特許第5718980号(P5718980)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5718980ファンモータ、直列型ファンモータおよびその組立方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5718980
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】ファンモータ、直列型ファンモータおよびその組立方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20150423BHJP
   F04D 29/00 20060101ALI20150423BHJP
   F04D 29/52 20060101ALI20150423BHJP
   F04D 29/64 20060101ALI20150423BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   H02K5/22
   F04D29/00 B
   F04D29/52 D
   F04D29/64 C
   F04D29/52 B
   H02K7/14 A
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-118075(P2013-118075)
(22)【出願日】2013年6月4日
(65)【公開番号】特開2014-236630(P2014-236630A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2013年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000180025
【氏名又は名称】山洋電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】石原 勝充
(72)【発明者】
【氏名】野村 正志
(72)【発明者】
【氏名】林 智子
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−322973(JP,A)
【文献】 特開2005−192357(JP,A)
【文献】 特開2012−026291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/22
F04D 29/00
F04D 29/52
F04D 29/64
H02K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻線が巻回されたステータと、永久磁石を有するロータと、該ロータに固定され、複数の動翼を有する羽根車と、を備え、
前記巻線を接続するための回路基板のハーネス接続用のランド上に、該ランドの高さを底上げするための導電性を有するブロック部品を実装し
フレーム内に前記回路基板を組み込んだ状態で、該回路基板に実装された前記ブロック部品にハーネスのリード線が半田付けされることを特徴とするファンモータ。
【請求項2】
請求項1に記載の複数のファンモータが、回転モータの回転軸の軸方向に直列接続されていることを特徴とする直列型ファンモータ。
【請求項3】
少なくとも、吸気側に配置されたファンモータの吐出口に静翼が備えられていることを特徴とする請求項2に記載の直列型ファンモータ。
【請求項4】
回転モータの回転軸方向に、複数のファンモータを直列接続して組み立てられる直列型ファンモータの組立方法であって、
回路基板に導電性を有するブロック部品を実装する手順と、
前記回路基板とステータとを一体化する手順と、
フレーム内に前記回路基板付きステータを組み込む手順と、
前記フレーム内に前記回路基板を組み込んだ状態で、前記回路基板の前記ブロック部品にハーネスのリード線を半田付けする手順と、
前記ハーネスを取り付けた複数のファンモータを直列組立する手順と、
を有することを特徴とする直列型ファンモータの組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の動翼を有する羽根車に回転モータが内蔵されたファンモータ、並びに回転モータの回転軸方向に複数のファンモータを直列に配した直列型ファンモータおよびその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ファンモータは、回転駆動装置としての回転モータ、当該回転モータの回転軸に取り付けられた複数の動翼を有する羽根車、当該羽根車とともに軸流を形成する円筒体状のベンチュリケーシングを備える。
【0003】
軸流ファンモータは、一般に風量が大きく、静圧が小さいという送風特性を有する。軸流ファンモータの送風特性を改良するため、回転モータの回転軸方向に複数の軸流ファンモータを直列に配した直列型ファンモータが種々提案されている。
【0004】
直列型ファンモータに関する技術として、気流方向に対して上流側から、第1の軸流ファンと第1の整流格子と第2の軸流ファンと第2の整流格子が置かれた直列使用の軸流ファンが開示されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−26291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ファンモータのフレーム内には、回路基板が配設されている。回路基板には、ファンモータを制御するための配線パターンが形成されている。回路基板のランドには、外部電源を接続するためのワイヤハーネスのリード線が半田付けされる。
【0007】
回路基板は、フレーム表面より奥まった位置に存在することが多い。したがって、特にフレーム内径の小さい小型ファンモータの場合、フレーム内に回路基板を組み込んだ状態で、当該回路基板のランドにリード線を半田付けするのは困難を極める。
【0008】
小型の直列型ファンモータの場合には、各ファンモータのフレーム外で回路基板のランドにリード線を半田付けした後に、当該回路基板を各ファンモータのフレーム内に組み込み、複数のファンモータの直列組立を行っていた。
【0009】
また、ワイヤハーネスのリード線の長さが短い場合には、リード線の取り回しが困難で、コネクタからリード線を取り外して、回路基板に半田付けした後に、当該回路基板を各ファンモータのフレーム内に組み込み、複数のファンモータの直列組立を行っていた。
【0010】
したがって、従来は直列型ファンモータの組立工程が多くなり、直列型ファンモータの製造コストが増大していた。
【0011】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、直列型ファンモータの組立工程を削減して、直列型ファンモータを低コストで製造できるファンモータ、直列型ファンモータおよびその組立方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明に係るファンモータは、巻線が巻回されたステータと、永久磁石を有するロータと、該ロータに固定され、複数の動翼を有する羽根車と、を備える。
【0013】
上記巻線を接続するための回路基板のハーネス接続用のランド上に、該ランドの高さを底上げするための導電性を有するブロック部品を実装している。
【0014】
また、本発明に係る直列型ファンモータは、上記に記載の複数のファンモータが、回転モータの回転軸の軸方向に直列接続される。
【0015】
さらに、本発明に係る直列型ファンモータは、回転モータの回転軸方向に、複数のファンモータを直列接続して組み立てられる。
【0016】
本発明に係る直列型ファンモータの組立方法は、回路基板に導電性を有するブロック部品を実装する手順と、前記回路基板とステータとを一体化する手順と、フレーム内に前記回路基板付きステータを組み込む手順と、前記フレーム内に前記回路基板を組み込んだ状態で、前記回路基板の前記ブロック部品にハーネスのリード線を半田付けする手順と、前記ハーネスを取り付けた複数のファンモータを直列組立する手順と、を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るファンモータは、回路基板のランドに導電性を有するブロック部品を実装している。ブロック部品によりランド高さが底上げされるので、回路基板をフレームに組み込んだ状態で、当該回路基板にハーネスのリード線を半田付けすることができる。
【0018】
したがって、本発明に係るファンモータ、直列型ファンモータおよびその組立方法によれば、直列型ファンモータの組立工程を削減して、直列型ファンモータを低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係るファンモータの断面図である。
図2】本実施形態におけるブロック部品実装前の回路基板の斜視図である。
図3】本実施形態におけるブロック部品の斜視図である。
図4】本実施形態におけるブロック部品実装後の回路基板の斜視図である。
図5】本実施形態に係る直列型ファンモータの斜視図である。
図6】本実施形態に係る直列型ファンモータの組立工程図である。
図7】本実施形態に係る直列型ファンモータの組立方法において、回路基板とステータを組み立てた状態の斜視図である。
図8】本実施形態に係る直列型ファンモータの組立方法において、フレーム内に回路基板付きステータを組み込んだ状態の断面図である。
図9】本実施形態に係る直列型ファンモータの組立方法において、各ファンモータの回路基板のブロック部品にリード線を接続した状態の概略図である。
図10】比較例1のハーネスのリード線長が長い場合の組立工程図である。
図11】比較例1において、回路基板とステータを組み立てた状態の斜視図である。
図12】比較例1において、第1のファンモータのフレーム外で回路基板にリード線を接続する状態の斜視図である。
図13】比較例1において、フレーム内にリード線を接続した回路基板付きステータを組み込んだ状態の斜視図である。
図14】比較例1において、第2のファンモータのフレーム外で回路基板にリード線を接続する状態の斜視図である。
図15】比較例2のハーネスのリード線長が短い場合の組立工程図である。
図16】比較例2において、ハーネス端子を圧着したリード線を回路基板に半田付けした状態の斜視図である。
図17】比較例2において、コネクタハウジングにリード線端子を挿入する状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本実施形態に係るファンモータ、直列型ファンモータおよびその組立方法について説明する。
【0021】
本実施形態に係るファンモータ、直列型ファンモータおよびその組立方法は、回路基板のランド構造を改良することにより、回路基板をフレームに組み込んだ状態で、当該回路基板にハーネスのリード線を半田付けすることができる。したがって、本実施形態によれば、直列型ファンモータの組立工程を従来に比して削減することができ、低コストの直列型ファンモータを実現できるようになる。
【0022】
〔ファンモータの構成〕
まず、図1および図2を参照して、本実施形態のファンモータの構成について説明する。図1は本実施形態に係るファンモータの断面図である。図2は本実施形態におけるブロック部品実装前の回路基板の斜視図である。図3は本実施形態におけるブロック部品の斜視図である。図4は本実施形態におけるブロック部品実装後の回路基板の斜視図である。
【0023】
ファンモータは、回転モータの回転軸に取り付けられた羽根車の回転によって、回転軸の軸方向の一方から吸気し、軸方向の他方へと空気を吐出する送風装置である。
【0024】
図1に示すように、ファンモータ200は、回転軸1に固定された羽根車10と、当該羽根車10の径方向の外周を囲むベンチュリケーシング(以下、単に「ケーシング」という)2と、を有する。
【0025】
羽根車10は、中央部にカップ状のハブ部11を有する。ハブ部11の外周には、複数の動翼13を有する。ハブ部11は、ソケット12を介して、回転軸1に固定される。
【0026】
ハブ部11の内部には、羽根車10の回転駆動装置としての回転モータ100が設けられる。本実施形態の回転モータ100は、たとえば、アウターロータ型のブラシレスモータにより構成される。当該回転モータ100は、巻線20を有する電機子を内側ステータ120とし、当該ステータ120の外周に、永久磁石30を有する励磁部を外側ロータ110として配設する。
【0027】
複数の動翼13は、羽根車10のハブ部11の周囲に放射線状に取り付けられる。各動翼13は、回転軸1の軸方向に対して傾斜させて設けられる。
【0028】
羽根車10は、当該羽根車10の回転により、ロータ110とケーシング2との間に気流を形成する。本実施形態の羽根車10の動翼13は、当該羽根車10のハブ部11側からフレームボス62側へ向けて気流を生じるような形状および構造に形成されている。
【0029】
フレームボス62は概ねカップ状を呈しており、ステータ120のベース部となる。フレームボス62と羽根車10のハブ部11とは、回転軸1の軸方向の反対側に位置する。
【0030】
ロータ110は、ほぼカップ状のロータヨーク(ロータカバー)41、当該ロータヨーク41の中心部にソケット12により圧入された回転軸1、および永久磁石30などを備える。ステータ120は、ステータスタック50および巻線20などを備える。
【0031】
ロータヨーク41はハブ部11内に嵌入される。ロータヨーク41の軸方向に沿った内周面には、永久磁石30が固着される。ロータヨーク41は、励磁部からの磁力線を閉じて、永久磁石30の電磁誘導効果を最大にする機能を有する。
【0032】
ロータヨーク41の構成材料としては、たとえば、SC材などの鉄系の磁性体が用いられるが、例示した材料に限定されない。
【0033】
回転軸1は軸受16に回転可能に支承される。軸受16は筒体状の軸受支持部60の内面に固定される。軸受支持部60は、フレームボス62の中央に形成される。
【0034】
ステータスタック50は、軸受支持部60の外面に固定される。ステータスタック50は、薄肉のほぼリング状の金属板を板厚方向に複数積層して形成される。ステータスタック50の金属板の構成材料としては、たとえば、性能とコストを両立するために珪素鋼板が望ましい。ステータスタック50の各金属板は、たとえば、機械的に圧接して積層される。
【0035】
ステータスタック50には、インシュレータ52が凸設されている。インシュレータ52間には、凹部としてのスロット53が区画形成される。スロット53は、ステータスタック50の円周方向に沿って均等に配設される。スロット53内には、ステータスタック50に巻回された巻線20が収容される。
【0036】
フレームボス62とケーシング2は、フレーム61で連結される。フレームボス62上には回路基板(プリント基板)70が支持される。回路基板70には、ファンモータ200を制御するための配線パターンが形成されている。
【0037】
ステータスタック50に巻回された巻線20と回路基板70とは、連結端子71で接続される。連結端子71は、巻線20の渡り線を集約して回路基板70に接続する。
【0038】
図1から図4に示すように、回路基板70の外部電源を接続するためのランド73には、当該ランド73の高さを底上げするためのブロック部品74が実装されている。ブロック部品74は、ランド73に厚みをもたせるための導電性の部材である。ブロック部品74は、各ランド73の平面形状に合うように、電気絶縁部材77を介して4個並設されている。ブロック部品74には、外部電源を接続するためのハーネス80のリード線81が半田付けされる。
【0039】
本実施形態ではブロック部品74は、たとえば、ランド73と同材質の銅やアルミニウム等の導電性材料により形成されるが、例示の材料に限定されない。
【0040】
回路基板70には、巻線20を電気的に接続するための連結端子71を挿通するための貫通孔75が穿孔されている。連結端子71は、貫通孔75に挿通した後、突出部が半田付け76される(図1参照)。
【0041】
再び図1を参照して、ケーシング2は、気流を案内する風胴を区画形成するとともに、両端に空気の吸気口3および吐出口4を区画形成している。ケーシング2は、不図示のフランジ部を有するフレーム61と一体成形される。
【0042】
〔直列型ファンモータの構成〕
次に、図5を参照して、本実施形態に係る直列型ファンモータの構成について説明する。図5は本実施形態に係る直列型ファンモータの斜視図である。
【0043】
図5に示すように、本実施形態の直列型ファンモータ300は、回転モータ10の回転軸11の軸方向に、少なくとも、第1のファンモータ201と第2のファンモータ202が直列接続される。第1のファンモータ201は吸気側に、第2のファンモータ202は吐出側に配置される。なお、本実施形態では、2台のファンモータ200を直列接続しているが、これに限定されず、3台以上のファンモータ200を直列接続してもよい。
【0044】
本実施形態では、第1のファンモータ201の軸方向長さは、第2のファンモータ202の軸方向長さよりも大きく形成されている。吸気側に配置された第1のファンモータ201の吐出口には、不図示の静翼(整流格子)が配置される。
【0045】
すなわち、本実施形態の直列型ファンモータ300は、直列接続された円筒体状のケーシング2、2内に、第1のファンモータ201の動翼13、静翼(整流格子)および第2のファンモータ202の動翼13が、気流方向に沿って順次配置される。なお、第2のファンモータ202の吐出側にも、静翼(整流格子)が配置されていてもよい。
【0046】
第1のファンモータ201と第2のファンモータ202は、第1のファンモータ201が静翼(整流格子)を有し、回路基板70、70が相対向するように配置されている以外は、ほぼ同一の構造を有している。
【0047】
すなわち、詳細な内部構造は省略するが、第1のファンモータ201と第2のファンモータ202は、ロータ110および回路基板70付きステータ120の位置が逆転している。第1のファンモータ201と第2のファンモータ202の内部構造の位置が逆転していても、直列接続したファンモータ201、202が連続した同一方向の気流を形成するように、動翼13の向きもしくは回転方向が設定される。
【0048】
〔ファンモータおよび直列型ファンモータの作用、直列型ファンモータの組立方法〕
次に、図1から図17を参照して、本実施形態に係るファンモータ200および直列型ファンモータ300の作用とともに、本実施形態に係る直列型ファンモータの組立方法について説明する。
【0049】
図1および図5に示すように、本実施形態に係るファンモータ200は、たとえば、2台直列接続され、直列型ファンモータ300として組み立てられる。なお、直列型ファンモータ300の組立方法については後述する。
【0050】
直列型ファンモータ300は、電子機器の筐体などを介して、フレーム61の吸気側フランジ部または吐出側フランジ部に取付ねじを螺合することにより、当該筐体などに取り付けられる。
【0051】
たとえば、直列型軸流ファン300をサーバー用の冷却ファンとして用いる場合は、サーバーの筐体内面のファン取付部に吸気側フランジ部を取り付ける。
【0052】
第1のファンモータ201と第2のファンモータ202は、たとえば、逆方向に回転させる。第1のファンモータ201および第2のファンモータ202の羽根車10、10を回転させると、第1のファンモータ201の吸気口3から空気が吸い込まれる。
【0053】
第1のファンモータ201の吸気口3から吸い込まれた空気は、第1のファンモータの動翼13、第1のファンモータ201の静翼、および第2のファンモータ202の動翼13を順に通過して、第2のファンモータ202の吐出口4から吐出される。
【0054】
次に、図5から図9を参照して、本実施形態に係る直列型ファンモータ300の組立方法について、従来の直列型ファンモータの組立方法と比較して説明する。図6は本実施形態に係る直列型ファンモータの組立工程図である。図7は本実施形態に係る直列型ファンモータの組立方法において、回路基板とステータを組み立てた状態の斜視図である。図8は本実施形態に係る直列型ファンモータの組立方法において、フレーム内に回路基板付きステータを組み込んだ状態の断面図である。図9は本実施形態に係る直列型ファンモータの組立方法において、各ファンモータの回路基板のブロック部品にリード線を接続した状態の概略図である。
【0055】
本実施形態に係る直列型ファンモータ300の組立方法は、図6に示すように、回路基板にブロック部品を実装する手順(ステップ1;以下「S1」と称する)と、回路基板とステータとを一体化する手順(S2)と、フレーム内に回路基板付きステータを組み込んで個々のファンモータを組み立てる手順(S3)と、フレーム内に設置した回路基板にハーネスのリード線を半田付けする手順(S4)と、ハーネスを取り付けた複数のファンモータを直列組立する手順(S5)と、最終組立(S6)と、を順に有する。
【0056】
すなわち、本実施形態に係る直列型ファンモータ300の組立方法は、図2から図4に示すように、まず、各ファンモータ201、202の回路基板70、70について、ブロック部品74を実装する(S1)。ブロック部品74の実装は、実装装置を用いて自動で行われる。ブロック部品74の実装工程において、他の電子部品も実装される。
【0057】
次に、図7に示すように、ブロック部品74を実装した回路基板70は、ステータ120と一体化される(S2)。その際、回路基板70の貫通孔75に、ステータ120の巻線20に接続された連結端子71が挿入され、当該連結端子71の突出部が半田付け76される(図1参照)。なお、連結端子71には、ステータ120の巻線20の渡り線21が集約して接続される(図8参照)。
【0058】
次に、図8に示すように、フレーム61内に回路基板70付きステータ120を組み込んで、個々のファンモータ201、202が組み立てられる(S3)。なお、ステップ3では、ロータ110は組み込まないが、これに限定されず、当該ステータ120の組み込み時点で、フレーム61内にロータ110を組み込んでもよい。
【0059】
次に、図8および図9に示すように、各ファンモータ201、202のフレーム61内に回路基板70を組み込んだ状態で、当該回路基板70のブロック部品74に、ハーネス80のリード線81がそれぞれ半田付けされる(S4)。なお、図9において、82はハーネス80のコネクタである。
【0060】
次に、フレーム61内に、ロータ110が組み込まれる。
【0061】
最後に、図5に示したように、第1のファンモータ201と第2のファンモータ202に取り付けたハーネス80は、フレーム61の合わせ面に形成されたハーネス挿通口63に挿通される。そして、第1のファンモータ201と第2のファンモータ202が直列接続され、本実施形態に係る直列型ファンモータ300の組立が完成する(S6、図1参照)。
【0062】
〈比較例1〉
次に、図10から図14を参照して、比較例1として、ハーネスのリード線長が長い場合の従来の直列型ファンモータの組立方法について説明する。図10は比較例1のハーネスのリード線長が長い場合の組立工程図である。図11は比較例1において、回路基板とステータを組み立てた状態の斜視図である。図12は比較例1において、第1のファンモータのフレーム外で回路基板にリード線を接続する状態の斜視図である。図13は比較例1において、フレーム内にリード線を接続した回路基板付きステータを組み込んだ状態の斜視図である。図14は比較例1において、第2のファンモータのフレーム外で回路基板にリード線を接続する状態の斜視図である。なお、図10から図14において、本実施形態に係る直列型軸流ファン300と同一構成の部材については、同一の符号を付して説明する。
【0063】
まず、ハーネスのリード線長が長い場合における従来の直列型ファンモータの組立方法について説明する。
【0064】
ハーネスのリード線長が長い場合において、従来の直列型ファンモータの組立方法は、図10に示すように、回路基板に電子部品を実装する手順(S11)と、回路基板とステータとを一体化する手順(S12)と、第1のファンモータのフレーム窓にハーネスのリード線を通して、フレーム外で回路基板にリード線を半田付けする手順(S13)と、第1のファンモータのフレーム内にリード線を半田付けした回路基板付きステータを組み込む手順(S14)と、を順に有する。さらに、第2のファンモータのフレーム窓にハーネスのリード線を通して、フレーム外で回路基板にリード線を半田付けする手順(S15)と、第2のファンモータのフレーム内にリード線を半田付けした回路基板付きステータを組み込む手順(S16)と、ハーネスを取り付けた複数のファンモータを直列組立する手順(S17)と、最終組立(S18)を順に有する。
【0065】
すなわち、ハーネスのリード線長が長い場合において、従来の直列型ファンモータの組立方法は、まず、各ファンモータ201、202の回路基板70、70について、電子部品を実装する(S11、図2と同様の状態)。電子部品の実装は、実装装置を用いて自動で行われる。
【0066】
次に、図11に示すように、電子部品を実装した回路基板70は、ステータ120と一体化される(S12)。上記したと同様に、回路基板70の貫通孔75に、ステータ120の巻線20に接続された連結端子71が挿入され、当該連結端子71の突出部が半田付けされる。
【0067】
次に、図12に示すように、第1のファンモータ201のフレーム窓64にハーネス80の一方のリード線81を通して、フレーム61外までリード線81が引き出される。そして、フレーム61外で、回路基板70のランド73にリード線81が半田付け76される(S13)。
【0068】
次に、図13に示すように、第1のファンモータ201のフレーム61内に、リード線81を半田付け76した回路基板70付きステータ120が組み込まれる(S14)。
【0069】
次に、図14に示すように、第2のファンモータ202のフレーム窓64にハーネス80の他方のリード線81を通して、フレーム61外までリード線81が引き出される。そして、フレーム61外で、回路基板70のランド73にリード線81が半田付け76される(S15)。
【0070】
次に、第2のファンモータ202のフレーム61内に、リード線81を半田付け76した回路基板70付きステータ120が組み込まれる(S16、図13と同様の状態)。
【0071】
次に、フレーム61内に、ロータ110が組み込まれる(S17)。
【0072】
最後に、第1のファンモータ201と第2のファンモータ202に取り付けたハーネス80は、フレーム61の合わせ面に形成されたハーネス挿通口63に挿通される(図5と同様の状態)。そして、第1のファンモータ201と第2のファンモータ202が直列接続されて、本実施形態に係る直列型ファンモータ300の組立が完成する(S18)。
【0073】
〈比較例2〉
次に、図15から図17を参照して、比較例2として、ハーネスのリード線長が短い場合における従来の直列型ファンモータの組立方法について説明する。図15は比較例2のハーネスのリード線長が短い場合の組立工程図である。図16は比較例2において、ハーネス端子を圧着したリード線を回路基板に半田付けした状態の斜視図である。図17は比較例2において、コネクタハウジングにリード線端子を挿入する状態の斜視図である。なお、図15から図17において、本実施形態に係る直列型軸流ファン300と同一構成の部材については、同一の符号を付して説明する。
【0074】
ハーネスのリード線長が短い場合において、従来の直列型ファンモータの組立方法は、図15に示すように、回路基板に電子部品を実装する手順(S21)と、回路基板とステータとを一体化する手順(S22)と、ハーネス端子を圧着したリード線を半田付けする手順(S23)と、フレーム内にリード線を半田付けした回路基板付きステータを組み込む手順(S24)と、を順に有する。さらに、コネクタハウジングへリード線端子を挿入する手順(S25)と、ハーネスを取り付けた複数のファンモータを直列組立する手順(S26)と、最終組立(S27)を順に有する。
【0075】
すなわち、ハーネスのリード線長が短い場合において、従来の直列型ファンモータの組立方法は、まず、各ファンモータ201、202の回路基板70、70について、電子部品を実装する(S21、図2と同様の状態)。電子部品の実装は、実装装置を用いて自動で行われる。
【0076】
次に、電子部品を実装した回路基板70は、ステータ120と一体化される(S22、図11と同様の状態)。上記したと同様に、回路基板70の貫通孔75に、ステータ120の巻線20に接続された連結端子71が挿入され、当該連結端子71の突出部が半田付けされる。
【0077】
次に、図16に示すように、ステータ120と一体化された回路基板70のランド73に、ハーネス端子を圧着したリード線81が半田付けされる(S23)。
【0078】
次に、各ファンモータ201、202のフレーム61内に、リード線81を半田付け76した回路基板70付きステータ120が組み込まれる(S24、図13と同様の状態)。
【0079】
次に、図17に示すように、コネクタ82のハウジング内へリード線81の端子83が挿入される(S25)。
【0080】
次に、フレーム61内に、ロータ110が組み込まれる(S26)。
【0081】
最後に、第1のファンモータ201と第2のファンモータ202に取り付けたハーネス80は、フレーム61の合わせ面に形成されたハーネス挿通口63に挿通される(図5と同様の状態)。そして、第1のファンモータ201と第2のファンモータ202が直列接続されて、本実施形態に係る直列型ファンモータ300の組立が完成する(S27)。
【0082】
すなわち、本実施形態に係るファンモータ200および直列型ファンモータ300は、回路基板70のランド73に導電性を有するブロック部品74を実装している。ブロック部品74によりランド73の高さが底上げされるので、フレーム61内に回路基板70を組み込んだ状態で、当該回路基板70にハーネス80のリード線81を半田付けすることができる。
【0083】
したがって、本実施形態に係るファンモータ200、直列型ファンモータ300およびその組立方法によれば、直列型ファンモータ300の組立工程を削減して、直列型ファンモータ300を低コストで製造することができる。
【0084】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態とは異なる種々の態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 回転軸、
10 回転モータ、
61 フレーム、
70 回路基板、
73 ハーネス接続用のランド、
74 ブロック部品、
80 ハーネス、
81 リード線、
82 コネクタ、
100 回転モータ、
110 ロータ、
120 ステータ、
200 ファンモータ、
201 第1のファンモータ、
202 第2のファンモータ、
300 直列型ファンモータ。
図1
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