(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
軟骨無形成症、低軟骨形成症、低身長、低身長症、およびホモ接合性軟骨無形成症からなる群から選択される骨関連障害または骨格異形成症の治療のための請求項1に記載のCNP変異体または請求項2から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
高血圧、再狭窄、アテローム動脈硬化症、急性非代償性心不全、鬱血性心不全、心臓浮腫、腎性浮腫、肝性浮腫、急性腎不全および慢性腎不全からなる群から選択される血管平滑筋障害の治療のための請求項1に記載のCNP変異体または請求項2から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
前記宿主細胞が、前記切断可能なペプチドもしくはタンパク質をコードする前記ポリヌクレオチドに連結された、前記CNP変異体ポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドを含む発現ベクターにより形質転換されている、請求項8に記載の方法。
前記切断可能なペプチドもしくはタンパク質がヒスチジンタグ、ヒト転写因子TAF12、TAF12断片、TAF12ヒストン折りたたみドメイン、TAF12の突然変異体およびその断片、TAF12(C/A)、TAF12(D/E)、TAF12(4D/4E)、TAF12(6D/6E)、TAF12(10D/10E)、TAF12(C/A&D/E)、TAF12(C/A&4D/4E)、TAF12(C/A&6D/6E)、TAF12(C/A&10D/10E)、ケトステロイドイソメラーゼ、マルトース結合タンパク質、β−ガラクトシダーゼ、グルタチオンS−トランスフェラーゼ、チオレドキシン、キチン結合ドメイン、BMP−2、BMP−2突然変異体、BMP−2(C/A)ならびにそれらの突然変異体および断片からなる群から選択される、請求項8および9のいずれか一項に記載の方法。
前記単離した融合ポリペプチドを、ギ酸、臭化シアン(CNBr)、ヒドロキシルアミン、自己切断タンパク質、Xa因子、エンテロキナーゼ、ProTEVおよびSUMOプロテアーゼからなる群から選択される切断剤と接触させるステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
発現ベクターを含む宿主細胞であって、該ベクターは、切断可能なペプチドもしくはタンパク質をコードする第2のポリヌクレオチドに連結された、CNP変異体ポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチドを含み、該CNP変異体は、
PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro−Gly−CNP37))(配列番号145);
QEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSNSGLGC[CNP37(M32N)](配列番号182);
PQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro−CNP37)(配列番号186);
MQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Met−CNP37)(配列番号192);
GQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSNSGLGC[Gly−CNP37(M32N)])(配列番号181);および
MGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Met−Gly−CNP37))(配列番号191)
からなる群から選択される、宿主細胞。
前記宿主細胞は、前記第1および前記第2のポリヌクレオチドによりコードされる融合ポリペプチドの発現に適する条件下で培地中で培養され、ここで、該融合ポリペプチドは、前記切断可能なペプチドもしくはタンパク質に直接的に連結されたか、またはリンカーを介して該切断可能なペプチドもしくはタンパク質に間接的に連結された前記CNP変異体ポリペプチドを含む、請求項16に記載の宿主細胞。
前記少なくとも1つの骨関連バイオマーカーまたは軟骨関連バイオマーカーがCNP、cGMP、II型コラーゲンのプロペプチドおよびその断片、II型コラーゲンおよびその断片、オステオカルシン、増殖細胞核抗原(PCNA)、I型プロコラーゲンのプロペプチド(PINP)およびその断片、I型コラーゲンおよびその断片、アグリカンコンドロイチン硫酸ならびにアルカリホスファターゼからなる群から選択される、請求項18に記載の組成物。
長骨の成長を必要とする被験体において、長骨の成長を増加させるための組成物であって、該組成物は、請求項1に記載のCNP変異体を含み、ここで、長骨の成長が増加される、組成物。
長骨の成長の増加、または軟骨無形成症、低軟骨形成症、低身長、低身長症、もしくはホモ接合性軟骨無形成症の治療を必要とする被験体において、長骨の成長を増加させるか、または、軟骨無形成症、低軟骨形成症、低身長、低身長症、もしくはホモ接合性軟骨無形成症を治療するための組成物であって、該組成物は、請求項1に記載のCNP変異体を含む、組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、その機能性を保持すると同時に、NEPに対して抵抗性のあるCNPを調製することに成功した戦略に関する公表された報告は存在していなかった。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本開示は、骨関連障害(例えば、軟骨無形成症)および血管平滑筋障害の治療に有用であるC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)の変異体に関する。本開示は、CNPの機能性を保持すると同時に、例えば、中性エンドペプチダーゼ(NEP)に結合する能力の低下、NEPによるタンパク質分解に対するより大きい抵抗性および/またはクリアランスナトリウム利尿ペプチド受容体C(NPR−C)に対する親和性の低下の結果としての長い血清半減期を有するCNP変異体を含む。
【0017】
ヒトCNP−22(本明細書では「hCNP22」、「wtCNP22」または「CNP22」と呼ぶ)の野生型配列を下に示す。
(N末端)Gly
1−Leu
2−Ser
3−Lys
4−Gly
5−Cys
6−Phe
7−Gly
8−Leu
9−Lys
10−Leu
11−Asp
12−Arg
13−Ile
14−Gly
15−Ser
16−Met
17−Ser
18−Gly
19−Leu
20−Gly
21−Cys
22(配列番号1)
CNP22の6〜22位は、Cys
6とCys
22との間のジスルフィド結合により環状ドメインを形成している。17アミノ酸環状構造は、NPR−BへのCNPの結合に重要であることが示された(Schiller、Biochem. Biophys. Res. Commun.、138巻、880〜886頁(1986年))。CNP22の6〜22位のアミノ酸配列は、本明細書では「CNP17」と呼ぶ(配列番号2)。
【0018】
CNPは、Cys6−Phe7、Gly8−Leu9、Lys10−Leu11、Arg13−Ile14、Ser16−Met17およびGly19−Leu20などの多くの部位におけるNEP切断を受けやすい。1つの実施形態において、本開示は、(1)その全体的なサイズもしくは分子量を、例えば、約2.6kDaもしくは2.8kDaから約4kDa、4.2kDa、4.4kDa、4.6kDa、4.8kDa、5kDa、5.2kDa、5.4kDa、5.6kDa、5.8kDa、6kDa、6.2kDa、6.4kDaまでもしくは約7kDa、7.2kDaもしくは約8.2kDaまでの範囲に増加させるために改変され、かつ/または(2)上に示した部位の1、2、3、4、5つもしくは6つすべてにおけるNEP切断に対するその感受性を低下させるために改変されているCNP変異体を含む。CNP変異体のサイズまたは分子量は、様々な手段により、例えば、追加のアミノ酸および/または他の種類の化学(例えば、天然もしくは合成ポリマー)基を例えばN末端、C末端および/または側鎖におけるペプチド配列に結合させることにより、かつ/またはよりかさばった側鎖を有する天然アミノ酸、非天然アミノ酸および/またはペプチド模倣体を用いることにより、増加させることができる。CNP変異体は、他の機能または構造部分に必要に応じてさらに結合させることができる。本明細書で記載する実施形態のいずれかと必要に応じて組み合わせて、(1つ以上の)変異(例えば、(1つ以上の)置換、(1つ以上の)付加および/または(1つ以上の)欠失)をCNP22の特定の(1つ以上の)位置に導入して、NPR−Cに対するCNP変異体の親和性を低下させることができる。NEP抵抗性またはCNP活性に影響を及ぼすことのないさらなる改変、例えば、保存的置換、または当技術分野で公知の他の改変を行うことができる。
【0019】
1つの実施形態において、CNP変異体は、次の一般式:(x)−Gly
1−Leu
2−Ser
3−Lys
4−Gly
5−Cys
6−Phe
7−Gly
8−Leu
9−Lys
10−Leu
11−Asp
12−Arg
13−Ile
14−Gly
15−Ser
16−Met
17−Ser
18−Gly
19−Leu
20−Gly
21−Cys
22−(z)(配列番号5)により表すことができ、ここで、
CNP変異体は、次のCNP残基:Gly1、Lys4、Gly5、Cys6、Phe7、Gly8、Leu9、Lys10、Leu11、Ile14、Gly15、Ser16、Met17、Gly19、Leu20およびGly21の1つ以上に対応する位置における改変ペプチド結合(例えば、ペプチド結合イソスターの使用による)をもたらす可能性がある1つ以上の改変アミノ酸を含み、
(x)および(z)は、独立に、非存在であってよく、またはナトリウム利尿ポリペプチド(例えば、NPPC、ANP、BNP)もしくは非ナトリウム利尿ポリペプチド(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、IgG等)であってよい。
【0020】
1つの実施形態において、CNP変異体は、(1)CNP22の6、7または8位(Cys6、Phe7またはGly8)の1つに対応するアミノ酸位置における改変、(2)1〜5位におけるアミノ酸(Gly1、Leu2、Ser3、Lys4およびGly5)のいずれかまたはすべての必要に応じて欠失、付加および/または置換ならびに(3)6〜22位に対応する位置における必要に応じて1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個までのさらなる改変(欠失、付加および/または置換)(そのうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個が保存的置換または本明細書で記載するもしくは当技術分野で公知の他の置換であってよい)を含む。
【0021】
数による特定のアミノ酸位置への言及(例えば、CNP22の7位)は、当該CNP変異体における当該位置の数が先行する挿入または欠失のために変化したとしても、いずれかのCNP変異体における対応するアミノ酸位置を意味する。例えば、「7位」または「Phe7」への言及は、最初の5つのアミノ酸が欠失したCNP変異体の対応する2位を意味する。同様に、「7位」への言及は、1つのアミノ酸がN末端に付加されたCNP変異体の対応する8位を意味する。
【0022】
本明細書で記載する実施形態のいずれかにおいて、CNP変異体は、CNP22の6および22に対応する位置の間の共有結合により環化させることができる。当技術分野で公知のいずれかの方法を用いて共有結合を形成させることが考えられる。他の実施形態において、CNP変異体は、該ペプチドのN末端におけるまたはN末端の方にあるアミノ酸とC末端におけるまたはC末端の方にあるアミノ酸との間に形成される共有結合により環化させることができる(この目的のために「末端」アミノ酸と呼ぶ)。1つの実施形態において、共有結合は、2つの末端アミノ酸の側鎖またはCNP22の6および22の対応する位置におけるアミノ酸の間で形成させる。他の実施形態において、共有結合は、1つの末端アミノ酸の側鎖と他の末端アミノ酸の末端基との間で、または各末端アミノ酸の末端基との間で形成させる。例えば、ヘッド−テール、側鎖−側鎖、側鎖−ヘッド、または側鎖−テール結合が、末端アミノ酸の間、またはCNP22の6および22の対応する位置におけるアミノ酸の間で形成される共有結合について可能である。
【0023】
1つの実施形態において、本開示は、CNPの機能性(例えば、cGMPの産生の刺激)を保持すると同時に、NEPに対する低い親和性、および/またはNEPによる切断に対するより大きい抵抗性および/または長いin vivo血清半減期を有するCNP変異体を提供する。NEPは、その活性部位の空洞のサイズが限られているため、約3kDaより小さい物質を選択的に認識する(Oefner、J. Mol. Biol.、296巻、341〜3
49頁(2000年))。1つの実施形態において、例えば、約0.6〜約5kDaのアミノ酸、親水性もしくは水溶性ポリマー、疎水性酸(脂肪酸を含む)および/または糖を付加することにより、全体的な分子量を例えば、約2.6もしくは2.8kDaから約4、4.6、5、5.2、5.8、6、6.4もしくは約7kDaまでの範囲に増加させるためにCNP変異体を改変する。特定の具体例としての実施形態において、CNP変異体は、約2.6kDa〜約7kDa、または約2.8kDa〜6kDa、または約2.8kDa〜5.8kDaの分子量を有する。特定の実施形態において、CNP変異体の総分子量を、例えば、約2.6kDaもしくは2.8kDaから約4kDa、4.2kDa、4.4kDa、4.6kDa、4.8kDa、5kDa、5.2kDa、5.4kDa、5.6kDa、5.8kDa、6kDa、6.2kDa、7.2kDa、8.2kDaもしくはより高い値までの範囲まで増加させるために、少なくとも約0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.6もしくは1.8kDa、または2、2.2、2.4、2.6、2.8、3、3.2、3.4、3.6、3.8、4、4.2、4.4、4.6、4.8もしくは5kDaまでを加える。いくつかの実施形態において、そのようなCNP変異体は、CNP22のアミノ酸6〜22と少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%もしくは95%同一または相同であるアミノ酸配列を含む。他の実施形態において、そのようなCNP変異体は、他の天然または非天然アミノ酸またはペプチド模倣体との1、2、3、4、5、6もしくは7個のアミノ酸の置換、挿入または欠失を含む。保存的および非保存的置換または挿入がいずれかの位置において想像されるが、非保存的置換は、改変に耐性があることが以前に示された領域において行うことができるが、改変の導入は、例えば、CNP活性またはNPR−B結合に関与すると当技術分野で同定された領域における保存的置換によって始まる可能性がある。
【0024】
他の実施形態において、CNP変異体は、Cys6とCys22の間の完全な環化部分、ならびに約1〜40、1〜20、5〜40、5〜35、10〜35、15〜35、5〜31、10〜31、もしくは15〜31個のアミノ酸を含み、CNPポリペプチドおよび/または非CNPポリペプチド由来の断片であるN末端および/またはC末端テールを有するCNPを含む。1つの実施形態において、そのようなCNP変異体は、約2.8kDa〜約4、4.6、5、5.2、5.8、6、6.4または7kDaの範囲の分子量を有する。そのようなCNP変異体の非限定的な例としては、ヒトもしくは他の種のナトリウム利尿ペプチド前駆体配列(例えば、ANP、BNPもしくはCNP)由来のN末端および/またはC末端延長部分を有する、野生型CNP22または1つ以上のアミノ酸置換(例えば、K4R置換)を有するCNP22、アミノ酸置換、付加および/または欠失を有するナトリウム利尿ペプチド前駆体C(NPPC)変異体(例えば、CNP変異体は、約2.8kDa〜5.8kDaの分子量を有するペプチドをもたらすCNP−53の短縮体であってよい)、あるいは例えば、血清アルブミンまたはIgGタンパク質などの他の非CNPポリペプチド(例えば、CNP変異体は、ヒトもしくは他の種の血清アルブミンまたはIgGの断片を含むCNPキメラであってよい)などがある。
【0025】
1つの実施形態において、NEP分解に対する抵抗性の増大を意図した、例えば、約2.6kDaもしくは2.8kDa〜約6もしくは7kDaの本明細書で一般的に述べた範囲によって特徴づけられる総質量を有するCNP変異体は、以下の一般式
(x)−Gly
1−Leu
2−Ser
3−(b)
4−Gly
5−Cys
6−Phe
7−Gly
8−Leu
9−(h)
10−Leu
11−Asp
12−Arg
13−Ile
14−Gly
15−Ser
16−Met
17−Ser
18−Gly
19−Leu
20−Gly
21−Cys
22−(z)(配列番号6)により表され、式中、
(x)は、合成もしくは天然ポリマー基、またはその組合せであり、合成ポリマー基の非限定的な例は、ポリエチレングリコール(PEG、ポリエチレンオキシド(PEO)とも呼ばれる)であり、天然ポリマー基の非限定的な例は、1〜35アミノ酸を含み、NPPCまたは置換および/もしくは欠失を有するその変異体、ANP、BNP、あるいは例えば、血清アルブミン、IgG、ヒスチジンリッチ糖タンパク質、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、亜鉛フィンガー含有ポリペプチド、オステオクリンまたは線維芽細胞成長因子2(FGF2)などの他の非CNP(ポリ)ペプチド由来のアミノ酸配列であり、
(z)は、非存在であってよく、あるいは合成または天然ポリマー基、またはその組合せであってよく、合成ポリマー基の非限定的な例は、PEGであり、天然ポリマー基の非限定的な例は、ナトリウム利尿ポリペプチド(例えば、NPPC、CNP、ANPもしくはBNP)または非ナトリウム利尿ポリペプチド(例えば、血清アルブミンもしくはIgG)由来のアミノ酸配列であり、
(b)および(h)は、独立にそれぞれ、上記位置における野生型Lysであってよく、あるいは保存的アミノ酸置換またはArg、Gly、6−ヒドロキシ−ノルロイシン、シトルリン(Cit)、Gln、GluもしくはSerを含むが、これらに限定されない、側鎖に反応性第一級アミンを有さない天然もしくは非天然アミノ酸またはペプチド模倣体により置換されていてよい。1つの実施形態において、(b)はArgである。他の実施形態において、NEP抵抗の改善のために、(b)はGlyでない。他の実施形態において、(h)はArgでない。
【0026】
NPPCまたはその変異体由来のアミノ酸配列の非限定的な例としては、以下のものが挙げられる。
【0027】
【化1】
【0028】
【化2】
。
【0029】
例えば、ANP、BNP、血清アルブミンおよびIgGなどの非CNPポリペプチド由来のアミノ酸配列の非限定的な例としては、以下のものが挙げられる。
【0030】
【化3】
。
【0031】
1つの実施形態において、CNP22またはその変異体のN末端および/またはC末端は、独立に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40個のアミノ酸を含むアミノ酸延長部分に結合させることができる。1つの実施形態において、アミノ酸延長部分は、NPPC、CNP53、ANPまたはBNP由来である。特定の実施形態において、アミノ酸延長部分は、Gln−Glu−His−Pro−Asn−Ala−Arg−Lys−Tyr−Lys−Gly−Ala−Asn−Lys−Lys(配列番号33)である。関連実施形態において、この15アミノ酸延長部分をN末端に付加して、式Gln−Glu−His−Pro−Asn−Ala−Arg−Lys−Tyr−Lys−Gly−Ala−Asn−Lys−Lys−Gly
1−Leu
2−Ser
3−(b)
4−Gly
5−Cys
6−Phe
7−Gly
8−Leu
9−(h)
10−Leu
11−Asp
12−Arg
13−Ile
14−Gly
15−Ser
16−Met
17−Ser
18−Gly
19−Leu
20−Gly
21−Cys
22−(z)(配列番号34)のCNP変異体を得る。
【0032】
1つの実施形態において、CNP変異体は、それらの全体的な分子サイズを約2.6kDaもしくは2.8kDaから約4、5、6もしくは7kDaまでの範囲に増加させるためにN末端および/またはC末端において親水性ポリマー(例えば、PEG)に結合させたwtCNP22またはその変異体(例えば、(1つ以上の)付加、(1つ以上の)欠失および/または例えば、K4R置換などの(1つ以上の)置換を有する)(配列番号35)を含む。そのようなCNP変異体は、N末端および/またはC末端において、例えば、アミノ酸、糖、疎水性酸および/またはリン脂質を含むポリマー基に必要に応じてさらに結合される。その非限定的な例は、1〜35、または5〜31個のアミノ酸を含むN末端アミノ酸延長部分である。1つの実施形態において、少なくとも約0.4、0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.6もしくは1.8kDa、または約2、2.2、2.4、2.6、2.8、3、3.2、3.4、3.6、3.8、4、4.2、4.4、4.6、4.8もしくは5kDaまでの親水性ポリマー(例えば、PEG)部分をwtCNP22またはその変異体のN末端および/またはC末端に付加させる。
【0033】
本明細書で示すように、CNP22またはその変異体への約0.6kDaまたはそれ以上の親水性または水溶性PEG(またはPEO)ポリマーの結合により、NEP切断に対する抵抗性が著しく増加する。しかし、wtCNP22に0.6kDaと小さくてもPEGを付加させると、CNPの機能性(例えば、cGMPシグナリングの刺激)が低下する可能性があり、CNP22またはその変異体に約2または3kDaを超えるPEGを付加させると、CNPの機能活性がサイズ依存的に低下する可能性がある。しかし、約0.6kDaから約1.2kDaまで、または場合によっては約2kDaまでのPEG(またはPEO)ポリマーを、例えば、GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)、GANPR−CNP22(K4R)(配列番号37)、ER−CNP22(配列番号38)、ER−CNP22(K4R)(配列番号39)、R−CNP22(配列番号40)およびR−CNP22(K4R)(配列番号41)などの、生理的条件下で場合によっては正に荷電する可能性のある少なくとも1つの比較的に大きいアミノ酸(例えば、アルギニン)がCNP22のGlyに対応する位置の直前にある、N末端アミノ酸延長部分を有するCNP変異体に結合される場合、CNPの機能性(wtCNP22の機能性と少なくとも同等の)が保持される。
【0034】
したがって、1つの実施形態において、PEG化CNP変異体は、CNP22またはその変異体(例えば、K4R置換を有するもの)のN末端に少なくとも1、2、3、4または5個のアミノ酸を含むアミノ酸延長部分を含んでおり、この場合に、PEGポリマーは、NEP切断に対する抵抗性の増大のための例えば、約2.6kDaもしくは2.8kDa〜約6もしくは7kDaの本明細書で一般的に述べた範囲によって特徴づけられる総質量を得るためにアミノ酸延長CNP変異体のN末端に結合させる。1つの実施形態において、CNPの機能性の向上のために、そのようなペグ化アミノ酸延長CNP変異体は、CNP22のGlyに対応する位置の直前にある、生理的条件下で場合によっては正に荷電する可能性のある少なくとも1つの比較的に大きい天然または非天然アミノ酸を含む。特定の実施形態において、ペグ化アミノ酸延長CNP変異体は、CNP22のGlyに対応する位置の直前に少なくとも1つのアルギニン残基を含む。
【0035】
N末端および/またはC末端において例えばPEG(もしくはPEO)などの親水性もしくは水溶性ポリマーに結合したCNP変異体に加えて、本開示は、内部部位においてそのようなポリマーに結合したCNP変異体を含む。ここで簡潔さの目的のために、PEG(もしくはPEO)は、親水性もしくは水溶性ポリマーの代表的な例として用いることとする。(1)N末端のみにおけるPEG化、(2)C末端のみにおけるPEG化、(3)内部部位(例えば、Lys4)のみにおけるPEG化、(4)N末端およびC末端におけるPEG化、(5)N末端および内部部位におけるPEG化、ならびに(6)C末端および内部部位におけるPEG化を含むが、これらに限定されない、CNP変異体のPEG化の種々の部位が可能である。NEP分解に対する抵抗性の増大およびCNPの機能性の保持のために、特定の実施形態において、PEG化CNP変異体の総質量は、例えば、約2.6kDaもしくは2.8kDa〜約4、5、6もしくは7kDaまでの範囲の本明細書で一般的に述べた範囲によって特徴づけられる。特定の実施形態において、CNP17、CNP22、CNP37(下で定義する)またはその変異体(アミノ酸付加、置換および/または欠失を有するものを含む)は、N末端においてのみPEG化されている。他の実施形態において、CNP変異体は、内部部位(例えば、Lys4)のみにおいてPEG化されている。他の実施形態において、CNP変異体は、N末端および内部部位(例えば、Lys4)においてPEG化されている。他の実施形態において、より良好な機能性を得るために、CNP変異体は、環状ドメイン内(CNP22のCys6〜Cys22に対応する)の部位(例えば、Lys10)においてPEG化させない。内部部位におけるPEG化を防ぐために、Lys4および/またはLys10は、例えば、Gly、Ser、Arg、Asn、Gln、Asp、Gluまたはシトルリン(Cit)などの側鎖に反応性第一級アミノ基を含まない天然もしくは非天然アミノ酸またはペプチド模倣体で置換することができる。特定の実施形態において、Lys4および/またはLys10をArgで置換する。他の実施形態において、Lys10をArgで置換しない。
【0036】
本開示は、種類(例えば、ホモポリマーまたはコポリマー;ランダム、交互またはブロックコポリマー;線状または分枝;単分散性または多分散性)、結合(例えば、アミド、イミン、アミナール、アルキレンまたはエステル結合などの加水分解性または安定結合)、結合部位(例えば、N末端および/またはC末端における;好ましくはCNPの環化領域における残基(CNP22の残基6〜22に対応する)のいずれにおけるものでない)、ならびに長さ(例えば、約0.2、0.4または0.6kDa〜約2、3、4または5kDa)が異なっていてよい親水性または水溶性ポリマー(例えば、PEG分子)の使用を意図する。親水性または水溶性ポリマーは、当技術分野で公知であるような、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)もしくはアルデヒドベースの化学または他の化学によりCNPペプチドに結合させることができる。そのようなCNP変異体は、例えば、wtCNP−22(2.2kDa)、wtCNP22の環化領域(残基6〜22)のみを保持するCNP−17、CNP22のN末端および/またはC末端におけるアミノ酸延長部分を有するCNP変異体、あるいはアミノ酸置換、付加および/または欠失を有する変異体、例えば、GANRR−CNP22(K4R) (配列番号36), GANPR−CNP22(K4R) (配列番号37), R−CNP22 (配列番号40), R−CNP22(K4R) (配列番号41), ER−CNP22 (配列番号38) and ER−CNP22(K4R) (配列番号39)を用いて生成させることができる。1つの実施形態において、例えば、約2.6kDaもしくは2.8kDa〜約6もしくは7kDaの本明細書で一般的に述べた範囲によって特徴づけられる総質量を有するPEG−CNP変異体は、NHSもしくはアルデヒドベースの化学によりN末端および/またはC末端において結合した単分散性線状PEG(PEO)基、あるいはNHSベースの化学によりN末端および/またはC末端において結合した2アームもしくは3アーム分枝PEG基を含む。本開示は、カルボキシル化、硫酸化およびリン酸化化合物を含むが、これらに限定されない、腎クリアランスの減少を意図した負に荷電したPEG−CNP変異体をさらに意図する。
【0037】
関連実施形態において、本開示は、nが12〜50の整数であり、PEGポリマーが分子量約2.5kDaまでのものである、式(CH
2CH
2O)
nのNHSまたはアルデヒドベースのPEGを含むPEG−CNP結合体を意図する。特定の実施形態において、nは12または24である。1つの実施形態において、PEGポリマーの末端ヒドロキシル基は、非反応性基でキャップされている。特定の実施形態において、キャッピング基は、アルキル基、例えば、メチルなどの低級アルキル基である。
【0038】
さらなる実施形態において、PEGポリマーまたはその誘導体は、約0.4kDa〜約2.5kDa、または約0.6kDa〜約1.5kDaの範囲のポリマー数平均分子量を有する。
【0039】
さらなる実施形態において、wtCNPまたはCNP変異体ペプチドを、例えば、ビスホスホネート、糖、疎水性酸(脂肪酸など)またはアミノ酸配列などの部分に結合させる。そのようなアミノ酸配列は、例えば骨/軟骨ターゲティングに有用なポリAspまたはポリGluなどであるか、あるいは例えば、オステオポンチン、オステオカルシン、シアロタンパク質等の融合タンパク質またはペプチド配列などの解明された骨ターゲティングドメインを有する骨タンパク質またはその誘導体であってよい。CNP22またはその変異体が骨もしくは軟骨ターゲティング部分に結合している本明細書で記載する実施形態において、ペプチドが軟骨細胞上のNPR−Bに結合し、活性化することができる場合、そのような部分は、改変CNPペプチドを骨成長板の軟骨細胞に到達させることを促進するように設計されている。
【0040】
他の実施形態において、本開示は、NEPを含むペプチダーゼによる切断を受けにくいペプチド結合を有するCNP変異体を提供する。本開示は、エンドペプチダーゼ切断の部位に少なくとも1つの改変残基を含むCNP変異体を含む。1つの実施形態において、CNPにおけるNEP切断部位のCys6−Phe7ペプチド結合(−C(=O)−NH−)は、以下のペプチド結合イソスターのいずれかで置換することができる。
【0041】
−CH
2−NH−、
−C(=O)−N(R)−(ここで、アミド基が次のR基のいずれかによりアルキル化されている:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル)、
−C(=O)−NH−CH
2−、
−CH
2−S、
nが1または2である−CH
2−S(O)
n−、
−CH
2−CH
2−、
−CH=CH−、
−C(=O)−CH
2−、
−CH(CN)−NH−、
−CH(OH)−CH
2−、
−O−C(=O)−NH−、および
−NHC(=O)NH−
他の実施形態において、Phe7をその鏡像異性体D−Pheで置換する。他の実施形態において、D鏡像異性体をwtCNP−22内の1つまたは22位置すべてまでの複数の位置に導入する。さらなる実施形態において、3−アミノ−2−フェニルプロピオン酸などのβ−アミノ酸でPhe7を置換し、これにより、側鎖の長さを減少させると同時に、主鎖の長さを増加させる。他の実施形態において、本開示は、ホモシステイン、ペニシラミン、2−メルカプトプロピオン酸および3−メルカプトプロピオン酸を含むが、これらに限定されない、Cys6位置におけるCys類似体を意図する。
【0042】
Cys6とPhe7の間のNEP抵抗性結合の存在下でさえも、Gly8−Leu9、Lys10−Leu11、Arg13−Ile14、Ser16−Met17およびGly19−Leu20などの他のペプチド結合は、NEPにより加水分解され得る。したがって、本開示は、CNP類似体の主鎖における複数の位置にペプチド結合イソスターを含むCNP類似体を含む。1つの実施形態において、CNP類似体または変異体は、複数のペプチダーゼ切断部位に改変を含む。さらなる実施形態において、そのような変異体は、NEP活性部位に対する結合に重要なアミノ酸残基における置換を有し、それにより、NEP分解に対する抵抗を増大させるCNPを含む。Gly8、Gly15、Ser18、Gly19および/またはGly21を含むが、これらに限定されない1つ以上のNEP結合性残基をより大きいサイズの天然または非天然アミノ酸残基で置換して、NEP活性部位に対する親和性を低下させる。他の実施形態において、Phe7、Leu9、Leu11、Ile14、Met17およびLeu20を含むが、これらに限定されない、NEP認識に必須の1つ以上の疎水性残基を、NEP結合性を減少させる天然もしくは非天然アミノ酸および/またはペプチド模倣体で置換する。他の実施形態において、CNPの最初の5個のアミノ酸の1〜5個を欠失させるか、または他の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸もしくはペプチド模倣体で置換することができ、あるいは1つ以上の天然もしくは非天然アミノ酸またはペプチド模倣体をCNPの最初の5つの位置のいずれか1つまたはすべてに付加することができる。
【0043】
さらなる実施形態において、CNP変異体は、NEPに対する抵抗性の増大のための約2.6kDaもしくは2.8kDa〜約6もしくは7kDaの本明細書で一般的に述べた範囲によって特徴づけられる総質量を有し、以下の式
(x)−Gly
1−Leu
2−Ser
3−(a)
4−Gly
5−(b)
6−(c)
7−(d)
8−(e)
9−(f)
10−(g)
11−Asp
12−Arg
13−(h)
14−Gly
15−Ser
16−(i)
17−Ser
18−Gly
19−(j)
20−Gly
21−Cys
22−(z)(配列番号46)により表され、式中、
(x)は、非存在であってよく、あるいは、例えば、ビスホスホネートなどの合成骨ターゲティング化合物;例えば、ポリAspおよびポリGluなどの骨または軟骨ターゲティングに有用なアミノ酸配列;例えば、オステオポンチン、オステオカルシン、シアロタンパク質等の融合タンパク質またはペプチド配列などの解明された骨ターゲティングドメインを有する骨タンパク質由来のアミノ酸配列;例えば、荷電PEG分子などの腎クリアランスを減少させるポリマーまたは非ポリマー分子;ならびに例えば、ポリマー(例えば、PEGs)、糖、疎水性酸(脂肪酸を含む)および/またはアミノ酸を含む延長部分からなる群から選択されてよく、そのようなアミノ酸延長部分は、例えば、1〜31、もしくは1〜35、もしくは5〜35、もしくは10〜35、もしくは15〜35個のアミノ酸残基を含んでいてよく、NPPC、ANP、BNP、例えば、血清アルブミンもしくはIgGなどの他の非CNP(ポリ)ペプチド、あるいは置換、付加および/または欠失、またはその組合せを有する前述のポリペプチドの変異体由来であってよく、
(z)は、非存在であってよく、あるいは、例えば、ポリAspおよびポリGluなどの骨または軟骨ターゲティングに有用なアミノ酸配列、例えば、オステオポンチン、オステオカルシン、シアロタンパク質などの骨タンパク質の骨ターゲティングドメインのアミノ酸配列、ならびに例えば、ANPまたはBNPなどの非CNP(ポリ)ペプチド由来のアミノ酸配列からなる群から選択されてよく、
(a)は、上記位置における野生型Lysであってよく、あるいは保存的アミノ酸置換、またはArg、Gly、6−ヒドロキシ−ノルロイシン、シトルリン(Cit)、Gln、SerもしくはGluを含むが、これらに限定されない、側鎖に反応性第一級アミンを有さない天然もしくは非天然アミノ酸またはペプチド模倣体により置換されていてよく、1つの実施形態において(a)はArgであり、
(b)は、Cysおよび例えば、Cys−CH
2−NHなどのCys6とPhe7の間のペプチド結合イソスターからなる群から選択され、
(c)は、L−Phe;D−Phe;3−アミノ−2−フェニルプロピオン酸;N−アルキル基がメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルである、PheのN−アルキル化誘導体;ならびにPhe類似体のベンゼン環の1つ以上のオルト、メタおよび/またはパラ位が、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、線状もしくは分枝C
1−6アルキル、線状もしくは分枝C
1−6アルコキシ、線状もしくは分枝ハロ−C
1−6アルキル、C
3−10シクロアルキル、ヘテロシクリル、C
6−14アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されている(例は、チロシン、3−クロロフェニルアラニン、2,3−クロロ−フェニルアラニン、3−クロロ−5−フルオロ−フェニルアラニン、2−クロロ−6−フルオロ−3−メチル−フェニルアラニンを含むが、これらに限定されない)か、あるいはPhe類似体のベンゼン環を他のアリール基(非限定的な例は1−および2−ナフチルアラニンなどである)またはヘテロアリール(非限定的な例はピリジルアラニン、チエニルアラニンおよびフリルアラニンなどである)で置換することができる、Phe類似体からなる群から選択され、
(d)は、Gly、tert−ブチル−Gly(tBu−Gly)、Thr、Ser、ValおよびAsnからなる群から選択され、
(e)は、Leu、Ser、Thrおよび例えば、N−Me−Leuなどのペプチド結合イソスターからなる群から選択され、
(f)は、上記位置における野生型Lysであってよく、あるいは保存的アミノ酸置換またはArg、Gly、6−ヒドロキシ−ノルロイシン、シトルリン(Cit)、Gln、SerもしくはGluを含むが、これらに限定されない、側鎖に反応性第一級アミンを有さない天然もしくは非天然アミノ酸またはペプチド模倣体により置換されていてよく、1つの実施形態において(f)はArgでなく、
(g)は、Leuおよび例えば、N−Me−Leuなどのペプチド結合イソスターからなる群から選択され、
(h)は、Ile、tBu−Glyおよび例えば、N−Me−Ileなどのペプチド結合イソスターからなる群から選択され、
(i)は、Met、Val、Asn、ベータ−Cl−Ala、2−アミノ酪酸(Abu)および2−アミノ−イソ酪酸(Aib)からなる群から選択され、
(j)は、Leu、ノルロイシン(Nle)、ホモロイシン(Hleu)、Val、tret−ブチル−Ala(tBu−Ala)、Ser、Thr、Argおよび例えば、N−Me−Leuなどのペプチド結合イソスターからなる群から選択される。
【0044】
1つの実施形態において、CNP変異体は、6、7、8、9、10、11、13、14、16、17、19および/または20位の1つ以上における改変を含み、本明細書で開示した他の位置のいずれかにおける改変を必要に応じて有していてよい。
【0045】
CNP22またはその変異体を疎水性酸に結合させることができる、本明細書で記載する実施形態において、CNPペプチドを1つ以上の疎水性酸に結合させることができる。疎水性酸の非限定的な例としては、直鎖または分枝飽和または不飽和C
5〜C
12カルボン酸(例えば、ペンタン酸、ヘプタン酸等)および天然脂肪酸などがある。疎水性酸は、1つ以上のアミノ酸残基のN末端、C末端および/または側鎖に結合させることができる。1つの実施形態において、疎水性酸をN末端に結合させる。1つの実施形態において、疎水性酸へのCNP22またはその変異体の結合は、とりわけ、改変CNPペプチドと血清アルブミンとの非特異的相互作用を促進し、それにより、CNPペプチドのサイズを増加させ、例えば、NEPなどのプロテアーゼによる切断からそれを保護するように設計する。疎水性酸結合CNPペプチドとアルブミンの間の相互作用は、改変CNPペプチドが軟骨を通して拡散し、骨成長板の軟骨細胞に到達し、NPR−Bに結合し、活性化することができるように、強すぎないように設計する。
【0046】
さらなる実施形態において、本開示は、wtCNP22の同じ濃度(例えば、1μM)のもとで産生されるcGMPレベルの少なくとも約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、もしくは約150%の産生をin vitroまたはin vivoで刺激し、(b)
6、(c)
7および/または(d)
8位に少なくとも1つの改変アミノ酸を含み、以下の式
(x)−Gly
1−Leu
2−Ser
3−(a)
4−Gly
5−(b)
6−(c)
7−(d)
8−(e)
9−(f)
10−(g)
11−Asp
12−Arg
13−(h)
14−Gly
15−Ser
16−(i)
17−Ser
18−Gly
19−(j)
20−Gly
21−Cys
22−(z)(配列番号47)により表されるCNP変異体を提供し、式中、
(x)は、非存在であってよく、あるいは、ナトリウム利尿ポリペプチド(例えば、NPPC、CNP、ANPもしくはBNP)または本明細書で述べたような非ナトリウム利尿ポリペプチド(例えば、HSA、IgG、骨ターゲティングタンパク質等)に由来する1〜5個のアミノ酸を含むペプチド配列であってよく、
(z)は、非存在であってよく、あるいは、例えば、ビスホスホネートなどの合成骨ターゲティング化合物;例えば、ポリAspおよびポリGluなどの骨/軟骨ターゲティングに有用なアミノ酸配列;例えば、オステオポンチン、オステオカルシンおよびシアロタンパク質の融合タンパク質またはペプチド配列などの、骨ターゲティングドメインを有する骨タンパク質およびその誘導体;例えば、荷電PEGsなどの腎クリアランスを減少させる分子;ならびに本明細書で述べたようなNEP媒介性分解に対するCNPの抵抗性を増大させる分子からなる群から選択されてよく、
(a)は、上記位置における野生型Lysであってよく、あるいは保存的アミノ酸置換またはArg、Gly、6−ヒドロキシ−ノルロイシン、シトルリン(Cit)、Gln、SerもしくはGluを含むが、これらに限定されない、側鎖に反応性第一級アミンを有さない天然もしくは非天然アミノ酸またはペプチド模倣体により置換されていてよく、1つの実施形態において(a)はArgであり、
(b)は、Cysまたは脱カルボキシシステインであってよく、あるいは(b)
6−(c)
7ペプチド結合(−C(=O)−NH−)は、以下のペプチド結合イソスター
−CH
2−NH−;
アミド基が次のR基:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルのいずれかによりアルキル化されている−C(=O)−N(R)−;
−C(=O)−NH−CH
2−;
−CH
2−S−、
nが1または2である、−CH
2−S(O)
n−;
−CH
2−CH
2−;
−CH=CH−;
−C(=O)−CH
2−;
−CH(CN)−NH−;
−CH(OH)−CH
2−;
−O−C(=O)−NH−;または
−NHC(=O)NH−
のいずれか1つで置換されていてよく、
(c)は、L−Phe;D−Phe;3−アミノ−2−フェニルプロピオン酸;N−アルキル基がメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルからなる群から選択される、PheのN−アルキル化誘導体などの、Pheのペプチド結合イソスター;ならびにPhe類似体のベンゼン環の1つ以上のオルト、メタおよび/またはパラ位が、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、線状もしくは分枝C
1−6アルキル、線状もしくは分枝C
1−6アルコキシ、線状もしくは分枝ハロ−C
1−6アルキル、C
3−10シクロアルキル、C
6−14アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されている(例は、チロシン、3−クロロフェニルアラニン、2,3−クロロ−フェニルアラニン、3−クロロ−5−フルオロ−フェニルアラニン、2−クロロ−6−フルオロ−3−メチル−フェニルアラニンを含むが、これらに限定されない)か、あるいはPhe類似体のベンゼン環を他のアリール基(非限定的な例は1−および2−ナフチルアラニンなどである)またはヘテロアリール(非限定的な例はピリジルアラニン、チエニルアラニンおよびフリルアラニンなどである)で置換することができる、Phe類似体からなる群から選択され、
(d)は、Gly、tert−ブチル−Gly(tBu−Gly)、Val、Ser、ThrおよびAsnからなる群から選択され、
(e)は、Leu、Ser、Thrおよび例えば、N−Me−Leuなどのペプチド結合イソスターからなる群から選択され、
(f)は、Arg、Gly、6−ヒドロキシ−ノルロイシン、シトルリン(Cit)、Gln、SerもしくはGluを含むが、これらに限定されない、側鎖に反応性第一級アミンを有さない天然もしくは非天然アミノ酸またはペプチド模倣体であり、1つの実施形態において(f)はArgでなく、
(g)は、Leuおよび例えば、N−Me−Leuなどのペプチド結合イソスターからなる群から選択され、
(h)は、Ile、tBu−Glyおよび例えば、N−Me−Ileなどのペプチド結合イソスターからなる群から選択され、
(i)は、Met、Val、Asn、ベータ−Cl−Ala、2−アミノ酪酸(Abu)および2−アミノ−イソ酪酸(Aib)からなる群から選択され、
(j)は、Leu、ノルロイシン(Nle)、ホモロイシン(Hleu)、Val、tert−ブチル−Ala(tBu−Ala)、Ser、Thr、Argおよび例えば、N−Me−Leuなどのペプチド結合イソスターからなる群から選択される。
【0047】
さらなる実施形態において、本開示は、wtCNP22の同じ濃度(例えば、1μM)のもとで産生されるcGMPレベルの少なくとも約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、もしくは約150%の産生をin vitroまたはin vivoで刺激し、NEP分解に対する抵抗性の増大のための例えば、約2.6kDaもしくは2.8kDa〜約6もしくは7kDaの本明細書で一般的に述べた範囲によって特徴づけられる総質量を有し、以下の式
(x)−(y)−Cys
6−Phe
7−Gly
8−Leu
9−(h)
10−Leu
11−Asp
12−Arg
13−Ile
14−Gly
15−Ser
16−Met
17−Ser
18−Gly
19−Leu
20−Gly
21−Cys
22−(z)(配列番号48)により表され、
(x)は、合成もしくは天然ポリマー基、またはその組合せであり、合成ポリマー基の非限定的な例は、ポリエチレングリコール(PEG)であり、天然ポリマー基の非限定的な例は、1〜35個のアミノ酸を含み、NPPCまたは置換および/もしくは欠失を有するその変異体、ANP、BNP、または例えば、血清アルブミン、IgG、ヒスチジンリッチ糖タンパク質フィブロネクチン、フィブリノーゲン、亜鉛フィンガー含有ポリペプチド、オステオクリンまたはFGF2などの非CNP(ポリ)ペプチド由来のアミノ酸配列であり、
(y)は、非存在であってよく、あるいは、Gly
1−Leu
2−Ser
3−Lys
4−Gly
5(CNP22の1〜5位に対応する)(配列番号1)の1つ以上のアミノ酸および/または天然もしくは非天然アミノ酸を用いたそれらの位置の1つ以上における置換(例えば、K4R置換)であってよく、
(h)は、上記位置における野生型Lysであってよく、あるいは保存的アミノ酸置換、またはArg、Gly、6−ヒドロキシ−ノルロイシン、シトルリン(Cit)、Gln、SerもしくはGluを含むが、これらに限定されない、側鎖に反応性第一級アミンを有さない天然もしくは非天然アミノ酸またはペプチド模倣体により置換されていてよく、1つの実施形態において(h)はArgでなく、
(z)は、非存在であってよく、あるいは合成または天然ポリマー基、またはその組合せであってよく、合成ポリマー基の非限定的な例は、PEGであり、天然ポリマー基の非限定的な例は、ナトリウム利尿ポリペプチド(例えば、NPPC、CNP、ANPもしくはBNP)または非ナトリウム利尿ポリペプチド(例えば、血清アルブミンもしくはIgG)由来のアミノ酸配列である。
【0048】
1つの実施形態において、(x)、(y)および(z)は、ともに約10〜約40個、または約15〜約35個のアミノ酸を含む。他の実施形態において、(x)は、1〜40個のアミノ酸、または1〜20個のアミノ酸を含むアミノ酸配列である。
【0049】
wtCNP22の同じ濃度(例えば、1μM)のもとで産生されるcGMPレベルの少なくとも約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、もしくは約150%の産生をin vitroまたはin vivoで刺激し、以下の式
(y)−Cys
6−Phe
7−Gly
8−Leu
9−Lys
10−Leu
11−Asp
12−Arg
13−Ile
14−Gly
15−Ser
16−Met
17−Ser
18−Gly
19−Leu
20−Gly
21−Cys
22(配列番号138)を含むCNP変異体がさらに意図され、式中、
(y)は、Gly
1−Leu
2−Ser
3−Lys
4−Gly
5(配列番号1)から選択される1つ以上のアミノ酸および/または天然もしくは非天然アミノ酸を用いたそれらの位置の1つ以上における置換(例えば、K4R置換)を含み、0.6kDa〜約5kDaの分子量の親水性もしくは水溶性ポリマーをさらに含む。1つの実施形態において、親水性もしくは水溶性ポリマーをそのようなアミノ酸延長CNP変異体のN末端に結合させる。特定の実施形態において、親水性もしくは水溶性ポリマーは、PEG(またはPEO)である。
【0050】
他の実施形態において、本開示は、wtCNP22の同じ濃度(例えば、1μM)のもとで産生されるcGMPレベルの少なくとも約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、もしくは約150%の産生をin vitroまたはin vivoで刺激するCNP変異体を提供し、該CNP変異体は、1〜15個のアミノ酸を含むN末端および/またはC末端ペプチド延長部分を含み、親水性もしくは水溶性ポリマーに結合している。1つの実施形態において、ペプチド延長部分は、5〜10個のアミノ酸を含む。他の特定の実施形態において、ペプチド延長部分は、5個のアミノ酸を含む。他の特定の実施形態において、親水性もしくは水溶性ポリマーは、PEG(またはPEO)である。
【0051】
さらなる実施形態において、本開示のCNP変異体は、wtCNP22の同じ濃度(例えば、1μM)のもとで産生されるcGMPレベルの少なくとも約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、もしくは約150%の産生をin vitroまたはin vivoで刺激し、ナトリウム利尿ペプチド前駆体C(NPPC)由来の少なくとも15個のアミノ酸断片を含み、該断片は、同じ数のアミノ酸残基を含む野生型NPPCの配列と少なくとも70%相同である。
【0052】
他の実施形態において、CNP変異体は、NEP抵抗性の増加のために例えば、約2.6kDaもしくは2.8kDa〜約6もしくは7kDaの本明細書で一般的に述べた範囲によって特徴づけられる総質量を有し、以下の式
(x)−(b)
6−(c)
7−(d)
8−(e)
9−(f)
10−(g)
11−Asp
12−Arg
13−(h)
14−Gly
15−Ser
16−(i)
17−Ser
18−Gly
19−(j)
20−Gly
21−Cys
22−(z)(配列番号49)により表され、式中、
(x)は、非存在であって(すなわち、−NH
2基を有するN末端)、あるいはGly
1−Leu
2−Ser
3−Lys
4−Gly
5(配列番号1)からの1、2、3、4または5個のアミノ酸の配列;例えば、ポリAspまたはポリGluなどの骨/軟骨ターゲティングに有用なアミノ酸配列;例えば、オステオポンチン、オステオカルシン、シアロタンパク質などの骨タンパク質の骨ターゲティングドメイン;荷電PEG分子を含むが、これに限定されない、親水性もしくは水溶性ポリマーなどの腎クリアランスを減少させる分子;およびPEG、糖、疎水性酸、アミノ酸またはその組合せを含む部分からなる群から選択されてよく、そのような部分は、NPPCまたは例えば、BNP、ANP、血清アルブミンもしくはIgGなどの非CNP(ポリ)ペプチド由来のアミノ酸配列を含むが、これらに限定されないアミノ酸延長部分であってよく、
(z)は、非存在であってよく、あるいは例えば、ポリAspまたはポリGluなどの骨/軟骨ターゲティングに有用なアミノ酸配列;例えば、オステオポンチン、オステオカルシン、シアロタンパク質などの骨ターゲティングタンパク質由来のアミノ酸配列;および本明細書で述べたような、NPPCまたは非CNP(ポリ)ペプチド由来のアミノ酸配列からなる群から選択されてよく、
(b)は、Cysおよび例えば、Cys−CH
2−NHなどのCys6とPhe7の間のペプチド結合イソスターからなる群から選択され、
(c)は、L−Phe;D−Phe;3−アミノ−2−フェニルプロピオン酸;N−アルキル基がメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルである、PheのN−アルキル化誘導体;ならびにPhe類似体のベンゼン環の1つ以上のオルト、メタおよび/またはパラ位が、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、線状もしくは分枝C
1−6アルキル、線状もしくは分枝C
1−6アルコキシ、線状もしくは分枝ハロ−C
1−6アルキル、C
3−10シクロアルキル、C
6−14アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されている(例は、チロシン、3−クロロフェニルアラニン、2,3−クロロ−フェニルアラニン、3−クロロ−5−フルオロ−フェニルアラニン、2−クロロ−6−フルオロ−3−メチル−フェニルアラニンを含むが、これらに限定されない)か、あるいはPhe類似体のベンゼン環を他のアリール基(非限定的な例は1−および2−ナフチルアラニンなどである)またはヘテロアリール(非限定的な例はピリジルアラニン、チエニルアラニンおよびフリルアラニンなどである)で置換することができる、Phe類似体からなる群から選択され、
(d)は、Gly、tert−ブチル−Gly(tBu−Gly)、Val、Ser、ThrおよびAsnからなる群から選択され、
(e)は、Leu、Ser、Thrおよび例えば、N−Me−Leuなどのペプチド結合イソスターからなる群から選択され、
(f)は、上記位置における野生型Lysであってよく、あるいは保存的アミノ酸置換またはArg、Gly、6−ヒドロキシ−ノルロイシン、シトルリン(Cit)、Gln、SerもしくはGluを含むが、これらに限定されない、側鎖に反応性第一級アミンを有さない天然もしくは非天然アミノ酸またはペプチド模倣体により置換されていてよく、1つの実施形態において(f)はArgでなく、
(g)は、Leuおよび例えば、N−Me−Leuなどのペプチド結合イソスターからなる群から選択され、
(h)は、Ile、tBu−Glyおよび例えば、N−Me−Ileなどのペプチド結合イソスターからなる群から選択され、
(i)は、Met、Val、Asn、ベータ−Cl−Ala、2−アミノ酪酸(Abu)および2−アミノ−イソ酪酸(Aib)からなる群から選択され、
(j)は、Leu、ノルロイシン(Nle)、ホモロイシン(Hleu)、Val、tret−ブチル−Ala(tBu−Ala)、Ser、Thr、Argおよび例えば、N−Me−Leuなどのペプチド結合イソスターからなる群から選択される。
【0053】
さらなる実施形態において、CNP変異体は、NEP抵抗性の増加のために例えば、約2.6kDaもしくは2.8kDa〜約6もしくは7kDaの本明細書で一般的に述べた範囲によって特徴づけられる総質量を有し、以下の式
(x)−Gly
1−Leu
2−Ser
3−(a)
4−Gly
5−(b)
6−(c)
7−(d)
8−(e)
9−(f)
10−(g)
11−Asp
12−Arg
13−(h)
14−(i)
15−Ser
16−(j)
17−Ser
18−Gly
19−(k)
20−Gly
21−Cys
22−(z)(配列番号50)により表され、式中、
(x)および(z)は、独立に、非存在であってよく、あるいは例えば、ビスホスホネートなどの合成骨ターゲティング化合物;例えば、ポリAspまたはポリGluなどの骨/軟骨ターゲティングに有用なアミノ酸配列;例えば、オステオポンチン、オステオカルシン、シアロタンパク質等の融合タンパク質またはペプチド配列などの骨ターゲティングドメインを有する骨タンパク質由来のアミノ酸配列およびその誘導体;例えば、荷電PEG分子などの親水性または水溶性ポリマーを含むが、これらに限定されない、腎クリアランスを減少させる部分;ならびに例えば、親水性ポリマー(例えば、PEG)、糖、疎水性酸および/またはアミノ酸を含む部分などの合成骨ターゲティング化合物からなる群から選択されてよく、
(a)は、上記位置における野生型Lysであってよく、あるいは保存的アミノ酸置換またはArg、Gly、6−ヒドロキシ−ノルロイシン、シトルリン(Cit)、Gln、SerもしくはGluを含むが、これらに限定されない、側鎖に反応性第一級アミンを有さない天然もしくは非天然アミノ酸またはペプチド模倣体により置換されていてよく、1つの実施形態において(a)はArgであり、
(b)は、Cysおよび例えば、Cys−CH
2−NHなどのCys6とPhe7の間のペプチド結合イソスターからなる群から選択され、
(c)は、L−Phe;D−Phe;3−アミノ−2−フェニルプロピオン酸;N−アルキル基がメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルである、PheのN−アルキル化誘導体;ならびにPhe類似体のベンゼン環の1つ以上のオルト、メタおよび/またはパラ位が、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、線状もしくは分枝C
1−6アルキル、線状もしくは分枝C
1−6アルコキシ、線状もしくは分枝ハロ−C
1−6アルキル、C
3−10シクロアルキル、C
6−14アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されている(例は、チロシン、3−クロロフェニルアラニン、2,3−クロロ−フェニルアラニン、3−クロロ−5−フルオロ−フェニルアラニン、2−クロロ−6−フルオロ−3−メチル−フェニルアラニンを含むが、これらに限定されない)か、あるいはPhe類似体のベンゼン環を他のアリール基(非限定的な例は1−および2−ナフチルアラニンなどである)またはヘテロアリール基(非限定的な例はピリジルアラニン、チエニルアラニンおよびフリルアラニンなどである)で置換することができる、Phe類似体からなる群から選択され、
(d)は、Gly、tert−ブチル−Gly、Thr、Ser、ValおよびAsnからなる群から選択され、
(e)は、Leu、Ser、Thrおよび例えば、N−Me−Leuなどのペプチド結合イソスターからなる群から選択され、
(f)は、上記位置における野生型Lysであってよく、あるいは保存的アミノ酸置換またはArg、Gly、6−ヒドロキシ−ノルロイシン、シトルリン(Cit)、Gln、SerもしくはGluを含むが、これらに限定されない、側鎖に反応性第一級アミンを有さない天然もしくは非天然アミノ酸またはペプチド模倣体により置換されていてよく、1つの実施形態において(f)はArgでなく、
(g)は、Leu、Asnおよび例えば、N−Me−Leuなどのペプチド結合イソスターからなる群から選択され、
(h)は、Ile、tert−ブチル−Gly(tBu−Gly)、Asnおよび例えば、N−Me−Ileなどのペプチド結合イソスターからなる群から選択され、
(i)は、Gly、Arg、SerおよびAsnからなる群から選択され、
(j)は、Met、Val、Asn、ベータ−Cl−Ala、2−アミノ酪酸(Abu
)および2−アミノ−イソ酪酸(Aib)からなる群から選択され、
(k)は、Leu、ノルロイシン(Nle)、ホモロイシン(Hleu)、Val、tert−ブチル−Ala(tBu−Ala)、Arg、Thr、Serおよび例えば、N−Me−Leuなどのペプチド結合イソスターからなる群から選択される。
【0054】
さらなる実施形態において、CNP変異体は、CNP22の1〜22位のいずれかの1つ以上の位置における(1つ以上の)アミノ酸置換を有し得る。1つの実施形態において、Gly1がArgまたはGluで置換されている。他の実施形態において、Lys4がArgで置換されている。他の実施形態において、Gly5がArg、GlnまたはSerで置換されている。他の実施形態において、Gly15がSer、Asn、ArgまたはCitで置換されている。さらなる実施形態において、Gly19がSer、ArgまたはAsnで置換されている。他の実施形態において、Gly21がSer、ThrまたはArgで置換されている。
【0055】
1つの実施形態において、CNP変異体は、
【0056】
【化4】
からなる群から選択される。さらなる実施形態において、ジスルフィド結合が、Cys6、脱カルボキシCysまたはCys6位における他のスルフヒドリル含有システイン類似体と本明細書で記載するいずれかのCNP変異体のCys22との間に存在する。
【0057】
他の実施形態において、CNP変異体は、CNP22またはCNP17のN末端および/またはC末端における
【0058】
【化5】
を含むが、これらに限定されないアミノ酸延長部分を含む。
【0059】
さらなる実施形態において、CNP変異体は、CNP22の4位におけるK4R置換を有する。CNP(K4R)変異体の非限定的な例としては、
【0060】
【化6】
などがある。
【0061】
1つの実施形態において、N末端にPEG(またはPEO)部分およびアミノ酸延長部分を有するCNP変異体は、CNP22のGly1に対応する位置の直前の位置にアルギニンを含む。そのようなPEG化CNP変異体は、NEP分解に対する抵抗性の増大、血清アルブミンに対する結合の減少およびCNP機能活性の増大(例えば、cGMPシグナリングの活性化)のために設計されている。そのようなPEG化CNP変異体の非限定的な例としては、
【0062】
【化7】
などがあり、PEO24は、単分散性の1.2kDaのPEGポリマーであり、PEO12は、単分散性の0.6kDaのPEGポリマーである。1つの実施形態において、PEG(またはPEO)ポリマーは、CNP変異体のN末端に付加されている。
【0063】
さらなるCNP変異体は、
【0064】
【化8】
を含むが、これらに限定されない、フューリンプロテアーゼに対するin vivoでの抵抗性を改善するために設計された、フューリン切断部位(下線部)において変異(複数可)を有し、かつ/またはピログルタミンの生成を妨げるように設計された、グルタミンに先行するグリシン(下線部)を有するCNP37の誘導体を含むが、これらに限定されない。
【0065】
他の実施形態において、CNP変異体は、
GHHSHEQHPHGANQQGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(類似体CQ)(ヒスチジンリッチ糖タンパク質(HRGP)断片−CNP22キメラ)(配列番号76);
GAHHPHEHDTHGANQQGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(類似体CR)(HRGP断片−CNP22キメラ)(配列番号77);
GHHSHEQHPHGANPRGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(類似体CX)(HRGP断片−CNP22キ
メラ)(配列番号78);
GQPREPQVYTLPPSGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(類似体CF)(IgG1(Fc)断片−CNP22キメラ)(配列番号79);
GQHKDDNPNLPRGANPRGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(類似体CY)(ヒト血清アルブミン(HS
A)断片−CNP22キメラ)(配列番号80);
GERAFKAWAVARLSQGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(類似体CE)(HSA断片−CNP22キメラ)(配列番号81);
FGIPMDRIGRNPRGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(類似体CZ)(オステオクリン「NPR C阻害剤」断片−CNP22キメラ)(配列番号82);および
GKRTGQYKLGSKTGPGPKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(類似体DA)(FGF2「ヘパリン結合ドメイン」断片−CNP22キメラ)(配列番号83)
を含むが、これらに限定されない、CNP22およびN末端ペプチド断片を含むキメラである。
【0066】
さらなる実施形態において、CNP変異体は、
GQPREPQVYTGANQQGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(類似体CK)(IgG1(Fc)断片−CN
P22(K4R)キメラ)(配列番号84);
GVPQVSTSTGANQQGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(類似体CL)(HSA断片−CNP22(K4R)キメラ)(配列番号85)
GQPSSSSQSTGANQQGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(類似体CM)(フィブロネクチン断片−CN
P22(K4R)キメラ)(配列番号86);
GQTHSSGTQSGANQQGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(類似体CN)(フィブリノーゲン断片−CN
P22(K4R)キメラ)(配列番号87);
GSTGQWHSESGANQQGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(類似体CO)(フィブリノーゲン断片−CN
P22(K4R)キメラ)(配列番号88);およびGSSSSSSSSSGANQQGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(類似体CP)(亜鉛フィンガー断片−CNP
22(K4R)キメラ)(配列番号89)
を含むが、これらに限定されない、N末端ペプチド断片およびアルギニンがCNP22のLys4と置換されているCNP22(「CNP22(K4R)」)を含むキメラである。
【0067】
更に他の実施形態において、CNP変異体は、CNPペプチドもしくは変異体、および切断可能なペプチドもしくはタンパク質、またはペプチドタグを含む、キメラもしくは融合タンパク質である。具体例としての切断可能タンパク質もしくはペプチドは、ヒスチジン(例えば、ヘキサ−His)タグ;TAF12:ヒト転写因子TAF12;KSI:ケトステロイドイソメラーゼ;MBP:マルトース結合タンパク質;β−Gal:β−ガラクトシダーゼ;GST:グルタチオンS−トランスフェラーゼ;Trx:チオレドキシン;CBD:キチン結合ドメイン;BMPM:BMP−2変異、SUMO、CAT、TrpE、ブドウ球菌プロテインA、連鎖球菌タンパク質、デンプン結合タンパク質、エンドグルカナーゼAのセルロース結合ドメイン、エキソグルカナーゼCexのセルロース結合ドメイン、ビオチン結合ドメイン、recA、Flag、c−Myc、ポリHis、ポリArg、ポリAsp、ポリGln、ポリPhe、ポリCys、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、抗体エピトープおよびその断片を含むが、これらに限定されない。
【0068】
他の実施形態において、CNP変異体は、単量体または二量体であってよい。関連実施形態において、二量体CNP変異体の単量体は、リンカーを介して、またはリンカーなしにN末端をN末端に、リンカーを介して、またはリンカーなしにN末端をC末端に、あるいはリンカーを介して、またはリンカーなしにC末端をC末端に結合させることができる。
【0069】
IgGおよびCNP22またはその変異体を含むキメラは、とりわけ、NEP分解に対する抵抗性の増大および血清アルブミンに対する結合の減少のために設計されている。HSAの表面断片を含むCNPキメラは、とりわけ、免疫原性の減少および血清アルブミンに対する結合の減少のために設計されている。陽イオン性、ヒスチジンリッチ、非リシン、非アルギニンである配列をN末端に含むHRGP−CNP22およびHRGP−CNP22(K4R)キメラは、とりわけ、プロテアーゼに対する安定性の増大のために設計されている。オステオクリン断片を含むキメラは、プロテアーゼ(例えば、フューリン)切断により、オステオクリン断片を骨成長板において放出し、そこで該断片がクリアランス受容体NPR−Cを阻害するように計画されている。FGF2ヘパリン結合断片を含むキメラに関しては、断片に結合したヘパリンは、キメラを分解から保護し、それにより、より長い血清半減期を与えるように計画されている。フィブロネクチン、フィブリノーゲンまたは亜鉛フィンガー断片を含むキメラは、他の有利な特徴の中で特に、血清アルブミンに対する結合の減少のために設計されている。
【0070】
理論に束縛されるものではないが、wtCNP22と比較してNEP分解に対する高い抵抗性または改善された機能性(例えば、NPR−Bへの結合およびcGMPシグナリングの刺激)を有する約2.6kDaもしくは2.8kDa〜約6もしくは7kDaの分子量のCNP変異体は、血清アルブミンなどの血漿タンパク質に強固に結合しなければ、より有効である可能性がある。血漿タンパク質(例えば、血清アルブミン)に強固に結合しないCNP変異体は、軟骨を通して拡散し、骨成長板の軟骨細胞に到達し、NPR−Bに結合し、cGMPシグナリングのためにそれを活性化するのにより有効である可能性がある。1つの実施形態において、血漿タンパク質(例えば、血清アルブミン)に対する結合の減少のために設計されたCNP変異体は、CNP22またはその変異体およびIgGのペプチド断片を含むキメラである。他の実施形態において、血漿タンパク質に対する結合の減少のために設計されたCNP変異体は、CNP22またはCNP22(K4R)およびポリペプチド(例えば、IgG、HSA、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、亜鉛フィンガー含有ポリペプチド等)の断片を含むキメラである。他の実施形態において、血漿タンパク質に対する結合の減少のために設計されたCNP変異体は、親水性または水溶性ポリマーに結合したCNP22またはその変異体を含む。1つの実施形態において、親水性または水溶性ポリマーは、PEG(またはPEO)である。他の実施形態において、親水性または水溶性ポリマー(例えば、PEG)は、例えば、カルボキシル、硫酸もしくはリン酸基、またはその組合せなどの生理的条件下でポリマーに負電荷を与える1つ以上の官能基により官能基化されている。
【0071】
本明細書で開示する実施形態のいずれかにおいて、CNP変異体は、野生型CNP22と実質的に同じまたはそれより良好な生物学的活性を有する可能性がある。例えば、CNP変異体は、例えば、cGMPの産生を刺激するためのNPR−B(GC−B)との相互作用に関して、野生型CNP22の活性の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%またはそれ以上を保持する可能性があり、あるいは、CNP22より大きい活性を有する可能性がある。あるいは、またはさらに、CNP変異体は、軟骨細胞増殖、軟骨細胞分化、マイトジェン活性化プロテイン(MAP)キナーゼ/MEK(Raf−1)キナーゼシグナリング経路の阻害、および軟骨内骨化の促進を含むが、これらに限定されない、軟骨内骨成長および軟骨細胞活性の調節に関して、野生型CNP22の活性の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%またはそれ以上を保持する可能性があり、あるいは、CNP22より大きい活性を有する可能性がある。本明細書で開示する実施形態のいずれかにおいて、CNP変異体は、野生型CNP22のアミノ酸6〜22または1〜22と少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%またはそれ以上同一または相同であるアミノ酸配列を含む可能性がある。
【0072】
さらなる実施形態において、本発明は、NPR−Bに結合し、それを活性化する能力を保持すると同時に、NPR−Cクリアランス受容体に対するより低い親和性を有するCNP22の変異体を提供する。本発明は、詳細な説明で記載するようなNPR−B/CNP複合体の相同性に基づく構造モデルから生成させた、または生成させることができる変異体を含む。他の実施形態において、CNP変異体は、NPR−Cと比べてNPR−Bに対する結合に関するそれらの特異性を増大させる可能性がある、立体配座の柔軟性を減少させるための1、5、8、15、19および21位における1つ以上のGly部位における置換を有する。NPR−Cに対する潜在的に低い親和性を有するCNPの変異体は、次の置換の1つ以上を有するものを含むが、それらに限定されない:G1R、G1E、G5R、G5Q、G5S、F7Y、G8T、G8S、G8V、G8N、L9S、L9T、K10Cit、K10Q、K10S、I14N、G15R、G15S、G15N、G15Cit、S16Q、M17V、M17N、G19S、G19R、G19N、L20V、L20R、L20T、L20S、G21S、G21TおよびG21R。
【0073】
他の実施形態において、CNP変異体は、5、7、8、9、10、14、15、16、17、19、20および21位の1つ以上における改変および/または置換を有し、また本明細書で開示した他の位置のいずれかにおける改変および/または置換を必要に応じて有していてよい。さらなる実施形態において、CNP変異体は、例えば、骨/軟骨ターゲティングを促進し、腎クリアランスを減少させ、かつ/またはNEP分解に対する抵抗性を増大させるためにNおよび/またはC末端に(1つ以上の)結合部分または(1つ以上の)延長部分を必要に応じて有していてよい。そのような(1つ以上の)結合部分または(1つ以上の)延長部分は、例えば、ポリAsp、ポリGlu、骨もしくは軟骨ターゲティングペプチド、オステオポンチン、オステオカルシン、シアロタンパク質、PEGs、糖、疎水性酸、NPPCもしくは非CNP(ポリ)ペプチド、またはその組合せから形成される、または由来する分子または配列を含んでいてよい。
【0074】
さらに他の実施形態において、CNP変異体は、標準的な固相ペプチド合成法により調製し、適切な場合、天然もしくは非天然アミノ酸(複数可)またはペプチド模倣体(複数可)で置換し、かつ/または付加する。他の実施形態において、CNP変異体は、例えば、タグまたはキャリアタンパク質を含む融合タンパク質を経る組換え合成法により作製する。この場合、タグまたはキャリアタンパク質を用いることにより、例えば、融合タンパク質の検出、単離および/または精製が促進され、融合タンパク質からのタグまたはキャリアタンパク質の選択的な化学的またはタンパク質分解切断により、標的CNP変異体が得られる。さらなる実施形態において、CNP変異体のPEG化は、化学もしくは生物学的合成の後に、またはその一部で起こり、該結合反応は、NHSベースのもしくはアルデヒドベースの化学反応、または当技術分野で公知の他の化学反応により行わせる。他の実施形態において、CNP変異体は、ジスルフィド結合を含む。関連実施形態において、ジスルフィド結合は、環状ペプチドを形成する。特定の実施形態において、ジスルフィド結合は、CNP22の6および22位に対応する位置におけるシステイン残基の間に形成される。
【0075】
CNP変異体を、例えば、ヘプタン酸、ペンタン酸または脂肪酸などの疎水性ポリマーまたは非ポリマー部分に結合させることができることがさらに意図される。疎水性部分は、リシン、セリン、トレオニンを含むが、これらに限定されないアミノ酸残基の側鎖に結合させることができ、あるいは、CNP変異体のN末端および/またはC末端に結合させることができる。
【0076】
1つの実施形態において、本明細書で記載するCNP変異体は、約8〜約10.5または約8.5〜約10の範囲のpIを有する。
【0077】
さらなる実施形態において、本開示は、CNP変異体を、他の生物学的に活性な作用物質を必要に応じて、および薬学的に許容される賦形剤、キャリアまたは希釈剤を必要に応じて含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、該組成物は、非経口注射に適する滅菌の医薬組成物である。いくつかの実施形態において、該組成物は、例えば、少なくとも約90%または95%純粋な、実質的に純粋なCNP変異体を含む。いくつかの実施形態において、該組成物は、他のヒトタンパク質、ブタタンパク質またはCNP53もしくはその断片(所望のCNP変異体以外)などの約5%、4%、3%、2%、1%または0.5%未満の夾雑物を含む。特定の実施形態において、該滅菌組成物は、本明細書で開示するCNP反応性の状態または障害のいずれかを治療または予防のために被験体に投与する。
【0078】
本開示のCNP変異体は、有利なことにCNP活性を保持し、血清半減期の延長を示す。CNP活性の保持は、例えば、所望のin vivoでの生物学的作用の保持、または同じ濃度(例えば、1uMのCNPペプチドまたはED80を超える)のもとでCNP22のcGMP刺激活性の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%もしくは少なくとも約100%の保持として示すことができる。いくつかの実施形態において、CNP変異体は、CNP22と比較して血清半減期の少なくとも約1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍または40倍の延長を示す。
【0079】
関連実施形態において、本明細書で記載するCNP変異体は、野生型CNP22と比較して高いNEP抵抗性および長い半減期を示す。1つの実施形態において、CNP変異体の半減期は、野生型CNP22と比較して約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%長い。
【0080】
特定の実施形態において、本明細書で記載するCNP変異体は、in vitroでのcGMP産生を増加させ、in vivoでのcGMP産生を増加させ、軟骨もしくは骨の形成もしくは成長に関連する1つ以上のバイオマーカーのレベルをin vivoで増加させ、in vitroでのNEP切断に対する抵抗性を増加させ、in vivoでの血漿もしくは血清半減期を延長させ、in vivoでの生物学的利用能を増加させ、またはin vivoでの特定の骨の長さを増加させ、あるいは野生型CNP22と比較して約1.5倍、約2倍、約2.5倍、約3倍、約3.5倍、約4倍、約4.5倍、もしくは約5倍、またはそれを超えるそのような増加の組合せをもたらす。
【0081】
他の実施形態において、本開示は、治療上有効な量のCNP変異体または前述のものを含む組成物をそれを必要とする被験体に投与することを含む、CNPに反応性を示す状態または障害を治療する方法を提供する。1つの実施形態において、CNPに反応性を示す障害は、骨格異形成症および線維芽細胞成長因子受容体3(FGFR−3)変異に伴う障害などの遺伝的骨格奇形を含むが、これらに限定されない骨成長の障害である。特定の実施形態において、(1つ以上の)FGFR−3変異に伴う障害は、軟骨無形成症である。他の実施形態において、CNPに反応性を示す障害は、血管平滑筋細胞および組織に関連する障害である。さらなる実施形態において、CNP変異体は、骨(例えば、肢骨)の成長板のサイズを増加させるのに有用である。他の実施形態において、CNP変異体は、骨を延長または長骨の成長を増大させるのに有用である。他の実施形態において、CNP変異体は、軟骨細胞のマトリックス産生、増殖および分化を増大させるのに有用である。
【0082】
特定の実施形態において、本明細書で記載するCNP変異体は、約5もしくは10nmol/kgから約300nmol/kgまで、または約20nmol/kgから約200nmol/kgまでの範囲の用量で投与する。いくつかの実施形態において、CNP変異体は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、350、400、450、500、750、1000、1250、1500、1750もしくは2000nmol/kgの用量または担当医が適切と考える他の用量で投与する。他の実施形態において、CNP変異体は、約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750もしくは800ug/kgもしくは約1mg/kg、1.25mg/kg、1.5mg/kg、2mg/kgの用量または担当医が適切と考える他の用量で投与する。本明細書で記載するCNP変異体の用量は、毎日、週2または3回、週1回、2週間ごと、3週間ごと、月1回などを含む、本明細書で記載する投薬頻度/投与の頻度に従って投与することができる。
【0083】
他の実施形態において、CNP変異体は、単一治療または複数用量で投与する。複数用量は、毎日、または治療過程にわたって複数用量で投与することができる。特定の実施形態において、CNP変異体は、単一用量でまたは複数用量で、毎日、2日ごと、3日ごと、週2回、週3回、週1回、2週間ごと、3週間ごと、月1回、6週間ごと、2ヵ月ごと、3ヵ月ごともしくは担当医が適切と考えるように投与することが意図される。
【0084】
特定の実施形態において、CNP変異体の投与は、成長(例えば、軟骨形成)の期間と続く回復期間(例えば、骨形成)を考慮に入れて調節する。例えば、CNP変異体は、一定の期間にわたり毎日または1週当たり複数回、皮下、静脈内に、または他の方法により投与し、続いて無治療の期間をおくことができ、次にこのサイクルを繰り返す。いくつかの実施形態において、治療の最初の期間(例えば、毎日または1週当たり複数回のCNP変異体の投与)は、3日間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間または12週間である。関連実施形態において、無治療の期間は、3日間、1週間、2週間、3週間または4週間続く。特定の実施形態において、CNP変異体の投薬計画は、3日間毎日の後3日間無投与;または1週間にわたり毎日もしくは1週間にわたり1週当たり複数回の後3日間もしくは1週間無投与;または2週間にわたり毎日もしくは2週間にわたり1週当たり複数回の後1もしくは2週間無投与;または3週間にわたり毎日もしくは3週間にわたり1週当たり複数回の後1、2もしくは3週間無投与;または4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12週間にわたり毎日もしくは4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12週間にわたり1週当たり複数回の後1、2、3もしくは4週間無投与である。
【0085】
さらなる実施形態において、本開示は、CNPペプチドもしくは変異体を被験体に投与するステップと、被験体における(例えば、被験体からの生物学的試料中の)少なくとも1つの骨または軟骨関連バイオマーカーのレベルをモニターするステップとを含み、骨または軟骨関連バイオマーカーのレベルの増加または低下が被験体におけるCNPペプチドもしくは変異体の治療効果を示す、CNP反応性の状態または障害を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態において、バイオマーカーのレベルが骨もしくは軟骨形成または成長に伴って増加する場合、当バイオマーカーのレベルの増加は、被験体におけるCNPペプチドもしくは変異体の治療効果を示す。他の実施形態において、バイオマーカーのレベルが骨もしくは軟骨形成または成長に伴って低下する場合、当バイオマーカーのレベルの低下は、被験体におけるCNPペプチドもしくは変異体の治療効果を示す。
【0086】
さらなる実施形態において、治療方法は、CNPペプチドもしくは変異体の投与の量(もしくは用量)または頻度を調節するステップをさらに含み、
(i)少なくとも1つの骨または軟骨関連バイオマーカーのレベルが標的レベルを下回っており、該バイオマーカーのレベルが骨もしくは軟骨形成または成長に伴って増加する場合、CNPペプチドもしくは変異体の投与の量(もしくは用量)または頻度を増加させる;あるいは
(ii)少なくとも1つの骨または軟骨関連バイオマーカーのレベルが標的レベルを上回っており、該バイオマーカーのレベルが骨もしくは軟骨形成または成長に伴って増加する場合、CNPペプチドもしくは変異体の投与の量(もしくは用量)または頻度を減少させる;あるいは
(iii)少なくとも1つの骨または軟骨関連バイオマーカーのレベルが標的レベルを上回っており、該バイオマーカーのレベルが骨もしくは軟骨形成または成長に伴って低下する場合、CNPペプチドもしくは変異体の投与の量(もしくは用量)または頻度を増加させる;あるいは
(iv)少なくとも1つの骨または軟骨関連バイオマーカーのレベルが標的レベルを下回っており、該バイオマーカーのレベルが骨もしくは軟骨形成または成長に伴って低下する場合、CNPペプチドもしくは変異体の投与の量(もしくは用量)または頻度を減少させる。
バイオマーカーの標的レベルは、被験体における治療効果および/または障害もしくは状態の症状を軽減もしくは改善する有益な効果に関連するバイオマーカーのレベルもしくはレベルの範囲を指すすることを意図する。特定の実施形態において、標的レベルを上回るまたは下回るバイオマーカーのレベルは、被験体に対して有害であり得る。
【0087】
他の実施形態において、本開示は、骨もしくは軟骨形成または成長に対するCNPペプチドもしくは変異体の投与の効果を評価する方法を意図する。1つの実施形態において、該方法は、in vivoでの骨および軟骨形成および成長に対するCNPペプチドもしくは変異体の効果を評価するためにCNPペプチドもしくは変異体を投与した被験体における少なくとも1つの骨または軟骨関連バイオマーカーのレベルをアッセイまたは測定することを提供する。関連実施形態において、少なくとも1つの骨または軟骨関連バイオマーカーのレベルの増加は、CNPペプチドもしくは変異体の投与が、骨もしくは軟骨形成または成長に正の効果を有し、骨格異形成症およびCNP活性の低下に関連する他の骨または軟骨関連疾患または障害の治療に有用であることを示し得る。具体例としての骨または軟骨関連バイオマーカーは、CNP(例えば、内在レベルのCNP−22またはCNP−53)、cGMP、オステオカルシン、増殖細胞核抗原(PCNA)、I型プロコラーゲンのプロペプチド(PINP)およびその断片、I型コラーゲンおよびその断片、II型コラーゲンのプロペプチドおよびその断片、II型コラーゲンおよびその断片、アグリカンコンドロイチン硫酸、ならびにアルカリホスファターゼを含むが、これらに限定されない。
【0088】
さらなる実施形態において、本開示は、CNPペプチドもしくは変異体を投与した被験体からの生物学的試料中の骨または軟骨関連バイオマーカーのレベルをアッセイまたは測定するステップを含む、被験体における少なくとも1つの骨または軟骨関連バイオマーカーのレベルに対するCNPペプチドもしくは変異体の効果を評価する方法を意図する。いくつかの実施形態において、該方法は、骨または軟骨関連バイオマーカーのレベルをアッセイまたは測定する前にCNPペプチドもしくは変異体を被験体に投与するステップをさらに含む。
【0089】
特定の実施形態において、該少なくとも1つの骨または軟骨関連バイオマーカーは、CNP(例えば、内在レベルのCNP−22またはCNP−53)、cGMP、II型コラーゲンのプロペプチドおよびその断片、II型コラーゲンおよびその断片、オステオカルシン、増殖細胞核抗原(PCNA)、I型プロコラーゲンのプロペプチド(PINP)およびその断片、I型コラーゲンおよびその断片、アグリカンコンドロイチン硫酸、ならびにアルカリホスファターゼからなる群から選択される。
【0090】
骨または軟骨関連バイオマーカーに関連する方法(例えば、治療、診断およびアッセイ方法)のいくつかの実施形態において、CNPペプチドもしくは変異体は、CNP−22、CNP−53または本明細書で記載するCNPペプチドもしくは変異体のいずれかである。そのような方法の特定の実施形態において、CNPペプチドもしくは変異体は、CNP−22でもCNP−53でもない。
【0091】
他の実施形態において、本開示は、切断可能なペプチドもしくはタンパク質をコードするポリヌクレオチドに連結された、CNP変異体ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を、該ポリヌクレオチドによりコードされる融合ポリペプチドの発現をもたらす条件下で培地中で培養するステップを含む、CNP変異体の組換え産生の方法を提供する。関連実施形態において、宿主細胞を、切断可能なペプチドもしくはタンパク質をコードするポリヌクレオチドに連結された、CNP変異体ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターで形質転換する。
【0092】
1つの実施形態において、該ベクターは、プラスミドである。さらに他の実施形態において、プラスミドは、pET−21a、pJexpress、pET−31b、pET−15b、pET−32a、pET−41a、pMAL、pQE−30、pET−SUMO、pET−22bおよびpTYB11からなる群から選択される。
【0093】
特定の実施形態において、切断可能なペプチドもしくはタンパク質は、ヒスチジンタグ、ヒト転写因子TAF12、ケトステロイドイソメラーゼ、マルトース結合タンパク質、β−ガラクトシダーゼ、グルタチオンS−トランスフェラーゼ、チオレドキシン、キチン結合ドメインおよびBMP−2変異またはその断片からなる群から選択されるポリペプチドを含む。
【0094】
関連実施形態において、切断可能なペプチドもしくはタンパク質は、切断剤により切断する。いくつかの実施形態において、切断剤は、ギ酸、臭化シアン(CNBr)、ヒドロキシルアミン、自己切断型タンパク質(protein self cleavage)、Xa因子、エンテロキナーゼ、ProTEVおよびSUMOプロテアーゼからなる群から選択される。さらなる具体例としての切断剤として、パラジウム、クロストリパイン、トロンビン、キモトリプシン、トリプシン、トリプシン様プロテアーゼ、カルボキシペプチダーゼ、エンテロペプチダーゼ、Kex2プロテアーゼ、OmpTプロテアーゼ、ズブチリシン、V8プロテアーゼ、HIVプロテアーゼ、ライノウイルスプロテアーゼ、フリリシンプロテアーゼ、IgAプロテアーゼ、ヒトPaceプロテアーゼ、コラゲナーゼ、Niaプロテアーゼ、ポリオウイルス2Aproプロテアーゼ、ポリオウイルス3Cプロテアーゼ、ゲネナーゼ、フューリン、エラスターゼ、プロテイナーゼK、ペプシン、レンニン(キモシン)、微生物アスパラギン酸プロテアーゼ、パパイン、カルパイン、キモパパイン、フィシン(フィカイン)、ブロメライン(ブロメラーゼ)、カテスピシンB、カスパーゼ、サーモライシン、エンドプロテアーゼArg−C、エンドプロテアーゼGlu−C、エンドプロテアーゼLys−C、カリクレインおよびプラスミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
特定の実施形態において、融合ポリペプチドは、可溶性タンパク質として、または封入体として発現する。関連実施形態において、本開示は、発現ポリペプチドを宿主細胞または培地から単離することを意図する。さらなる実施形態において、本明細書で記載するように、単離した融合ポリペプチドを切断剤と接触させる。
【0096】
1つの実施形態において、本開示は、発現ベクターを含む細菌宿主細胞を提供し、前記ベクターは、切断可能なペプチドもしくはタンパク質をコードするポリヌクレオチドに連結された、CNP変異体をコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、切断可能なペプチドもしくはタンパク質は、ヒスチジンタグ、ヒト転写因子TAF12、ケトステロイドイソメラーゼ、マルトース結合タンパク質、β−ガラクトシダーゼ、グルタチオンS−トランスフェラーゼ、チオレドキシン、キチン結合ドメインおよびBMP−2変異またはその断片からなる群から選択される。
【0097】
他の実施形態において、宿主細胞は、E.coliなどの細菌である。関連実施形態において、E.coli細胞は、BL21(DE3)、BL21(DE3)pLysS、BL21(DE3)pGro7、ArcticExpress(DE3)、C41[C41(DE3)とも呼ばれている]、C43[C43(DE3)とも呼ばれている]、OrigamiB(DE3)、OrigamiB(DE3)pLysS、KRXおよびTuner(DE3)からなる群から選択される。またさらなる実施形態において、宿主細胞は、上記のようなベクターを含む。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、細胞培養の前に該ベクターで形質転換する。
【0098】
特定の実施形態において、宿主細胞は、ポリヌクレオチドによりコードされる融合ポリペプチドの発現に適する条件下で培地中で培養することが意図される。1つの実施形態において、融合ポリペプチドは、可溶性タンパク質として、または封入体として発現する。関連実施形態において、発現した融合ポリペプチドを宿主細胞または培地から単離する。また他の実施形態において、本明細書で記載するように、単離した融合ポリペプチドを切断剤と接触させる。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
からなる群から選択されるC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)の変異体。
(項目2)
CNP変異体および薬学的に許容される賦形剤、キャリアまたは希釈剤を含む医薬組成物。
(項目3)
凍結乾燥製剤である、項目2に記載の組成物。
(項目4)
前記凍結乾燥製剤を、約4から約6までのpHを有する緩衝液を含む製剤から調製する、項目3に記載の組成物。
(項目5)
前記緩衝液がクエン酸/クエン酸塩緩衝液または酢酸/酢酸塩緩衝液である、項目4に記載の組成物。
(項目6)
前記凍結乾燥製剤を、等張性調節剤および/または増量剤をさらに含む製剤から調製する、項目4または5に記載の組成物。
(項目7)
前記等張性調節剤および/または前記増量剤がマンニトール、スクロース、ソルビトールおよびそれらの組合せからなる群から選択される、項目6に記載の組成物。
(項目8)
前記凍結乾燥製剤を、抗酸化剤をさらに含む製剤から調製する、項目4から7のいずれか一項に記載の組成物。
(項目9)
前記抗酸化剤がメチオニン、アスコルビン酸、アスコルビン酸の塩の形態、チオグリセロールおよびそれらの組合せからなる群から選択される、項目8に記載の組成物。
(項目10)
前記CNP変異体が項目1に記載のCNP変異体である、項目2から9のいずれか一項に記載の組成物。
(項目11)
骨関節症、低リン酸血症性くる病、軟骨無形成症、低軟骨形成症、低身長、低身長症、骨軟骨異形成症、致死性異形成症、骨形成不全症、軟骨無発生症、点状軟骨異形成症、ホモ接合性軟骨無形成症、点状軟骨異形成症、弯曲肢異形成症、先天性致死性低リン酸血症、周生期致死型骨形成不全症、短肋骨多指症候群、低軟骨形成症、近節短縮型点状軟骨異形成症、ジャンセン型骨幹端異形成症、先天性脊椎骨端異形成症、骨形成不全症、捻曲性骨異形成症、先天性大腿骨短縮症、ランガー型中間肢異形成症、ニーバーゲルト型中間肢異形成症、ロビノウ症候群、ラインハルド症候群、先端異骨症、末梢性骨形成不全症、クニースト異形成症、線維軟骨形成、ロバーツ症候群、遠位中間肢異形成症、小肢症、モルキオ症候群、クニースト症候群、変容性骨異形成症および脊椎骨端骨幹端異形成症からなる群から選択される骨関連障害または骨格異形成症の治療で使用するための項目1に記載のCNP変異体または項目2から10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目12)
前記骨関連障害または骨格異形成症が軟骨無形成症である、項目11に記載のCNP変異体または医薬組成物。
(項目13)
高血圧、再狭窄、アテローム動脈硬化症、急性非代償性心不全、鬱血性心不全、心臓浮腫、腎性浮腫、肝性浮腫、急性腎不全および慢性腎不全からなる群から選択される血管平滑筋障害の治療で使用するための項目1に記載のCNP変異体または項目2から10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目14)
切断可能なペプチドもしくはタンパク質をコードする第2のポリヌクレオチドに連結されたCNP変異体ポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチドを含む宿主細胞を、該第1および該第2のポリヌクレオチドによりコードされる融合ポリペプチドの発現をもたらす条件下で培地で培養するステップを含み、該融合ポリペプチドが該切断可能なペプチドもしくはタンパク質に直接的に連結された、またはリンカーを介して該切断可能なペプチドもしくはタンパク質に間接的に連結された該CNP変異体ポリペプチドを含む、CNP変異体の組換え産生の方法。
(項目15)
前記宿主細胞が、前記切断可能なペプチドもしくはタンパク質をコードする前記第2のポリヌクレオチドに連結された前記CNP変異体ポリペプチドをコードする前記第1のポリヌクレオチドを含む発現ベクターにより形質転換されている、項目14に記載の方法。
(項目16)
イソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)誘導ベクターを用いて、前記融合ポリペプチドをコードする前記第1および前記第2のポリヌクレオチドの発現を増大させる、項目14または15に記載の方法。
(項目17)
前記宿主細胞を約0.4mM〜約1.5mM IPTGの存在下で約20℃〜約40℃の温度で一定の期間培養する、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記ベクターがプラスミドである、項目15から17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記プラスミドがpJexpress、pJexpress401、pJexpress404、pET−15b、pET−21a、pET−22b、pET−31b、pET−32a、pET−41a、pMAL、pMAL−c2X、pQE−30、pET−SUMOおよびpTYB11からなる群から選択される、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記切断可能なペプチドもしくはタンパク質がヒスチジンタグ、ヒト転写因子TAF12、TAF12断片、TAF12ヒストン折りたたみドメイン、TAF12の突然変異体およびその断片、TAF12(C/A)、TAF12(D/E)、TAF12(4D/4E)、TAF12(6D/6E)、TAF12(10D/10E)、TAF12(C/A&D/E)、TAF12(C/A&4D/4E)、TAF12(C/A&6D/6E)、TAF12(C/A&10D/10E)、ケトステロイドイソメラーゼ、マルトース結合タンパク質、β−ガラクトシダーゼ、グルタチオンS−トランスフェラーゼ、チオレドキシン、キチン結合ドメイン、BMP−2、BMP−2突然変異体、BMP−2(C/A)ならびにそれらの突然変異体および断片からなる群から選択される、項目14から19のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
前記切断可能なペプチドもしくはタンパク質がヒト転写因子TAF12、TAF12断片、TAF12ヒストン折りたたみドメイン、TAF12の突然変異体およびその断片、TAF12(C/A)、TAF12(D/E)、TAF12(4D/4E)、TAF12(6D/6E)、TAF12(10D/10E)、TAF12(C/A&D/E)、TAF12(C/A&4D/4E)、TAF12(C/A&6D/6E)およびTAF12(C/A&10D/10E)からなる群から選択される、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記切断可能なペプチドもしくはタンパク質が切断剤により切断される、項目14から21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記切断剤がギ酸、臭化シアン(CNBr)、ヒドロキシルアミン、自己切断タンパク質、Xa因子、エンテロキナーゼ、ProTEVおよびSUMOプロテアーゼからなる群から選択される、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記宿主細胞が細菌宿主細胞である、項目14から23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記細菌宿主細胞がE.coliである、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記E.coli細胞がBL21、BL21(DE3)、BL21(DE3)pLysS、BL21(DE3)pGro7、ArcticExpress(DE3)、C41(DE3)、C43(DE3)、OrigamiB(DE3)、OrigamiB(DE3)pLysS、KRXおよびTuner(DE3)からなる群から選択される、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記E.coli細胞がBL21(DE3)である、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記融合ポリペプチドを可溶性タンパク質または封入体として発現させる、項目14から27のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
前記発現した融合ポリペプチドを前記宿主細胞または培地から単離するステップをさらに含む、項目14から28のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
前記単離した融合ポリペプチドを、ギ酸、臭化シアン(CNBr)、ヒドロキシルアミン、自己切断タンパク質、Xa因子、エンテロキナーゼ、ProTEVおよびSUMOプロテアーゼからなる群から選択される切断剤と接触させるステップをさらに含む、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記切断剤がギ酸である、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記単離した融合ポリペプチドを切断剤と接触させる前記ステップを約1%〜約10%ギ酸の存在下で約50℃〜約70℃の温度で行う、項目30または31に記載の方法。
(項目33)
ギ酸の存在下で接触させる前記ステップを約5時間から約36時間の期間にわたり行う、項目32に記載の方法。
(項目34)
【化28】
【化29】
【化30】
からなる群から選択されるCNP変異体を産生させる、項目14から33のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
CNP−22またはCNP−53を産生しない、項目14から34のいずれか一項に記載の方法。
(項目36)
【化31】
【化32】
からなる群から選択される、項目14から33のいずれか一項に記載の方法により産生されるCNP変異体。
(項目37)
切断可能なペプチドもしくはタンパク質をコードする第2のポリヌクレオチドに連結されたCNP変異体ポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む宿主細胞。
(項目38)
前記切断可能なペプチドもしくはタンパク質がヒスチジンタグ、ヒト転写因子TAF12、TAF12断片、TAF12ヒストン折りたたみドメイン、TAF12の突然変異体およびその断片、TAF12(C/A)、TAF12(D/E)、TAF12(4D/4E)、TAF12(6D/6E)、TAF12(10D/10E)、TAF12(C/A&D/E)、TAF12(C/A&4D/4E)、TAF12(C/A&6D/6E)、TAF12(C/A&10D/10E)、ケトステロイドイソメラーゼ、マルトース結合タンパク質、β−ガラクトシダーゼ、グルタチオンS−トランスフェラーゼ、チオレドキシン、キチン結合ドメイン、BMP−2、BMP−2突然変異体、BMP−2(C/A)ならびにそれらの突然変異体および断片からなる群から選択される、項目37に記載の宿主細胞。
(項目39)
前記宿主細胞が細菌宿主細胞である、項目37または38に記載の宿主細胞。
(項目40)
前記細菌宿主細胞がE.coliである、項目39に記載の宿主細胞。
(項目41)
前記E.coli細胞がBL21、BL21(DE3)、BL21(DE3)pLysS、BL21(DE3)pGro7、ArcticExpress(DE3)、C41(DE3)、C43(DE3)、OrigamiB(DE3)、OrigamiB(DE3)pLysS、KRXおよびTuner(DE3)からなる群から選択される、項目40に記載の宿主細胞。
(項目42)
前記E.coli細胞がBL21(DE3)である、項目41に記載の宿主細胞。
(項目43)
前記ベクターがプラスミドである、項目37から42のいずれか一項に記載の宿主細胞。
(項目44)
前記プラスミドがpJexpress、pJexpress401、pJexpress404、pET−15b、pET−21a、pET−22b、pET−31b、pET−32a、pET−41a、pMAL、pMAL−c2X、pQE−30、pET−SUMOおよびpTYB11からなる群から選択される、項目43に記載の宿主細胞。
(項目45)
細胞培養前に前記ベクターで形質転換される、項目37から44のいずれか一項に記載の宿主細胞。
(項目46)
前記切断可能なペプチドもしくはタンパク質に直接的に連結された、またはリンカーを介して該切断可能なペプチドもしくはタンパク質に間接的に連結された前記CNP変異体ポリペプチドを含み、前記第1および前記第2のポリヌクレオチドによりコードされる融合ポリペプチドの発現に適する条件下で培地中で培養される、項目37から45のいずれか一項に記載の宿主細胞。
(項目47)
前記融合ポリペプチドが可溶性タンパク質または封入体として発現される、項目46に記載の宿主細胞。
(項目48)
前記宿主細胞または培地から前記発現した融合ポリペプチドが単離される、項目46または47に記載の宿主細胞。
(項目49)
前記単離した融合ポリペプチドが、ギ酸、臭化シアン(CNBr)、ヒドロキシルアミン、自己切断タンパク質、Xa因子、エンテロキナーゼ、ProTEVおよびSUMOプロテアーゼからなる群から選択される切断剤と接触される、項目48に記載の宿主細胞。
(項目50)
前記CNP変異体ポリペプチドがCNP−22でもCNP−53でもない、項目37から49のいずれか一項に記載の宿主細胞。
(項目51)
CNPペプチドまたは変異体が投与されている被験体からの生物学的試料中の少なくとも1つの骨関連バイオマーカーまたは軟骨関連バイオマーカーのレベルをアッセイするステップを含む、被験体における少なくとも1つの骨関連バイオマーカーまたは軟骨関連バイオマーカーのレベルに対するCNPペプチドまたは変異体の効果を評価する方法。
(項目52)
前記少なくとも1つの骨関連バイオマーカーまたは軟骨関連バイオマーカーのレベルをアッセイする前に前記CNPペプチドまたは変異体を前記被験体に投与するステップをさらに含む、項目51に記載の方法。
(項目53)
CNP反応性の状態もしくは障害を治療する方法であって、
CNPペプチドまたは変異体を被験体に投与するステップと、
該被験体における少なくとも1つの骨関連バイオマーカーまたは軟骨関連バイオマーカーのレベルをモニターするステップとを含み、
該少なくとも1つの骨関連バイオマーカーまたは軟骨関連バイオマーカーのレベルの増加が該被験体または該状態もしくは障害に対する該CNPペプチドまたは変異体の治療効果を示す、方法。
(項目54)
前記CNPペプチドまたは変異体の投与の量または頻度を調節するステップをさらに含み、
i)前記少なくとも1つの骨関連バイオマーカーまたは軟骨関連バイオマーカーのレベルが標的レベルを下回っている場合、前記CNPペプチドまたは変異体の投与の量または頻度を増加させ、
ii)該少なくとも1つの骨関連バイオマーカーまたは軟骨関連バイオマーカーのレベルが標的レベルを上回っている場合、該CNPペプチドまたは変異体の投与の量または頻度を減少させる、
項目53に記載の方法。
(項目55)
前記少なくとも1つの骨関連バイオマーカーまたは軟骨関連バイオマーカーがCNP、cGMP、II型コラーゲンのプロペプチドおよびその断片、II型コラーゲンおよびその断片、オステオカルシン、増殖細胞核抗原(PCNA)、I型プロコラーゲンのプロペプチド(PINP)およびその断片、I型コラーゲンおよびその断片、アグリカンコンドロイチン硫酸ならびにアルカリホスファターゼからなる群から選択される、項目51から54のいずれか一項に記載の方法。
(項目56)
前記CNPペプチドまたは変異体が
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
からなる群から選択される、項目51から55のいずれか一項に記載の方法。
(項目57)
前記CNPペプチドまたは変異体がCNP−22でもCNP−53でもない、項目56に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0100】
本開示は、NEPおよび/またはNPR−Cに対する低い親和性、NEPによる切断および/またはNPR−Cによるクリアランスに対する低い感受性を有するCNPの新規な変異体、そのようなCNP変異体を含む医薬組成物、ならびに軟骨無形成症などの骨関連障害および血管平滑筋細胞および組織に関連する障害を含むが、これらに限定されない、CNPに反応性を示す障害を治療するためにそのようなCNP変異体を使用する方法に関する。
【0101】
A.定義
特に断らない限り、本明細書および特許請求の範囲を含む本願書で用いる以下の用語は、下に示す定義を有する。
【0102】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いているように、不定冠詞「a」および「an」ならびに定冠詞「the」は、文脈上他の状態が明確でない限り、複数ならびに単数の言及した事柄を含む。
【0103】
「約」または「おおよそ」という用語は、値を測定または求める方法に一部依存する、当業者が測定する個々の値の許容できる誤差を意味する。特定の実施形態において、「約」または「おおよそ」という用語は、1、2、3または4標準偏差以内を意味する。特定の実施形態において、「約」または「おおよそ」という用語は、所定の値または範囲の30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%または0.05%以内を意味する。「約」または「おおよそ」という用語が2つ以上の数値の一組の最初の数値に先行する場合には、「約」または「おおよそ」という用語は、その組の数値のそれぞれ1つずつに適用されることが理解される。
【0104】
「環境温度」および「室温」という用語は、本明細書では同義で用い、周囲環境(例えば、反応を行わせる、または組成物を保存する部屋)の温度を意味する。特定の実施形態において、環境温度または室温は、約15℃から約28℃まで、または約15℃から約25℃まで、または約20℃から約28℃まで、または約20℃から約25℃まで、または約22℃から28℃まで、または約22℃から約25℃までの範囲にある。他の実施形態において、環境温度または室温は、約15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃または28℃である。
【0105】
標準的な化学用語の定義は、CareyおよびSundberg、AdvancedOrganic Chemistry、第3版、AおよびB巻(Plenum Press、New York、1992年)を含む参考図書に見いだすことができる。本開示の実施は、特に示さない限り、当該分野の技術の範囲内の合成有機化学、質量分析、分取および分析用クロマトグラフィー、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術ならびに薬理学の特定の従来の方法を用いるものであり得る。例えば、T.E. Creighton、Proteins: Structures and Molecular Properties(W. H. Freeman andCompany、1993年);A. L. Lehninger、Biochemistry(Worth Publishers, Inc.、第4版、2004年);Sambrookら、MolecularCloning: A Laboratory Manual(第2版、1989年);Methods In Enzymology(S. ColowickおよびN.K’aplan編、Academic Press, Inc.);Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版(Easton、Pennsylvania、MackPublishing Company、1990年)を参照のこと。
【0106】
本明細書で引用したすべての刊行物、特許および特許出願は、上か下かにかかわりなく、それらの全体として参照により組み込まれている。
【0107】
以下のアミノ酸の略語を本文を通して用いる。
【0108】
【数1】
「ポリペプチド」および「タンパク質」は、ペプチド結合またはペプチド結合イソスターにより結合した、アミノ酸残基からなるポリマー、関連する天然に存在する変異体およびその合成非天然類似体を意味する。合成ポリペプチドは、例えば、自動ポリペプチド合成装置を用いて合成することができる。「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、生成物の最小の長さに限定されない。「タンパク質」という用語は、一般的に大きいポリペプチドを意味する。「ペプチド」という用語は、一般的に短いポリペプチドを意味する。したがって、ペプチド、オリゴペプチド、二量体、多量体などは、当定義に含まれる。全長タンパク質およびその断片は、当定義に含まれる。「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、ポリペプチドまたはタンパク質の発現後改変、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化なども含む。さらに、本開示の目的のために、「ポリペプチド」は、天然配列への欠失、付加、置換(本質的に保存的であってよく、あるいはヒトタンパク質に一般的に存在する20アミノ酸のいずれか、または他の天然もしくは非天然もしくは非定型アミノ酸による置換を含んでいてよい)および化学改変(例えば、ペプチド模倣体の付加またはそれによる置換)を含み得る。これらの改変は、部位特異的変異誘発または化学構成成分を除去もしくは結合させるためのアミノ酸の化学改変によるような意図的なものであったり、あるいはタンパク質を産生する宿主により生ずる変異またはPCR増幅による過誤によるような偶発的なものであり得る。
【0109】
ポリペプチド配列を示すために本明細書では従来の表記法を用い、ポリペプチド配列の左端は、アミノ末端であり、ポリペプチド配列の右端は、カルボキシル末端である。
【0110】
「保存的置換」は、機能的、構造的または化学的に類似な天然または非天然アミノ酸によるポリペプチド中のアミノ酸の置換を意味する。1つの実施形態において、以下の群は、それぞれ互いに保存的置換である天然アミノ酸を含む。
【0111】
(1)アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T);
(2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
(3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
(4)アルギニン(R)、リシン(K);
(5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);および
(6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
【0112】
他の実施形態において、以下の群は、それぞれ互いに保存的置換である天然アミノ酸を含む。
【0113】
(1)グリシン(G)、アラニン(A);
(2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
(3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
(4)アルギニン(R)、リシン(K);
(5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V)、アラニン(A);
(6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);および
(7)セリン(S)、トレオニン(T)、システイン(C)。
【0114】
他の実施形態において、アミノ酸は、下に示すように分類することができる。
【0115】
(1)疎水性:Met、Ala、Val、Leu、Ile、Phe、Trp;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)主鎖の配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;および
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe、His。
【0116】
1つの実施形態において、本明細書で記載するペプチドまたはポリペプチドは、CNP変異体をエンコードするポリヌクレオチドを用いて組換え手段により生成させる。したがって、本発明は、本明細書で記載するCNP変異体のいずれかをエンコードするポリヌクレオチド、発現制御配列に必要に応じて連結された、そのようなポリヌクレオチドを含む宿主細胞またはベクター、および本開示のCNP変異体を生成させるためのそのようなポリヌクレオチド、ベクターまたは宿主細胞を用いる方法を含む。そのようなポリヌクレオチドにより発現されるCNP変異体は、CNP変異体をエンコードするポリヌクレオチドの発現に適する条件下で培地中で宿主細胞を増殖させる段階、および発現産物を宿主または培地から分離する段階を含む方法により産生させることができる。実際の発現産物は、翻訳後処理によってエンコードされたタンパク質産物とわずかに異なる可能性がある。
【0117】
「ポリヌクレオチド」は、核酸単位により構成されているポリマーを意味する。ポリヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(「DNA」)およびリボ核酸(「RNA」)などの天然に存在する核酸ならびに核酸類似体を含む。「核酸」という用語は、一般的に大きいポリヌクレオチドを意味する。「オリゴヌクレオチド」という用語は、一般的に約50ヌクレオチド以下の短いポリヌクレオチドを一般的に意味する。ヌクレオチド配列をDNA配列(すなわち、A、T、G、C)により表す場合、ヌクレオチド配列は、「T」を「U」で置換したRNA配列(すなわち、A、U、G、C)も含むことは理解される。「cDNA」は、一本鎖または二本鎖形のmRNAと相補的または同一であるDNAを意味する。
【0118】
「発現制御配列」は、それに作用できるように連結されるヌクレオチド配列の発現を調節するヌクレオチド配列を意味する。「作用できるように連結される」は、1つの部分の活性(例えば、転写を調節する能力)が他の部分に対する作用(例えば、配列の転写)をもたらす、2つの部分の間の機能上の関係を意味する。発現制御配列は、例えば、かつ制限なしに、プロモーター(例えば、誘導または構成)、エンハンサー、転写ターミネータ、開始コドン(すなわち、ATG)、イントロンに対するスプライシングシグナルおよび停止コドンを含み得る。
【0119】
「組換えポリヌクレオチド」は、天然では結合しない配列を有するポリヌクレオチドを意味する。増幅または集合組換えポリヌクレオチドを適切なベクターに含めることができ、ベクターを用いて適切な宿主細胞を形質転換することができる。組換えポリヌクレオチドを含む宿主細胞は、「組換え宿主細胞」と呼ばれる。次いで、遺伝子を組換え宿主細胞中で発現させて、例えば、「組換えポリペプチド」を産生させる。組換えポリヌクレオチドは、非コーディング機能(例えば、プロモーター、複製の起点、リボソーム結合部位等)も果たすことができる。
【0120】
「キメラ」は、本明細書で用いているように、当技術分野で一般的に公知の技術、例えば、組換え発現または化学的架橋を用いて直接的または間接的に結合または連結させた少なくとも2つの異種ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列(すなわち、異なる源由来または天然に存在する配列として互いに関連していない)を含むポリヌクレオチドまたはポリペプチドを意味する。1つの実施形態において、異種配列は、CNPペプチドもしくは変異体から切断することができるタンパク質もしくはペプチドを含む、CNPペプチドもしくは変異体に直接的または間接的に連結させたタンパク質もしくはペプチドを含み得る。関連実施形態において、CNP変異体は、本明細書で記載するようなキメラである。
【0121】
特定の実施形態において、キメラは、切断可能なキャリアタンパク質もしくはペプチドタグを含むCNP融合タンパク質を含む。「切断可能なキャリアタンパク質」または「切断可能なペプチドタグ」という用語は、異種ポリペプチド配列に直接的に、またはリンカーを介して間接的に融合させることができ、異種ポリペプチドもしくはタンパク質から切断可能なペプチドもしくはポリペプチドを切断または分離する剤を用いて異種配列から除去できるペプチドもしくはポリペプチド配列を意味する。いくつかの実施形態において、切断可能なキャリアタンパク質もしくはペプチドタグは、融合タンパク質または異種ポリペプチドの生成、精製および/または検出を改善する。具体例としての切断可能なキャリアタンパク質およびペプチドタグは、ヒト転写因子TAF12(TAF12)、ケトステロイドイソメラーゼ(KSI)、マルトース結合タンパク質(MBP)、β−ガラクトシダーゼ(β−Gal)、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン(Trx)、キチン結合ドメイン(CBD)、BMP−2変異(BMPM)、SUMO、CAT、TrpE、ブドウ球菌プロテインA、連鎖球菌タンパク質、デンプン結合タンパク質、エンドグルカナーゼAのセルロース結合ドメイン、エキソグルカナーゼCexのセルロース結合ドメイン、ビオチン結合ドメイン、recA、Flag、c−Myc、ポリHis、ポリArg、ポリAsp、ポリGln、ポリPhe、ポリCys、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、抗体エピトープおよびその断片を含むが、これらに限定されない。
【0122】
「切断剤」は、例えば、切断可能なペプチドもしくはポリペプチドを異種ポリペプチドもしくはタンパク質から切断または分離するのに有用な剤である。具体例としての切断剤は、パラジウム、臭化シアン(CNBr)、ギ酸、ヒドロキシルアミン、クロストリパイン、トロンビン、キモトリプシン、トリプシン、トリプシン様プロテアーゼ、カルボキシペプチダーゼ、エンテロキナーゼ(エンテロペプチダーゼ)、Kex2プロテアーゼ、OmpTプロテアーゼ、Xa因子プロテアーゼ、ズブチリシン、プロTEV、SUMOプロテアーゼ、V8プロテアーゼ、HIVプロテアーゼ、ライノウイルスプロテアーゼ、フリリシンプロテアーゼ、IgAプロテアーゼ、ヒトPaceプロテアーゼ、コラゲナーゼ、Niaプロテアーゼ、ポリオウイルス2Aproプロテアーゼ、ポリオウイルス3Cプロテアーゼ、ゲネナーゼ、フューリン、エラスターゼ、プロテイナーゼK、ペプシン、レンニン(キモシン)、微生物アスパラギン酸プロテアーゼ、パパイン、カルパイン、キモパパイン、フィシン(フィカイン)、ブロメライン(ブロメラーゼ)、カテスピシンB、カスパーゼ、サーモライシン、エンドプロテアーゼArg−C、エンドプロテアーゼGlu−C、エンドプロテアーゼLys−C、カリクレインおよびプラスミンを含むが、これらに限定されない。
【0123】
2つ以上のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列における「同一」または「同一性」の割合という用語は、以下の配列比較アルゴリズムの1つを用いて測定した、または目視検査により、最大の一致について比較し、アライメントしたときに、同じである、または同じであるヌクレオチドもしくはアミノ酸残基の指定の割合を有する2つ以上の配列もしくは部分配列を意味する。
【0124】
2つの核酸またはポリペプチドにおける「実質的に相同」または「実質的に同一」という語句は、以下の配列比較アルゴリズムの1つを用いて測定した、または目視検査により、最大の一致について比較し、アライメントしたときに、少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%もしくは98%のヌクレオチドもしくはアミノ酸残基の同一性を有する2つ以上の配列もしくは部分配列を一般的に意味する。特定の実施形態において、実質的な相同性または同一性は、長さが少なくとも約25、50、100または150残基である配列の領域にわたって存在する。他の実施形態において、配列は、いずれかまたは両比較生体高分子の全長にわたって実質的に相同または同一である。
【0125】
配列の比較の場合、一般的に1つの配列が、試験配列を比較する参照配列としての機能を果たす。配列比較アルゴリズムを用いる場合、試験および参照配列がコンピュータに入力され、必要な場合に部分配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメーターを指定する。配列比較アルゴリズムは、次に、指定されたプログラムパラメーターに基づいて、参照配列と比較して(1つ以上の)試験配列の配列同一性の割合を計算する。
【0126】
比較のための配列の最適なアライメントは、例えば、SmithおよびWaterman、Adv.Appl.Math.、2巻、482頁(1981年)の局所相同性アルゴリズムにより、NeedlemanおよびWunsch、J. Mol. Biol.、48巻、443頁(1970年)の相同性アライメントアルゴリズムにより、PearsonおよびLipman、Proc.Natl. Acad. Sci. USA、85巻、2444頁(1988年)の類似性検索法により、これらのアルゴリズムのコンピュータによる実行(Wisconsin Genetics Software PackageにおけるGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA、Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、WI)により、または目視検査により行うことができる。有用なアルゴリズムの1例は、FengおよびDoolittle、J.Mol. Evol.、35巻、351〜360(1987年)の漸進的アライメント法の簡略化を用いるPILEUPであり、HigginsおよびSharp、CABIOS、5巻、151〜153頁(1989年)により記載された方法と類似している。配列の多重アライメントを発生させるのに有用な他のアルゴリズムは、Clustal W(Thompsonら、NucleicAcids Research、22巻、4673〜4680頁(1994年))である。配列同一性の割合および配列類似性を測定するのに適するアルゴリズムの例は、BLASTアルゴリズムである(Altschulら、J.Mol. Biol.、215巻、403〜410頁(1990年);HenikoffおよびHenikoff、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89巻、10915頁(1989年);KarlinおよびAltschul、Proc.Natl. Acad. Sci. USA、90巻、5873〜5787頁(1993年))。BLAST解析を実施するためのソフトウエアは、National Center for Biotechnology Informationを介して公式に入手可能である。
【0127】
2つの核酸配列またはポリペプチドが実質的に相同または同一であるというさらなる徴候は、第1の核酸によりエンコードされるポリペプチドが、下で記載するように、第2の核酸によりエンコードされるポリペプチドと免疫学的に交差反応性であることである。したがって、例えば、2つのペプチドが保存的置換のみが異なる場合、ポリペプチドは、第2のポリペプチドと一般的に実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一であるという他の徴候は、2つの分子が、下で記載するように、緊縮条件下で互いにハイブリッド形成することである。
【0128】
「実質的に純粋な」または「分離された」は、対象となる種が存在する優勢な種である(すなわち、モル基準で、組成物中の他の個々の巨大分子種より豊富である)ことであり、実質的に精製された画分は、対象となる種が存在するすべての巨大分子種の少なくとも約50%(モル基準で)を含む、組成物である。1つの実施形態において、実質的に純粋な組成物は、問題とする種がモルまたは重量基準で組成物中に存在する巨大分子種の少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%またはそれ以上を含むことを意味する。組成物が単一巨大分子種から本質的になっている場合、対象となる種は、本質的な均質性になるまで精製されている(混入物種が従来の検出方法により組成物中に検出することができない)。溶媒種、小分子(<500ダルトン)、安定化剤(例えば、BSA)および元素イオン種は、この定義の目的のために巨大分子種とみなされない。1つの実施形態において、本開示の化合物は、実質的に純粋または分離されている。他の実施形態において、本発明の化合物は、それらの産生に用いられる巨大分子出発物質に関して実質的に純粋または分離されている。他の実施形態において、本開示の医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、キャリアまたは希釈剤、および必要に応じて、他の生物学的に活性な物質と混合された実質的に純粋または分離されたCNP変異体を含む。
【0129】
物体に適用される「天然に存在する」は、物体を天然で見いだすことができることを意味する。例えば、生物(ウイルスを含む)に存在し、実験室で人間により意図的に改変されなかったポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、天然に存在する。1つの実施形態において、「天然に存在する」物質は、ヒト由来のものである。
【0130】
「野生型」(wt)は、種におけるポリヌクレオチド、ポリペプチドまたはタンパク質の配列を含む、天然形態を意味する用語である。野生型形態は、(1つ以上の)遺伝的変異により生ずるポリヌクレオチド、ポリペプチドまたはタンパク質の変異型と区別される。
【0131】
1つの実施形態において、第2のポリペプチドの「類似体」または「変異体」または「誘導体」である第1のポリペプチドは、第2のポリペプチドとの少なくとも約50%、60%または70%の配列相同性を有するが、100%未満の配列相同性を有するポリペプチドである。そのような類似体、変異体または誘導体は、ホモアルギニン、オルニチン、ペニシラミンおよびノルバリンを制限なしに含む天然に存在しないアミノ酸残基、ならびに天然に存在するアミノ酸残基により構成されていてよい。そのような類似体、変異体または誘導体は、1つ以上のD−アミノ酸残基により構成されていてもよく、またペプチド模倣体または2つもしくはそれ以上のアミノ酸もしくはペプチド模倣体残基間の非ペプチド結合などのペプチド結合イソスターを含んでいてもよい。他の実施形態において、第1のポリペプチドが第2のポリペプチドの公知の切断生成物でなく、または第2のポリペプチドの公知の前駆体でない場合、第1のポリペプチドが第2のポリペプチドと100%の配列相同性を有するか、または野生型配列を有していたとしても、第1のポリペプチドは、第2のポリペプチドの「類似体」または「変異体」または「誘導体」である。
【0132】
1つの実施形態において、「に由来する」という用語は、本明細書で用いているように、野生型または天然に存在するポリペプチドまたはペプチド配列に基づき、1つ以上の欠失、天然アミノ酸、非天然アミノ酸またはペプチド模倣体による付加および/または置換を有していてよい、ポリペプチドまたはペプチド配列を意味する。1つの実施形態において、誘導体配列は、野生型または天然に存在する配列と少なくとも約40%、50%、60%または70%の、しかし100%未満の配列類似性を共有している。他の実施形態において、誘導体は、ポリペプチドの断片であってよく、断片は、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45または50個のアミノ酸の長さにわたって野生型ポリペプチドと実質的に相同である(例えば、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%または95%相同)。他の実施形態において、ポリペプチドが野生型ポリペプチドに存在しない、それに結合した部分(例えばPEGなどの、例えばポリマー)を直接的に、または間接的に有する場合、両ポリペプチドがそれらのアミノ酸配列における100%の相同性を共有しているとしても、ポリペプチドは、野生型ポリペプチド「に由来」する。
【0133】
本明細書で用いているように、「NPPC由来」ポリペプチドは、一本鎖126アミノ酸プレプロポリペプチドであり、切断により、最終的にwtCNP22をもたらす、ナトリウム利尿ペプチド前駆体C(NPPC)ポリペプチドに由来するポリペプチドである。NPPCからの単一ペプチドの除去により、プロCNPが生成し、エンドプロテアーゼであるフューリンによるさらなる切断により、活性な53アミノ酸ペプチド(CNP−53)が生成し、これが分泌され、未知の酵素により再び切断して、成熟22アミノ酸ペプチド(CNP、またはCNP−22)が生成する。したがって、CNP22自体は、NPPCに由来することにより、「NPPC由来」ポリペプチドである。1つの実施形態において、NPPC由来ポリペプチドは、同じ数のアミノ酸残基にわたり野生型NPPCと少なくとも約40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%または95%相同である。NPPC由来ペプチドは、NPPCポリペプチドの約1〜約53、または1〜37、または1〜35、または1〜31、または1〜27、または1〜22、または10〜35、または約15〜約37残基を含むことがさらに意図される。1つの実施形態において、NPPC由来ポリペプチドは、NPPCポリペプチドに由来する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52または53アミノ酸の配列を含んでいてよい。
【0134】
「有効な量」という用語は、被験体の健康状態、病状もしくは疾患に関する、または診断目的のための所望の結果をもたらすのに十分な用量を意味する。所望の結果は、用量の受容者における主観的または客観的な改善を含んでいてよい。「治療上有効な量」は、健康に対する意図する有用な効果をもたらすのに有効な薬剤の量を意味する。あらゆる個別の例における適切な「有効な」量は、常法による実験を用いて当業者が決定することができる。個々の患者に対する個別の用量および投与頻度は、異なる可能性があり、用いる個々の化合物の活性;当化合物の生物学的利用能、代謝安定性、排泄速度および作用の持続時間;該化合物の投与の方法および時間;患者の年齢、体重、一般的健康状態、性および食事;ならびに個々の状態の重症度などの様々な因子に依存することは理解されよう。
【0135】
「治療」は、予防的治療または治療処置または診断的治療を意味する。特定の実施形態において、「治療」は、治療、予防または診断の目的のために被験体に化合物または組成物を投与することを意味する。
【0136】
「予防的」治療は、健康異常を発現するリスクを低減する目的のために、疾患の徴候を示さない、または疾患の初期の徴候を示す被験体に適用する処置である。本開示の化合物または組成物は、健康異常を発現する可能性を低減するため、または発現した場合に健康異常の重症度を最小限にするために予防処置として投与することができる。
【0137】
「治療」処置は、健康異常の徴候または症状を示す被験体に対して、それらの徴候または症状を減弱させるまたは消失させる目的のために適用する治療である。徴候または症状は、生化学的、細胞、組織学的、機能的もしくは物理的、主観的または客観的であってよい。本開示の化合物は、治療処置として、または診断のために投与することもできる。
【0138】
「診断」は、健康異常の状態の存在、程度および/または性質を特定することを意味する。診断方法は、それらの特異性および選択性が異なっている。特定の診断方法は状態の明確な診断を可能にしないことがあるが、該方法が診断の助けとなる陽性徴候を示すならば、十分である。
【0139】
「骨または軟骨関連バイオマーカー」または「骨または軟骨関連マーカー」は、レベルが、例えば、軟骨代謝回転、軟骨形成、軟骨成長、骨吸収、骨形成、骨成長またはそれらの組合せに関連して増加または低下する成長因子、酵素、タンパク質または他の検出可能な生物学的物質もしくは構成成分を意味する。そのようなバイオマーカーは、本明細書で記載するCNP変異体の投与前、投与の間および/または投与後に測定することができる。具体例としての骨または軟骨関連バイオマーカーは、CNP、cGMP、II型コラーゲンのプロペプチドおよびその断片、II型コラーゲンおよびその断片、I型コラーゲンのプロペプチドおよびその断片、I型コラーゲンおよびその断片、オステオカルシン、増殖細胞核抗原(PCNA)、アグリカンコンドロイチン硫酸、ならびにアルカリホスファターゼを含むが、これらに限定されない。軟骨および骨関連バイオマーカーは、組織、血液、血清、血漿、脳脊髄液、滑膜液および尿を含むが、これらに限定されない適切な生物学的試料で測定することができる。いくつかの実施形態において、該バイオマーカーは、有効性/薬力学的in vivo試験を受けている動物からの血液、血漿もしくは血清で、および/またはex vivo試験のならし培地から測定する。
【0140】
特定の実施形態において、少なくとも1つの骨または軟骨関連バイオマーカーのレベルを測定し、測定されたバイオマーカーのレベルに応じて被験体に投与するCNP変異体の投与の量または頻度を調節することができる。いくつかの実施形態において、バイオマーカーのレベルは、「標的レベルを下回る」または「標的レベルを上回る」。バイオマーカーの標的レベルは、CNP変異体の投与を受けている被験体に治療効果が認められるバイオマーカーのレベルまたはレベルの範囲である。特定の実施形態において、CNP反応性障害もしくは状態を有する被験体におけるバイオマーカーの標的レベルは、正常な非罹患被験体に認められるバイオマーカーのレベルまたはレベルの範囲である。他の実施形態において、治療効果を示すためには、バイオマーカーの標的レベルは、正常な被験体に認められるバイオマーカーのレベルまたはレベルの範囲と同等である必要はないが、「正常」レベルまたは非罹患被験体に認められるバイオマーカーのレベルの範囲の例えば、100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%もしくは5%以内であってよい。
【0141】
例えば、バイオマーカーのレベルが骨もしくは軟骨形成または成長に関連して増加する場合、治療効果を示すバイオマーカーの標的レベルは、CNP変異体を投与しなかったCNP反応性障害に罹患している患者におけるバイオマーカーのレベルより高い可能性があり、当障害に罹患していない被験体におけるバイオマーカーの「正常」レベル(複数可)より低い、ほぼ「正常」レベル(複数可)である、または「正常」レベル(複数可)より高いことが場合によってあり得る。1つの実施形態において、バイオマーカーのレベルが標的レベルを下回っている場合、それは、投与されるCNP変異体の投与の量または頻度の増加を必要とし得る、不十分な治療効果を示す。関連実施形態において、バイオマーカーが標的レベルを上回っている場合、それは、投与されるCNP変異体の投与の量または頻度の減少を必要とし得る、必要より多くのCNP変異体が投与されたことを示す。
【0142】
他の例として、バイオマーカーのレベルが骨もしくは軟骨形成または成長に関連して低下する場合、治療効果を示すバイオマーカーの標的レベルは、CNP変異体を投与しなかったCNP反応性障害に罹患している患者におけるバイオマーカーのレベルより低い可能性があり、当障害に罹患していない被験体におけるバイオマーカーの「正常」レベル(複数可)より高い、ほぼ「正常」レベル(複数可)である、または「正常」レベル(複数可)より低いことが場合によってあり得る。そのような場合、CNP変異体の投与の量および頻度の上の調節の逆のことが当てはまる可能性がある。
【0143】
「医薬組成物」は、ヒトおよび哺乳動物を含む被験体動物における薬学的用途に適する組成物を意味する。医薬組成物は、治療上有効な量のCNP変異体、必要に応じて他の生物学的に活性な物質、および必要に応じて薬学的に許容される賦形剤、キャリアまたは希釈剤を含む。1つの実施形態において、医薬組成物は、(1つ以上の)有効成分およびキャリアを構成する(1つ以上の)不活性成分、ならびに2つ以上の成分の組合せ、錯体形成または凝集により、あるいは1つ以上の成分の解離により、あるいは1つ以上の成分の他の種類の反応または相互作用により、直接または間接的に生ずる生成物を含む。したがって、本開示の医薬組成物は、本開示の化合物と薬学的に許容される賦形剤、キャリアまたは希釈剤とを混合することにより調製されるあらゆる組成物を含む。
【0144】
「薬学的に許容されるキャリア」は、リン酸緩衝生理食塩液、デキストロースの5%水溶液および乳剤(例えば、油/水または水/油型乳剤)などの標準的な医薬用キャリア、緩衝剤などのいずれかを意味する。賦形剤の非限定的な例は、アジュバント、結合剤、増量剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、湿潤剤、滑沢剤、流動促進剤、甘味剤、香味剤および着色剤などである。適切な医薬用キャリア、賦形剤および希釈剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第19版(Mack Publishing Co.、Easton、1995年)に記載されている。好ましい医薬用キャリアは、活性薬の投与方法に依存する。一般的な投与方法は、経腸(例えば、経口)または非経口(例えば、皮下、筋肉内、静脈内または腹腔内注射;または局所、経皮または経粘膜投与)などである。
【0145】
「薬学的に許容される塩」は、金属塩(例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等)およびアンモニアもしくは有機アミンの塩を含むが、これらに限定されない、医薬用の複合物に製剤化することができる塩である。
【0146】
「薬学的に許容される」または「薬理学的に許容される」は、生物学的に、または他の点で望ましくない物質を意味する。すなわち、該物質は、望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく、あるいはそれが含まれる組成物の成分のいずれかと、または個体の身体上または体内に存在するいずれかの成分と有害な様態で相互作用することなく、個体に投与することができる。
【0147】
「単位剤形」という用語は、各単位が、あらかじめ定められた量の計算された本開示の化合物を所望の効果をもたらすのに十分な量で、必要に応じて、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、キャリアまたは媒体と共に含む、ヒトおよび動物被験体用の単位用量として適する物理的に不連続な単位を意味する。本開示の新規な単位剤形の仕様は、用いられる個々の化合物、達成されるべき効果、および宿主における各化合物に関連する薬力学に依存する。
【0148】
「生理的条件」は、動物(例えば、ヒト)の体内の条件を意味する。生理的条件は、体温ならびに生理的イオン強度、pHおよび酵素の水性環境を含むが、これらに限定されない。生理的条件はまた、大多数の被験体に存在する「正常な」条件と異なる、例えば、約37℃の正常なヒト体温と異なる、または約7.4の正常なヒト血液pHと異なる特定の被験体の体内の条件を含む。
【0149】
「生理的pH」または「生理的範囲内のpH」は、約7.0〜8.0(7.0と8.0を含む)の範囲、より一般的には約7.2〜7.6(7.2と7.6を含む)の範囲のpHを意味する。
【0150】
本明細書で用いているように、「被験体」という用語は、哺乳動物および非哺乳動物を含む。哺乳動物の例は、哺乳類綱のメンバー:ヒト、チンパンジーなどのヒト以外の霊長類、および他の無尾サルおよびサル種;ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの農場動物;ウサギ、イヌおよびネコなどの家畜;ラット、マウスおよびモルモットなどのげっ歯類を含む実験動物などを含むが、これらに限定されない。非哺乳動物の例は、鳥、魚などを含むが、これらに限定されない。この用語は、特定の年齢または性を表さない。
【0151】
「ポリエチレングリコール」、「PEG」、「ポリエチレンオキシド」および「PEO」という用語は、特に示さない限り、本明細書では同義で用いる。数nに関連する「PEOn」ポリマーにアミノ基を介して結合したCNPペプチド(CNP22またはその変異体)は、一般的に式CH
3−[−O−CH
2CH
2−]
n−C(=O)−NHRを有し、nは、エチレンオキシド単位の数であり、Rは、ペプチドの残りを表す。「PEOn」ポリマーは、アルキレン基(CH
2)
mを必要に応じて有していてよく、mは、カルボニル炭素と反復エチレンオキシド単位との間の1〜5の整数である。そのような「PEOn」(例えば、PEO12またはPEO24)ポリマーは、単分散性、すなわち、特定の分子量の単一の分離した分子である。同様に、数nKに関連する「PEGnK」ポリマーにアミノ基を介して結合したCNPペプチドは、一般的に式CH
3−[−O−CH
2CH
2−]
p−C(=O)−NHRを有し、pは、1より大きい整数である。「PEGnK」ポリマーもアルキレン基(CH
2)
mを必要に応じて有していてよく、mは、カルボニル炭素と反復エチレンオキシド単位との間の1〜5の整数である。しかし、そのような「PEGnK」(例えば、PEG1K、PEG2K、PEG5KまたはPEG20K)ポリマーは、多分散性、すなわち、分子量の分布を有するポリマーの混合物を含み、数nKは、キロダルトン単位のポリマー数平均分子量(M
n)を表す。例えば、CNPペプチドに結合している「PEG2K」は、約2kDaのポリマー数平均分子量を有する多分散性PEGポリマーである。
【0152】
ポリマー(例えば、PEG)の質量の範囲が与えられている場合(例えば、kDa単位の)、範囲は、特に示さない限り、ポリマー数平均分子量の範囲を意味するのであって、多分散性混合物中の複数のポリマーの分子量の範囲を意味するものではない。
【0153】
「ハロゲン」、「ハロゲン化物」または「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素および/またはヨウ素を意味する。
【0154】
「アルキル」という用語は、線状または分枝飽和一価炭化水素遊離基を意味し、アルキルは、本明細書で記載するように1つ以上の置換基Qで必要に応じて置換されていてよい。特定の実施形態において、アルキルは、1〜20個(C
1−20)、1〜15個(C
1−15)、1〜12個(C
1−12)、1〜10個(C
1−10)または1〜6個(C
1−6)の炭素原子を有する線状飽和一価炭化水素遊離基であるか、または3〜20個(C
3−20)、3〜15個(C
3−15)、3〜12個(C
3−12)、3〜10個(C
3−10)または3〜6個(C
3−6)の炭素原子を有する分枝飽和一価炭化水素遊離基である。本明細書で用いているように、線状C
1−6および分枝C
3−6アルキル基は、「低級アルキル」とも呼ばれる。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル(n−プロピルおよびイソプロピルを含むすべての異性体を含む)、ブチル(n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルを含むすべての異性体を含む)、ペンチル(すべての異性体を含む)ならびにヘキシル(すべての異性体を含む)を含むが、これらに限定されない。例えば、C
1−6アルキルは、1〜6個の炭素原子の線状飽和一価炭化水素遊離基または3〜6個の炭素原子の分枝飽和一価炭化水素遊離基を意味する。
【0155】
「アルコキシ」という用語は、−O−アルキル基を意味する。特定の実施形態において、アルコキシ基は、本明細書で記載するように1つ以上の置換基Qで必要に応じて置換されていてよい。
【0156】
「ハロアルキル」という用語は、1つ以上のハロゲン原子で置換されているアルキル基を意味する。特定の実施形態において、ハロアルキル基は、1、2、3,4,5または6個のハロゲン原子で置換されている。特定の実施形態において、ハロアルキル基は、本明細書で記載するように1つ以上のさらなる置換基Qで必要に応じて置換されていてよい。
【0157】
「シクロアルキル」という用語は、本明細書で記載するように1つ以上のさらなる置換基Qで必要に応じて置換されていてよい、環状飽和架橋および/または非架橋一価炭化水素遊離基を意味する。特定の実施形態において、シクロアルキルは、3〜20個(C
3−20)、3〜15個(C
3−15)、3〜12個(C
3−12)、3〜10個(C
3−10)または3〜7個(C
3−7)の炭素原子を有する。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、デカリニルおよびアダマンチルを含むが、これらに限定されない。
【0158】
「ヘテロシクリル」または「ヘテロ環式」という用語は、単環式非芳香環系または1つ以上の非芳香環を含む多環式系を意味し、1つ以上の非芳香環原子は、O、SまたはNから独立に選択されるヘテロ原子であり、残りの非芳香環原子は、炭素原子である。特定の実施形態において、ヘテロシクリルまたはヘテロ環式基は、3〜20個、3〜15個、3〜10個、3〜8個、4〜7個または5〜6個の環原子を有する。特定の実施形態において、ヘテロシクリルは、縮合または架橋環系を含んでいてよく、窒素または硫黄原子が必要に応じて酸化されていてよく、窒素原子が必要に応じて第四級化されていてよく、一部の環が部分的もしくは完全に飽和されているか、または芳香族であってよい、単環式、二環式、三環式または四環式環系である。ヘテロシクリルは、主構造に、安定な化合物の形成をもたらすヘテロ原子または炭素原子において結合していてよい。ヘテロ環式基の例は、アクリジニル、アゼピニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾインドリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソオキサジニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾピラニル、ベンゾテトラヒドロフラニル、ベンゾテトラヒドロチエニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオピラニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、β−カルボリニル、カルバゾリル、クロマニル、クロモニル、シンノリニル、クマリニル、デカヒドロイソキノリニル、ジベンゾフラニル、ジヒドロベンゾイソチアジニル、ジヒドロベンゾイソオキサジニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロピラニル、ジオキソラニル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジオキソラニル、1,4−ジチアニル、フラノニル、フラニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、イミダゾピリジニル、イミダゾチアゾリル、インダゾリル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、イソベンゾテトラヒドロフラニル、イソベンゾテトラヒドロチエニル、イソベンゾチエニル、イソクロマニル、イソクマリニル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリジニル、イソオキサゾリル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、オキサジアゾリル、オキサゾリジノニル、オキサゾリジニル、オキサゾロピリジニル、オキサゾリル、オキシラニル、ペルイミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナルサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノオキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、4−ピペリドニル、プテリジニル、プリニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリドピリジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノオキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル、テトラゾリル、チアジアゾロピリミジニル、チアジアゾリル、チアモルホリニル、チアゾリジニル、チアゾリル、チエニル、トリアジニル、トリアゾリルおよび1,3,5−トリチアニルを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態において、ヘテロ環式基は、本明細書で記載するように1つ以上の置換基Qで必要に応じて置換されていてよい。
【0159】
「アリール」という用語は、単環式芳香族基または少なくとも1つの芳香族炭化水素環を含む多環式一価芳香族基を意味する。特定の実施形態において、アリールは、6〜20個(C
6−20)、6〜15個(C
6−15)または6〜10個(C
6−10)の環原子を有する。アリール基の例は、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アズレニル、アントリル、フェナントリル、ピレニル、ビフェニルおよびテルフェニルを含むが、これらに限定されない。アリールは、二環式または三環式炭素環も意味し、環の少なくとも1つは、芳香族であり、他は、飽和、部分的に不飽和または芳香族、例えば、ジヒドロナフチル、インデニル、インダニルおよびテトラヒドロナフチル(テトラリニル)であってよい。特定の実施形態において、アリール基は、本明細書で記載するように1つ以上の置換基Qで必要に応じて置換されていてよい。
【0160】
「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つの芳香環がO、SおよびNから独立に選択される1つ以上のヘテロ原子を含む、単環式芳香族基または多環式芳香族基を意味する。ヘテロアリール基の各環は、1つもしくは2個のO原子、1つもしくは2個のS原子および/または1〜4個のN原子を含んでいてよく、ただし、各環におけるヘテロ原子の総数は、4個またはそれ未満であり、各環は、少なくとも1個の炭素原子を含む。ヘテロアリールは、主構造に、安定な化合物の形成をもたらすヘテロ原子または炭素原子において結合していてよい。特定の実施形態において、ヘテロアリールは、5〜20個、5〜15個または5〜10個の環原子を有する。単環式ヘテロアリール基の例は、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、フラニル、チエニル、オキサジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニルおよびトリアジニルを含むが、これらに限定されない。二環式ヘテロアリール基の例は、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾピラニル、インドリジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロモニル、クマリニル、シンノリニル、キノキサリニル、インダゾリル、プリニル、ピロロピリジニル、フロピリジニル、チエノピリジニル、ジヒドロイソインドリルおよびテトラヒドロキノリニルを含むが、これらに限定されない。三環式ヘテロアリール基の例は、カルバゾリル、ベンゾインドリル、フェナントロリニル、アクリジニル、フェナントリジニルおよびキサンテニルを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態において、ヘテロアリール基は、本明細書で記載するように1つ以上の置換基Qで必要に応じて置換されていてよい。
【0161】
「必要に応じて置換された」は、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールなどの基が1つ以上の置換基Q(1つの実施形態において、1つ、2つ、3つまたは4つの置換基Q)で置換されていてよいことを意味し、各Qは、シアノ、ハロ、ニトロ、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロ−C
1−6アルキル、C
3−7シクロアルキル、ヘテロシクリル、C
6−14アリール、ヘテロアリール、−C(O)R
e、−C(O)OR
e、−C(O)NR
fR
g、−C(NR
e)NR
fR
g、−OR
e、−OC(O)R
e、−OC(O)OR
e、−OC(O)NR
fR
g、−OC(=NR
e)NR
fR
g、−OS(O)R
e、−OS(O)
2R
e、−OS(O)NR
fR
g、−OS(O)
2NR
fR
g、−NR
fR
g、−NR
eC(O)R
f、−NR
eC(O)OR
f、−NR
eC(O)NR
fR
g、−NR
eC(=NR
h)NR
fR
g、−NR
eS(O)R
f、−NR
eS(O)
2R
f、−NR
eS(O)NR
fR
g、−NR
eS(O)
2NR
fR
g、−SR
e、−S(O)R
e、−S(O)
2R
eおよび−S(O)
2NR
fR
gからなる群から独立に選択され、各R
e、R
f、R
gおよびR
hは、独立に水素、C
1−6アルキル、C
3−7シクロアルキル、ヘテロシクリル、C
6−14アリールもしくはヘテロアリールであり、またはR
fおよびR
gは、それらが結合しているN原子と一緒になってヘテロシクリルを形成している。
【0162】
B.CNP変異体
CNP22の治療薬としての使用は、血漿中でのその半減期の短さから限られている(J.Clin. Endocrinol. Metab.、78巻:1428〜35頁(1994年))。ヒト血漿中で、CNP22の濃度は通常5ピコモル未満である。CNP22は、ヒトにおいてNEPおよびNPR−Cにより分解され、循環から取り除かれる。(GrowthHormone & IGF Res.、16巻:S6〜S14頁)。全身投与されたCNP22を使用したすべてのヒトおよび動物の研究において、被験体中のCNP22濃度を上昇させるために持続注入が使用されている。長い半減期および少なくとも同様のレベルの機能性を有するCNPペプチドは、CNPに基づく治療戦略に有益であると思われる。 CNP変異体はまた、国際出願番号PCT/US08/84270(具体的に本明細書中に参考として援用される)に開示される。
【0163】
本開示は、NEPおよび/またはNPR−Cに対する低い親和性、ならびにNEPによる切断および/またはNPR−Cによるクリアランスに対する低い感受性を有するが、野生型CNP22と同様またはより良好な機能性を実質的に有するCNP変異体を提供する。NEPによる切断および/またはNPR−Cによるクリアランスに対するCNP変異体の低い感受性は、該変異体の血漿もしくは血清半減期を延長させ、それにより、該変異体が標的組織および部位に分布し、所望の薬理作用を達成する機会を増加させることになる。特定の実施形態において、本明細書で記載するCNP変異体は、wtCNP22の機能性の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%もしくは100%を保持する、またはwtCNP22より少なくとも約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍もしくは5倍大きい機能性を有すると同時に、in vitroまたはin vivoでのNEPによる切断および/またはNPR−Cによるクリアランスに対する、wtCNP22と比較して少なくとも約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍または5倍低い感受性を有し、wtCNP22と比較して少なくとも約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍または5倍長いin vivoでの血漿もしくは血清半減期を有する。CNPの機能性は、例えば、in vitroまたはin vivo試験における軟骨もしくは骨形成または成長に関連する1つ以上のバイオマーカー(例えば、cGMP)のレベル、ex vivoまたはin vivo試験における特定の骨の長さなどにより評価することができる。
【0164】
NEPの天然基質は低分子であり、ナトリウム利尿ペプチド(約2.2から約3.2kDa)は最も高分子の天然基質である。X線結晶解析によれば、NEPの活性部位は、中心腔内部に深く埋もれており、基質分子のサイズは、約3kDa以下に効果的に制限される(Oefnerら、J. Mol. Biol.、296巻:341〜349頁(2000年))。NPR−Bシグナル伝達の研究に基づいて、CNP−17(CNP22の環状ドメインのCys6〜Cys22のみを保有する)およびCNP−53(N末端において31個のアミノ酸延長を有するCNP−22)などのCNP−22の変異体は、なお2.2kDaのwtCNP−22と同様にNPR−Bに結合でき、NPR−Bを活性化できる。したがって、本開示は、CNP22変異体あるいはその変異体のN末端および/またはC末端において天然ポリマー(例えばペプチド)および/または合成ポリマー(例えば、PEG)に結合したCNP変異体を包含し、これらはNEP耐性の上昇を示すが、NPR−Bシグナル伝達受容体に結合し、活性化する能力を保有している。
【0165】
一実施形態において、本開示は、一般式:
(x)−Cys
6−Phe
7−Gly
8−Leu
9−Lys
10−Leu
11−Asp
12−Arg
13−Ile
14−Gly
15−Ser
16−Met
17−Ser
18−Gly
19−Leu
20−Gly
21−Cys
22−(z)(配列番号139)、または
(x)−Gly
1−Leu
2−Ser
3−Lys
4−Gly
5−Cys
6−Phe
7−Gly
8−Leu
9−Lys
10−Leu
11−Asp
12−Arg
13−Ile
14−Gly
15−Ser
16−Met
17−Ser
18−Gly
19−Leu
20−Gly
21−Cys
22−(z)(配列番号140)、
で表されるCNP変異体を包含し、式中、
(x)および(z)は、本明細書に記載のように、個々に独立して天然ポリマー(例えば、少なくとも1個のアミノ酸を含有するペプチド配列)および/または合成ポリマー(例えばPEG)であり、CNP変異体の総質量が、本明細書において全般に記載の範囲、例えば約2.6kDaまたは2.8kDaから約6または7kDaの範囲であることを特徴とする。一実施形態において、残基Cys6からCys22は、環状部分を形成する。ある実施形態において、(x)および/または(z)は、NPPCまたは非CNPポリペプチド(例えば、ANP、BNP、IgGなど)に由来するアミノ酸延長を含み、この延長は、1から40、1から35、1から31、5から35、5から31または5から15個のアミノ酸を含有する。別の実施形態において、CNP変異体は、CNP22の以下の位置:Gly1、Lys4、Gly5、Cys6、Phe7、Gly8、Leu9、Lys10、Leu11、Ile14、Gly15、Ser16、Met17、Gly19、Leu20およびGly21の1つ以上に、別の天然アミノ酸、非天然アミノ酸、ペプチド模倣体および/またはペプチド結合イソスターによる1つ以上の改変および/または置換を含む。
【0166】
別の実施形態において、本明細書において全般に記載の範囲、例えば約2.6kDaまたは2.8kDaから約6または7kDaの範囲であることを特徴とする総質量を有するCNP変異体は、NEP分解に対する耐性を増加させるために設計され、以下の一般式:
(x)−Cys
6−Phe
7−Gly
8−Leu
9−(h)
10−Leu
11−Asp
12−Arg
13−Ile
14−Gly
15−Ser
16−Met
17−Ser
18−Gly
19−Leu
20−Gly
21−Cys
22−(z)(配列番号141)、または
(x)−Gly
1−Leu
2−Ser
3−(b)
4−Gly
5−Cys
6−Phe
7−Gly
8−Leu
9−(h)
10−Leu
11−Asp
12−Arg
13−Ile
14−Gly
15−Ser
16−Met
17−Ser
18−Gly
19−Leu
20−Gly
21−Cys
22−(z)(配列番号6)、で表され、式中、
(x)は、合成ポリマーまたは天然ポリマーの基あるいはそれらの組合せであり、合成ポリマー基の限定されない例はPEG(またはPEO)であり、天然ポリマー基の限定されない例は、1から35個のアミノ酸を含有し、置換および/または欠失を有するNPPCもしくはその変異体に由来するアミノ酸配列、ANP、BNPあるいは他の非CNP(ポリ)ペプチド、例えば血清アルブミン、IgG、ヒスチジンリッチ糖タンパク質、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、亜鉛フィンガー含有ポリペプチド、オステオクリンまたは線維芽細胞増殖因子2(FGF2)である。
【0167】
(z)は、非存在であってよく、あるいは合成ポリマーまたは天然ポリマーの基あるいはそれらの組合せであってよく、合成ポリマー基の限定されない例はPEGであり、天然ポリマー基の限定されない例は、ナトリウム利尿ポリペプチド(例えば、NPPC、CNP、ANPまたはBNP)または非ナトリウム利尿ポリペプチド(例えば、血清アルブミンまたはIgG)に由来するアミノ酸配列であり、
(b)および(h)は、独立して、上記位置で野生型Lysであってもよく、あるいは保存的アミノ酸置換により置き換えられていてもよく、あるいは天然または非天然のアミノ酸あるいは限定するものではないが、Arg、Gly、6−ヒドロキシノルロイシン、シトルリン(Cit)、Gln、GluまたはSerを含む、側鎖に反応性第一級アミンを有さないペプチド模倣体であってもよい。一実施形態において、(b)はArgである。別の実施形態において、NEP耐性の改善のために、(b)はGlyではない。さらに別の実施形態において、(h)はArgではない。
【0168】
NPPCまたはその変異体に由来するアミノ酸配列の限定されない例は、
【0170】
非CNPポリペプチド、例えばANP、BNP、血清アルブミンおよびIgGなどに由来するアミノ酸配列の限定されない例は、
【0172】
ある実施形態において(x)および/または(z)の基を有する任意のCNP変異体の、N末端(x)基および/またはC末端(z)基は、本明細書において記載のように、もしあれば、少数の酸性の天然または非天然アミノ酸(例えば、AspまたはGlu)を含有するアミノ酸配列を独立して含む。別の実施形態において、(x)および/または(z)は、CNP22(pI8.9)のpIと同様のアルカリのpIを維持するために、塩基性の天然または非天然アミノ酸(例えば、Lys、ArgまたはHis)に富んでいる。一実施形態において、CNP変異体のpIは約8から約10.5の範囲であり、CNP変異体が骨成長板の軟骨細胞周辺の細胞外マトリックスを介してより容易に拡散できるように設計される。より狭い範囲の実施形態において、CNP変異体のpIは約8.5から約10.5または約8.5から約10または約9から約10である。
【0173】
まだ別の実施形態において、(x)および/または(z)は極性の天然または非天然アミノ酸に富んでおり、水溶解度を増加するために設計される。さらに別の実施形態において、(x)および/または(z)は、もしあれば、少数の疎水性の天然または非天然アミノ酸(例えば、Ala、Val、Leu、IleまたはMet)を含有する。
【0174】
さらなる実施形態において、CNP変異体のN末端は少なくとも1個のグリシン残基で終結し、血清半減期を増加するために設計される。関連する実施形態において、ピログルタミン酸の形成を防ぐために、CNP変異体のN末端は、グルタミン酸で終結しない場合、グリシン残基で終結する。一実施形態において、(x)基はN末端が少なくとも1個のグリシン残基で終結するアミノ酸の延長を含有する。別の実施形態において、(x)および/または(z)は、2つの隣接する塩基性の天然または非天然アミノ酸(例えば、Lys−LysまたはArg−Arg)を含有せず、プロテアーゼのフューリンによる切断に対する感受性が減少するように設計される。ある実施形態において、(x)は、CNP22のGly1に対応する位置の直前に2つの隣接する塩基性アミノ酸を含有しない。
【0175】
さらに別の実施形態において、CNP変異体の(x)基および/または(z)基は、NPPCに由来するアミノ酸配列(例えば、CNP53由来)を含む。ある実施形態において、(x)は、ANPまたはBNPのN末端テールに由来するアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、(z)は、ANPまたはBNPのC末端テールに由来するアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態において、(x)および/または(z)は、非ナトリウム利尿ポリペプチド、例えば、IgG、ヒト血清アルブミン(HSA)、ヒスチジンリッチ糖タンパク質、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、亜鉛フィンガー含有ポリペプチド、FGF−2および骨ターゲティングタンパク質、(例えば、オステオクリン、オステオポンチン、オステオカルシンおよびシアロタンパク質など)に由来するアミノ酸配列を含む。
【0176】
CNP22またはその変異体が、N末端(x)基および/またはC末端(z)基を有する、本明細書に記載の任意の実施形態において、(x)および/または(z)は、独立して、骨形成タンパク質(BMP)の機能的ドメインに由来するアミノ酸配列を含有することができる。BMPの機能的ドメインに由来するN末端および/またはC末端のアミノ酸延長は、本明細書において全般に記載の範囲、例えば約2.6kDaまたは2.8kDaから約6または7kDaの範囲であることを特徴とするCNP変異体の総質量を増加することによって、NEP耐性およびしたがってCNP変異体の血清半減期を増加させることができる。さらに、特定のBMPは、骨および軟骨の形成を誘導する成長因子およびサイトカインであるので、BMPの機能的ドメインに由来する断片は、CNP22またはその変異体の環状ドメインによりNPR−Bのグアニル酸シクラーゼ機能の活性化とは異なる機序により、軟骨細胞、軟骨または骨の成長を促進できる。骨の形成および発達、軟骨の形成および発達、および/または骨芽細胞分化を促進するBMPの限定されない例は、BMP1、BMP2、BMP3、BMP5、BMP7およびBMP8aを含む。ある実施形態において、CNP22またはその変異体のN末端および/またはC末端は、BMP1、BMP2、BMP3、BMP5、BMP7およびBMP8aのC末端部分の最後の140個のアミノ酸に由来するアミノ酸配列と独立して結合する。
【0177】
一実施形態において、CNP変異体は、CNP22またはCNP17のN末端および/またはC末端におけるアミノ酸延長は、限定するものではないが、
【0179】
別の実施形態において、CNP変異体は、CNP22の4位においてK4R置換を有する。CNP(K4R)変異体の限定されない例は、
【0181】
さらなる実施形態において、CNP変異体は、CNP22またはアミノ酸付加(複数可)、欠失(複数可)および/もしくは置換(複数可)を有するその変異体、ならびにCNP以外のポリペプチドもしくはタンパク質由来、またはCNPペプチドのN末端までの全非CNPポリペプチドもしくはタンパク質由来のペプチド断片を含むキメラであり、CNP22もしくはその変異体は、1つ以上のアミノ酸残基のN末端アミノ酸延長部分を必要に応じて有していてよい。特定の実施形態において、CNPキメラは、1つ以上のアミノ酸残基のN末端アミノ酸延長部分を有するCNP22またはその変異体を含む。特定の実施形態において、CNPキメラは、CNP22(CNP22の場合Gly)またはその変異体の第1位の直前にリシン−リシン(KK)残基またはGANKK残基を含む。他の実施形態において、CNPキメラは、CNP22またはその変異体の第1位の直前にリシン−リシンと異なる1つもしくは2つの残基を含む。CNP22またはその変異体の第1位の直前にあり得る残基の非限定的な例としては、次のものが挙げられる:
【0183】
別の実施形態において、CNP変異体は、CNP22およびN末端ペプチド断片を含むキメラであり、限定するものではないが、
GHHSHEQHPHGANQQGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(類似体CQ)(ヒスチジンリッチ糖タンパク
質(HRGP)断片−CNP22キメラ)(配列番号76);
GAHHPHEHDTHGANQQGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(類似体CR)(HRGP断片−CNP22キメラ)(配列番号77);
GHHSHEQHPHGANPRGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(類似体CX)(HRGP断片−CNP22キ
メラ)(配列番号78);
GQPREPQVYTLPPSGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(類似体CF)(IgG
1(F
c)断片−CNP22キメラ)(配列番号79);
GQHKDDNPNLPRGANPRGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(類似体CY)(ヒト血清アルブミン(HS
A)断片−CNP22キメラ)(配列番号80);
GERAFKAWAVARLSQGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(類似体CE)(HSA断片−CNP22キメ
ラ)(配列番号81);
FGIPMDRIGRNPRGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(類似体CZ)(オステオクリン「NPR C阻害剤」断片−CNP22キメラ)(配列番号82);および
GKRTGQYKLGSKTGPGPKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(類似体DA)(FGF2「ヘパリン結合ドメイン」断片−CNP22キメラ)(配列番号83)
を含む。
【0184】
まだ別の実施形態において、CNP変異体は、N末端ペプチド断片およびアルギニンがCNP22のLys4と置換されたCNP22(「CNP22(K4R)」)を含むキメラであり、限定するものではないが、
GQPREPQVYTGANQQGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(類似体CK)(IgG
1(F
c)断片−CN
P22(K4R)キメラ)(配列番号84);
GVPQVSTSTGANQQGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(類似体CL)(HSA断片−CNP22(K4R)キメラ)(配列番号85);
GQPSSSSQSTGANQQGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(類似体CM)(フィブロネクチン断片−CN
P22(K4R)キメラ)(配列番号86);
GQTHSSGTQSGANQQGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(類似体CN)(フィブリノーゲン断片−CN
P22(K4R)キメラ)(配列番号87);
GSTGQWHSESGANQQGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(類似体CO)(フィブリノーゲン断片−CN
P22(K4R)キメラ)(配列番号88);および
GSSSSSSSSSGANQQGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(類似体CP)(亜鉛フィンガー断片−CNP
22(K4R)キメラ)(配列番号89)
を含む。
【0185】
IgGおよびCNP22またはその変異体を含むキメラは、とりわけ、NEP分解に対する耐性の増加および血清アルブミンに対する結合の減少のために設計される。HSAの表面断片を含むCNPキメラは、とりわけ、免疫原性の減少および血清アルブミンに対する結合の減少のために設計される。陽イオン性、ヒスチジンリッチ、非リジン、非アルギニンである配列をN末端に含有するHRGP−CNP22およびHRGP−CNP22(K4R)のキメラは、とりわけ、プロテアーゼに対する安定性の増加のために設計される。オステオクリン断片を含有するキメラは、プロテアーゼ(例えば、フューリン)による切断に対して、この断片がクリアランス受容体のNPR−Cを阻害すると思われる骨成長板において、オステオクリン断片を放出するために設計される。FGF2ヘパリン結合断片を含むキメラに関して、断片に結合するヘパリンは、キメラを分解から保護するために設計され、その結果、より長い血清半減期を提供する。フィブロネクチン、フィブリノーゲンまたは亜鉛フィンガー断片を含有するキメラは、他の特徴に加えて血清アルブミンに対する結合を減少させるために設計される。
【0186】
理論に縛られることを意図するものではないが、NEP分解に対する耐性が増加し、wtCNP22と比較して同様または改善された機能性(例えば、NPR−Bに対する結合およびcGMPシグナル伝達の刺激)を有する、分子量約2.6kDaまたは2.8kDaから約6または7kDaのCNP変異体は、血清アルブミンなどの血漿タンパク質と堅く結合しない場合、より有効であり得る。血漿タンパク質(例えば、血清アルブミン)と堅く結合しないCNP変異体は、軟骨を介した骨成長板の軟骨細胞に至る拡散およびcGMPシグナル伝達のためのNPR−Bへの結合および活性化においてより有効であり得る。一実施形態において、血漿タンパク質(例えば、血清アルブミン)への結合の減少のために設計されたCNP変異体は、CNP22またはその変異体およびIgG由来のペプチド断片を含むキメラである。別の実施形態において、血漿タンパク質との結合の減少のために設計されたCNP変異体は、CNP22またはCNP22(K4R)およびポリペプチド(例えば、IgG、HSA、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、亜鉛フィンガー含有ポリペプチドなど)由来の断片を含むキメラである。まだ別の実施形態において、血漿タンパク質との結合の減少のために設計されたCNP変異体は、親水性または水溶性のポリマーに結合したCNP22またはその変異体を含む。一実施形態において、親水性または水溶性のポリマーはPEG(またはPEO)である。別の実施形態において、親水性または水溶性のポリマー(例えば、PEG)は、生理的条件下でポリマーに負の電荷を付与する、1つ以上の官能基、例えばカルボキシル基、硫酸基またはリン酸基あるいはそれらの組合せにより官能化される。
【0187】
さらなる実施形態において、本開示のCNP変異体は、ヒトCNP−17(hCNP−17)からヒトCNP−53(hCNP−53)までにおよび、hCNP−53由来の野生型アミノ酸配列を有する短縮型CNPペプチドを含む。そのような短縮型CNPペプチドは、次のものを含む:
【0190】
【化14-3】
。
特定の実施形態において、CNP変異体は、CNP−17、CNP−22およびCNP−53を含まない。
【0191】
他の実施形態において、hCNP−17からhCNP−53までに及ぶ短縮型CNPペプチドは、特定の短縮型CNPペプチドの任意の1つ以上のアミノ酸位置で、本明細書で記載するように、天然もしくは非天然アミノ酸(複数可)またはペプチド模倣体(複数可)(例えば、ペプチド結合イソスター(複数可))によるアミノ酸付加(複数可)、欠失(複数可)および/または置換(複数可)を含み得る。さらに他の実施形態において、野生型配列またはアミノ酸付加(複数可)、欠失(複数可)および/もしくは置換(複数可)を有する短縮型CNPペプチドは、骨または軟骨ターゲティング部分(例えば、ビスホスフォネート、骨または軟骨ターゲティングペプチド配列(例えば、ポリAsp、ポリGlu)、骨タンパク質(例えば、オステオポンチン、オステオカルシン、シアロタンパク質)の骨ターゲティングドメイン由来のペプチド配列、骨形態形成タンパク質(例えば、BMP2、BMP3、BMP5、BMP7、BMP8a)の機能ドメイン由来のペプチド配列、ナトリウム利尿ポリペプチド(例えば、NPPC、ANP、BNP)由来のペプチド配列、非ナトリウム利尿起源のポリペプチド(例えば、血清アルブミン、IgG、ヒスチジンリッチ糖タンパク質、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、亜鉛フィンガー含有ポリペプチド、FGF−2、オステオクリン)由来のペプチド配列、腎クリアランスを減少させる部分(例えば、負に荷電したPEG部分)、親水性ポリマー(例えば、PEG)、炭水化物(例えば、骨成長板における細胞の表面上の受容体により認識される炭水化物)、疎水性酸(例えば、C
5〜C
12カルボン酸、天然脂肪酸)、リン脂質およびそれらの組合せを含むが、これらに限定されない、本明細書で述べた部分のいずれかにN末端、C末端および/または内部部位(複数可)において結合させることができる。1つの実施形態において、野生型配列またはアミノ酸付加(複数可)、欠失(複数可)および/もしくは置換(複数可)を有し、N末端、C末端および/または内部部位(複数可)における1つ以上の部分に必要に応じて結合されている短縮型CNPペプチドは、本明細書で一般的に述べた範囲によって特徴づけられる総質量、例えば、約2.6kDaまたは2.8kDaから約6または7kDaまでの総質量を有する。
【0192】
さらなる実施形態において、CNP変異体はCNP37の誘導体であり、これは、QEHPNARKYKGANKK−CNP22(配列番号60)である。CNP37変異体は、CNP37の37位のいずれか1つ以上において、アミノ酸の付加、欠失および/または天然または非天然アミノ酸またはペプチド模倣体(例えば、ペプチド結合イソスター)との置換を含有し得る。CNP37において実施され得る置換の限定されない例は、CNP22のナンバリングに基づいて、K4R、G5S、G5R、G8S、K10R、G15S、S16Q、M17N、G19Rおよびそれらの組合せを含む。ある実施形態において、CNP37誘導体は、メチオニンの硫黄原子の酸化を避けるために一部設計された、Met17と、天然(例えば、アスパラギン)または非天然アミノ酸あるいはペプチド模倣体との置換を含有する。別の実施形態において、CNP37変異体は、アルブミン結合を減少させるため一部に設計された、(CNP37のN末端からのナンバリングに基づいて)Lys8、Lys10、Lysl4および/またはLys15と、非塩基性の天然または非天然アミノ酸あるいはペプチド模倣体との置換を含有する。
【0193】
さらにまたは代替的には、アミノ酸の付加、欠失、および/または置換のために、CNP37誘導体は、N末端、C末端および/または内部部位において、本明細書に記載の任意の部分に結合でき、これらは限定するものではないが、骨または軟骨ターゲティング部分(例えば、骨ターゲティングペプチドドメイン)、腎クリアランスを減少させる部分(例えば、負に荷電したPEG部分)、親水性ポリマー(例えば、PEG)、1つ以上のアミノ酸を含むアミノ酸配列(例えば、オステオクリン「NPR−C阻害因子」断片)、糖(例えば、骨成長板の細胞表面上の受容体によって認識される糖)、疎水性の酸(例えば、C
5〜C
12のカルボン酸および天然脂肪酸)およびそれらの組合せを含む。
【0194】
1つの実施形態において、CNP変異体は、フューリンプロテアーゼに対するin vivo抵抗性を改善するために設計された、フューリン切断部位(下線部)における変異(複数可)/置換(複数可)を有し、かつ/または血漿安定性を改善し、ピログルタミンの生成を妨げるために設計された、N末端にグリシン(下線部)を含む改変CNP37ペプチドである。そのようなCNP37変異体は、以下のものを含むが、それらに限定されない:
【0196】
さらなる実施形態において、本開示のCNP変異体は、本明細書で記載する融合タンパク質法により製造することができるCNPペプチドおよびその変異体を含む。化学的切断もしくはタンパク質分解切断または自己切断タンパク質(protein self−cleavage)を用いて、本明細書で記載する融合タンパク質法により製造することができるCNP変異体の非限定的な例としては、以下のものが挙げられる:
【0199】
hCNP−17からhCNP−53までにおよび、野生型配列またはアミノ酸付加(複数可)、欠失(複数可)および/もしくは置換(複数可)を有する短縮型CNPペプチドを含む他のCNP変異体も、融合タンパク質の化学的もしくはタンパク質分解切断の意図される部位が標的CNP変異体自体のアミノ酸配列内に存在しない限り、本明細書で記載する融合タンパク質法により製造することができる。非限定的な例として、本明細書で記載する融合タンパク質法は、ギ酸切断を用いて短縮型wtCNP34を製造するのに用いることができる。
【0200】
さらなる実施形態において、アスパラギン(Asn/N)残基(複数可)および/またはグルタミン(Gln/Q)残基(複数可)を有する本明細書で記載するCNPペプチドおよびCNP変異体のいずれかについて、それらが野生型配列または非天然アミノ酸配列を有するかどうかにかかわりなく、任意のAsn残基(複数可)および/または任意のGln残基(複数可)は、例えばAsnのGlnへの保存的置換を含めて、任意の他の天然もしくは非天然アミノ酸で独立に置換することができる。そのような置換(複数可)は、アスパラギンおよび/またはグルタミンの脱アミド化のいかなる可能性を最小限にするまたは避けるために一部は設計されている。例えばAsnのGlnへの保存的置換を含めて、任意のAsn残基(複数可)および/または任意のGln残基(複数可)を任意の他の天然もしくは非天然アミノ酸で独立に置換することができるCNPペプチドおよびCNP変異体の非限定的な例としては、wtCNP34、wtCNP37、Gly−wtCNP37、Pro−wtCNP37、Pro−Gly−wtCNP37、GHKSEVAHRFK−wtCNP27(配列番号144)、Pro−GHKSEVAHRFK−wtCNP27(配列番号188)、PEO12−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)、およびPEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)が挙げられる。特定の実施形態において、本明細書で記載するCNPペプチドおよびCNP変異体のアスパラギン残基は、グルタミン、アスパラギン酸またはグルタミン酸で置換されていない。特定の実施形態において、本明細書で記載するCNPペプチドおよびCNP変異体のグルタミン残基は、アスパラギン、アスパラギン酸またはグルタミン酸で置換されていない。非限定的な例として、Pro−Gly−wtCNP37(PGQEHP
NARKYKGA
NKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC)(配列番号145)のアスパラギン残基7および/または15は、アスパラギン残基(複数可)のアスパラギン酸またはイソアスパラギン酸への脱アミド化のいかなる可能性も避けるために、グルタミンを含む任意の他の天然または非天然アミノ酸で独立に置換することができる。特定の実施形態において、Pro−Gly−wtCNP37のアスパラギン残基7および/または15は、グルタミン、アスパラギン酸またはグルタミン酸で置換されていない。
【0201】
しかし、本開示は、脱アミド化または脱アミド化様反応(例えば、異性化)を受けやすい、いずれか1つ以上(最大ですべて)の残基を、変換される残基につき100%の変換までのいずれかの程度に脱アミド化または脱アミド化様反応により他の残基(複数可)に変換することができるCNP変異体を包含する。特定の実施形態において、本開示は、以下のCNP変異体を包含する:
(1)いずれか1つ以上(最大ですべて)のアスパラギン(Asn/N)残基を、変換される残基につき約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%の変換まで脱アミド化によりアスパラギン酸もしくはアスパルテートおよび/またはイソアスパラギン酸もしくはイソアスパルテートに変換することができる;あるいは
(2)いずれか1つ以上(最大ですべて)のグルタミン(Gln/Q)残基を、変換される残基につき約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%の変換まで脱アミド化によりグルタミン酸もしくはグルタメートおよび/またはイソグルタミン酸もしくはイソグルタメートに変換することができる;あるいは
(3)いずれか1つ以上(最大ですべて)のアスパラギン酸もしくはアスパルテート(Asp/D)残基を、変換される残基につき約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%の変換まで脱アミド化様反応(異性化とも呼ばれている)によりイソアスパラギン酸もしくはイソアスパルテートに変換することができる;あるいは
(4)いずれか1つ以上(最大ですべて)のグルタミン酸もしくはグルタメート(Glu/E)残基を、変換される残基につき約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%の変換まで脱アミド化様反応(異性化とも呼ばれている)によりイソグルタミン酸もしくはイソグルタメートに変換することができる;あるいは
(5)上の組合せ。
【0202】
非限定的な例として、本開示は、Pro−Gly−wtCNP37[PG
QEHP
NARKYKGA
NKKGLSKGCFGLKL
DRIGSMSGLGC](配列番号145)のいずれか1つ以上(最大ですべて)のアスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸および/またはグルタミン酸残基を、上記のように、変換される残基につき約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%の変換まで脱アミド化または脱アミド化様反応によりそれぞれ(1)アスパラギン酸/アスパルテートおよび/またはイソアスパラギン酸/イソアスパルテート、(2)グルタミン酸/グルタメートおよび/またはイソグルタミン酸/イソグルタメート、(3)イソアスパラギン酸/イソアスパルテート、および/または(4)イソグルタミン酸/イソグルタメートに変換することができるCNP変異体を包含する。
【0203】
さらなる例として、本開示は、Pro−Gly−wtCNP37[PG
QEHP
NARKYKGA
NKKGLSKGCFGLKL
DRIGSMSGLGC](配列番号145)のいずれか1つ以上(最大ですべて)のアスパラギンおよび/またはアスパラギン酸残基を、変換される残基につき約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%の変換まで脱アミド化または脱アミド化様反応によりそれぞれ(1)アスパラギン酸/アスパルテートおよび/またはイソアスパラギン酸/イソアスパルテート、および/または(2)イソアスパラギン酸/イソアスパルテートに変換することができるCNP変異体を包含する。
【0204】
他の例として、本開示は、Gly−wtCNP37[G
QEHP
NARKYKGA
NKKGLSKGCFGLKL
DRIGSMSGLGC(配列番号75)]のいずれか1つ以上(最大ですべて)のアスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸および/またはグルタミン酸残基を、変換される残基につき約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%の変換まで脱アミド化または脱アミド化様反応によりそれぞれ(1)アスパラギン酸/アスパルテートおよび/またはイソアスパラギン酸/イソアスパルテート、(2)グルタミン酸/グルタメートおよび/またはイソグルタミン酸/イソグルタメート、(3)イソアスパラギン酸/イソアスパルテート、および/または(4)イソグルタミン酸/イソグルタメートに変換することができるCNP変異体を包含する。
【0205】
さらに他の例として、本開示は、wtCNP37[
QEHP
NARKYKGA
NKKGLSKGCFGLKL
DRIGSMSGLGC(配列番号60)]のいずれか1つ以上(最大ですべて)のアスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸および/またはグルタミン酸残基を、変換される残基につき約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%の変換まで脱アミド化または脱アミド化様反応によりそれぞれ(1)アスパラギン酸/アスパルテートおよび/またはイソアスパラギン酸/イソアスパルテート、(2)グルタミン酸/グルタメートおよび/またはイソグルタミン酸/イソグルタメート、(3)イソアスパラギン酸/イソアスパルテート、および/または(4)イソグルタミン酸/イソグルタメートに変換することができるCNP変異体を包含する。
【0206】
さらなる例として、HSA−wtCNP27キメラ、GHKS
EVAHRFKGA
NKKGLSKGCFGLKL
DRIGSMSGLGC(配列番号144)のいずれか1つ以上(最大ですべて)のアスパラギン、アスパラギン酸および/またはグルタミン酸残基を、変換される残基につき約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%の変換まで脱アミド化または脱アミド化様反応によりそれぞれ(1)アスパラギン酸/アスパルテートおよび/またはイソアスパラギン酸/イソアスパルテート、(2)イソアスパラギン酸/イソアスパルテート、および/または(3)イソグルタミン酸/イソグルタメートに変換することができるCNP変異体を包含する。
【0207】
なおさらなる例として、Pro−HSA−wtCNP27キメラ、PGHKS
EVAHRFKGA
NKKGLSKGCFGLKL
DRIGSMSGLGC(配列番号188)のいずれか1つ以上(最大ですべて)のアスパラギン、アスパラギン酸および/またはグルタミン酸残基を、変換される残基につき約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%の変換まで脱アミド化または脱アミド化様反応によりそれぞれ(1)アスパラギン酸/アスパルテートおよび/またはイソアスパラギン酸/イソアスパルテート、(2)イソアスパラギン酸/イソアスパルテート、および/または(3)イソグルタミン酸/イソグルタメートに変換することができるCNP変異体を包含する。
【0208】
さらに、本開示は、いずれか1つ以上(最大ですべて)のメチオニン(Met/M)残基を、酸化される残基につき約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%の変換まで化学的に実現できる酸化形(例えば、スルホキシドおよび/またはスルホン)に酸化することができるCNP変異体を包含する。
【0209】
別の実施形態において、CNP変異体は、N末端および/またはC末端において細胞膜または細胞障壁を越えた変異体の転座を容易にする部分に結合したCNP22またはその変異体を含む。一実施形態において、CNP変異体はN末端および/またはC末端において、活性ペプチド輸送体経由を含む、細胞膜または細胞障壁を越えた変異体の輸送を容易にするペプチド配列に結合する。
【0210】
さらなる実施形態において、CNP22またはその変異体のN末端および/またはC末端は、化学的部分、例えば、天然および/または合成のポリマーなどに結合し、本明細書において全般に記載の範囲、例えば約2.6kDaまたは2.8kDaから約6または7kDaの範囲である改変CNPペプチドの総質量を増加させる。一実施形態において化学的部分は、生体適合性のある、親水性または水溶性の天然ポリマー(例えば、ペプチド、糖)または合成ポリマー(例えばPEG(またはPEO))である。
【0211】
特定の実施形態において、CNP22またはその変異体のN末端および/またはC末端はPEG(またはPEO)ポリマーに結合し、本明細書において全般に記載の範囲、例えば約2.6kDaまたは2.8kDaから約6または7kDaの範囲であることを特徴とする総質量をもたらす。CNP22またはその変異体のPEG化は、とりわけ、免疫原性の低下および腎クリアランスの減少による半減期の改善およびプロテアーゼ耐性の増加のために設計される。PEG部分は、限定するものではないが、CNP−17(CNP22のCys6〜Cys22の環状部分)、CNP37およびN末端および/またはC末端にアミノ酸延長、アミノ酸置換および/またはアミノ酸欠失を有するCNP17、CNP22またはCNP37の変異体を含む、CNP22または本明細書に記載の任意の変異体のN末端および/またはC末端に結合できる。ある実施形態において、CNP17、CNP22またはCNP37あるいはそれらの変異体のLys4および/またはLys10残基は、天然または非天然アミノ酸(例えば、Arg、Gly、Ser、Gln、GluまたはCit)または側鎖に反応性第一級アミンを含有しないペプチド模倣体により置換され、これらのリジン残基のPEG化の可能性はいずれも排除される。一実施形態において、CNPペプチドのLys4および/またはLys10残基は、Argにより置換される。別の実施形態において、Lys10残基は、Argにより置換されない。
【0212】
さらなる実施形態において、PEG(またはPEO)部分およびN末端におけるアミノ酸延長部分を有するCNP変異体(CNP22およびその変異体を含む)は、CNP22のGly1に対応する位置の直前の位置にアルギニンを含む。そのようなPEG化CNP変異体は、NEP分解に対する抵抗性の増加、血清アルブミンへの結合の低下およびCNP機能活性(例えば、cGMPシグナル伝達の活性化)の増大のために設計されている。PEG化CNP変異体の非限定的な例としては、PEO24が単分散性1.2kDa PEGポリマーであり、PEO12が単分散性0.6kDa PEGポリマーである、
【0213】
【化16-3】
が挙げられる。1つの実施形態において、PEG(またはPEO)ポリマーは、CNP変異体のN末端に結合されている。
【0214】
本開示は、型(例えば、ホモポリマーまたはコポリマー;ランダムコポリマー、交互コポリマーまたはブロックコポリマー;線状または分枝;単分散または多分散)、結合(例えば、加水分解性またはアミド、イミン、アミナール(aminal)、アルキレンまたはエステル結合などの安定性の結合)、結合部位(例えば、N末端および/またはC末端、(CNP22の残基6〜22に対応する)CNPの環状領域中の任意の残基ではないことが好ましい)および長さ(例えば、約0.2、0.4または0.6kDaから約2、3、4または5kDa)を変化させることができる親水性または水溶性ポリマー(例えば、PEG)の使用を企図する。親水性または水溶性ポリマーは、N−ヒドロキシ酸スクシンイミド(NHS)あるいはアルデヒドに基づく化学物質または他の化学物質を用いてCNPペプチドに結合でき、このことは当分野において公知である。このようなCNP変異体は、例えばwtCNP22(2.2kDa)、wtCNP22の環状領域(残基6〜22)のみを保有するCNP17、CNP22またはCNP17のN末端および/またはC末端にアミノ酸延長を有するCNP変異体あるいはアミノ酸の置換、付加および/または欠失を有する変異体、例えば、GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)、GANPR−CNP22(K4R) (配列番号37)、R−CNP22(配列番号40)、R−CNP22(K4R)(配列番号41)、ER−CNP22(配列番号38)、およびER−CNP22(K4R)(配列番号39)などを使用して作製できる。ある実施形態において、本明細書において全般に記載の範囲、例えば約2.6kDaまたは2.8kDaから約6または7kDaの範囲であることを特徴とする総質量を有するPEG−CNP変異体は、NHSまたはアルデヒドに基づく化学物質を介してN末端および/またはC末端に結合する、単分散の線状PEG(またはPEO)部分あるいはNHSに基づく化学物質を介してN末端および/またはC末端に結合する、2アームまたは3アームの分枝PEG部分を含有する。本開示は、腎クリアランスの減少のために設計された、負に荷電したPEG−CNP変異体もまた包含し、限定するものではないが、カルボキシ化、硫酸化およびリン酸化化合物を含む(Caliceti、Adv. Drug Deliv. Rev.、55巻:1261〜77頁(2003年); Perlman, J.Clin. Endo. Metab.、88巻:3227〜35頁(2003年);Pitkin、Antimicrob. Ag. Chemo.、29巻:440〜444頁(1986年);Vehaskari,Kidney Int’l、22巻:127〜135頁(1982年))。一実施形態において、PEG(またはPEO)部分は、カルボキシル基、硫酸基および/またはリン酸基を含有する。
【0215】
他の実施形態において、本明細書で記載するCNP変異体のN末端、C末端および/または内部部位(複数可)に結合したPEG(またはPEO)部分は、生理的条件下で正に荷電する1つ以上の官能基を含む。そのようなPEG部分は、とりわけ、そのようなPEG化CNP変異体の軟骨組織への分布を改善するために設計されている。1つの実施形態において、そのようなPEG部分は、1つ以上の第一級、第二級もしくは第三級アミノ基、第四級アンモニウム基および/または他のアミン含有(例えば、尿素)基を含む。
【0216】
ある実施形態において、本開示は、式(CH
2CH
2O)
nのPEG(またはPEO)に、NHSまたはアルデヒドに基づく化学物質を介して結合するCNP22またはその変異体を包含し、式中、nは約6から約100までの整数であり、PEGポリマーは、約0.3kDaから約5kDaまでである。別の実施形態において、nは、約12から約50までの整数であり、PEGポリマーは約0.6kDaから約2.5kDaまでである。まだ別の実施形態において、nは、約12から約24までであり、PEGポリマーは約0.6kDaから約1.2kDaまでである。さらに別の実施形態において、PEGポリマーの末端ヒドロキシル基は、非反応性基により覆われている。特定の実施形態において、末端を覆っている基はアルキル基、例えばメチルなどの低分子アルキル基である。
【0217】
さらなる実施形態において、本開示は、1つ以上のペプチド結合または中性エンドペプチダーゼ(NEP)を含むペプチダーゼによる切断に対する感受性が減少したペプチド結合イソスターを有するCNP変異体を提供する。NEPは、高分子疎水性残基のアミノ末端において、基質のペプチド結合を切断する、膜結合亜鉛依存性エンドペプチダーゼである。したがって、非天然のペプチドまたは非ペプチド結合に対する、NEPに関する切断部位におけるペプチド結合の改変は、NEP切断の有効性をなくす、または減少させることができる。
【0218】
ANPおよびCNPに関しては、NEPによる切断が、まず環状領域内のCys6−Phe7結合に発生し、その後構造の残りの他のいたるところにおいて発生することが報告されている。BNPに関しては、切断はまずペプチドのN末端において発生し、その後環状構造内において発生することが報告されている。CNP上の第1のNEP切断部位は、Cys6−Phe7結合であることが報告されているが、wtCNP22がin vitroで2.5分NEP消化に曝露された場合、すべての候補部位は予想に反して加水分解され、Cys6−Phe7およびGly8−Leu9のペプチド結合は、実施例2に記載のように、若干最も不安定であった。
【0219】
NEPの基質特異性は、2つの基質結合サブ部位、S1’およびS2’により主に決定される(Oefner ら、J. Mol. Biol. 296巻:341〜349頁(2000年))。S
1’部位は、N末端ペプチド結合が加水分解される高分子の疎水性P1’残基(例えば、Phe、Leu、IleおよびMet)を受容する。S2’部位は、一般的により低分子の残基が好ましく、P2’(例えば、GlyまたはSer)と呼ばれる。CNPの場合、Phe7は、NEPのS1’部位に関して好ましいP1’残基であるが、一方Gly8は、S2’部位に関して好ましいP2’残基であることが報告されている。これらの2つのサブ部位は、特定の総サイズの側鎖とだけ一緒になって適合するので、CNPのP1’−P2’残基の総サイズの増加はいずれもNEP結合を崩壊させ得る可能性がある。例えば、P1’ Phe7芳香族環の3位における塩素原子の付加(すなわち、3−Cl−Phe7)は、CNPと、NEP切断部位、例えばS1’サブ部位との間の相互作用を改変(例えば、安定性を損なう)し得る可能性がある。3級ブチル基の、より低分子のP2’残基のGly8への付加(すなわちtBu−Gly8)は、CNPと、S2’サブ部位との相互作用を崩壊し得る可能性がある。
【0220】
したがって、一実施形態において、本開示のCNP変異体は、活性部位において基質認識に干渉し、NEP切断に対する感受性を減少させるために、Phe7−Gly8などのサイズが大きくなったP1’−P2’残基を有するCNPを含む。天然アミノ酸、非天然アミノ酸および/またはペプチド模倣体部分は、限定するものではないが、Phe7、Leu9、Leu11、Ile14、Met17およびLeu20を含む、1つ以上の大きなP1’疎水性残基および/または限定するものではないが、Cys6、Gly8、Gly15、Ser16およびGly19を含む、1つ以上のより小さなP2’残基に置換される。
【0221】
本開示は、基質認識および/またはNEPよる切断に関連する少なくとも1つの残基に、少なくとも1つの改変アミノ酸および/または少なくとも1つの改変ペプチド結合を含むCNP変異体を包含し、改変アミノ酸および改変ペプチド結合は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、ペプチド模倣体および/またはペプチド結合イソスターであり得る。一実施形態において、Cys6とPhe7との間のCNP上のNEP切断部位は改変される。関連する実施形態において、Cys6とPhe7との間のペプチド結合(−C(=O)−NH−)は、以下のペプチド結合イソスター:
−CH
2−NH−、
−C(=O)−N(R)−、式中、アミド基は以下の任意のR基によりアルキル化される:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、
−C(=O)−NH−CH
2−、
−CH
2−S−、
−CH
2−S(O)
n−、式中nは1または2である、
−CH
2−CH
2−、
−CH=CH−、
−C(=O)−CH
2−、
−CH(CN)−NH−、
−CH(OH)−CH
2−、
−O−C(=O)−NH−または
−NHC(=O)NH−
の1つと置き換えられる。
【0222】
別の実施形態において、CNP変異体は、式:
(x)−Gly
1−Leu
2−Ser
3−Lys
4−Gly
5−(b)
6−(c)
7−(d)
8−Leu
9−Lys
10−Leu
11−Asp
12−Arg
13−Ile
14−Gly
15−Ser
16−Met
17−Ser
18−Gly
19−Leu
20−Gly
21−Cys
22−(z)(配列番号90)で表され、
式中、
(x)および(z)は独立して、非存在であってもよく、あるいは合成骨ターゲティング化合物、例えばビスホスホネート;骨または軟骨ターゲティングに有用なアミノ酸配列、例えば、ポリAspおよびポリGlu;骨タンパク質の骨ターゲティングドメインに由来するアミノ酸配列、例えばオステオポンチン、オステオカルシンおよびシアロタンパク質など(Wangら、Adv. Drug Delivery Rev.、57巻:1049〜76頁(2005年)
);腎クリアランスを減少させるポリマー分子および非ポリマー分子、例えば、負に荷電したPEGなど;ならびに天然ポリマー(例えば、アミノ酸、脂肪酸および/または糖を含有するもの)およびCNP変異体の総質量を、本明細書において全般に記載の範囲、例えば約2.6kDaまたは2.8kDaから約6または7kDaの範囲に増加させることによってNEP分解に対するCNP変異体の耐性を増加させる合成ポリマー(例えば、PEG);からなる群から選択されてもよく;
(b)および(c)は、野生型Cys6およびPhe7、別の天然アミノ酸または非天然アミノ酸であってもよく、あるいはNEP切断に対する耐性を増加させるために本明細書に記載のペプチド結合イソスターを含有してもよく;
(d)は、野生型Gly8であってもよく、あるいはNEPへの結合を減少させるためにより高分子の天然または非天然(例えば、t−Bu−Gly)アミノ酸またはペプチド模倣体であってもよい。
【0223】
一実施形態において、このようなCNP変異体は、(b)、(c)および/または(d)に少なくとも1つの改変アミノ酸を含有する。
【0224】
Gly8−Leu9、Lys10−Leu11、Arg13−Ile14、Ser16−Met17およびGly19−Leu20の各結合を含む、CNP内の他のペプチド結合は、CNP22またはその変異体がNEP耐性ペプチド結合またはペプチド結合イソスターをCys6−Phe7に有していたとしても、切断され得る。したがって、本開示は、ペプチド結合イソスターを、Cys6−Phe7に加えて1つ以上の他のNEP切断部位に有するCNP変異体を包含し、ペプチド結合イソスターは、本明細書に記載のものを含む。
【0225】
別の実施形態において、本開示は、限定するものではないが、ホモシステイン、ペニシラミン、2−メルカプトプロピオン酸および3−メルカプトプロピオン酸を含む、システイン類似体を、Cys6および/またはCys22に有するCNP変異体を包含する。ある実施形態において、このようなCNP変異体は、野生型Cys6または類似体とCys22または類似体との間のジスルフィド結合により形成された環状ドメインを有する。
【0226】
まだ別の実施形態において、CNP22またはその変異体の1つまたはすべての残基までの複数の残基は、D−アミノ酸により置換される。L−アミノ酸のD−アミノ酸による置換は、側鎖をそのもともとの位置から本質的に約120°動かし、その結果、CNPペプチドとNEPとの結合を崩壊させる可能性がある。具体的な実施形態において、Phe7のL−Pheは、そのD−光学異性体のD−Pheで置換される。
【0227】
さらに別の実施形態において、βアミノ酸、例えば、3−アミノ−2−フェニルプロピオン酸(または2−フェニル−β−アラニン)により、野生型αアミノ酸のPhe7が置き換えられる。βアミノ酸の使用は、1つのメチレン単位によりペプチド骨格の長さを有効に延長する。プロテアーゼ耐性は、基質立体配座の変化またはアミノ酸側鎖間の距離の増加によりもたらされ得る。
【0228】
非天然α−アミノ酸、β−アミノ酸またはペプチド結合イソスターを有するCNP22の変異体の限定されない例は、
【0230】
さらなる実施形態において、CNP変異体は、本明細書において全般に記載の範囲、例えば約2.6kDaまたは2.8kDaから約6または7kDaの範囲であることを特徴とする総質量を有し、NEP分解に対する耐性を増加するために設計され、式:
(x)−Gly
1−Leu
2−Ser
3−(a)
4−Gly
5−(b)
6−(c)
7−(d)
8−(e)
9−(f)
10−(g)
11−Asp
12−Arg
13−(h)
14−Gly
15−Ser
16−(i)
17−Ser
18−Gly
19−(j)
20−Gly
21−Cys
22−(z)(配列番号46)で表され、式中、
(x)および(z)は独立して、非存在であってもよく、あるいは合成骨ターゲティング化合物、例えばビスホスホネート;骨または軟骨ターゲティングに有用なアミノ酸配列、例えば、ポリAspおよびポリGluなど;骨タンパク質の骨ターゲティングドメインに由来するアミノ酸配列、例えばオステオポンチン、オステオカルシンおよびシアロタンパク質など;腎クリアランスを減少させるポリマー部分および非ポリマー部分、例えば、負に荷電したPEGなど;アミノ酸、疎水性酸および/または糖を含有するポリマー;ならびに合成親水性ポリマー、例えば、PEGなど;からなる群から選択されてもよく;
(a)は、上記位置において野生型Lysであってよく、あるいは保存的アミノ酸置換または天然もしくは非天然アミノ酸または側鎖に反応性第一級アミンを有さないペプチド模倣体によって置き換えられてもよく、限定するものではないが、Arg、Gly、6−ヒドロキシノルロイシン、シトルリン(Cit)、Gln、SerまたはGluを含み、ここで一実施形態において、(a)はArgであり;
(b)は、CysおよびCys6とPhe7との間のペプチド結合イソスター、例えば、Cys−CH
2−NHからなる群から選択され;
(c)は、L−Phe;D−Phe;3−アミノ−2−フェニルプロピオン酸;N−アルキル基が、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルであるPheのN−アルキル化誘導体;ならびにPhe類似体のベンゼン環の1つ以上のオルト、メタおよび/またはパラ位が、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、線状もしくは分枝C
1〜6アルキル、線状もしくは分枝C
1〜6アルコキシ、線状もしくは分枝ハロ−C
1〜6アルキル、C
3〜10シクロアルキル、ヘテロシクリル、C
6〜14アリールおよびヘテロアリール(限定するものではないが、例は、チロシン、3−クロロフェニルアラニン、2,3−クロロフェニルアラニン、3−クロロ−5−フルオロ−フェニルアラニン、2−クロロ−6−フルオロ−3−メチル−フェニルアラニンを含む)からなる群から選択される1つ以上の置換基により置換されているか、あるいはPhe類似体のベンゼン環が、別のアリール基(限定されない例は、1−および2−ナフチルアラニンを含む)またはヘテロアリール基(限定されない例は、ピリジルアラニン、チエニルアラニンおよびフリルアラニンを含む)により置き換えられ得るPhe類似体;からなる群から選択され、
(d)は、Gly、tert−ブチル−Gly(tBu−Gly)、Thr、Ser、ValおよびAsnからなる群から選択され;
(e)は、Leu、Ser、Thrおよび例えばN−Me−Leuなどのペプチド結合イソスターからなる群から選択され;
(f)は、上記位置において野生型Lysであってよく、あるいは保存的アミノ酸置換または天然もしくは非天然アミノ酸または側鎖に反応性第一級アミンを有さないペプチド模倣体によって置き換えられてもよく、限定するものではないが、Arg、Gly、6−ヒドロキシノルロイシン、シトルリン(Cit)、Gln、SerまたはGluを含み、一実施形態において、(f)はArgではない;
(g)は、Leuおよび例えばN−Me−Leuなどのペプチド結合イソスターからなる群から選択され;
(h)は、Ile、tBu−GlyおよびN−Me−Ileなどのペプチド結合イソスターからなる群から選択され;
(i)は、Met、Val、Asn、β−Cl−Ala、2−アミノ酪酸(Abu)および2−アミノイソ酪酸(Aib)からなる群から選択され;
(j)は、Leu、ノルロイシン(Nle)、ホモロイシン(Hleu)、Val、tert−ブチル−Ala(tBu−Ala)、Ser、Thr、Argおよび例えばN−Me−Leuなどのペプチド結合イソスターからなる群から選択される。
【0231】
別の実施形態において、CNP変異体は、本明細書において全般に記載の範囲、例えば約2.6kDaまたは2.8kDaから約6または7kDaの範囲であることを特徴とする総質量を有し、NEP切断に対する耐性を増加するために設計され、式:
(x)−Gly
1−Leu
2−Ser
3−(a)
4−Gly
5−(b)
6−(c)
7−(d)
8−(e)
9−(f)
10−(g)
11−Asp
12−Arg
13−(h)
14−(i)
15−Ser
16−(j)
17−Ser
18−Gly
19−(k)
20−Gly
21−Cys
22−(z)(配列番号143)で表され、式中、
(x)および(z)は独立して、非存在であってもよく、あるいは合成骨ターゲティング化合物、例えばビスホスホネートなど;骨または軟骨ターゲティングに有用なアミノ酸配列、例えば、ポリAspおよびポリGluなど;骨タンパク質の骨ターゲティングドメインに由来するアミノ酸配列およびそれらの誘導体、例えばオステオポンチン、オステオカルシンおよびシアロタンパク質などの融合タンパク質またはペプチド配列;限定するものではないが、親水性または水溶性ポリマー例えば、荷電PEG分子などを含む、腎クリアランスを減少させる部分、ならびに、例えばPEG、アミノ酸、糖および/または疎水性の酸を含む部分;からなる群から選択されてもよく;
(a)は、上記位置において野生型Lysであってよく、あるいは保存的アミノ酸置換または天然もしくは非天然アミノ酸または側鎖に反応性第一級アミンを有さないペプチド模倣体によって置き換えられてもよく、限定するものではないが、Arg、Gly、6−ヒドロキシノルロイシン、シトルリン(Cit)、Gln、SerまたはGluを含み、一実施形態において、(a)はArgであり;
(b)は、CysおよびCys6とPhe7との間のペプチド結合イソスター、例えば、Cys−CH
2−NHからなる群から選択され;
(c)は、L−Phe;D−Phe;3−アミノ−2−フェニルプロピオン酸;N−アルキル基が、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルであるPheのN−アルキル化誘導体、;ならびにPhe類似体のベンゼン環の1つ以上のオルト、メタおよび/またはパラ位が、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、線状もしくは分枝C
1〜6アルキル、線状もしくは分枝C
1〜6アルコキシ、線状もしくは分枝ハロ−C
1〜6アルキル、C
3〜10シクロアルキル、C
6〜14アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール(限定するものではないが、例は、チロシン、3−クロロフェニルアラニン、2,3−クロロフェニルアラニン、3−クロロ−5−フルオロ−フェニルアラニン、2−クロロ−6−フルオロ−3−メチル−フェニルアラニンを含む)からなる群から選択される1つ以上の置換基により置換されているか、あるいはPhe類似体のベンゼン環が、別のアリール基(限定されない例は、1−および2−ナフチルアラニンを含む)またはヘテロアリール基(限定されない例は、ピリジルアラニン、チエニルアラニンおよびフリルアラニンを含む)により置き換えられ得るPhe類似体;からなる群から選択され、;
(d)は、Gly、tert−ブチル−Gly、Thr、Ser、ValおよびAsnからなる群から選択され;
(e)は、Leu、Ser、Thrおよび例えばN−Me−Leuなどのペプチド結合イソスターからなる群から選択され;
(f)は、Lys、Arg、Gly、6−ヒドロキシノルロイシン、シトルリン(Cit)、GlnおよびSerからなる群から選択され;
(g)は、Leu、Asnおよび例えばN−Me−Leuなどのペプチド結合イソスターからなる群から選択され;
(h)は、Ile、tert−ブチル−Gly(tBu−Gly)、Asnおよび例えばN−Me−Ileなどのペプチド結合イソスターからなる群から選択され;
(i)は、Gly、Arg、SerおよびAsnからなる群から選択され;
(j)は、Met、Val、Asn、β−Cl−Ala、2−アミノ酪酸(Abu)および2−アミノ−イソ酪酸(Aib)からなる群から選択され;
(k)は、Leu、ノルロイシン(Nle)、ホモロイシン(Hleu)、Val、tert−ブチル−Ala(tBu−Ala)、Arg、Thr、Serおよび例えばN−Me−Leuなどのペプチド結合イソスターからなる群から選択される。
【0232】
CNP変異体の、骨関連障害(例えば、骨系統疾患)の標的部位への送達を改善するために、CNP変異体は、骨または軟骨ターゲティング部位に(例えば、N末端および/またはC末端で)結合することができる。骨または軟骨ターゲティング部位の限定されない例は、ビスホスホネート;ヒドロキシアパタイト;グルコサミン;コラーゲン(例えば、X型コラーゲン);ポリAsp;ポリGlu;および骨タンパク質の骨ターゲティングドメインに由来するアミノ酸配列、例えば、オステオクリン、オステオポンチン、オステオカルシンおよびシアロタンパク質などを含む。
【0233】
NEP切断に対する感受性が低下することに加えて、CNP変異体は、NPR−Cクリアランス受容体に対する親和性が低下する可能性があるが、一方、CNPの機能性は保有する。NEPにより仲介される分解のほかに、CNP22の半減期は、クリアランス受容体のNPR−Cにより影響され、NPR−Bの細胞外ペプチド結合ドメインと58%の配列相同性を共有する。CNP22は、NPR−B(親和性7〜30pM)と堅く結合するだけではなく、NPR−C(11〜140pM)とも堅く結合する(Bennett, B.D.ら、J. Biol. Chem.、266巻:23060〜67頁(1991年);Koller K. J.& Goeddel, D.V.、Circulation、86巻:1081〜88頁(1992年);Suga, S.ら、Endocrinology、130巻:229〜39頁(1992年))。NPR−Bの結晶構造は未だに報告されていないにもかかわらず、NPR−CとNPR−Aとの結晶構造の間の配列相同性ならびに類似性(He,X. −L.ら、Science、293巻(5535号):1657〜62頁(2001年);Ogawa, H.ら、J. Biol. Chem.、279巻(27号):28625〜31
頁(2004年);He,X.−L.、J. Mol. Biol.、361巻(4号):698〜714頁(
2006年))は、NPR−Bにより、全体的な構造の折りたたみが類似であると推定されることを示唆している。
【0234】
したがって、NPR−B相同モデルは、構造に基づく配列アライメントおよび以下の関連系:NPR−Cに結合したCNP、NPR−Aに結合したANPおよびNPR−Cに結合したANP、の結晶構造に基づいて構築された(He, X.−L.ら、Science、293巻(5535号):1657〜62頁(2001年);Ogawa, H.ら、J. Biol.Chem.、279巻(27号):28625〜31頁(2004年);He, X.−L.、J. Mol. Biol.、361巻(4号):698〜714頁(2006年))。受容体が、結合したペプチドの立体配座を決定すると思われるという観察およびNPR−Bが一次構造および機能特性に関して最もNPR−Aに近いという観察に基づいて、NPR−B/CNPの相同モデルを、NPR−A/ANP結晶構造をモデルとして用いて構築した。CNP変異体の公開されたシグナル伝達データ(米国特許第5,434,133号および米国特許出願第2004/0138134A1号)およびもはやNPR−Cに結合していないANP変異体の公開されたシグナル伝達データ(Cunningham、EMBO13巻(11号)2508〜15頁、1994年)を使用して、NPR−B/CNPモデルを改良し、解明した。
【0235】
本開示は、NPR−B/CNP複合体の相同性に基づく構造モデルに基づいて、NPR−Bの選択性の改善のために設計されたCNP変異体を包含する。公開され機能データを有する様々な受容体に結合したナトリウム利尿ペプチドの、実験的構造データおよびコンピュータ的な構造データを組み合わせることにより、NPR−Bに結合し続けるが、NPR−Cクリアランス受容体に対する親和性が低下し得る可能性のあるCNP変異体を作製した。例えば、NPR−Cは、ペプチド結合部位のループ構造中に唯一の挿入を有し、そのループ残基を、NPR−AおよびNPR−B中のそれぞれのループ残基と比較して、CNP Gly8(またはANP Gly9)のようなペプチド残基により近く配置している。先行する研究は、ANPにおけるG9T変異が、NPR−Cに対する親和性の低下に寄与し、その結果、NPR−Aの選択性が改善されることを示した(Cunningham、EMBO J.、13巻(11号):2508〜15頁(1994年))。したがって、CNP変異体を、対応するGly8残基を、より高分子の残基(Ser、Val、ThrまたはAsn)に置き換えて作製し、CNPとNPR−Cとの結合を、NPR−Bに対する結合に影響を与えることなく崩壊させた。さらに、1つ以上の変異を、受容体/ペプチド複合体の詳細な構造解析に基づいて、受容体特異的残基と相互作用することが予測される、Gly15からGly21を包含するCNPのC末端に導入した。例えば、CNP22中のG19Rの変異は、NPR−Bシグナル伝達活性の有意な喪失をもたらさない。しかし、この変異は、近隣残基の立体配座を変えることなく、NPR−C/CNPの利用可能な結晶構造にモデル化できない。これらの観察は、G19Rの変異が、CNPと、特定の受容体、例えばNPR−Cとの結合を選択的に崩壊させ得ることを示唆する。
【0236】
ある実施形態において、CNP変異体は、1、5、8、15、19および21位の1つ以上のGly部位に置換を有し、立体配座の柔軟性を低下させ、その結果受容体の特異性を増加させる。NPR−CおよびNPR−Aに結合したANPの結晶構造の比較分析(Ogawa, H.ら、J. Biol. Chem.、279巻:28625〜31頁(2004年);He,X.−L.、J. Mol.Biol.、361巻:698〜714頁(2006年))は、ANPの立体配座の柔軟性が、受容体の選択性の決定において非常に重要な役割を果たし得ることを示す。
【0237】
一実施形態において、NPR−Cに対する親和性が低下した可能性のある、機能性CNP変異体は、以下のアミノ酸置換の1つ以上を有する:G1R、G1E、G5R、G5Q、G5S、F7Y、G8T、G8S、G8V、G8N、L9S、L9T、K10Cit、K10Q、K10S、I14N、G15R、G15S、G15N、G15Cit、S16Q、M17V、M17N、G19S、G19R、G19N、L20V、L20R、L20T、L20S、G21S、G21TおよびG21R。ある実施形態において、CNP変異体は、1、5、7、8、9、10、14、15、16、17、19、20および/または21位にマルチポイントの置換を有し、場合により変異体のペプチド配列の任意の他の位置に改変を有することができる。
【0238】
さらなる実施形態において、本明細書に記載のCNP変異体は、N末端、C末端および/または内部部位において、本明細書において全般に記載の範囲、例えば約2.6kDaまたは2.8kDaから約6または7kDaの範囲であることを特徴とする総質量までの部分に結合し、骨/軟骨ターゲティングを容易にし、NPR−Cおよび腎クリアランスを減少させ、NEP分解に対する耐性を増加させ、および/またはCNPの機能性を改善させることができる。一実施形態において、CNP変異体は、環状領域(CNP22のCys6からCys22に対応する)内のポリマー部分に結合されない。CNP変異体に結合できるポリマー部分または非ポリマー部分の限定されない例は、合成骨ターゲティング化合物、例えばビスホスホネート;骨/軟骨ターゲティングペプチド配列、例えば、ポリAspおよびポリGluなど;骨タンパク質の骨ターゲティングドメインに由来するペプチド配列、例えばオステオポンチン、オステオカルシンおよびシアロタンパク質など;骨形成タンパク質の機能ドメインに由来するペプチド配列、例えば、BMP2、BMP3、BMP5、BMP7およびBMP8aなど;ナトリウム利尿起源のポリペプチドに由来するペプチド配列、例えば、NPPC、ANPおよびBNPなど;他の天然ポリマーまたは非ポリマー部分、例えば、糖、脂肪酸およびリン脂質;生体適合性合成親水性ポリマー、例えば、PEG(またはPEO)など;疎水性のポリマー部分または非ポリマー部分、例えば、ヘプタン酸およびペンタン酸;およびそれらの組合せを含む。
【0239】
本明細書で記載するCNP変異体は、例えば、cGMP産生およびシグナル伝達の刺激に関して、CNP22と実質的に同様またはより良好な機能活性を有し得る。1つの実施形態において、CNP変異体は、wtCNP22の同じ濃度(例えば、1uM)のもとで産生されるcGMPレベルの少なくとも約50%の産生をin vitroまたはin vivoで刺激する。特定の実施形態において、CNP変異体は、野生型CNP22のin vitroまたはin vivoでのcGMP刺激活性の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%を保持している。他の実施形態において、CNP変異体は、CNP22と比較して改善されたcGMP刺激活性を有する。特定の実施形態において、CNP変異体は、wtCNP22の同じ濃度(例えば、1uM)のもとで産生されるcGMPレベルの少なくとも約110%、120%、130%、140%、150%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%またはそれを超える産生をin vitroまたはin vivoで刺激する。
【0240】
米国特許第5,434,133号、米国特許第6,034,231号、米国特許第6,020,168号、米国特許第6,743,425号、米国特許第7,276,481号、国際公開第94/20534号、国際公開第02/047871号、国際公開第2005/098490号、国際公開第2004/047871号、欧州特許第0497368号、欧州特許第0466174号およびFuruyaら、Biochem. Biophys. Res. Comm.、183巻、964〜969頁(1992年)を含むが、これらに限定されない、本明細書で参照した以前の刊行物のいずれかにおける、具体的に開示されたナトリウム利尿(例えば、CNP)ペプチド、断片および変異体のいずれか、および実際に製造されたナトリウム利尿(例えば、CNP)ペプチド、断片および変異体のいずれかは、本開示から必要に応じて除外される。そのようなすべての文書は、それらの全体として参照により本明細書に組み込まれている。
【0241】
1つの実施形態において、本開示は、ヒト起源および非ヒト起源のすべての公知の野生型CNP−53、野生型CNP−22、野生型CNP−17、野生型BNPおよび野生型ANPを必要に応じて除外する。例えば、一実施形態において、本開示は、ヒトCNP−17、ヒトCNP−22、ニワトリCNP−22(hCNP−22(Leu9Val)に対応する)、マスおよびウナギCNP−22(hCNP−22(Leu2Trp、Ser3Asn、Lys4Arg)に対応する)、カエルCNP22−I(hCNP−22(Leu2Tyr、Lys4Arg、Leu9Val、Ser16Ala、Met17Phe)に対応する)、カエルCNP22−II(hCNP−22(Leu2Thr、Ser16Ala)に対応する)、ヒトCNP−53ならびにブタおよびラットCNP−53(hCNP−53(Gln17His、Ala28Gly)に対応する)を必要に応じて除外する。他の実施形態において、本開示は、ヒトおよび非ヒト動物においてin vivoでのタンパク質分解切断により産生されるNPPC、プロCNPおよびCNP−53の断片を必要に応じて除外する。さらにまた他の実施形態において、野生型ヒトCNP−53の次の短縮型断片を本開示から必要に応じて除外する:CNP−50、CNP−46、CNP−44、CNP−39、CNP−30、CNP−29、CNP−28、CNP−27およびCNP−26。
【0242】
さらなる実施形態において、本開示は、以下のものを含む、サメ種Triakis scylliaおよびScyliorhinus caniculaから単離または探索されたCNPペプチドおよびそれらの断片(例えば、M. Takanoら、Zool. Sci.、11巻、451〜454頁(1994年)参照)を必要に応じて除外する:
【0244】
他の実施形態において、以下のものを含む、サメ種Lamna ditropisから単離または探索されたCNPペプチドおよびそれらの断片(例えば、M. Takanoら、Zool. Sci.、11巻、451〜454頁(1994年)参照)を本開示から必要に応じて除外する:
【0246】
さらに他の実施形態において、以下のものを含む、サメ種Squalus acanthiasから単離されたCNPペプチドおよびそれらの断片(例えば、M. Takanoら、Zool. Sci.、11巻、451〜454頁(1994年)参照)を本開示から必要に応じて除外する:
【0248】
さらなる実施形態において、本開示は、K. Inoueら、Proc. Nat. Acad. Sci.、100巻(17号)、10079〜10084頁(2003年)において「CNP−1」、「CNP−2」、「CNP−3」および「CNP−4」と呼ばれているメダカおよびフグから単離された以下のCNPペプチドを必要に応じて除外する:
【0250】
なおさらなる実施形態において、G. de Platerら、Toxicon.、36巻(6号)、847〜857頁(1998年)において「ovCNP−39」および「ovCNP−39(18〜39)」と呼ばれているplatypus venomから単離された以下のCNP−39およびそのCNP−22断片を本開示から必要に応じて除外する:
【0252】
他の実施形態において、本開示は、米国特許公開第2007/0197434号に具体的に開示されている以下のペプチドを必要に応じて除外する:
【0254】
なおさらなる他の実施形態において、本開示は、米国特許公開第2007/0197434号に一般的に開示されている配列番号10のペプチドを必要に応じて除外し、そのようなペプチドは、4、5、6、11、12、14および/または15位に特定の天然アミノ酸置換(複数可)を有するCNP−17変異体である。さらに他の実施形態において、hCNP−53(Ser47Ala)、hCNP−53(Met48Gln)、hCNP−53(Met48Ala)およびhCNP−53(C末端)−Asn−Ser−Phe−Arg−Tyrに対応するペプチドを必要に応じて除外する。
【0255】
ある実施形態において、本開示は、米国特許第7,276,481号に具体的に開示の配列番号1〜4および6〜71のペプチドを、場合により除外する。別の実施形態において、本開示は、米国特許第7,276,481号に一般的に開示された配列番号5のペプチドを場合により除外し、このようなペプチドは、Leu9、Lys10、Leu11、Ser16、Met17、Gly19および/またはLeu20において少なくとも1つの天然アミノ酸置換を有するCNP17変異体である。さらに別の実施形態において、CNP17またはその変異体がN−Me−Phe7またはN−Me−Phe7とN−Me−Leu11とを含有するCNP17変異体を、場合により除外する。さらなる実施形態において、本開示は、米国特許第7,276,481号に開示の、配列番号5のCNP17変異体を場合により除外し、これらは成長ホルモン(GH)、インスリン様成長因子1(IGF−1)または甲状腺ホルモン(TH)に融合または結合する。さらに別の実施形態において、CNP22がGH、IGF−1またはTHと融合する、あるいはリンカー(例えば、ペプチドリンカー)を介してGH、IGF−1またはTHに結合する、CNP22変異体を、場合により除外する。さらに別の実施形態において、CNP17またはその変異体が、N末端またはC末端においてビオチンまたはフルオレセインに結合するCNP17変異体を、場合により排除する。
【0256】
さらなる実施形態において、本開示は、米国特許第5,434,133号に具体的に開示された、化合物番号1〜27および配列番号1〜17、22〜24、30、31および40〜42のペプチドを、場合により除外する。別の実施形態において、本開示は、米国特許第5,434,133号に一般的に開示された配列番号18〜21および25〜29のペプチドを場合により除外する。さらに別の実施形態において、本開示は、WO94/20534号に具体的に開示された配列番号1〜4および9のペプチドを、場合により除外する。
【0257】
しかし、一部の実施形態において、本開示は、本明細書において場合により除外されたナトリウム利尿(例えば、CNP)ペプチド、断片および変異体の使用方法、ならびにナトリウム利尿(例えば、CNP)ペプチド、断片および変異体を含む医薬組成物(滅菌医薬組成物を含む)は、依然として包含する。
【0258】
C.CNP変異体の合成および精製
一部の実施形態において、本明細書中に記載されるCNP変異体は、特定の実施形態における当該分野において公知の特定の技術を使用して、組換え体の発現を介して生産される。例えば、Sambrook, Fritsch & Maniatis, Molecular Cloning: A LaboratoryManual, Second Edition. Cold Spring Harbor Laboratory Press(Cold Spring Harbor、N.Y.(1989年)); DNA Cloning: A Practical Approach、I およびII巻、D. N. Glover、編(1985年);およびCurrentProtocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons, Inc.(1994年)を参照されたい。
【0259】
特定の実施形態において、本明細書で記載するCNP変異体は、切断可能なペプチドもしくはタンパク質をコードする第2のポリヌクレオチドに連結された、CNP変異体ポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチドを含む宿主細胞を、該ポリヌクレオチドによりコードされる融合ポリペプチドの発現をもたらす条件下で培地中で培養するステップを含む組換え法により産生させるものであり、該融合ポリペプチドは、切断可能なペプチドもしくはタンパク質に直接的に連結された、またはリンカーを介してそれに間接的に連結されたCNP変異体ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、宿主細胞を、切断可能なペプチドもしくはタンパク質をコードするポリヌクレオチドに連結された、CNP変異体ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターで形質転換する。特定の実施形態において、該融合ポリペプチドを可溶性タンパク質として、または封入体として発現させる。発現した融合ポリペプチドを宿主細胞または培地から単離することができ、単離した融合ポリペプチドを切断剤と接触させて、CNP変異体を遊離させることができる。
【0260】
CNP変異体を産生させるのに用いる宿主細胞は、細菌、酵母、昆虫、非哺乳類脊椎動物または哺乳類細胞であってよい。細菌細胞は、限定するものではないが、E.coli細胞系および株を含む。E.coli細胞系および株の非限定的な例として、BL21、BL21(DE3)、BL21(DE3)pLysS、BL21(DE3)pGro7、ArcticExpress(DE3)、C41[C41(DE3)とも呼ぶ]、C43[C43(DE3)とも呼ぶ]、OrigamiB(DE3)、OrigamiB(DE3)pLysS、KRXおよびTuner(DE3)が挙げられる。一実施形態において、CNP変異体およびCNP融合タンパク質は、BL21(DE3)細胞を用いて産生させる。哺乳類細胞は、ハムスター、サル、チンパンジー、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジおよびヒト細胞を含むが、これらに限定されない。宿主細胞は、不死化細胞(細胞系)または非不死化(初代または第二代)細胞であってよく、線維芽細胞、ケラチノサイト、上皮細胞(例えば、乳腺上皮細胞、腸上皮細胞)、卵巣細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞またはCHO細胞)、内皮細胞、グリア細胞、神経細胞、血液の有形成分(例えば、リンパ球、骨髄細胞)、軟骨細胞および他の骨由来細胞ならびにこれらの体細胞型の前駆体を含むが、これらに限定されない。CNP変異体DNAまたはRNAを含む宿主細胞をその細胞の増殖、DNAまたはRNAの発現およびCNP変異体を発現する細胞の同定/選択に適する条件下で培養する。
【0261】
いくつかの実施形態において、宿主細胞を約10℃〜約40℃、または約20℃〜約40℃、または約30℃〜約40℃の温度で一定の期間増殖または培養する。特定の実施形態において、宿主細胞を約20℃、22℃、25℃、28℃、30℃、35℃または37℃で一定の期間増殖または培養する。特定の実施形態において、宿主細胞を約35℃または37℃で一定の期間にわたり増殖または培養する。
【0262】
CNP変異体ポリペプチド(CNP融合タンパク質を含む)をコードする組換えポリヌクレオチドを、発現させるべきヌクレオチド配列に作用できるように連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含む発現ベクターで発現させる。発現ベクターは、発現のための十分なシス作用エレメントを含み、発現のための他のエレメントは、宿主細胞またはin vitro発現系により供給することができる。発現ベクターは、限定するものではないが、組換えポリヌクレオチドを取り込むコスミド、プラスミド(例えば、裸またはリポソームに含まれている)およびウイルスを含む、当技術分野で公知のすべてのものを含む。発現ベクターは、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現のために形質転換またはトランスフェクションにより適切な宿主細胞に挿入する(例えば、Sambrookら(上掲)参照)。
【0263】
切断可能CNP融合タンパク質を含む、CNP変異体の産生のために意図される発現ベクターの非限定的な例として、pJexpress、pJexpress401、pJexpress404、pET−15b、pET−21a、pET−22b、pET−31b、pET−32a、pET−41a、pMAL、pMAL−c2X、pQE−30、pET−SUMOおよびpTYB11が挙げられる。特定の構築物の発現により、可溶性CNP変異体(CNP融合タンパク質を含む)または封入体の形の不溶性CNP変異体(CNP融合タンパク質を含む)が発生し得る。
【0264】
いくつかの実施形態において、イソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)誘導ベクターを用いて、CNP変異体またはCNP融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド(複数可)の発現を増大させる。いくつかの実施形態において、宿主細胞をIPTGの存在下で約10℃〜約40℃、または約20℃〜約40℃、または約30℃〜約40℃の温度で一定の期間増殖または培養する。特定の実施形態において、宿主細胞をIPTGの存在下で約20℃、22℃、25℃、28℃、30℃、35℃または37℃で一定の期間増殖または培養する。特定の実施形態において、宿主細胞を1mM IPTGの存在下で約35℃または37℃で一定の期間にわたり増殖または培養する。
【0265】
さらなる実施形態において、宿主細胞を約0.4mM〜約2mM、または約0.4mM〜約1.5mM、または約0.4mM〜約1mMの濃度のIPTGとともに培養する。特定の実施形態において、IPTGは、約0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9または2mMの濃度である。一実施形態において、IPTGの濃度は、約1mMである。
【0266】
特定の実施形態において、本明細書で記載するCNP変異体は、CNP変異体ポリペプチドおよび切断可能なキャリアタンパク質または切断可能タグ(例えば、ペプチドタグ)を含む融合タンパク質として組換えにより発現させるものであり、該融合タンパク質は、切断可能なキャリアタンパク質もしくはタグに直接的に連結された、またはリンカーを介してそれに間接的に連結されたCNP変異体ポリペプチドを含む。キャリアタンパク質もしくはタグを使用することにより、例えば、融合タンパク質の検出、単離および/または精製が容易となる。切断可能なキャリアタンパク質およびタグは、ヒスチジン(例えば、hexa−His)タグ;ヒト転写因子TAF12(TAF12)、TAF12断片、TAF12ヒストン折りたたみドメイン、TAF12の突然変異体およびその断片、TAF12(C/A)、TAF12(D/E)、TAF12(4D/4E)、TAF12(6D/6E)、TAF12(10D/10E)、TAF12(C/A&D/E)、TAF12(C/A&4D/4E)、TAF12(C/A&6D/6E)、TAF12(C/A&10D/10E);ケトステロイドイソメラーゼ(KSI);マルトース結合タンパク質(MBP);β−ガラクトシダーゼ(β−Gal);グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST);チオレドキシン(Trx);キチン結合ドメイン(CBD);BMP−2、BMP−2突然変異体、BMP−2(C/A);SUMO;ならびに突然変異体およびそれらの断片を含むが、これらに限定されない。
【0267】
発現構築物は、CNP変異体およびキャリアタンパク質またはタグを含む融合タンパク質を発現させ得る。タグは、融合タンパク質に有用な特性を付与するアミノ酸配列であり得る。1つの実施形態において、タグは、リガンドを含む分離媒体に融合タンパク質を適用することによって融合タンパク質を精製するのに用いることができるリガンド結合ドメインである。例えば、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)ドメインを含む融合タンパク質をグルタチオン結合分離媒体を含むクロマトグラフィカラムに適用することができる。他の例として、マルトース結合タンパク質(MBP)をタグとして含む融合タンパク質をマルトースを含む分離媒体に適用することができる。さらなる例として、ポリヒスチジンタグを含む融合タンパク質をニッケルカラムに加え、それによるニッケルカラムへのポリヒスチジンタグのキレート化により、融合タンパク質の精製を促進することができる。他の実施形態において、タグは、リガンドである。例えば、融合タンパク質は、グルタチオンをタグとして含み、グルタチオンS−トランスフェラーゼ結合分離媒体を含むクロマトグラフィカラムに適用することができる。融合タンパク質に用いるためのキャリアタンパク質およびタグの非限定的な例として、ヒト転写因子TAF12(TAF12)、ケトステロイドイソメラーゼ(KSI)、マルトース結合タンパク質(MBP)、β−ガラクトシダーゼ(β−Gal)、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン(Trx)、キチン結合ドメイン(CBD)、BMP−2変異(BMPM)、SUMO、CAT、TrpE、ブドウ球菌プロテインA、連鎖球菌タンパク質、デンプン結合タンパク質、エンドグルカナーゼAのセルロース結合ドメイン、エキソグルカナーゼCexのセルロース結合ドメイン、ビオチン結合ドメイン、recA、Flag、ポリHis、ポリArg、ポリAsp、ポリGln、ポリPhe、ポリCys、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、抗体エピトープおよび突然変異体ならびにその断片が挙げられる。
【0268】
標的CNP変異体を得るために、化学的切断、プロテアーゼ切断または自己切断タンパク質により、キャリアタンパク質またはタグを融合タンパク質から切断することができる。具体例としての化学的およびタンパク質分解切断剤(カッコ内は切断部位)は、ギ酸(Asp−Pro)、臭化シアン(CNBr)(Met−X)、ヒドロキシルアミン(Asn−Gly)、Xa因子(IEGR−X)(配列番号230)、エンテロキナーゼ(DDDDK−X)(配列番号231)、ProTEV(EXXYXQ−G)(配列番号232)およびSUMOプロテアーゼを含むが、これらに限定されない。化学的切断の特殊な性質のため、ギ酸を用いる切断は、Pro−CNPを発生させ得、CNBrは、MetのAsnへの置換を有するCNPを発生させ得、ヒドロキシルアミンは、Gly−CNPを発生させ得る。あるいは、化学的またはプロテアーゼ切断は、融合タンパク質としてでないCNP変異体を発現する特定の構築物(例えば、pET−21a−CNP)を用いることによって避けることができる。pET−21a−CNPの発現により、Met−CNPが生じ得る。または特定の融合タンパク質(例えば、インテリン−CBDを含むもの)は、自己切断を受けて、CNPを発生させ得る。
【0269】
さらなる実施形態において、融合タンパク質は、CNP変異体とキャリアタンパク質またはタグ(例えば、ペプチドタグ)との間に切断可能なペプチドリンカーを含む。特定の実施形態において、切断可能なペプチドリンカーは、Asp−Pro、Asn−Gly、Met−X、Val−Asp−Asp−Arg(配列番号233)、Gly−Ser−Asp−Arg(配列番号234)、Ile−Thr−Asp−Arg(配列番号235)、Pro−Gly−Asp−Arg(配列番号236)、Ile−Glu−Gly−Arg−X(配列番号230)、Asp−Asp−Asp−Asp−Lys−X(配列番号231)、Glu−X−X−Tyr−X−Gln−Gly(配列番号232)、Ala−Phe−Leu−Gly−Pro−Gly−Asp−Arg(配列番号237)、およびMGSSHHHHHHSSGLVPRGSHTGDDDDKHMD (pET−15b linker)(配列番号95)からなる群から選択され、Xは、アミノ酸を表す。いくつかの実施形態において、切断可能なペプチドリンカーは、パラジウム、臭化シアン(CNBr)、ギ酸、ヒドロキシルアミン、クロストリパイン、トロンビン、キモトリプシン、トリプシン、トリプシン様プロテアーゼ、カルボキシペプチダーゼ、エンテロキナーゼ(エンテロペプチダーゼ)、Kex2プロテアーゼ、OmpTプロテアーゼ、Xa因子プロテアーゼ、ズブチリシン、プロTEV、SUMOプロテアーゼ、V8プロテアーゼ、HIVプロテアーゼ、ライノウイルスプロテアーゼ、フリリシンプロテアーゼ、IgAプロテアーゼ、ヒトPaceプロテアーゼ、コラゲナーゼ、Niaプロテアーゼ、ポリオウイルス2Aproプロテアーゼ、ポリオウイルス3Cプロテアーゼ、ゲネナーゼ、フューリン、エラスターゼ、プロテイナーゼK、ペプシン、レンニン(キモシン)、微生物アスパラギン酸プロテアーゼ、パパイン、カルパイン、キモパパイン、フィシン(フィカイン)、ブロメライン(ブロメラーゼ)、カテスピシンB、カスパーゼ、サーモライシン、エンドプロテアーゼArg−C、エンドプロテアーゼGlu−C、エンドプロテアーゼLys−C、カリクレインおよびプラスミンからなる群から選択される切断剤により切断される。
【0270】
特定の実施形態において、切断可能なキャリアタンパク質、タグ(例えば、ペプチドタグ)またはペプチドリンカーをギ酸を用いて切断して、融合タンパク質からCNP変異体を遊離させる。いくつかの実施形態において、ギ酸は、約1%〜約20%、または約1%〜約15%、または約2%〜約15%、または約1%〜約10%、または約2%〜約10%、または約1%〜約5%、または約2%〜約5%の濃度である。特定の実施形態において、ギ酸は、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%または15%の濃度である。特定の実施形態において、ギ酸は、約2%、5%または10%の濃度である。
【0271】
さらなる実施形態において、ギ酸の存在下でのCNP融合タンパク質の切断は、約20℃〜約80℃、または約30℃〜約75℃、または約40℃〜約75℃、または約50℃〜約75℃、または約50℃〜約70℃、または約55℃〜約70℃、または約50℃〜約60℃の温度で実施する。いくつかの実施形態において、ギ酸の存在下での切断は、約20℃、22℃、25℃、30℃、35℃、37℃、40℃、42℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃または80℃で実施する。特定の実施形態において、ギ酸の存在下での切断は、約50℃、55℃、60℃、65℃または70℃で実施する。特定の実施形態において、ギ酸の存在下での切断は、約55℃または70℃で実施する。
【0272】
さらなる実施形態において、ギ酸の存在下でのCNP融合タンパク質の切断は、約3時間〜約48時間、または約5時間〜約48時間、または約5時間〜約36時間、または約5時間〜約24時間、または約5時間〜約18時間、または約20時間〜約24時間、または約6時間〜約10時間の期間にわたり実施する。特定の実施形態において、ギ酸の存在下での切断は、約5時間、6時間、12時間、15時間、18時間、20時間または24時間実施する。
【0273】
いくつかの実施形態において、CNP融合タンパク質の切断は、約2%、5%または10%ギ酸の存在下で、約55℃で約20時間〜約36時間、または約60℃で約15時間〜約24時間、または約65℃で約10時間〜約21時間、または約70℃で約6時間〜約18時間実施する。特定の実施形態において、CNP融合タンパク質の切断は、約2%ギ酸の存在下で、約55℃で約20時間〜約24もしくは36時間、または約60℃で約15時間〜約24時間、または約65℃で約10時間〜約18時間、または約70℃で約6時間〜約10時間実施する。
【0274】
本開示は、CNP変異体の高い収量を得るためのギ酸を用いるCNP融合タンパク質の切断のための温和な条件を提供する。融合タンパク質の切断のための本明細書で記載する条件は、CNP以外のポリペプチドまたはタンパク質を含み、Asp−Proペプチド結合を含む融合タンパク質の切断のためにも適している。
【0275】
さらなる実施形態において、可溶性CNP融合タンパク質またはCNP融合タンパク質封入体は、CNP融合タンパク質の化学的切断(例えば、ギ酸を用いた)またはタンパク質分解切断の前に緩衝液および/または洗剤で処理する。緩衝液の非限定的な例として、B−PERII;希釈B−PERII(例えば、1/20希釈);B−PER;B−PERリン酸緩衝液;トリスを含む緩衝液(例えば、25mMトリス、pH7.5);トリスおよびNaClを含む緩衝液(例えば、25mMトリス、150mM NaCl、pH7.9);ならびにPBSが挙げられる。一実施形態において、緩衝液はB−PERIIである。洗剤の非限定的な例として、オクチルスクロース、Triton X−100、Tween20、NP−40およびCA−630が挙げられる。洗剤は、緩衝液中に存在してよい(例えば、25mMトリス緩衝液、pH7.5中1%洗剤)。特定の実施形態において、洗剤は、Triton X−100またはCA−630であってよい。
【0276】
上記の方法および条件のいずれかを本明細書で開示するCNP変異体を作製するために上記の他の方法および条件のいずれかと組み合わせて用いることができることが理解される。
【0277】
他の実施形態において、本明細書で記載するCNP変異体は、当技術分野で公知の方法に従って、例えば、AthertonおよびSheppard、Solid Phase Peptide Synthesis:a Practical Approach、IRL Press(Oxford、England(1989年))の方法に従って、ペプチド合成装置を用いて合成し、精製する。
【0278】
ペプチドは、例えば、CNPの以下のペプチド配列:G
1LS(KまたはR)GC
6F
7G
8L(KまたはRまたはNleまたは6−OH−NIe)LDRIGSMSGLGC
22に基づいて合成できる。
【0279】
例示的CNP変異体は、限定するものではないが、
類似体A(GLSKGC(CH2NH)FGLKLDRIGSMSGLGC)(配列番号56)、骨格のC
6の「−C=O」基を「−CH
2」基に変換することによって作製した;
類似体B(GLSKGC(N−Me−Phe)GLKLDRIGSMSGLGC)(配列番号57)、骨格のF
7の「−NH」基を「−N−CH
3」基に変換することによって作製した;
類似体E(GLSKGC(D−Phe)GLKLDRIGSMSGLGC)(配列番号136)、F
7のD−Pheを使用して作製した;
類似体F(GLSKGCF(tBu−Gly)LKLDRIGSMSGLGC)(配列番号58)、G
8のtertiary−ブチル−Glyを使用して作製した;
類似体G(GLSKGC(3−Cl−Phe)GLKLDRIGSMSGLGC)(配列番号137)、F
7のフェニル環のメタの位置に塩素原子を付加することによって作製した(同様の変異体を、Phe7のフェニル環のオルト、メタおよび/またはパラをCl、F、Br、OHおよび/またはCH
3で置換することによって作製できる);および
類似体H(GLSKGC[NHCH
2CH(Ph)CO]GLKLDRIGSMSGLGC)(配列番号59)、F
7の(±)−3−(アミノ)−2−フェニルプロピオン酸を使用して作製した、
を含む。
【0280】
例えば、天然または非天然アミノ酸またはペプチド結合イソスターによるアミノ酸の延長、置換および/またはポリマーまたは疎水性部分との結合を有する、CNP変異体の例は、限定するものではないが、
【0281】
【数2】
および
1、2、3、4、または5までのさらなる改変を含む、配列番号1から6および34から144およびそれらの変異体
を含む。
【0282】
一実施形態において、CNP変異体は、Cys
6とCys
22との間にジスルフィド結合を形成することを介して環化される。Cys
6は、例えば、ホモシステインまたはペニシラミンなどのシステイン類似体であり得る。さらなる実施形態において、CNP変異体はヘッド−テール、側鎖−側鎖、側鎖−ヘッドまたは側鎖−テールにより形成された共有結合により環化できる。ある実施形態において、共有結合は、ペプチドのN末端の、またはN末端の前のアミノ酸と、C末端のまたはC末端の前のアミノ酸(本文脈において、「末端」アミノ酸と称される)との間に形成される。別の実施形態において、共有結合は、2つの末端アミノ酸の側鎖の間に形成される。まだ別の実施形態において、共有結合は、1つの末端アミノ酸の側鎖と、他の末端アミノ酸の末端基との間、あるいは2つの末端アミノ酸の末端基の間に形成される。
【0283】
末端アミンと末端カルボキシル基とのヘッド−テール環化は、多くの方法、例えば、p−ニトロフェニルエステル、2,4,5−トリクロロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、アジド法、混合無水物法、HATU、HOBt、HONSuまたはHoAtなどの触媒を用いたカルボジイミド(例えば、DIC、EDCまたはDCC)または樹脂上環化を使用して実施できる。
【0284】
さらに、環状構造は、CNP変異体のアミノ酸残基および/または末端アミノ酸残基の側鎖を含む架橋基を介して形成されてもよい。架橋基は、ペプチドの2つの部分を環化できる化学的部分である。架橋基の限定されない例は、アミド、チオエステル、ジスルフィド、尿素、カーバメート、スルホンアミドなどを含む。このような架橋基を有する単位の組み込みに関する様々な方法が、当分野において公知である。例えば、ラクタム架橋(すなわち、環状アミド)は、N末端アミノ基または側鎖上のアミノ基と、C末端カルボン酸または側鎖、例えば、リジンまたはオルニチンの側鎖およびグルタミン酸またはアスパラギン酸の側鎖上のカルボキシル基との間に形成できる。チオエステルは、C末端カルボキシル基または側鎖上のカルボキシル基と、システインまたはシステイン類似体の側鎖上のチオール基との間に形成できる。
【0285】
代替的には、架橋はランチオニン(チオジアラニン)残基を組み込み、チオエステル結合により共有結合されるアラニン残基と連結することによって形成できる。別の方法において、架橋剤、例えば、ジカルボン酸(例えば、スベリン酸(オクタン二酸))は、アミノ酸側鎖の官能基、例えば、遊離のアミノ基、ヒドロキシル基、およびチオール基を連結できる。
【0286】
酵素により触媒された環化もまた使用できる。例えば、チロシジン合成酵素のチオエステラーゼドメインを使用して、チオエステル前駆体を環化でき、スブチリシン突然変異体を利用して、ペプチドグリコール酸フェニルアラニルアミドエステルを環化でき、抗体リガーゼ16G3を用いてp−ニトロフェニルエステルを環化できることが報告されている。ペプチドの環化の概説に関しては、Davies、J. Peptide Sci.、9巻:471〜501
頁(2003年)を参照されたく、その全体は参照により本明細書に援用される。
【0287】
特定の実施形態において、最終環化産物は、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または少なくとも約99%の純度を有する。
【0288】
D.化学改変CNP変異体
CNP22またはその変異体の化学改変により、改変CNPペプチドに有利な特性、例えば、安定性および半減期の増加、免疫原性の低下などをもたらし得る可能性がある(治療用タンパク質の化学改変の一般的議論に関しては、Pharmazie、57巻(1号):5〜29頁(2002年)を参照されたい)。例えば、CNPペプチドの総質量を、本明細書において全般に記載の範囲、例えば約2.6kDaまたは2.8kDaから約6または7kDaの範囲に増加させるために、天然または合成のポリマー部分または非ポリマー部分(例えば、PEG)と、CNPペプチドとの結合により、改変ペプチドの、エキソペプチダーゼおよび/またはエンドペプチダーゼ(例えば、NEP)によるin vivoの切断に対する感受性を低下させることができる。PEG化、グリコシル化および他の化学誘導化手法、例えば、リン酸化、アミド化、カルボキシル化、アセチル化、メチル化による改変に加えて、および酸付加塩、アミド、エステルおよびNアシル誘導体の生成は、免疫原性領域および/またはタンパク質分解感受性領域をマスクできる可能性もある(Science、303巻:480〜482頁(2004年))。
【0289】
化学改変の例は、限定するものではないが、安定性およびプロテアーゼ耐性の改善ならびに免疫原性の低下のためのBednarsakiのポリマー付加法およびAltus Corporationの架橋法を含む。Bednarsakiは、ポリマー付加が、タンパク質の温度安定性を改善できることを示し(J. Am. Chem. Soc.、114巻(1号)
:378〜380頁(1992年))、Altus Corporationは、グルタルアルデヒド架橋が酵素安定性を改善できることを発見した。
【0290】
ポリペプチドの化学改変は、非特異的方法(誘導化種の混合をもたらす)または部位特異的方法(例えば、野生型巨大分子の反応性特異的誘導化および/または部位特異的変異誘発および化学改変の組合せを使用する部位選択改変に基づく)で、あるいは、発現タンパク質連結方法を使用して実施できる(Curr. Opin. Biotechnol.、13巻(4号):2
97〜303頁(2002年))。
【0291】
PEG化CNP変異体
一実施形態において、安定性(例えば、NEP分解に対する耐性)の増加のために、CNP22またはその変異体(アミノ酸の付加、置換および/または欠失を有する変異体を含む)を親水性の天然または合成のポリマーに結合し、改変CNPペプチドの総質量を、約2.6kDaまたは2.8kDaから約4、5、6、7またはそれより大きいkDaの範囲に増加させる。特定の実施形態において、付加された親水性ポリマーは、約0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.2、2.4、2.6、2.8、3、3.2、3.4、3.6、3.8、4、4.2、4.4、4.6、4.8、または約5kDaの総質量を有する。
【0292】
ある実施形態において、親水性ポリマーは、結合したCNPペプチドが水性(例えば、生理的)環境中で沈殿しないように水溶性である。さらに、親水性ポリマーは生体適合性である、すなわち、in vivoで損傷、毒性または免疫反応を起こさない。
【0293】
親水性ポリマーは、分枝または非分枝であってよい。一実施形態において、親水性ポリマーは分枝ではない。
【0294】
親水性ポリマーに対するCNP22またはその変異体の様々な結合部位は、限定するものではないが、:(1)N末端のみ;(2)C末端のみ;(3)内部部位のみ(例えば、Lys4);(4)N末端およびC末端の両方;(5)N末端および内部部位;ならびに(6)C末端および内部部位、を含む。一実施形態において、CNP22またはその変異体は、N末端のみにおいて親水性ポリマーに結合される。別の実施形態において、結合は内部部位(例えば、Lys4)のみである。なお別の実施形態において、結合はN末端および内部部位(例えば、Lys4)である。さらに別の実施形態において、より優れた機能性のためにCNPペプチドは、環状ドメイン内(CNP22のCys6からCys22に対応する)の部位(例えば、Lys10)において親水性ポリマーと結合しない。親水性ポリマーとの結合が、CNPペプチド上の反応性第一級アミノ基との結合形成に基づく場合、内部部位(例えば、Lys4および/またはLys10)における結合は、Lys4および/またはLys10を、天然または非天然アミノ酸または側鎖(例えば、Gly、Ser、Arg、Asn、Gln、Asp、Gluまたはシトルリン(Cit))に反応性第一級アミノ基を有さないペプチド模倣体と置換することによって妨害できる。特定の実施形態において、Lys4および/またはLys10は、Argと置き換えることができる。別の実施形態において、Lys10は、Argと置き換えることはできない。
【0295】
親水性ポリマーの限定されない例は、カルボン酸担持モノマー(例えば、メタクリル酸(MA)およびアクリル酸(AA))から形成されるポリマー、ポリビニルアルコール、ヒドロキシル担持モノマー(例えば、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ヒドロキシプロピルメタクリルアミドおよび3−トリメチルシリルプロピルメタクリレート(TMSPMA))から形成されるポリマー、ポリアルキレンオキシド、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(プロピレングリコール)、モノ−C
1〜C
10アルコキシ−PEG(例えば、モノメトキシ−PEG)、トレシルモノメトキシ−PEG、アリールオキシ−PEG、PEGアクリレート(PEGA)、PEGメタクリレート、PEGプロピオンアルデヒド、bis−スクシンイミジルカルボネートPEG、2−メタクリロイルオキシエチル−ホスホリルコリン(MPC)およびN−ビニルピロリドン(VP)のコポリマー、ヒドロキシ官能性ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)、SIS−PEG(SISは、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロックコポリマーである)、ポリスチレン−PEG、ポリイソブチレン−PEG、PCL−PEG(PCLは、ポリカプロラクトンである)、PLA−PEG(PLAは、ポリ乳酸である)、PMMA−PEG(PMMAは、ポリ(メチルメタクリレート)である)、PDMS−PEG(PDMSは、ポリジメチルオキサノン)、PVDF−PEG(PVDFは、ポリフッ化ビニリデンである)、PLURONIC
TM界面活性剤(ポリプロピレンオキシド−co−ポリエチレングリコール)、ポリ(テトラメチレングリコール)、ポリ(L−リジン−g−エチレングリコール)(PLL−g−PEG)、ポリ(L−リジン−g−ヒアルロン酸)(PLL−g−HA)、ポリ(L−リジン−g−ホスホリルコリン)(PLL−g−PC)、ポリ(L−リジン−g−ビニルピロリドン)(PLL−g−PVP)、ポリ(エチルイミン−g−エチレングリコール)(PEI−g−PEG)、ポリ(エチルイミン−g−ヒアルロン酸)(PEI−g−HA)、ポリ(エチルイミン−g−ホスホリルコリン)(PEI−g−PC)、ポリ(エチルイミン−g−ビニルピロリドン)(PEI−g−PVP)、PLL−co−HA、PLL−co−PC、PLL−co−PVP、PEI−co−PEG、PEI−co−HA、PEI−co−PC、PEI−co−PVP、セルロースおよびその誘導体(例えば、ヒドロキシエチルセルロース)、デキストラン、デキストリン、ヒアルロン酸およびその誘導体(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム)、エラスチン、キトサン、アクリル硫酸、アクリルスルホン酸、アクリルスルファミン酸、メタクリル硫酸、メタクリルスルホン酸、メタクリルスルファミン酸、それらのポリマーおよびコポリマーならびにそれらの組合せのポリマーおよびコポリマーを含む。
【0296】
特定の実施形態において、親水性ポリマーはポリ(エチレングリコール)(PEG)であり、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)とも呼ばれる。本明細書において使用する場合、「PEG」または「PEO」という用語はPEGのすべての形態、分枝および非分枝を包含し、これらはポリペプチドを誘導化するために使用でき、限定するものではないが、モノ−(C
1−C
10)アルコキシ−PEGおよびアリールオキシ−PEGを含む。
【0297】
一実施形態において、PEG−CNP結合体は、式(CH
2CH
2O)
nのPEG(またはPEO)ポリマーを含み、式中、nは約6から約100までの整数であり、PEGポリマーは、約0.3kDaから約5kDaである。別の実施形態において、nは約12から約50までの整数であり、PEGポリマーは、約0.6kDaから約2.5kDaである。なお別の実施形態において、nは約12から約24までであり、PEGポリマーは、約0.6kDaから約1.2kDaである。さらなる実施形態において、PEGポリマーの末端ヒドロキシル基は、非反応性基により覆われている。特定の実施形態において、末端を覆っている基はアルキル基、例えばメチルなどの低分子アルキル基であるので、PEGポリマーはアルコキシ基で終結する。ある実施形態において、PEGポリマーは非分枝である。別の実施形態において、CNP22またはその変異体は、PEGポリマーとN末端のみで結合する。
【0298】
PEGおよびPEOは、分子量の分散した分子を含む可能性があり、すなわち、それらが調製される手法によって、多分散である可能性がある。ポリマー調製物のサイズ/質量分布は、その重量平均分子量(M
w)および数平均分子量(M
n)によって統計的に特徴づけることができ、その比は、多分散指数(M
w/M
n)と呼ばれる。M
wおよびM
nは、質量分光法によって測定できる。1.5kDaより大きいPEG部分に結合したPEG−CNP変異体は、親PEG分子の多分散性により、様々な分子量を示すことがある。例えば、mPEG2K(Sunbright ME−020HS、NOF Co.)の場合、PEG分子の分子量は、約1.5kDaから約3kDaの範囲にわたって分散しており、多分散指数は1.036である。それに反して、Pierce Biotechnology(Rockford、Illinois)によるMS(PEG)
n試薬(n=4、8、12または24、例えば「PEO12」または「PEO24」として表示される)を使用して、CNP22またはその変異体に結合したPEGは単分散であり、個別の鎖長および規定分子量を有する。
【0299】
PEG部分を含むポリペプチドの作製方法は、当分野において公知である(例えば、米国特許第5,824,784号を参照されたい)。PEG化CNPペプチドの調製方法は、(a)CNPペプチド(例えばN末端において)にPEGを結合するために適切な条件下でPEG化試薬を使用して、CNP22またはその変異体を反応させるステップ、および(b)反応産物を得るステップ、を一般的に含む。CNPペプチドのPEG化は、PEG部分のサイズおよびPEG化の位置次第でNPR−Bに対するその結合を有意に改変できるので、様々な種類のPEGおよびPEG化の反応条件を調査できる。CNPペプチドのPEG化に使用できる化学は、メトキシ−PEG(O−[(N−スクシンイミジルオキシカルボニル)−メチル]−O’−メチルポリエチレングリコール)のNHS−エステルを使用する、ペプチドの反応性第一級アミンのアシル化を含む。メトキシ−PEG−NHSまたはメトキシ−PEG−SPAを用いたアシル化は、元の第一級アミンの任意の電荷を排除するアミド連結をもたらす。記号「PEO12」または「PEO24」と名付けられるPEG−CNPペプチドならびに記号「PEG1K」、「PEG2K」、「PEG5K」または「PEG20K」と名付けられたPEG−CNPペプチドは、NHSエステル活性化の、メトキシ末端キャップ化PEG試薬を用いた、ペプチド上の第一級アミノ基の反応を介したPEG化である。PEG−CNP変異体は、他の方法、例えば、ペプチド上の第一級アミノ基およびPEGアルデヒド、例えば、PEG−プロピオンアルデヒドなど、あるいはそれらのモノ−C
1−C
10アルコキシまたはアリールオキシ誘導体に関与する還元アミノ化により調製できる(米国特許第5,252,714号を参照されたい)。
【0300】
リボソームタンパク質合成とは異なって、合成ペプチドの合成は、C末端からN末端へと進む。したがって、(tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)を含有する)Boc−PEGは、PEGを、ペプチドのC末端に結合する1つの方法である(R. B. Merrifield、J. Am. Chem. Soc.、85巻(14号):2149〜2154頁(1963年))
。代替的には、Fmoc(フルオレニルメトキシカルボニル)化学を用いることができる(E.Atherton および R.C. Sheppard、Solid Phase Peptide Synthesis: a Practical Approach、IRLPress(Oxford、England (1989年))。
【0301】
PEG−CNP変異体を調製するための本方法は、ポリマー−タンパク質結合体の実質的に均一な混合物を提供する。精製後、個別のPEG−CNP調製物は、in vivoおよびin vitroで生物特性を試験するために十分に純粋である。本明細書において実証されるように、特定のPEG−CNP変異体は、NEP切断に対する感受性の低下および実質的に同様またはより優れた機能性(例えば、cGMP産生の刺激)を示す。
【0302】
本明細書に記載のように、適切なPEG化試薬/CNPペプチドの比および反応条件を使用する、CNP22またはその変異体のPEG化反応は、PEG−CNP誘導体を提供する。PEG化の特性および範囲は、例えば、PAGEおよびHPLC解析を使用して確定できる。特定の実施形態において、CNP22またはその変異体の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%または99%が、N末端においてモノPEG化される。CNPペプチドの生物特性についての、PEG化の有益な効果を最適化するために、ポリマーの長さ、立体配座(例えば、分枝または線状)および/またはPEG部分の官能化(例えば、負に荷電した基の付加)を変化させることができる。PEG化CNP変異体は、NEP耐性、薬物動態および生物活性(例えば、NPR−Bに対する結合能およびcGMP生成の刺激能)に関して試験される。NEP耐性の改善およびCNP22のcGMP−刺激活性の少なくとも約50%を示すPEG化CNP変異体は、例えば、ラットの軟骨肉腫細胞に基づく軟骨無形成症モデルにおいてin vitroで、およびマウス軟骨無形成症動物モデルにおいてin vivoで、さらに試験され得る。
【0303】
E.CNP変異体の使用法、CNP変異体の医薬組成物および投与経路
CNP変異体の使用法
骨関連障害
線維芽細胞増殖因子(FGF)は、骨形成において重要な役割を果たし、FGF受容体遺伝子(FGFR1、2および3)における変異は、様々な遺伝性骨格形成異常を引き起こす(Curr. Biol.、5巻:500〜507頁(1995年))。特に、FGFR−3における変異の活性化は、ヒト遺伝性小人症の最も一般的な形態の軟骨無形成症(Nature、371巻:252〜254頁(1994年);Cell、78巻:335〜342頁(1994年))、より軽症の軟骨低形成症(Ann. N.Y. Acad. Sci.、785巻:182〜187頁(1996年))およびより重篤な新生致死の致死性骨異形成(TD)I型およびII型(Hum.Mol. Genet.、5巻:509〜512頁(1996年);Nat. Genet.、9巻:321〜328頁(1995年))を含む長骨の障害に関与する。FGF−2を過剰発現し、FGFR−3を連続活性化するマウスモデルは、長骨の短縮および大頭を示す(Mol.Biol. Cell、6巻:1861〜73頁(1995年))。このモデルに一致して、マウスのFGFR−3における欠損は、成長板が広くなる著しい骨格の過剰成長を示す(NatureGenet.、12巻:390〜397頁(1996年))。
【0304】
CNP、NPR−BおよびNPR−Cを用いた補足実験により、受容体に対応するペプチドリガンドと、骨成長との間の関連性が示唆される。トランスジェニックマウス中のCNPの血漿濃度の上昇によるNPR−Bの活性化は、FGFR−3ノックアウトマウスの成長板軟骨の過剰成長(Nat. Genet.、4巻:390〜397頁(1996年))と組織学的に類似の、骨格の過剰成長(Nat. Med.、10巻:80〜86頁(2004年))を引き起こす。NPR−Cノックアウトマウスにおいて、CNPのNPR−C−仲介クリアランスは、除外されるべきであり、この予測に一致して、ノックアウト動物は、長骨の延長および脊柱後弯症を伴う椎骨の延長を示す(Proc.Natl. Acad. Sci. USA96巻:7403〜08頁(1999年))。反対に、CNPノックアウトマウスは、長骨および椎骨の短縮、軟骨無形成症の表現型と組織学的に類似の表現型により発育が止まり、不正咬合および小型の胸部による肺の制限の結果として死亡率が増加する(Proc.Natl. Acad. Sci. USA、98巻:4016〜4021頁(2001年))。NPR−Bの活性化因子としてのCNPの提唱された役割に一致して、NPR−Bノックアウトマウスは、CNPノックアウトマウスと同じ発育が停止した骨格表現型および死亡率の増加を有する(Proc.Natl. Acad. Sci USA、101巻:17300〜05頁(2004年))。さらに、軟骨においてFGFR−3が活性化された、軟骨無形成症のマウスモデルにおいて、軟骨細胞中のCNPのターゲティングされた過剰発現は、小人症と反対に作用する(Yasodaら、Nat.Med.、10巻:80〜86頁(2004年))。さらに、CNPは、限定するものではないが、軟骨細胞の増殖および分化、マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼ/MEK(Raf−1)キナーゼシグナル伝達経路の阻害および軟骨内骨化の促進(Yasodaら、Nat.Med.、10巻:80〜86頁(2004年))を含む、軟骨内骨成長および軟骨細胞活性の制御において役目を果たすことが示されている。これらの結果は、CNP/NPR−B系の活性化が、ヒト軟骨無形成症の治療のための治療戦略である可能性を示唆している。
【0305】
軟骨細胞のマトリックス産生、増殖および分化を刺激し、長骨の成長を増大させることにより、本開示のCNP変異体は、骨格異形成症などの骨関連障害に罹患しているヒトを含む哺乳動物を治療するのに有用である。CNP反応性の骨関連障害および骨格異形成症の非限定的な例として、軟骨無形成症、低軟骨形成症、低身長、低身長症、骨軟骨異形成症、致死性異形成症、骨形成不全症、軟骨無発生症、点状軟骨異形成症、ホモ接合性軟骨無形成症、点状軟骨異形成症、弯曲肢異形成症、先天性致死性低リン酸血症、周生期致死型骨形成不全症、短肋骨多指症候群、低軟骨形成症、近節短縮型点状軟骨異形成症、ジャンセン型骨幹端異形成症、先天性脊椎骨端異形成症、骨形成不全症、捻曲性骨異形成症、先天性大腿骨短縮症(congenital short femur)、ランガー型中間肢異形成症、ニーバーゲルト型中間肢異形成症、ロビノウ症候群、ラインハルド症候群、先端異骨症、末梢性骨形成不全症、クニースト異形成症、線維軟骨形成、ロバーツ症候群、遠位中間肢異形成症、小肢症、モルキオ症候群、クニースト症候群、変容性骨異形成症(metatrophic dysplasia)および脊椎骨端骨幹端異形成症(spondyloepimetaphyseal dysplasia)が挙げられる。さらに、CNP変異体は、特発性低身長および他の骨格異形成症を治療するための成長ホルモンの補助または代替物として有用である。
【0306】
さらに、CNP変異体は、くる病、低リン酸血症性くる病[X連鎖低リン酸血症性くる病(ビタミンD抵抗性くる病とも呼ばれている)および常染色体優性低リン酸血症性くる病を含む]ならびに骨軟化症[腫瘍誘発性骨軟化症(腫瘍性骨軟化症または腫瘍性低リン酸血症性骨軟化症とも呼ばれている)を含む]などの他の骨関連状態および障害を治療するのに有用である。
【0307】
本開示のCNP変異体は、骨関節症を治療するのにも用いることができる。骨関節症は、関節軟骨の変性疾患であり、高齢者に頻繁に起こる。骨関節症は、関節成分の変性に起因する軟骨の破壊ならびに骨および軟骨の増殖性変化を伴い、変化は、二次性関節炎(例えば、滑膜炎)をもたらす。骨関節症においては軟骨の機能性構成要素である細胞外マトリックスタンパク質が減少し、軟骨細胞の数が減少している(Arth. Rheum.、46巻(8号)、1986〜1996頁(2002年))。軟骨細胞のマトリックス産生、増殖および分化を促進することにより、CNP変異体は、FGF−2の望ましくない作用に対抗し、骨関節症を含む関節炎に罹患している被験体におけるマトリックス合成を増加させ、それにより、骨関節症を含む関節炎を治療するのに有用である。
【0308】
血管平滑筋の障害
CNPおよび他の血管作用ペプチド(ANP、BNPおよびウロジラチンを含む)は血管拡張および利尿特性を有し、心血管の恒常性において重要な役割を果たす(J. Cardiovasc. Pharmacol.、117巻:1600〜06頁(1998年);Kidney Int.、49巻:1732〜37頁(1996年);Am.J. Physiol.、275巻:H1826〜1833頁(1998年))。CNPは、心血管系において広範囲に分布し、特に、血管内皮細胞において高濃度である(J.Cardiovasc. Pharmacol.、117巻:1600〜06頁(1998年))。CNPは、血管平滑筋、特に冠循環においての強力な弛緩薬であり(Biochem.Biophys. Res. Commun.、205巻:765〜771頁(1994年))、平滑筋細胞増殖の阻害剤である(Biochem. Biophys.Res. Commun.、177巻:927〜931頁(1991年))。CNPの血管拡張効果はANPの血管拡張効果より低いが(約1:100)(Hypertens.Res.、21巻:7〜13頁(1998年)、Am. J. Physiol.、275巻:L645〜L652頁(1998年))、CNPmRNAはせん断応力に対する応答において増加し(FEBSLett.、373巻:108〜110頁(1995年))、CNPの血漿レベルは、炎症性心血管病理において上昇する (Biochem. Biophys. Res.Commun.、198巻:1177〜1182頁(1994年))。CNPは、ウサギの負傷した頸動脈においてマクロファージの侵入の阻害を介して炎症を抑制し(Circ.Res.、91巻:1063〜1069頁(2002年))、NPR−B/cGMP−依存性経路を介して心臓線維芽細胞増殖を直接阻害する(Endocrinology、144巻:2279〜2284頁(200
3年))ことが示されている。
【0309】
CNPの心血管作用は、NPRサブタイプ、NPR−BおよびNPR−Cの活性化を介して仲介され(Endocrinology、130巻:229〜239頁(1992年))、後者はin vivoで発現されるNPRの95%を占める(Science、293巻:1657〜1662頁(2001年))。CNP/NPR−B経路は、心血管系の安定した第2メッセンジャーであるcGMPの上昇をもたらす。C末端由来のNPR−Cの37−アミノ酸部分は、ヘテロ三量体のGタンパク質G
iと相互作用するコンセンサス配列を有し(J.Biol. Chem.、274巻:17587〜17592頁(1999年))、これはアデニル酸シクラーゼおよびホスホリパーゼCの活性を制御することが示されている(J.Biol. Chem.、276巻:22064〜70頁(2001年);Am. J. Physiol.、278巻:G974〜980頁(2000年);J.Biol. Chem.、271巻:19324〜19329頁(
1996年))。CNPは、NPR−Cの活性化を介して、平滑筋の過分極および弛緩ならびにGタンパク質により制御された、内部修正K
+チャネルの開放を仲介する(Proc.Natl. Acad. Sci. USA、100巻:1426〜1431頁(2003年))。同様に、CNPは、心臓線維芽細胞において重要な抗増殖効果を有し、NPR−Cとの相互作用を介して、平滑筋細胞の過分極化によって局所血流および全身血圧を制御する(R.Rose and W. Giles, J. Physiol.586巻:353〜366頁(2008年))。
【0310】
血管平滑筋細胞上のNPR−Bに結合することにより、CNP22は、細胞内二次メッセンジャーとして作用するcGMPの産生を刺激して、血管の弛緩を最終的に引き起こす。CNPの降圧作用に基づいて、本開示のCNP変異体は、高血圧、鬱血性心不全、心臓浮腫、腎性浮腫、肝性浮腫、急性および慢性腎不全などを治療するのに有用である。さらに、cGMPシグナル伝達の活性化により、血管平滑筋細胞の増殖が抑制される。したがって、本開示のCNP変異体は、再狭窄およびアテローム動脈硬化症を含むが、これらに限定されない、血管平滑筋細胞の異常な増殖によって引き起こされる状態または疾患を治療するのに用いることができる。
【0311】
上記の研究から、CNPが血管平滑筋の弛緩およびリモデリングに対する潜在的な治療薬候補であり得ることが示唆される。特定の障害についてのCNPの薬理作用は、血管拡張活性でなく、血管保護作用に一部帰せられた(Am. J. Respir. Crit. Care Med.、170巻、1204〜1211頁(2004年))。したがって、本開示のCNP変異体は、状態、例えば、限定するものではないが、CNPが、血管平滑筋弛緩を誘導し、マクロファージの心臓組織内への浸潤を抑制することを含む、血管保護作用を有し得る血管平滑筋障害を治療するのに有用である。1つの実施形態において、CNP変異体は、急性非代償性心不全および急性鬱血性心不全を含むが、これらに限定されない心不全を治療するのに用いられる。他の実施形態において、CNP変異体は、喘息、心筋症および冠動脈の再狭窄を治療する(平滑筋細胞弛緩を増加させ、平滑筋細胞の増殖を減少させることにより)のに用いられる。
【0312】
CNP変異体の医薬組成物
さらなる実施形態において、本開示は、CNP変異体ならびに1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、キャリアおよび/または希釈剤を含む医薬組成物を提供する。特定の実施形態において、該組成物は、1つ以上の他の生物学的に活性な薬剤(例えば、プロテアーゼ阻害剤、受容体チロシンキナーゼ阻害剤および/またはクリアランス受容体NPR−C阻害剤)をさらに含む。
【0313】
いくつかの実施形態において、該組成物は、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の純度の所望のCNP変異体を含む。特定の実施形態において、該組成物は、約10%、5%、4%、3%、2%、1%または0.5%未満の他の哺乳類(例えば、ヒト)タンパク質および他のCNP変異体などの巨大分子夾雑物を含む。
【0314】
賦形剤、キャリアおよび希釈剤の非限定的な例として、媒体、液体、緩衝液、等張化剤、添加剤、安定化剤、保存剤、可溶化剤、界面活性剤、乳化剤、湿潤剤、アジュバントが挙げられる。該組成物は、液体(例えば、水、エタノール);様々な緩衝液成分(例えば、トリス−HCl、リン酸塩、酢酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤)、pHおよびイオン強度の希釈剤;洗剤および可溶化剤(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート80);抗酸化剤(例えば、メチオニン、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム);保存剤(例えば、チメロゾール、ベンジルアルコール、m−クレゾール);および増量剤(例えば、ラクトース、マンニトール、スクロース)を含んでいてよい。医薬組成物の製剤化における賦形剤、希釈剤およびキャリアの使用は、当技術分野において公知である。例えば、全体として参照により本明細書に組み込まれている、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、1435〜1712頁、Mack Publishing Co.(Easton、Pennsylvania(1990年))を参照のこと。
【0315】
例えば、キャリアとしては、限定するものではないが、希釈剤、媒体およびアジュバント、ならびに有効成分(複数可)と反応しないインプラントキャリアならびに不活性非毒性の固体増量剤または液体増量剤およびカプセル封入材料が挙げられる。キャリアの非限定的な例として、リン酸緩衝生理食塩水、生理食塩水、水および乳剤(例えば、油/水型乳剤)が挙げられる。キャリアは、溶媒または例えば、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、植物油およびそれらの混合物を含む分散媒であってよい。
【0316】
いくつかの実施形態において、該組成物は、液体製剤である。特定の実施形態において、該組成物は、約0.1mg/ml〜約20mg/ml、または約0.5mg/ml〜約20mg/ml、または約1mg/ml〜約20mg/ml、または約0.1mg/ml〜約10mg/ml、または約0.5mg/ml〜約10mg/ml、または約1mg/ml〜約10mg/mlの濃度範囲内のCNP変異体を含む。
【0317】
さらなる実施形態において、該組成物は、CNP含有溶液または懸濁液のpHを所望の範囲内に維持するための緩衝液または緩衝剤を含む。緩衝液の非限定的な例として、リン酸緩衝生理食塩水、トリス緩衝生理食塩水、ハンクス緩衝生理食塩水が挙げられる。緩衝剤としては、限定するものではないが、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウムおよびクエン酸ナトリウムが挙げられる。緩衝剤の混合物も用いることができる。特定の実施形態において、緩衝剤は、酢酸/酢酸塩またはクエン酸/クエン酸塩である。組成物中の適切な緩衝剤の量は、用いる特定の緩衝液および溶液または懸濁液の所望のpHに一部依存する。例えば、酢酸塩は、pH6よりpH5でより効果的なpH緩衝剤であり、したがって、pH6の溶液におけるより少ない酢酸塩をpH5の溶液に用いることができる。いくつかの実施形態において、緩衝剤は、約10mM±5mMの濃度を有する。特定の実施形態において、組成物のpHは、約pH3〜約pH7.5、または約pH3.5〜約pH7、または約pH3.5〜約pH6.5、または約pH4〜約pH6、または約pH4〜約pH5であるか、または約pH5.0±1.0である。
【0318】
他の実施形態において、該組成物は、溶液または懸濁液を等張性とし、注射により適合性にするための等張性調節剤を含む。等張化剤の非限定的な例として、NaCl、デキストロース、グルコース、グリセリン、ソルビトール、キシリトールおよびエタノールが挙げられる。特定の実施形態において、等張化剤は、NaClである。特定の実施形態において、NaClは、約160±20mM、または約140mM±20mM、または約120±20mM、または約100mM±20mM、または約80mM±20mM、または約60mM±20mMの濃度である。
【0319】
さらにまた他の実施形態において、該組成物は、保存剤を含む。保存剤は、m−クレゾールおよびベンジルアルコールを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態において、保存剤は、約0.4%±0.2%、または約1%±0.5%、または約1.5%±0.5%、または約2.0%±0.5%の濃度である。
【0320】
さらに他の実施形態において、該組成物は、吸着防止剤(例えば、ガラスまたはプラスチックへのCNP変異体の吸着を減少させるため)を含む。吸着防止剤としては、限定するものではないが、ベンジルアルコール、ポリソルベート20およびポリソルベート80が挙げられる。特定の実施形態において、吸着防止剤は、約0.001%〜約0.5%、または約0.01%〜約0.5%、または約0.1%〜約1%、または約0.5%〜約1%、または約0.5%〜約1.5%、または約0.5%〜約2%、または約1%〜約2%の濃度である。
【0321】
さらなる実施形態において、該組成物は、安定化剤を含む。安定化剤の非限定的な例として、グリセリン、グリセロール、チオグリセロール、メチオニンならびにアスコルビン酸およびその塩が挙げられる。いくつかの実施形態において、安定化剤がチオグリセロールまたはアスコルビン酸もしくはその塩である場合、安定化剤は、約0.1%〜約1%の濃度である。他の実施形態において、安定化剤がメチオニンである場合、安定化剤は、約0.01%〜約0.5%、または約0.01%〜約0.2%の濃度である。さらに他の実施形態において、安定化剤がグリセリンである場合、安定化剤は、約5%〜約100%(ニート)の濃度である。
【0322】
さらなる実施形態において、該組成物は、抗酸化剤を含む。具体例としての抗酸化剤としては、限定するものではないが、メチオニンおよびアスコルビン酸が挙げられる。特定の実施形態において、抗酸化剤のCNP変異体に対するモル比は、約0.1:1〜約15:1、または約1:1〜約15:1、または約0.5:1〜約10:1、または約1:1〜約10:1、または約3:1〜約10:1である。
【0323】
限定するものではないが、鉱酸塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩)、有機酸の塩(例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩、メシル酸塩、トシル酸塩)およびアミンの塩(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン)を含む薬学的に許容される塩を組成物に用いることができる。薬学的に許容される塩の十分な考察は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing Company(Easton、Pennsylvania(1990年))に見いだされる。
【0324】
医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、軟膏剤および経皮パッチなどの様々な形態で投与することができる。組成物の剤形は、組成物の所望の投与方法に合わせて調合することができる。経口投与のために、該組成物は、例えば、錠剤またはカプセル剤(軟ゲルカプセル剤を含む)の形をなしてよく、あるいは例えば、水性もしくは非水性液剤、懸濁剤またはシロップ剤であってよい。経口投与用の錠剤およびカプセル剤は、マンニトール、ラクトース、グルコース、スクロース、デンプン、トウモロコシデンプン、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、炭酸マグネシウムなどの1つ以上の一般的に用いられている賦形剤、希釈剤およびキャリア、ならびに滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム)を含んでいてよい。所望の場合、香味剤、着色剤および/または甘味剤を固体製剤および液体製剤に加えることができる。経口製剤用の他の必要に応じた成分としては、限定するものではないが、保存剤、懸濁化剤および増粘剤が挙げられる。経口製剤は、胃の酸性環境からCNP変異体を保護するための腸溶性コーティングも有していてよい。固体剤形および液体剤形を調製する方法は、公知であるか、あるいは当業者には明らかである(例えば、上で参考文献として引用した、Remington’s Pharmaceutical Sciencesを参照)。
【0325】
非経口投与用の製剤は、例えば、溶液もしくは懸濁液として、注射前に液体媒体に可溶化もしくは懸濁するのに適する固体形態として、または乳剤として調製することができる。例えば、滅菌注射用液剤および懸濁剤は、適切な希釈剤、キャリア、溶媒(例えば、緩衝水溶液、リンゲル液、等張性塩化ナトリウム溶液)、分散剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤などを用いて当技術分野で公知の技術により製剤化することができる。さらに、滅菌固定油、脂肪エステル、ポリオールおよび/または他の不活性成分を用いることができる。さらなる例として、非経口投与用の製剤としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬、および該製剤を意図するレシピエントの血液と等張性にする溶質を含んでいてよい、水性滅菌注射用液剤、ならびに懸濁化剤および増粘剤を含んでいてよい、水性および非水性滅菌懸濁剤が挙げられる。
【0326】
CNP変異体を含む組成物は、凍結乾燥製剤であってもよい。特定の実施形態において、凍結乾燥製剤は、緩衝剤および増量剤を、ならびに必要に応じて、抗酸化剤を含む。具体例としての緩衝剤としては、限定するものではないが、酢酸緩衝剤およびクエン酸緩衝剤が挙げられる。具体例としての増量剤としては、限定するものではないが、マンニトール、スクロース、デキスラン、ラクトース、トレハロースおよびポビドン(PVPK24)が挙げられる。特定の実施形態において、マンニトールは、約3%〜約10%、または約4%〜約8%、または約4%〜約6%の量である。特定の実施形態において、スクロースは、約6%〜約20%、または約6%〜約15%、または約8%〜約12%の量である。具体例としての抗酸化剤は、メチオニンおよびアスコルビン酸を含むが、これらに限定されない。
【0327】
本開示はまた、例えば、液体(例えば、滅菌注射用)製剤または固体(例えば、凍結乾燥)製剤を含むビン、バイアル、アンプル、管、カートリッジおよび/または注射器を含むキットを提供する。キットはまた、限定するものではないが、注射のために凍結乾燥製剤を注射器内で再構成することを含む、投与(例えば、注射による)のために固体(例えば、凍結乾燥)製剤を液剤もしくは懸濁剤に再構成するための、または濃縮物をより低い濃度に希釈するための薬学的に許容される媒体もしくはキャリア(例えば、溶媒、溶液および/または緩衝液)を含んでいてよい。さらに、即時調合注射液剤および懸濁剤は、例えば、CNP含有組成物を含む滅菌散剤、顆粒剤または錠剤から調製することができる。キットはまた、エアゾールもしくは注射ディスペンシングデバイス、ペン型注入器、自動注入器、無針注入器、注射器および/または針などのディスペンシングデバイスを含んでいてよい。
【0328】
非限定的な例として、キットは、シングルチャンバーまたはデュアルチャンバーを有する注射器を含んでいてよい。シングルチャンバー型注射器については、シングルチャンバーは、注射できる状態の液体CNP製剤、あるいは注射用の液剤もしくは懸濁剤に再構成することができる固体(例えば、凍結乾燥)CNP製剤または比較的少量の適切な溶媒系(例えば、グリセリン)中CNP変異体の液体製剤を含むことができる。デュアルチャンバー型注射器については、1つのチャンバーは、薬学的に許容される媒体またはキャリア(例えば、溶媒系、溶液もしくは緩衝液)を含むことができ、他のチャンバーは、第1のチャンバーからの媒体またはキャリアを用いて注射用の液剤もしくは懸濁剤に再構成することができる固体(例えば、凍結乾燥)CNP製剤または比較的少量の適切な溶媒系(例えば、グリセリン)中CNP変異体の液体製剤を含むことができる。
【0329】
さらなる例として、キットは、1つ以上のペン型注入器または自動注入器デバイスおよびデュアルチャンバー型カートリッジを含んでいてよい。カートリッジの1つのチャンバーは、薬学的に許容される媒体またはキャリア(例えば、溶媒系、溶液もしくは緩衝液)を含むことができ、他のチャンバーは、第1のチャンバーからの媒体またはキャリアを用いて注射用の液剤もしくは懸濁剤に再構成することができる固体(例えば、凍結乾燥)CNP製剤または比較的少量の適切な溶媒系(例えば、グリセリン)中CNP変異体の液体製剤を含むことができる。カートリッジは、所望の期間(例えば、1日間、2日間、3日間、1週間、2週間、3週間、4週間など)にわたって投薬するのに十分な量のCNP変異体を含むことができる。ペン型注入器または自動注入器は、カートリッジから所望の量のCNP製剤を投与するように調節することができる。
【0330】
さらに、CNP変異体を含む医薬組成物は、1週間、2週間、3週間、1ヵ月間、2ヵ月間または3ヵ月間などの所望の期間にわたって比較的に一定のレベルの用量を維持するための徐放、放出制御または持続放出システムとして製剤化することができる。徐放製剤、放出制御製剤または持続放出製剤は、例えば、生分解性ポリマーシステム{例えば、親水性ポリマー[例えば、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド−グリコリド)]を含み得る}を用いて調製することができ、当技術分野で公知である、例えば、微小粒子、ミクロスフェアまたはリポソームの形態をなすことができる。
【0331】
用量および投与頻度
本明細書において使用する場合、活性物質(例えば、CNP変異体)の「治療有効量」という用語は、患者に治療的有用性を提供する量を指す。この量は、個人ごとに変化してよく、患者の全生理的状態を含む多くの因子に依存することができる。CNP変異体の治療有効量は、公的に入手可能な材料および手法を使用して、当業者により容易に確定できる。例えば、治療に使用するCNP変異体の量は、0〜17歳の軟骨無形成症の小児(214例の女児および189例の男児)に関する、年齢に対する身長、頭囲および部分的成長が記載された成長表に基づく成長の許容率が示されるべきである(Horton WA ら、Standard growth curves for achondroplasia, J. Pediatr.、93巻:435〜8頁(1978年))。CDC表は、年齢に対する体重および身長に対する体重または年齢に対するBMIを評価するために使用できる。事実上、より慢性である過程を有する二次的な結果もまた測定できる。
【0332】
野生型CNP22より長い血清半減期を有するので、CNP変異体は、CNP22より投与の頻度を少なくできる可能性がある。特定の個人のための投与頻度は、治療すべき障害ならびに治療に対する個人の病態および応答を含む様々な因子に依存して変えることができる。特定の実施形態において、CNP変異体を含有する医薬組成物は、1日に約1回、2日に1回、3日に1回または週に1回被験体に投与される。一実施形態において、骨関連障害(例えば、軟骨無形成症を含む骨格形成異常)の治療のために、CNP変異体の毎日の用量または毎週の用量を、成人になるまで、および/または成人の間、患者に投与する。
【0333】
本明細書に記載のCNP変異体を、治療有効用量で患者に投与し、骨関連障害(例えば、軟骨無形成症を含む骨格形成異常)および病態(例えば、血管平滑筋障害)を、治療、改善または予防でき、CNPは、血管保護効果を提供できる。CNP変異体の安全性および治療効力は、細胞培養または実験動物において標準的な薬理学的手法によって、例えば、LD
50(集団の50%が致死する用量)およびED
50(集団の50%に治療的に有効な用量)を決定することによって決定できる。毒性と、治療効果との用量比は、治療指数であり、LD
50/ED
50比として表される。高い治療指数を示す活性物質が、普通好ましい。
【0334】
細胞培養アッセイおよび動物実験から得られたデータを使用して、ヒトにおいて使用する用量範囲を処方できる。容量は、普通、ED
50を含み、毒性がほとんどないまたは最小である循環濃度の範囲内にある。用量は、用いられる剤形および利用される投与経路に依存してこの範囲内で変化する可能性がある。治療有効用量は、細胞培養アッセイおよび動物実験から決定できる。
【0335】
特定の実施形態において、本明細書で記載するCNP変異体は、約5もしくは10nmol/kg〜約300nmol/kg、または約20nmol/kg〜約200nmol/kgの範囲内の用量で投与する。いくつかの実施形態において、CNP変異体は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、125、130、140、150、160、170、175、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、350、400、450、500、750、1000、1250、1500、1750もしくは2000nmol/kgの用量または担当医が適切と考える他の用量で投与する。他の実施形態において、CNP変異体は、約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950もしくは1000ug/kgまたは約1、1.25、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5もしくは10mg/kgの用量あるいは担当医が適切と考える他の用量で投与する。本明細書で記載するCNP変異体の用量は、限定するものではないが、毎日、週2回または3回、週1回、2週間ごと、3週間ごと、月1回などを含む、本明細書で記載する投薬頻度/投与の頻度に従って投与することができる。
【0336】
個々の被験体についてのCNP変異体の投薬/投与の頻度は、治療する障害ならびに状態および療法に対する被験体の反応を含む様々な因子によって変化し得る。CNP変異体は、単一用量または投薬当たり複数用量で投与することができる。特定の実施形態において、CNP変異体は、単一用量で、または複数用量で、毎日、2日ごと、3日ごと、週2回、週3回、週1回、隔週、3週ごと、月1回、6週ごと、2ヵ月ごと、3ヵ月ごとに、または担当医が適切と考えるように投与する。
【0337】
いくつかの実施形態において、CNP変異体は、成長(例えば、軟骨形成)の期間とそれに続く回復期間(例えば、骨形成)が準備されるように投与する。例えば、CNP変異体は、ある期間にわたり毎日または週に複数回、静脈内、皮下または他の方法により投与した後、無治療期間をおき、次いで、このサイクルを繰り返す。いくつかの実施形態において、治療の最初の期間(例えば、毎日または週に複数回のCNP変異体の投与)は、3日間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間または12週間である。関連実施形態において、無治療の期間は、3日間、1週間、2週間、3週間または4週間続く。特定の実施形態において、CNP変異体の投薬計画は、3日間にわたり毎日の後、3日間無投与;または1週間にわたり毎日もしくは1週間にわたり週に複数回の後、3日間もしくは1週間無投与;または2週間にわたり毎日もしくは2週間にわたり週に複数回の後、1もしくは2週間無投与;または3週間にわたり毎日もしくは3週間にわたり週に複数回の後、1、2もしくは3週間無投与;または4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12週間にわたり毎日もしくは4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12週間にわたり週に複数回の後、1、2、3もしくは4週間無投与である。
【0338】
投与方法
CNP変異体またはそれらを含む医薬組成物は、例えば、皮下、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮内または髄腔内注射によるなどの種々の方法で被験体に投与することができる。一実施形態において、CNP変異体は、1日に1回、単一の皮下、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮内または髄腔内注射により投与する。
【0339】
CNP変異体はまた、疾患の部位またはその近くへの直接注射により投与することができる。さらに、CNP変異体は、作用の標的部位(例えば、異常骨または異形成骨)におけるデポー剤の埋め込みにより投与することができる。あるいは、CNP変異体は、舌の下に舌下(例えば、舌下錠)に、または肺内への吸入(例えば、吸入器もしくはエアゾール噴霧器)により、鼻腔内への送達(例えば、鼻内噴霧器)により、眼内への送達(例えば、点眼剤)により、または経皮送達(例えば、皮膚上へのパッチにより)により投与することができる。CNP変異体は、マイクロスフェア、マイクロカプセル、リポソーム(非荷電または荷電の(例えば、陽イオンの))、ポリマー微小粒子(例えば、ポリアミド、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド−グリコリド))、マイクロエマルジョンなどの形態で経口投与することもできる。
【0340】
さらなる投与方法は、所定の期間にわたるCNP変異体または医薬組成物の制御された連続的かつ/または徐放送達を可能にする、浸透圧ポンプ(例えば、Alzetポンプ)またはミニポンプ(例えば、Alzetミニ浸透圧ポンプ)によるものである。浸透圧ポンプまたはミニポンプは、皮下に、または標的部位(例えば、四肢の長骨、骨端など)の近くに埋め込むことができる。
【0341】
上で説明したように、CNP変異体は、再狭窄およびアテローム動脈硬化症を含むが、これらに限定されない、血管平滑筋細胞の異常な増殖によって引き起こされた状態または疾患を治療するのに用いることができる。罹患した体内の管(例えば、血管)へのCNP変異体の局所的送達のために、CNP変異体は、罹患部位に埋め込まれた医療器具(例えば、ステント)により送達することができる。1つの実施形態において、CNP変異体は、ステント一面に処理したポリマーマトリックスまたはポリマーコーティングに含浸されている。他の実施形態において、CNP変異体は、ステントの本体に形成され、CNP変異体が拡散することができる多孔質ポリマー膜または層によって被覆されたリザバーまたはチャネルに含まれている。ポリマーマトリックス、コーティング、膜または層は、当技術分野で公知である、少なくとも1つの生分解性(例えば、親水性)ポリマーを含んでいてよい。さらなる実施形態において、CNP変異体は、ステントの本体におけるミクロ孔に含ませることができる。CNP変異体は、バースト放出、パルス放出、制御放出もしくは持続放出、またはそれらの組合せによりステントから送達させることができる。例えば、ステントは、バースト放出とそれに続く持続放出で罹患部位にCNP変異体を局所的に送達することができる。持続放出は、約2週間、1ヵ月間、2ヵ月間、3ヵ月間、6ヵ月間または1年間の期間にわたり得る。
【0342】
CNP変異体またはその組成物を他の方法によっても投与することができることは、当業者には明らかである。CNP変異体またはその組成物の最も有効な投与方法の決定は、当業者の技術の範囲内である。
【0343】
CNP変異体は、例えば、経口(口内および舌下を含む)、直腸、鼻、局所、肺、膣もしくは非経口(筋肉内、動脈内、髄腔内、皮下および静脈内を含む)投与に適する医薬製剤として、または吸入もしくは吹入による投与に適する形態で投与することができる。意図する投与方法に依存して、医薬製剤は、錠剤、坐剤、丸剤、カプセル剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ローション剤などのような固体剤形、半固体剤形または液体剤形の形態であってよい。製剤は、正確な用量の単回投与に適する単位剤形で提供することができる。製剤は、有効量のCNP変異体、ならびに1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、キャリアおよび/または希釈剤を、ならびに必要に応じて、1つ以上の他の生物学的に活性な剤を含む。
【0344】
併用治療
一実施形態において、CNP変異体は治療に有用な1種または複数種の他の活性物質を組み合わせて使用して、例えば、骨関連障害(例えば、骨格形成異常)および血管平滑筋障害などのCNP応答性病態または障害を改善または予防できる。他の活性物質は、CNP変異体の効果を増強でき、かつ/またはCNP変異体の効果に加えて、他の薬理学的効果を発揮できる。本明細書に記載のCNP変異体と組み合わせて使用できる活性物質の限定されない例は、他のナトリウム利尿ペプチド(例えば、BNP)、ならびにペプチダーゼおよびプロテアーゼ(例えば、NEPおよびフューリン)、NPR−Cおよびチロシンキナーゼ(例えば、FGFR−3)の阻害剤(例えば、拮抗薬)である。CNP変異体のNEP切断を予防することによって、NEP阻害剤は変異体の半減期を増加できる。NEP阻害剤の例は、限定するものではないが、チオルファンおよびカンドキサトリルを含む。NPR−C阻害剤の同時使用もまた、NPR−Cによる変異体のクリアランスの阻害を介してCNP変異体の半減期を増加できる。NPR−C阻害剤の限定されない例は、断片FGIPMDRIGRNPR(配列番号82)であり、これは、FGIPMDRIGRNPR−CNP22キメラ(類似体CZ)(配列番号82)またはCNP22の変異体(例えば、CNP22に関してアミノ酸の置換、付加および/または欠失を含有する変異体)を含む類似のキメラのタンパク質分解切断についての標的部位(例えば、骨成長板)において放出される。チロシンキナーゼ阻害剤の同時使用は、軟骨細胞および骨成長の負の制御因子であるチロシンキナーゼ受容体FGFR−3を阻害することによって、CNP療法の効果を強化することができる。チロシンキナーゼ阻害剤の限定されない例は、米国特許第6,329,375号および第6,344,459号に開示されたチロシンキナーゼ阻害剤を含む。
【0345】
併用治療において適切な治療結果を達成するために、所望の治療結果(例えば、骨成長の回復)を生み出すために有効な量で組み合わせたCNP組成物および他の治療薬を、一般に被験体に投与する。この過程は、CNP組成物および他の治療薬を同時に投与するステップを含むことができる。同時投与は、CNP変異体および他の治療薬の双方を含む単一組成物または薬理学的タンパク質製剤を投与することによって達成することができる。代替的には、他の治療薬を、CNP変異体の薬理学的製剤(例えば、錠剤、注射または飲み物)とほぼ同時に別々に摂取できる。CNP変異体はさらに、接種に適したブラウニー、パンケーキまたはケーキなどの食品に処方することもできる。
【0346】
他の選択肢において、CNP変異体の投与は、数分から数時間の範囲の間隔で他の治療薬の投与の前後に実施できる。他の治療薬およびCNP組成物を別々に投与する実施形態において、一般的に、CNP変異体および他の治療薬の双方が、相乗的または相加的に、患者において有益な効果を発揮できるように、CNP変異体および他の治療薬を、互いに適切な時間内に投与することを確実にする。例えば、CNP組成物を、他の治療薬の(前後)約0.5〜6時間内に投与できる。一実施形態において、CNP組成物を、他の治療薬の(前後)約1時間内に投与する。
【0347】
患者集団の特定およびモニター
CNP療法に適切な被験体を特定し、所与の患者がCNP療法に応答するかどうかを決定するプロトコルを確立できる。例えば、骨関連障害の治療のために、子宮内および新生児の長骨成長の測定ならびにCNP、cGMP、CollagenII、オステオカルシンおよび増殖性細胞核抗原(PCNA)などの骨成長のバイオマーカーの測定などの成長の指標を測定できる。
【0348】
1つのCNPシグナル伝達マーカーは、cGMP(グアノシン3’,5’サイクリック一リン酸)である。この細胞内シグナル伝達分子のレベルは、CNPが同種受容体NPR−Bに結合し、それを活性化した後に上昇する。cGMPのレベルの上昇は、CNP曝露後の細胞培養抽出物(in vitro)、CNP曝露後の骨外植片試験からのならし培地(ex vivo)、および皮下、静脈内または当技術分野で公知の他の投与経路によるCNPの投与の数分以内の血漿(in vivo)において測定することができる。
【0349】
軟骨および骨特異的分析対象物(または軟骨および骨関連マーカー)もCNPの有効性を評価するために測定することができる。例えば、切断されたII型コラーゲンの断片は、軟骨代謝回転の軟骨特異的マーカーである。II型コラーゲンは、軟骨の主な有機成分であり、II型コラーゲンの断片(切断コラーゲン)は、軟骨代謝回転の後に循環中に放出され、その後に尿中に分泌される。軟骨代謝回転は、新たな骨形成より先に起こる。
【0350】
測定することができる骨形成の骨特異的バイオマーカーは、I型プロコラーゲンのN末端プロペプチド(PINP)である。I型コラーゲンは骨マトリックスにおける主な有機成分であるので、I型コラーゲンの合成は、骨形成における重要なステップである。コラーゲン合成の間に、プロペプチドが、プロコラーゲン分子から放出され、血清中で検出することができる。さらに、I型コラーゲンの断片を骨吸収のマーカーとして測定することができる。
【0351】
軟骨および骨の形成および成長の他の潜在的ななバイオマーカーとして、アグリカンコンドロイチン硫酸(軟骨代謝回転の軟骨特異的マーカー)、II型コラーゲンのプロペプチド(軟骨形成の軟骨特異的マーカー)、アルカリホスファターゼ(骨特異的)およびオステオカルシン(骨形成の骨特異的マーカー)が挙げられる。軟骨および骨関連バイオマーカーは、例えば、有効性/薬力学的in vivo試験からの血清において、およびex vivo試験のならし培地から、市販のキットを用いて測定することができる。
【0352】
1つの実施形態において、in vivoでの骨および軟骨の形成および成長に対するCNP変異体の効果をモニターするために、CNP変異体を投与した被験体における少なくとも1つの骨または軟骨関連バイオマーカーのレベルをアッセイまたは測定する。例えば、少なくとも1つの骨または軟骨関連バイオマーカーのレベルの増加は、CNP変異体の投与が、骨成長に対して正の効果を有し、CNP活性の低下に関連する骨格異形成症および他の骨または軟骨関連疾患もしくは障害の治療に有用であることを示すものである。具体例としての骨または軟骨関連バイオマーカーとしては、CNP(例えば、CNPの内因性レベル)、cGMP、II型コラーゲンのプロペプチドおよびその断片、II型コラーゲンおよびその断片、オステオカルシン、増殖細胞核抗原(PCNA)、I型プロコラーゲンのプロペプチド(PINP)およびその断片、I型コラーゲンおよびその断片、アグリカンコンドロイチン硫酸、ならびにアルカリホスファターゼが挙げられるが、これらに限定されない。
【0353】
一実施形態において、バイオマーカーは、CNP変異体を投与する予定、投与している、または投与した被験体から生物学的試料を得ることによって測定する。バイオマーカーは、ウェスタンブロット、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)および酵素活性アッセイを含むが、これらに限定されない、当技術分野で公知の手法を用いて測定することができる。生物学的試料は、血液、血清、尿または他の生物学的液体であってよい。
【0354】
本開示の追加の態様および詳細は、以下の実施例により明らかであり、これらは限定ではなく例示目的である。
【実施例】
【0355】
(実施例1)
CNP変異体の合成
CNP変異体を、本明細書に記載の方法を使用して調製した。表1〜3(実施例3に示す)に示すように、天然または非天然アミノ酸あるいはペプチド模倣体との置換を、CNP22の野生型配列のそれぞれのアミノ酸残基において実施した。特定の変異体において、さらなるアミノ酸を、野生型CNP22配列の全体または一部のN末端および/またはC末端に付加した(表3を参照されたい)。
【0356】
さらに、PEG(またはPEO)部分がCNP22またはその変異体のN末端に結合したCNP変異体を調製した(実施例2に示す表4を参照されたい)。PEG化試薬は、表5に示す商業的供給源から得ることができる。
【0357】
【表5】
Pierce Biotechnology (Rockford、Illinois)から購入したPEG(PEOとも呼ばれる)ポリマーは単分散である、すなわち、それらは特定の分子量の単一分離ポリマーを含有する。対照的に、NOF(Nippon Oil and Fat)から購入したPEGポリマーは、多分散である、すなわち、それらは分子量の分散したポリマーの混合物を含有する。
【0358】
CNP22またはその変異体をPEG化するために、反応条件および精製条件を、PEG−CNPの結合ごとに最適化する。一般的なPEG化手法に従って、反応混合物は、約1mMのCNP22またはその変異体および約1から5mMのNHS−活性化PEGを、pHが約5.0から6.5の間のリン酸カリウム緩衝液中に含有する。ペプチドのN末端において選択的にモノPEG化し、内部部位(例えば、CNP22のLys4)においてPEGを最小化するために、PEG化反応を、より酸性の条件下(例えば約5.5から6.5の間のpH)において実施し、リジン側鎖上のより塩基性の第一級アミノ基を選択的にプロトン化し、したがって非活性化することができる。室温において1〜3時間インキュベート後、水性グリシン緩衝液を加えることによって、PEG化反応を停止させる。その後、反応産物を、各PEG−CNP結合体に関して最適化した逆相HPLCによって分離する。分画試料を、スピードバックで乾燥させ、1mMのHCl中で再構成/製剤化する。各PEG−CNP産物の特定および純度は、液体クロマトグラフィー−質量分析(LC/MS)によって決定する。
【0359】
(実施例2A)
CNP変異体の組換え体作製
CNP変異体は、組換え技術を使用して作製できる。特定の実施形態において、CNP変異体は、切断可能なペプチド、キャリアタンパク質またはタグを含む融合タンパク質として作製される。CNP融合タンパク質を組換え的に作製する例示的方法を、以下に開示する。
【0360】
材料および方法
発現ベクターへのCNP融合タンパク質のクローニング
CNP DNA断片を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して増幅し、増幅されたPCR断片を、Nde IおよびBamHIを用いて消化し、pET21aベクター(Novagen、Gibbstown、New Jersey)内にクローニングした。CNP融合タンパク質のDNAを、DNA2.0によって合成し、異なる発現ベクター内にクローニングした(表6)。
【0361】
【表6】
CNP: GQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC [Gly−CNP37 (配列番号: 75); TAF: ヒト転写因子TAF12; KSI: ケトステロイドイソメラーゼ; MBP: マルトース結合タンパク質; Trx: チオレドキシン
E.coliにおけるCNP融合タンパク質の発現
CNP融合タンパク質の発現プラスミドを、E.coli BL21またはBL21(DE3)内に形質転換した。形質転換細胞を、100ug/mlのカルベニシリン(carbeniciline)または50ug/mlのカナマイシンを含有するLBプレートにプレーティングし、37℃において一晩インキュベートした。1つの単一コロニーを採集し、4mlの100ug/mlのカルベニシリンまたは50ug/mlのカナマイシンを含有するLB培地中で37℃において振とうしながら培養した。細菌培養物のOD
600が0.6に達したとき、1mMのイソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)を細胞培地に加え、培地を37℃において3時間、振とうしながらインキュベートした。細胞を収穫するために、細菌細胞を、4000rpmにおいて10分間遠心分離し、細胞ペレットを−80℃において保存した。細胞ペレットを、B−PER II Bacterial Extraction Reagent(PIERCE、0.4ml/4ml細菌培養物)およびBenzonase Nuclease(Novagen、0.025U/ml)を用いて、室温で10分間溶解した。細菌粗抽出物を蓄え、遠心分離して上清を得た。上清および粗抽出物を、CNP融合タンパク質の発現および溶解度に関してSDS−PAGEおよびウェスタンブロットによってアッセイした。
【0362】
SDS−PAGEおよびウェスタンブロットを用いたCNP融合タンパク質発現の検出
10uLの細胞溶解物または可溶性上清を、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)(Invitrogen、Carlsbad、California、NuPAGE4−12%Bis−tris Gel、MES SDS緩衝液)にかけた。このゲルを、20mlのImperial Protein Stain(Thermo Fisher、Rockford、Illinois)を使用して室温で1時間染色し、水を用いて脱染した。ウェスタンブロットのために、タンパク質をGel blot(Invitrogen)を用いて膜に転写した。この膜を、5%ミルクを含むTBS緩衝液中で、室温において1時間ブロックした。ウサギ抗CNP22抗体(1:2500希釈)(Bachem、Torrance、California)を膜に加え、次いで、これを振とうしながら室温において2時間インキュベートし、その後膜を、TBS緩衝液を用いて3回洗浄した。
【0363】
アルカリホスファターゼ(AP)結合体化抗ウサギIgG(1:5000希釈)を膜に加え、次いで、これを振とうしながら室温において1時間インキュベートし、その後膜を、TBS緩衝液を用いて3回洗浄した。10mlのWESTERN BLUE(登録商標)Stabilized Substrate(Promega、Madison、Wisconsin)を膜に加え、次いでこれを、振とうしながら室温において1〜5分間インキュベートし、その後膜を、TBS緩衝液を用いて洗浄し、過剰な染色を除去した。
【0364】
E.coli BL21におけるTAF−CNP融合タンパク質の発現
TAF−CNP融合タンパク質を発現する細胞(E.coli、BL21株)を、−80℃において保存したグリセロールストックから得、4mlの50ug/mlのカナマイシンを含有するLB培地中で37℃において一晩、振とう(250rpm)しながら成長させた。4mlの一晩成長させた細胞培養物を200mlの50ug/mlのカナマイシンを含有するLB培地に移し、37℃において、振とう(250rpm)しながら成長させた。OD
600が0.6に達したとき、次いで、IPTGを、最終濃度1mMになるように加え、37℃において振とう(250rpm)しながら3時間、タンパク質発現を誘導した。その後細胞を、3000rpmにおいて10分間遠沈させ、得られた細胞ペレットを−80℃において凍結した。
【0365】
TAF−CNP封入体の精製およびギ酸切断
細胞ペレット(200ml培養物から)を、25mlのB−PER II緩衝液(PIERCE)に再懸濁し、ペレットを、氷上で10分間超音波処理し(50%、1秒、停止2秒)、4℃で12000rpmにおいて20分間遠心分離し、その後ペレットを25mlの20×希釈B−PER II緩衝液に再懸濁した。これを、上清が透明になるまで繰り返した(3〜5回)。1mLの再懸濁されたTAF−CNP封入体を1.5mlのチューブに移し、14000rpmにおいて15分間遠心分離した。上清を廃棄し、ペレットを10ulの88%ギ酸に溶解し、その後490ulのMillipore濾過した水を直ちに加えた。ペレットをボルテックスによって十分混合し、55℃で20から24時間インキュベートした(70℃/6時間が代替の条件である)。ギ酸切断の産物を、SDS−PAGEおよびLC/MS(C4RP)によってアッセイした。
【0366】
LC/MS試料の調製
封入体を約8mLの培養物(約1.5OD)から単離し、ペレットを10uLのギ酸塩中で可溶化した。再可溶化したペレットを、2%または10%の最終ギ酸塩濃度(0.5mL)に直ちに希釈し、55℃で21時間インキュベートした(pH2)(翌日、2%ギ酸塩の試料において濁りはより明らかであった)。両方の試料を、15000rpmにおいて2分間遠心分離した。20uLの上清を、LC/MS(C4RP)装置に注入した。
【0367】
結果
CNP融合タンパク質はE.coliにおいて発現された。
【0368】
すべてのCNP融合タンパク質は、1mMのIPTGを用いて37℃で3時間誘導したE.coliにおいて発現された(
図1)。構築物のpJexpress−TAF−CNP、pJexpress−KSI−CNP(M/N)およびpET−31b−KSI−CNPは封入体として発現されたが、一方、構築物pET−32a−Trx−CNPおよびpMAL−CNPは可溶性融合タンパク質として発現された。抗CNP22抗体を使用したウェスタンブロットにより、CNP融合タンパク質の発現が確認された(
図1)。
【0369】
CNPは、ギ酸切断によりTAF−CNP封入体から作製された。
【0370】
TAF−CNP封入体を、部分的に精製し、2%ギ酸を用いて55℃で20から24時間処理した(70℃/6時間が代替の条件である)。TAF−CNPの大部分は切断され、Gly−CNP37ペプチドと同様のサイズを有する1つの追加のバンドがSDS−PAGEに現れた(
図2)。切断された試料を、LC/MS(C4RP)によってさらに分析した。LC/MSの結果は、CNPが、ギ酸切断後にTAF−CNP封入体から可溶性形態で放出されたことを示した。LC/MS分析は、CNP融合タンパク質のギ酸切断が環化Pro−Gly−CNP37(MW=4102)の形成をもたらしたことを示した。分析に基づくタンパク質量の計算は、約60ugのギ酸により作製されたCNPが、8mLの非常に低いOD培養物から生成されたことを示唆した。小規模(例えば約8mL)の低OD(例えば1.2OD)の細胞培養物から、およそ8ug/mlのCNPが作製されたが、一方、大規模(例えば約8L)のより高いOD(例えば38OD)の細胞培養物の発酵により、およそ1mg/mlのCNPが作製され得る。
【0371】
結論
5つの発現構築物を作製し、CNP融合タンパク質を発現させた。5つの構築物すべての発現により、可溶性(TrxおよびMBP)または不溶性(TAFおよびKSI)CNP融合タンパク質が作製された。およそ1mg/mlの可溶性CNPが、単純なギ酸切断手順によりTAF−CNP封入体から作製され得る。
【0372】
(実施例2B)
E.coliにおけるさらなるCNP変異体の作製
CNP変異体の組換え作製は、実施例2Aに記載のように実施した。この実施例において、さらなるCNP構築物を、QuikChange II XL部位特異的変異誘発キット(Stratagene)を用いて作製、またはDNA2.0によって合成した。さらなるCNP構築物および発現ベクターを表7に記載する。
【0373】
【表7-1】
【0374】
【表7-2】
CNP38: GQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC [Gly−CNP37 (配列番号75)];
Pro−CNP38: PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC [Pro−Gly−CNP37] (配列番号145);
CNP37: QEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC (配列番号60);
HSA−CNP: GHKSEVAHRFKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC [HSA−CNP27 (配列番号144)];
Pro−CNP53: PDLRVDTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIG−SMSGLGC (配列番号185);
CNP34: PNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC (配列番号163);
TAF−Pro−CNP38: MVLTKKKLQDLVREVCPNEQLDEDVEEMLLQIADDFIESVVTAA−CQLARHRKSSTLEVKDVQLHLERQWNMWIMGSSHHHHHHSSGLVPRGSHT−GDDDDKHMDPGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC (配列番号196);
TAF: ヒト転写因子TAF12ヒストンフォールドドメイン(HFD)およびpET−15bベクター由来リンカー;
TAF−NL: リンカーを含まないTAF12 HFD;
TAF12 HFD: VLTKKKLQDLVREVCPNEQLDEDVEEMLLQIADDFIESVVTAACQLA−RHRKSSTLEVKDVQLHLERQWNMWI (配列番号197);
pET−15b リンカー: MGSSHHHHHHSSGLVPRGSHTGDDDDKHMD (配列番号195);
TAF(C/A): TAF中のシステインがアラニンに変化している;
TAF(D/E): TAF中のアスパラギン酸がグルタミン酸に変化している(数字はどのアミノ酸残基が変化しているかを示す)
TAF(C/A & D/E): TAF中のシステインおよびアスパラギン酸がそれぞれアラニンおよびグルタミン酸に変化している;
BMP: 7つのC/A(システインからアラニン)変異を有する骨形態形成タンパク質2;
KSI: ケトステロイドイソメラーゼ; MBP: マルトース結合タンパク質; TRX: チオレドキシン
結果
すべてのCNP融合タンパク質は、1mMのIPTGを用いて37℃で3時間誘導されたE.coliにおいて発現された。構築物のpJexpress−BMP−Pro−CNP38、pJexpress−TAF−Pro−CNP37、pJexpress−BMP−Pro−CNP37、pJexpress−Pro−HSA−CNP、pJexpress−TAFおよびpJexpress−BMPは封入体として発現された。抗CNP抗体を使用したウェスタンブロットにより、発現が確認された(
図3)。
【0375】
Pro−Gly−CNP37(「Pro−CNP38」)を、ギ酸切断によってTAF−Pro−CNP38封入体から作製した。
【0376】
ギ酸を封入体タンパク質の変性剤として使用し、最適条件下でAspとProとの間のペプチド結合を特異的に切断できる。TAF−Pro−CNP封入体を、上記のように部分的に精製し、50%ギ酸を用いて25℃、37℃、42℃および55℃において24時間処理した。TAF−Pro−CNP38の大部分は切断され、Gly−CNP37(「CNP38」)ペプチドと同様のサイズの1つの追加のバンドが、37℃、42℃および55℃の切断でSDS−PAGE上にあらわれた(
図4A)。37℃および55℃における切断反応を10MのNaOHを用いて中和し、14,000rpmにおいて15分間遠心分離した。未切断のTAF−Pro−CNP38、TAFおよび他の封入体をペレットに沈殿させた。上清は可溶性Pro−CNP38を含有し、LC/MSによってさらに分析された。LC/MSの結果は、過剰の酸加水分解によって作製された非特異的切断ペプチドの混合物を含有したことを示した。
【0377】
TAF−Pro−CNP封入体を、2%および10%ギ酸を用いて、55℃で20時間処理した場合、TAF−Pro−CNP38の大部分が切断され、Gly−CNP37と同様のサイズを有する1つの追加のバンドがSDS−PAGE上に観察された(
図4B)。切断試料を、LC/MSによってさらに分析した。LC/MS分析により、ギ酸切断後、目的のPro−CNP38が、TAF−Pro−CNP38封入体から可溶性形態で放出されたことが示された。2%と10%ギ酸切断からのPro−CNP38の収量は、同様であった(
図4C)。
【0378】
Pro−Gly−CNP37(「Pro−CNP38」)作製および精製のためのギ酸切断および中和
ギ酸は、TAF−Pro−CNP38、BMP−Pro−CNP38および他の封入体を溶解し切断できる。pHの中和は、不溶性の混入したタンパク質/ペプチド(未切断TAF−Pro−CNP38およびBMP−Pro−CNP38、TAF、BMPなど)の沈殿をもたらす。可溶性Pro−CNP38は、遠心分離後上清中に留まる。TAF−Pro−CNP38およびBMP−Pro−CNP38を、2%ギ酸中で55℃または70℃で24時間切断した。切断反応を、1:1の比の0.5MのTris緩衝液を用いて中和し、14,000rpmにおいて15分間遠心分離した。結果は、上清がほとんど純粋なペプチドを含有し、中和に関するPro−CNP38の回収損失は観察されなかったことを示した。これは、Pro−CNP38の精製のための単純かつ有効なステップである。
【0379】
Pro−Gly−CNP37(「Pro−CNP38」)作製のためのTAF−Pro−CNP38封入体のギ酸切断に関する様々な条件の分析
ギ酸は、最適条件下でAspとProとの間のペプチド結合を特異的に切断できる。ギ酸切断条件が最適でない場合、Aspと任意の他のアミノ酸との間のペプチド結合の非特異的切断、または任意のペプチド結合の非特異的切断さえも起こり得る。TAF−Pro−CNP38封入体を、2%ギ酸を用いて、42℃、55℃または70℃で6、24または48時間切断した。
図5Aは、TAF−Pro−CNP38が70℃で24時間または55℃で48時間において完全に切断されたことを示す。70℃の切断は、17時間以内で完了され得る(
図5B)。70℃/24hの切断は最も高い収量をもたらすが、非特異的切断産物(例えば、AspとArgとの間のペプチド結合の切断によってPro−CNP38から作製される、分子量3142を有するペプチド)が劇的に増加した(
図5C)。
【0380】
ギ酸切断前にTAF−Pro−CNP38封入体を精製するか、またはB−PERII緩衝液を用いて処理した場合、Pro−CNP38作製の収量および純度は改善された。B−PERII緩衝液は洗剤のオクチルチオグルコシドを含有し、比較的高価であるので、他の一般的に使用される洗剤または緩衝液を、大規模な、Pro−CNP38作製のために試験した。TAF−Pro−CNP38封入体を、異なる洗剤(Octylsucrose;Triton X−100;Tween−20;NP−40;CA−630)または緩衝液(B−PERII;B−PERII 1/20希釈物;B−PER;B−PERリン酸緩衝液;25mMのtris、150mMのNaCl、pH7.9;25mMのtris、pH7.5;濾過水;PBS)に再懸濁し、室温(RT)で24時間インキュベートした。すべての洗剤は、25mMのtris緩衝液、pH7.5中1%であった。洗剤または緩衝液中でインキュベートした後で、TAF−Pro−CNP38封入体を2%ギ酸によって55℃で22時間切断した。結果は、BPERIIが優れた収量を示し続けさらに、CA630およびTriton X−100により陽性結果を得たことを示した。
【0381】
Pro−Gly−CNP37(「Pro−CNP38」)タンパク質性分解切断産物
おそらく膜結合プロテアーゼである1つの未特定のプロテアーゼが、Pro−CNP38の精製の間にPro−CNP38ペプチド(BL21株から産生された、MW4102)を2つのペプチドに切断し、ペプチドのPGQEHPNAR(MW1004)(配列番号198)およびKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(MW3115)(配列番号199)をもたらした。理論に縛られるものではないが、洗剤がPro−CNP38の収量および純度を改善し得る1つの考えられる理由は、洗剤が、おそらくすべてではないが大部分の未特定のプロテアーゼを除去できることである。高温、塩基性pHおよびEDTAを試験し、これらの因子がプロテアーゼの切断を阻害できるかどうかを特定した。TAF−Pro−CNP38封入体を、RTまたは120℃で2時間インキュベートし、14000rpmにおいて15分間遠心分離した。ペレットを2%ギ酸に再懸濁し、55℃または70℃で18時間インキュベートした。1:1の比の0.5MのTrisを加え、切断を中和した。中和試料を14000rpmにおいて5分間遠心分離し、上清を、10mMのEDTA、pH10と共に、またはEDTAは加えずに6時間または22時間RTで放置した。タンパク質分解性切断を、LC/MSによってアッセイした(表8)。
【0382】
【表8】
70℃において切断されたすべての試料(8〜12)が、限定的な(Pro−CNP38の切断は4%未満)タンパク質分解性切断を示した。切断を55℃において実施される場合(試料7)、Pro−CNP38のほぼ40%がプロテアーゼによって切断された。塩基性pHおよびEDTAは非特異的タンパク質分解性切断に影響を与えなかった。高温(120℃で2時間)では、Pro−CNP38が非特異的に切断された。
【0383】
StratageneによるBL21(DE3)株は未特定のプロテアーゼを有さないことに留意するべきである。
【0384】
様々な構築物からのPro−Gly−CNP37(「Pro−CNP38」)および他のCNP変異体の作製:
Pro−CNP38は、封入体としてのTAF−Pro−CNP38融合タンパク質の過剰発現およびその後の融合タンパク質のギ酸切断を用いて、E.coliにおいて大規模に作製できる。本明細書に記載の方法に従って、他のTAF−CNP融合タンパク質(TAF−CNP34およびTAF−Pro−CNP53)を封入体として発現させ、その後ギ酸を用いて切断し、CNP変異体のCNP34およびPro−CNP53を作製した。
図6は、TAF−CNP34の発現を表し、
図7はTAF−Pro−CNP53の発現を表し、
図8はTAF−CNP34およびTAF−Pro−CNP53のギ酸切断の産物を表し、
図9はLC/MSのクロマトグラムにおけるCNP−34のピークを表し、
図10はLC/MSのクロマトグラムにおけるPro−CNP53に関するピークを表す。
【0385】
ギ酸の使用は、標的であるAsp−Pro結合以外のペプチド結合(複数可)における非特異的切断(複数可)をもたらし得る。所望のギ酸切断産物の純度および全力価を改善するために、TAF12またはそれらの断片中のアスパラギン酸の異なる残基をグルタミン酸に変化させた。さらに、TAF12またはそれらの断片中の1つ以上のシステイン残基をアラニンに変化させ、非特異的ジスルフィド結合の形成を阻止した。TAF12にこのような変異を有するすべてのTAF−Pro−CNP38融合タンパク質を封入体として発現させ、ギ酸を用いて切断し、Pro−CNP38を作製した。
図7は、TAF−NL−(C/A&6D/6E)−Pro−CNP38およびTAF(C/A&10D/10E)−Pro−CNP38の発現を示し、
図11はTAF(C/A&4D/4E)−Pro−CNP38およびTAF(4D/4E)−Pro−CNP38の発現を示し、
図12はTAF(4D/4E)−Pro−CNP38およびTAF(C/A&4D/4E)−Pro−CNP38のギ酸切断産物を示し、
図13はTAF−NL−(C/A&6D/6E)−Pro−CNP38およびTAF(C/A&10D/10E)−Pro−CNP38のギ酸切断産物を示す。表9は、様々なTAF−Pro−CNP38構築物から得られたPro−CNP38の純度(精製前)および力価をまとめたものである。
【0386】
【表9】
*他のTAF−Pro−CNP38構築物と比較して、pJexpress−TAF(C/A&10D/10E)−Pro−CNP38を有する細胞はより緩慢に成長し、最終細胞密度(OD
600)はより低かった。
【0387】
発酵およびギ酸切断によるPro−Gly−CNP37(「Pro−CNP38」)の大規模作製
pJexpress−TAF−CNP構築物を含むBL21(DE3)細胞を、10リットルの発酵槽において37℃で約16〜17時間、OD
600が64に達するまで成長させた。次いで、細胞を、1mMのIPTGの存在下で約35〜37℃において成長/培養し、OD
600が160に達するまで約7〜8時間TAF−Pro−CNP38融合タンパク質の発現を誘導した。発酵により力価9g/LのTAF−Pro−CNP38が作製された。
図14は、発酵において作製されたTAF−Pro−CNP38融合タンパク質のウェスタンブロットを表示する。
【0388】
10Lの発酵からの750mL細胞培養物から回収された細胞ペレットを、リン酸緩衝生理食塩水pH7.4(PBS)に再懸濁し、高圧ホモジナイザー(10,000バール(bar))を3回通すことによって溶解した。得られた溶解物を、6,500gにおいて10分間遠心分離し、上清を廃棄した。不溶性TAF−Pro−CNP38融合タンパク質封入体を含有するペレット画分を、ロートステーター(rotostator)を用いて500mLのPBSに再懸濁した。懸濁液を、6,500gにおいて10分間遠心分離し、上清を廃棄した。得られた封入体のペレットを、ロートステーターを用いて500mLの水に再懸濁し、55℃で30分間インキュベートした。250mLの6%ギ酸を、暖めた封入体懸濁液に最終濃度2%ギ酸になるように加え、55℃で20〜24時間インキュベートした。20〜24時間後、50mLの400mMのNa
2HPO
4を加え、ギ酸切断反応の中和を開始し、得られた混合物を50%w/vのNaOHでpH6.9〜7.4まで滴定し、室温で30分間放置した。中和により重い沈殿物が形成され、6,500gにおいて10分間の遠心分離によって除去した。上清を保持し、上清は平均1.3g/L培養物の80%純粋なPro−CNP38を含有した。E.coliの大部分ならびにTAF関連タンパク質およびペプチドがペレット中に残存していた。
【0389】
ギ酸切断および中和した上清から得られた可溶性Pro−CNP38は、80%純粋であり、他の産物に関連する夾雑物と一緒に線状および環化Pro−CNP38ペプチドの混合物を含有した。Pro−CNP38を含有するpHが中性の上清を、濾過滅菌した。カラムに結合するDNA、エンドトキシンおよびペプチド混入物質を除去するために、Fractogel TMAE Hi−CAPカラム(EMD Biosciences)を使用する陰イオン交換クロマトグラフィーによるさらなる精製を、pH7〜7.4において実施した。通過画分は、部分的に環化されたPro−CNP38を含有した。最終濃度10uMになるように硫酸銅を通過画分に加え、室温で1時間インキュベートした。中性pHにおけるCu
++の添加は、ペプチド上の遊離のシステインスルフヒドリル基の酸化を触媒し、分子内ジスルフィド結合を形成し、100%環化されたPro−CNP38をもたらし、検出可能な線状ペプチドは形成されなかった。溶液の伝導度を、水を加えることによって15mS/cm未満に調整した。次いで、SP−Sepharoseカラム(GE Healthcare)およびリン酸ナトリウム緩衝液(pH7)を使用する陽イオン交換クロマトグラフィーを実施し、通過液中に残存するどのようなDNAおよびエンドトキシンも除去し、Pro−CNP38を、約95〜96%の純度であり、非産物関連夾雑物0.5%未満までさらに精製した。
図15は、SP−Sepharoseカラムからの溶出液画分のSDS−PAGEであり、最も高濃度のPro−CNP38は、画分22から30において発見された。プールされない画分24の逆相HPLC/MS分析は、90%のPro−CNP38、酸化されたメチオニン残基を有する5%のPro−CNP38、Gly−Cys結合で切断され、CNP−17を形成した3%のPro−CNP38および環状ドメイン中のAsp−Arg結合で切断された1.6%のPro−CNP38の存在を示した。最終精製における純粋Pro−CNP38ペプチドの収量は、0.9g/L細胞培養物であった(36%の全回収)。
【0390】
5つの別々の精製から回収されたPro−CNP38を、製剤化のためにプールした。プールした産物は、93.5%のPro−CNP38、酸化されたメチオニン残基を有する3.3%のPro−CNP38、1.3%の脱アミド化Pro−CNP38およびGly−Cys結合で切断され、CNP−17を形成した1%のPro−CNP38を含有した。試料を、50mMのリン酸ナトリウム(pH7)を用いて伝導度10mS/cmに希釈し、濃縮および緩衝液交換のためにCM−Sepharoseカラム(GE−Healthcare)にロードした。CM−Sepharose樹脂の弱い陽イオン交換特性により、ペプチドは、典型的な塩勾配ではなく弱酸性溶液によりカラムから解離できる。CM−SepharoseカラムからPro−CNP38が解離するために必要とされる酸濃度は、カラムのローディングに依存する。50mgのPro−CNP38/mL樹脂において、10mMのHClは、Pro−CNP38の溶出のために十分であった。9mgのPro−CNP38/mL樹脂において、50mMのHClが溶出に必要であった。ローディングが9mg Pro−CNP38/mL樹脂であった場合、Pro−CNP38は1カラム容積未満で溶出され、これはペプチドを著しく濃縮した。溶出液画分は、20.3mg/mLの95%純粋なPro−CNP38を、酸化されたメチオニン残基を有する3%のPro−CNP38、1%の脱アミド化Pro−CNP38およびGly−Cys結合で切断され、CNP−17を形成した1%未満のPro−CNP38と一緒に含有した。弱酸中のPro−CNP38の濃縮溶液は、液体製剤または凍結乾燥製剤のどちらにとっても、適切な緩衝液への希釈に適している。
【0391】
(実施例3)
In Vitroでの中性エンドペプチダーゼによるCNP変異体の切断
アミノ酸置換、アミノ酸伸長、骨格の改変、側鎖の改変およびPEG化の、中性エンドペプチダーゼ(NEP)切断に対するCNP変異体の感受性に関する効果を決定するために、非切断CNP変異体の消失をモニターするin vitroアッセイを使用して、ペプチド切断アッセイを実施した。
【0392】
組換えヒトNEP(最終濃度1ug/mL)を、0.1MのTris、pH7で希釈した100uMのCNP変異体に加えた。反応混合物を、37℃において様々な期間インキュベートし、反応を、EDTA(最終濃度10mM)を用いて停止させ、その後熱変性させた。反応混合物を還元し、その後反応産物をHPLCおよび質量分析を使用して分析した。CNP変異体の半減期を、無傷のCNP変異体の、時間に伴う消失に基づき計算した。消化されたCNP変異体に関する結果を、並行するwtCNP22消化と比較し、1mg/mLのNEPにより消化された100uM CNP22に関する結果(t
1/2=80分)に対して正規化した。
【0393】
表1に、in vitroのNEP切断アッセイに基づく、骨格または側鎖に改変を有する様々なCNP変異体の半減期を載せる。類似体Lの6つのNEP切断部位のうち3つを除去したにもかかわらず、実質的により短い半減期をもたらした。試験したCNP変異体のうち、CNP22の22のアミノ酸すべてのD−鏡像異性体を含有する類似体N、およびLeu9およびLeu11の両方にNメチル化アミド結合を有する類似体Mは、NEP切断に対する最も強い耐性を示した。しかし、類似体NおよびMは両方ともcGMPの産生を刺激できなかった(以下を参照されたい)。
【0394】
類似体A、B、E、F、GおよびHの半減期を互いに比較すると、類似体A、B、FおよびHに関する半減期と比較して、類似体EおよびGに関する半減期は約1.5〜約2.5倍長いことが決定された。これら6つの類似体はすべて、wtCNP22と比較してCys6−Phe7結合における切断に対して耐性を示した、または耐性が改善されていた(データ非掲載)。1ug/mlのNEPに対する類似体の耐性の、半減期に基づく順位序列は、類似体G(3−Cl−Phe)≧類似体E(D−Phe)>類似体H(「ベータ−2Phe」)、類似体B(N−Me−Phe)および類似体F(t−Bu−Gly)=wtCNP22>類似体A(CyS−CH
2−NH)である。類似体EおよびGは、wtCNP22と比較して約1.5倍長い半減期を有する。Cys6−Phe7結合の切断に対する耐性を除いて、類似体B、E、F、GおよびHは、1ug/mLのNEPの存在下でGly8−Leu9結合の切断に対する耐性もまた示した(データ非掲載)。これらの結果は、Cys6とGly8との間に骨格または側鎖の改変を有するCNP変異体が、Cys6−Phe7結合および/またはGly8−Leu9結合のNEP切断に耐え得るが、必ずしもNEPに対するすべての耐性が改善するとは限らず、またCNP22より長い半減期を有するとは限らないことを示す。結果は、NEPがまずCNP22のCys6−Phe7結合を切断し、その後別の場所を切断するという文献の報告と対照的であるとようである。
【0395】
【表1】
1 1uM CNP22の存在下のcGMP産生と比較した、ナトリウム利尿ペプチドによるNIH3T3細胞におけるcGMP産生の刺激
2 CNP22 NEP耐性のt
1/2は平均すると80分であった。実験間のNEP触媒活性の変動のため、すべてのCNP22の消化のt
1/2を80分に対して正規化し、差分係数を、個々の実験の類似体のt
1/2を計算するために使用し、調整されたt
1/2を得た。
ND=未決定
表2は、in vitroのNEP切断アッセイに基づく、天然および/または非天然アミノ酸での置換を有する様々なCNP変異体の半減期を記載する。被験変異体のうち、NEP切断に対する最も高い耐性は、K4RおよびG15Sの置換を有する類似体BKおよびK4RおよびG15Nの置換を有する類似体BJにより示された。
【0396】
【表2】
【0397】
【表2-2】
1 1uM CNP22の存在下のcGMP産生と比較した、ナトリウム利尿ペプチドによるNIH3T3細胞におけるcGMP産生の刺激
2 CNP22 NEP耐性のt
1/2は平均すると80分であった。実験間のNEP触媒活性の変動のため、すべてのCNP22の消化のt
1/2を80分に対して正規化し、差分係数を、個々の実験の類似体のt
1/2を計算するために使用し、調整されたt
1/2を得た。
ND=未決定
表3は、in vitroのNEP切断アッセイに基づく、アミノ酸伸長を含むN末端および/またはC末端の改変を有するCNP変異体の半減期を記載する。試験した類似体のうち、類似体AZ、CC、CF、BL、CS、CKおよびCL、Pro−Gly−CNP37およびHSA−CNP27が、NEP分解に対して最も耐性が高かった。
【0398】
【表3-1】
【0399】
【表3-2】
【0400】
【表3-3】
1 1uM CNP22の存在下のcGMP産生と比較した、ナトリウム利尿ペプチドによるNIH3T3細胞におけるcGMP産生の刺激
2 CNP22 NEP耐性のt
1/2は平均すると80分であった。実験間のNEP触媒活性の変動のため、すべてのCNP22の消化のt
1/2を80分に対して正規化し、差分係数を、個々の実験の類似体のt
1/2を計算するために使用し、調整されたt
1/2を得た。
ND=未決定
表4は、in vitroのNEP切断アッセイに基づく、N末端においてPEG(またはPEO)ポリマーに結合したCNP変異体の半減期を記載する。試験し、表4に記載したすべてのPEG化CNP変異体は、PEO12−GANPR−CNP22(K4R)を除いて、NEP切断に対する耐性あるいは増強した耐性を示し、それらはwtCNP22と同じ半減期を有した。K4Gの置換を有するCNP22のN末端PEG化は、NEP耐性の実質的改善をもたらすようにはみえない。例えば、PEG2K−CNP22(K4G)は、CNP22よりNEP切断に対してわずかに耐性が高いだけであるが(データ非掲載)、一方PEG2K−CNP22はCNP22よりはるかに長い、in vitroの半減期を有した。
【0401】
【表4】
1 1uM CNP22の存在下のcGMP産生と比較した、ナトリウム利尿ペプチドによるNIH3T3細胞におけるcGMP産生の刺激
2 CNP22 NEP耐性のt
1/2は平均すると80分であった。実験間のNEP触媒活性の変動のため、すべてのCNP22の消化のt
1/2を80分に対して正規化し、差分係数を、個々の実験の類似体のt
1/2を計算するために使用し、調整されたt
1/2を得た。
ND=未決定
図16は、CNP22の5つのN末端PEG化結合物のNEP耐性プロファイルを示す。PEG(またはPEO)ポリマーに結合したCNP22ペプチドは、ポリマーの質量が大きくなるほど、NEP分解に対する耐性の増加を示した。特に、PEO24−CNP22、PEG2K−CNP22およびPEG5K−CNP22は、160分のアッセイ期間にわたってNEP分解に対して耐性であった。
【0402】
図17は、N末端アミノ酸伸長を有するCNP変異体のCNP37(類似体BL)、CNP53およびGANRR−CNP22(K4R)(配列番号:36)のNEP耐性プロファイルを表示する。明らかに理解可能なように、CNP37およびCNP53の両方がこのin vitroアッセイにおいてNEP分解に対して耐性であり、一方GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)はNEPの加水分解に対してCNP22と同じ不安定性を有した。
【0403】
図18は、N−末端においてPEG(またはPEO)部分と結合したCNP17およびGANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)のNEP耐性プロファイルを表す。GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)のPEG化は、このCNP変異体のNEP耐性を大幅に改善し、PEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号:36)は、160分間のアッセイ期間にわたってNEP切断に対して完全に耐性であった。PEO部分の質量が約0.6kDa(PEO12)から約1.2kDa(PEO24)に増加することにより、PEG化GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)のNEP耐性は改善された。多分散したPEG1K部分よりもむしろ単分散したPEO24部分とのGANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)のPEG化が、NEP耐性をさらに改善した。最終的に、PEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)およびPEG2K−CNP17の両方が同様の総質量を有するが(PEG2Kが多分散していることに留意されたい)、前者は実質的により優れたNEP耐性を示した。
【0404】
NEP耐性アッセイを、wtCNP22ならびにCNP変異体のG−CNP37、GHKSEVAHRFK−wtCNP27(「CNP27−HSA」、配列番号144)およびPEO12−GANRR−CNP22(K4R)(「CNP27−PEO12」)(配列番号36)に関してさらに実施した。
図19は、G−CNP37およびCNP27−HSAがNEP切断に対して完全に耐性であったこと、およびCNP27−PEO12が、wtCNP22と比較してNEP分解に対してはるかに高い安定性を示したことを示す。
【0405】
(実施例4)
NIH3T3細胞におけるcGMP産生のCNP変異体刺激
CNP変異体の機能活性を決定するために、cGMPの産生を、CNP変異体に曝露されたNIH3T3細胞において測定した。ネズミNIH3T3細胞は、ヒトNPR−Bと98%タンパク質配列同一性を共有するCNPシグナル伝達受容体であるNPR−Bを内因的に発現する。NIH3T3細胞を、10%ウシ胎仔血清および抗生物質を補充した高グルコースダルベッコ変法イーグル培地において、37℃、5%CO
2で培養した。シグナル伝達の24時間から48時間前、アッセイの時点に、細胞を、12ウェルプレートに2〜5×10
5細胞の密度/ウェルで継代した。CNP変異体を、ストック濃度が1mg/mLになるように1mM HCl中で再懸濁し(wtCNP22については455uM)、その後、30uMの作業用ストック溶液に、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いて希釈した。10倍連続希釈物を、リン酸緩衝生理食塩水で調製した。培地を細胞から除去し、0.75mMのイソブチルメチルキサンチン(isobutylmethylxanine)を含有する0.4mLのPBS/ダルベッコ変法イーグル培地(50/50、v/v)と取り換えた。プレートを37℃、5%CO
2で15分間インキュベートし、その後、0.2mLのPBS中CNP変異体を添加し、37℃で15分間インキュベーションを続けた。反応を、CatchPoint cGMPアッセイキット(Molecular Devices)により供給された0.2mLの溶解緩衝液を添加することによって停止し、cGMPの産生を、CatchPoint cGMPアッセイ(Molecular Devices)を用いて決定した。すべての刺激実験は、2重に実施した。
【0406】
表1〜4に、それぞれ、骨格または側鎖の改変、アミノ酸置換、N末端アミノ酸伸長および/またはN末端PEG化を有するCNP変異体の、NIH3T3細胞においてcGMP産生を刺激する能力をまとめる。4つの全ての表において10nMまたは1uMのCNP変異体に曝露されたNIH3T3細胞のcGMP産生の値を、細胞数および1uMのwtCNP22の存在下のcGMP産生に対して正規化する。
【0407】
表1の結果を見ると、7位に3−Cl−Pheを有する類似体Gだけが、1uMにおいてwtCNP22と実質的に同じNPR−B刺激活性を表示した。表2に関しては、類似体AH、BO、AB、BH、BZ、BXおよびBRを含む、アミノ酸置換を有する様々なCNP変異体が、wtCNP22と実質的に同様のNPR−B刺激活性を示した。
【0408】
表3の結果を見ると、アミノ酸伸長を含む、N末端および/またはC末端改変を有する多数のCNP変異体が、wtCNP22に匹敵するNPR−B刺激活性を示した。機能性CNP変異体は、N末端においてへプタン酸と結合したCNP22(G1E)である類似体BBおよびBNPのN末端およびC末端の「尾部」に結合したCNP22の環状ドメイン(Cys6からCys22配列を保有する「CNP17」)である類似体CDを含む。
図20は、GANRR−CNP22(K4R)、CNP37(配列番号36)(類似体BL)およびCNP53がすべて、in vitroアッセイにおいてwtCNP22同様のNPR−B刺激活性を有したことを例示する。
【0409】
表3で注目するべきことは、CNPの機能性およびNEP耐性の両方に関してアッセイされたCNP変異体のうち、類似体AZ(R−CNP22(K4R))、類似体CC、類似体CF、類似体BL(CNP37)、類似体DB(Gly−CNP37)およびGHKSEVAHRFK−CNP27(HSA−CNP27)(配列番号144)はすべて、CNP22と実質的に同様のNPR−B刺激活性を有したが、CNP22よりNEP切断に対して耐性が実質的に高かったということである。
【0410】
表4の結果に関しては、1uMにおける9個のN末端PEG化CNP変異体は、wtCNP22によって達成されるレベルの少なくとも約70%までcGMP産生を刺激した。いくつかの注目に値する点が表4に見られる。まず、単分散したPEOポリマー(PEO12は約0.6kDa、PEO24は約1.2kDa)を用いたGANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)のN末端PEG化は、多分散したPEGポリマー(PEGlKは、およそ1kDaのポリマー数平均分子量(Mn)を有し、PEG2Kはおよそ2kDaを有する)を用いるよりも優れたNPR−Bの機能性をもたらした(さらに
図21を参照されたい)。第2に、増加したM
nをもつ多分散したPEGポリマー(PEG1K、PEG2K、PEG5KおよびPEG20K)を用いた、またはより質量の大きい単分散したPEOポリマー(PEO12およびPEO24)を用いたwtCNP22のN末端PEG化は、対応してCNP変異体のNPR−B活性化能力を減少させた(
図22をさらに参照されたい)。第3に、N末端のGANRR(配列番号8)伸長を有するPEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)は、PEO24−CNP22およびPEO24−CNP22(K4R)よりも強くcGMP産生を刺激した。CNPの機能性およびNEP耐性の両方に関してアッセイされたN末端PEG化CNP変異体のうち、PEO12−R−CNP22(K4R)、PEO12−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)およびPEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)はすべて、CNP22と実質的に同様のNPR−B刺激活性を有したが、CNP22よりNEP分解に対して耐性がはるかに高かったことも注目するべきである。
【0411】
表1〜4に記載し、CNPの機能性およびNEP耐性の両方に関してアッセイされたCNP変異体のうち、類似体G、BK、AZ、CC、CF、BLおよびDB、Pro−Gly−CNP37、HSA−CNP27(GHKSEVAHRFK−CNP27)(配列番号144)、PEG1K−CNP22、(PEO12)−ビオチン−CNP22、PEO12−R−CNP22(K4R)、PEO12−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)、およびPEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)はすべて、wtCNP22と実質的に同様のNPR−B刺激活性を有したが、wtCNP22よりNEP切断に対して実質的に耐性が高かった。
【0412】
cGMP産生アッセイを、wtCNP22およびCNP変異体のG−CNP37、GHKSEVAHRFK−wtCNP27(「CNP27−HSA」、配列番号144)、wtCNP29およびPEO12−GANRR−CNP22(K4R)(「CNP27−PEO12」)(配列番号36)に関してさらに実施した。
図23は、アッセイしたCNP22およびすべてのCNP変異体は、低用量または高用量のCNPのどちらでも、同様のcGMPレベルの産生を誘導したことを示す。
【0413】
(実施例5)
NPR−A、NPR−BおよびNPR−Cに関する結合特異性
シグナル伝達競合アッセイ
クリアランス受容体NPR−Cに関するCNP変異体の結合特異性を決定するために、シグナル伝達競合アッセイを実施する。ヒトNPR−BまたはNPR−Cのための発現プラスミド(それぞれOriGeneから購入)を、一時的にトランスフェクトし、HEK293T細胞において受容体を発現させる。トランスフェクションの40時間後、NPR−B、NPR−Cおよび天然のHEK293T細胞を収穫し、カウントし、12ウェルプレートまたは96ウェルプレートに1:1(NPR−B細胞:競合細胞(NPR−Cまたは天然HEK293T細胞のどちらか))の比率でプレーティングした。プレーティングの20時間後、細胞を、実施例4に記載のNPR−B/cGMP刺激アッセイ用に処理した。存在する場合、ナトリウム利尿クリアランス受容体のNPR−Cは、CNPと結合し、CNPを内在化し、その結果、NPR−Bを介したシグナル伝達に利用可能なCNP濃度が全体的に減少し、cGMP産生の低下をもたらし、用量反応曲線が右に移行することが予測される。用量反応曲線における右方向への移行は、wtCNP22に関して検証された。NPR−Cに対する親和性が減少したCNP変異体は、用量反応曲線における右側への移行を誘導することが予測されないか、またはより小さな移行の誘導が予測される。このシグナル伝達競合アッセイは、Cunninghamによって既に記載されたアッセイと同様である(米国特許第5,846,932号;B. Cunningham、EMBO J. 13巻(11号):2508〜2515頁(1994年);H. Jinら、J. Clin. Invest.98巻(4号):969〜976頁(1996年))。
【0414】
NPR−BおよびNPR−Aを介したwtCNP−22、Pro−Gly−wtCNP37およびANPのcGMP刺激活性ならびにNPR−B対NPR−Cに対するそれらの選択性およびNPR−A対NPR−Cに対するそれらの選択性を、シグナル伝達競合アッセイにおいて評価した。NPR−A、NPR−BおよびNPR−Cを、HEK293T細胞内に、個別に一時的にトランスフェクトした。トランスフェクションの30時間後、細胞を96ウェルプレートにプレーティングした:(A)20,000NPR−B細胞+20,000モックトランスフェクト細胞;(B)20,000NPR−B細胞+20,000NPR−C細胞;(C)20,000NPR−A細胞+20,000モックトランスフェクト細胞;および(D)20,000NPR−A細胞+20,000NPR−C細胞。プレーティングの20時間後、培地を除去し、無血清培地:PBS(1:1)+0.75uMのIBMXに15分間置き換えた。NPR−Bを介したcGMPシグナル伝達については、ANP、CNP−22およびPro−Gly−CNP37に関する用量のシリーズを加え、37℃で12分間インキュベートし、その後細胞溶解によってアッセイを止めた。NPR−Aを介したcGMPシグナル伝達については、CNP−22およびPro−Gly−CNP37に関する用量シリーズを37℃で12分間インキュベートしたが、一方ANPに関する用量のシリーズは37℃において6分間インキュベートした(NPR−Aは、NPR−Bより「高速」のグアニル酸シクラーゼ(guanylyl cyclase)であるようなので、ANPによるシグナル伝達の場合、速すぎて最高点に達する(すべての細胞GTPを使い尽くす)ことがないようにANPに関するインキュベーション時間を短くした)。
図24AおよびBは、CNP−22およびPro−Gly−CNP37(「Pro−CNP38」)が、同様の用量反応曲線を有するNPR−Bを介したcGMP産生を、NPR−Aを介するよりもはるかに大きい程度に刺激し、シグナル伝達競合アッセイにおいてNPR−B対NPR−Cの選択性に関して同様のプロファイルを示したことを示す。
【0415】
NPR−A、NPR−BおよびNPR−Cに対する結合親和性(K
i)の決定
NPR−A、NPR−BおよびNPR−Cに対するCNP変異体の結合親和性(K
i)を、異種競合結合アッセイ(米国特許第5,846,932号;B. Cunningham、EMBO J. 13巻(11号):2508〜2515頁(1994年);H. Jinら、J. Clin. Invest.98巻(4号):969〜976頁(1996年))において決定する。HEK293細胞またはヒトNPR−A、NPR−BまたはNPR−Cを発現する、別の適切にトランスフェクト可能な細胞系(例えばHeLa細胞)由来の膜を、放射標識リガンド結合アッセイのために調製する。膜調製品を適切な緩衝液で希釈し、様々な濃度のwtCNP22またはCNP変異体(競合体)を、I
125標識wtCNP22(Bachem)と一緒に加える。試料を室温でインキュベートし、リガンド/受容体を平衡させ、結合したペプチドを、PVDFフィルター膜を介した濾過によって遊離のペプチドと分離する。フィルターを洗浄し、その後シンチラント(scintillant)を加え、シンチレーションカウンターによりカウントする。結合を、個々の濃度の競合体ペプチドに関して二重に測定する。CNP変異体の親和性(K
i、平衡解離定数)およびB
max(受容体数)を、非線形回帰分析および/またはCheng−Prusoffの等式によって計算する。
【0416】
NPR−Cへの親和性の減少を示すCNP変異体は、NPR−Cによるクリアランスに対する感受性の減少、したがってより長い血漿半減期または血清半減期が予測される。循環中のCNP変異体の半減期の増加は、治療活性のための変異体の可用性を増加するものである。
【0417】
(実施例6)
ラット軟骨肉腫(RCS)細胞の成長およびRCS細胞におけるcGMP産生についてのCNP変異体の効果
骨成長を刺激するCNP変異体の能力を評価するために、ラット軟骨肉腫(RCS)細胞を線維芽細胞増殖因子2(FGF−2)により治療することによって、細胞培養において骨格形成異常を刺激し、線維芽細胞増殖因子2は、線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR−3)を活性化し、成長の停止を誘導する(Krejci ら、J. Cell Sci.、118巻(21号):5089〜5100頁(2005年))。
【0418】
最適なCNP治療のパラメーターは、CNP濃度(0.05、0.1、0.2および0.5uM)ならびに治療期間および間隔(連続;1日1回、2.5分、10分、30分、1時間、2時間、4時間、および8時間、;1日2回、2.5分、10分、30分、1時間、2時間、および4時間)を変えることによって決定される。72時間後、細胞を、自動細胞計測器を使用して計測し、細胞外マトリックスの量を、アルシアンブルー染色を使用して評価する。
【0419】
その後、wtCNP22を用いた成長実験により決定された最適条件を使用して、RCS細胞をCNP変異体で処理する。cGMPの濃度を、未処理RCS細胞、CNPで処理したRCS細胞およびCNP変異体で処理したRCS細胞に関して、競合ELISAによって測定する。CNP変異体による処理によりもたらされた細胞成長およびマトリックスの合成をさらにモニターし、CNP処理によりもたらされた細胞成長およびマトリックスの合成と比較する。
【0420】
ヒト細胞培養系におけるCNP変異体の効果を評価するために、アルギン酸ビーズ中の初代再分化ヒト軟骨細胞を、wtCNP22およびCNP変異体を用いて処理し、cGMP濃度を、有効なCNPシグナル伝達の指標として競合的ELISAによって決定する。
【0421】
本明細書に記載の方法は、in vitroのcGMP産生およびラット軟骨肉腫細胞の成長を刺激する、CNP変異体の能力を評価するために用いることができる。
【0422】
(実施例7)
ラット軟骨肉腫細胞における用量反応研究
軟骨細胞成長の負の制御因子であるチロシンキナーゼ受容体の線維芽細胞成長因子受容体3(FGFR−3)は、軟骨無形成症被験体において構成的に(contitutively)作動している。FGF−2によるFGFR−3受容体の刺激は、Erk MAPKの活性化延長により成長停止を起こし、マトリックス合成の減少およびマトリックスの喪失を起こし、ならびに細胞形態の変化を起こす。ラット軟骨肉腫(RCS)細胞の線維芽細胞成長因子2(FGF−2)への連続曝露は、FGFR−3を活性化することによって、細胞培養物において軟骨無形成を刺激し、成長停止を誘導する(Krejciら、J. Cell Sci、118巻(21号):5089〜5100頁(2005年))。骨細胞の十分な成長を刺激するCNP変異体の用量および投薬の頻度を決定するために、用量反応研究を、実施例6に記載のRCS細胞アッセイを使用して実施した。
【0423】
RCS細胞を、24ウェルプレートに10×10
3細胞/ウェルで播種し、24時間成長させ、72時間処理し、その後カウントした。RCS細胞を、FGF−2(5ng/mL)に連続して曝露し、構成的に活性なFGFR−3を刺激し、構成的に活性なFGFR−3が細胞成長の停止を誘導した(
図25の5番バーを参照されたい)。野生型CNP22(0.2uM)を、連続(72時間)、毎日1時間または毎日2時間培養した。すべての刺激剤は毎日取り換えた。CNP22が不在のおよそ100×10
3細胞/ウェル(
図25の5番バー)と比較して、5.0ng/mLのFGF−2の存在下におけるRCS細胞の0.2uM CNP22への連続曝露は、FGF2−誘導性成長停止を部分的に逆転し、およそ200×10
3細胞/ウェルの成長をもたらした(
図25の6番バー)。
【0424】
1日に1回1時間のCNP22(0.2uM)への曝露および1日に1回2時間のCNP22(0.2uM)への曝露は両方とも、軟骨細胞成長に対する連続CNP22(0.2uM)曝露の効果の約84%を達成した(
図25の7番および8番のバー)。これらの結果は、成長が停止した軟骨細胞のCNP22への連続曝露は、細胞成長停止の逆転にとって必要ではないことを実証する。さらに用量反応研究は、より低用量のCNP22が成長停止を逆転できることを実証する(
図26A)。
【0425】
さらに、細胞外マトリックスの組織学的分析および細胞形態学的分析は、CNP22処理が、軟骨肉腫の細胞外マトリックスのFGF2により媒介される喪失と拮抗し、マトリックス合成を増加させたことを示した。
35S硫酸塩および
3H−Proのマトリックスへの組み込み、またはマトリックスからの減少によって評価されるように、FGF−2への曝露はマトリックス合成を減少させ、分解を増加させたが、FGF−2細胞培養物にCNP22を加えることにより、マトリックス合成が増加し、部分的にFGF−2を阻害した(
図27A〜D)。FGF−2およびCNP22と一緒に培養されたRCS細胞におけるアグリカンおよびフィブロネクチンの産生(mRNAおよびタンパク質)の分析により、FGF−2はアグリカンのレベルを低下させ、フィブロネクチンのレベルを上昇させ、このことはCNP22を加えることによって阻害されたことが示された(
図28A〜C)。FGF−2は、主にErkを介してマトリックス処理分子を誘導および活性化し、CNP22を加えることにより、この活性化に対するいくらかの効果が示される。
【0426】
成長停止を測定するためのさらなるハイスループットアッセイ、例えばクリスタルバイオレット染色は、RCS細胞に対するCNP22およびそれらの変異体の効果を測定するために有用である。
【0427】
同様の用量反応研究が、本明細書に記載のCNP変異体を用いて実施でき、RCS細胞のFGF2誘導性成長停止を逆転するためのそれらの有効用量を決定できる。
【0428】
(実施例8A)
軽度の軟骨無形成症マウス由来の脛骨および大腿骨の成長のEx Vivo刺激
マウス脛骨の器官培養モデルを使用して、骨の縦成長の刺激における野生型CNP22の有効性を実証した。野生型脛骨を、10
−8、10
−7または10
−6MのCNP22を用いて6日間処置することによって、骨の縦成長がそれぞれ31%、40%および42%増加した。組織学的評価により、肥大域の拡大、例えば、成長板中の肥大軟骨細胞の数およびサイズの増加がさらに示された(Agostonら、BMC Dev. Biol.7巻:18頁(2007年))。同様の発見が、FGFR3
Achマウスから単離された脛骨において観察された(Yasodaら、Nat. Med.10巻:80〜86頁(2004年))。
【0429】
骨の縦成長の刺激におけるCNP変異体の有効性を決定するために、CNP変異体を、野生型マウスおよび軽度の軟骨無形成症のマウスモデルを表す、ヒトFGFR−3遺伝子にG380R変異を有するトランスジェニックマウス(FGFR3
wt/Achヘテロ接合体)における軟骨内の骨成長のマウス器官培養モデルにおいて試験した。簡潔に言うと、野生型CNP22およびCNP変異体の薬理学的活性を、野生型およびFGFR3
wt/Achの同腹仔から単離した胚性脛骨または新生仔マウスの脛骨の器官培養モデルにおいて比較した。成長板内の全体的な骨の成長および組織学的変化を評価した。ならし培地を、細胞内シグナル伝達のバイオマーカー(cGMP)、軟骨代謝のバイオマーカー(II型コラーゲン、他のコラーゲン、アグリカンコンドロイチン硫酸)、骨代謝のバイオマーカー(骨アルカリホスファターゼ、オステオカルシン、I型コラーゲン[C−テロペプチド、N−テロペプチド])および炎症のバイオマーカー(インターロイキン−1、インターロイキン−6、インターロイキン−11)に関してさらに評価する。
【0430】
有効なCNP変異体を、例えば、cGMPの産生を刺激するそれらの能力ならびに骨の縦の長さの増加によって測定した骨成長および成長板の肥大域における細胞の拡大によって特定する。
【0431】
骨成長の測定
wtCNP22、CNP37およびPEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)の、大腿骨の縦成長の刺激における有効性を、マウス器官培養モデルにおいて評価した。これらの実験のために、2〜3日齢の野生型マウスから大腿骨を単離し、0.2%のBSA、0.5mMのL−グルタミン、40ユニットのペニシリン/mLおよび40ugのストレプトマイシン/mLを補充したアルファMEMにおいて、8日間、媒体、CNP22またはCNP変異体の存在下で培養した。処理を0日目に開始し、その後2日ごとに、培地を取り換える際に反復した。骨を、1cmの接眼レンズ十字線を装着した解剖顕微鏡を使用して、処理前およびその後2日ごとに測定した。バイオマーカーの分析のためにならし培地を使用した。8日目に、骨を4%パラホルムアルデヒド中で24時間固定し、5%ギ酸中で24時間脱灰し、脱水し、パラフィンで包埋した。骨を5um(ミクロン)に切片化し、次いでこれを脱パラフィンし、再水和し、Alcian Blue(pH2.5;MasterTech)を用いて30分間染色した。Alcian Blueは軟骨を青く染色する。染色された切片を可視化し、明視野顕微鏡により撮影した。成長板軟骨の肥大域の厚みを画像分析によって決定した。
【0432】
図29は、wtCNP22、CNP37およびPEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)の、CNPペプチドを用いて2日ごとに処置された、3日齢の野生型マウスの大腿骨の縦成長に対する効果を例示する。結果は、処置前(0日目)の測定値に対して正規化した。この研究は、3重(媒体)または4重(CNPペプチド)で実施した。
図29に示すように、CNP37およびPEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)ならびにCNP22は、大腿骨の縦成長の刺激において有効であり、N末端PEG化CNP変異体が最も有効であった。
【0433】
CNP22、CNP37およびPEO24−GANRR−CNP22(K4R)(「CNP27−PEO24」)(配列番号36)に反応した、野生型およびFGFR3
achマウスの大腿骨および脛骨の成長をさらに評価した。野生型または軟骨無形成症(FGFR3
ach)マウスのどちらかの脛骨の培養により、CNP37およびPEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)は、媒体またはCNP22と比較して、両方とも脛骨の縦成長を増加させたことが示された(
図30および31)。CNP22、CNP37およびPEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)はさらに野生型マウスの大腿骨の成長を刺激した(
図32)。さらに、CNP22、PEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)およびCNP37はそれぞれ、媒体と比較してFGFR3
achマウス大腿骨の縦成長を増加させた(
図33)。
【0434】
さらに、FGFR3
achマウス脛骨の成長板におけるCNP37のex vivoの分布を評価した。骨試料を上記のように調製した。パラフィン切片を切り、60℃で1時間熱固定した。1%ヒアルロニダーゼを用いた37℃における抗原回復(30分間)、次いで1時間の血清ブロック(10%正常ヤギ血清)を実施した。CNP22抗体(1:500希釈;Peninsula Laboratories Inc.、San Carlos、California)を、4℃で一晩適用した。免疫検出のために、Vectastain ELITE ABCキット(Vector、Burlingame、California)を、製造業者の推奨に従って使用した。特異結合したペルオキシダーゼを、DAB基質キット(Vector)と一緒にインキュベートすることにより可視化し、その反応物を3分間顕色させた。その後、スライドを脱水し、標本にし、明視野顕微鏡を使用して撮影した。FGFR3
achマウス脛骨の成長板中のCNPに関する染色は、CNPの免疫反応性が関節軟骨細胞および肥大軟骨細胞の領域において増加し(
図34)、このことはCNP37が軟骨細胞に送達されたことを示した。
【0435】
骨成長板におけるCNP変異体の分布に加えて、FGFR3
achおよび野生型の成長板中の細胞に対するCNP37、CNP22および媒体のex vivo効果、例えば、肥大細胞のサイズおよび増殖領域の細胞充実性をさらに評価した。Alcian Blue染色を含め、上記のように骨試料を調製した。近位成長板全体の画像を、4×の大きさで撮影した。軟骨の骨端側から出発して、成長板を3つの領域:休止域(個別の小型軟骨細胞)、増殖域(骨の長軸と平行な積み重ねた軟骨細胞の列)および肥大域(大型軟骨細胞およびその軟骨細胞間の薄い中隔)に分ける。これらの領域において、列あたりの増殖軟骨細胞の数および肥大軟骨細胞の密度を含む測定値を、ImageJソフトウエアによって得た。肥大域の5つの異なる領域における試験四角(4×4mm
2)を使用して、肥大軟骨細胞の密度を決定した。肥大軟骨細胞の細胞サイズを、1割る決定された細胞密度により計算した(calculated by 1 over determined cell density)。増殖列の細胞充実性は、野生型およびFGFR3
achマウス両方においてCNP37およびCNP22によって増加された(
図35BおよびC)。FGFR3
achマウスにおける軟骨細胞の肥大もまた、CNP22またはCNP37と一緒の培養の結果として増加した(
図36BおよびC)。
【0436】
マウス骨の培養のEx vivo研究は、CNP37が成長板に送達され、成長板拡大および骨の縦成長に関連する軟骨細胞の細胞充実性および肥大を増加させ得ることを示した。in vivoの骨成長板におけるCNP37の生体内分布および成長板(成長板全部の厚み、肥大域の厚みおよび増殖域の細胞充実性を含む)に対するCNP37のin vivo効果を評価するために、骨試料を、上記のように媒体またはCNP37を用いて処置したFGFR3
achマウスから得た。生体内分布およびin vivo効果の研究のために、脛骨を固定し、70%エタノール中で保存した。免疫組織化学のために、試料を5%ギ酸中で2日間脱灰し、脱水し、パラフィン中に包埋した。骨を5um(ミクロン)に切片化し、次いでこれを脱パラフィンし、再水和し、上記のようにCNPの免疫組織化学のために使用した。細胞の画像分析のために、骨を5μm(ミクロン)に切片化し、次いでこれを脱パラフィンし、再水和し、Alcian Blue(pH2.5;MasterTech)を用いて30分間およびHematoxylin & Eosinを用いて30秒間染色した。染色された切片を可視化し、明視野顕微鏡により撮影した。成長板ならびに増殖域および肥大域の厚みを、ImageJソフトウエアを使用して測定した。
【0437】
in vivo生体内分布研究は、ex vivo研究と同様に、CNPの免疫反応性が、CNP37を用いて処置されたFGFR3
achマウスの脛骨成長板において関節軟骨細胞および肥大軟骨細胞の領域において増加したことを実証し、このことはCNP37が、in vivoでFGFR3
achマウス脛骨の成長板に送達されたことを示した(
図37)。さらに、CNP37処置は、FGFR3
achマウス脛骨の成長板全体の厚み、増殖域および肥大域の厚みをin vivoで著しく増加させた(
図38A〜C)。
【0438】
これらの結果は、開示のCNP変異体が野生型および軟骨無形成症の動物の成長板に浸透し、軟骨細胞の数およびサイズを増加させ、成長板の増殖域および肥大域の厚みを増加させ、処置された野生型および軟骨無形成症の動物において骨の縦成長を増加させることを実証する。したがってCNP変異体は、軟骨無形成症被験体における骨の成長の刺激にとって有用である。
【0439】
バイオマーカーの測定
CNP変異体に反応した骨成長の測定に加えて、CNP変異体に反応して誘導された軟骨および骨の形成および成長に関するバイオマーカーのレベルのアッセイは、骨成長に対するCNP変異体の効果を評価する上で有用である。
【0440】
大腿骨および脛骨を、上記のように、野生型およびFGFR3
achマウスから単離した。骨を、CNP22またはそれらの変異体と一緒に8日間培養し、培地を2日ごとに交換した。8日目に、培地を回収し、バイオマーカーのcGMP(環状グアノシン3’、5’環状モノリン酸)および軟骨代謝回転の軟骨特異的マーカーである切断されたII型コラーゲンの断片に関して分析した。両方のマーカーを、cGMP(Cayman Chemical Co.、Ann Arbor、Michigan)および切断II型コラーゲン(Cartilaps)(Immunodiagnostic Systems、Fountain Hills、Arizona)に関して市販の酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して、製造業者のプロトコールに従って測定した。
【0441】
cGMPおよびII型コラーゲン断片のレベルを、CNP22、CNP37またはPEO24−GANRR−CNP22(K4R)(「CNP27−PEO24」)(配列番号36)に曝露後、細胞培養抽出物から測定した。
図39〜42は、外植された野生型およびFGFR3
achマウスの大腿骨および脛骨をCNP22、CNP37またはPEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)に曝露した後の、培地中のcGMPのレベルの大幅な増加(p<0.01)を示す。さらに、野生型およびFGFR3
achマウス大腿骨をCNP22、CNP37またはPEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)に曝露することにより、切断されたII型コラーゲンのレベルが増加し、処理されたFGFR3
achマウス大腿骨は、II型コラーゲン断片レベルの有意な増加(p<0.05)を示した(
図43)。II型コラーゲン断片のレベルの上昇は、軟骨マトリックスの代謝回転を示し、通常、軟骨代謝回転は成長する骨において、新しい骨の形成に先行する。
【0442】
(実施例8B)
重度の軟骨無形成症マウス由来の大腿骨の成長のex vivo刺激
重度の軟骨無形成症マウス由来の骨の成長に対するCNP変異体の効果をex vivoで評価した。この研究において、重度の軟骨無形成症のマウスモデルを表す、Y367C変異を有するヒトFGFR−3遺伝子を発現するトランスジェニックマウス(FGFR3
Y367C)を使用した[S. Pannierら、Biochim. Biophys. Acta、1792巻(2号):140〜147頁(2009年)]。大腿骨を胎生期16.5日目に単離し、1uMのPro−Gly−CNP37の存在下で6日間培養した。骨長を、1日目および7日目に測定した。次いで骨をパラフィン包埋し、切片化しヘマトキシリンおよびエオシンを用いて染色し、組織学的変化および細胞形態を評価した。FGFR3
Y367Cマウスから単離した骨外植片のPro−Gly−CNP37(「ProCNP38」)を用いた処置は、骨成長の増加および成長板における拡大をもたらした(
図44)。媒体を用いて6日間処置したFGFR3
Y367Cマウス由来の大腿骨は、媒体を用いて処置した野生型の大腿骨と比較して、縦成長において18%の欠損を示した。FGFR3
Y367Cマウス由来大腿骨の、1uMのPro−Gly−CNP37を用いた6日間の処置は、成長欠損をまさに11%に減少させた、すなわち、成長欠陥をおよそ40%減少させた。
【0443】
(実施例9)
in vitroのCNP変異体の血清/血漿における安定性
薬物動態(PK)研究のための調製において、血清および/または血漿におけるCNP変異体の安定性を評価する。
【0444】
簡潔に言うと、検体を、2%トリクロロ酢酸沈殿または1:3の血清:アセトニトリル沈殿のいずれかによって、血清または血漿のタンパク質を除去することによって単離する。沈降混合物を、14,000rpmで5分間ボルテックスにかけ、上清部分を除去し、水で希釈し、その後分析用のシラン処理したオートサンプラーバイアルに移す。次いで、血清抽出物を、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)およびエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI−MS)により分析する。CNP変異体に関して特異的であることが示された、単一質量(m/z)を、定量目的でモニターする。
【0445】
まず、分析安定性および回収率を決定する。分析(RP−HPLCおよびESI−MS)パラメーターを、マトリックス標準(検体の後期沈殿により強化された血清抽出物)の分析を介して最適化する。最適化後、分析回収率を、公知の濃度の血清試料をスパイクし、検体反応と、同様の濃度で調製したマトリックス標準の反応とを比較することによって決定する。血清抽出物中の検体安定性をさらに決定し、血清沈殿の後および実際の分析の前に有意な損失がないことを確実にする。血清安定性についての凍結の効果を試験するために、2周期の凍結/解凍研究もまた実施する。この研究において、血清試料を、CNP変異体をスパイクし、分析後、−20℃において一晩凍結する。次いで、試料を室温において解凍し、再分析する。この過程を、第2の凍結/解凍周期のために反復する。
【0446】
CNP変異体の血清安定性を、血清/血漿試料に、CNP変異体を10ug/mLの濃度でスパイクすることによって決定する。試料を37℃のウォーターバスに、3時間配置する。30分間隔で血清のアリコートを2重に取り出し、分析する。検体の急速な損失(30分の間に50%を超える)が明らかな場合、研究を10分の時点で反復してもよい。
【0447】
マウス血漿中におけるCNP変異体の安定性を決定する例示的方法において、CNP変異体(約2.5〜5.0mg/mLのストック溶液の10uL)、ヘパリン化マウス血漿(50uL、Bioreclamation、CD−1 Lith Hep 62231)および5MのNaCl(10uL)の混合物を、37℃、5%CO
2において、0〜5時間インキュベートし、次いで、10×プロテアーゼ阻害剤カクテル(15uL、SigmaP2714)を用いて反応を停止させる。抽出のために、150uLのMeOH/0.1%のFAを85uLの反応混合物に加え、得られた混合物を1分間ボルテックスにかけ、次いで15℃で15分間遠心分離器にかけた。75uLの上清を300uLの0.1%の水性FAに加える。得られた混合物の少量を、LC/MSによる分析に供する。
【0448】
(実施例10)
ラットおよびマウスにおける薬物動態およびcGMP産生
正常なラットにおいて研究を実施し、CNPペプチドの単回の静脈内(i.v.)投与または皮下(s.c.)投与後の、CNP22および特定のCNP変異体の薬物動態(PK)プロファイルおよび血漿cGMP濃度の継時変化を評価した。血漿CNPの免疫活性を、抗CNPウサギポリクロナール抗体を用いた競合放射免疫測定(RIA)を使用して決定した。血漿cGMP濃度を、市販のキット(YAMASA cyclic GMP Assay kit、YAMASA Corporation)を使用して、RIAにより決定した。
【0449】
7〜8週齢の正常なオスのラットを使用した。組換え野生型CNP22、CNP37およびPEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)を評価した。個々のCNPペプチドの20nmol/kg用量を、5%マンニトール中の溶液として、尾の静脈に1回注射、または個々のCNPペプチドの50nmol/kg用量を、l%(w/v)ベンジルアルコールおよび10%(w/v)スクロースを含む0.03mol/L酢酸緩衝液、pH4.0中の溶液として、背中に1回皮下注射した。
【0450】
血漿CNP免疫活性を、抗CNPウサギポリクロナール抗体を使用して、競合RIAにより決定した。標準およびQC試料を調製した。50uLの標準、QCおよびアッセイ試料を、50uLのRIA緩衝液を含有する試験管にそれぞれ加えた。希釈した抗CNPウサギポリクロナール抗体(100uL)を管に加えた。AU管を、一晩4℃に保った。
125I−[Tyr
0]−CNP22溶液(100uL)およびウサギIgG溶液(100uL)を加え、およそ4℃において一晩放置した。10%ポリエチレングリコールを含有する1ミリリットルの抗ウサギIgGヤギ血清を加え、ボルテックスにかけ、およそ4℃において少なくとも1時間放置し、次いで、不溶性分画を、遠心分離により沈殿させた。上清の吸引後、堆積物中の放射線(γ線)量を、ガンマカウンターにより測定した。各試料を2重に測定し、平均を決定値として採用した。
【0451】
i.v.投与後5、30、60および90分、またはs.c.投与後5、30、60、120および180分の試料中の血漿cGMP濃度を、抗cGMPモノクロナール抗体を使用して競合RIAにより決定した。標準試料を調製した。100uLのアッセイ試料(較正曲線のための標準溶液またはcGMP決定のための希釈血漿試料)を、試験管に移した。次いで、100uLの抗cGMPモノクロナール抗体溶液および100uLの
125I標識スクシニルcGMPチロシンメチルエステル溶液を、それぞれ管に加えた。すべての管を、一晩4℃に保った。500uLのデキストランチャコール溶液を加えた後、管をボルテックスにかけ、次いで、氷上に10分間配置した。反応混合物を、遠心分離器にかけ、500uLの上清を、各試料から新しい試験管に移した。上清中の放射線(γ線)の量を、γカウンターにより測定した。各試料を2重に測定し、平均を決定値として採用した。
【0452】
血漿CNP免疫活性を、薬物動態(PK)分析のために用いた。PK分析を、WINNONLIN(登録商標)Professional(Pharsight Corporation)を使用して実施した。i.v.投与後の、CNP22、CNP37およびPEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)のPKプロファイルを、0時間の濃度(C
0:外挿法、pmol/mL)、全身クリアランス(CL
tot:mL/min/kg)、定常状態における分布容積(V
dss:mL/kg)、血漿濃度−時間曲線下面積(AUC:pmol−分/mL)、平均滞留時間(MRT:分)および半減期(T
1/2:分)などのPKパラメーターを使用して計算した。s.c.投与後のCNPペプチドのPKプロファイルは、最大血漿濃度(C
max:pmol/mL)、C
maxに至るまでの時間(T
max:分)、血漿濃度−時間曲線下面積(AUC:pmol−分/mL)、平均滞留時間(MRT:分)および半減期(T
1/2:分)などのPKパラメーターを使用して計算した。
【0453】
血漿スパイク回収実験において、RIAはCNP22、CNP37およびPEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)を同様に検出した(データ非掲載)。
【0454】
上記の手順と同様の手順を用いて、CNP22およびそれらの変異体のPKプロファイルならびにcGMP産生を刺激するそれらの能力をマウスにおいて研究した。
【0455】
3匹のラットにおける、i.v.投与後のCNP22、CNP37およびPEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)のPKプロファイルを、
図45に示す。
図45に示すように、CNP37およびPEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)は、CNP22よりはるかに長い半減期およびはるかに高い生物学的利用能を有した。半減期、T
1/2(分)は、CNP22に関しては1.42(±0.45)、PEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)に関しては22.3(±1.5)およびCNP37に関しては49.5(±28.0)であった。曲線下面積、AUC(pmol・分/mL)は、CNP22に関しては320(±54)、CNP37に関しては1559(±568)およびPEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)に関しては2084(±424)であった。
【0456】
3匹のラットにおける、s.c.投与後の3種のCNPペプチドのPKプロファイルを、
図46に示す。CNP22と比較して、PEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)は、はるかに長い半減期(78.1分(±16.4)対10.0(±5.0))およびはるかに高い生物学的利用能(60%(±6%)対19%(±9%))を有した。
【0457】
3匹のラットにおける、3種のCNPペプチドのi.v.投与後の血漿cGMP濃度の経時変化を
図47に表す。
図47は、CNP37およびPEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)のi.v.投与が、CNP22のi.v.投与よりも、30、60および90分においてcGMPのはるかに高い血漿レベルをもたらしたことを明らかに実証する。
【0458】
3匹のラットにおける3種のCNPペプチドのs.c.投与後の血漿cGMP濃度の時間プロファイルを、
図48に示す。PEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号:36)およびCNP37の皮下投与もまた、CNP22のs.c.投与よりも実質的に高いcGMPの血漿濃度をもたらし、CNP22に対する差は、PEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)に関しては時間とともに増加するが、CNP37に関しては時間とともに減少していた。
【0459】
ラットの研究は、wtCNP22と比較して、CNP変異体のCNP37およびPEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)は、in vivoで実質的により長い半減期を有し、in vivoで実質的により高い生物学的利用能を有し、in vivoで長期間実質的により高いレベルのcGMPの産生を刺激したことを示している。CNP37およびPEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)のNEP分解に対する耐性は、in vivoでのより長い血漿半減期に相関し、これは、同様にin vivoの長期のNPR−B/cGMPシグナル伝達に相関する。これらの結果は、CNP22と比較して、i.v.またはs.c.注射によって投与された本開示のCNP変異体(例えば、1日1回)は、CNP反応性の状態および障害、例えば骨関連障害および血管平滑筋障害の治療においてより有効であり得ることを示している。
【0460】
(実施例11)
マウスにおける薬物動態研究
FGFR3
achマウス(実施例13を参照されたい)における有効性研究のための、NEP耐性の増加を有するCNP変異体を決定するために、CNP変異体と野生型CNP22との薬物動態特性を比較する薬物動態(PK)研究を実施する。FGFR3
achマウスは、FVBマウスのバックグラウンドに単一のトランス遺伝子を含有する、軽度の軟骨無形成症の突然変異体マウスモデルである。
【0461】
野生型CNP22またはそれらの変異体を、単回静脈内(i.v.)用量として、6週齢の野生型FVBマウスに投与する。例示的PK研究を、wtCNP22を使用して実施した。6週齢のFVB/Nマウスに、100nmol/kgの単回用量でwtCNP22に静脈内投与した。CNP22の平均血漿レベルを計算し、CNP22の推定半減期を、0.76分から1.03分であると見積もった。
【0462】
NEP分解に対するより高い耐性を表示するCNP変異体は、in vivoで時間とともに血清濃度の増加およびより長い半減期を示すことが予測される。
【0463】
(実施例12)
野生型マウスにおけるCNP変異体の有効性
骨成長に対するCNP変異体のin vivo効果を野生型マウスにおいて評価した。3週齢のFVB野生型雄マウスに、媒体、G−CNP37(200nmol/kg)またはPEO12−GANRR−CNP22(K4R)(「CNP27−PEO12」)(配列番号36)(200nmol/kg)のいずれかを5週間、毎日皮下(s.c.)注射した。体重を、少なくとも週に1回測定した。尾長を、デジタル読み取りキャリパーを使用して少なくとも週に1回測定し、体長(鼻から肛門までの長さ)、骨長(脛骨、大腿骨、尺骨および上腕骨)、頭蓋長(前頭セグメントから後頭セグメント)および第5腰椎(LV5)の長さを、処置の5週間後にキャリパーを使用して測定した。X線写真を、ベースラインおよび処置後5週間において撮った。
【0464】
G−CNP37を用いた野生型マウスの5週間の処置は、有意な体重増加をもたらし、体重増加の開始は9日目に観察された(p<0.05)(
図49)。G−CNP37を用いた処置は、尾長の有意な増加をさらにもたらし、処置後第2週に始まった(p<0.01)(
図50)。
【0465】
表10は、媒体だけで処置された野生型マウスを100%とした値に対する、200nmol/kgのG−CNP37またはPEO12−GANRR−CNP22(K4R)(「CNP27−PEO12」)(配列番号36)のいずれかを5週間、1日1回s.c注射された野生型マウスの、尾長、体長(鼻から肛門までの長さ)、頭蓋長(前頭蓋から後頭蓋部分)、骨長(大腿骨、脛骨、上腕骨および尺骨)および第5腰椎(LV5)の長さのパーセント変化を示す。
【0466】
【表10】
**p<0.01, *p<0.05
G−CNP37を用いた処置は、媒体を用いた処置と比較して、尾長、体長(鼻から肛門までの長さ)、頭蓋長、近位骨長(大腿骨および上腕骨)、遠位骨長(脛骨)および脊椎骨長(第5腰椎)の有意な増加をもたらした。
【0467】
5nmol/kg、20nmol/kgまたは70nmol/kgで、毎日、5週間、s.c.投薬された低用量のPro−Gly−CNP37は、媒体と比較して、尾長、体長(鼻から肛門までの長さ)および骨長において用量依存性増加をもたらした。表11は、5nmol/kg、20nmol/kgまたは70nmol/kgのPro−Gly−CNP37を、1日1回、5週間、s.c.注射された野生型マウスにおける、媒体だけで処置された野生型マウスを100%とした値に対する、尾長、体長(鼻から肛門までの長さ)および骨長(大腿骨、脛骨、上腕骨および尺骨)のパーセント変化を示す。
【0468】
【表11】
**p<0.01, *p<0.05
別の研究において、Pro−Gly−CNP37の様々な投薬計画で9週間投与し、その後1週間回復させた。野生型FVBマウスに、
(1)媒体を毎日9週間、その後1週間の回復;
(2)20nmol/kgのPro−Gly−CNP37を毎日1週間、その後週に3用量を8週間および1週間の回復;
(3)20nmol/kgのPro−Gly−CNP37を隔週;または
(4)5nmol/kgのPro−Gly−CNP37を毎日9週間、その後1週間の回復
でs.c.投薬した。
【0469】
尾長、体長および骨長の成長増加を、研究の終わりにすべての処置群(2、3および4群)において観察した。表12は、上記の投薬計画の下でPro−Gly−CNP37(「Pro−CNP38」)を投与された野生型マウスにおける、媒体だけで処置されたwtマウスを100%とした値に対する、尾長、体長(鼻から肛門までの長さ)および骨長(大腿骨、脛骨、上腕骨および尺骨)のパーセント変化を示す。
【0470】
【表12】
**p<0.01, *p<0.05
Pro−Gly−CNP37のすべての投薬計画は、測定された軸性および四肢の成長パラメーターを増加させたが、Pro−Gly−CNP37の毎日の投薬は、頻度の少ない投薬計画(2および3群)と比較して、合計レベルが低用量(4群)において四肢(大腿骨、脛骨、上腕骨および尺骨)の成長が促進された。
【0471】
(実施例13)
軽度の軟骨無形成症マウスモデルにおける有効性
成長の促進および軟骨無形成症の矯正におけるCNP変異体の有効性を、軽度の軟骨無形成症のマウスモデルにおいて、G380R変異を有するヒトFGFR−3遺伝子を発現するトランスジェニックマウス(FGFR3
ach)の株を使用して試験した(Wangら、Proc.Natl Acad.Sci.USA、96巻(8号):4455〜4460頁(1999年);Naskiら、Development USA、125巻:4977〜4988頁(1998年);米国特許第6,265,632号および第6,136,040号)。
【0472】
3週齢において、FGFR3
achマウスおよびそれらの野生型同腹仔に麻酔をかけ、Faxitronによって、側面全身X線画像を撮影し、体重によって以下の処置群にランダム化した(n=8/群):(1)野生型/媒体、(2)FGFR3
ach/媒体、(3)FGFR3
ach/CNP37および(4)FGFR3
ach/PEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)。マウスに、指定の被験物質(媒体または200nmol/kgのCNP変異体)の5週間の1日1回の皮下(s.c.)投与を施した。サテライト群(n=3)を使用して、1日目の単回皮下投与の後の個々の被験物質の曝露を確認した。媒体のs.c.注射を毎日、5週間受けた野生型雄FVBマウスを、正常成長の対照として使用した。
【0473】
ベースラインおよび研究の終わりにおいてX線測定を実施し、頭長、頭蓋面積および外耳道(EAM、外耳から中耳へ走る外耳道)の変化を決定した。体重および尾長を、デジタルキャリパーを使用して少なくとも週に1回測定し、尾長および体長(鼻から肛門までの長さ)を処置の5週間後に測定した。骨長(脛骨、大腿骨、尺骨および上腕骨)を剖検においてデジタルキャリパーを使用して測定した。
【0474】
37日目に、すべてのマウスを終末麻酔によって犠牲にし、全動物の写真およびX線画像を、Faxitronによって撮影した。左右の脛骨、大腿骨、上腕骨および尺骨を回収し、デジタルキャリパーを使用して測定した。各骨の左部分を、組織学用に処置し、右部分をアーカイブのために急速凍結した。骨から得た試料を使用して、CNP変異体の軟骨性骨成長に対する効果を評価した。
【0475】
1日1回のs.c.注射、5週間によるCNP37を用いたFGFR3
achマウスの処置は、体長(
図51)、尾長(
図52)、遠位骨長(尺骨および脛骨)(
図53AおよびB)および近位骨長(上腕骨および大腿骨)(
図54AおよびB)の有意な増加をもたらした。さらに、CNP37を用いた処置は、頭長(
図56)、外耳道(
図57)の面積および椎体の伸長を介して脊椎骨長(
図58)を増加させた。さらに、CNP37を用いた処置は、FGFR3
achマウスの近節短縮(近位肢の長さの不均衡)を矯正した、すなわち、大腿骨:脛骨比によって評価される近位骨の比例成長を回復した(
図55)。表13に、200nmol/kgのCNP37またはPEO24−GANRR−CNP22(K4R)(「CNP27−PEO24」)(配列番号36)のいずれかを、1日1回、5週間、s.c.投与されたFGFR3
achマウスにおける、媒体だけで処置されたFGFR3
achマウスを100%とした値に対する、尾長、体長(鼻から肛門までの長さ)および骨長(大腿骨、脛骨、上腕骨および尺骨)のパーセント変化をまとめる。
【0476】
【表13】
**p<0.01, *p<0.05
これらの研究の結果は、FGFR3
achマウスにおいて、CNP37が脊椎骨および長骨の成長を刺激し、脛骨より大腿骨の長さを優先的に増加させることによって近節短縮の矯正を助け、頭蓋顔面比率の回復を助け得ることを示す。これらの結果は、CNP37および潜在的に他のCNP変異体が、軟骨無形成症の症状の矯正および骨成長に欠陥を有する被験体または骨成長の増加を必要とする被験体の治療に有効であり得ることを示す。
【0477】
(実施例14)
野生型および軟骨無形成症マウスにおけるバイオマーカーの測定および免疫原性の評価
CNP投与後のバイオマーカーの測定
骨成長バイオマーカーのレベルを、野生型および軟骨無形成症(FGFR3
ach)マウスにおいて測定した。
【0478】
トランスジェニックFVB FGFR3
achマウス(軽度の軟骨無形成症のマウスモデル)を、上記のように、媒体(30mMの酢酸/酢酸塩緩衝液、1%ベンジルアルコール、10%スクロース、pH4.0)、CNP22、CNP37またはPEO24−GANRR−CNP22(K4R)(「CNP27−PEO24」)(配列番号36)のいずれかを、個々のCNP化合物に関して200nmol/kgで、皮下注射によって毎日、5週間処置した。血漿および血清を研究の間回収した。収穫した血漿を、10×プロテアーゼ阻害剤と一緒に−80℃において分析まで保存した。cGMPレベルを、36日目に注射15分後にK2−ETDA血漿回収チューブから測定した。切断されたII型コラーゲンの断片(軟骨関連バイオマーカー)、オステオカルシン(骨関連バイオマーカー)およびIgG(免疫原性に関する)を、研究の終わり(37日目)に、最終採血血清から測定した。cGMPを、市販のELISAキット(Cayman Chemical Co.、カタログ番号581021.1)を使用して測定し、切断されたII型コラーゲン(Cartilaps)をImmunodiagnostic Systemsによる市販のキット(カタログ番号3CAL4000)を使用して測定し、オステオカルシンをBiomedical Technologies Inc.(Stoughton、Massachusetts)による市販のキットを使用して測定した。
【0479】
図59は、媒体と比較した、CNP37またはPEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)を用いて処置したFGFR3
achマウスにおけるcGMPの血漿レベルの増加を示す。
図60および61は、CNP37の投与が、切断されたII型コラーゲンおよびオステオカルシンの血清レベルの最も高い上昇をもたらしたことを示す。これらの結果は、CNPペプチド、特にCNP37のFGFR3
achマウスへの投与が、骨成長マーカーのレベルの増加をもたらすことを示し、このことはCNPペプチドで処置されたFGFR3
achマウスにおける骨の形成および成長の増加を示唆する。
【0480】
野生型マウス中のバイオマーカーの評価のために、野生型FVBマウスを、媒体(30mMの酢酸/酢酸塩緩衝液、1%ベンジルアルコール、10%スクロース、pH4.0)、200nmol/kgのG−CNP37、200nmol/kgのPEO12−GANRR−CNP22(K4R)(「CNP27−PEO12」)(配列番号36)または20nmol/kgもしくは70nmol/kgのPro−Gly−CNP37のいずれかを用いて皮下注射によって毎日、5週間処置した。血漿および血清を研究の間回収した。収穫した血漿を、10×プロテアーゼ阻害剤と一緒に−80℃において分析まで保存した。cGMPレベルを、36日目に注射15分後にK2−ETDA血漿回収チューブから測定した。切断されたII型コラーゲン、骨特異的アルカリホスファターゼおよびIgG(免疫原性に関する)を、研究の終わり(37日目)に、最終採血血清から測定した。cGMPおよび切断されたII型コラーゲン(Cartilaps)を上記のように測定した。骨特異的アルカリホスファターゼを、市販のキット(Cusabio、カタログ番号CSB−El1914m)を使用して測定した。
【0481】
G−CNP37の投与は、媒体と比較して、野生型マウスにおいてcGMPのレベルを有意に増加させ(
図62)(p<0.05)、特に切断されたII型コラーゲン断片のレベルを増加させた(
図63)。G−CNP37の投与からもたらされたII型コラーゲン断片の有意に高いレベルは、軟骨マトリックスの代謝回転を示し、このことはG−CNP37が野生型マウスにおいて、骨成長における新しい骨の形成を刺激したことを示唆する。
【0482】
20および70nmol/kgのPro−Gly−CNP37(「Pro−CNP38」)の用量は両方とも、媒体を用いて処置した野生型マウスと比較して、投与後15分の血漿cGMPを有意に増加させた(p<0.05)(
図64)。Pro−Gly−CNP37の高用量(70nmol/kg)の投与は、媒体処置マウスと比較して、切断されたII型コラーゲンのレベルもまた有意に増加させ(p<0.05)(
図65)、このことは高用量のPro−Gly−CNP37が、野生型マウスにおいて新しい骨の形成前に軟骨マトリックスの代謝回転を刺激したことを示唆する。さらに、Pro−Gly−CNP37の高用量(70nmol/kg)の投与は、媒体処置マウスと比較して、骨特異的アルカリホスファターゼのレベルを増加させ(p<0.05)(
図66)、このことは高用量のPro−Gly−CNP37が野生型マウスにおいて骨のリモデリングを増加させたことを示唆する。
【0483】
CNP変異体の免疫原性の評価
CNP変異体はペプチド誘導体であるので、そのペプチドの投与がin vivoで免疫原性反応をもたらす可能性がある。CNP変異体の連続投与後に免疫反応が起こるかどうかを評価するために、血清抗体レベルの測定を実施した。
【0484】
IgGアッセイを実施し、軟骨無形成症FGFR3
achマウスを、CNP22、CNP37またはPEO24−GANRR−CNP22(K4R)(「CNP27−PEO24」)(配列番号36)に5週間曝露することによってIgGの免疫反応を誘発した。IgGは、マウスおよびヒトの血清において最も優勢な免疫グロブリンであり、抗原に対する二次免疫反応の一部として産生される。CNPペプチドの投与に対するIgG反応を、以下のように決定した。96ウェルプレートを、BupH PBS緩衝液(Pierce/Thermo、カタログ番号28372、Rockford、Illinois)中100ng/mLのCNP22、CNP37またはPEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)を用いてコーティングした。一晩のインキュベーション後、プレートを、Casein−PBSブロッキング緩衝液(Pierce/Thermo、カタログ番号37528)を用いて2時間、室温において、300rpmで振とうしながらブロックした。洗浄緩衝液(0.05%Tweenを含む1×PBS)を用いて洗浄後、希釈した最終採血由来の血清試料(1:25希釈)をプレートに加えた。陽性および陰性対照をプレートにさらに載せた。陽性対照は、抗CNP22抗体(Bachemのウサギ抗CNP22 IgG、カタログ番号T−4222)を1:1000希釈で加えた1:25希釈の血清(6匹の個別のFVBマウスからプールした)であった。陰性対照は、希釈したプール血清であった。インキュベーション2時間後、プレートを洗浄し、ブロッキング緩衝液で希釈した二次抗体をウェルに加えた。マウス血清試料のために、抗マウスIgG Fcγ(ペルオキシダーゼ結合−アフィニピュア(affini−pure)ヤギ抗マウスIgG、Fcγ断片、カタログ番号115−035−071、Jackson Immunoresearch、West Grove、Pennsylvania)を、1:10,000希釈で加えた。陽性対照および陰性対照のために、抗ウサギIgG−HRP(Santa Cruz Biotechnology、カタログ番号SC−2004、Santa Cruz、California)をブロッキング緩衝液に加えた。300rpmで振とうしながら室温で2時間のインキュベート後、プレートを洗浄緩衝液を用いて洗浄した。100uLのTMB(One−step TMB、Pierce/Thermo、カタログ番号34022)をすべてのウェルに加えた。プレートを、300rpmで振とうしながら室温で15分間インキュベートした。比色反応を、100uLの2NのH
2SO
4を加えることによって停止させた。プレートを、450nm(Spectramax、Molecular Devices、Sunnyvale、California)において読み、データをSoftMax Pro software(Molecular Devices)を使用して分析した。
【0485】
CNP22またはPEO24−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)を用いて処置したFGFR3
achマウス由来の血清試料は、いずれのマウスにおいても陽性のIgG免疫反応を示さなかった。9匹のCNP37処置FGFR3
achマウスのうち1匹だけがわずかに陽性のIgG反応を示した。
【0486】
血清IgGレベルの増加により測定した、G−CNP37、PEO12−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)またはPro−Gly−CNP37を投与した野生型マウスの免疫原性反応を、上記のように最終採血血清試料を調べることによってさらに評価した。PEO12−GANRR−CNP22(K4R)(配列番号36)またはPro−Gly−CNP37(20または70nmol/kg)を用いて処置した野生型マウスは、陽性のIgG免疫反応を示したものはなく、G−CNP37を投与された6匹の野生型マウスのうち1匹だけが、わずかに陽性のIgG反応を示した。
【0487】
様々なCNP投薬計画下のバイオマーカーの測定
野生型FVBマウスを、様々な投薬計画下で、媒体(30mMの酢酸/酢酸塩緩衝液、1%ベンジルアルコール、10%スクロース、pH4.0)またはPro−Gly−CNP37(「Pro−CNP38」)の皮下(s.c.)注射によって、毎日、9週間処置した。1群は、媒体を9週間、毎日皮下注射され、その後1週間は処置しなかった、媒体処置マウスを含んだ。2群は、Pro−Gly−CNP37(20nmol/kg)を用いて1日に1回、1週間、その後週に3用量、8週間処置し、その後1週間は処置しなかったマウスを含んだ。3群は、Pro−Gly−CNP37(20nmol/kg)を用いて1日に1回、隔週(1、3、5、7および9週目)に処置し、各処置の週の後の1週間は処置しなかったマウスを含有した。4群は、Pro−Gly−CNP37(5nmol/kg)を用いて1日に1回、9週間処置し、その後1週間は処置しなかったマウスを含有した。最後に、5群は、Pro−Gly−CNP37(5nmol/kg)を用いて1日に1回、5週間処置し、処置しない週がなかったマウスを含んだ。最終採血血清をマウスから回収し、切断されたII型コラーゲン、全アルカリホスファターゼおよび全抗体レベルを、それらから測定した。切断されたII型コラーゲンレベルを、上記のように測定した。主に肝臓および骨に由来する全アルカリホスファターゼレベルを、獣医学診断研究所試験施設(Antech)の支援により測定した。
【0488】
全抗体アッセイを進展させ、潜在的免疫反応を評価した。全抗体アッセイに使用するプラットフォームは、電気化学発光アッセイ(ECLA)であった。ECLAプラットフォームは、ビオチン標識薬剤(ここではビオチン−Pro−Gly−CNP37)およびルテニウム標識薬剤(ここでは、Ru−Pro−Gly−CNP37)を利用する。ビオチン標識薬剤は、電極を含有するストレプトアビジンコーティングプレートと結合し、そしてルテニウムは電気化学的に刺激され得るので、ルテニウム標識薬剤は、アッセイの検出成分として機能する。薬剤特異的抗体(ここでは、CNP−特異的抗体)は、ビオチン標識薬剤およびルテニウム標識薬剤と結合し、2つの標識薬剤を「架橋する」。ECLAプラットフォームの利益の1つは、抗体(IgG、IgMなど)の任意のアイソタイプを検出でき、ECLAアッセイが種非依存性であることである。
【0489】
全抗体アッセイを以下のように実施した。Pro−Gly−CNP37を4:1のチャレンジ比(challenge ratio)でビオチンを用いて標識し、Pro−Gly−CNP37もまた、10:1のチャレンジ比でルテニウムを用いて別々に標識した。両方の別々標識反応を、グリシンを添加することによって停止させ、両方の反応からの試料を、PBSに緩衝液交換した。低濃度および高濃度のQCを、5%に希釈したFVBマウス血清に低濃度および高濃度で加えた市販の抗CNP22抗体(Bachem、ウサギ抗CNP22 IgG、カタログ番号T−4222)を使用して、調製した。マウス血清試料を、アッセイ希釈剤(PBS中5%BSA、MSDカタログ番号R93AA−1)を使用して5%に希釈した。作業溶液を、ビオチン標識Pro−Gly−CNP37をアッセイ希釈剤に加え、その後ルテニウム標識Pro−Gly−CNP37をアッセイ希釈剤に加え、その後、その2種の溶液を1つに組み合わせることによって調製した。25uLの低濃度および高濃度QCを、対照としてプレートに載せた。次いで、25uLの試料を、非結合96ウェルプレートに加え、その後、50uLの作業溶液をすべてのウェルに加えた。試料およびQCを、350rpmで振とうしながら、室温で2時間作業溶液と一緒にインキュベートした。その間に、MSDストレプトアビジンプレート(MSD カタログ番号L13SA−1)を、350rpmで振とうしながら、室温で2時間、ブロッキング緩衝液(MSD カタログ番号R93AA−1)を用いてブロックした。2時間のインキュベーションの終わりに、MSDストレプトアビジンプレートを洗浄し、その後、50uLの試料またはQCをMSDプレートに移した。次いで、このプレートを、350rpmで振とうしながら、室温で1時間インキュベートした。1時間のインキュベーションの終わりに、MSDプレートを洗浄し、150uLの2×リード緩衝液(MSD カタログ番号R92TC−2)をプレートに加えた。そのプレートを、MSD PR400機器を使用して読み取った。
【0490】
マウスの5つの群すべてが実質的に同様の、切断されたII型コラーゲンレベルを示した(
図67)。5nmol/kgのPro−Gly−CNP37を1日1回、5週間用いた5群におけるマウスの処置は、骨のリモデリングの指標である全アルカリホスファターゼレベルを有意に増加させた(p<0.001)(
図68)。Pro−Gly−CNP37を用いて処置したマウスの4つの群それぞれに由来する血清試料は、全抗体アッセイにおいて陽性の抗体反応を示さなかった。
【0491】
いかなる理論にも縛られるものではないが、CNP処置マウスの4つの群が、切断されたII型コラーゲンレベルにおいて媒体処置マウスと比較して統計的有意差を示さなかった理由、および5群のCNP処置マウスだけが、全アルカリホスファターゼレベルにおいて媒体処置マウスと比較して統計的有意な増加を示した理由には、考えられる説明がある。この研究の媒体処置マウスもまた成長しているので、成長のバイオマーカーである切断されたII型コラーゲンおよびアルカリホスファターゼが、媒体処置マウスにおいても産生されていた可能性がある。さらに、1から4群それぞれのマウスに関して処置しない1週間の期間が存在したので、1から3群のCNP処置マウスおよび媒体処置マウスの間の、切断されたII型コラーゲンおよび全アルカリホスファターゼのレベルにおけるあらゆる変化が希釈された可能性がある。5群のCNP処置マウスには処置しない期間がなく、それらのマウスは、媒体処置マウスと比較して有意に高い(p<0.001)全アルカリホスファターゼレベルを示した。
【0492】
(実施例15)
マウスにおけるCNP変異体の用量反応
CNP変異体の様々な用量の効果を、野生型FVBマウスにおいて評価した。
【0493】
2つの別々の研究(S1およびS2)において、用量研究のために、10匹のマウスの群に、Pro−Gly−wtCNP37(「Pro−CNP38」)を、20および70nmol/kgで、1日1回、36回の皮下注射で投与した。尾長および体長を、処置の過程にわたって測定した。実験の終わりに動物を犠牲にし、骨長を評価した。
【0494】
媒体処置動物の尾長は、36日目におよそ8cmであったが、一方20nmol/kgのPro−CNP38を用いて処置した動物はおよそ8.75cmの尾長を示し、70nmol/kgのPro−CNP38を用いて処置した動物はおよそ9.5cmに尾長が増加した。いずれの用量のPro−CNP38の投与も、対照処置動物と比較して、全体長において有意な(p<0.05)相対的増加を誘導し、このことは20nmol/kgのPro−CNP38でおよそ130%の成長速度の増加、70nmol/kgのPro−CNP38でおよそ160%の成長速度の増加を実証している(
図69)。
【0495】
Pro−CNP38を用いた処置は、動物の評価した長骨の大部分および鼻から肛門までの合計(体長)においてもまた、骨長を有意に増加させた。表14は、媒体処置動物と比較した、処置動物における骨長の相対的%増加の表示である。
【0496】
【表14】
相対的%増加, * p<0.05 ANNOVA (Dunnett’s) v媒体
骨無機質密度(BMD)および骨無機質量(BMC)を、様々な用量でPro−CNP38を投与後にさらに評価した。結果(
図70)は、70nmol/kgのPro−CNP38の投与が骨無機質密度(
図70A)を有意に減少させ、骨無機質量を有意に増加させた(
図70B)ことを示し、このことは処置動物において骨の鉱化作用の遅延があるが、鉱化作用過程それ自体はCNPを用いた処置によって不利な影響を受けないことを示唆している。
【0497】
Pro−CNP38処置動物または媒体処置動物の間に器官重量の有意な変化はなかった。
【0498】
マウスにおける用量反応の生体分析研究
生体分析研究を実施し、様々な用量のPro−CNP38のin vivoの投与後のCNP活性のマーカーを測定した。in vivo試料からの、血漿cGMPレベル、II型コラーゲンの血清レベルおよびアルカリホスファターゼの血清レベルを分析した。野生型マウスに、20および70nmol/kgのGly−wtCNP37(「CNP38」)、20および70nmol/kgのPro−Gly−wtCNP37(「Pro−CNP38」)ならびに70および200nmol/kgのGHKSEVAHRFK−wtCNP27(「HSA−CNP27」)(配列番号144)を、皮下に1日1回36日間投与した。36日目に最後の注射を行なったその15分後、血漿を採取し、マウスを24時間後に犠牲にした。犠牲にするときに、最終採血血清を回収し、前述のようにバイオマーカーの分析に使用した。
【0499】
図71は、20nmol/kgのCNP38および70nmol/kgのHSA−CNP27が、血漿cGMPレベルを有意に増加させたことを示し(p<0.01)、上昇した血漿cGMPレベルは、それぞれおよそ300pmolおよび400pmolであった。70nmol/kgのCNP38の投与は、cGMPをおよそ500pmol(p<0.01)に増加させたが、一方、70nmol/kgのPro−CNP38の投与は、cGMPをおよそ575pmolに増加させた(p<0.001)。200nmol/kgのHSA−CNP27の投与は、cGMPをおよそ675pmol(p<0.001)に増加させた。
【0500】
CNP変異体もまた、切断されたII型コラーゲンの血清レベルを有意に増加させた(
図72)。20nmol/kgのCNP38は、コラーゲンをおよそ9pg/ml(p<0.05)に増加させ、70nmol/kgのCNP38は、コラーゲンをおよそ8pg/ml(p<0.05)に増加させ、20nmol/kgのPro−CNP38は、コラーゲンをおよそ12pg/ml(p<0.05)に増加させ、70nmol/kgのPro−CNP38は、コラーゲンをおよそ16pg/ml(p<0.05)に増加させ、70nmol/kgのHSA−CNP27は、コラーゲンをおよそ10pg/mlに増加させ、200nmol/kgのHSA−CNP27は、コラーゲンをおよそ10pg/ml(p<0.05)に増加させた。
【0501】
血清アルカリホスファターゼ(AP)レベルもまたCNP変異体の投与後増加した(
図73)。20nmol/kgのCNP38はAPをおよそ130IU/Lに増加させ、70nmol/kgのCNP38はAPをおよそ160IU/L(p<0.001)に増加させ、20nmol/kgのPro−CNP38はAPをおよそ155IU/L(p<0.001)に増加させ、70nmol/kgのPro−CNP38はAPをおよそ180IU/L(p<0.001)に増加させ、70nmol/kgのHSA−CNP27はAPをおよそ120IU/Lに増加させ、200nmol/kgのHSA−CNP27はAPをおよそ140IU/L(p<0.01)に増加させた。表15は骨特異的である全APのパーセントを例示する。
【0502】
【表15】
抗CNP抗体の分析は、HSA−CNP27だけがマウスにおいてIgG抗体反応を誘発することを示した。
【0503】
上記の結果は、CNP変異体の投与が、血清中のII型コラーゲンおよびアルカリホスファターゼの濃度を増加させることを例示し、このことはCNPが、骨成長の増加に関連する因子を増加させることを示し、そして20nmol/kgほどの低用量でのCNP変異体の投与が、in vivoの骨成長の増加に有効であることを示唆している。
【0504】
様々な投薬計画後のcGMPの反応
生体分析を、Pro−Gly−wtCNP37(「Pro−CNP38」)の野生型CD−1マウス8〜10週齢、(n=3/処置群)への投与後様々な時間においてさらに評価した。Pro−CNP38を、200nmol/kg単回皮下用量で与え、注射後15分、3時間、1日、2日および3日において、血漿、骨端、皮質骨(髄は除去)、肺および脳中のcGMPレベルを測定した。血液をK2EDTAに回収した。脛骨および大腿骨の骨端ならびに皮質骨、耳介、脳、腎臓および肺を収穫し、沸騰水中に5分置き、その後−70℃に凍結した。血漿および組織の両方を、cGMPに関してアッセイした(Cayman Chemical サイクリックGMP ELISAキット)。
【0505】
結果は、cGMPレベルが、血漿(およそ1300pmol/ml)および骨端(およそ2.5pmol/ml/mg)において、注射後15分において増加したことを示した。3時間までに、血漿レベルはほぼ対照レベルまで減少し、一方、骨端におけるレベルは、注射後15分におけるcGMPレベルよりもおよそ(apprimately)3倍低いが、対照レベルよりも高かった。皮質骨のレベルは、15分においておよそ0.5pmol/ml/mgに増加し、3時間においてこのレベルを維持していた。すべての時点のcGMPのレベルは注射後1日までに対照レベルに戻った。いかなる時点においても、肺および脳中にcGMPは殆ど検出されなかったかまたは全く検出されなかった。
【0506】
cGMPのレベルを、Pro−CNP38の複数回注射を投与されたマウスにおいて、さらに測定した。マウスの群(n=3)に、Pro−CNP38を以下のように与えた:20nmol/kgの単回投薬、皮下;200nmol/kgの単回投薬、皮下;20nmol/kg、皮下、0および1日目;200nmol/kg、皮下、0および1日目;20nmol/kg、皮下、0および3日目;200nmol/kg、皮下、0および3日目。マウスを、Pro−CNP38の最終投薬15分後に犠牲にし、cGMPの血漿レベルを分析した。様々な投薬計画による、血漿cGMPシグナルの変調は現れていない。軟骨におけるcGMP反応をさらに調査する。
【0507】
NPR−B受容体の潜在的脱感作の評価
組織学的分析は、毎日200nmol/kgで投与した場合、CNP免疫反応性の増加に基づき、CNPが動物の成長板に蓄積されることを示す。成長板におけるこの蓄積またはCNP受容体の毎日の刺激が、CNP受容体を脱感作できる可能性がある。
【0508】
複数回投薬がNPR−B受容体をin vitroで脱感作するかどうかを決定するために、正常なヒト関節軟骨細胞を、Pro−Gly−wtCNP37(「Pro−CNP38」)と一緒に様々な時間培養し、cGMPの分泌を測定した。
【0509】
関節軟骨から単離した一次正常ヒト軟骨細胞を、供給業者(Lonza)の推奨のように培養した。60〜80%の集密において、軟骨細胞を、1uMのPro−CNP38を用いて2回処理し、処理の間の時間量を増やした(0時間に最初の処理、その後、最初の処理後15分、30分、60分、2時間、3時間、4時間、6時間)。以下の実験において、処理は、処理の間の時間量を増やしながら(0時間に最初の処理、その後、最初の処理後6、16、24、48時間)2回、または2回目の処理と並行して(6、16、24および48時間におけるナイーブな反応だけ)1回だけ、のいずれかで適用した。処理は、15分だけ(急性処理)または実験期間中(CNPを培地中に放理した場合、慢性処理)のいずれかを適用した。細胞溶解物およびならし培地を回収し、全cGMP分泌物を分析した(Molecular Devices ELISA)。
【0510】
短期実験において、細胞を、Gly−wtCNP37(「CNP38」)1uMを用いて15分間で2回(急性処理)、または培養を通してCNP38を用いて2回(慢性処理)刺激した。処理の間の期間は、15分、30分、60分、2時間、3時間、4時間および6時間であった。実験の最後の時点で、細胞を1度だけ処理することによって、ピークのcGMP刺激を得た(6時間;急性実験において>0.1pmol/ウェルおよび慢性実験において0.2pmol/ウェル)。急性実験において、細胞を2回処理するとき、細胞を、0時間およびその後15分に再度処理した場合、反応は0.1pmol/ウェルに減少する。急性実験において、細胞を2回処理するとき、細胞を、0時間およびその後30分、60分、2、3および4時間に再度処理した場合、反応はおよそ0.5pmol/ウェルに減少する。慢性実験において、細胞を2回処理するとき、細胞を、0時間および15分に処理した場合、反応はおよそ0.16pmol/ウェルに減少する。慢性実験において、細胞を2回処理するとき、細胞を、0時間および30分、60分または2時間に処理した場合、反応はおよそ0.6pmol/ウェルに減少する。慢性実験において、細胞を2回処理するとき、細胞を、0時間および2、4または6時間に再度処理した場合、反応は<0.5pmol/ウェルに減少する。
【0511】
長期研究もまた実施した。急性処理のために、1uMのCNP38を、上記のように細胞培養物に加えた。慢性処理のために、1uMのCNP38を上記のように実験期間を通して細胞培養物に加えた。結果は、毎日のin vitroのCNP投与の反復後、NPR−B受容体が脱感作でき、最初の投薬後にCNPを除去した場合、投薬の間の48時間は、CNP38に対するNPR−Bの最大の反応の60%に回復するために十分であり、CNPを実験を通してインキュベートする場合、<40%に回復することを示す(
図74)。
【0512】
CNP変異体を用いた処置が、NPR−B受容体をin vivoで脱感作するかどうかを評価するために、野生型マウスを用いて実験を実施した。CD−1雄マウス、8〜10週齢に、媒体対照またはPro−Gly−wtCNP37(「Pro−CNP38」)を200nmol/kgで適切な日に皮下注射した。マウスに、Pro−CNP38を最大8日間毎日注射するか、または研究の1日目、1日目および2日目、もしくは1日目および3日目にPro−CNP38を注射するかのいずれかを行った。最後の注射の15分後、マウス(n=3/処置群)に深麻酔をかけ、開胸および大動脈カニューレ挿入を介して放血させた。循環血液を、大動脈カニューレを介してPBSにより体から洗い流した。腎臓および右脛骨、右大腿骨および左大腿骨を回収し、水中で5分間沸騰させ、および/または液体窒素中で急速凍結させ、ドライアイスまたは−70℃の冷凍庫においてcGMPアッセイまで保存した。軟骨におけるcGMPの産生の推定のために、大腿骨遠位および/または近位の脛骨を解剖し、秤量し、Covaris Cryoprep CP02を使用して粉砕した。粉末化した試料を、5%過塩素酸中でCovaris E210ソニケーターを使用して均質化し、60%KOH中で中和した。試料を、その後10,000rpmにおいて4℃で5分間遠心分離し、上清をcGMPアッセイ(Cyclic GMP Enzyme Immunoassay Kit、Cayman、Michigan)に使用した。さらに、左脛骨を回収し、10%の通常緩衝ホルマリン中で固定し、さらなる免疫組織化学分析のために保管した。
【0513】
図75Aは、200nmol/kgのPro−CNP38を用いた1、4、6、7および8日間の野生型マウスの毎日の反復処置が、cGMP反応の脱感作をもたらさなかったことを示す。対照的に、cGMP反応の増強作用が、毎日の処置の4日後に観察された。さらなる毎日の処置は、最大8日間cGMP反応のプラトーをもたらした。結果は、200nmol/kgのPro−CNP38を用いた最大8日間の野生型マウスの毎日の処置が、cGMP反応を脱感作しないことを示す。
【0514】
Pro−CNP38を用いた野生型マウスの処置後の遠位大腿骨軟骨におけるcGMP反応の動態も調査した。1日1回、2日間のマウスの処置は、単回処置に対するcGMP反応と比較して、Pro−CNP38に対するcGMP反応を増強した(
図75B)。マウスを1日目および3日目に処置した場合、2回目の処置(3日目)後のcGMP反応が、1日目の単回処置後に観察されたcGMP反応と実質的に同様であったが、1日目および2日目に処置した場合は同様ではなかった(
図75B)。この結果は、連続する日の投薬が、本マウス研究においてPro−CNP38に対するcGMP反応の増強に有利であることを示唆する。
【0515】
様々な組織におけるNPR−Bの活性化
CNP変異体による様々な組織におけるNPR−Bの潜在的活性化を評価するために、野生型雄CD−1マウスに、200nmol/kgのGly−CNP37を注射し、様々な時点において、特定の組織中のcGMP反応を測定した。2匹のマウスを各処置群に使用した。個々のマウスは、Gly−CNP37または媒体対照の単回皮下注射を受けた。注射の15、30もしくは60分または3時間後、マウスに深麻酔をかけ、開胸および大動脈カニューレ挿入を介して放血させた。循環血液を、大動脈カニューレを用いてPBSを流すことにより除去した。心臓、肝臓、肺、腎臓、耳介、大動脈および脳を回収した。すべての組織を水中で5分間沸騰させ、細かく解剖し(PBSを用いた大腿皮質からの髄の洗い流しを含む)、秤量し、液体窒素中で冷却し、BioPulverizerにおいて粉々にした。得られた粉末化した試料を、6%のあらかじめ冷やした過塩素酸中でPolytronを用いて均質化し、60%KOHを用いて中和した。その後、試料を、10,000rpmにおいて4℃で5分間遠心分離し、上清をcGMPのアッセイに使用した(Cyclic GMP Enzyme Immunoassay Kit、Cayman Chemical Company、 Ann Arbor、Michigan)。結果を、組織の重量に対して正規化した。
【0516】
Gly−CNP37(
図76中「CNP」)を用いた処置に反応したcGMPの分泌は、大腿骨遠位(軟骨および骨)、大腿皮質(骨)、耳介(軟骨)および腎臓において検出可能であった(
図76A〜D)。それらの組織における最大のcGMP反応が、処置後15分で観察された。肝臓、心臓、肺および脳組織は、研究の各時点で媒体対照と比較して、Gly−CNP37に反応した感知可能なcGMPの分泌を示さなかった(
図76E〜H)。この結果は、200nmol/kgのGly−CNP37を用いた処置が、軟骨、骨および腎臓組織におけるcGMPの分泌を刺激した。
【0517】
(実施例16)
サルにおけるCNP変異体の用量反応
CNP変異体のPro−Gly−CNP37の骨成長に対する効果および骨成長関連バイオマーカーのレベルを、カニクイザルにおいて評価する。8匹の正常な若年カニクイザル(継続中の研究の開始時に約2.5歳)に、10または36μg/kg/日のPro−Gly−CNP37を毎日皮下注射する(n=4/投薬群)。このような4匹のサルに対照として媒体を投与する。処置の合計の長さは6ヵ月である。成長板拡大および骨成長の様々な測定を、デジタルX線写真および磁気共鳴画像によって実施し、外面的には肢および体長の測定によって実施する。血液および尿試料を臨床病理学ならびにPro−Gly−CNP37およびバイオマーカーのレベルの測定のために定期的に回収する。研究の終了後、肉眼的病理学を実施し、組織試料を有効性および安全性の評価のために組織学的に評価する。
【0518】
継続中の研究において今までに得られたデータは、Pro−Gly−CNP37の両方の用量が、デジタルX線写真により成長板の幅を増加させ(
図77)、デジタルX線写真により左右の脛骨の長さを増加させ(
図78AおよびB)、外部測定により脚長を増加させ(
図79)、外部測定により腕長を増加させ(
図80)、外部測定により体長を増加させ(
図81)、骨形成に関するバイオマーカーであるアルカリホスファターゼの血清レベルを増加させた(
図82)ことを示す。このデータは、Pro−Gly−CNP37が正常な若年カニクイザルにおいて、血行力学的に許容される用量で骨成長を刺激できることを実証する。
【0519】
(実施例17)
マウスの心臓血管系に対するCNP変異体の効果
CNPなどのナトリウム利尿ペプチドが、心臓血管系に影響を与えることが報告されている。Wangら(Eur J Heart Fail.9巻:548〜57頁、2007年)は、CNPが、ラットにおいて、心筋虚血/再かん流傷害の予防および心筋梗塞後の心臓のリモデリングの改善において心臓保護効果を有することが示されていることを記載している。Wangは、CNPを過剰発現するマウスが、心筋梗塞が原因の心臓肥大の発生を減少させたことを実証した。さらに、CNPが内皮非依存性血管拡張を引き起こし(M. Honingら、Hypertension、37巻:1179〜1183頁(2001年))、したがってin vivoで一時的に血圧を低下させ得ることが示された。
【0520】
CNP変異体の心臓血管系への効果を評価するために麻酔をかけた野生型FVBマウスにおける血圧および心拍数を、変異体の皮下注射後に研究する。
【0521】
心筋血管活性の広い用量範囲を規定するための予備試験後、用量反応研究を実施し、個々のCNP変異体の3種の異なる用量レベルの効果を調べる。各処置群は8週齢の3匹の雄FVBマウスを含む。用量を、麻酔をかけたマウスに皮下投与し、収縮期血圧、拡張期血圧および平均動脈圧(MAP)ならびに心拍数を、埋め込まれた動脈内圧トランスデューサーを介してモニターする。
【0522】
(実施例18)
CNP変異体の製剤化
CNPの予備製剤化研究を実施し、様々なpH(pH3、4、5、6、7および8)および温度(5℃、25℃および40℃)において、経時的に、CNP変異体であるGly−wtCNP37(「CNP38」)の安定性を評価した。CNP38は、pH4〜6において、この研究の他のpHにおけるよりもはるかに高い安定性を示した。CNP38は、5℃でpH4〜6において安定であり、15週後にCNP38の≧約95%が残存した。温度を25℃まで上げた場合、pH4においてCNP38の約85%が15週後に残存し、pH5において約85%が15週後に残存し、pH6において約80%が15週後に残存した。温度を40℃まで上げた場合、pH4においてCNP38の約55〜60%が15週後に残存し、pH5において約65%が15週後に残存し、pH6において約40%が15週後に残存した。
図83は、pH3から8のpHに対する疑似一次分解速度定数(K
obs)の、5℃、25℃および40℃における観察されたプロットを例示する。予備製剤化研究におけるCNP38に関する安定性のデータは、CNP製剤が約4から約6の範囲のpHを有することを示唆する。酸性pH(例えば、pH≦約6)は、例えば、アスパラギンおよび/またはグルタミン残基(複数可)の脱アミド、アスパラギン酸残基(複数可)の異性化または他の経路によるCNP変異体の分解を最小化または回避することによって、CNP変異体の安定性を促進できる。
【0523】
CNP変異体は、例えば、骨成長の病態によって影響を受ける被験体への投与のための薬学的キャリア中で製剤化され得る。いくつかの実施形態において、CNP変異体の液体製剤は、表16中の成分およびそれらの量または濃度の任意の組合せに従って製剤化される。
【0524】
【表16】
1 グリセリンは、CNP変異体の水起因の加水分解、脱アミド、異性化または切断を最小化または予防するために使用する。凍結乾燥製剤のために、4〜6%または6〜20%マンニトールまたはスクロースをNaClと置換できる。
【0525】
特定の実施形態において、CNP変異体の凍結乾燥製剤は、表17中の成分およびそれらの量または濃度の任意の組合せに従って製剤化された製剤から調製される。
【0526】
【表17】
1 グリセリンは、CNP変異体の水起因の加水分解、脱アミド、異性化または切断を最小化または予防するために使用する。
【0527】
特定の実施形態において、CNP変異体を含む製剤は、約3〜7または約3〜6または約3.5〜6.5または約4〜6または約4〜5または約4.5〜5.5のpHを有する。いくつかの実施形態において、pH4〜5.5のために、適切な緩衝剤は酢酸/酢酸塩(例えば酢酸ナトリウム)であり、pH5.5〜6のために、適切な緩衝剤はクエン酸/クエン酸塩である。クエン酸/クエン酸塩(例えばクエン酸ナトリウム)は、pH3〜6またはpH4〜6の範囲においてもまた、適切な緩衝剤である。特定の実施形態において、緩衝剤は、製剤中で約2〜50mMまたは約2〜40mMまたは約2〜30mMまたは約5〜30mMまたは約2〜20mMまたは約5〜20mMまたは約5〜15mMの濃度を有する。
【0528】
CNP変異体の脱アミドを最小化または回避するために、変異体は、薬学的に許容される有機共溶媒、例えばグリセリン、エタノールおよびプロピレングリコール中で製剤化され得る。脱アミドは加水分解によっておこるので、有機共溶媒の水に代えての置換が、CNP変異体と水との接触を最小にする。有機水性溶媒系中の1種以上の有機溶媒の濃度は、例えば、約10%から約99%または水を使用しない場合約100%であり得る。
【0529】
さらにCNP変異体の脱アミドを最小化または回避するために、凍結乾燥によって製剤から水を除去できる。いくつかの実施形態において、凍結乾燥製剤は以下の要素の任意の組合せを含有する:
緩衝剤:酢酸ナトリウムおよび酢酸、またはクエン酸ナトリウムおよびクエン酸;
等張性/増量剤:マンニトール(例えば、3〜10%、2〜8%または4〜6%);
スクロース(例えば、6〜20%、5〜15%または8〜12%);
酸化防止剤:メチオニンおよび/またはアスコルビン酸、各酸化防止剤とCNP変異体のモル比は約0.1:1から約1:1、または約0.5:1から約5:1、または約1:1から約15:1、または約1:1から約10:1、または約3:1から約10:1。
【0530】
脱アミドは、CNP組成物(例えば、液体製剤または凍結乾燥製剤)を低温、例えば約5℃、0℃、−10℃、−20℃、−30℃、−40℃、−50℃、−60℃、−70℃、−80℃、−90℃または−100℃において保存することによっても、最小化または回避され得る。
【0531】
CNP変異体中の酸化可能な残基(例えばメチオニン)の酸化を最小化または回避するために、変異体を、1種以上の酸化防止剤と一緒に製剤化できる。例示的酸化防止剤は、限定するものではないが、メチオニン、アスコルビン酸およびチオグリセロールを含む。例えば、メチオニン残基の酸化は、窒素またはアルゴンを用いて(液体製剤の場合)液体媒質から酸素を取り除くことによって、および/または窒素またはアルゴンを用いて容器またはパッケージから酸素を取り除くことによってもまた最小化または予防できる。
【0532】
いくつかの実施形態において、吸着(例えば、CNP変異体のプラスチックまたはガラスへの吸着)を最小化または予防するために、Polysorbate20、Polysorbate80もしくはベンジルアルコールまたはそれらの組合せをCNP製剤に加える。特定の実施形態において、個々の抗吸着剤(複数可)は、約0.001%から約0.5%、または約0.01%から約0.5%、または約0.1%から約1%、または約0.5%から約1%、または約0.5%から約1.5%、または約0.5%から約2%、または約1%から約2%の濃度である。製剤中の抗吸着剤(複数可)の例示的範囲(複数可)は、限定するものではないが、約0.001%から約0.5%のPolysorbate20、約0.001%から約0.5%のPolysorbate80および/または約0.5%から約1.5%のベンジルアルコールを含む。
【0533】
特定の実施形態において、液体CNP製剤は、(1)約30mM±5、または10mM緩衝剤の濃度および約4±0.5または約4±1のpHを有する酢酸/酢酸塩(例えば酢酸ナトリウム)緩衝液および(2)約1%±0.5%濃度のベンジルアルコール(例えば、保存剤および/または抗吸着剤)ならびに必要に応じ(3)約10%±5%濃度のスクロース、を含み、あるいは凍結乾燥CNP製剤は、(1)約30mM±5、または10mM緩衝剤の濃度および約4±0.5または約4±1のpHを有する酢酸/酢酸塩(例えば酢酸ナトリウム)緩衝液および(2)約1%±0.5%濃度のベンジルアルコール(例えば、保存剤および/または抗吸着剤)ならびに必要に応じ(3)約10%±5%濃度のスクロース、を含む製剤から調製される。
【0534】
(実施例19)
CNP変異体の臨床的評価
以下の実施例は、本開示の治療法において、CNP22またはそれらの変異体を含む組成物の臨床的評価のために使用されるパラメーターに関するガイダンスを提供する。本明細書において議論するように、CNP22またはそれらの変異体は、骨および血管平滑筋の障害を含む、CNPに反応性の障害の治療に使用される。臨床試験を実施し、これらはCNP22またはそれらの変異体の用量の、安全性、薬物動態学およびサロゲート臨床エンドポイントおよび既定の臨床エンドポイントの両方の初期反応に関する評価を提供する。この試験は、必ずしも限定されないが、約100例の評価可能な患者に関する十分な安全性情報を収集するために最低限24週間実施されるものである。この試験の初期用量は、約0.001から約1.0mg/kg/週、または本明細書に記載の任意の用量に変動する。この範囲の初期用量が有意な直接的臨床的利益を生み出さない事象において、用量は、必要に応じてこの範囲内またはこの範囲以上に増加されるべきであり、安全性を確立し、さらに有効性を評価するために、必ずしも限定されないが、さらなる最小期間の24週間維持されるべきである。
【0535】
安全性の測定は、有害事象、アレルギー反応、完全臨床化学パネル(腎機能および肝機能を含む)、尿検査および鑑別を伴うCBCを含むものである。さらに、臨床的利益に関連する他のパラメーターをモニターする。本実施例は、吸着、分布、代謝、排泄ならびに血液中の半減期および生物学的利用能を含む、CNP22またはそれらの変異体の薬物動態学的パラメーターの決定をさらに含む。このような分析が、用量と臨床反応を関連付ける助けになることが予期される。
【0536】
方法
患者は、ベースラインの病歴および健康診断ならびに標準的な一連の臨床検査室検査(CBC、Panel20、CH50およびUAを含む)を受けることになる。患者は、毎週の通院で密接に追跡調査される。患者は、完全な評価のために、治療期間の完了後の1週に再度来院する。用量の増加が必要ならば、患者は上に概説した同じスケジュールに従う。安全性を、試験を通してモニターする。
【0537】
診断および試験被験体患者基準
患者は、CNP反応性障害の可能性の診断が記録された、男性であっても女性であってもよい。潜在的にCNP反応性骨関連障害の具体的な例は軟骨無形成症であり、これは、遺伝子検査およびFGFR−3の変異または機能障害の他の証拠により確認され得る。軟骨無形成症患者の理想的な年齢範囲は、幼児(<1歳)から青年期前(<13歳)までである。患者が妊娠している、もしくは授乳中である、患者が本研究の登録前30日以内に治験薬の投与を受けている、または患者が病態、重度の併発する病気または研究のコンプライアンスを著しく減少し得る他の酌量すべき事情を有する場合、患者をこの研究から除外する。
【0538】
安全性
CNP22またはそれらの変異体を用いる療法は、研究の過程の間に有意な急性または慢性の薬物反応が起こらない場合、安全であると決定される。薬剤の長期投与は、臨床検査、臨床検査室または他の適切な研究において著しい異常が観察されない場合、安全であると決定される。
【0539】
野生型CNP22と比較して、本開示の特定のCNP変異体は、in vitroでNEP分解に対してはるかに耐性が強く、ラットにおいてはるかに長い血漿半減期および生物学的利用能を有し、ラットにおいてはるかに高いcGMP産生レベルを刺激し、および/または軟骨無形成症マウスにおいて長骨の長さおよび体長において有意により大きな増加を誘導することが示されている。さらに、CNP22を用いた短期間の投薬計画治療は、in vitroの軟骨細胞成長のFGF2誘導性停止の逆転において、連続CNP22治療とほぼ同等に有効であることが示されている。本明細書に記載の中でもとりわけ、これらの結果は、CNP反応性の病態または障害、例えば骨関連障害および血管平滑筋障害の治療における本開示のCNP変異体の有用性を実証している。
【0540】
本明細書に記載の、本開示の個々の実施形態が、必要に応じて本明細書に記載のいずれか1つ以上の他の実施形態と組合せ可能であることが理解される。本明細書に引用された個々の特許文献および個々の非特許文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0541】
本明細書に記載の実施形態および例示的実施例において記載されるように、本開示に対する多数の改変および変形を、当業者が想到することが予測される。したがって、添付の特許請求の範囲に現れるような限定だけが本開示に関して認められるべきである。