特許第5718963号(P5718963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5718963難燃性及び電磁波遮断効果を有する壁用粉体塗料組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5718963
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】難燃性及び電磁波遮断効果を有する壁用粉体塗料組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 133/00 20060101AFI20150423BHJP
   C09D 127/06 20060101ALI20150423BHJP
   C09D 5/03 20060101ALI20150423BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   C09D133/00
   C09D127/06
   C09D5/03
   C09D7/12
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-60873(P2013-60873)
(22)【出願日】2013年3月22日
(65)【公開番号】特開2013-253226(P2013-253226A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2013年3月22日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0060574
(32)【優先日】2012年6月5日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513071171
【氏名又は名称】株式会社東洋イーアンドピー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】陳康重
【審査官】 松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−106706(JP,A)
【文献】 特開平06−287894(JP,A)
【文献】 特開平02−068400(JP,A)
【文献】 特開2009−161888(JP,A)
【文献】 特開平06−157857(JP,A)
【文献】 特開2008−163285(JP,A)
【文献】 特開2008−063439(JP,A)
【文献】 特開2004−269860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絹雲母粉末100重量部と、ポリ塩化ビニル樹脂を粉砕したもの10〜15重量部と、アクリル系樹脂の粉末1〜15重量部と、を含み、前記絹雲母粉末の平均粒度が4〜10μmであり、前記ポリ塩化ビニル樹脂を粉砕したものの平均粒度が1.3〜2.6μmである壁用粉体塗料組成物。
【請求項2】
芳香成分0.01〜1重量部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の壁用粉体塗料組成物。
【請求項3】
15〜40μmの平均粒度を有する貴陽石粉末20〜30重量部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の壁用粉体塗料組成物。
【請求項4】
増粘剤1〜3重量部と、消泡剤0.5〜1重量部と、分散剤2〜5重量部と、抗菌剤1〜4重量部をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の壁用粉体塗料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は壁用粉体塗料組成物に係り、さらに詳しくは、優れた難燃性(防炎性)及び電磁波遮断効果を有するだけではなく、陰イオン及び遠赤外線を放射し、しかも、湿度調節機能、脱臭機能、抗菌機能を有する壁用粉体塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物を建てるために、コンクリートを打設して内部壁体を設け、前記内部壁体の壁面にセメントのモルタルを塗って仕上げ処理する場合が頻繁である。
【0003】
このようなモルタル塗り仕上げ面には、種々の壁紙が貼られる場合もあるが、種々のペイント(壁用塗料)を直接的に塗装するか、あるいは、木材や樹脂材などからなる2次仕上げ材を用いて最終的に仕上げる場合もある。
【0004】
しかしながら、仕上げ材は主な成分がセメントであるため、これより相当量の毒性が放出され、たとえ壁紙を貼った場合であっても有害成分の放出は防ぐことができない。また、壁紙ではない他の内装材あるいはインテリア材を用いた場合であっても、これらを塗装または設置するときに用いられる合成接着剤、ポリ塩化ビニル(PVC)、樹脂材などから放出される揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds;VOCs)を含む有害ガスはもとより、木材などに棲息する有害虫がその内部空間に住んでいる人間の身体と室内環境にかなりの悪影響を及ぼしているのが現状である。
【0005】
このようなセメントの毒性及び有害ガスは、利用者の目と鼻及び気管支にかなりの危害を加えることはもちろん、各種の皮膚疾患を引き起こすなど、利用者の皮膚にも悪影響を及ぼす原因となり、最近には、これらの現象をシックハウス症候群と呼んでいる。特に、火災が起きた場合、各種の合成素材の仕上げ材によって有毒なガスが大量放出されて多くの人命被害をもたらしてしまう。
【0006】
一方、家庭や事務室の内部には、テレビ、コンピュータ、電子レンジなど種々の電子機器が備置されて多量の電磁波を発生しており、これらが身体に悪影響を及ぼしているということが種々の実験結果により立証されている。
【0007】
上記の有害物質や電磁波から安全な室内環境を作るために種々の機能性壁紙または仕上げ材が開発されている。例えば、最近、黄土を含有する壁紙を貼ったり、有害物質を中和させる中和剤を仕上げ面にコーティングしたりするなどの方法が講じられているが、根本的な問題の解決策にはならない。
【0008】
この理由から、最近には、仕上げ材の毒性及び有害ガスを遮断することができ、電磁波を遮断して火災を遅延させることのできる壁用塗料についての技術が開発されている。
【0009】
例えば、水と天然材料及び天然接着剤を含有する壁用塗料組成物についての技術が開発されている。
【0010】
しかしながら、前記壁用塗料組成物には水が含有されていることから、保存期間が限定されており、所定の期間が経過すれば腐敗する虞がある。また、水の重さに起因して製品の重量及び体積が増大して物流コストが高騰し、これは、製品のコストアップにつながる。なお、製造者や販売業者にとっては保管費などが高騰する。
【0011】
加えて、前記壁用塗料組成物は、製品を購買して一部のみを用いて保管する場合に、完全に密封しなければ水が蒸発し、これにより、製品の粘度などが変わって今後の再使用時に正常な施工を行うことができないという問題点がある。さらに、水をさらに添加して用いるとしても、専門家ではない限り、どれくらいの水を添加すれば良いか見当がつかないという問題点もある。
【0012】
一方、前記壁用塗料組成物は、既定量の水が含まれている状態で市販される場合に、使用に制限が発生する虞がある。より具体的に、施工対象となる壁の性質や材質などが異なるため、ユーザは、薄さなどを異ならせて用いることを余儀なくされるが、既定割合の水のみが含有されているため、使用対象に応じて融通を利かせて水を添加して用いることが困難である。
【0013】
もちろん、水を添加して薄くして用いることはある程度できるとはいえ、この場合、均一に攪拌しなければならないという不都合があり、逆に、濃くして用いたい場合には、所定量の水を除去しなければならないという繁雑さがあるだけではなく、個別ユーザが適正レベルの水の除去方法を探り難いという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】大韓民国登録特許第10−0591932号(2006年06月20日付け公告)
【特許文献2】大韓民国登録特許第10−0552324号(2006年02月21日付け公告)
【特許文献3】大韓民国登録特許第10−0445039号(2004年08月21日付け公告)
【特許文献4】大韓民国公開特許第10−2010−0087847号(2010年08月06日付け公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで、本発明の目的は、長期に亘って流通または保管されても腐敗したり品質の変形が発生したりせず、壁面の材質や性質に応じて薄さなどを異ならせて用いることができる他、難燃性及び電磁波遮断効果が得られる壁用粉体塗料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明の一態様によれば、絹雲母100重量部と、軽量シーラー10〜15重量部と、粉末樹脂1〜15重量部と、を含む壁用粉体塗料組成物を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る壁用粉体塗料組成物は、水が含まれていないことから保存期間が延び、所定の期間が経過しても腐敗する虞がないことから使い勝手及び流通性が向上する。なお、本発明に係る壁用粉体塗料組成物は、重量及び体積が減って物流コストが削減され、しかも、製品の保管費などが削減される。
【0018】
また、本発明によれば、製品を購買して一部のみを用いて保管する場合に、完全に密封しなくても粘度などが変わらないことから再使用可能であり、使用に際して所定の割合で水を混合して用いることから一般人も手軽に用いることができる。
【0019】
さらに、本発明に係る壁用粉体塗料組成物は、防炎性を有していることから火災が起きた場合に壁紙の燃焼を遅延させることができる。これにより、居住者が避難する間に最初の発源地から炎が広がることを遅延させて居住者に対する最小限の安全を保証することができる。
【0020】
さらにまた、本発明に係る壁用粉体塗料組成物は、有機ハロゲン化物などの有害ガスを生じさせる防炎用化学物質の代わりに、天然鉱石物系の防炎物質を用いることから、炎によって燃焼されても有害ガスの発生が極力抑えられる。すなわち、本発明は、有害ガスによる呼吸器損傷などの2次被害を抑止することができる。
【0021】
さらにまた、本発明に係る壁用粉体塗料組成物を含有する壁紙は、人体に有益な陰イオン及び遠赤外線を多量放射するだけではなく、天然素材のみを用いることから人体に有害な有害物質が排出されない結果、衛生的で安全で且つ健やかな生活を営むことができる。
【0022】
これらに加えて、本発明に係る壁用粉体塗料組成物は、室内の湿度調節効果、脱臭効果、抗菌効果、空気浄化効果及び耐久性を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】電磁波遮断効果を測定するための実験条件のレイアウト図である。
図2】電磁波遮断効果を測定するための実験条件のレイアウト写真である。
図3】本発明の一実施形態による壁紙を貼った場合の電磁波遮断効果を示す実験データである。
図4】前記図3の実験データによる電磁波遮断効果を示すグラフである。
図5】本発明の壁紙を剥がした場合の電磁波遮断効果を示す実験データである。
図6】前記図5の実験データによる電磁波遮断効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態による難燃性及び電磁波遮断効果を有する壁用粉体塗料組成物(以下、「壁用粉体塗料組成物」と略称する)について詳述する。
【0025】
本発明の一実施形態による壁用粉体塗料組成物は、絹雲母粉末と、軽量シーラー及び粉末樹脂を含み、選択的に、添加剤及び貴陽石(群馬長石)粉末をさらに含んでいてもよい。
【0026】
これらのそれぞれの成分は、化学的な相互作用により共同で機能を行う。このため、本発明は、特定の機能成分にのみ依存するものではなく、種々の組成の組み合わせとその組み合わせ量に特異性があるといえる。
【0027】
本発明に係る壁用粉体塗料組成物は、絹雲母粉末を含む。
【0028】
本発明に係る壁用粉体塗料組成物の主原料となる絹雲母は、人体の血液循環を促し、且つ細胞を活性化させる遠赤外線を90%以上放射し、しかも、強力な陰イオンを放射して各種の有害物質を吸着する機能を有する物質である。
【0029】
このような絹雲母粉末が水などの溶剤と混合された後に船舶や建築物に塗布されると、前記水が蒸発される乾燥過程を経て壁用粉体塗料組成物から形成された防炎層のほとんどを構成することにより、船舶や建築物に防炎性及び電磁波遮断機能を与える。例えば、水が蒸発された乾燥状態の防炎層に絹雲母が所定レベル未満で含有されると、人体に有用な遠赤外線を放射し、且つ、有害物質を吸着する機能を行うレベルの陰イオンを放射することはできるが、船舶や建築物に防炎性や十分な電磁波遮断効果が与えられなくなる。
【0030】
また、絹雲母粉末としては、粉砕機を用いて絹雲母を4〜10μmの平均粒度に粉砕したものを用いることが好ましい。このような絹雲母粉末の平均粒度が4μm未満であれば、今後水と混合されるときに混合物が正常にゲル化できず、絹雲母粉末の平均粒度が10μmを超えると、絹雲母粉末の粉砕費に比べて壁用粉体塗料組成物の物性が向上しない。
【0031】
さらに、絹雲母粉末としては、 比重が2.6〜2.9のものを用いることが好ましい。
【0032】
本発明に係る壁用粉体塗料組成物は、軽量シーラーを含む。
【0033】
前記軽量シーラーは多孔質であり、壁などに塗布されて被塗面の微細な傷や穴を埋めるために用いる塗料であるので、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂などが使用可能である。
【0034】
一般に、多孔面に塗料を直接的に塗装すると、塗料中の展色剤が吸収されて塗料の耐久性、性能を劣化させる虞があるが、前記軽量シーラーを用いることにより展色剤の吸収が阻止されるとともに、塗膜の貼付力が向上する。
【0035】
また、軽量シーラーは、絹雲母よりも密度が低いため、本発明に係る壁用粉体塗料組成物を長期に亘って保管すると、絹雲母粉末及び軽量シーラーは異なる比重を有するため、結果的に、絹雲母粉末が上昇し、軽量シーラーは下降して不均一な混合物が形成される。
【0036】
このため、このような不均一な混合物が形成されることを防ぐために、前記軽量シーラーは、絹雲母粉末よりも微細に粉砕して用いることが好ましい。具体的に、前記軽量シーラーとしては、1.3〜2.6μmの平均粒度に粉砕されたものを用いることが好ましい。
【0037】
上述したように、このような軽量シーラーの平均粒度が2.6μmを超えると、本発明の壁用粉体塗料組成物を長期に亘って保管する場合に絹雲母粉末が下降し、軽量シーラーが上昇して不均一な混合物が形成される虞がある。なお、軽量シーラーの平均粒度が1.3μm未満であれば、ほとんどが絹雲母粉末と粉末樹脂との間に形成された隙間を通過しうる程度の大きさになるため、本発明の壁用粉体塗料組成物を長期に亘って保管する場合に不均一な混合物が形成される虞がある。
【0038】
加えて、軽量シーラーは、絹雲母粉末100重量部を基準として10〜15重量部が含有される。前記軽量シーラーの含量が10重量部未満であれば、塗布面に形成された微細な溝を埋める機能があまり発揮されず、塗布面にうねりが発生する虞があり、軽量シーラーの含量が15重量部を超えると、軽量シーラーの追加使用に比べて壁用粉体塗料組成物の物性が向上しない。
【0039】
本発明に係る壁用粉体塗料組成物は、粉末樹脂を含む。
【0040】
前記粉末樹脂は、主原料となる絹雲母粉末の粒子同士の結合力を増大させる役割を果たす。また、粉末樹脂は、本発明の壁用粉体塗料組成物を壁紙の原紙や建築物の壁面などに付着させる一方、壁用粉体塗料組成物の衝撃強度及び弾性係数を導き出すために用いられるものであり、絹雲母粉末100重量部を基準として1〜15重量部が含有される。
【0041】
前記粉末樹脂の含量が1重量部未満であれば、接着力が低下して、船舶、建物などの構造物の接着面、特に、鉄板などの金属面のように滑らかな表面を有する船舶、建物などの構造物には円滑に付着せず、粉末樹脂の含量が15重量部を超えると、乾燥後にひび割れが発生する虞がある。
【0042】
このように、バインダー樹脂としてアクリル系樹脂を用いると、人体に有害な揮発性有機化合物(VOCs)の放出がないので、環境にやさしい。
【0043】
より具体的に、前記アクリル系樹脂としては、粘度が5,000〜15,000mPasであり、且つ、せん断力下で粘度が下がり、せん断力がなくなると粘度が上がるチキソ性を維持するものを用いればよい。これは、優れた耐汚染性及び表面質感を得るためには仕上げ材の表面が滑らかであることが好ましいが、粘度が5,000mPas未満であれば、バインダーが構造体にしみ込んだり下地面に沈んだりして仕上げ材の表面にうねりが激しく発生するため好ましくなく、粘度が15,000mPasを超えると、塗布性が悪いため作業を行い難いためである。
【0044】
また、アクリル系樹脂としては、ブチルアクリレート/スチレン重合体を用いることが好ましい。
【0045】
本発明に係る壁用粉体塗料組成物は、貴陽石粉末をさらに含んでいてもよい。
【0046】
一般に、貴陽石は、長石系の石のうち陰イオンを最も多量放射(1秒当たりに24.140ed/cc)する物質であり、遠赤外線の放射率が常温(25℃)下で96%であって、天然鉱石のうち最も高い数値を示しており、多量の遠赤外線を放出して人体の細胞を温めることにより、血流量を約4.9%増大させて血流速度を約7.2%減少させ、新陳代謝を促して細胞を活性化させる。なお、貴陽石は、高い界面活性効果(101%増加)を示し、脳波のうちアルファ波を多量増大させる。
【0047】
本発明に係る壁用粉体塗料組成物に含有される貴陽石粉末は、人体に有益な電流を放射する機能を与えるために用いられるものであり、絹雲母粉末100重量部を基準として20〜30重量部を用いることが好ましい。前記貴陽石粉末の使用量が20重量部未満であれば、遠赤外線の放射効果、血流改善効果が十分に期待し難く、貴陽石粉末は高価であるため30重量部を超えて用いることは経済的な面で好ましくない。
【0048】
また、貴陽石粉末は絹雲母よりも密度が高いため、本発明に係る壁用粉体塗料組成物を長期に亘って保管すると、絹雲母粉末及び貴陽石粉末は異なる比重を有するため、結果的に絹雲母粉末が上昇し、軽量シーラーは下降して不均一な混合物が形成される。
【0049】
このため、このような不均一な混合物が形成されることを防ぐために、前記貴陽石粉末は、絹雲母粉末よりも太く粉砕して用いることが好ましい。具体的に、前記貴陽石粉末としては、15〜40μmの平均粒度に粉砕されたものを用いることが好ましい。
【0050】
このような貴陽石粉末の平均粒度が15μm未満であれば、本発明の壁用粉体塗料組成物を長期に亘って保管する場合に貴陽石粉末が下降し絹雲母粉末が上昇して不均一な混合物が形成される虞がある。なお、貴陽石粉末が40μmを超えると、大きな粒子によって絹雲母粉末、軽量シーラー、粉末樹脂と円滑に混合されない。
【0051】
本発明に係る壁用粉体塗料組成物は、芳香剤粉末をさらに含んでいてもよい。
【0052】
前記芳香剤粉末は、香りを与えてユーザの心身を安定させ、満足感を向上させ、殺菌機能を与えるために組成物に含有されるものであり、その含有量は、絹雲母粉末100重量部を基準として0.01〜1重量部である。
【0053】
このとき、前記芳香剤粉末の使用量が0.01重量部未満であれば、添加効果があまり得られず、前記芳香剤粉末の使用量が1重量部を超えると、芳香機能があまりにも発現され過ぎて一部のユーザに不快感を与える虞がある。
【0054】
前記芳香剤粉末としては、完全に乾燥した松の葉粉末やハブ粉末などが使用可能である。具体的に、松の葉粉末はテルペン系のフィトンチッドが豊富に含有されて陰イオンを放射し、松の香りを提供してユーザの心身を安定させ、しかも、満足感を向上させる。
【0055】
本発明に係る壁用粉体塗料組成物は、添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0056】
前記添加剤は、最終混合物の特性を強化させるために壁用粉体塗料組成物に添加されるものであり、好ましくは、増粘剤、分散剤、消泡剤及び抗菌剤よりなる群から選ばれるいずれか一種以上の混合物を含む。
【0057】
特定の態様によれば、本発明に係る壁用粉体塗料組成物には、絹雲母粉末100重量部を基準として、1〜3重量部の増粘剤、2〜5重量部の分散剤、0.5〜1重量部の消泡剤、1〜4重量部の抗菌剤、または、これらの混合物よりなる添加剤が含有されていてもよい。
【0058】
具体的に、前記増粘剤は、壁用粉体塗料組成物の粘性を増大させるために用いられるものであり、澱粉、または、親水性粘土ゲル化剤を用いることが好ましい。前記増粘剤の含量が1重量部未満であれば、壁用粉体塗料組成物の粘性が低下し、増粘剤の含量が3重量部を超えると、壁用粉体塗料組成物の粘度が増大されて均一な塗布が困難になる。
【0059】
前記分散剤は、組成物の分散を促し、且つ、絹雲母粉末と粉末樹脂との分離現象を抑えるものであり、アクリル酸共重合体ナトリウム塩(acrylic acid copolymer sodium salt)、カルボン酸エーテル、芳香族アミノスルホン酸、ポリアルキルアリールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸が使用可能であり、好ましくは、アクリル酸共重合体ナトリウム塩を用いる。前記分散剤の含量が2重量部未満であれば、分散能が低下して均一な組成物の製造が困難になり、分散剤の含量が5重量部を超えると、分散速度が速くなって品質が低下する虞がある。
【0060】
前記消泡剤は、壁用粉体塗料組成物の表面張力を下げて泡を消す機能をするものであり、有機系消泡剤を用いることが好ましい。なお、消泡剤の含量が0.5重量部未満であれば、泡が形成されて均一な塗布が困難になり、消泡剤の含量が1重量部を超えると、使用量に比べてこれといった効果が得られなくなる。
【0061】
前記抗菌剤としては、プロポリス、フィトンチッドエキスまたはこれらの混合物が使用可能である。これらの成分は、より快適な環境を作るために、カビの防止はもちろん、生活環境による悪臭を緩和させるのに重要な役割を果たす。なお、抗菌剤の含量が1重量部未満であれば、壁用粉体塗料組成物の抗菌力が低下し、抗菌剤粉末の含量が4重量部を超えると、壁用粉体塗料組成物の機械的な物性が低下するだけではなく、コスト高となる。
【0062】
一般に、水が含まれていない壁用粉体塗料組成物は、ほとんど長時間の流通期間を有するため比重が高いか、あるいは、粒子が細かい成分は下降して各成分が均一に混合されなかった。
【0063】
同じ観点から、本発明の壁用粉体塗料組成物も粉末状に流通され、所定の割合の水と混合して用いるものであるため、局部的にその混合割合が異なると、本然の機能が発揮されない。
【0064】
しかしながら、本発明の壁用粉体塗料組成物は、絹雲母粉末と、軽量シーラー及び貴陽石粉末がその比重に応じて異なる平均粒度を有するように構成されるので、長時間流通されたり、所定時間が経過した後に再使用されたりしても各成分が均一に混合された状態を維持する。
【0065】
以下、本発明を好適な実施例を挙げて詳述説明する。但し、下記の実施例は、本発明を具体的に例示するためのものであり、本発明がこれに限定されることはない。
【0066】
〔実施例〕
1.絹雲母粉末1,000g、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂140g、アクリル樹脂[ACRONAL296D、バスフ社製、ドイツ]100g、増粘剤20g、抗菌剤25g、分散剤[SOKALANPA30、バスフ社製、ドイツ]35g、消泡剤5gを反応機に投入し、これらを30分間800rpmにて攪拌して粉末状態の壁用塗料組成物を形成した。
【0067】
2.前記粉末状態の壁用塗料組成物と水675gとをよく混合して均一で且つ粘性のある2kgの壁用塗料組成物を得た。
【0068】
〔比較例〕
貴陽石パウダー1,350gと、絹雲母パウダー900gと、上層部に沈んだ細かい粒子を有する黄土150g及び小麦粉600gを入れ、水とよく混合して均一で且つ粘性のある3kgの組成物を得、これを壁用塗料組成物として用いた。
【0069】
〔実験例1〕防炎実験
前記実施例に従い製造された壁用粉体塗料組成物及び比較例に従い製造された壁用塗料組成物を用いて、防炎性能実験を行った。このとき、各壁用塗料組成物は、壁紙の原紙の表面に0.3mmの厚さで塗布した後、自然乾燥させて用いた。
【0070】
防炎実験は、通常の防炎性能実験方法であるKOFEIS1001に基づいて行い、その結果を表1及び表2に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
前記表1及び表2によれば、本発明の壁用粉体塗料組成物を含有する壁紙が卓越した防炎機能を有するということが分かる。
【0074】
〔実験例2〕電磁波遮断実験
前記実施例に従い製造された壁紙の電磁波遮断性能を測定するために、下記の方法により実験を行った。
【0075】
図1は、電磁波遮断効果を測定するための実験条件のレイアウト図である。
【0076】
図1によれば、モニター、コンピュータ、キーボード及びマウスを木製テーブルの上に配置し、電源AC220V-60Hzを供給した後、このテーブルを3方向から囲繞するように本発明に係る壁紙付き壁体を配設した。
【0077】
図2は、電磁波遮断効果を測定するための実験条件の実際のレイアウト写真である。
【0078】
このような条件下で周波数及び電界強度(レベル)を測定し、この結果を図3の実験データにより示す。図4は、前記図3の実験データによる電磁波遮断効果を示すグラフである。
【0079】
一方、比較のために、同じ条件下で、前記本発明に係る壁紙付き壁体を剥がし、周波数及び電界強度(レベル)を測定した。図5は、本発明の壁紙を剥がした場合の電磁波遮断効果を示す実験データであり、図6は、前記図5の実験データによる電磁波遮断効果を示すグラフである。
【0080】
前記図3から図6によれば、本発明に係る壁用粉体塗料組成物を用いた場合に、電磁波減少効果があるということが分かり、これにより、電磁波を遮断または減少させて人体への悪影響を減らすという効果を期待することができる。
【0081】
以上、本発明に係る壁用粉体塗料組成物について本発明の好適な実施形態を参照して説明したが、当該技術分野における当業者であれば、下記の特許請求の範囲に記載の本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内において本発明を種々に修正及び変形することができるということが理解できるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6