【文献】
Dennis G. McMinn et al.,"Ion Mobility Detection Following Liquid Chromatographic Separation",Journal of Microcolumn Separations,1990年 7月,Vol. 2, No. 4,p. 188-192
【文献】
Sheila C. Henderson,"ESI/Ion Trap/Ion Mobility/Time-of-Flight Mass Spectrometry for Rapid and Sensitive Analysis of Biomolecular Mixtures",Analytical Chemistry,米国,1999年 1月15日,Vol. 71, No. 2,p. 291-301
【文献】
長門 研吉,「イオン移動度/質量分析装置の開発」,エアロゾル研究,日本エアロゾル学会,2000年 6月20日,Vol.15, No. 2,p. 110-115
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
DNA、RNA、タンパク質、炭水化物、グリコ共役体等の生体分子は典型的にはレジデューと称する反復するサブユニットからなる。このようなレジデューの配列順序が生体分子の構造及び機能を最終的に規定し、他の分子とどのように相互作用するかを決定する。
ほとんど全ての従来の順序規定手法の中心的部分は、クロマトグラフィーによる、あるいはポリアクリルアミドのゲルの電気泳動(PAGE)による複合した組の配列順序に関連する分子部分の分析である。PAGEに基づいた自動配列順序決定装置は現在存在し、典型的には多数の塩基に特定して終止した生体分子生成物中に含有され、その後にポリアクリルアミドゲルにより処理される多くの蛍光染料を必要とする。離散した長さの生成分子が放射源による励起に応じた放出蛍光によってゲルの底部近くで検出される。
【0003】
このような自動装置は典型的には手動的方法より10―20倍速い速度で500あるいはそれ以上のレジデューを有する生体分子の順序情報を生ずることができる。しかしながら、PAGEの手動的及び自動的手法はともにいくつかの欠点を有する。例えば、両方の手法は各々の配列順序決定操作ごとにゲルを準備しなければならないので、労力を要する。また、自動PAGEシステムは手動的方法より速い分析の時間となるが、このシステムの精度は一様でないゲル母体によって生ずるアーティファクト及び他の要因により制限される。このような自動システムは一般的に、典型的には「スマイリング」圧縮、微弱ゴーストバンド等と判定されるこのようなアーティファクト効果を正確に処理するようにされていない。それゆえこのような結果の手動的翻訳が必要となることが多いが、これは分析の時間を増大させる。
【0004】
研究者はこの数年来、生体分子の構造及び順序を分析するためのより迅速で高感度な手法の必要性を認識している。飛行時間質量分析(TOFMS)及びフーリエ変換イオン・サイクロトロン共鳴質量分析のような質量分析(MS)の手法は、順序及び構造の決定がなされるようなイオン質量情報を迅速かつ正確に与えるための周知の手法である。この技術において知られているように、TOFMSシステムは電界により末端がイオン検出器となっている電界のない飛行管に向かってイオンを加速する。公知のTOFMSの原理によれば、イオンの飛行時間はイオンの質量の関数であって、より小さい質量を有するイオンがより大きい質量を有するイオンより速く検出器に達する。かくして装置でのイオン飛行時間からイオンの質量が計算される。
図1は既知の質量電荷比(m/z)が12360daのチトクローム−cの試料と質量電荷比(m/z)が14306daのリゾチームの試料とについて、この原理を証明している。
図1において、約40.52μsの飛行時間を有する信号のピーク10はより軽いチトクローム−cの試料のものであり、約41.04μsの飛行時間を有する信号のピーク12はより重いリゾチームの試料のものである。
【0005】
PAGE手法に対してMS手法では試料の準備と分析の時間が格段に減少するので、最近いくつかのMSの配列順序決定手法が開発されている。このようなMSの配列順序決定手法は、レジデューがその端側から順次除去されるので、一般的に生体分子の質量の変化を測定するように作用し得る。それぞれ工夫を重ねたMS以前の処理手法を含む、2つのこのような手法の例がレヴィスらの米国特許第5210412号及びケスターの米国特許第5622824号に開示されている。
【0006】
大きい生体分子に関する順序及び構造についての情報を決定できるようにするために、MSの手法はそれに応じて大きいイオンを生成できなければならないと理解されている。現在スペクトル分析のために大きいイオンを生成するための少なくとも2つの手法、すなわち電気スプレー式イオン化(ESI)と母体補助レーザー脱離式イオン化(MALDI)とが知られている。各々の大きいイオンの生成手法は容易に使用できるが、公知のMSの手法は識別可能な情報の量及び質の両方において制限されている。特に、ここに規定された少なくとも50のレジデューを含むような大きい生体分子に関して、親イオン及び順序関連の部分イオンの質量スペクトルは質量(TOF)のピークが重なる程度までに密集している。
【0007】
質量スペクトルが密集している問題に対する1つの解決策は、MSの装置の質量分解能を高めることである。このような分解能を高める最近の試みは成功しており、フーリエ変換型イオン・サイクロトロン共鳴(FTICR)装置を用いて50の塩基対のDNAについての完全な順序情報が得られている。しかしながら、このような装置はきわめて高価であって容易に利用可能ではなく、そのきわめて高い真空度の必要性のために、一般的に多数の試料を通常的に順序規定するためには適していない。
【0008】
質量スペクトルが密集する問題に対する他の解決策は、多量のイオンをMSの装置の加速領域に供給するより前に予め分離することである。それから多量の生成したイオンに対して同時にではなく、「パケット」状の分離されたイオン試料に対して順次質量分析が行われる。このようにして、MSの装置によって与えられる質量スペクトル情報が異なる大きさに拡張され、それによって多量イオンの分析に伴う質量の情報が局所的に密集するのを減少させる。
【0009】
MS分析より前に多量のイオンを予め分離するのに用いられる1つの公知のイオン分離手法はイオン移動度分析(IMS)である。この技術において知られているように、IMSの装置は典型的には管の一方の端部から他方の端部まで定常の電界をなしているドリフト管に収容された加圧された静的緩衝気体を含む。定常の電界領域に入る気体イオンはそれによって加速され、ドリフト管を通過する際に緩衝気体分子との反復的な衝突を受ける。反復的な加速及び衝突の結果、各々の気体イオンはドリフト管を通る定常的な速度に達する。電界の大きさに対するイオン速度の比がイオン移動度を規定するが、ここで高圧の緩衝気体を通るあるイオンの移動度は緩衝気体とのイオンの衝突断面積とイオンの電荷との関数である。一般的に集中した順応体、すなわち衝突断面積がより小さいものは、同じ質量の拡散した順応体、すなわち衝突断面積がより大きいものより大きい移動度を有し、それゆえより高い緩衝気体を通る速度を有する。かくして、衝突断面積がより小さいイオンが衝突断面積がより大きいイオンより大きい質量を有していても、衝突断面積がより大きいイオンはIMSの装置のドリフト管を通って衝突断面積がより小さいイオンより低速で進む。この考え方が
図2に示されているが、これはそれぞれ異なる質量及び形状(衝突断面積)を有する3種類のイオンに関して従来のIMSの装置を通るドリフト時間を示している。
図2から明らかなように、最も集中したイオン14(最も大きい質量を有するとみられる)は最も短い約5.0msのドリフト時間のピーク16を有し、最も拡散したイオン18は最も長い約7.4msのドリフト時間のピーク20を有し、イオン14とイオン18との間の衝突断面積を有するイオン22(最も小さい質量を有するとみられる)は約6.1msのドリフト時間のピーク24を有している。
【0010】
ここで
図3を参照すると、公知の飛行時間質量分析器から得られたイオンの飛行時間スペクトルがイオンのドリフト時間に対してプロットされて示されている。この図で、異なる質量のイオンが質量分析器において種々の飛行時間にわたって分散している。しかしながら、質量分析器の限られた分解能のために、スペクトルにおいてイオンが完全には分離されず、異なるイオンに対応する点が重なっている。好ましい実施例の説明においてより詳細に説明するように、
図6と比較すると、イオンを2つの量、すなわちイオンの移動度及びイオンの質量で分離する装置によって異なるイオンがより良好に分解されることは明らかである。
【0011】
グーブレモントらは最近4極子MSをTOFMSに変換するために既存のIMS/MSの装置を改変した〔R・グーブレモント、K・W・M・シュー、L・ディング:第44回ASMS会議録(1996)の抜粋〕。グーブレモントらの装置において電気スプレーによりイオンが発生し、IMSの装置に5msのパケットがゲートされている。IMSの装置により生じたイオンパケットは小さい開口を通過してTOFMSのイオン加速領域内に入る。
【0012】
グーブレモントらはIMSの装置をTOFMSの装置に結合していくつかの実験上の成果を上げたが、彼らの完成した装置及び手法はそれに関連するいくつかの欠点を有している。例えば、グーブレモントらの抜粋はイオンをIMSの装置に入れるために5msのゲートパルスを用いて論じているが、生じたIMSのスペクトルは少なくとも5msのピーク幅の低い分解能を有することがわかった。次に、グーブレモントらの装置のドリフト管及びイオン飛行管が共線形であるので、IMSを出てゆくイオンパケットの空間的及び時間的広がりが直接TOFMSのイオン加速領域におけるイオンの空間的及び時間的広がりになる。これらの2つの特性はTOFMSにおける低い質量分解能となる。IMSにおける低い分解能とTOFMSにおける低い分解能との組合せでこの装置が複合した混合物を分解できないようになる。それゆえ必要なのは複合した混合物を分解するように最適化されたハイブリッド型のIMS/TOFMS装置である。このような装置は理想的には、イオン移動度スペクトルの最適化も、質量スペクトルの最適化も行うであろう。さらに、このようなシステムは2つの装置の間の最適のインタフェースを与え、それによってTOFMSの能力を最大にするであろう。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図4を参照すると、本発明によるハイブリッド型のイオン移動度及び飛行時間による質量分析器の装置30の1つの好ましい実施例が示されている。装置30は基本的部分としてイオン移動度分析器34に連通するイオン源領域32を有し、イオン移動度分析器34自体が質量分析器36に連通している。装置30の少なくとも一部を制御し、また質量分析器36からの情報を収集するためにコンピュータ38が備えられている。コンピュータ38は少なくとも386プロセッサを有する既知の構成のパーソナルコンピュータ(PC)であるのが好ましいが、本発明ではコンピュータ38は以下により詳細に説明されるように装置30を制御でき質量分析器36からのイオン情報を処理できるいずれの公知のコンピュータ、コントローラあるいはデータプロセッサでもよい。
【0027】
質量分析器36は線形の飛行時間型のものであるのが好ましいが、本発明では公知のリフレクトロン型飛行時間質量分析器、マルチパス型飛行時間質量分析器あるいはフーリエ変換型イオン・サイクロトロン共鳴質量分析器(FTICR−MS)あるいは他の公知の質量分析器でもよいと考えられる。ここでの説明で、いずれの質量分析器も典型的には飛行時間質量分析器(TOFMS)と称されるが、発明の範囲を逸脱することなく前述のいずれかの質量分析器に置き換えられることが理解されよう。いずれの場合にも、好ましい実施例において、TOFMS36はイオンの初期位置及び初期イオン速度分布の有害な効果を最小にすることによって質量の分解能を最大にするように形成されている。このようなTOFMSの形態及びその動作についての詳細は、本発明の権利者に権利譲渡されているレーリーらの米国特許第5504326号、第5510613号及び第5712479号において与えられているが、ここではその内容を参照に付す。
【0028】
イオン移動度分析器(IMS)34は管40のイオンの出口側端部44に近接して配置された気体通口42を有するドリフト管40を含み、この通口42は緩衝気体の供給源46に連結されている。緩衝機体の流量は信号線路48を介してコンピュータ38によって制御されてもよく、あるいは手動的に作動される弁(図示せず)制御されてもよい。ドリフト管40のイオンの出口側端部44これには取り付けられた端板43を含み、この端板43はこれを貫通する開口ないしイオン通口45を規定している。
【0029】
ドリフト管40はその内面に沿って分布した多数のガードリング50を含み、このガードリング50は均等の値の抵抗(図示せず)によって相互に連結されている。イオン源領域32に最も近接して配置されたガードリングは信号線路54を介して電圧源VS152に連結され、電圧源52は信号線路56を介してコンピュータ38によって制御されるのが好ましいが、本発明では手動的アクチュエータ(図示せず)を介して電圧源52を制御することが考えられる。ドリフト管40はこれを通る縦方向の軸72を規定しているが、これは以下にドリフト管軸と称する。電圧源52は正の電圧に設定されそれによって矢印55によって示される方向に軸72の方向を向いた定常的な電界を形成するのが好ましい。分析器34のガードリング及び電圧源の部分の重要性は特定の構造にあるのではなく、矢印55の方向に定常的な電界をできるだけ正確に形成する能力にあることが当業者にわかるであろう。この意味で、本発明ではドリフト管40内に矢印55の方向にこのような電界を形成するために公知の構造ないし形態が用いられると考えている。しかしながら、矢印55の方向の定常的な電界は管の端部44に向かって正に帯電したイオンを加速するように形成され、またこのような電界が反転されそれによって負に帯電したイオンを管の端部44に向かって加速するようになるものと理解されよう。
【0030】
ドリフト管40は経路62を介して可変温度源60に連結された可変温度ハウジング58に適宜囲まれているが、それらは全て点線で示されている。1つの実施例において、可変温度源60は流体保留タンクであり経路62はハウジング58に連通する管路であり、ハウジング58はこの場合密封されているのが好ましい。またタンク内からの流体がハウジング58を通って巡回されるように復帰管路(図示せず)が流体保留タンクに連結される。流体保留タンク内の流体は加熱あるいは冷却された気体、あるいは例えば液体窒素のような液体でもよい。他の実施例において、可変温度源60は公知の電気的に作動可能な温度制御装置であり、経路62は制御装置とハウジング58との間に連結された1対の導電体からなる。動作時に、温度制御装置60はハウジング58を所望のように加熱及び冷却するように動作可能である。ハウジング58、温度源60及び経路62の特定の例にかかわらず、本発明では温度源60がさらに信号線64を介してコンピュータ38により制御されることを考えている。
【0031】
ドリフト管40はさらにイオンの入口側端部を被覆する管端部66を形成するハウジング70に囲まれており、管端部66は開口ないしイオン通口68と端板43に近接したイオン出口側開口ないし通口84とを形成している。開口45を出るイオンをTOFMS36のイオン加速領域に合焦させるように開口45と84との間にイオン光学系47が配置されるのが好ましい。開口45、68及び84はドリフト管軸72で二分されるのが好ましい。以下により詳細に説明するイオン源74はイオン源領域32内に配置され、好ましくはN本の信号線路76を介してコンピュータ38の制御を受けて動作可能であるが、Nは、開口68を通じて分析器34内にイオンを向けるように、いずれの正の整数でもよい。ドリフト管40に入るイオンは、前述のように、個々の移動度の関数として時間的に分離され、開口70を通じて順次TOFMS36に向けられる。
【0032】
ハウジング70は緩衝気体の圧力を制御するためのポンプ80を含む。ポンプ80は拡散ポンプであるのが好ましく、その動作は信号線路82を介してコンピュータ38によって制御されよう。あるいは、ポンプ80は手動ポンプアクチュエータ(図示せず)によって手動的に制御されてもよい。いずれの場合にも、ポンプ80はドリフト管40内に所望の静的緩衝気体圧力を設定するように動作可能である。公知のIMSの手法によれば、典型的にはドリフト管40内の緩衝気体はほぼ1Torr〜数千Torrの範囲内に設定されよう。
【0033】
TOFMS36はIMS34に取り付けられたハウジング126に囲まれているのが好ましい。TOFMS36は信号線路90を介して第2の電圧源VS288に接続された第1の導電体グリッドないしプレート86を含み、この電圧源は信号線路92を介してコンピュータ38によって制御されるのが好ましい。第2の導電体グリッドないしプレート94が信号線路98を介して第3の電圧源VS396に接続され、この電圧源は信号線路100を介してコンピュータ38によって制御されるのが好ましい。第3の導電体グリッドないしプレート102が信号線路106を介して第4の電圧源VS4に接続され、この電圧源は信号線路108を介してコンピュータ38によって制御されるのが好ましい。この技術において知られているように、グリッドないしプレート86、94及び102はそれらの間に第1及び第2のイオン加速領域を形成するが、これについては以下により詳細に説明されよう。例えばグリッドないしプレート94と102との間に第4のグリッドないしプレートを配置するというような、他の公知のイオン加速領域構造がTOFMS36に用いられることが当業者には理解されよう。
【0034】
グリッドないしプレート102は飛行管110の一方の端部に取り付けられたプレート面を有し、他方の端部は第4の導電体グリッドないしプレート112の面に取り付けられている。イオン検出器116がグリッドないしプレート112に近接して、その間に空気間隙114が形成されるようにして配置されている。イオン検出器116は信号線路120を介して第5の電圧源VS5118に接続されているが、この電圧源は信号線路122を介してコンピュータ38によって制御されるのが好ましい。イオン検出器116はさらに信号線路124を介してコンピュータ38に接続された信号出力部を有し、それによって検出器116はイオン到着時間情報をコンピュータ38に与えるように動作可能である。グリッドないしプレート86、94、102及び112は、最大の面積を有する全てのプレートの面が相互に、またイオン検出器116の面に対して平行になるように、相互に並列して配置されるのが好ましく、さらに飛行管110の中心を通るように規定される縦方向の軸128(以下、飛行管軸128と称する)に垂直であるのが好ましい。
【0035】
TOFMS36はさらにハウジング126によって形成されるTOFMSチャンバの真空度を制御するためのポンプ130を含む。ポンプ130は拡散ポンプであるのが好ましく、その動作は信号線路132を介してコンピュータ38によって制御されよう。あるいは、ポンプ130は手動ポンプアクチュエータ(図示せず)によって手動的に制御されてもよい。いずれの場合にも、ポンプ130は、公知のTOFMSの動作手法によって約1万分の1〜100億分の1Torrの範囲内に設定される所望の真空を形成するように動作可能である。
【0036】
図4に示される装置30において、TOFMS36はIMS34に対して、飛行管軸128がドリフト管軸72に垂直になるように配置されるのが好ましい。さらにTOFMS36はIMS34に対して、ドリフト管軸72と飛行管軸128とがグリッドないしプレート86と94との間に形成される第1のイオン加速領域内で交差するように配置されるのが好ましい。他の形態のTOFMS36において、グリッドないしプレート94は省略してもよく、その時TOFMS36はIMS34に対して、ドリフト管軸72がグリッドないしプレート86と102との間に形成されるイオン加速領域内で飛行管軸128に交差するように配置される必要がある。いずれの場合にも、TOFMSはIMS34に対して、ドリフト管軸72が問題となる領域内のほぼ中心で飛行管軸128に交差するように配置されるのが好ましい。
【0037】
装置30の動作時に、以下に説明される1つまたはそれより多くのイオン発生手法に従ってイオン源74によりイオンが生じ、IMSの入口側開口68を通じてIMS34に供給される。典型的にIMSの装置34に用いられる緩衝気体が緩衝気体源46を通じてドリフト管40に供給され、この緩衝気体はポンプ80、緩衝気体源46あるいはそれらの組合せにより所望の圧力に調整される。典型的には、緩衝気体は約1Torr〜数千Torrの間の圧力に調整される。電圧源52はドリフト管軸に沿って矢印55で示される方向に定常的な電界を生ずるのに十分な電圧を供給する。
【0038】
公知のIMS34の動作によれば、IMSの入口側開口68に入るイオンはIMSの出口側開口84に向かってドリフト管40を通過し、このイオンは個々の移動度に応じて時間的に分離する。小さい移動度を有するイオンはより大きい移動度を有するイオンより遅れ、このイオン移動度は主として衝突断面積の関数である。結果として、より密集したイオンはより拡散したイオンより速くIMSの出口側開口84に達する。ドリフト管40の温度はまた、温度の関数としてイオン移動度の分析が行われるように可変温度源60を通じて制御されることが当業者に理解されよう。
【0039】
TOFMS36はイオンをグリッドないしプレート86と94との間に形成される空間から電界のない飛行管110に向かって加速するように動作可能であり、このイオンは個々の質量に応じて時間的に分離する。一般的により質量の小さいイオンはより大きい質量を有するイオンより速く検出器116に達するであろう。検出器116はイオンの到着時間を検出しそれに応じた信号を信号線路124を介してコンピュータ38に与えるように動作可能である。
【0040】
ここで参照に付すレーリーらの米国特許第5504326号、第5510613号及び第5712479号により詳細に説明されているように、電圧源VS288、VS396及びVS4104は典型的には最初にIMS34に応じた電圧レベル(電圧源VS152によって設定される)に適合するグリッドないしプレート86、94及び102における電圧を設定するようにコンピュータ38によって制御される。飛行管110の長さ、グリッドないしプレート88、94、102及び112の間隔、グリッドないしプレート112と検出器116との間隔、グリッドないしプレート86と94との間に形成される空間内でのイオンの初期位置あるいはイオンの初期速度の評価値のような、装置の種々のパラメータに応じて、コンピュータ38はグリッドないしプレート86、94及び102の間に瞬間的に電界を増大させるように電圧源88、96及び/または104を制御しそれによってこれらのグリッド間のイオンを飛行管110に向かって加速するイオン引出し電界を間に形成するように動作可能である。パルス状のイオン引出し電界はグリッドないしプレート86から飛行管110に向かう方向になっており、それによって正に帯電したイオンを飛行管110に向かって加速するのが好ましい。しかしながら、この電界が反転されて負に帯電したイオンを飛行管110に向かって加速するようになることが当業者に理解されよう。
【0041】
いずれの場合にも、グリッドないしプレート86と94との間に形成される空間内のイオンはパルス状のイオン引出し電界によりグリッドないしプレート94と102との間に形成される空間に向かって加速される。グリッドないしプレート86と94との間に形成される領域に軸72の方向に入るイオンは、イオンがイオン光学系47によりこの領域内に合焦し軸128の方向の速度成分が小さいために、空間的に幅の狭い分布となっていることにより、グリッドないしプレート86及び/または94に加わるパルス状電圧を、鋭いTOFMSピークを得るように選択することができる。グリッドないしプレート94と102との間でのパルス状引出し電界とそれによるイオンの加速との目的は、グリッドないしプレート102に達する全てのイオンに実質的に同じ運動エネルギーを与えることである。飛行管110はそれに対応する電界を有していないので、イオンはグリッドないしプレート102から検出器116に向かって漂流し、ここでイオンは上述したように個々の質量の関数として時間的に分離する。コンピュータ38は典型的には検出の時間に電圧源VS5118に電圧を供給しそれによってこの技術において知られるように検出器116のゲインを増大させるように電圧源VS5118を制御する。ポンプ130はTOFMS36内の真空度を制御するが、ポンプ130は信号線132を介してコンピュータ38により制御されるのが好ましい。TOFMS36は典型的には1万分の1〜100億分の1Torrの間で動作する。
【0042】
図4に示されるハイブリッド型IMS/TOFMSの装置の実施例30において、ドリフト管軸72はTOFMS36のグリッドないしプレート86と94との間に形成される空間を二分し飛行管軸128に垂直になっているのが好ましい。他の形として、本発明では、ドリフト管軸72がグリッドないしプレート86と94との間を飛行管軸128に垂直に、グリッドないしプレート86と94とのいずれかに対して別な既知の間隔をおいて通過するようにTOFMS36をIMS34に対して配置することを考えている。いずれの場合にも、前述のIMS34に対するTOFMS36の構造上の位置設定により飛行管軸128に対するドリフト管軸72の垂直でない配置よりも利点が与えられる。例えば、このような垂直な配置によりIMS34からグリッドないしプレート86と94との間に形成されるイオン加速領域に入るイオンパケットはその間で軸72の方向に進む際に定常的で比較的良好に規定されたイオンの初期位置を有するようになろう。簡単に上述したように、イオン光学系47はイオンをイオン加速領域内に合焦させそれによってイオンの空間的分布を最小にする。さらに、軸72がグリッドないしプレート86及び94と平行であるので、軸128に対するイオンの位置は比較的定常的のままであろう。この特徴によりグリッドないしプレート86と94との間に形成されたイオン加速領域内でのイオンの初期位置を正確に評価しそれによって前述したイオンのパルス状引出し電界をより正確に評価できるようにする可能性が与えられる。
【0043】
コンピュータ38が以下により詳細に説明するようにイオン源74からのイオンの発生を制御して、コンピュータ38が、以下イオン導入結果と称する、イオンがIMS34に導かれた時間についての知識を有しているのが好ましい。その時コンピュータ38は電圧源88及び96を制御してイオン導入結果毎に反復的に数回パルス状のイオン引出し電界を与えるように動作可能である。1つの実施例において、イオン導入結果毎にパルス状引出し電界が512回反復して与えられる。導入結果毎に与えられるパルス状のイオン引出し電界の数は装置30の最終的な分解能に正比例することが当業者に理解されよう。このパルス状の動作はIMS34に対してTOFMS36を垂直に配置することによるいくつかの利点に関係するので、この配置はいずれか1つのイオンパケットの全体あるいは一部が処理されずにTOFMS36を通過する可能性を最小にする。グリッドないしプレート86及び94に対するイオンパケットの進行方向により、またイオン引出し電界のパルス状の性質により、TOFMS36はイオンパケットが軸72の方向に進む際に各々のイオンパケットを検出器116に向けて加速する複数回の機会を有するであろう。そのため、装置30は検出器116への最大のイオンのスループットを与えるような形態になっている。
【0044】
ここで
図5を参照すると、本発明によるハイブリッド型のイオン移動度及び飛行時間による質量分析器150の他の実施例が示されている。分析器150は多くの点で
図4に示されまた上述した分析器30と同様であり、それゆえ同様の部分は同様の番号で示される。それゆえ共通の部分について、またIMS34及びTOFMS36′の基本的動作についての議論は簡略化のため繰り返さない。
【0045】
図4の装置30と異なって、装置150のTOFMS36′はIMS34に対して、ドリフト管軸72がまたTOFMS36′の飛行管軸にもなるように配置されている。あるいは、TOFMS36′はIMS34に対して、ドリフト管軸72が飛行管軸に対して垂直にならないような方向に配置されよう。いずれかのこのような方向で、グリッドないしプレート86′と94との間に形成される空間内のイオンパケットの初期位置は、いずれの精度でも評価することができないか(図示された方向で)、あるいはイオンパケットが軸72の方向に進む際に変化する(垂直でない配置の場合に)。さらに、いずれかのこのような方向で、イオン導入結果に対してイオンパケットがグリッドないしプレート86′と94との間に形成される空間内に達する時間を評価することが困難であり、かくしてパルス状のイオン引出し電界のタイミングが予測し難い。その結果、パルス状のイオン引出し電界のタイミングが不正確になってイオンがTOFMS36′内で見失われるようになったり、またTOFMS36′の質量分解能が逆効果を受けたりし易くなろう。
【0046】
背景技術の項において前述したグーブレモントらのシステムに伴う同じ問題である、IMS34に対するTOFMS36′の垂直でない配置状態に伴う前述の問題に対応するために、装置150にはIMS34のイオンの出口開口84と、グリッドないしプレート86′と94との間に形成された空間との間で動作するように配置されたイオントラップ152が設けられている。
図5に示された実施例において、グリッドないしプレート86′はイオン入口開口178をなし、これを通じて軸72の方向でのIMS34のイオン出口開口84との位置合せがなされる。IMS34に対するTOFMS36′の垂直でない他の配置において、
図4に示される実施例30について論じたのと同じようにしてイオンがグリッドないしプレート186′と94との間の空間に入るので、イオン入口開口178が必要とされないことになろう。
【0047】
いずれの場合にも、イオントラップ152は第1の端側キャップ154、中心リング162及び第2の端側キャップ170を有する公知の4極子イオントラップであるのが好ましい。各々の端側キャップ154及び170は開口を形成し、これを通じて軸72との位置合せがなされる。この形態において、イオントラップ152はTOFMS36′に対してイオン入口開口との位置合せがなされた中心の小さい体積にイオンを閉じ込める。第1の端側キャップ154は信号線路158を介して電圧源VS6156に接続され、電圧源VS6156自体は信号線路160を介してコンピュータ38に接続されている。中心リング162は信号線路166を介して電圧源VS7164に接続され、電圧源VS7164自体は信号線路168を介してコンピュータ38に接続され、第2の端側キャップ170は信号線路174を介して電圧源VS8172に接続され、電圧源172は信号線路176を介してコンピュータ38に接続されている。電圧源156及び172はDC電圧を生ずるように動作可能であり、電圧源164はRF域のAC電圧を生ずるように動作可能であるのが好ましい。
【0048】
動作時にコンピュータ38はIMS34のイオン出口開口84から出るイオンが第1の端側キャップ154に形成される開口に入るのにちょうど十分なだけのエネルギーを有するようにして端側キャップ154及び170にバイアスをかけるように電圧源156及び172を制御する。一度入ると、イオンは開口84からトラップ152内に漏れ出る緩衝気体と衝突し、それにより中心リング162に加わるRF電圧がトラップ152内にイオンを閉じ込めるように動作可能になるだけの十分なエネルギーを失う。閉じ込められたイオンはトラップ152の内側でさらに衝突を受け、そのためにイオンがさらにそれに応じたエネルギー損失を受けてリング162のRF電圧によりリング162の中心に向かってイオンの集中が生ずる。端側リング154及び170と中心リング162とに加わる電圧が維持される限り、イオンがトラップ152に入ってそこに集中するであろう。中心リング162に加わるRF電圧をオフにして端側キャップ154または170の一方に適切なDCパルスを加えることによってイオンがトラップ152から排出される。例えば、集中した正に帯電したイオンをトラップ152から排出するために、端側キャップ154に加わる電圧が端側キャップ170の電圧より高いパルスとされるか、端側キャップ170に加わる電圧が端側キャップ154の電圧より低いパルスとされよう。一般的に電圧源164を通じて中心リングに加わるRF電界の大きさも、それに含まれるDC電圧も変化し、それによってイオントラップ152により所望の質量−電荷比のイオンを収集するように選択することができよう。あらゆる質量−電荷比のイオン、あるいはいずれか特定の質量−電荷比のイオンが、電圧源164によって与えられるRFピークの大きさ及びDCレベルの適切な選択を通じて選択的にイオントラップ152内に収集されよう。
【0049】
本発明に関して、グリッドないしプレート86′と94との間に形成された空間内のイオンの初期位置のより正確な評価値を与えるように、イオントラップ152がコンピュータ38によって収集されたイオンパケットを周期的に排出するように制御可能であり、以下、イオン排出結果と称する。コンピュータ38は収集されたイオンパケットがイオントラップ152から排出される時間を制御するので、イオンパケットがグリッドないしプレート86′と94との間に形成された空間における特定の位置に到着する時間が正確に評価される。イオンパケットがグリッドないしプレート86′と94との間の特定の位置に到着する、イオン排出結果に対する大凡の時間を知れば、コンピュータ38がパルス状のイオン引出し電界を加えるのに適切な時間をより正確に評価しそれによって上述のように最大の質量分解能を与えるであろう。さらに、パルス状のイオン引出し電界のタイミングのより正確な評価値を与えることによりTOFMS36′内でイオンパケットあるいは少なくともその一部が失われる可能性が減少する。
【0050】
装置150の動作時に、IMS34はイオン移動度の関数として時間的に分離されたイオンパケットをイオン出口開口84を介してTOFMS36′に与えるように動作可能である。コンピュータ38はイオントラップ152における種々のイオンパケットを1度に1つずつ収集し、各々の収集されたイオンパケットをそこから周期的な時間間隔で排出するように制御する。排出されたイオンは上述したようにグリッドないしプレート86′と94との間に形成された空間内に入り、コンピュータ38はイオン排出結果のタイミングに基づいてパルス状のイオン引出し電界を加えるのに適切な時間を計算することができる。その後にTOFMS36′は上述したように質量スペクトル情報を与えるように動作可能である。
【0051】
ここで
図6を参照すると、オリゴチミジンの試料のイオンドリフト時間に対するイオン飛行時間のプロット190が示されており、この図で示されたデータは実施例の装置30または150のいずれかにより作成可能である。
図3のプロットと比較して、本発明のイオン移動度及び飛行時間によるハイブリッド型質量分析器は2つの実質的に直交する量における分子の構造についての情報を分解するように動作可能であることは明らかである。対応するイオンパケットのTOFMSへの到着に応じた各々のドリフト時間に関して、本発明の装置は質量電荷比の数に応じた飛行時間の数を分解するように動作可能である。かくして
図6のプロット190は、装置30の全体的分解能がIMSあるいはTOFMSだけで得られるより格段にすぐれていることを示している。この手法は(50レジデューを超える)大きい生体分子についての順序情報を得る際の質量ピークの重なりによる質量スペクトルの密集の問題を極端に減少させる。かくして本発明は背景技術の項において論じた従来技術のシステムに伴う欠点を生ずることのない、生体分子の組成、配列順序及び構造の分析のための装置を提供する。
【0052】
ここで
図7Aを参照すると、
図4及び5のいずれかの実施例の装置のイオン源74の1つの実施例74′が示されている。実施例74′はこれに装着された試料202及びこれから突出する光学窓206を有するチャンバ200を含む。放射源204は信号線路76Aを介してコンピュータ38に電気的に接続され、光学窓206を通るように放射を向けそれによって試料202を照射するような形状になっている。チャンバ200はこれから信号線路76Bを介してコンピュータ38により制御されるようなポンプ208に延びる管路を含むであろう。
【0053】
イオン源74′は公知のMALDI配置形態であり、ここでは好ましくはレーザ源である放射源204が試料202の表面から気体イオンを脱離させるように動作可能になっている。コンピュータ38はレーザ204の作動時間を制御しそれによって試料のイオン化の結果を制御するように動作可能である。脱離したイオンはチャンバ202の内部構造によりIMS34のイオン入口開口68に向けられる。本発明によれば、試料202はDNA、RNA、種々のタンパク質、炭水化物、グリコ共役体等のようないずれかの大きさの生体分子でもよい。ポンプ208はチャンバ208を加圧しそれによって従来知られているような高圧MALDIを行うように制御されよう。
【0054】
ここで
図7Bを参照すると、
図4及び5のいずれかの装置のイオン源74の他の実施例74″が示されている。実施例74″は脱溶媒和領域226に形成される開口向かって延びるスプレーのホースないしノズル222を有する液化された試料220を含む。スプレーノズル222の作動は従来知られているように手動的に制御され、あるいは信号線路76Cを介してコンピュータ38によって制御されよう。脱溶媒和領域226は信号線路76C′を介してコンピュータ38に連結され、ここに供給される帯電した試料液滴をノズル222を通じて気体イオンに変換しこのイオンをイオン光学系部材228に供給するように動作可能である。光学系部材230は気体イオンを合焦させてIMS34のイオン入口開口に向けるように動作可能である。イオン源領域32はこれから信号線路76を介してコンピュータ38により制御されるポンプ232に延びる管路を含む。
【0055】
イオン源74″は試料を含有する液化した溶液を気体イオンに変換するように動作可能な公知の電気スプレー式イオン化(ESI)装置である。コンピュータ38は脱溶媒和領域226の作動時間を制御しそれによって試料のイオン化結果を制御するように動作可能である。ポンプ232は従来知られているようにイオン源領域32を加圧するように動作可能であり、脱溶媒和領域226は液化した溶液を気体イオンに変換するように動作可能である。本発明によれば、試料源220はDNA、RNA、種々のタンパク質、炭水化物、グリコ共役体等のいずれかの大きさの生体分子を含有する溶液を含むであろう。
【0056】
ここで
図7Cを参照すると、
図4及び5のいずれかの装置の実施例のイオン源74の他の実施例74″′が示されている。実施例74″′は試料源236を含むが、これは前出の
図7Aあるいは7Bに示される試料源74′あるいは74″でもよく、M本の信号線76Eを介してコンピュータ38によって上述したように制御されるが、ここでMはNより小さい整数である(
図4及び5参照)。
【0057】
イオン源74″′はさらにIMS34のイオン源236とイオン入口開口68との間にイオントラップ152を含む。イオントラップ152は
図5に示され上述したのと同じ公知の4極子イオントラップであるのが好ましい。それゆえここではイオントラップ152の動作の詳細な説明は繰り返す必要はない。端側キャップ154は信号線路240を介して電圧源VS9238に連結され、中心リング162は信号線路244を介して電圧源VS10242に連結され、端側キャップ170は信号線路248を介して電圧源VS11246に連結されている。VS9、VS10及びVS11はそれぞれ信号線路76F、76G及び76Hを介してコンピュータ38に連結されている。コンピュータ38はそれぞれ
図5のVS6、VS7及びVS8に関して説明したのと同じようにVS9、VS10及びVS11を制御するように動作可能である。
【0058】
動作時に、コンピュータ38はイオントラップ152を、ここにイオン塊を収集し、収集されたイオンをここからIMS34のイオン入口開口68に向かって選択的に排出するように、前述したのと同様にして制御するように動作可能である。従来知られているように、IMS34のようなイオン移動度による装置のピーク分解能は装置へのイオンの入力パルスの長さによって制限される。一般的に、移動度のピークは入力イオンパルスの時間の長さよりよく分解することはできない。特にESIを用いることに伴う欠点は、分析するのに十分なイオンを生ずるために入力イオンパルスの幅が典型的には少なくとも50μsでなければならないことである。しかしながら、
図7Cに示されるイオン源装置74″′の場合に、コンピュータ38はイオンをIMS34内にパルスを与える前に多数のイオンをイオントラップ152内に収集するよう動作可能である。十分な数のイオンがイオントラップ34に収集されると、イオン入力パルスの長さと、それゆえIMS34の分解能とに対する唯一の制限は、イオントラップ152を開閉するのに必要な時間となる。既存のイオントラップでは、イオン入力パルスの長さは持続時間が1.0μs以下に減少するであろう。
【0059】
図8A及び8Bはマルトテトラオーゼの試料についてのイオン移動度の分布の比較を示しており、ここで
図8Aのスペクトル250は、
図7Bに示されたのと同様なESI源を用いて、20μsの持続時間で100083個の入力パルスで形成されたものである。
図8Bのスペクトル252は、
図7Cに示されたイオントラップ152と同様なイオントラップとともに、
図8Aに関して用いられたのと同じESI源を用いて、1μsの持続時間で4003個のパルスで形成されたものである。スペクトル250と比較して、スペクトル252は信号強度が4〜5倍増大し、分解能が約20倍、またSN比も約20倍増大している。
【0060】
再び
図7Cを参照すると、イオントラップ152はIMS34の分解能及び感度を増大させるだけでなく、
図4及び5のハイブリッド型装置30あるいは150のいずれかの分解能及び感度を高めるために、いずれかの公知のイオン発生源とともに用いられよう。
【0061】
ここに図示及び説明したイオン移動度及び飛行時間によるハイブリッド型質量分析器のいずれかの実施例は多くの異なる動作モードで動作し得ることが理解されよう。例えば、本発明の種々の実施例の構造及び動作はここでは第1の動作モードに従って説明したが、この場合は比較的低いエネルギーのイオンが発生しハイブリッド型装置内に排出され、これからイオンに関する構造情報が得られる。
【0062】
第2の動作モードでは、このようなイオンがより高いエネルギーでハイブリッド型装置内に排出されるが、この場合IMS34内の緩衝気体との高いエネルギーの衝突によりイオンの細分が生ずる。このような場合に、イオンの移動度の関数として時間的に分離された細分されたイオン部分が装置のTOFMSの部分に供給され、ここで順序規定分析のために種々の細分されたイオン部分についての質量スペクトル情報が得られよう。あるいは、このような分析のためのイオンの細分は多くの他の公知の手法のいずれかによりなされよう。このような他の公知のイオン細分の手法の例は酵素分解、光分解、可変の温度源60の制御でのドリフト管40の加熱等による熱解離、電子衝撃解離、表面生成解離及び黒体赤外放射により生ずる解離を含む。
【0063】
第3の動作モードにおいて、特定の質量のイオンだけがハイブリッド型装置によって処理されよう。特定の質量のイオンだけを生ずる1つの方法は、IMS34の前側に配置されたイオントラップの中心リングの電圧源のピーク振幅及び/またはDC電圧を調節することである。この電圧を適当に調節することにより、イオントラップ152は特定の質量電荷比を有するイオンだけをここに蓄積する形になろう。このようにして、イオントラップ152はイオンフィルターとして作用する。特定の質量のイオンだけを分析する他の方法は、IMS34とTOFMS36との間にイオントラップ152を設け、ここに説明したイオントラップ152が所望でない質量電荷比を有するイオンを除外するフィルター作用をなすように制御することである。
【0064】
第4の動作モードにおいて、特定の質量だけの高いエネルギーのイオンがIMS34に導かれる。そこでこのイオンが細分され、それからこの細分された部分がさらに上述したようにFMS36によって処理されよう。
【0065】
ここで
図9を参照すると、第2の動作モードに関して上述したのと同様にして順序規定分析を行うのに特に適した、本発明によるイオン移動度及び質量の分析装置300の1つの好ましい実施例が示されている。装置300のいくつかの部分は
図4及び5に関して図示及び説明したのと同じであり、したがってその構造及び動作の詳細はここでは簡略にするために省略されよう。例えば、装置300はイオン移動度分析器(IMS)に連結されて動作するイオン源32を含み、ここでIMS34は上述したようにポンプ80の動作により制御可能な緩衝気体源46を含む。装置300はさらに上述したIMS34からイオンを受け取る形の、好ましくは飛行時間質量分析器とした、質量分析器(MS)36を含む。しかしながらこの実施例において、IMS34のドリフト管軸(
図9には示されていない)及びTOFMS36の飛行管軸(
図9には示されていない)は相互に対して所望の角度をなして配置されよう。TOFMS36に対するIMS34の垂直でない配置形態(すなわち
図4に示されるのとは異なる形態)では、TOFMS36のイオン加速領域(グリッド86、94及び102の間の)が連続的に作動し、あるいはパルス状になっている場合に、上述したようにイオントラップ152(
図5参照)は必要とされないことが実験により判定されている。言い換えると、TOFMS36のイオン加速領域が自由動作モードで連続的なパルス状になっていれば、タイミングのためにイオントラップ152にイオンが収集される必要がない。したがって、TOFMSの飛行管軸に対するIMSのドリフト管軸のいずれの垂直方向あるいは垂直でない方向の配置形態のものからもイオントラップ152が省略されるが、本発明では、トラップ152がTOFMS36の入口に近接して配置されるような所望の形態において、このようなイオントラップ152が任意に用いられることを考えている。
【0066】
装置300はさらにメモリー312を有するコンピュータ310を含む。上述したように、コンピュータ310は信号線路48を介して緩衝気体源46内の緩衝気体#1の流量を制御するように動作可能であることが好ましく、さらに信号線路82を介してIMS34のポンプ80を制御し信号線路132を介してTOFMS36の真空ポンプ130を制御するように動作可能であることが好ましい。上述したように、コンピュータ310はまたN本の信号線路76(Nはいずれかの整数)を介してイオン源32を制御するように動作可能であり、さらに信号線路124を介してTOFMS36からイオン検出信号を受け取りこの信号を処理して例えばイオン移動度に対するイオン質量のような2次元イオンスペクトルを生ずるように動作可能である。
【0067】
装置300は信号線路316
1−316
Jを介してコンピュータ310に連結されたJ個の電圧源314
1−314
Jを含む。電圧源314
1−314
Jは対応する信号線路318
1−318
Jを介してIMS34に接続されて動作する。動作時にコンピュータ310は電圧源314
1−314
Jを制御しそれによって上述したようにIMS34の動作を制御するように動作可能である。装置300はさらに信号線路332
1−332
Mを介してコンピュータ310に接続された他のM個の電圧源330
1―330
Mを含む。電圧源330
1−330
Mは対応する信号線路334
1−334
Mを介してTOFMS36に連結されて動作する。動作時にコンピュータ310は電圧源330
1−330
Mを制御しそれによって上述したようにTOFMS36の動作を制御するように動作可能である。
【0068】
これまで
図9に関して説明した装置300の部分は
図4及び5の装置30及び/または150の前述した部分と同じである。しかしながら、装置30及び150とは異なって、装置300はさらにIMS34のイオン出口に連結されたイオン入口と公知の構成の衝突セル304のイオン入口に連結されたイオン出口とを有する4極子質量フィルター302を含む。衝突セル304のイオン出口はTOFMS36のイオン入口、すなわち
図4及び5に示されるTOFMSのプレートないしグリッド86と94との間に形成されるイオン加速領域に連結されている。衝突セル304は緩衝気体源306を含むが、ここで、好ましくは
図4の緩衝気体源46のコンピュータ制御に関して上述したようにして、緩衝気体#2の流量が信号線路307を介してコンピュータ310により制御される。あるいは、緩衝気体源306が省略され、緩衝気体源46が
図9に点線で示されるように管路305を通じてセル304に緩衝気体#1を供給するような形態としてもよい。衝突セル304はさらに公知の構成のポンプ308を含み、その動作は信号線路309を介してコンピュータ310により制御される。従来知られているように、ポンプ308は衝突セル304内に所望の量の緩衝気体を設定して維持するように制御され、さらに緩衝気体のセル304を排出するように制御されよう。あるいは、構造308は手動的に作動可能な、あるいはコンピュータで制御される弁を表してもよい。この場合、弁308は衝突セル304内に所望の量の緩衝気体#2を設定して維持するように制御され、あるいは4極子質量フィルター302及び衝突セル304内に所望の量の緩衝気体#1を設定して維持するように制御されよう。
【0069】
K個の電圧源320
1−320
Kが設けられ、ここでKはいずれかの整数であり、ここで電圧源320
1−320
Kの制御入力部は対応する信号線路322
1−322
Kを介してコンピュータ310に接続されている。電圧源320
1−320
Kの出力部は、
図11及び12に関連して以下により詳述するようにして、対応する信号線路324
1−324
Kを介して4極子物質フィルター(QMF)302に接続され動作する。L個の電圧源326
1−326
Lが設けられ、ここでLはいずれかの整数であり、電圧源326
1−326
Lの制御入力部は対応する信号線路328
1−328
Lを介してコンピュータ310に接続されている。電圧源326
1−326
Lの出力部は公知のようにして対応する信号線路329
1−329
Lを介して衝突セル304に接続され動作する。
【0070】
ここで
図10を参照すると、本発明による、
図4、5及び9に示されたいずれかの装置とともに用いるための他の好ましい構造のイオン源32の断面が示されている。イオン源32は壁部ないし仕切り355によりイオン収集チャンバ354から分離されたイオン源チャンバ350を含む。イオン源チャンバ350はこれに連結された管路352を有する通口を含み、ここで管路352は領域350内の気体圧力を変化させるための公知の構造のポンプないし弁に連結されるのが好ましい。イオン源74が領域350内に配置され、イオン源74は
図74A−74Cに関連して上述したいずれかのイオン源74′、74″あるいは74″′及び/またはその組合せでもよい。壁部ないし仕切り355はイオン源74のイオン出口に位置合せされ、また好ましくはIMS34のドリフト管40縦方向の軸にも位置合せされた開口353を含み、ここで開口353はイオン収集チャンバ354へのイオン入口をなしている。導電性グリッドあるいは一連の垂直方向または水平方向に平行な線356(以下「グリッド」という)がIMS34のイオン入口開口68に交差して配置されており、ここでグリッド356は信号線路318
1を介して1つの電圧源314
1に接続されている。コンピュータ310は従来知られているようにグリッド356の電圧を制御しそれによってイオンがIMS34に入るのを許容しまた禁止するように動作可能である。例えば、コンピュータ310は電圧源314
1を作動させることによりIMS34内にイオンが入るのを禁止しそれによってグリッド356の近くのイオンがこれに引き寄せられ接触して中性化するように動作可能である。逆に、コンピュータ310は電圧源314
1を作動停止することによりIMS34内にイオンが入るのを許容しそれによってイオンがこれを通過可能になるように動作可能である。あるいは、信号線路318
2を介してガードドリング50に接続された電圧源320
2によってイオンのゲーティング作用が行われてもよく、ここでコンピュータ310はイオンがドリフト管40を通過するのを禁止するのが望ましい時にイオンをガードリング50に引き寄せるように電圧源320
2を制御するように動作可能である。この場合に、グリッド356及び電圧源320
1は
図10から省略されよう。あるいはまた、開口68にわたって電圧を付与しそれによってその間に電界を形成することによりイオンのゲーティング作用が行われるようにしてもよい。この場合に、コンピュータ310はイオンがドリフト管40を通過するのを禁止するのが望ましい時にイオンをガードリング50に向けるように開口68にわたる電圧を制御するように動作可能である。例えばいずれかの公知の電気的、機械的及び/または電気機械的な手段を含む、イオン入口開口68を通してイオン収集チャンバ354からイオンをパルス状にするいずれの公知の手法を用いてもよいこと、このような手法のいずれも本発明の範囲に入ることが当業者に理解されよう。
【0071】
いずれの場合にも、イオン収集チャンバ354は、IMS34に入る前にイオン源74によって生ずる多量のイオンの収集を行うという点において、作用的に
図7Cのイオントラップ152と同様である。イオン源74及びグリッド356あるいはそれと同等のものを適切に制御することによって、IMS34に入るイオンの両がそれに応じて制御されよう。
【0072】
ここで
図11を参照すると、
図9の切断線11−11に沿って見た4極子質量フィルター(QMF)302の断面が示されている。QMF302は4本の導電性の棒ないしプレート360、362、364及び366を含み、これらはQMF302を通って延びる縦方向の軸365から等間隔に配置されるのが好ましい。2本の対向する棒360及び362は信号線路324
1を介して電圧源320
1に電気的に接続されており、ここで電圧源320
1は信号線路322
1を介してコンピュータ310に接続された制御入力部を有している。信号線路324
1は信号線路368を介して公知の構造の信号位相シフター366に接続されており、ここで位相シフター366の信号出力部は他の2本の対向する棒364及び366に電気的に接続されている。コンピュータ310は、好ましくはラジオ周波数(RF)の電圧源である電圧供給部320
1を制御しそれによって棒360及び362に加わるRF電圧を制御するように動作可能である。位相シフター366は信号線路368に加わるRF電圧の位相を180°だけシフトさせこの位相シフトされたRF電圧を信号線路324
2に供給するように動作可能であるのが好ましい。あるいは位相シフター366は、180°だけ位相がシフトしていることを除いて電圧源320
1によって生ずるのと同じRF電圧を生ぜしめるようにコンピュータ310によって制御可能である第2のRF電圧源に代替されることが当業者に理解されよう。いずれの場合にも、信号線路324
1及び324
2はそれぞれ信号線路324
3及び324
4を介して電圧源3202に電気的に接続されており、この電圧源320
2は信号線路322
2を介してコンピュータ310に接続された制御入力部を有する。電圧源320
2はコンピュータ310により制御可能でありそれによって棒の対360/362及び364/366の間にDC電圧を印加するDC電圧供給部であるのが好ましい。
【0073】
QMF302の動作時に、棒360−366に加わるRF電圧がイオンを棒の対360/362及び364/366に交互に引き付け、ここでイオンの質量電荷比(m/z)の減小に応じてこの吸引力が増大する。m/zがある閾値より小さい場合(すなわちより軽いイオンの場合)、イオンが棒360−366のうちの1本に接触するようになり、それに応じて中性化しあるいは排出される。あるm/zの値より低ければイオンが中性化されるという場合にそのm/zの値は従来知られているようにRF信号の強度及び周波数によって決定される。棒360−366に加わるDC電圧は同様にイオンを引きつけ、m/zの値が増大するとともにこの吸引力は増大する。m/zがある閾値より大きい場合(すなわちより重いイオンの場合)、イオンが棒360−366のうちの1本に接触するようになり、それに応じて中性化する。あるm/zの値より高ければイオンが中性化されるという場合にそのm/zは従来知られているようにDC信号の強度によって決定される。
図12を参照すると、QMF302のイオン出口におけるイオン強度のプロット370は、棒360−366に加わるRF及びDC電圧によりm/zの最小値m/z
1より大きくm/zの最大値m/z
2より小さいm/zの値を有するイオンだけがQMF302を通過することとなることを示している。かくしてQMF302は帯域フィルターとして作用し、m/zの値の通過帯域はRF電圧供給源3201の動作強度及び周波数を制御しDC電圧供給源3202の動作強度を制御することによりコンピュータ310によって制御される。本発明の重要な面によれば、コンピュータ310は、ある動作条件において、以下により詳細に説明するように、IMF34から衝突セル304に通過するイオンのm/zの値を制御するように動作可能である。
【0074】
衝突セル304は公知の構成のものであり、これに緩衝気体を充填し、またこれから緩衝気体を排出することは公知のようにしてコンピュータ310によって制御されるのが好ましい。あるいは、セル304への緩衝気体の充填及び排出は公知の手段で手動的に制御してもよい。いずれの場合にも、セル304に緩衝気体が充填されるとQMF302によりこれに与えられるイオンが緩衝気体との衝突を受け従来知られるように親イオンから多数の娘イオンへの細分が生ずる。好ましい実施例において、衝突セル304の内部構造は、衝突セル304が4本でなく8本の棒(極)を含みそれに応じて8極子衝突セルと称することを除いて
図11に示される4極子質量フィルターと同様である。電圧源326
1−326
Lのうちの少なくとも1つは2対の対向する4本の極の間に接続されたRF電圧源であるのが好ましく、ここでコンピュータ310はRF電圧源を制御しそれによってイオンをその中心に集中させてQMF302とMS36との間に低損失のチャネルないし管を与えるように動作可能である。セル304の緩衝気体は例えばアルゴン、ヘリウムあるいはキセノンとされるが、本発明では上述したように緩衝気体306あるいは46によりセル302に与えられる他の気体を用いることも考えられる。あるいは本発明では衝突セル304が所望のトラップ極数(4重極、6重極等)に応じた形態にしてもよい。あるいはまた、衝突セル304はトラップによらない気体衝突セルの形態でもよい。いずれの場合にも、このような衝突セル装置の重要性は入ってくる親イオンから娘イオンへの細分を行う能力にあることが当業者に理解されよう。
【0075】
ここで
図13を参照すると、本発明による、
図9に示される装置300を用いて順序規定を行うためのための工程400を示す1つの好ましい実施例が示されている。工程400はカウンタの変数Aが任意の初期の数(例えば1)に等しく設定されるステップ402で始まる。その後にステップ404において、衝突セル304が公知の方法で手動的に、あるいはコンピュータ310に制御されて緩衝気体を排出される。しかしながら、最初にセル304に緩衝気体が存在しなければステップ404は避けられよう。その後にステップ406においてコンピュータ310はいずれかのm/zの値を有するイオンを通過させるためQMF302を制御するように動作可能である。1つの実施例において、コンピュータ310は電圧源3201及び3202を作動停止しそれによって全通過動作モードで、すなわちQMF302が全てのm/zの値を有するイオンを通過させるように、QMF302を動作させることによってステップ406を行うように動作可能である。
【0076】
工程400はステップ406からステップ408に続き、ここでコンピュータ310はイオン源74を作動させそれによって適当な試料源からのイオンの発生を開始するように動作可能である。その後にステップ410において、制御コンピュータ310は所定の時間だけイオンゲート356(
図10)にパルスを与えそれによって気塊状イオンが収集チャンバ354からIMS34に入るのを許容し、上述したようにMS36のイオン加速領域に連続的にパルスを与えそれによってMS36を自由動作モードで動作させるように動作可能である。
図10に示されるのとは異なるイオン源32の実施例(例えば、
図7A及び7Bのイオン源)を用いれば、ステップ408及び410は、1つのステップでコンピュータ310がイオン源を作動させて気塊状イオンをIMS34に供給するように動作可能になるように結合されることが当業者に理解されよう。いずれの場合にも、工程400はステップ410からステップ412に続き、このステップで上述したようにイオンがIMS34及びMS36を通過することにより生ずるイオンドリフト時間(すなわちイオン移動度)に対するイオン飛行時間(すなわちイオン質量)のスペクトルが観測される。
【0077】
ここで
図14A−14Dを参照すると、ステップ410及び412のグラフの例が示されている。
図14Aの信号450はイオンゲート356における電圧を表し、ここでコンピュータ310はステップ410においてゲート356にパルスを与えて所定の時間不作動状態にしそれによって気体イオン塊がIMS34に入るのを許容するように動作可能である。
図14Bの信号452はTOFMS36のイオン加速領域における電圧を表し、ここでコンピュータ310はステップ410において自由動作状態でイオン加速領域にパルスを与えそれによってイオンまたはイオンの部分をイオン検出器に向かって周期的に加速するように動作可能である。イオンゲート信号450の典型的な作動停止時間の値は100μsであり、TOFMS信号452の典型的な作動時間の値は3μsであり、典型的なTOFMS信号作動の間の時間は100μsである。しかしながら、本発明では前出の信号の持続時間として他の値を考えており、用いられる実際の信号持続時間は典型的には試料の種類、分析モード、求める情報当を含む多くの要因に支配されることが理解されよう。いずれの場合にも、
図14Cの信号454はQMF302の作動状態を表し、ここでコンピュータ310はステップ410及び412を通してQMF302を不作動ないし全通過の状態に維持するように動作可能であり、すなわちQMF302がいずれのm/zの値を有するイオンをも通過させるように動作可能である。最後に、イオン飛行時間(イオン質量に対応する)に対するイオンドリフト時間(イオン移動度に対応する)のスペクトル456がステップ412で生成したイオンスペクトルの一例を表す
図14Dに示されている。
【0078】
図14Dのスペクトル456を綿密に観察すると、イオンa、b及びgはドリフト時間において他のいずれのイオンとも重ならず、イオンc及びdとイオンe及びfとはそれぞれのドリフト時間において重なっている。イオンc及びdはほぼ同じ時間(3.5μs)で衝突セル304に一致して到着し、イオンe及びfはほぼ同じ時間(4.8μs)で衝突セル304に一致して到着するであろう。衝突セル304に緩衝気体が充満していてイオンの細分が生ずると、TOFMS36はイオンcに由来する親イオン及び娘イオンとイオンdに由来するものとを正確に識別できず、同様にイオンeに由来する親イオン及び娘イオンとイオンfに由来するものとを正確に識別できないであろう。しかしながら、このような重なりが生じなければ、前出の問題は起こらないであろう。本発明の重要な面によれば、工程400は、ステップ412からイオンドリフト時間における重なりが明らかでなければQMF302が全通過モードで動作するようにしてそれに続く配列順序決定分析を(細分により)行うような形態であるが、また、いずれか1つのドリフト時間において重なるもの以外の全てのイオンをQMF302が選択的にフィルタリングして除外するようにしてそれ以後の配列順序決定分析を(細分により)行うように動作可能である。後者の場合、最初のスペクトル(
図14D)における全てのイオンについて細分のスペクトルが生ずるまで配列順序決定分析が反復される。かくして
図14Dの例において、衝突セル304に緩衝気体を充填しQMF302を、例えば生成した細分スペクトルがイオンa、b、c、e及びgの細分スペクトルを含むように、イオンd及びfを選択的にフィルタリングして除外するように動作させることにより順序規定の分析が行われる。順序規定の分析は、生成する細分スペクトルが少なくともイオンd及びfの細分スペクトルを含むように選択的にイオンc及びeをフィルタリングして除外するようにQMF302を制御することによって反復される。一般的に、
図14Dのスペクトル456を生成するために、いずれの試料に関しても、装置300はイオン発生/スペクトル生成の手順をZ+1回行わなければならず、ここでZはドリフト時間におけるイオンの重なりの最大の数であり、「1」は装置300の最初の動作を表す。
図14、15及び16に示される例において、ドリフト時間におけるイオンの重なりの最大の数は2である(例えば、2つのイオンcとdとがドリフト時間において重なり、2つのイオンfとeとがドリフト時間において重なる)ので、装置300はイオン発生/スペクトル生成の手順を3回行わなければならない。
【0079】
再び
図13を参照すると、工程400はステップ412及びステップ414から続き、ここで工程400は現在の値Aを付された部分工程に向かう。工程400で最初の時にA=1であり、工程400はステップ416にジャンプする。その後ステップ418において、衝突セル304に緩衝気体源306(あるいは緩衝気体源46)からの緩衝気体が充填される。ステップ404の場合と同様にステップ418は手動的に、あるいはコンピュータ310の制御を受けて行われよう。いずれの場合にも、工程420はステップ418からステップ420に進み、ここでイオンパケットのドリフト時間に重なりが存在するか否かの決定がなされる。ステップ420は手動的にスペクトル456(
図14D)を観測することにより行われるのが好ましいが、本発明ではステップ420が公知の手法によって自動化されること、それゆえにコンピュータ310により行われることも考慮している。いずれの場合にも、ステップ412で生成されるスペクトルにおいてイオンドリフト時間に重なりがなければ、ステップ408−412が反復され、細分された親イオン及び娘イオンのスペクトルが生成され、ここで細分された親イオン及び娘イオンのスペクトルはさらに配列順序決定のために分析されよう。しかしながら、最初にステップ412を行った時にイオンドリフト時間の重なりが観測される場合、工程400はステップ420からステップ422に続き、ここでQMF302は観測された、重なっている観測されたドリフト時間に基づいて所望のm/zの値を選択的にフィルタリングして除外するような形態になっている。その後に、工程のカウンタAが歩進してステップ408−412が反復される。
【0080】
ここで
図15A−15Dを参照すると、ステップ422及びステップ408、410及び412による第2の過程が示されている。イオンゲート信号450及びTOFMS信号452は
図14A及び14Bに示されるのと同じであるが、QMF信号458はイオンc及びdのドリフト時間にわたる時間間隔の作動パルス458
1とイオンe及びfのドリフト時間にわたる作動パルス458
2とを含む。作動パルス458
1及び458
2はQMF302の一信号作動(すなわち「トリガリング」)を表すものではなく、既知のイオンドリフト時間に対するQMF302の作動時間を表すものであり、ここでコンピュータ302は各々の作動時間に上述したように電圧源320
1及び320
2(
図11)を制御しそれによって所望のm/zの値を有するイオンだけを通過させ他のいずれかのm/zの値を有するイオンをフィルタリングして除外するように動作可能である。
図15Dに示されるスペクトルの例において、コンピュータ310は作動時間458
1の間イオンcの場合と等しいm/zの値を有するイオンだけを通過させるようにQMF302を制御してイオンdが効果的にフィルタリングされ除外されるように動作可能である。同様に、コンピュータ310は作動時間458
2の間イオンeの場合と等しいm/zの値を有するイオンだけを通過させるようにQMF302を制御してイオンfが効果的にフィルタリングされ除外されるように動作可能である。工程400の1つの好ましい実施例において、コンピュータ310が他の全ての時間に全通過モードで動作可能でありそれによっていずれのm/zの値を有するイオンも通過させる。他の実施例において、コンピュータ310は各々のイオンのドリフト時間に応じた期間にQMF302を順次制御するように動作可能であり、ここでコンピュータ310がこの期間に関心のあるイオンとm/zの値が等しくなるイオンだけを通過させるようにしてもよい。かくして、
図15Dに示されるスペクトルの例460に関して、コンピュータ310は、イオンaのドリフト時間にQMF302を作動させてイオンaとm/zの値が等しくなるイオンだけを通過させ、イオンbのドリフト時間にQMF302を作動させそれによってイオンbとm/zの値が等しくなるイオンだけを通過させ、イオンc及びdのドリフト時間にQMF302を作動させてイオンcとm/zの値が等しくなるイオンだけを通過させ、以下同様にする、というように動作可能とされよう。いずれの場合にも、
図15Dのスペクトル460が生成し、ここで衝突セル304においてイオンa、b、c、e及びgの細分により生じた各々の親イオン及び娘イオンの飛行時間が明確に分解される。これらの飛行時間から、各々の細分されたイオンのm/zの値が公知の手法によって決定されよう。
【0081】
再び
図13を参照すると、工程400はステップ412の2回目の実行からステップ414に進み、ここで工程400はカウント変数Aの最新の値を付した工程部分に向かう。この場合、A=2であるので、工程400はステップ426に向かう。その後にステップ428において、
図15Dのスペクトル460でまだ算定されていないイオンパケットがあるか否かについての決定がなされる。好ましい1つの実施例において、ステップ428はスペクトル456及び460の検査により手動的に行われるが、本発明ではステップ428が公知の方法で自動化され、それに応じてコンピュータ310によって行われることも考えている。いずれの場合にも、ステップ428において算定されていないイオンパケットがないと判定されると、工程400はステップ432に進み、ここで工程400が終了する。他方で、ステップ428においてスペクトル460にまだ算定されていないイオンパケットが少なくとも1つあると判定されると、工程400はステップ430に進み、ここでQMF302は観測された、重なっているドリフト時間に基づいて所望のm/zの値を選択的にフィルタリングして除外するような形態になっている。その後にステップ408−412が再び反復される。
【0082】
ここで
図16A−16Dを参照すると、ステップ430と、ステップ408、410及び412の3回目の過程とが示されている。イオンゲート信号450及びTOFMS信号452は
図14A及び14Bに示されるものと同じであるが、QMF信号462はイオンc及びdのドリフト時間にわたる期間の作動パルス462
1とイオンe及びfのドリフト時間にわたる作動パルス462
2とを含む。ここでも、作動パルス462
1及び462
2はQMF302の一信号作動(すなわち「トリガリング」)を表すものではなく、既知のイオンドリフト時間に対するQMF302の作動時間を表すものであり、ここでコンピュータ302は各々のこの作動時間に上述したように電圧源320
1及び320
2(
図11)を制御しそれによって所望のm/zの値を有するイオンだけを通過させ他のいずれのm/zの値を有するイオンもフィルタリングして除外するように動作可能である。
図16Dに示されたスペクトルの例において、コンピュータ310は作動時間462
1にイオンdとm/zの値が等しくなるイオンだけを通過させるようにQMF302を制御してイオンcが結果的にフィルタリングされ除外されるように動作可能である。同様に、コンピュータ310は作動時間462
2にイオンfとm/zの値が等しくなるイオンだけを通過させるようにQMF302を制御してイオンeが結果的にフィルタリングされ除外されるように動作可能である。工程400の1つの好ましい実施例において、コンピュータ310は他の全ての時間に非通過モードありそれによっていずれのm/zの値を有するイオンも通過することを禁止するように動作可能である。他の実施例において、コンピュータ310は各々のイオンのドリフト時間に応じた期間に順次QMF302を制御するように動作可能であり、ここでコンピュータ310がこの期間に関心のあるイオンとm/zの値が等しくなるイオンだけを通過させるよう動作可能であるようにされよう。かくして、
図16Dに示されるスペクトルの例において、コンピュータ310がさらにイオンa、b及びgのドリフト時間にQMF302を作動させてそれぞれイオンa、b及びgとm/zの値が等しくなるイオンだけを通過させるように制御可能である。これはa、b及びgの親/娘イオンの過剰な飛行時間情報となるが、このような動作はスペクトル464から得られるデータに基づく正確なチェックとなる。最初の場合、
図16Dのスペクトル464が生成し、ここで衝突セル304におけるイオンd及びfの細分により生ずる各々の親/娘イオンの飛行時間が明確に分解する。後者の場合、
図15Dのスペクトル460と同様なスペクトルが生成し、ここで衝突セル304におけるイオンa、b、d、f及びgの細分により生ずる各々の親/娘イオンの飛行時間が明確に分解する。いずれの場合にも、各々の細分されたイオンのm/zの値が対応するそれらの飛行時間から公知の手法によって決定される。
【0083】
図面及びこれまでの説明で発明を図示及び説明したが、これは例示的なものであり、その特徴を制限するものではない。ただ好ましい実施例を図示及び説明したものであり、本発明の思想の範囲内にある全ての変形、変更が保護されることが望まれる。例えば、
図17を参照すると、
図9のイオン移動度及び質量の分析装置を変形したものが示されており、ここでイオントラッピング、イオン質量フィルタリング及びイオン細分作用が、本発明により、イオン源32,イオン移動度装置34及び飛行時間による質量分析器36に関して異なる配置状態にされよう。第1の特定の例において、構造体500は上述したQMF302のような4極子の質量フィルターを表し、構造体502及び504は省略してもよく、構造体506は衝突セル304のような衝突セルを表す。この実施例において、イオンをIMS34に注入する前にイオン質量選択が行われ、IMS34とTOFMS36との間でイオン細分がなされる。第2の特定の例において、構造体500は上述したQMF302のような4極子の質量フィルターを表し、構造体502は上述したイオントラップ152のようなイオントラップを表し、構造体504は省略され、構造体506は上述した衝突セル304のような衝突セルを表す。この実施例において、イオン源32により生じたイオンに対して質量選択が行われ、質量選択されたイオンがIMS34への注入の前にイオントラップ152に収集される。上述したように衝突セル304において細分が行われる。さらに、あるいはまた、上述したように、イオントラップ152に適当な緩衝気体が供給される場合(図示せず)従来知られるようにイオントラップ152において、及び/またはIMS34において、細分が行われてもよい。第3の特定の例において、構造体500は上述したQMF302のような4極子質量フィルターを表し、構造体502は上述した衝突セル304のような衝突セルを表し、また構造体504及び506は省略される。この実施例において、イオン源32によって生じたイオンに対して質量選択が行われ、質量選択されたイオンはIMS34への注入の前に衝突セル304において細分される。細分は付加的にあるいは代替的にIMS34において行ってもよく、また、あるいは、IMS34によって供給されたイオンをさらに細分するために付加的な衝突セルが構造体506として設けられよう。第4の特定の例において、構造体500は上述したQMF302のような4極子質量フィルターを表し、構造体502は上述したイオントラップ152のようなイオントラップを表し、構造体504は上述した衝突セル304のような衝突セルを表し、構造体506は省略される。この実施例において、イオン源32によって生じたイオンに対して質量選択が行われ、その後にイオントラップ152内での質量フィルタリングされたイオンの衝突が生じ、その後にイオンのIMS34への注入より前にトラップ152内及び/または衝突セル304内で衝突したイオンの細分が行われる。さらに細分がIMS34内で行われ、また、あるいは、構造体506はTOFMS36内へのイオンの注入より前にさらにイオン細分するための付加的なイオン衝突セルとなろう。一般的に、イオンの質量選択及びイオンの細分はイオン源32、IMS34及びTOFMS36に対して複数の、種々の位置で生ずることが理解されよう。さらに、本発明の範囲を離れずに、IMS34は概略的に上述したような公知の気体クロマトグラフィー、あるいは公知の液体クロマトグラフィーの形態としてもよいことが理解されよう。
【0084】
ここで
図18を参照すると、本発明のイオン移動度及び質量の分析装置のさらに他の実施例600が示されている。本発明のこの面によれば、分子分離装置602は飛行時間による質量分析器(TOFMS)34に連結されたイオン移動度分析装置(IMS)34に連結されたイオン源として作用する。分子分離ユニット602とIMS34との間及び/またはTOFMS36の間にイオン質量フィルタリング、イオントラッピング及びイオン細分の作用のうちの1つまたは2つ以上を介在させてもよく、このような組合せのいくつかの特定の例が以下により詳細に説明されよう。しかしながら、このような組合せ(
図17に図示及び説明されたような)についての詳細な説明は単に例示のためのものであり、ここに説明した装置の他の組合せも本発明の範囲内に入ることが理解されよう。また、
図17及び
図18は単に作用ブロックの種々の組合せとして示されているが、このような組合せを実行するには、本発明の種々の実施例の1つまたは2つ以上に関して図示及び説明されるように、典型的には電圧源を介して収容されている1つまたは2つ以上の個々の部分、1種類または2種類以上の緩衝気体、1つまたは2つ以上の真空ポンプ等のコンピュータによる制御が必要となる。このような制御のハードウェアは詳細に前述したので、簡略にするため
図17及び18では省略されている。さらに
図176及び18に示される装置の種々の部分は前述した1つまたは2つ以上の動作モードで動作可能であることがわかる。
【0085】
いずれの場合にも、
図18に示される装置の第1の特定の実施例において、部分604−610が省略され、分子分離装置602は所定の分子特性の関数として分子を時間的に分離するように動作可能ないずれの公知の装置でもよい。これらの組合せられた装置部分により、形成された装置600は前述したいずれの装置に対して時間的に順次に付加的な、あるいは少なくとも異なる分子情報を与えるように動作可能である。この実施例において、分子分離装置602は、所定の分子特性に従って分離するようにイオンを生成するために、イオン源(74、74′、74″、74″′)のいずれか1つまたは2つ以上、あるいはイオン源領域(32、及び
図10に示されるゲートを有する収集チャンバ装置354)を用いてもよい。あるいは、装置602は特定のいずれかの公知の分子またはイオン発生手法を用いてもよく、あるいは所定の分子特性に従って分離するようにイオンを生成するためのいずれかの公知の分子またはイオン発生手法を用いてもよい。
【0086】
1つの実施例において、分子分離装置602は、例えばTOFMS36のような公知の構造の質量分析器である。この実施例において、適当なイオン源からのイオンが最初にイオンの質量/電荷に従って装置602により時間的に分離され、それからイオン移動度の関数としてIMS34により時間的に分離され、それから再びイオンの質量/電荷の関数としてTOFMS36により時間的に分離される。他の実施例において、分子分離装置602は、例えばIMS34のような公知の構造のイオン移動度による装置である。この実施例において、適当なイオン源からのイオンが最初にイオン移動度の関数としてIMS34により時間的に分離され、それから再びイオン移動度の関数として時間的に分離され、それからイオンの質量/電荷の関数として時間的に分離される。この実施例において、2つのカスケード状のイオン移動度による装置602及び34が少なくともわずかに異なる形状になっていて、それにより各々がそれに応じて異なるイオン移動度−時間の情報を与えるのが好ましく、このような異なる形状のいくつかの例が
図19を参照して以下により詳細に説明されよう。
【0087】
さらに他の実施例において、分子分離装置602は、イオン移動度でもイオンの質量/電荷でもない、ある量の関数として分子を時間的に分離しそれによって前述した手法のいずれかの組合せを用いて得られる情報に対して付加的な分子の情報を与えるように動作可能ないずれの公知の装置ないし工程でもよい。言い換えると、前述したように組合せられた装置では、イオンの質量/電荷の情報、イオンの移動度の情報及び他のある分子の特性の関数として時間的に分離されたイオンの情報を含む分子の情報が時間的に順次に得られよう。特殊な例として、分子分離装置602は従来知られるようにして分子
保持時間(あるいは逆に分子移動率)の関数としてイオンを適当なイオン源から時間的に分離するように動作可能な公知の液体クロマトグラフィー装置でもよい。他の例として、分子分離装置602はまた
保持時間あるいは移動率の関数としてイオンを適当なイオン源から時間的に分離するように動作可能な公知の気体クロマトグラフィー装置でもよい。概略的に本発明は分子分離装置602がイオン移動度でもイオンの質量/電荷でもない量で分子(特にイオン)を分離するように動作可能な公知のクロマトグラフィー装置を含むいずれの分子分離装置でもよいと考えており、いずれのこのような装置も本発明の範囲内に入るものと考えられる。
【0088】
図18に示される装置の600の他の特定の実施例において、部分606−610が省略され、分子分離装置602は前述した分子装置の1つまたはそれらの組合せとしてもよく、部分604は衝突セルのようなイオン細分ユニットである。したがって部分604は例えば全て
図9に示されるように衝突セル304のような衝突セルと、気体源46または306のような緩衝気体源または他のイオン衝突促進気体源を含むようにしてもよい。この実施例において、分子分離装置602により時間的に分離されたイオンの少なくとも一部がイオン細分ユニット604に向けられ、ここで衝突セル304についての説明に関して前述したように適当な緩衝気体との衝突及び娘イオンへの細分を受ける。それから娘イオンの少なくとも一部がイオン移動度に従って時間的に分離するようにIMS34に向けられ、それからイオン移動度に従って分離時間的に分離されたイオンの少なくとも一部がイオンの質量/電荷に従って時間的に分離するようにTOFMS36に向けられる。多くのイオン源の例で、細分ユニット604を含むことにより装置602、34及び36だけで得られるよりさらに多くの分子情報が与えられる。
【0089】
図18に示される装置600のさらに他の特定の実施例において、部分604、608及び610が省略され、分子分離装置602は前述した分子装置の1つまたはそれらの組合せでもよく、部分606は
図9及び
図11−12に示されるような4極子質量フィルター302のようなイオン質量フィルタリングユニットである。この実施例において、分子分離装置602により時間的に分離されたイオンの少なくとも一部がイオン質量フィルター606に向けられ、ここで質量フィルター606が所望の質量−電荷比をイオンだけを通過させられるように4極子質量フィルター302についての説明に関して前述したように制御される。それからイオン質量フィルター606を通過するイオンの少なくとも一部がイオン移動度に従って時間的に分離するようにIMS34に向けられ、それからイオン移動度に従って時間的に分離されたイオンの少なくとも一部がイオンの質量/電荷に従って時間的に分離するようにTOFMS36に向けられる。かくしてイオン質量フィルター606を含むことにより関心のあるイオンだけ、すなわち所望の質量−電荷比を有するイオンだけを選択的に分析できるようになる。
【0090】
図18に示される装置600のさらに他の特定の実施例において、部分608及び610が省略され、分子分離装置602は前述した分子装置の1つまたはそれらの組合せでもよい。部分604は衝突セル304及び緩衝気体源46または306を含む
図9に示される衝突セル装置のようなイオン細分ユニットか、4極子質量フィルター302のようなイオン質量フィルタリングユニットのいずれかにしてもよい。部分604がイオン細分ユニットであれば、部分606は4極子質量フィルター302のようなイオン質量フィルタリングユニットであるのが好ましい。この実施例において、分子分離装置602により時間的に分離されたイオンの少なくとも一部がイオン細分ユニット604に向けられ、ここで衝突セル304についての説明に関して前述したように適当な緩衝気体との衝突及び娘イオンへの細分を受ける。それから娘イオンの少なくとも一部がイオン質量フィルター606に向けられ、ここで質量フィルター606が、4極子質量フィルター302についての説明に関して前述したように、所望の質量電荷比を有する娘イオンだけを通過させられるように制御される。それからイオン質量フィルター606を通過するイオンの少なくとも一部がイオン移動度に従って分離するようにIMS34に向けられ、それからイオン移動度に従って分離されたイオンの少なくとも一部がイオンの質量/電荷に従って時間的に分離するようにTOFMS36に向けられる。かくして前述の装置を含むことにより関心のある細分されたイオンだけ、すなわち所望の質量電荷比を有するイオンだけを選択的に分析できるようになる。他方で、部分604がイオン質量フィルタリングユニットであれば、部分606は衝突セル304及び緩衝気体源46または306を含む
図9に示される衝突セル装置のようなイオン細分ユニットであるのが好ましい。この実施例において、分子分離装置602により時間的に分離されたイオンの少なくとも一部はイオン質量フィルタリングユニット604に向けられ、ここで質量フィルター604が、4極子質量フィルター302についての説明に関して前述したように、所望の質量電荷比を有すイオンだけを通過させられるように制御される。それからイオン質量フィルタリングユニット604を通過するイオンの少なくとも一部が細分ユニット606に向けられ、ここで衝突セル304についての説明に関して前述したように、適当な衝突気体との衝突及び娘イオンへの細分を受ける。それからこれらの細分されたイオンの少なくとも一部はイオン移動度に従って時間的に分離するようにIMS34に向けられ、それからイオン移動度に従って時間的に分離されたイオンの少なくとも一部がイオンの質量/電荷に従って時間的に分離するようにTOFMS36に向けられる。かくして前述した装置により関心のあるイオンだけ、すなわち所望の質量電荷比を有するイオンだけを細分しその後にスペクトル分析できるようになる。
【0091】
図18に示される装置600のさらに他の実施例において、部分604−608が省略され、分子分離装置602は前述した分子装置の1つまたはそれらの組合せでもよく、部分610は衝突セルのようなイオン細分ユニットである。従って部分610は、例えば全て
図9に示されるように、衝突セル304のような衝突セルと気体源46または306のような緩衝気体源ないし他のイオン衝突促進気体源とを含むようにしてもよい。この実施例において、分子分離装置602により時間的に分離されたイオンの少なくとも一部がイオン移動度に従って時間的に分離するようにIMS34に向けられ、それからイオン移動度に従って時間的に分離されたイオンの少なくとも一部がイオン細分ユニット604に向けられ、ここで衝突セル304についての説明に関して前述したように適当な緩衝気体との衝突及び娘イオンへの細分を受ける。それから娘イオンの少なくとも一部がイオンの質量/電荷に従って分離するようにTOFMS36に向けられる。この形態は、イオンの質量電荷比に従って時間的に分離する前に、予め規定された分子特性に従って、それからイオン移動度に従って順次時間的に分離されたイオンをさらに細分することができるようにする。多くのイオン源の例で、細分ユニット610を含むことにより装置602、34及び36だけで得られるよりさらに多くの分子情報が与えられる。
【0092】
図18に示される装置600のさらに他の特定の実施例において、部分604、606及び610が省略され、分子分離装置602は前述した分子装置の1つまたはそれらの組合せでもよく、部分608は
図9及び
図11−12に示される4極子質量フィルター302のようなイオン質量フィルタリングユニットである。この実施例において、分子分離装置602により時間的に分離されたイオンの少なくとも一部がイオン移動度に従って時間的に分離するようにIMS34に向けられ、それからイオン移動度に従って時間的に分離されたイオンの少なくとも一部がイオン質量フィルター606に向けられ、ここで質量フィルター606は、4極子質量フィルター302についての説明に関して前述したように、所望の質量電荷比を有するイオンだけを通過させられるように制御される。それからイオン質量フィルター606を通過するイオンの少なくとも一部がイオン質量/電荷に従って分離するようにTOFMS36に向けられる。かくしてイオン質量フィルター608を含むことにより関心のあるイオンだけ、すなわち所望の質量電荷比を有するイオンだけを選択的に分析できるようなる。
【0093】
図18に示される装置600のさらに他の特定の実施例において、部分604及び606が省略され、分子分離装置602は前述した分子装置の1つまたはそれらの組合せでもよい。部分608は、衝突セル304及び緩衝気体源46または306を含む
図9に示される衝突セル装置のようなイオン細分ユニットか、4極子質量フィルター302のようなイオン質量フィルタリングユニットのいずれかでもよい。部分608がイオン細分ユニットであれば、部分610は4極子フィルター302のようなイオン質量フィルタリングユニットであるのが好ましい。この実施例において、分子分離装置602により時間的に分離されたイオンの少なくとも一部がイオン移動度に従って時間的に分離するようにIMS34に向けられる。それからイオン移動度に従って分離されたイオンの少なくとも一部がイオン細分ユニット608に向けられ、ここで衝突セル304についての説明に関して前述したように適当な緩衝気体との衝突及び娘イオンへの細分を受ける。それから娘イオンの少なくとも一部がイオン質量フィルター610に向けられ、ここで質量フィルター610は、4極子質量フィルター302についての説明に関して前述したように、所望の質量電荷比を有する娘イオンだけを通過させられるように制御される。それからイオン質量フィルター606を通過するイオンの少なくとも一部がイオンの質量/電荷に従って分離するようにTOFMS36に向けられる。かくして前述の装置を含むことにより関心のあるイオンだけ、すなわち所望の質量電荷比を有するイオンだけを選択的に分析できるようになる。他方で部分608がイオン質量フィルタリングユニットであれば、部分610は衝突セル304及び緩衝気体源46または306を含む
図9に示される衝突セル装置のようなイオン細分ユニットであるのが好ましい。この実施例において、分子分離装置602により時間的に分離されたイオンの少なくとも一部がイオン移動度に従って時間的に分離するようにIMS34に向けられる。それからイオン移動度に従って分離されたイオンの少なくとも一部がイオン質量フィルタリングユニット608に向けられ、ここで質量フィルターが、4極子質量フィルター302についての説明に関して前述したように、所望の質量電荷比を有するイオンだけを通過させられるように制御される。それからイオン質量フィルタリングユニット608を通過するイオンの少なくとも一部がイオン細分装置610に向けられ、ここで衝突セル304についての説明に関して前述したように適当な緩衝気体との衝突及び娘イオンへの細分を受ける。それからイオン質量フィルタリングユニット610を通過するイオンの少なくとも一部がイオンの質量/電荷に従って時間的に分離するようにTOFMS36に向けられる。かくして前述の装置を含むことにより関心のあるイオンだけ、すなわち所望の質量電荷比を有するイオンだけを細分され、その後にスペクトル分析されるようになる。
【0094】
図18に示される装置600のさらに他の実施例において、前述したような分子分離ユニット602、IMS34及びTOFMS36が含まれ、各々前述したような部分640−610のいずれかの組合せが含まれるようにしてもよい。当業者には関心のある部分604−610の特定の組合せは明らかであり、このような組合せはいずれも本発明の範囲内にあると考えられる。
【0095】
ここで
図19を参照すると、本発明のイオン移動度及び質量の分析装置の他の好ましい実施例700が示されている。本発明のこの面によれば、2つのカスケード状イオン移動度装置704(IMS#1)及び706(IMS#2)がイオン源702と質量分析器36との間に配置されており、ここで質量分析器36は前述したいずれの公知の質量分析装置でもよい。イオン源702は種々のイオン源74、74′、74″及び74″′の1つまたはそれらの組合せ、あるいは前述したイオン源領域32(イオン収集チャンバ354を含む
図10に示されたイオン源装置を含む)でもよい。あるいは、またはさらに、イオン源702は
図18に関して図示及び説明した装置602のような分子分離装置を含み、それによって例えばイオン
保持時間のような予め規定された分子特性に従って予め時間的に分離されたイオンが順次IMS704に導かれるようにしてもよい。制御装置700にはコンピュータ708が含まれるが、これはコンピュータ38(
図4及び5)あるいはコンピュータ310(
図9)と少なくとも構造的に同等であるのが好ましく、また好ましくは装置700の動作に関する情報を内部に蓄積し装置700により生成された情報を蓄積するのに十分な蓄積容量を含むメモリー710を含む。コンピュータ708はN本(Nはいずれかの正の整数)の信号線路758を介してイオン源702に電気的に接続された出力を含み、それによってコンピュータ708が種々の実施例のいずれかに関して前述したようにしてイオン源702を制御するように動作可能である。コンピュータ708はさらに信号線路756を介して質量分析器36のイオン検出器36′の出力部に電気的に接続された入力部を含み、それによってコンピュータ708は装置700でのイオン走行に関する情報を決定する検出器36′により信号線路756上に生ずる
イオン検出信号に応答する。
【0096】
第1のイオン移動度装置704はイオン源702のイオン出口に連結されたイオン入口704′と、イオン出口704″と、その間に形成された長さL1のイオンドリフト管(想像線で示される)とを有し、ここでドリフト管710は
図4のIMS34に関して前述したドリフト管40と構造的に同等のものでよい。コンピュータ708のJ個の出力部(Jは正の整数)はそれぞれの信号線路712
1−712
Jを介して対応する数の電圧源VS
1−VS
Jに電気的に接続されている。電圧源VS
1−VS
Jの方はそれぞれの信号線路714
1−714
Jを介して装置704に電気的に接続されており、ここでコンピュータ708は前述したように電圧源VS
1−VS
Jの適当な制御により装置の動作を制御するように動作可能である。このような電圧源の少なくとも1つ(例えば電圧源VS
1)は
図4に関して前述したようにドリフト管710に電気的に接続されており、ここでコンピュータ708はその電圧源を制御しそれによってドリフト管710内に電界を設定し生成した電界を制御するように動作可能である。
【0097】
ドリフト管710はまた気体源716(気体#1)に流体連結されており、ここで気体#1は公知の緩衝気体であるのが好ましいが、周囲の空気を含む他の気体でもよく、さらに真空ポンプ80に流体連結されている。気体源716は信号線路718を介してコンピュータ708の出力部に電気的に接続され、真空ポンプ80は信号線路720を介してコンピュータ708の出力部に電気的に接続されており、それによってコンピュータ708は前述したように装置704内への、また装置704からの気体#1の流れを制御するように動作可能である。
【0098】
ドリフト管710はさらに線路62を介して可変温度源60に接続された可変温度ハウジング58に取り囲まれている。コンピュータ708の出力部は信号線路64を介して可変温度源60に電気的に接続され、温度源60を制御しそれによって
図4に関して前述したようにドリフト管710の内部の温度を制御するように動作可能である。
【0099】
第2のイオン移動度装置706は装置704のイオン出口704″に連結されたイオン入口706′と、イオン出口706″と、その間に形成された長さL2のイオンドリフト管722(想像線で示されている)とを有しており、ここでドリフト管722は
図4のIMS34に関して説明したドリフト管40と構造的に同等であるようにしてもよい。コンピュータ708のK個の出力部(Kはいずれの正の整数でもよい)はそれぞれの信号線路724
1−724
Kを介して対応する数の電圧源VS
1−VS
Kに電気的に接続されている。電圧源VS
1−VS
Kの方はそれぞれの信号線路726
1−726
Kを介して装置706に電気的に接続され、それによってコンピュータ708は前述したように電圧源VS
1−VS
Kの適当な制御により装置706の動作を制御するように動作可能である。このような電圧源の少なくとも1つ(例えばVS
1)が、
図4に関して説明したように、ドリフト管に電気的に接続され、ここでコンピュータ708はその電圧源を制御しそれによってドリフト管722内に電界を設定し生成された電界を制御するように動作可能である。
【0100】
ドリフト管722はまた気体源728(気体#2)に流体連結され、ここで気体#2は公知の緩衝気体であるが、周囲の空気を含む他の気体でもよく、さらに真空ポンプ80に流体連結されている。気体源728は信号線路730を介してコンピュータ708の出力部に電気的に接続され、真空ポンプ80は信号線路732を介してコンピュータ708の出力部に電気的に接続され、それによってコンピュータ708は前述したように装置706内への、また装置706からの気体#2の流れを制御するように動作可能である。
【0101】
ドリフト管722はさらに線路62を介して可変温度源60に接続された可変温度ハウジング58に取り囲まれている。コンピュータ708の出力部は信号線路64を介して可変温度源60に電気的に接続され、温度源60を制御しそれによって
図4に関して前述したようにドリフト管722の内部の温度を制御するように動作可能である。
【0102】
TOFMS36は信号線路750を介してコンピュータ708の出力部に電気的に接続された真空ポンプ130を含み、それによってコンピュータ708はポンプ130を制御しそれによりTOFMS36内に真空レベルを設定し制御するように動作可能である。コンピュータ708のM個の出力部(Mはいずれかの正の整数)が対応する信号線路752
1−752
Mを介して対応する数の電圧源VS
1−VS
Mに電気的に接続されている。電圧源VS
1−VS
Mの方は対応する信号線路754
1−754
Mを介して装置36に電気的に接続され、それによってコンピュータ708は前述したように適当な電圧源VS
1−VS
Mの適当な制御により装置36の動作を制御するように動作可能である。気体、温度、電圧源、真空ポンプ等の制御がコンピュータ制御されるものとして
図19に関して図示及び説明したが、このようなパラメータ及び構造の1つまたは2つ以上が手動的に制御されるようにしてもよいことが理解されよう。
【0103】
本発明によれば、イオン移動度による分析器704及び706は相互に異なる形態としてそれにより
図4、5及び9に示されるような1つのIMSだけのシステムで得られる分子情報に対して、付加的な、あるいは拡張された分子情報を与えるようにされよう。例えば1つの実施例において、装置704及び706は装置704の長さL1が装置706の長さL2とことなる形態とされる。この実施例の特定の例として、装置704、706及び36がサンプリング率の増大する順に動作しそれによって3次元分子情報を生ずるようにL1かL2より大きくなるようにするのが好ましい。この実施例において、例えばL1はこれを通るイオンドリフト時間が数秒程度となるような大きさとされ、L2はこれを通るイオンドリフト時間が数ミリ秒程度となるような大きさとされ、TOFMS36はこれを通るイオン飛行時間が数マイクロ秒程度となるように形成されよう。かくして装置700を走行通過するイオンパケットは増大するサンプリング率となり、多次元の分子情報を生ずることになる。
【0104】
装置700の他の実施例において、イオン移動度による分析器704及び706可変温度源60はドリフト管710の温度T1がドリフト管722の温度T2と異なるように制御される。概略的に衝突断面積(衝突積分)は、またそれゆえイオン移動度は、低い方の温度より上昇した温度でよりそのように変化する。かくして装置704及び706を異なるドリフト管の温度で動作させることにより、装置700を走行通過するイオンパケットは3つの異なる分離の基準に従い、これにより多次元の分子情報が得られる。さらに他の実施例において、イオン移動度による分析器704及び706の可変温度源60の一方または両方が対応する分析器704及び706の一方または両方での温度勾配を設定するように制御されよう。この特徴によりイオン分離の程度がさらに付加されるようになり、前述した型の1つのイオン移動度による分析装置だけで用いられるようにもなされよう。
【0105】
装置700の他の実施例において、ドリフト管710及び722内に設定される電界は、前述のように、ドリフト管710内の電界E1がドリフト管722内の電界E2と異なるように制御される。低い電界では、電界と緩衝気体の密度との比も低く、緩衝気体との分子の衝突によりそれほどの温度変化は生じない。しかしながら高い電界では、電界と緩衝気体の密度との比が高く、緩衝気体との分子の衝突により熱が発生し、その熱で前述したように衝突積分が変化する。一方のドリフト管における電界が少なくとも対応する緩衝気体とのイオンの衝突により熱が発生するのに十分なだけ高くなっている、異なるドリフト管の電界となるように装置704及び706を動作させることにより、装置700を走行通過するイオンパケットが3次元の分子分離の基準に従い、それにより多次元の分子情報が得られる。本発明によれば、電界E1及びE2の一方は0の電界にして他方を0でない電界としてもよく、あるいは電界E1及びE2の両方を0でない電界としてもよい。さらに他の実施例において、電界E1及びE2のいずれか一方、または両方が電界勾配のような形態とされそれによって対応する一方または両方の分析器704及び706の一方または両方で電界勾配を設定するようにされよう。この特徴によりイオンの分離の程度がさらに付加されるようになり、前述した型の1つのイオン移動度による分析器だけで用いられるようにもされよう。
【0106】
装置700のさらに他の実施例において、ドリフト管710及び722内に設定される気体は、ドリフト管710内の気体#1がドリフト管722内の気体#2と異なるように選択される。概略的に異なる緩衝気体に関して衝突積分が異なり、それぞれのドリフト管710及び722内の異なる気体を有する装置704及び706を動作させることにより、装置700を走行通過するイオンパケットは3次元の分子分離の基準に従い、それによって多次元の分子情報が得られる。本発明によれば、気体#1、気体#2のいずれかを周囲の空気とし他方の気体を公知の緩衝気体としてもよく、あるいは気体#1を第1の公知の緩衝気体とし緩衝気体#2を気体#1と異なる第2の公知の緩衝気体としてもよい。
【0107】
装置700は前述した装置704及び706の形態のいずれの組合せとしてもよく、そのような組合せは全て本発明の範囲内に入ることが理解されよう。