【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は電池用セパレータに関する。電池は化学反応等によって発生された電位差から変化された直流電力を直接取り出す装置である。電池には種々の種類があるが、本発明では化学電池に関し、特に、繰り返し充電して使うことができる二次電池に関する。二次電池は、近年特に小型化、高出力化、安全性確保など特に高性能化が求められており、本発明ではこれらの要望に答えるためのものである。これらの二次電池の内、近年、出力が大きく蓄電能力の高いリチウムイオン電池が注目されており、本発明では、化学電池の内、特に、リチウムイオン二次電池の性能を高めるための電池用セパレータに関する。これらのリチウムイオン電池には、自動車等に使用できる大型のものから、ボタン型電池のような小型のものも含まれる。
【0009】
本発明は電池用セパレータに関する。電池用セパレータは、電池における電極の正極と負極との隔離を行うもので、電極間の電気的短絡を防止し、電池の電解液を保持して正極と負極との間のイオン電導性を確保する機能を有する。したがって、正極と負極を物理的に分離することや、短絡を防ぐための電気絶縁性を有することは当然として、イオン電導性を阻害しないこと、電解液の保持性が良いこと、電解液に対して化学的に安定であることなどが要求される。また、電池組み立て作業における物理的強度も要求される。また、電池におけるミクロン単位の粒子である電極活物質の通過を防いで電極の変質を防止し、さらに、リチウム金属等の金属の析出(デンドライト)を制御することでショートを防ぐ安全性機能等を高めることが求められている。
【0010】
本発明の電池用セパレータは、ポリオレフィンフィラメントからなる多孔質シートからなることを特徴とする。ポリオレフィンは、分子中に炭素・炭素2重結合を含む(オレフィン)モノマーが重合されることによって生成されるポリマーで、本発明では、特にポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリメチルペンテン(PTX)が利用され、これらの変性樹脂も使用される。ポリオレフィンは耐薬品性が良いので、電解液で分解せず、安定した電池用セパレータとすることができる。また、耐酸化性も良いので、電池が長寿命化する特性も有する。
【0011】
本発明のポリオレフィン多孔質シートは、その構成するフィラメント群が1μm未満の平均フィラメント径からなるナノフィラメントであることを特徴とする。フィラメントは、実質的に連続した長さを有する繊維の1種であるが、通常、50mm程度より小さい短繊維と呼ばれているものより長く、100mm以上であり、特に本発明では、繊維径が小さいので、そのアスペクト比(長さ/径)は非常に大きく、実質的に連続フィラメントであること特徴とする。本発明のフィラメントは、平均フィラメント径が1μm未満のナノフィラメントからなることを特徴とし、望ましくは0.7μm以下、最も好ましくは0.5μmに達しないナノフィラメントからなることを特徴とする。フィラメント径(平均フィラメント径)は、数千―2万倍の電子顕微鏡下で、100本のフィラメントを数えて、算術平均して求める。本発明のフィラメント径が小さいことより、一定面積でのフィラメント数が大きくなり、多孔質シートを構成する孔の数がきわめて大きくなり、かつ、孔径を微細化することができた。これらの孔の数の増大と孔径の微細化によって、電池用セパレータの高機能化をもたらすことができた。
【0012】
本発明のフィラメントが上述のように連続フィラメントであることより、ショットまたはダマと呼ばれる樹脂の小さい塊が非常に少ないことを特色とする。ダマは、紡糸や延伸における切断時に、切断部前後が収縮して塊になると考えられている。本発明の延伸されたポリオレフィンフィラメントからなる多孔質シートは、ナノフィラメントの領域におけるフィラメント径を有していながら、延伸中に切断が殆どないので、実質的に連続フィラメントであり、ダマ等が発生しないので、高性能な電池用セパレータとすることができた。
【0013】
本発明における多孔質シートを構成している延伸ナノフィラメントは、フィラメント径が非常に揃っていることを特徴とする。フィラメント径分布は、SEM写真から測長用ソフトでフィラメント径を100箇測定して求めた。またそれらの測定値より、標準偏差を求め、フィラメント径分布の尺度とした。また、この測定法によりフィラメント径の平均値が求められている場合は、本発明の平均フィラメント径として採用する。通常のスパンボンド不織布やメルトブロー不織布では、フィラメント径分布の標準偏差は0.5以上であり、本発明のナノフィラメント多孔質シートでは、フィラメント径が細くなっているにもかかわらず、標準偏差が0.2以下であり、好ましくは0.1以下である。フィラメント径が揃っている多孔質シートは、多孔質の孔径が均一になり、ナノフィラメントでありながら、極端に太いフィラメントが無いので、同一重量の多孔質シートでフィラメントの本数が多くなり、また極端に小さい径のフィラメントも少ないので、耐薬品性などの化学的安定性も大きく、高性能の電池用セパレータとすることができた。
【0014】
本発明における多孔質シートを構成するナノフィラメントは、超高倍率に延伸されていることを特徴とし、少なくとも10万倍以上、好ましくは20万倍以上、最も好ましくは50万倍以上である。このように超高倍率延伸によりナノフィラメント領域のフィラメントとなり、上記の高品質電池用セパレータとすることができた。また、高度に延伸されることにより、下記に述べる高強度や低伸度、高度の分子配向による結晶化向上で熱的安定を可能にすることができた。
【0015】
上記のように、本発明の多孔質シートを構成するナノフィラメントは、超高倍率延伸されていることにより、高強度、低伸度であることを特徴とする。ナノフィラメントは、あまりにもフィラメント径が小さいので単体での取り扱いが困難で、そのフィラメント強度を測定することは困難である。しかし、高度に分子配向していることはDSC測定で高度の熱安定を有することからもわかる。高強度であることは、本発明の電池用セパレータを電池に組み込む際の作業性がよく、低伸度であることは、力学的外力に対して寸法安定性が良く、やはり電池に組み込む際の作業性がよく、自動組立装置への適合性がよい。
【0016】
不織布は、通常、何らかの繊維間の交絡を行ってシート状にされている多孔質シートである。本発明では、フィラメント径が非常に小さいので、単位重量あたりのポリオレフィンフィラメント数が極端に多い。したがって、特に交絡工程を設けなくても、メルトブローン不織布同様、ポリオレフィンフィラメントを集積する際にフィラメントが絡み合い、簡単なプレス程度でシート化されて使用することもできる。勿論、通常の不織布で行われている、熱エンボスやニードルパンチ、ウオータジェット、接着剤接合等の手段を用いることもできる。
【0017】
本発明のポリオレフィン多孔質シートは、本発明者の内の一人による先願発明(特許文献3)の炭酸ガスレーザービームとオリフィス間の気圧差を利用したフィラメントの超高倍率延伸手段を、ポリオレフィンフィラメントに応用したものである。ポリオレフィン原フィラメントは、数10μmから数100μmの太いフィラメント径から、数万倍から数十万倍に超延伸されて、数ミクロンメータから数十nmに至る極細フィラメントとなり、延伸されたフィラメント群は集積されて、多孔質シートとなる。本発明におけるポリオレフィン原フィラメントとは、既にフィラメントとして製造されて、リール等に巻き取られたものである。また紡糸過程において、溶融または溶解フィラメントが冷却や凝固によりフィラメントとなったものを紡糸過程に引き続き使用され、本発明の原フィラメントとしうる。原フィラメントは、単独で存在することが望ましいが、数本ないし数十本に集合されていても使用することができる。
【0018】
本発明においは、フィラメントの送出手段から送り出された原フィラメントについて延伸が行われる。送出手段は、ニップローラや数段の駆動ローラの組み合わせなどの一定の送出速度でフィラメントを送り出すことが出来るものであれば種々のタイプのものが使用できる。
【0019】
本発明では、多錘のポリオレフィン原フィラメントがP1気圧下で送出手段によって送り出されて、オリフィス中を通過して、P2気圧下(P1>P2)の延伸室へ導かれる。オリフィスを通過してきた原フィラメント群が、炭酸ガスレーザービームを照射されることによって加熱され、P1からP2の気圧差によって生ずる気体の流れによって生ずる牽引力によって延伸される。なお、この原フィラメント群が送り出されてくる際の圧力P1が大気圧であり、延伸室における圧力P2が減圧下であることは、装置を簡便にできるので、好ましい態様の一つである。P1を加圧下、P2を減圧下にすると、P2の減圧度をそれほど大きくすることなく、P1とP2の差圧を大きくできるので、これも好ましい態様の一つである。なお延伸室は、オリフィスの出口で、レーザービームによって原ポリオレフィンフィラメントが延伸される狭義の延伸室と、延伸されたフィラメントが集積される狭義のフィラメント集積室に分ける場合もあるが、狭義の延伸室と狭義のフィラメント集積室は一体的に結合されて、同一気圧に保たれ、広義の延伸室を構成している。
【0020】
なおP1またはP2は、通常室温の空気が使用される。しかし、原フィラメントを予熱したい場合や、延伸したフィラメントを熱処理したい場合は、加熱エアーが使用される場合もある。
【0021】
本発明における原フィラメント供給室と延伸室は、オリフィスによってつながっている。オリフィス中では、原フィラメントとオリフィス内径との間の狭い隙間に、P1>P2の圧力差で生じた高速気体の流れが生じる。この高速気体の流れを生じるために、オリフィスの内径Dと繊維の径dとは、あまり大きくかけはなれてはならない。実験結果、D>dであって、D<30d、好ましくはD<10d、さらに好ましくはD<5dであってD>2dであることが最も好ましい。
【0022】
上記におけるオリフィス内径Dは、オリフィスの出口部における径をいう。但し、オリフィス断面が円では無い場合、一番狭い部分の径をDとする。同様に、フィラメントの径も、断面が円ではない場合、一番小さい径の値をdとし、断面の最も小さい箇所を基準に10カ所を測定して算術平均する。また、オリフィスの内径は、均一な径ではなく、テーパ状で出口において狭くなる形状も好ましい。なお、オリフィスの出口は、通常、原フィラメントが上から下へ通過するので、縦に配置されたオリフィスの下方が出口となる。下から上へ原フィラメントが通過する場合は、オリフィスの上方に出口がある。同様に、オリフィスが横に配置されて、原フィラメントが横方向に通過する場合は、オリフィスの横方向に出口がある。
【0023】
上記のように、オリフィス内を高速の気体が流れるので、オリフィスの内部は抵抗の少ない構造が望ましい。本発明のオリフィスの形状は、1本1本独立したものも使用されるが、板状物に多数の孔を開けて多錘のオリフィスとすることもできる。オリフィスの内部の断面も円形のものが望ましい。複数のフィラメントを通過させる場合や、フィラメントの形状が楕円やテープ状の場合には、断面が楕円や矩形のものも使用される。また、オリフィス入り口では、原フィラメントを導入しやすいように大きく、出口部分のみ狭い形状が、フィラメントの走行抵抗を小さくし、オリフィスの出口からの風速も大きくできるので好ましい。
【0024】
本発明におけるオリフィスは、本発明人らによる従来の延伸前の送風管とは役割を異にしている。従来の送風管は、レーザーをフィラメントの定位置に当てる役目であり、できるだけ抵抗少なく、定位置に原フィラメントを搬送する役目であった。本発明はそれにプラスすることの、高速の気体流が原フィラメント供給室の気圧P1と延伸室の気圧P2の気圧差によって発生する点で異なる。なお、通常のスパンボンド不織布製造においては、エアーサッカー等によって溶融フィラメントに張力が与えられる。しかし、スパンボンド不織布製造におけるエアーサッカーと本発明におけるオリフィスとは、その作用機構と効果が全く異なる。スパンボンド法では、溶融フィラメントをエアーサッカー内の高速流体で送られ、エアーサッカー内でそのフィラメント径の細化の殆どが完了する。それに対して、本発明では固体の原フィラメントがオリフィスで送られ、オリフィス内ではフィラメントの細化は始まらず、オリフィスを出た所でレーザービームが照射されることによって、始めて延伸が開始される。またスパンボンド法では、エアーサッカー内に高圧エアーを送りこむことにより高速流体を発生させるが、本発明では、オリフィス前後における部屋の気圧差でオリフィス内の高速流体を発生させる点でも異なる。またその効果も、スパンボンド法では、せいぜい10μm前後のフィラメント径しか得られないのに対して、本発明では1μm未満のナノフィラメントが得られるという大きな効果が得られる点が異なる。
【0025】
本発明に使用されるオリフィスにおけるオリフィス出口での風速は、下記の式であらわされる(Graham's theorem)。
ν={2(P1―P2)/ρ}
1/2
ここで、ρはエアー密度。
P1が大気圧で、P2を負圧にしていった場合の、オリフィス出口の流速と、その音速換算を表1に示す。本発明において、このオリフィス出口の風速は、340m/sec(15℃での音速)以上であることが好ましく、365m/sec以上であることがさらに好ましい。
【0026】
【表1】
【0027】
オリフィスから送り出されてきた原フィラメントは、オリフィスの出口で、炭酸ガスレーザービームによって加熱され、オリフィスからの高速流体によってフィラメントに与えられる張力によって、原フィラメントは延伸される。オリフィスの直下とは、実験結果、炭酸ガスレーザービームの中心がオリフィス先端より30mm以下、好ましくは10mm以下、5mm以下であることが最も好ましい。オリフィスから離れると、原フィラメントが振れ、定位置に収まらず、炭酸ガスレーザービームに安定して捉えられないからである。また、オリフィス出口での高速エアーは、オリフィスから離れると、急激に速度が低下し、オリフィスからの高速気体によってフィラメントに与えられる張力が、オリフィスから離れることによって弱くなり、また安定性も小さくなる。
【0028】
本発明は、原フィラメントが炭酸ガスレーザービームによって加熱されて延伸されることを特徴とする。本発明の炭酸ガスレーザービームは、10.6μm前後の波長を有している。レーザーは、照射範囲(ビーム)を小さく絞り込むことが可能であり、また、特定の波長に集中しているので、無駄なエネルギーも少ない。本発明の炭酸ガスレーザーは、パワー密度が50W/cm
2以上、好ましくは100W/cm
2以上、最も好ましくは、180W/cm
2以上である。狭い延伸領域に高パワー密度のエネルギーを集中することによって、本発明の超高倍率延伸が可能となるからである。なお、本発明のレーザービームは、ビームエキスパンダー等で形状を変えて使用することもできる。
【0029】
本発明の原フィラメントは、炭酸ガスレーザービームにより延伸適温に加熱されるが、延伸適温に加熱される範囲がフィラメントの中心でフィラメントの軸方向に沿って、上下4mm(長さ8mm)以内であることが好ましく、さらに好ましくは上下3mm以下、最も好ましくは上下2mm以下で加熱される。このビームの径は、走行するフィラメントの軸方向に沿って測定する。本発明においては、原フィラメントが複数本であるので、原フィラメントの軸方向で測定される。本発明は、狭い領域で急激に延伸されることにより、高度に極細化され、ナノ領域までに細くした延伸を可能にし、しかも超高倍率延伸であっても、延伸切れを少なくすることができた。なお、この炭酸ガスレーザービームが照射されるフィラメントがマルチフィラメントである場合は、上記のフィラメントの中心は、マルチフィラメントのフィラメント束の中心を意味する。
【0030】
オリフィスを出た多錘の原ポリオレフィンフィラメント群は、レーザービームを照射されることによって延伸される。その際、多錘の原フィラメント群に均一にレーザービームが当たる必要がある。その手段として、延伸室全体を微細に回転させながら原フィラメント群の全てが均一に延伸される好適な位置を探る。その好適な回転位置において延伸を始めることが好ましい。なお、延伸室全体は、回転ばかりでなく、横方向(X方向)、ビームの照射方向(Y方向)、高さ方向(Z方向)へも微細に移動させることで、好適な位置が探られる。
【0031】
本発明の延伸されたフィラメントの集積装置として、走行するコンベアが使用される。コンベア上に集積され、積層されることによって、極細フィラメントの集積体または多孔質シートとして巻き取ることもできる。このようにすることにより、ナノフィラメントからなる多孔質シートを製造することができる。本発明のコンベアとして、網状の移動体が通常使用されるが、ベルトやシリンダ上に集積させてもよい。
【0032】
本発明の延伸されたフィラメントの集積装置として、フィラメント群やシート等の巻取装置も使用される。延伸されて下降してくるフィラメント群の巾に相当した紙管やアルミ管の管状物が回転軸として取り付けられた巻取機で、これらの管状物の上に延伸されたフィラメントは直接集積され、捕集されて巻き取られる。
【0033】
本発明の集積装置として巻取機を用いた場合、巻取軸に沿って湾曲している壁からなる捕集ガイドを設けることが望ましい。この捕集ガイドは、回転軸の外側に多錘の延伸されたフィラメント群が降下する巾に対応した巾を持つ。対応した巾とは、フィラメント群が下降した巾より広く、好ましくは50mm前後、さらに好ましくは100mm前後に両側に広いことが最も好ましい。オリフィスから高速エアーと共に走行してくる延伸されたフィラメントが巻取軸に巻きつかれて行く場合、高速エアーが巻取軸で反射して周囲へ飛散し、巻取軸上のフィラメントの集積状態が乱れる場合がある。その場合、この捕集ガイドの壁によって高速エアーが巻取機の回転軸方向に曲げられ、延伸されたフィラメントの飛散を防ぐことができる。巻取軸から捕集ガイドの壁までの距離は、500mm以下、好ましくは200mm以下、100mm以下であることが最も好ましい。
【0034】
コンベア上に集積された延伸されたフィラメント群は、熱処理されてシートが形成されることが望ましい。このように熱処理されることにより本発明の多孔質シートが、寸法安定性と熱安定性を備えた電池用セパレータとすることができる。そして、この多孔質シートシートは、延伸室内に設けられているシート巻取装置に巻き取られることが望ましい。熱処理は、熱風循環されている空間中に多孔質シートを通過させることや、誘導加熱等で加熱されているロール上を通過させることで行われる。本発明のポリオレフィンナノフィラメントからなる多孔質シートの熱処理温度は、ポリオレフィンの融点より30℃以下より高温で、融点より5℃低い温度範囲であることが望ましく、融点より20℃以下より高温で融点より10℃低い温度範囲であることがさらに望ましい。
【0035】
本発明における延伸倍率λは、原フィラメントの径doと延伸後のフィラメントの径dより、下記の式で表される。この場合、フィラメントの密度は一定として計算する。繊維径の測定は、走査型電子顕微鏡(SEM)で、原フィラメントは100倍、延伸されたフィラメントは1000倍またはそれ以上の倍率での撮影写真に基づき、100点の平均値で行う。
λ=(do/d)
2【0036】
本発明における延伸フィラメントは、延伸されることにより分子配向し、熱的にも安定している。本発明の延伸フィラメントはフィラメント径が非常に小さいので、フィラメントの分子配向を測定することは困難である。本発明の延伸フィラメントは、単に細くなっただけではなく、分子配向も生じていることが、熱分析の結果により示唆されている。原フィラメントや延伸フィラメントの示差熱分析(DSC)測定は、株式会社リガク製THEM PLUS2 DSC8230Cにより、昇温速度10℃/minで測定した。