(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5718991
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】粘着拘束のためのガラス系レーザー隆線および関連する方法
(51)【国際特許分類】
G02B 7/00 20060101AFI20150423BHJP
C03C 23/00 20060101ALI20150423BHJP
C03C 27/06 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
G02B7/00 F
C03C23/00 D
C03C27/06 101Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-172155(P2013-172155)
(22)【出願日】2013年8月22日
(62)【分割の表示】特願2010-534939(P2010-534939)の分割
【原出願日】2008年11月10日
(65)【公開番号】特開2014-13403(P2014-13403A)
(43)【公開日】2014年1月23日
【審査請求日】2013年9月24日
(31)【優先権主張番号】11/985,908
(32)【優先日】2007年11月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】アレキサンダー エム ストレルツォフ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ エス サザーランド
【審査官】
森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2007/0201797(US,A1)
【文献】
特開2003−107293(JP,A)
【文献】
特開2001−250258(JP,A)
【文献】
特開2003−098317(JP,A)
【文献】
特開平03−126003(JP,A)
【文献】
特開2003−177214(JP,A)
【文献】
特開2002−056563(JP,A)
【文献】
特開2005−274739(JP,A)
【文献】
特開2007−226913(JP,A)
【文献】
特開2000−131583(JP,A)
【文献】
特開2005−062483(JP,A)
【文献】
特開2001−034933(JP,A)
【文献】
特開2000−084682(JP,A)
【文献】
特開2004−258079(JP,A)
【文献】
特開2002−137072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/00
G02B 7/18 − 7/24
B23K 26/00 − 26/70
C03C 23/00
C03C 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面を有する第1の基板と、
前記第1の表面と向き合う第2の表面を有する第2の基板と、
前記第1の表面と前記第2の表面の間に配置されて、前記第1の表面および前記第2の表面と接触する粘着剤と、
を備えた光学組立体であって、
前記基板内に膨張区域を形成するために、前記第1の表面および前記第2の表面のうち少なくとも選択された1つの表面を局所的に加熱し、前記膨張区域内の前記基板を変形することにより形成された、少なくとも1つのパターン化マイクロバンプを、前記第1の表面および前記第2の表面のうち少なくとも選択された1つの表面が含み、
前記第1の表面および前記第2の表面のうち少なくとも選択された1つの表面が、前記第1の基板を前記第2の基板に付着させるより前に、前記少なくとも1つの選択された表面上に形成された、前記少なくとも1つのパターン化マイクロバンプよりも高い高さを有する、少なくとも1つの間隔保持マイクロバンプを含み、
前記第1の表面および前記第2の表面のうち少なくとも選択された1つの表面が、前記少なくとも1つのパターン化マイクロバンプによって事前に選択された領域内に形成された、少なくとも1つのギャップ充填マイクロバンプを含み、
前記粘着剤が、前記少なくとも1つのギャップ充填マイクロバンプに接触して、前記事前に選択された領域内において保持される、
光学組立体。
【請求項2】
前記少なくとも1つのパターン化マイクロバンプが、前記粘着剤が配置される領域内に閉パターンを形成することを特徴とする請求項1記載の光学組立体。
【請求項3】
前記少なくとも1つのパターン化マイクロバンプが、前記粘着剤が配置される領域の外側に位置する貯留部を形成し、該貯留部は所定領域と流体連通され、これにより過剰量の粘着剤が前記所定領域と前記貯留部との間を移動可能とされていることを特徴とする請求項1記載の光学組立体。
【請求項4】
前記第1の基板および前記第2の基板のうち少なくとも選択された1つの基板が、局所的に加熱された際に局所的に膨張可能な光吸収性の材料からなることを特徴とする請求項1記載の光学組立体。
【請求項5】
前記光吸収性の材料が、可視波長、近赤外波長および赤外波長のうちの少なくとも選択された1つの波長からなる光ビームが照射されると膨張することを特徴とする請求項4記載の光学組立体。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、参照することにより本明細書に援用される、2007年11月19日出願の米国特許出願第11/985,908号の優先権の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般に、光学素子の微細位置決めシステムおよび方法に関し、特に、粘着拘束のためのガラス系レーザー隆線を含む光学素子に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の第1の態様は、光学組立体の製造方法であり、該方法は、第1の表面を有する第1の基板を提供し、前記第1の基板と向き合う第2の表面を有する第2の基板を提供し、前記第1の表面および前記第2の表面のうち少なくとも選択された1つの表面上に少なくとも1つのパターン化マイクロバンプを形成する、各工程を有してなる。本方法は、前記第1の表面および前記第2の表面のうち少なくとも選択された1つの表面上の前記パターン化マイクロバンプに隣接する領域に粘着剤を塗布し、前記粘着剤が前記第1の表面および前記第2の表面と接触するように、前記第1の表面と前記第2の表面を互いに近接して配置することによって、前記第1の基板を前記第2の基板に付着させる工程をさらに有してなり、ここで、前記粘着剤は、少なくとも1つのパターン化マイクロバンプによって所定の領域内に保持される。
【0004】
本発明の別の態様は、第1の表面を有する第1の基板と、前記第1の基板と向き合う第2の表面を有する第2の基板とを備えた光学組立体であって、前記第1の表面および前記第2の表面のうち少なくとも選択された1つの表面は、少なくとも1つのパターン化マイクロバンプを含む。光学組立体は、前記第1の表面と前記第2の表面の間に位置し、前記第1の表面および前記第2の表面と接触する粘着剤をさらに含み、ここで前記粘着剤は、前記少なくとも1つのパターン化マイクロバンプの少なくとも一部によって事前に選択された領域内に保持される。
【0005】
本発明に係る光学組立体の製造方法および得られる光学組立体は、現行のレーザーバンプ形成工程に適合し、間隔保持の目的で形成されるレーザーバンプを有する、任意の形状をしたウェルおよびチャネルを共製作可能にする。レーザー隆線またはパターン化マイクロバンプは、比較的迅速に、かつ狭小な束縛状態に制御された必要高さに形成されうる。さらには、これらのレーザー隆線の高さは、ガラス組成の変化および上部基板の配置の変化に基づいて、動的に設定されうる。加えて、本発明の利点は多種多様の構成要素のタイプおよび配置において実現可能であり、関連した製造工程に柔軟性を提供し、特に、本目的の用途に良好に適合する。
【0006】
本発明の追加の態様、特徴、および利点は、以下の詳細な説明に記載され、一部にはその記述から当業者に容易に明白になり、あるいは以下の詳細な説明、特許請求の範囲、ならびに添付の図面を含めた本明細書に説明される通りに本発明を実施することによって認識されよう。
【0007】
前述の概要および後述する詳細な説明は本発明の実施の形態を提示するものであって、特許請求の範囲に記載される本発明の本質および特性を理解するための概観または枠組みを提供することを意図していることが理解されるべきである。添付の図面は本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に取り込まれ、本明細書の一部を構成する。図面はさまざまな本発明の実施の形態を実証し、記述と共に、本発明の原理および動作を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】複数の間隔保持マイクロバンプ、およびパターン化マイクロバンプが表面に形成された底部基板の上面斜視図。
【
図3】
図1の線III−IIIに沿った光学組立体の断面図。
【
図4A】複数の間隔保持マイクロバンプ、およびパターン化マイクロバンプが表面に形成された底部基板の平面図。パターン化マイクロバンプは、事前に選択した領域内に粘着剤を保持するように構成される。
【
図4B】複数の間隔保持マイクロバンプ、および複数のパターン化マイクロバンプが表面に形成された底部基板の平面図。パターン化マイクロバンプは関連する間隔保持マイクロバンプを取り囲み、粘着剤が間隔保持マイクロバンプに接触することを防ぐ。
【
図5】複数の間隔保持マイクロバンプ、パターン化マイクロバンプ、および複数のギャップ充填マイクロバンプが表面に形成された第1の基板の平面図。
【
図6】第2の基板、および、第1の基板と第2の基板の間に配置される粘着剤が加えられた、
図7の線VI−VIに沿った第1の基板の断面図。
【
図7】複数の間隔保持マイクロバンプ、およびパターン化マイクロバンプが表面に形成された底部基板の平面図。パターン化マイクロバンプは、粘着剤の区域および粘着剤区域の外側に位置する粘着剤起源の区域内の事前に選択した領域を画成する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書における説明の目的では、「上方」、「下方」、「右」、「左」、「後方」、「前方」、「垂直」、「水平」の各用語およびそれらの派生語は、当然ながら、
図1で方向付けられる本発明に関連している。しかしながら、そうでないことが明記されている場合を除き、本発明は、さまざまな代替となる方向およびステップの配列が想定されうるものと理解されるべきである。また、添付の図面に示され、以下の明細書に記載される特定の装置および方法は、添付する特許請求の範囲に定義される本発明の典型的な実施の形態であることも理解されるべきである。したがって、本明細書に開示される実施の形態に関する特定の寸法および他の物理的特性は、特許請求の範囲にそうでないことが明記されない限り、限定されているものとみなされるべきではない。
【0010】
本発明は、光学組立体の内部で光学素子を支持する支持要素に1つ以上のマイクロバンプを形成することによる、光学組立体および方法を含む。下記の説明では、光吸収性の支持要素にマイクロバンプを形成するさまざまな方法について記載する。それに続き、光吸収性の線形要素に1つ以上のパターン化マイクロバンプを形成することによって、関連した粘着剤を光学素子内に導くための方法の例となる実施の形態について説明する。本発明に係るマイクロバンプの微細位置決め方法を使用して形成される光学組立体の例となる実施の形態についても説明する。
【0011】
本明細書で称されるパイレックス(PYREX)(登録商標)は、Corning,Inc.(米国ニューヨーク州コーニング所在)の登録商標である。「マイクロバンプ」という用語は、広く一般に、以下に記載される方法を使用してIR吸収性のガラス基板に形成されるような円形の島、長尺状の隆線など、さまざまな形状を含むものと理解される。「光学素子」という用語は、光ファイバー、平面的な導波管基板、レンズ、マイクロレンズ、格子、ビームスプリッターなど、任意のタイプの光学部品を意味するものと理解される。本明細書では「光学組立体」という用語は、単独であるか他のタイプの素子と組み合わせるかにかかわらず、電気素子、電気光学素子、電気機械的素子、または機械的素子など、光学素子を備えたシステムまたは構造を含む。「光吸収性の基板」という語句は、可視、近赤外、および/または赤外波長などの吸収波長において光を吸収する基板を意味するものと理解され、1つ以上の吸収波長における、基板による局所的な光の吸収は、基板を局所的に加熱する。
【0012】
参照番号10(
図1)は、本発明を体現する光学組立体を指す。図示する例では、光学組立体は、底部基板12、上部基板14、および光学素子(図示せず)を備え、ここで底部基板12および上部基板14は粘着剤16を介して互いに結合する。底部基板12は、光吸収性の材料、好ましくは、Corning,Inc.社から市販されるIR吸収性の「パイレックス」ガラス部材など、IR光吸収性のガラスを備えている。この例では、底部基板12は、所定の位置において急激に加熱されると、ガラスの密度を劇的かつ局所的に低下させ、その結果、ガラスを膨張させる、金属ドーパント、例えばCu、Fe、Co、および/またはVなど、特定のIR吸収性の金属種を含む。あるいは、基板12、14のいずれかまたは両方は、光吸収性材料の性能を低下させうる。底部基板12はその表面上の光学素子を支持するように構成されうるが、その光学素子は当技術分野で既知の光学または電気光学素子/装置を備えている。
【0013】
本発明の方法は、一般に、上部基板14を底部基板12に取り付けるより前に、底部基板12の上面20に、間隔保持マイクロバンプ18(
図2)と、少なくとも1つのパターン化マイクロバンプ22とを形成する工程を有してなる。図示する例では、底部基板12は、基板12が、定常光または熱エネルギー源に対する基板面において移動可能なように、移動性の支持ステージ(図示せず)によって支持されたモノリス型の光吸収性のガラスを備える。好ましい実施の形態では、底部基板12は、局所領域において光または熱エネルギーを吸収する能力があり、それに応答して、局在する加熱領域において急速に拡大または膨張するガラスを備えている。
【0014】
底部基板12の上面20に間隔保持マイクロバンプ18およびパターン化マイクロバンプ22の両方を形成する方法は、底部基板12を局所的に加熱する工程を有してなる。この例では、本方法は、底部基板12の上面20に光ビームが形成するビームスポット26によって画成される底部基板12の局所領域に、光ビーム24を方向付ける工程を含む。ある例となる実施の形態では、光ビーム24は収束性である。上面20上のビームスポット26の位置は、支持ステージ(図示せず)を移動させることによって、または光ビーム24の位置を調節することによって、選択することができる。この例では、放射線を放射するCO
2レーザーなど、IR波長を有する光ビーム24を創出するレーザーが用いられる(例えば10.6μm)。あるいは、レーザーによって生じた光ビーム24の比較的長いレイリー(Rayleigh)範囲が、たとえビーム焦点におけるわずかな変化でもステージ移動の間のビームスポット26の大きさに強い影響を与えないことを確保するため、近赤外波長(810nm)の光ビームを用いてもよい。別の代替となる実施の形態では、光ビーム24は、可視波長、NIR波長、およびIR波長の少なくとも1つを含む。ある例となる実施の形態では、可視波長は〜400nmから〜750nmの範囲であり、NIR波長は〜750nmから〜1100nmの範囲であり、IR波長は〜1100nmから〜1680nmの範囲の波長を含む。
【0015】
底部基板12によって光ビーム24からの光が吸収されると、底部基板12が局所的に加熱され、最初は光ビーム24の強度に比例して、底部基板12の前記部分の温度を上昇させる。光ビーム24がガウス分布などの環状の対称な断面の強度分布を有する場合、その際のビームスポット24は環状になり、さらには円形の領域全体に基板の膨張が生じる。パターン化マイクロバンプ22を形成するための、底部基板12による光の吸収は、設定したパターンにおける底部基板12の上面20全体に光ビーム24を通すことによって達成される。間隔保持マイクロバンプ18およびパターン化マイクロバンプ22の形成では、光ビーム24が底部基板12によって局所的に吸収される際に、急激な温度変化によって底部基板12の密度の劇的な低下が誘発される、限定された膨張区域が創出される。したがって、本方法の例となる実施の形態は、光ビーム24の強度、ビームスポット26の大きさ、および/または照射継続時間を調節することによって、膨張区域の深さを修正することを含む。例となる実施の形態では、膨張区域の深さは、上述のように、基板におけるIR吸収性の材料の濃度を調節することにより、変化するか、または選択可能になる。
【0016】
膨張区域は、膨張区域の周囲の底部基板12の加熱されていない(したがって膨張していない)領域によって拘束されることから、膨張区域内の基板材料は、上方に変形することによってやむを得ず内部応力を軽減し、それによって間隔保持マイクロバンプ18またはパターン化マイクロバンプ22を形成する。図示する例では、間隔保持およびパターン化マイクロバンプ18、22の表面特性は、光ビームの強度分布に対応しており、マイクロバンプのピークはビームの最大強度の位置に対応している。光ビーム24は底部基板12の任意の表面上を走査して差し支えなく、さまざまな形状および大きさのマイクロバンプ18、22を形成するように、特定の位置で停止して構わない。さまざまな大きさおよび形状のバンプ特性はまた、単一のバンプのためのバンプ形成工程の過程において、光ビームの出力、掃引速度、および通路を調整することによっても形成することができる。本事例では、底部基板12の上面20全体にわたる光ビーム24の掃引速度は、パターン化マイクロバンプ22を形成する場合には1.0mm/秒以上であることが好ましく、パターン化マイクロバンプ22の高さは、マイクロバンプ22の高さの合計の5%以内に維持されることが好ましく、マイクロバンプ22の高さの合計の3%以内がさらに好ましく、<0.2μmの範囲内であることが最も好ましい。
【0017】
マイクロバンプ18、22を形成する方法は、底部基板12の加熱領域を急激に冷却することによってマイクロバンプ18、22を固定する工程をさらに有してなる。ある例となる実施の形態では、これは、IR放射線ビーム24による底部基板12の上面20の照射を終了することによって達成される。
【0018】
パターン化マイクロバンプ18、22の位置、間隔保持距離d、および高さh(
図3)は、底部基板12の上面20および上部基板14の下面30の精密な特性化に基づいている。この特性化は、表面の実装工程に起因する、上面20および下面30における典型的な変化を調整する。上面20と下面30の間の相対距離dおよび高さhは、それぞれ、走査型レーザー形状計測装置、単一像の画像解析、または結合領域の立体視;白色光の干渉技術;物理的接触を検知することによりオフセットを確立する探査方法;およびこれらの方法の組合せを含む1つ以上の方法を使用し、結合領域内を、精密ステージに装着したプローブを移動させて、横断線を画像化し、結合領域における複数の較正点を提供することにより、決定して差し支えない。
【0019】
電気および電気光学的装置内におけるマイクロバンプの形成に関し、それを取り込む、方法および装置の詳細な説明は、参照することによりその全体が本明細書に援用される、「ガラス系の微小位置決めシステムおよび方法(GLASS-BASED MICROPOSITION SYSTEMS AND METHODS)」という発明の名称で2006年2月28日に出願した米国特許出願第11/365,391号明細書に記載されていることに着目されたい。
【0020】
図示する例では、3つの個別の間隔保持マイクロバンプ18(
図1)が底部基板12の上面20に形成され、それによって協力して上部基板14を支持するプラットフォームが形成される。間隔保持マイクロバンプ18は粘着剤区域または領域32を協調して画成し、この内部には、底部基板12と上部基板14の間の配置に伴う他の問題を生じる間隔保持マイクロバンプ18への干渉を防ぐために、粘着剤16が含まれることが好ましい。図示する例は、粘着剤区域32内に事前に選択された領域または粘着剤ウェル34を画成する、正方形の形状をしたパターン化マイクロバンプ22をさらに含み、粘着剤区域32の内部には粘着剤16が含まれることがさらに好ましい。間隔保持マイクロバンプ18およびパターン化マイクロバンプ22の形成後、所定の量の粘着剤16を事前に選択された領域34内に入れ、上部基板14の底面30が間隔保持マイクロバンプ18上のレストに接触するまで、上部基板14を底部基板12上へと降下させる。
図3に最も良く示されているように、粘着剤16は、パターン化マイクロバンプ22によって事前に選択された領域34内に含まれる。パターン化マイクロバンプ22の高さhは間隔保持マイクロバンプ18の高さよりもわずかに短く、それによってパターン化マイクロバンプ22が上部基板14の底面30と隣接することによって生じる任意の干渉を排除することに留意されたい。さらには、粘着剤16は、粘着剤16内部の凝集性によって、ある程度、所定の領域34内に含まれる。図示する例では、粘着剤16は、低収縮性のUV硬化性および/または熱硬化性の粘着剤の薄層を含む。
【0021】
上述のように、パターン化マイクロバンプまたは粘着剤ウェル22は、粘着剤16が基板12、14間の望ましくない位置に逃げないことを確保するため、粘着剤区域32内に形成されうる。正方形の形状をしたパターン化マイクロバンプ22について説明してきたが、
図4Aに示すものなど、他の形状およびパターンもまた有用であるが、一般には、三角形の形状をしたパターン化マイクロバンプ22が三角形の形状をした粘着剤区域32内に配置される。これは、一般に、パターン化マイクロバンプ22と粘着剤区域32の間の幾何学的形状を適合させ、上部基板14を下部基板12と組み立てる際に、粘着剤区域32のかなりの部分の被覆を可能にすると共に、粘着剤の施用の間に粘性の低い粘着剤16の流れが粘着剤区域32の中心部から離れるのを防ぐ。
【0022】
あるいは、粘着剤(図示せず)が間隔保持マイクロバンプ18aを取り囲む領域内に流れることを防ぐための障壁構造として、レーザー隆線22a(
図4B)を間隔保持マイクロバンプ18aの周囲に形成してもよい。パターン化マイクロバンプ22aは、前述のパターン化マイクロバンプ22と類似しており、それぞれ
図1〜3および
図4Bに見られる同様の部分は、後者の数字の添え字「a」を除いて、同一の、対応する参照番号を表すことに注意されたい。さらには、パターン化マイクロバンプは、粘着剤が、能動的または受動的な電気または光学部品を含む領域など、関連した基板の他の領域に流れることを防ぐためにも使用して差し支えないことに留意されたい。
【0023】
別の代替となる実施の形態は、パターン化マイクロバンプ22bによって画成される粘着剤ウェル34b内に位置する、複数のギャップ充填マイクロバンプ40(
図5)の形成を含む。本実施例における要素のほとんどは、前述のものと同様であり、
図1〜3および
図5に見られる同様の部分は、それぞれ、後者の数字の添え字「b」を除いて、同一の、対応する参照番号を表すことに注意されたい。図示する例では、空間充填マイクロバンプ40は、複数の密集した個別のマイクロバンプを備える。
図6に最も良く示されているように、空間充填マイクロバンプ40は粘着剤ウェル34bを埋める働きをし、それによって粘着剤ウェル34bを埋めるために必要とされる粘着剤16bの量を低減し、組み立ての間に下部基板12bと上部基板14bとの間に位置する過剰量の粘着剤が原因となる配列のずれの可能性を低減させる。
【0024】
さらに別の代替となる実施の形態では、パターン化マイクロバンプ22は、粘着剤ウェル34c、貯留部42、およびそれらの間に延在する毛細管44を画成する。図示する例では、貯留部42は一般に正方形の形状をしており、粘着剤区域32cの外側に位置し、毛細管44は粘着剤ウェル34cと貯留部42の間に流体連通を提供する。組立てにおいて、所定量の粘着剤16cは、貯留部42内に入れられ、上部基板14cが下部基板12c上まで下降する際に、毛細管44を通じて粘着剤ウェル34c内へと押し進められる。あるいは、粘着剤16cは最初から粘着剤ウェル34c内に設置されて、上部基板14cが下部基板12c上まで下降する際に、任意の過剰量の粘着剤16cが毛細管44を通じて貯留部42内へと押し進められてもよい。
【0025】
光学組立体を製造する本発明の方法および得られる光学組立体は、現行のレーザーバンプ形成工程に適合し、間隔保持の目的で形成するレーザーバンプと共に、任意の形状をしたウェルおよびチャネルを組立て可能にする。レーザー隆線またはパターン化マイクロバンプは、比較的迅速に、かつ狭小な束縛状態に制御するために必要な高さに形成されうる。さらには、これらのレーザー隆線の高さは、ガラスの組成の変化および上部基板の配置の変化に基づいて、動的に設定して差し支えない。加えて、本発明の利点は、多種多様の構成要素のタイプおよび構成で実施して差し支えなく、関連した製造工程に柔軟性を提供し、本目的の用途に特に良好に適合しうる。
【0026】
前述の説明において、本明細書に開示する概念から逸脱することなく、本発明に変更をなしうること、また、特許請求の範囲が言語によってそうでないことを明白に提示しない限り、そのような変更は添付の特許請求の範囲に含まれるとみなされるべきであることは、当業者に容易に認識されよう。