【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた本発明に係るマイクロニードルパッチ収納容器は、最外周である周辺部と、該周辺部の内部に該周辺部より窪んだ1個若しくは複数個の架台部と、該架台部の内部若しくは該周辺部の内部に架台部よりさらに窪んだ1個若しくは複数個の底面部と、該周辺部と該架台部と該底面部をつなぐ側面部とを有し、柔軟性あるマイクロニードルパッチを該架台部上で保持
するマイクロニードルパッチ収納容器において、架台部に対応する形状と底面部に対応する穴を有するパッチスペーサーを用いてマイクロニードルパッチを1つの容器の中に積層して複数枚保持することを特徴とする。
【0011】
マイクロニードルパッチを収納容器に本発明に係るマイクロニードルパッチ収納する方法として、マイクロニードルパッチの粘着シート部分を収納容器の架台部に保持する方法と、マイクロニードルパッチの離型シートを収納容器の架台部に保持する方法とがある。これは多くのマイクロニードルパッチは粘着シートを備えているが、離型シートは必ずしも備えていないためである。
ここに粘着シートはマイクロニードルアレイを皮膚に保持するために用いられる。また、離型シートは粘着シートの粘着部分を覆い、通常粘着シートより大きく、マイクロニードルアレイを皮膚表面に適用する前に剥ぎ取られる。離型シートはマイクロニードルパッチの取扱を容易とするため付されるものであり、マイクロニードルパッチの取扱に習熟した者にとっては必ずしも必要ではない。
【0012】
本発明における離型シートは代表的にはPETにシリコン離型処理したフィルムから作られるがそれに限定されない。マイクロニードルアレイを粘着シートにより固定でき使用時に手で離型できれば目的を達するのであるから、必ずしも表面離型処理を必要としない。例えばPP、PEからなるフィルム、ポリスチレン、ポリアクリル酸メチル、等のフィルム、表面が滑らかな紙等も使用し得る。
【0012】
1個のマイクロニードル収納容器は、底面の数だけのマイクロニードルパッチを収納することができる。通常、1つのマイクロニードルパッチ収納容器には1個のマイクロニードルパッチを収納する。しかし例えば、目の下に貼付するマイクロニードルパッチの場合、通常左右の目の下に貼付するので、2枚を1組として収納することが取引上好ましい。
この際、1個のマイクロニードルパッチに2個以上のマイクロニードルアレイを保持させることもできる。この場合1つの容器に2個以上のマイクロニードルアレイを収納できる。
また必要に応じ、2個の収納容器を横に接続して用いることもできる。このようにしても、2個のマイクロニードルパッチを収納できる。
【0013】
本発明に係るマイクロニードル収納容器は蓋を備えることが好ましい。蓋は、マイクロニードル収納容器内にゴミやチリが入るのを防ぐことができる。
蓋には、架台部に相対する位置に窪みを設けることが好ましい。窪みは、架台部と共にマイクロニードルパッチを挟み保持することができる。窪みは、マイクロニードルパッチを離型シートで保持するとき、特に有用である。
【0014】
蓋の窪みと架台部との間にマイクロニードルパッチを挟んで保持する際、マイクロニードルパッチを全面的に押しつけるように蓋の窪み部を構成すると、静電気の作用によりマイクロニードルパッチが蓋に密着する。静電気によりマイクロニードルパッチが蓋に吸着すると、マイクロニードルパッチは蓋を取り外す際不意に飛び出すこととなり、また収納容器に吸着して取り出し難くなるためである。蓋の窪み部による押しつけを部分的とすると、静電気の影響を弱めて取扱が容易となり好ましい。静電気の影響をより少なくしマイクロニードルパッチが蓋に吸着するのを防ぐには、架台部の面積を蓋の窪み部の面積よりも大きくすることが望ましい。
【0015】
架台部は、マイクロニードルパッチの形状によって、いろいろな形状をとることができる。周辺部の内側全面に1個の架台部を設けることもできる。周辺部内部の互いに向かい合う位置に2個の架台部を設けることもできる。形状の例を実施例として示すが、実施例に示されている形状に限定されるわけではない。
【0016】
マイクロニードルパッチ収納容器は、複数個の該容器を互いに勘合させてスタックできることが望ましい。そのためには、マイクロニードルパッチの底面外側により他のマイクロニードルパッチ収納容器に収納されているマイクロニードルパッチを部分的に押しつけられるようにしておくことが好ましい。
顔面にマイクロニードルパッチを貼付してヒアルロン酸及び薬効成分を補給し、しわを除去する等の美容効果を上げるためには、通常数日にわたって貼り替えしつつ貼付する必要がある。そのため、一連の使用に必要な枚数を、ひとまとめにして包装できるのが取引上望ましいからである。
【0017】
マイクロニードルアレイに収納容器の収納容器と蓋部の対応する位置には切り込みと耳を設け、使用に際し容易に蓋を収納容器から取り外せるようにすることが好ましい。マイクロニードルパッチ収納容器は、製造時から使用直前までは密閉しておく必要があるが、使用に際しては容易に取り出せる必要があるためである。
【0018】
マイクロニードルパッチ収納容器の前記底面には、マイクロニードルパッチをつまんで取り出しやすくするためのふくらんだ部分を設けてもよい。静電気で収納容器に密着している場合にも、マイクロニードルパッチをつまみ出しやすくするためである。
【0019】
本発明に係るマイクロニードルパッチ収納容器は、その表面には帯電防止処理が付されていることが好ましい。収納容器が帯電すると、マイクロニードルパッチが収納容器に吸着し、取り扱いにくくなるためである。
【0020】
本マイクロニードル収納容器は、マイクロニードルを密閉状態で保持できるが、必ずしも無菌状態で保持できるわけではない。マイクロニードルを無菌状態で保持するためには、容器とマイクロニードルを無菌処理した後、容器を減菌紙または減菌フィルムシートにより形成した袋の中に格納して密閉することが望ましい。減菌フィルムシートとしては、プラスチック製シートやアルミニウム製シートを好適に用いることができる。アルミニウムシートは密閉性が高く、特に好ましい。
【0021】
貼付剤、つまり有効薬剤成分と接着剤を混ぜ樹脂フィルム上に展開したいわゆる貼り薬では、通常有効成分の上に離型シートをおき、皮膚に貼付する前に離型シートを剥ぎ取って有効薬剤成分を直接皮膚に接触させるように貼付するのが通常である。この場合、皮膚の角質層の上に貼るので清潔なことは望ましいが、角質層のバリア効果の存在のため無菌とまでは要求されない。
【0022】
この点で、マイクロニードルパッチ収納容器に必要な条件は、貼付剤収納容器に必要な要件より厳しい。マイクロニードルは、皮膚内に刺入されるため衛生的に保存されなければならない。また、ニードルは鋭利でなければ皮膚内に刺入できないので、ニードル先端を破損しうるような堅いものを当てることはできない。また、ニードルは皮膚内に刺入されるので、粘着剤のような体内に入って安全かどうかわからないものを付着させてはならない。すなわち、マイクロニードルは、減菌状態でかつ容器のいかなる部分にも接触させない状態で粘着シート又は離型シートの部分のみで保持され保存されなければならない。このため、マイクロニードル収納容器は、必然的に、貼付剤収納容器とは構造的にも異なるものとなり、貼付剤収納容器から類推して設計することはできない。
【0023】
また、マイクロニードルアレイが柔軟なとき、堅いマイクロニードルアレイを保存する容器や方法をそのまま用いることもできない。堅いものと柔軟なものとでは、保持方法が異なるためである。
【0024】
マイクロニードルパッチ収納容器の材質は特に限定しないが、射出成形加工若しくはプレス加工が容易な樹脂が好ましい。特に透明若しくは半透明であれば中身の状況を外から目視できるので好ましい。また、空気や水蒸気の透過性が小さく、長期にわたってマイクロニードルパッチを安定に保護できることが望ましい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)が好ましいが、なかでもPETはγ線、電子線照射滅菌による劣化や発臭が少ないので特に好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明のマイクロニードルパッチ収納容器の特徴は、収納容器に底面から突出する架台部を設けたことである。これにより柔軟なマイクロニードルパッチを、マイクロニードルを下向きにし、マイクロニードル部分には架台部を設けないことにより、マイクロニードルが容器のいかなる部分にも接触しない状態でマイクロニードルパッチを保持できる。マイクロニードルパッチが柔軟なシートであるとしても、開封するときまで衛生的に保持できる。
【0026】
本発明のマイクロニードルパッチ収納容器は、マイクロニードルアレイの形状に合わせて架台部の形状や構造を調節できる。また必要に応じ、粘着シート部分でも、離型シート部分でも、いずれの部分においても保持できる。
【0027】
本発明のマイクロニードルパッチ収納容器によれば、マイクロニードルパッチを必要なときに容易に取り出すことができる。さらに、収納容器は互いにスタックでき、一連の使用に必要な数個のマイクロニードルパッチを簡便に包装することができる。
本発明のマイクロニードルパッチ収納容器は、静電気の影響を避けるように設計されている。もし静電気の影響があると、蓋を取り外す際マイクロニードルパッチが蓋に吸着して急に飛び出したり、収納容器に吸着して取り出しにくくなったりするためである。