特許第5718964号(P5718964)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルベ エレクトロメディジン ゲーエムベーハーの特許一覧

特許5718964医療装置または機器のためのプラグ・ソケットコネクタ部
<>
  • 特許5718964-医療装置または機器のためのプラグ・ソケットコネクタ部 図000002
  • 特許5718964-医療装置または機器のためのプラグ・ソケットコネクタ部 図000003
  • 特許5718964-医療装置または機器のためのプラグ・ソケットコネクタ部 図000004
  • 特許5718964-医療装置または機器のためのプラグ・ソケットコネクタ部 図000005
  • 特許5718964-医療装置または機器のためのプラグ・ソケットコネクタ部 図000006
  • 特許5718964-医療装置または機器のためのプラグ・ソケットコネクタ部 図000007
  • 特許5718964-医療装置または機器のためのプラグ・ソケットコネクタ部 図000008
  • 特許5718964-医療装置または機器のためのプラグ・ソケットコネクタ部 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5718964
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】医療装置または機器のためのプラグ・ソケットコネクタ部
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/11 20060101AFI20150423BHJP
【FI】
   H01R13/11 302Z
   H01R13/11 B
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-62375(P2013-62375)
(22)【出願日】2013年3月25日
(65)【公開番号】特開2013-201129(P2013-201129A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2013年7月8日
(31)【優先権主張番号】12161065.3
(32)【優先日】2012年3月23日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】592245823
【氏名又は名称】エルベ エレクトロメディジン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Erbe Elektromedizin GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一
(72)【発明者】
【氏名】ステファン グロース
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表平06−510624(JP,A)
【文献】 実開平03−013670(JP,U)
【文献】 特開昭62−188185(JP,A)
【文献】 特開昭47−016985(JP,A)
【文献】 特開昭58−048374(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置(10)または外科機器(11)用のプラグ(16)の形態をした、プラグ・ソケットコネクタ部(15、17)であって、
プラグピン(27)として構成された少なくとも1つの流体コネクタ要素(24)と、雌型コネクタ(45)として構成された少なくとも1つの流体コネクタ要素(33)と、を備え、
前記プラグピン(27)は、前記プラグピン(27)に備えられた開口(56)と連通する少なくとも1つの流体通路(30)と、前記プラグピン(27)に備えられた電気接触構造(48)と、を備え、
前記雌型コネクタ(45)は、前記雌型コネクタ(45)に備えられた開口(55)と連通する少なくとも1つの流体通路(36)と、前記雌型コネクタに備えられた電気接触構造(51)と、を備え、
前記プラグピン(27)及び前記雌型コネクタ(45)の流体通路(30、36)はそれぞれ、前記開口(55、56)に隣接して、前記プラグピン(27)及び前記雌型コネクタ(45)の軸方向を横切る方向に延びる部分を有し、
前記流体コネクタ要素(24)が前記流体コネクタ要素(33)と接続されるときは、前記プラグピンの流体通路(30)と前記雌型コネクタの流体通路(36)が連通する、プラグ・ソケットコネクタ構造
【請求項2】
前記電気接触構造(48、51)および前記流体コネクタ要素(24、33)は互いに共軸となるように配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のプラグ・ソケットコネクタ構造。
【請求項3】
前記電気接触構造(48、51)および前記流体コネクタ要素(24、33)は互いに電気的に接続されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプラグ・ソケットコネクタ構造。
【請求項4】
前記電気接触構造(48、51)および前記流体コネクタ要素(24、33)は互いに電気的に絶縁されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプラグ・ソケットコネクタ構造。
【請求項5】
電気配線(39、42)が前記電気接触構造(48、51)及び/又は前記流体コネクタ要素(24、33)に接続されていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のプラグ・ソケットコネクタ構造。
【請求項6】
前記電気接触構造(48、51)は単極であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のプラグ・ソケットコネクタ構造。
【請求項7】
前記電気接触構造(51)は雌型接触コネクタ(52)であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のプラグ・ソケットコネクタ構造。
【請求項8】
前記雌型接触コネクタ(52)は少なくとも1つのばね接触部(53)を備えることを特徴とする、請求項7に記載のプラグ・ソケットコネクタ構造。
【請求項9】
前記電気接触構造(48)は軸方向を向いた接触面であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のプラグ・ソケットコネクタ構造。
【請求項10】
前記電気接触構造(48、51)は接触ピン(49、60)であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のプラグ・ソケットコネクタ構造。
【請求項11】
前記接触ピン(49、60)は固くまたは弾性的に支持されていることを特徴とする、請求項10に記載のプラグ・ソケットコネクタ構造。
【請求項12】
前記プラグピンの開口(56)の上流と下流にガスケット(57、58)が配置されていることを特徴とする、請求項11に記載のプラグ・ソケットコネクタ構造。
【請求項13】
前記流体コネクタ要素(24、33)が接続される場合には、前記電気接触構造(48、51)は、前記流体コネクタ要素(24、33)に対して、下流側で接触するように、また、前記流体コネクタ要素が開放される場合には、上流側で電気的に開放するように構成されていることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載のプラグ・ソケットコネクタ構造。
【請求項14】
前記流体コネクタ要素(24)が前記流体コネクタ要素(33)と接続されるときは、前記プラグピンの流体通路(30)と前記雌型コネクタの流体通路(36)が連通して密閉された接続が確立された後で、前記電気接触構造(48、51)が電気的に接続される、請求項1〜13のいずれか1項に記載のプラグ・ソケットコネクタ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療装置または医療機器用のプラグ・ソケットコネクタ部に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機器の中には、少なくとも1つの電気信号とともに、少なくとも1つの流体の供給を必要とするように設計されたものがある。流体は、気体、超臨界状態の流体、エアロゾル、またはそれらを組み合わせたものであってよい。電気信号は、例えばスイッチ信号、ビット列などの情報を搬送する信号、または生体組織に効果を及ぼすRF電圧やRF電流などの電力信号であってよい。
【0003】
独国特許出願公開第69126721(T2)号明細書には、流体と共に電気の供給を必要とする医療機器の例が開示されている。この機器には可撓性接続ホースが備えられ、それが最初に電気プラグに繋がり、そこから流体接続部に繋がっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第69126721(T2)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、流体媒体並びに電気信号を簡単かつ安全に搬送可能なプラグ・ソケットコネクタシステムを構成するために配置されるプラグ・ソケットコネクタ部を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に記載のプラグ・ソケットコネクタ部、及び/又は請求項2に記載のプラグ・ソケットコネクタ部により達成される。
【0007】
請求項1に記載のプラグ・ソケットコネクタ部はプラグであり、請求項2に記載のプラグ・ソケットコネクタ部はソケットである。プラグ・ソケットコネクタ部は、雄型コネクタの場合にはプラグピンとして構成され、雌型コネクタの場合にはソケットとして構成される少なくとも1つの流体コネクタ要素を備える。プラグピンは、金属または例えばプラスチック材料などの他の材料から成る任意の横長の部品であって、円形または例えば多角形などの非円形の断面を持ち、本質的に真直ぐまたは細長い部品であってよい。雌型コネクタは、少なくとも片側が開放されていてそこにプラグピンの挿入が可能な、横長の収納空間を取り囲む任意の要素であってよいことが理解されるであろう。収納空間は、円形、または例えば多角形などの非円形の断面をしている。好ましくは、収納空間は直線的であり、その断面が長さ方向に不変である。すなわち例えば円筒形となっている。
【0008】
プラグ・ソケットコネクタ部は、そのプラグ・ソケットコネクタ部の開口に連通する、少なくとも1つの流体通路を備えている。開口は、例えば流体、気体、超臨界流体、エアロゾル、煙などのような流体媒体を供給または除去するために配置される。流体供給ライン及び/又は流体除去ラインが流体通路に接続される。
【0009】
さらに、本発明によるプラグ・ソケットコネクタ部は、電気接触構造を備えている。この構造は、流体コネクタ要素の一端、すなわちプラグピンの場合にはその要素の自由端上に、また雌型コネクタの場合にはその内側端部または底部に配置されることが望ましい。この基本的なコネクタに関しては、嵌合する2つのコネクタ部品の一組で、電流と共に流体媒体を流すことに成功している。流体は、電流と同様に電気接触構造をもつ流体コネクタ上を直接搬送される。従って、1つまたは複数の上記の結合コネクタ要素を使用すれば、前述の構成のプラグまたはソケットにおいては、流体コネクタ接点以外に電気接点を必要としない。こうして、接触の緩みとか、その他の信頼性のない接触を簡単に排除することができる。同様に、このようにして比較的細身で使いやすいプラグを設計することが可能である。
【0010】
好適な実施形態において、電気接触構造とプラグ要素とは相互に共軸となるように配置される。その結果、プラグ・ソケットコネクタ部のそれぞれを連結することが特に容易となる。プラグのプラグピンは、雌型コネクタであるソケットの中で半径方向に案内することが可能であり、この案内によりプラグとソケットの接触構造の連結が促進される。結果として、敏感な電気接点が注意して取り扱われる。不適切な取り扱いで損傷させるという危険性がなく、製造公差を厳しくすることができる。双方の流体コネクタ要素は、2つの電気接触構造に対して直線的なガイド構造を成している。
【0011】
電気接触構造は、特定の実施形態に拘らず、単極または多極の実施形態として構成されてもよい。例えば、単極のコンタクトピンとして構成されてもよい。またはそれに代わって、非電導性のピンで構成され、その表面に相互に絶縁され軸と平行になった、いくつかの円周方向に離間した接触片を有する多極プラグピンを形成してもよい。
それに対応して接触構造は、雌型の接触コネクタとして構成される場合には、少なくともその内側が導電性を有する単極の雌型コネクタとして構成されてもよいし、あるいは、円周方向に離間したいくつかの軸方向に延びる接点を備える非導電性の雌型コネクタとして構成されてもよい。
【0012】
電気接触構造及びプラグ要素は、プラグ・ソケットコネクタ構造のその他の設計に関わりなく相互に電気接続していることが望ましい。その結果として、プラグ要素そのものが電気導体として利用されてもよい。こうして、設計の単純化が進められ、配線の引き回しが容易となる。
【0013】
もしくは、プラグ・ソケットコネクタ構造のその他の設計とは無関係に、電気接触構造とプラグ要素とを互いに電気的に絶縁されるように配置することも可能である。良好な絶縁を必要とする高電圧が利用される際に、偶発的な接触に対して必要な保護を設けるために、このことが役に立つ。
【0014】
接触構造をプラグ要素から電気的に分離すれば、例えば情報を搬送する電気情報の伝送、及びノイズ耐性などの観点から他の利点も得られる可能性がある。
【0015】
電気配線を接触構造に直接及び/又はプラグ要素を介して接続することが可能である。配線を電気接触構造に直接接続することは、プラグ要素そのものが導電性でない場合には特に有効である。このほかに、プラグ・ソケットコネクタ構造の他のいかなる条件とも無関係に、2つの選択肢が利用可能である。
【0016】
電気接触構造が雌型接触コネクタとして構成されている場合、そのコネクタは剛体であってもよいし、あるいは1つまたは複数のばね接点でできていてもよい。これに応じて接触ピンは、1つまたは複数のばね接点あるいはその代わりに剛体であってもよい。結果として、雌型接点コネクタ及び接触ピンとして構成される2つの接触構造の間で、好ましくは少なくとも1つがばね接点となっていることが効果的である。自己芯出し型のばね接触構造が望ましく、その構造は、接触ピン及び/又は雌型接触コネクタの外周に沿って少なくとも2つ、好ましくは3つ以上のばね接点を備えることが望ましい。
【0017】
これとは別に、電気接触構造は軸方向の接触面を備えていてもよい。この接触面は、雌型接触コネクタの例えば底部に、あるいは軸方向接触ピンの例えば前面に設けられていてもよい。接触面は、大小の曲率を持つ平坦面または曲面、あるいは尖った先端、などであってもよい。この接触面が軸方向に配向するということは、この面が基本的に、雌型接触コネクタ及び/又は接触ピンの軸方向を横切る方向を向いているということであることが理解される。その際、プラグピンと雌型コネクタが相互に係合する方向、または係合から外れる方向が軸方向である。
【0018】
接触ピンは固く(rigidly)、または弾性的に支持されてよい。弾性的に支持される場合、このピンは好ましくは軸方向に弾性的に支持されて、例えばその前面が対応する雌型接触コネクタの接触面に達するようになっている。好ましくは、接触ピンはプレテンションのかかった状態でプラグ要素内に保持される。プレテンションはばねによってもたらされてもよい。プレテンションを掛けることにより、電気接触面上の接触圧力を狭い範囲内に調節することも可能である。
【0019】
流体通路は開口に向かって延びている。ここで、開口に連通するこの通路は、プラグ要素の軸方向を横切る方向に延びていることが望ましい。好ましくは、軸方向の、開口の上流側と下流側の両方にガスケットが配置される。そうすることで、プラグ・ソケット接続の高圧耐性が実現可能となる。好適なガスケットは、Oリングまたは他の密封部材である。
【0020】
プラグ・ソケットコネクタ構造の有利な実施形態は、図面から推察することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】関連するプラグ・ソケットコネクタを持つ医療装置及び医療機器の模式図である。
図2】医療装置から医療機器へ繋がるラインの詳細を示す模式的な断面斜視図である。
図3図1によるプラグ・ソケットコネクタの分離した状態を一部模式化した側面図である。
図4】電気接触と流体接続とを行うプラグ・ソケットコネクタ構造の接続された状態の断面模式図である。
図5】電気接触と流体接続とを行うプラグ・ソケットコネクタ構造の接続された状態の断面模式図である。
図6】電気接触と流体接続とを行うプラグ・ソケットコネクタ構造の接続された状態の断面模式図である。
図7】電気接触と流体接続とを行うプラグ・ソケットコネクタ構造の接続された状態の断面模式図である。
図8】電気接触と流体接続とを行うプラグ・ソケットコネクタ構造の変形実施形態の接続された状態を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は外科機器11への供給用に配置された医療装置10を示している。外科機器には把持部12があり、患者に接触させる部分13を誘導及び/又は制御するために使用される。把持部12はライン14を介して装置10に接続され、このライン14を通して、電圧及び/又は電流とともに、部分13へ供給する所望の流体媒体を搬送することができる。その際、ライン14は把持部12をプラグ16として構成されているプラグ・ソケットコネクタ部15へ接続する。このプラグ・ソケットコネクタ部15は、装置10の側ではソケット18として構成されているもう1つのプラグ・ソケットコネクタ部17へ結合される。プラグ・ソケットコネクタ部15、17が一緒になって、流体媒体の移送並びに電気信号の移送のためのコネクタ装置を形成する。それは電力信号、情報搬送信号、またはその混合形態であってよい。図2はライン14を示しており、これには被覆カバー19、1つまたは複数のチューブまたはホース20、21、22、及び/又は1つまたは複数の電気的に露出または絶縁された配線23が含まれている。
【0023】
図3は、プラグ・ソケットコネクタ部15、17を分離して示している。プラグ・ソケットコネクタ部15で特に明確なことは、これは複合されたプラグ・ソケットコネクタ部品であって、例えばここではプラグピン27〜29として図示されている流体コネクタ要素24、25、26を少なくとも1つ、好ましくはいくつか備えている。プラグピン27〜29の少なくとも1つは、流体接続と共に電気接続も行う複合プラグピンである。図に示すように、流体コネクタ要素24〜26は、横方向に間隔を置いて互いに平行に配置されていてもよい。その際、これらは等間隔または可変間隔で直線状または曲線状に配置されて、例えば、プラグ・ソケット部分15がプラグ・ソケットコネクタ部分17に1つの選択位置においてのみ結合可能であるようになっていてもよい。
【0024】
流体コネクタ要素24〜26は、少なくとも1つの流体通路30、32を備えているか、あるいは図3の流体コネクタ要素25の例に示すようにいくつかの流体通路31、31aを備えている。ただし、流体コネクタ要素24〜26の全てがそれぞれ1つだけの流体通路を備えていることも可能である。更には、個々の流体コネクタ要素は流体通路を持っていなくてもよいし、あるいは2つより多い通路を備えていてもよい。これらの流体コネクタ要素同士を任意に組み合わせることも可能である。
【0025】
図3において、プラグ・ソケットコネクタ部15の流体コネクタ要素24〜26は、プラグ・ソケットコネクタ部17のソケット型の流体コネクタ要素33〜35に割り当てられている。この流体コネクタ要素33〜35は破線で示されており、その位置、横方向の相互の間隔、並びにその他の配置は流体コネクタ要素24〜26の配置に対応している。流体コネクタ要素33〜35の内の少なくとも1つ、好ましくは2つ以上またはすべてが、流体通路36、37、37a、38と連通する。さらに、流体コネクタ要素33〜35の内の少なくとも1つ、好ましくは2つ以上またはすべてが、電気配線39、40及び/又は41に接続されている。従って、プラグ・ソケットコネクタ部15は、1つまたは2つ以上の流体コネクタ要素24〜26に接続された少なくとも1つ、好ましくは2つまたはいくつかの電気配線42、43、44を備えている。
【0026】
次に図4は、図3の流体コネクタ要素24とそれに結合する流体コネクタ要素33の可能な一実施形態を示す。
【0027】
図4に示す流体コネクタ要素24、33もまたプラグピン27と雌型コネクタ45を備えている。同じように図3から、流体コネクタ要素34と35は雌型コネクタ46、47となる。
【0028】
明らかであるが、好ましくはほぼ円筒体で構成されている流体コネクタ要素24は、その前端に電気接触構造48を備えている。この接触構造は、例えば接触ピン49である。好ましくは、接触ピン49は流体コネクタ要素24と共軸に配置されている。これは図4において共通軸50によって示されている。軸50は、コネクタ要素24の軸方向で、コネクタ要素24、33を差し込んで合体したり、引き抜いて分離する方向に平行になっている。
【0029】
図に示すように、接触ピン49は円筒形のピンとして構成されてもよいし、あるいはそれとは違う、例えば触覚的な係合効果を実現するために、例えばきのこ型の先端であったり、樽型などであったりしてもよい。
【0030】
好ましくは、接触ピン49は、プラグピン27よりも実質的に小さな直径を有する。ただし、接触ピン49はプラグピン27と同じ直径であってもよいことを指摘しておく。さらに、接触ピン49は、その直径に拘らず、プラグピン27の一部であってよい。すなわちこのプラグピンに継ぎ目なしで一体接続されていてもよい。また、別要素として製造されてプラグピン27に取り付けられてもよい。
【0031】
例えば接触ピン49の実施形態において、接触構造48は好ましくは金属製であるか少なくとも表面の一部が金属化されている。このように形成された電導面が配線42と電気接触する。プラグピン27そのものが金属で構成されていて、配線42と接触ピン49との間の電気接触を確立してもよい。プラグピン27を例えばプラスチック材料などの非電導性材料で形成して、特に図示されていないがプラグピン27の軸方向溝を貫通して電気配線42を接触ピン49まで通して、それによって導通を取る、ということも可能である。配線42はプラグピン27本体を、絶縁された形または裸の形で貫通していてもよく、このプラグピンがプラスチック材料でできていればその中に埋め込まれてもよい。
【0032】
プラグ側の接触構造48はソケット側の接触構造51に結合し、その接触構造51は雌型コネクタ45すなわち流体コネクタ要素33の内側端部に配置される。接触構造51は雌型接触コネクタ52として構成され、その中に接触ピン49が差し込まれてもよい。雌型接触コネクタ52は金属または他の任意の導電性材料でできていてよい。例えば円筒形のその内側において、2つまたはそれより多い接触手段53、54が配置され、その2つの端部が雌型接触コネクタ52の内壁に当接し、接触ピン49の方向に張り出してそのピンと弾性的な接触をする。雌型接触コネクタ52は電気配線39に電気的に接続する。雌型接触コネクタ52を非電導性材料で作り、配線39を別の方法で接続手段53、54に接続することも可能である。
【0033】
図から分かるように、流体通路36は基本的に半径方向に向かって雌型プラグコネクタ45内の開口55に達する。開口56は軸方向の同一または類似の位置に設けられ、この開口が、半径方向に延びているか、さもなければ軸50を横切る方向に延びている流体通路30の部分に達する。軸方向に見ると、ガスケット57、58が、開口56並びに(プラグピン27が差し込まれた状態で)開口55の上流と下流のプラグピン27上に設けられている。これらは例えば対応する環状溝内に据え付けられたOリング57、58であってよく、このガスケットは、流体通路30、36に連通する流体密封された中間空間59を画定する。
【0034】
2つのプラグ・ソケットコネクタ部15、17から成るプラグ・ソケットコネクタは、次のように作用する。
【0035】
プラグ16は手動でソケット18に差し込まれたり、引き抜かれたりする。例えば、プラグ16は、プラグピン27〜29の軸50により画定される軸の方向に、ソケット18の中に差し込まれたり、ソケットから引き抜かれたりする。プラグピン27〜29が雌型コネクタ45〜47に差し込まれる場合、このピンはソケットの適所に入る。その際、Oリング57、58、または他の任意のガスケットがソケット45〜47の内壁に沿って滑って行く。そのとき、プラグピン27〜29の自由端に近い位置にあるOリング57は開口55を越えて移動し、もう1つのOリング58はその開口に到達しない。差し込み運動が終わる直前に、好ましくは開口55が既に2つのOリング57、58の間にあるときに、接触構造48が接触構造51と動作可能に接触する。一般的な用語で表現したが、これは、流体コネクタ要素24が流体コネクタ要素33の中に差し込まれる際に、流体通路30、36の間で外に対して密閉された確かな流体接続が確立された後になって初めて、接触構造48、51の間に電気接触が確立されるということを意味している。このように、差し込む場合には、電気接触接続は後で生じる下流側にあり、引き抜く場合にはこの接触接続は上流側で既に生じている。その結果、電気接触は、同時に、流体コネクタ接続が正しく確立されたことを示す指標として作用する。このように、特に高圧に曝される場合において、ガスの漏洩が排除される。
【0036】
任意の流体を流体通路30、36を通して、高速及び/又は高圧で搬送することができる。情報または電力を伝達するために、接触構造48、51を介して電気信号を送ることが可能である。
【0037】
以上述べたプラグ・ソケットコネクタ部15、17及びその部品の実施形態に関して様々な変形が可能であり、その場合、変形はコネクタ要素24〜26、及び33〜35の単一要素または全要素に対して加えることが可能である。
【0038】
例えば図5に示すように、電気接触ピン49と雌型接触コネクタ51の流体コネクタ要素24、33への割り当ては逆にすることが可能である。ここでは、接触ピン49は雌型コネクタ45の底部に配置され、一方、接触構造51とその雌型接触コネクタ52は、流体コネクタ要素24すなわちプラグピン27の前面側の窪みの中に配置される。
【0039】
更なる変形も可能であり、これらはこれまでの説明に基づいて図6に示されている。同じ設計または機能を有する部品は、新たな説明なしに同一の参照符合で識別される。この場合、例えばプラグピン27の平面または異なる形状の前面がプラグ側の接触構造48として作用する。ここで、雌型コネクタ側の接触構造51は接触ピン60であって、軸50に沿って軸方向に可動なように支持することが可能であり、また、例えばばね61などの手段によってプラグピン27に向かってプレテンションが掛けられてもよい。好ましくは接触ピン60は基本的に円筒形である。その直径は、プラグピン27の直径より小さいか、同じか、またはそれより大きくてよい。好ましくは、接触するようになっている接触ピン60の前面は、平坦あるいは曲面である。ばね61は配線39と接触ピン60との間の電気接触を確立することができる。配線39は接触ピン60に直接接続されていてもよい。
【0040】
図7に示すように、流体コネクタ要素24、33への2つの接触構造48、51の割り当てを逆にすることも可能である。この場合、電気接触が特に簡単となる。配線39は流体コネクタ要素33の本体へ接続することが可能であり、接触ピン60は好ましくはプラグピン27の電気伝導体内に配置されるかまたは手段61によってそこに接触している。ここでも配線42はプラグピン27に接続されている。
【0041】
特に、最低限の加圧しかなされていないか、真空に曝されている流体の移送に関して、プラグピン27〜29の前面側で終端となる流体通路30〜32を利用することも可能である。このことはすべての実施形態に当てはまる。そうすると、密閉するためには単一のガスケット、例えばOリング57で充分である。
【0042】
図8はそのような実施形態の一例である。これまでに用いた参照符合に基づいて、これまでの説明を参照する。図示したように、段差の付いた、または段差のないプラグピン27を利用することが可能である。例えば一端または両端で当接する1つまたは複数のばね接点として構成された接触手段53、54が、好ましくは雌型コネクタ45の開放端近くに配置される。好ましくはガスケット57がプラグピン27の遠位端に配置され、この遠位端がプラグピン27の他の部分の直径よりも好ましくは少なくとも小さい直径を有する。部品が差し込まれている場合、流体接触点は好ましくは下流であり、電気接触点が上流である。その一方で、部品が引き抜かれている場合、この構造は逆の順番に作用する。
【0043】
特に医療技術において利用される本発明によるプラグ・ソケットコネクタシステムは、プラグ16とソケット18を備え、この2つのそれぞれは少なくとも1つの流体コネクタ要素24、33を備えている。流体コネクタ要素24、33は電気接触構造48、51を備え、従って省スペースで強固かつ安全なシステムが提供される。
【符号の説明】
【0044】
10 医療装置
11 外科機器
12 グリップ部
13 部分
14 ライン
15 プラグ・ソケットコネクタ部
16 プラグ
17 プラグ・ソケットコネクタ部
18 ソケット
19 被覆カバー
20−22 チューブ、ホース
23 電気配線
24−26 流体コネクタ要素
27−29 プラグピン
30−32 流体通路(31a)
33−35 流体コネクタ要素
36−38 流体通路(37a)
39−44 電気配線
45−47 雌型コネクタ
48 接触構造
49 接触ピン
50 軸
51 接触構造
52 雌型接触コネクタ
53,54 接触手段
55,56 開口
57,58 ガスケット
59 中間空間
60 接触ピン
61 手段、ばね
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8