特許第5719009号(P5719009)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5719009
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】過電圧保護付き出力ドライバ
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/08 20060101AFI20150423BHJP
   H03K 19/003 20060101ALI20150423BHJP
   H03K 19/0175 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   H03K17/08 C
   H03K19/003 E
   H03K19/00 101F
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-231060(P2013-231060)
(22)【出願日】2013年11月7日
(62)【分割の表示】特願2010-546782(P2010-546782)の分割
【原出願日】2009年2月12日
(65)【公開番号】特開2014-75804(P2014-75804A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2013年12月6日
(31)【優先権主張番号】12/070,224
(32)【優先日】2008年2月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501144003
【氏名又は名称】アナログ・デバイシズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ボイコ,ダニエル,ティー.
(72)【発明者】
【氏名】パターソン,スチュアート,アール.
【審査官】 栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05844425(US,A)
【文献】 特開平08−274618(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第2374475(GB,A)
【文献】 特開平05−227010(JP,A)
【文献】 特開平06−090162(JP,A)
【文献】 特表平09−502846(JP,A)
【文献】 特開平07−007411(JP,A)
【文献】 米国特許第6265926(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/00−17/70
H03K 19/003
H03K 19/0175
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧によって動作可能であって出力パッドに連結されたドライバ回路、および
前記出力パッド上の電圧に応じて、出力パッド上の電圧から分圧した部分パッド電圧を生成し、前記電源電圧の不在に応じて前記部分パッド電圧を前記ドライバ回路の少なくとも1つのトランジスタに保護供給電圧として提供するように構成され、ドライバ回路が入力論理素子を含み、該入力論理素子が、電源電圧が不在の場合に保護供給電圧によって給電される、ドライバ電力調整器
を含む、集積回路内の出力ドライバ。
【請求項2】
ドライバ電力調整器が、電源電圧の存在に応じて電源電圧を保護供給電圧として提供するように構成されている、請求項1に記載の出力ドライバ。
【請求項3】
ドライバ電力調整器が、出力パッド上の指定された最大電圧と部分パッド電圧との差分がドライバ回路内のトランジスタに過度のストレスを与えないように、前記部分パッド電圧を生成するように構成されている、請求項1に記載の出力ドライバ。
【請求項4】
ドライバ電力調整器が、出力パッド上の電圧から部分パッド電圧を生成する分圧器回路と、電源電圧の不在に応じて前記部分パッド電圧をドライバ回路に供給するスイッチング回路とを含む、請求項1に記載の出力ドライバ。
【請求項5】
ドライバ電力調整器が、出力パッド上の電圧から部分パッド電圧を生成する電圧降下素子と、電源電圧の不在に応じて前記部分パッド電圧をドライバ回路に供給するスイッチング回路とを含む、請求項1に記載の出力ドライバ。
【請求項6】
過電圧が出力パッドに印加され、電源電圧が存在するときに、ドライバ回路のトランジスタを保護する保護回路をさらに含む、請求項1に記載の出力ドライバ。
【請求項7】
ドライバ電力調整器が、電源電圧が不在の場合に、ドライバ回路のトランジスタのウエルに保護ウエル電圧を提供するように構成されている、請求項1に記載の出力ドライバ。
【請求項8】
ドライバ回路が、1つまたは2つ以上の保護対象トランジスタを含み、保護供給電圧が前記保護対象トランジスタの1つまたは2つ以上の端子に連結されている、請求項1に記載の出力ドライバ。
【請求項9】
集積回路内のドライバ回路であって、電源電圧によって動作可能であって出力パッドに連結されている前記ドライバ回路の過電圧保護方法であって、
出力パッド上の電圧に応じて、出力パッド上の電圧から分圧した部分パッド電圧を生成すること、
電源電圧の不在を検出すること、および
前記電源電圧の不在の検出に応じて、前記部分パッド電圧を前記ドライバ回路の少なくとも1つのトランジスタに保護供給電圧として印加することを含み、入力論理素子が、ドライバ回路に連結されており、電源電圧が不在の場合に、前記入力論理素子に保護供給電圧を印加することをさらに含む、前記方法。
【請求項10】
電源電圧の存在の検出に応じて、該電源電圧を出力ドライバ回路に保護供給電圧として印加することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
部分パッド電圧を印加することが、電源電圧の不在の検出に応じて、前記電源電圧から前記部分パッド電圧へ切り替えることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
部分パッド電圧を生成することが、出力パッド上の指定された最大電圧と前記部分パッド電圧との差分がドライバ回路内のトランジスタに過度のストレスをかけないように、前記部分パッド電圧を生成することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項13】
電源電圧が存在する場合に、出力パッド上での過電圧に対してドライバ回路を保護することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項14】
電源電圧が不在の場合に、ドライバ回路内のトランジスタのウエルに保護ウエル電圧を印加することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項15】
ドライバ回路が、1つまたは2つ以上の保護対象トランジスタを含み、部分パッド電圧が、前記保護対象トランジスタの1つまたは2つ以上の端子に印加される、請求項に記載の方法。
【請求項16】
部分パッド電圧を生成することが、前記部分パッド電圧を提供するために出力パッド上の電圧を分割することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項17】
部分パッド電圧を生成することが、前記部分パッド電圧を提供するために出力パッド上の電圧を降下させることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項18】
集積回路内の回路であって、電源電圧によって動作可能であって出力パッドに連結されている前記回路の過大電圧保護方法であって、
出力パッド上の電圧に応じて、出力パッド上の電圧から分圧した保護電圧である部分パッド電圧を生成すること、および
電源電圧が不在の場合に、前記保護電圧を前記回路の少なくとも1つのトランジスタに印加することを含む、方法。
【請求項19】
部分パッド電圧を生成することが、出力パッド上の指定された最大電圧と保護電圧との差分がドライバ回路内のトランジスタに過度のストレスをかけないように、前記保護電圧を生成することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ドライバ回路が、1つまたは2つ以上の保護対象トランジスタを含み、保護電圧が、前記保護対象トランジスタの1つまたは2つ以上の端子に印加される、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部パッドに印加される電気的な過度のストレスに対して集積回路を保護することに関し、より具体的には、過電圧保護付き出力ドライバ、および出力ドライバの過電圧保護方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サブミクロンプロセスによって実装された現在のVLSI(超大規模集積回路)チップは、微小な形状寸法を有して、例えば3ボルト以下という低い電源電圧で動作する。そのようなVLSIチップは、チップの外部パッドに印加される電気的な過度のストレスを受けやすい。例えば、外部パッドに接続されたトランジスタの定格電圧を超える電圧は、これらのトランジスタを故障させることがある。電気的な過度のストレスは、例えば試験中または使用中など、チップの寿命の間の任意の時点で、そのチップに印加される可能性がある。しかしながら、いくつかの構成は、その他のものよりも電気的な過度のストレスを受けやすい。例えば、外部デバイスまたはコネクタに接続されているチップは、不注意による過電圧の印加を特に受けやすい。具体的な一例は、コンピュータ機器に一般的に使用されている、USB(Universal Serial Bidirectional)通信ポートである。
【0003】
電源電圧が投入されている場合に、過電圧に対して出力ドライバを保護する回路が知られている。しかしながら、そのような回路は、電源電圧が切断されている場合、低電圧である場合、開放回路になっている場合、またはグラウンドに接続されている場合には、出力ドライバを保護しない。しかしながら、これらの条件下でもそのような回路に対する不注意による損傷を防止するために、過電圧保護を設けることが望ましい。過電圧は、いつでも発生する可能性があり、電源電圧が投入される期間に限定されるものではない。例えば、製造業者によっては、電源電圧が投入されているか、切断されているかにかかわらず、USBポートが5.25Vの過電圧に耐えることを要求することがある。
したがって、集積回路内の出力ドライバの過電圧保護のための、改良式の方法および装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の観点によれば、集積回路内に出力ドライバが設けられる。この出力ドライバは、電源電圧によって動作可能であって出力パッドに連結されたドライバ回路、および前記出力パッド上の電圧に応じて部分パッド電圧を生成し、前記電源電圧の不在に応じて前記部分パッド電圧を前記ドライバ回路の少なくとも1つのトランジスタに保護供給電圧として提供するように構成された、ドライバ電力調整器とを備える。
【0005】
本発明の第2の観点によれば、集積回路内のドライバ回路の過電圧保護方法が提供される。このドライバ回路は、電源電圧によって動作可能であって、出力パッドに連結されている。この方法は、出力パッド上の電圧に応じて部分パッド電圧を生成すること、電源電圧の不在を検出すること、および電源電圧が不在の場合に、前記部分パッド供給電圧を、前記ドライバ回路の少なくとも1つのトランジスタに保護供給電圧として印加することを含む。
【0006】
本発明の第3の観点によれば、集積回路内の回路の過電圧保護のための方法が提供される。この回路は、電源電圧によって動作可能であって、出力パッドに連結されている。この方法は、出力パッド上の電圧に応じて保護電圧を生成すること、電源電圧が不在の場合に前記保護電圧を前記回路の少なくとも1つのトランジスタに印加することを含む。
本発明をより良く理解するために、参照により本明細書に組み入れてある、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は従来技術型出力ドライバの概略図である。
図2図2は、本発明の一態様による出力ドライバの概略ブロック図である。
図2A図2Aは、本発明の別の態様による電力調整器の概略ブロック図である。
図3図3は、本発明の一態様による図2の電力調整器の動作を説明するフローチャートである。
図4A図4Aは、本発明の一態様による出力ドライバの実装の概略図である。
図4B図4Bは、本発明の一態様による出力ドライバの実装の概略図である。
図5図5は、本発明の一態様による図4の電力調整器の概略図である。
【0008】
詳細な説明
従来技術型出力ドライバ回路の概略図が図1に示されている。この出力ドライバは、電源電圧VDDが存在する場合には、過電圧耐性があると考えられる。PMOSトランジスタ20、22、およびNMOSトランジスタ24、26は供給電圧VDDとグラウンドの間に直列に連結されて、基本出力ドライバを形成する。トランジスタ22、24を接続するノードは、抵抗器54を介して出力パッド30に連結されている。トランジスタ24のゲートの供給電圧VDDへの接続によって、トランジスタ24および26の両方がプロセス過電圧から保護される。PMOSトランジスタ32および34を含む、MUX(マルチプレクサ)28は、過電圧の発生時に寄生ダイオードが供給電圧VDDまで励起されることを防止する。
【0009】
PMOSトランジスタ40は、供給電圧VDDよりも大きいパッド過電圧の発生時に、ノードPCに出力パッド30を監視させ、それによってトランジスタ20、22を保護し、また出力パッド30から供給電圧VDDへのすべての電流経路を遮断する。NMOSトランジスタ42およびPMOSトランジスタ44によって形成されるトランスミッションゲートは、ノード47を電圧VDDに制限することによって、ノード45を駆動するすべてのデバイス、この例においてはインバータ46を保護する。PMOSトランジスタ50およびNMOSトランジスタ52によって形成されるトランスミッションゲートは、ノード53に出力パッド30を監視させる。場合によっては、トランジスタ50および52を省略してもよく、トランジスタ44のゲートを、出力パッド30に直接接続してもよい。抵抗器54は、場合によっては、使用しなくてもよい。
【0010】
図1のドライバ回路が3ボルトの供給電圧VDDで動作しており、出力パッド30が最高5.25ボルトの電圧を受けるときに、いずれのトランジスタも過電圧を受けない。しかしながら、供給電圧VDDがグラウンドに短絡され、出力パッド30が最高5.25ボルトを受けると、トランジスタ24、42、52、40、32、34、50、22、および44は、電気的な過度のストレスを受けることを示すことができる。したがって、改良型のドライバ回路が必要とされている。
【0011】
本発明の一態様による出力ドライバ100のブロック図が図2に示されている。出力ドライバ100は、信号入力114、116、および出力パッド112に接続された信号出力を有するドライバ回路110を含む。ドライバ回路110は、電源電圧VDDと、グラウンドに接続されている。出力ドライバ100は、以下に説明するように電気的な過度のストレスに対する保護をもたらす、ドライバ電力調整器120をさらに含む。電力調整器120は、電源電圧VDDおよびグラウンドと、出力パッド112とに接続されている。さらに、電力調整器120は、電源電圧VDDの存在を示すレディ信号122を受け取る。電力調整器120は、ドライバ回路110に保護供給電圧124を提供すると共に、ドライバ回路110に保護ウエル電圧を供給してもよい。
【0012】
電力調整器120には、出力パッド112とグラウンドの間に連結された分圧器130を含めてもよい。分圧器130は、直列に接続された、第1の分割素子132および第2の分割素子134を含む。ノード136は、第1の分割素子132と第2の分割素子134を接続する。出力パッド112上に電圧が存在するときには、部分パッド電圧がノード136上に存在する。部分パッド電圧の絶対値は、出力パッド112上の電圧と、分割素子132および134の分割比との関数である。いくつかの態様においては、部分パッド電圧は、出力パッド112上の電圧の約2分の1である。しかしながら、本発明はこの点において限定されない。分圧器130の分割比は、出力パッド112上の所与の最大電圧に対して、ドライバ回路110内のトランジスタを保護する部分パッド電圧を生成するように選択される。
【0013】
電力調整器120は、供給電圧VDDを受ける第1の入力、および分圧器130からの部分パッド電圧を受ける第2の入力を有する、マルチプレクサ140をさらに含む。マルチプレクサ140は、レディ信号122を受ける制御入力、および保護供給電圧124をドライバ回路110に供給する出力を含む。レディ信号122が、供給電圧VDDが存在することを示すときには、マルチプレクサ140は、保護供給電圧として供給電圧VDDを提供する。レディ信号122が、電源電圧VDDが存在しないことを示すときには、マルチプレクサ140は、保護供給電圧として部分パッド電圧を提供する。非ゼロの部分パッド電圧は、出力パッド112上の電圧の場合にのみ存在することが理解されるであろう。保護供給電圧124は、電気的な過度のストレスによる損傷からドライバ回路110を以下に述べるように保護する。
【0014】
本発明の別の態様による電力調整器120のブロック図が図2Aに示されている。図2のように、電力調整器120は、電源電圧VDDおよびグラウンドに、ならびに出力パッド112に接続されている。さらに、電力調整器120はレディ信号122を受け取り、ドライバ回路110に、保護供給電圧124を供給すると共に、保護ウエル電圧126も供給してもよい(図2)。マルチプレクサ140は、供給電圧VDDを受ける第1の入力、および部分パッド電圧を受ける第2の入力を含む。
【0015】
図2Aの態様において、電力調整器120は、出力パッド112とマルチプレクサ140の第2の入力との間に連結された、電圧降下素子160を含む。電圧降下素子160は、電圧降下を起し、この電圧降下によって、部分パッド電圧は、出力パッド112上の電圧の何分の1かになる。いくつかの態様においては、部分パッド電圧は、出力パッド112上の電圧の約2分の1である。しかしながら、本発明はこの点において限定はされない。例として、電圧降下素子160は、ダイオード、直列に接続された2つ以上のダイオード、抵抗器、バッテリ、またはこれらの素子の組合せとすることができる。それぞれの場合において、電圧降下素子160は、出力パッド112上の指定された最大電圧と、部分パッド電圧との差分がドライバ回路内のトランジスタに過度のストレスをかけないように、選択される。
【0016】
電力調整器120によって実施される動作のフローチャートが図3に示されている。動作200において、出力パッド112上の電圧に応じて、部分パッド電圧が分圧器130によって生成される。上記のように、分圧器130の分割比は、出力パッド112上の所与の電圧に対して、ドライバ回路110内のトランジスタへの損傷を避けるように選択される。動作202において、電源電圧VDDが不在であるかどうかの判定が行われる。
【0017】
この判定は、レディ信号122の状態から行ってもよい。電源電圧が不在ではない(存在する)場合には、動作204において、電源電圧がドライバ回路に印加される。動作202において、電源電圧が不在であると判定される場合には、動作206において、部分パッド電圧がドライバ回路に印加される。部分パッド電圧は、出力パッド112上の電圧が非ゼロであるときにのみ、非ゼロであることが理解されるであろう。電力調整器120は、このようにして電源電圧の状態を連続的に監視する。
【0018】
本発明の一態様による出力ドライバ100の実装の概略図が図4に示されている。出力ドライバ100の実装は、ドライバ回路110および電力調整器120を含む。ドライバ回路110において、PMOSトランジスタ220、222およびNMOSトランジスタ224、226は、供給電圧VDDとグラウンドの間で直列に連結されて、基本出力ドライバを形成する。トランジスタ222と224を接続するノード230は、抵抗器254を介して出力パッド112に連結されている。ドライバ回路110は、電力調整器120から保護供給電圧124を受け取る。PMOSトランジスタ240、250およびNMOSトランジスタ242、252、224のゲートは、保護供給電圧に接続されている。ドライバ回路110もまた、電力調整器120から保護ウエル電圧126を受け取る。
【0019】
MUX228は、PMOSトランジスタ232、234を含む。トランジスタ232は、保護ウエル電圧126を受け取り、トランジスタ234は、出力パッド112に連結されている。MUX228の出力は、PMOSトランジスタ220、222、240、244、250のウエルに連結されている。
【0020】
供給電圧VDDが存在し、パッド電圧がVDDより低いとき、MUX228は、供給電圧VDDをトランジスタ220、222のバックゲートに提供する。パッド電圧がVDDを超える場合には、大きな電流がトランジスタ220、222の寄生ダイオードを通り、供給電圧VDDに流れることができる。MUX228は、VDDまたはパッド電圧の最大値をトランジスタ220、222のウエルに印加する。供給電圧VDDが存在しないときには、パッド電圧は、トランジスタ232、234の最大動作電圧を超える可能性がある。保護ウエル電圧126をトランジスタ232、234に印加することによって、この問題が回避される。
【0021】
ドライバ回路110への入力信号には、P信号270、N信号272およびP制御信号274が含まれる。P信号270は、論理ゲート247、248を介してノード276およびトランジスタ220のゲートに連結されている。P制御信号274は、論理ゲート245、246を介してノード278、およびトランジスタ242、244に連結されている。N信号272は、NMOSトランジスタ226のゲートに連結されている。その他の態様においては、N制御信号を、2つの論理ゲートを介してNMOS224のゲートに連結することができる。これらの他の態様においては、NMOSトランジスタ224を駆動する最終論理ゲートは、保護供給電圧124によって給電される。論理ゲート246、248は、保護供給電圧124によって給電されるが、論理ゲート245、247は供給電圧VDDによって給電される。
【0022】
電力調整器120の実装の概略図が図5に示されている。電力調整器120は、電源電圧VDDおよび出力パッド112上の電圧の状態に基づいて保護供給電圧124および保護ウエル電圧126を生成する。レディ信号122は、供給電圧VDDへの直接接続によって、供給電圧VDDの遅延バージョンへの接続によって、または供給電圧VDDの部分バージョンへの接続によって、供給電圧VDDを監視する。
【0023】
供給電圧VDDが存在する場合には、レディ信号122がハイであり、ノード306(RDYB)は、NMOSトランジスタ300によってローに引き下げられる。PMOSトランジスタ302は、ノード306をノード136から絶縁して、NMOSトランジスタ304を通る電流を無効化する。これらの条件下で、ノード136上の電圧は、供給電圧VDDに近い。これによって、出力パッド112上の高周波信号が、動作中にトランジスタ340を介して保護供給電圧124に連結されるのが防止される。ノード306がローのときに、トランジスタ312はオンとなり、供給電圧VDDがトランジスタ312を通過して、保護供給電圧124が提供される。さらに、ノード306がローのときに、トランジスタ310はオンとなり、供給電圧VDDがトランジスタ310を通過して、保護ウエル電圧126が提供される。
【0024】
ダイオード接続されたNMOSトランジスタ320、322、324、326および抵抗器342は、分圧器として作用し、どのデバイスも電気的な過度のストレスを受けない。トランジスタ322および抵抗器342に接続されているノード328は、分割パッド電圧329を提供する。トランジスタ320、322、324、326は、小電流を流し、この電流は、出力パッド112の電圧がプロセス電圧限界に達するまでは実質的ではない。NMOSトランジスタ330は、この低電流をミラーリングして、NMOSトランジスタ304と一緒に、ノード136上の部分パッド電圧を出力パッド112上の電圧の約2分の1になるように設定する。電流ミラートランジスタ330は、トランジスタ302を介して電流を流す。
【0025】
レディ信号122がローレベルの状態で、トランジスタ302を通る電流は、トランジスタ302上でゲート・ソース電圧Vgsを確立する。トランジスタ330および302を通る電流は、トランジスタ304および抵抗器344も通って流れる。したがって、トランジスタ304および324内の電流はマッチングされている。この態様においては電流比は1.0であるが、この比は変えることができる。すなわち、トランジスタ304の両端のゲート・ソース電圧は、トランジスタ324の両端のゲート・ソース電圧と同一であり、ノード136上およびノード328上の電圧はほぼ等しい。出力パッド112が5.2ボルトまで上昇すると、ノード136上の部分パッド電圧は約2.6ボルトまで上昇する。
供給電圧VDDが存在しない場合には、レディ信号122がローであり、ノード306はハイである。トランジスタ340のゲートは、ローレベルのレディ信号122を受け取り、部分パッド電圧が、トランジスタ340を通過して、保護供給電圧124を提供する。
【0026】
トランジスタ312のゲートは、ノード306上でハイレベルを受けて、オフとなる。PMOSトランジスタ310、312、340は、保護供給電圧124に接続された、共通ウエルを共有する。供給電圧VDDが存在しない場合には、トランジスタ310は、ノード306上のハイレベルによってオフとなる。結果として、保護供給電圧124は、トランジスタ310のウエルおよび寄生ダイオードを介して、保護ウエル電圧126に高インピーダンスで連結される。すなわち、供給電圧VDDが存在しないときに、保護供給電圧124および保護ウエル電圧126は、両方とも、出力パッド電圧の約2分の1である。他の態様においては、別個の保護ウエル電圧は使用されず、保護供給電圧124が、保護を必要とするドライバ回路110内のトランジスタのウエルに連結される。
【0027】
望ましい場合には、抵抗器342、344は、追加の電圧を降下させるように選択してもよい。他の態様においては、抵抗器342、344は、追加の電圧降下のために代替デバイスで置き換えるか、または省略してもよい。NMOSトランジスタ350は、出力パッド112が迅速にロー側に駆動されたときに、分圧器を迅速に放電させるために使用される。トランジスタ350は、回路の動作には必要ではないが、用途によっては有用である。
【0028】
保護供給電圧124は、ドライバ回路110内のトランジスタのゲートに印加されるが、そうでなければ、電力供給VDDが存在しないときに、これらのトランジスタには出力パッド112上の電圧の存在によって過度のストレスがかかることになる。図4におけるNMOSドライバトランジスタ224を考え、最大電圧定格3.3ボルトを仮定する。5.2ボルトの電圧が出力パッド112に印加され、供給電圧VDDがオフであるために、トランジスタ224のゲートがグラウンドにある場合には、トランジスタ224に過度のストレスがかかることになる。しかしながら、本発明の機能によれば、保護供給電圧124が、トランジスタ224のゲートに印加される。
【0029】
これらの条件下では、保護供給電圧は部分パッド電圧である。部分パッド電圧は、出力パッド112上の電圧の約2分の1であるか、または出力パッド112上の5.2ボルトの電圧に対して約2.6ボルトである。これらの条件下では、トランジスタ224は、出力パッド112上の電圧と、保護供給電圧との差、または上記の例では約2.6ボルトを受けることになる。すなわち、トランジスタ224は過度のストレスを受けない。同様の分析を、ドライバ回路110内のその他のトランジスタに適用することができる。
【0030】
分圧器130の分割比は、出力パッド112上の指定の最大電圧と部分パッド電圧の差分がドライバ回路内のトランジスタに過度のストレスをかけないように選択される。このように本発明の様々な態様について説明したが、当業者は多数の改良や修正を思い付くであろう。したがって、本発明の広さを、図示して説明した特定の態様に限定することを意図するものではない。そうではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されるものである。
図1
図2
図2A
図3
図4A
図4B
図5