸が付勢される。
【0011】
さらなる実施例においては、工具頭部は、可撓軸によってのみ移動させることができる。
【0012】
さらなる実施例においては、管の中心軸の曲率半径は、最大で240mm、好ましくは最大で210mmとなる。
【0013】
さらなる実施例においては、管の中心軸の曲率半径は、少なくとも130mm、好ましくは少なくとも200mmとなる。
【0014】
別の実施例においては、堅い管が有する各々の微小区域の湾曲は、中心軸の曲率半径を含み、少なくとも130mmとなる。
【0015】
さらなる実施例においては、管は、最大で16mm、好ましくは最大で13mmとなる外径dを含む。
【0016】
さらなる実施例においては、管は3〜7mmの内径dを有する。
別の実施例においては、管が有する覆いの厚さは、少なくとも0.5mm、好ましくは少なくとも1.5mmである。
【0017】
さらなる実施例においては、管は、少なくとも5cm、最大で35cmの管長さを有する。
【0018】
さらなる実施例においては、管はステンレス鋼から製造される。
さらなる実施例においては、管は、少なくとも150・10N/mmのEモジュールを有する材料から製造され、少なくとも1.3・10Nmmの曲げ剛性E・Iを含む。
【0019】
ドゥッベル(Dubbel)の「機械工学ハンドブック(Taschenbuch fur den Maschinenbau)」(第21版、2005年、Springer出版)から得られる材質特性:
ステンレス鋼:Eモジュール 150−220・10N/mm
管に関して、軸方向の断面二次モーメントおよび曲げ剛性について以下の値が得られる。
【0020】
曲げ剛性についての標準値(外径d=12mmおよび内径d=7mmを有する管):
=12mmおよびd=7mmの場合、軸方向の断面二次モーメント[管:I=I=I=π(d−d)/64]であれば、
=900mm
曲げ剛性E・I=135−198・10Nmmとなる。
【0021】
曲げ剛性についての最小値(内径d=3mmおよび壁厚0.5mmを有する管):
=4mmおよびd=3mmの場合、軸方向の断面二次モーメント[管:I=I=I=π(d−d/64]であれば、
=8.6mm
曲げ剛性E・I=1.3−1.9・10Nmmとなる。
【0022】
別の実施例においては、工具頭部は外径Dを有し、管の外径dと外径Dとの比d/Dは、最大で0.95、好ましくは最大で0.92となる。典型的には、この比はd/D=10/11となる。
【0023】
さらなる実施例においては、装置はさらに、身体のうち処置されるべき部分に固定することのできるターゲット装置を含む。当該ターゲット装置は、堅い管を移動可能に受けるための円弧状の案内部を備える。ターゲット装置は、好ましくはC型の弧として形成される。
【0024】
さらなる実施例においては、案内部は、2つ以上のターゲットリングを備える。ターゲットリングの中心は円弧上にあり、その半径は管の中心軸の湾曲に対応し、少なくとも10°から最大で45°の弧の角度を有する。
【0025】
別の実施例においては、ターゲット装置は、骨の表面に配置することのできる第1の端部と、第2の端部と、骨の表面に配置することのできる固定キャリッジとを含む。固定キャリッジは、たとえば、実質的に径方向に延在するダブテール案内部によって、ターゲット装置の第2の端部において、弧状のターゲット装置に対して径方向に摺動可能に支持される。
【0026】
別の実施例においては、固定キャリッジはキルシュナー(Kirschner)ワイヤを用いて骨に装着することができる。
【0027】
さらなる実施例においては、工具頭部は、骨材料の破片を除去するために軸方向に穿孔が設けられている。この穿孔は、工具頭部に軸方向に貫通しており、中空軸として形成される可撓軸の空洞へと開口している。
【0028】
キットの具体的な実施例においては、骨釘は、非再吸収性材料から、好ましくはステンレス鋼またはチタンまたはCrCoから製造される。
【0029】
ドゥッベルの「機械工学ハンドブック」(第21版、2005年、Springer出版)から得られる材質特性:
a)ステンレス鋼:Eモジュール 150−220・10N/mm
b)チタン:Eモジュール 100−105・10N/mm
c)チタン合金:Eモジュール 110−130・10N/mm
実施例においては、骨釘として形成されるインプラントは、9〜13mmの外径Dを含む。
【0030】
さらなる実施例においては、骨釘の前部は、弾力的に湾曲可能な態様で形成される。
別の実施例においては、後部ほど硬くない前部が形成される。骨釘の前部には、前部の断面が後部の断面よりも小さくなるように長手方向のチャネルが設けられてもよい。断面が脆弱であるので、前部は、堅い後部よりも可撓性が高くされている。骨釘の前部および後部は、骨釘の全長のうち30%〜70%を占めていてもよい。
【0031】
別の実施例においては、骨釘は、少なくとも前部に長手方向スリットを含む。
さらに別の実施例においては、骨釘は、少なくとも前部にシャムロック状の断面を含む。
【0032】
別の実施例においては、骨釘の後部は堅固に形成される。
さらなる実施例においては、骨釘は、少なくとも前部において、長手方向軸に対して平行な空洞を含む。骨釘はまた、先端に関連するその半分の部分が管状に形成され、好ましくは0.5mmの壁厚を有し得る。さらに、骨釘の前部は、管状に形成されており、スリットを含み得る。
【0033】
インプラントのうち可撓性のある前部に関して、軸方向の断面二次モーメントおよび曲げ剛性について以下の値が得られる:
外径D=9mmおよび壁厚0.5mm(内径d=8mm)の場合、軸方向の最小断面二次モーメント
[管:I=I=I=π(D−d)/64]
=9mmおよびd=8mmの場合、I=121mmとなる。
【0034】
外径D=13mmおよび壁厚0.5mm(内径d=12mm)の場合、軸方向の最大断面二次モーメント
[管:I=I=I=π(D−d)/64]
=13mmおよびd=12mmの場合、I=384mmとなる。
【0035】
ドゥッベルの「機械工学ハンドブック」(第21版、2005年、Springer出版)から得られる材質特性:
a)ステンレス鋼:Eモジュール 150−220・10N/mm
最大の曲げ剛性
E・I=18.2−26.6・10Nmm
最大の曲げ剛性
E・I=57.6−84.5・10Nmm
b)チタン:Eモジュール 100−105・10N/mm
最小の曲げ剛性
E・I=12.1−12.7・10Nmm
最大の曲げ剛性
E・I=38.4−40.3・10Nmm
c)チタン合金:
Eモジュール 110−130・10N/mm
最小の曲げ剛性
E・I=13.3−15.7・10Nmm
最大の曲げ剛性
E・I=42.2−49.9・10Nmm
【0036】
曲げ剛性Bは、以下の式に従って、ドゥッベルの「機械工学ハンドブック」(第21版、2005年、Springer出版)に従って評価される。
【0037】
B=ExI、この場合、Iはmmでの軸方向の断面二次モーメントに相当し、EはN/mmでのEモジュールである。
【0038】
軸方向の断面二次モーメントIは、選択された曲げ軸に依存する。
別の実施例においては、骨釘の前部は塑性的に変形可能である。
【0039】
さらに別の実施例においては、骨釘の前部は、少なくとも12・10Nmm、好ましくは少なくとも15・10Nmmの曲げ剛性を含む。
【0040】
別の実施例においては、骨釘の前部は、最大で85・10Nmm、好ましくは最大で60・10Nmmの曲げ剛性を含む。前部は、適宜、後部の剛性のうち最大で50%の剛性を含む。
【0041】
別の実施例においては、骨釘は、12〜50cmの釘長さLを有する。
さらに別の実施例においては、骨釘の曲率半径は、最大で240mm、好ましくは最大で210mmとなる。
【0042】
さらに別の実施例においては、釘長さLと直径Dとの比L/Dは、16未満、好ましくは14未満である。
【0043】
さらなる実施例においては、インプラントは、止めねじを受けるための少なくとも横方向ボアを含み、横方向ボアの長手方向軸は、好ましくは骨釘の湾曲面内に位置する。
【0044】
別の実施例においては、骨釘の曲率半径は、少なくとも130mm、好ましくは少なくとも200mmとなる。
【0045】
別の実施例においては、骨釘は、前部と後部との間に中間部を含み、中間部の剛性は後部の方に向かうにつれて高くなる。
【0046】
装置の特定の応用例は、骨において円弧状のボアを設けることに関する。
装置のさらなる応用例は、脛踵の関節固定への適用に関する。
【0047】
本発明および本発明のさらなる局面は、いくつかの実施例についての部分概略図に関連付けて、以下においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本発明に従った装置の実施例を示す斜視図である。
図2図1に示される本発明に従った装置を概略的に示す側面図である。
図3図1に示される本発明に従った装置の工具頭部を含む部分図である。
図4図1に示される本発明に従った装置であって、骨内でボアが部分的に完成している概略的な側面図である。
図5】骨に部分的に挿入された本発明に従った骨釘の実施例を示す図である。
図6】インプラントの実施例における本発明に従った図2の骨釘を示す概略図である。
図7】骨に埋込まれた本発明に従った骨釘のさらなる実施例を前外側から示す概略図である。
図8図7における線X−Yに沿った断面を示す図である。
図9図7における線Z−Yに沿った断面を示す図である。
図10図7における線W−Yに沿った断面を示す図である。
図11a】本発明に従った方法の実施例を示す概略図である。
図11b】本発明に従った方法の実施例を示す概略図である。
図11c】本発明に従った方法の実施例を示す概略図である。
図11d】本発明に従った方法の実施例を示す概略図である。
図11e】本発明に従った方法の実施例を示す概略図である。
図11f】本発明に従った方法の実施例を示す概略図である。
図11g】本発明に従った方法の実施例を示す概略図である。
図11h】本発明に従った方法の実施例を示す概略図である。
図11i】本発明に従った方法の実施例を示す概略図である。
図11j】本発明に従った方法の実施例を示す概略図である。
図11k】本発明に従った方法の実施例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1図4に示される装置9の実施例は、中心軸14を有する堅い円弧状の管10と、管10内部の可撓軸11と、可撓軸11の前方端部において装着可能な工具頭部12とを実質的に含む。さらに、装置9は、可撓軸11および工具頭部12を回転駆動するためのモータ駆動部(図示せず)を備える。
【0050】
軸方向に送り込む目的で、プッシュカップ15が可撓軸11の後方端部に固定される。プッシュカップ15には、末端に駆動ピン22が配置される。この駆動ピン22は駆動機械にクランプ可能である。駆動機械に送り込む力を加えることによって、管10を可撓軸11と共に前方に送り込むことができる。可撓軸11の前方端部には、連結手段(図示せず)が装着される。これにより、工具頭部12を、取外し可能に可撓軸11に連結することができる。連結手段は、可撓軸11の前方端部に工具頭部12を固定した後、可撓軸11に予め張力を加えることを可能にする。可撓軸11は、プッシュカップ15によって管10の後方端部において軸方向に堅固に支持され、工具頭部12は、管10の前方端部において軸方向に取付けられる。これにより、工具頭部12を固定した後、可撓軸11に予め張力を加えることが可能となる。可撓軸11の前方端部と工具頭部12との間、および可撓軸11の後方端部とプッシュカップ15との間には、予め加えられた張力に応じて摩擦力が生じる。工具頭部12は、可撓軸11によって回転駆動され、管10によって軸方向に駆動される。堅い管10の中心軸14は、管10の全長に沿って、各々の微小区域のために一定の曲率半径を有する。
【0051】
工具頭部12は、管10の外径よりも大きい外径Dを有する。可撓軸は、弾力的に曲げることのできる中空軸として形成されており、管10の内径dに相当する外径を有する。さらに、工具頭部12には、骨材料の破片を取除くための穿孔36が設けられる。穿孔36は、工具頭部12を軸方向に貫通し、可撓軸11の空洞に開口している。穴あけの工程中に生じた骨材料の破片は、穿孔36を通って可撓軸11の空洞内に運ばれ、次いで、空洞を通って除去される。
【0052】
装置9はターゲット装置13に移動可能に装着され、このターゲット装置13は、処置すべき足に固定可能であり、このため、堅い管10を、可撓軸11および工具頭部12と共に骨に軸方向に挿入することが可能となる。ターゲット装置13は、C字型の弧として形成されており、堅い管10を同軸上で移動可能に受けるための円弧状の案内部16を含む。この明細書中に示される実施例においては、円弧状の案内部16は、2つのターゲットリング17を含み、その中心は、管10の中心軸14の曲率半径に相当する半径を有する円弧上に位置し、かつ、25°の弧の角度を含む。さらなる実施例(図示せず)においては、2つではなく3つの案内部が設けられてもよい。
【0053】
ターゲット装置13はさらに第1の端部20を含み、この第1の端部20は、骨の表面に配置することができ、先端35を有する。ターゲット装置13はまた、フォーク状の第2の端部21と、骨の表面に配置することができる固定キャリッジ18とを備える。図示される実施例においては、固定キャリッジ18は2つの顎部23を備える。これらの2つの顎部23は、堅い管10に隣接して側方に配置される。固定キャリッジ18は、ターゲット装置13の第2の端部21において、弧状のターゲット装置13に対して径方向に摺動可能に支持される。この場合、2つの顎部23は、径方向に延在するダブテール案内部24によって案内される。2つの顎部23はキルシュナーワイヤ19を受けるためのボアを備える。これらのボアは、ターゲット装置13がキルシュナーワイヤ19によって骨に装着可能となるように、堅い管10の中心軸14の面に対して平行に配置される。工具頭部12の組付けは、足にターゲット装置を固定した後、実行される。この場合、堅い管10は、工具頭部12が堅い管10の前方端部と骨の表面との間、そして固定キャリッジ18の2つの顎部23間に挿入することができるような程度、かつ、可撓軸11の前方端部に装着することができるような程度まで引込められる。
【0054】
図5は、内方向に約45°回転させた位置にある下肢(下腿(crus))を示す。本発明に従ったインプラント8を適用するのに適した骨が図示される。この明細書中で対処されるのは主として踵骨1、距骨2および脛骨3である。図5はまた、本発明に従った骨釘を示す。この骨釘は、インプラント9として形成され、踵骨1および距骨2を通って部分的に脛骨3の下方部分にまで挿入される。インプラント8の前部45は、埋込み前には、後部46と同じ曲率半径Rを有する湾曲した形状(破線で図示)を有する。前部45の剛性が低いために、この部分は脛骨3への挿入中に変形する可能性がある。このため、前部45は、埋込み後には実質的により大きな曲率半径を有していてもよく、またはさらには、直線形を有していてもよい。
【0055】
図6に図示のとおり、インプラント8は、典型的には190mmである曲率半径Rを有する面内で連続的に湾曲している。湾曲は、インプラント8の全長Lにわたって延在し、典型的には140mmとなる。その直径Dは典型的には11mmとなる。インプラント8の長さLと直径Dとの比L/Dは、典型的には12.7となる。インプラント8はいくつかの横方向ボア39、40、41および42を含み、そこに止めねじ30、31、32を挿入することができる。3つの横方向ボア39、41、42が位置決めされる面内では、インプラント8が湾曲している。第4の横方向ボア42は、インプラント8の近位端に位置決めされ、上記湾曲した面に対して垂直に延在する。インプラント8の遠位端に位置決めされる横方向ボア39の長手方向軸43は、インプラント8の長手方向軸44に対して15°の角度αをなす。
【0056】
インプラント8は特に曲げ剛性を有する材料からなる。インプラント8の前部45が弾力的に湾曲可能なものとして形成されるように、インプラント8の前部45には長手方向スリット49が設けられる。
【0057】
骨にインプラント8を挿入するために、骨の質に応じて、最初にそれぞれの骨1、2および3に穴あけを行なうことが有利である。これは図1から図4に図示された装置9によって行なわれる。
【0058】
図7から図10においては、骨釘として具体化されたインプラント8のさらなる実施例が図示されるが、これは、図6に従った実施例とは以下の点においてのみ異なっている。すなわち、骨釘が、
a)その前部45にシャムロック状の断面52(図8)と、長手方向軸44に対して平行な空胴56と、長手方向軸44に対して平行な長手方向スリット49とを含む点;および
b)その前部45とその後部46との間に中間部55を含み、骨釘の剛性が後部46の方に向かうにつれて連続的に高くなるように、この中間部55が剛性の低い前部45と剛性の高い後部46との間において過渡区域として形成されている点、においてのみ異なっている。
【0059】
骨釘には、空胴56があることで、前部45に薄壁の断面52が得られる。この薄壁の断面52は、壁厚の薄い外周壁58を含む。この外周壁58は、さらに、長手方向軸44に対して平行な長手方向スリット49によって分離される。断面52がシャムロック状となっているのは、壁58の実施例が、前部45において、長手方向軸44に対して平行に延在する2つの窪み59を備えていることに起因する。これらの2つの窪み59は、長手方向スリット49とは反対側にあって長手方向軸に対して平行に延在する凸状の窪み57が壁58に形成されるように、円周上に配置される。中間部55においては、壁58の壁厚が後部46の方に向かうにつれて厚くなっているので、前部45から後部46に向かうにつれて剛性が高くなる。この壁厚は、一方側では、空胴56が連続的に狭くなっていることにより、他方では、壁58における窪み59の径方向に測定された深さが後部46に向かうにつれて連続的に浅くなっていることにより、厚くなっていく。このため、シャムロック状の断面52および前部45からの連続的な変化が、後部46において円形の断面54に向かうにつれて形成されることとなる。骨釘の中間部55および前部45は、埋込み前には、後部46と同じ曲率半径Rを有する湾曲した形状(破線で図示)を有する。中間部55および特に前部45の剛性が低いために、これらは、脛骨3への挿入中に変形する可能性がある。このため、前部45は、埋込み後に実質的により大きな曲率半径を含んでいてもよく、または、さらには直線形を有していてもよい(図7)。
【0060】
外科手術の技術についての説明:
1)患者を背臥位、腹臥位または側臥位に配置する;
2)選択的、制限的、正面、側面または後側の入口により、両方の関節(上部および距骨下)が捕捉され、これにより、残っている軟骨が除去される;
3)脛骨3、距骨2および踵骨1は、所望のとおりに再度方向付け(位置合わせ)するために自由に移動可能であるものとする;
4)骨折し、関節固定されるべき関節を踵骨と距骨と脛骨との間で位置合わせする;
5)選択された位置が、経皮的に挿入された剛性のキルシュナーワイヤ19(直径3mm)によって固定される(図11a);
6)かかと側方に長さ約2〜3cmの入口を設ける;
7)踵骨(踵骨隆起)の後側縁の位置を特定する;
8)ターゲット装置13を先端35とともに上方の距骨下関節の内側基部に取付ける(図11b);
9)ターゲット装置13に固定キャリッジ18を組付ける(図11c);
10)入口において固定キャリッジ18を摺動させて皮膚に近づける(図11d);
11)キルシュナーワイヤ19も用いて、固定キャリッジ18でかかとにターゲット装置13を固定する(図11e);
12)2つのターゲットリング17に堅い管10を挿入する(図11f);
13)堅い管10に可撓軸11を挿入する(図11d);
14)可撓軸11の前方端部に工具頭部12を装着し、骨開口部に挿入する(図11h)。工具頭部12は、足表面と前方のターゲットリング17との間、そして固定キャリッジ18の2つの顎部23間に挿入され、可撓軸11に予め張力を加えることで可撓軸11に装着される。この目的のために、管10および可撓軸11は、単に管10の前方端部および可撓軸11が前方のターゲットリング17の端面と揃うような程度にまで、ステップ12および13において2つのターゲットリング17に送り込まれる;
15)同時に回転させることによってインプラント8のためのボアをフライス加工し、そして、工具頭部12が脛骨の骨髄空間に入るまで、後方の距骨下関節面の高さで踵骨1および距骨2を横切って越えつつ可撓軸11を送り込む(図11i);
16)装置9を分解する;
17)止めねじ30、31、32用のボアを空けるための案内部を含む任意のターゲットハンドル(図示せず)でインプラント8を挿入することによって、インプラント8をボアに差込んで脛骨の骨髄空胴にまで挿入する(図11j);
18)前部45が塑性的に脛骨の骨髄空胴(図5)に延在するまで釘33を押込む;
19)踵骨1、距骨2および脛骨3のための任意の止めねじ30、31、32を経皮的に挿入する(図11k);
20)皮膚を縫合する。
【0061】
図11kにおいては、足が、下肢に対して約45°だけ内側に回転している。最終的に埋込まれた位置にあるインプラント8が図示される。横方向ボア39における第1の止めねじ30が、踵骨1および距骨2においてインプラント8を固定する。横方向ボア40における第2の止めねじ31が、距骨2においてインプラント8を遮る。横方向ボア41における第3の止めねじ32が、脛骨3および距骨2においてインプラント8を遮る。結果として、3つの骨、すなわち脛骨3、距骨2および踵骨1が合わさって剛化され、重要なこととして、特に解剖学的に正確な向きにされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
図11c
図11d
図11e
図11f
図11g
図11h
図11i
図11j
図11k