(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0013】
複数の光ファイバを有する光ファイバユニットと、前記光ファイバユニットを収容部に収容し、外形が円形状の外被と、前記外被に埋設された2つの抗張力体と、2つのリップコードと、を備えた光ケーブルであって、前記光ケーブルの断面において、前記収容部を挟む前記2つの抗張力体を結ぶ方向を第1方向とし、前記第1方向と交差する方向を第2方向としたとき、前記収容部の断面形状は、前記第2方向の寸法が前記第1方向の寸法よりも長く、前記光ケーブルの断面において、前記2つのリップコードを結ぶ方向が前記第2方向になるように、前記2つのリップコードが前記光ファイバユニットを挟んで配置されていることを特徴とする光ケーブルが明らかとなる。
このような光ケーブルによれば、円形状の光ケーブルのリップコード上の被覆厚を抑制し、作業性を向上させることができる。
【0014】
前記収容部の前記断面形状は、前記第1方向を短径とし、前記第2方向を長径とする楕円形状であることが望ましい。これにより、円形状の光ケーブルのリップコード上の被覆厚を抑制し、作業性を向上させることができる。
前記複数の光ファイバは、SZ型に撚られており、前記収容部の前記第1方向の寸法をL1、前記第2方向の寸法をL2としたとき、L1/L2が0.55以上であることが望ましい。これにより、伝送損失を抑制できる。
【0015】
前記収容部の前記断面形状は、前記第2方向に沿う2つの直線部と、前記直線部の前記第2方向の両端の2つの円弧部とによって囲まれた形状であることが望ましい。これにより、円形状の光ケーブルのリップコード上の被覆厚を抑制し、作業性を向上させることができる。
前記複数の光ファイバは、SZ型に撚られており、前記収容部の前記第1方向の寸法をL1、前記第2方向の寸法をL2としたとき、L1/L2が0.60以上であることが望ましい。これにより、伝送損失を抑制できる。
【0016】
前記収容部の前記断面形状は、前記2つの抗張力体を結ぶ線上でくびれた形状であることが望ましい。これにより、円形状の光ケーブルのリップコード上の被覆厚を抑制し、作業性を向上させることができる。
前記複数の光ファイバは、SZ型に撚られており、前記収容部の前記第1方向の寸法をL1、前記第2方向の寸法をL2としたとき、L1/L2が0.75以上であることが望ましい。これにより、伝送損失を抑制できる。
【0017】
前記複数の光ファイバは、一方向に撚られていることが望ましい。これにより、伝送損失を抑制できる。
【0018】
前記抗張力体は、ノンメタリック材料であることが望ましい。このような場合に、特に有利である。
【0019】
===第1実施形態の光ケーブル1===
<光ケーブル1の構成>
図1Aは、第1実施形態の光ケーブル1の断面図である。
図1Bは、第1実施形態の外被6の収容部6Aの断面形状の説明図であり、
図1Aの光ファイバユニット2を除いた図である。光ケーブル1は、複数の光ファイバ4Aと、押え巻きテープ5と、外被6と、一対の抗張力体7と、一対のリップコード8とを有する。以下の説明では、複数の光ファイバ4Aと押え巻きテープ5の集合体のことを「光ファイバユニット2」と呼ぶことがある。但し、押え巻きテープ5の無い光ケーブル1の場合には、複数の光ファイバ4Aの束のことを「光ファイバユニット2」と呼ぶこともある。また、「光ファイバユニット」のことを「光ファイバコア」と呼ぶこともある。
【0020】
複数の光ファイバ4Aは、ここでは12枚の間欠固定型の光ファイバテープ4が集線されることによって形成されている。1枚の間欠固定型の光ファイバテープ4は12心で構成されており、光ケーブル1は、全部で144本の光ファイバ4Aを有している。
【0021】
図2は、間欠固定型の光ファイバテープ4の説明図である。間欠固定型の光ファイバテープ4とは、隣接する光ファイバ4A間を連結する連結部4Bが光ファイバ4Aの長手方向と幅方向にそれぞれ間欠的に配置された光ファイバテープ4である。
間欠固定型の光ファイバテープ4は、並列する3心以上の光ファイバ4A(光ファイバ心線)から構成されている。互いに隣接する2心の光ファイバ4A間を連結する複数の連結部4Bが、長手方向及び幅方向に2次元的に間欠的に配置されている。連結部4Bは、例えば紫外線硬化型樹脂又は熱可塑性樹脂によって、隣接する2心の光ファイバ4A間を連結する部位である。隣接する2心の光ファイバ4A間の連結部4B以外の領域は、非連結部になっている。非連結部では、隣接する2心の光ファイバ4A同士は拘束されていない。これにより、光ファイバテープ4を丸めて筒状(バンドル状)にしたり、折りたたんで収納したりでき、光ケーブル1に多数の光ファイバ4Aを高密度に収容することが可能である。
【0022】
なお、複数の光ファイバ4Aは、間欠固定型の光ファイバテープ4から構成しなくても良い。例えば、間欠固定型の光ファイバテープ4の代わりに、単心の光ファイバ4Aから構成してもよい。また、光ファイバ4Aの本数は144本に限られるものではない。また、複数の光ファイバ4Aの束は、バンドル材(識別部材)で束ねた光ファイバ束を複数束ねることによって構成しても良い。この場合、バンドル材で束ねた光ファイバ束のことを「サブユニット」と呼ぶこともある。
【0023】
押え巻きテープ5は、複数の光ファイバ4Aを包む部材である。押え巻きテープ5には、ポリイミドテープ、ポリエステルテープ、ポリプロピレンテープ、ポリエチレンテープ等が使用される。この他、押え巻きテープ5として不織布を利用することができる。この場合、不織布は、ポリイミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等をテープ状に形成したものが使用される。なお、不織布は、吸水パウダー等を付着・塗布させたものや、そのための表面加工を施したものであっても良い。押え巻きテープ5は、不織布にポリエステルフィルム等のフィルムを貼り合わせたものでも良い。
【0024】
外被6は、光ファイバユニット2(複数の光ファイバ4A及び押え巻きテープ5)を収容部6Aに収容するように被覆する部材である。外被6の材料としては、例えばポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ナイロン(商標登録)、フッ化エチレン又はポリプロピレン(PP)等の樹脂が使用可能である。また、外被6の材料として、例えば水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムのような水和金属化合物を難燃剤として含有するポリオレフィンコンパウンドも使用可能である。ここでは、外被6には中密度ポリエチレンが用いられている。外被6には、一対の抗張力体7と、一対の引き裂き紐が埋め込まれている。
【0025】
本実施形態では、外被6の外形は、円形状である。既存のクロージャや引き留め用巻き付けグリップ等は、円形状の光ケーブル1を対象にしているものが多いため、本実施形態の光ケーブル1に対しても適用可能である。
【0026】
抗張力体7は、外被6の収縮に抗い、外被6の収縮により光ファイバユニット2に印加される歪みや曲げを抑制する部材である。抗張力体7は、線状の部材であり、その長手方向が光ケーブル1の長手方向(ケーブル方向)に沿うように、外被6の内部に埋設されている。抗張力体7の材料としては、ノンメタリック材料やメタリック材料が使用可能である。ノンメタリック材料としては、例えばガラスFRP(GFRP)、ケブラー(登録商標)により強化したアラミド繊維強化プラスチック(KFRP)、ポリエチレン繊維により強化したポリエチレン繊維強化プラスチックなどの繊維強化プラスチック(FRP)が使用可能である。メタリック材料としては、鋼線などの金属線が使用可能である。ここでは、抗張力体7にはガラスFRPが用いられている。
【0027】
リップコード8は、外被6の引き裂きに用いられる紐(引き裂き紐)である。作業者は、引き裂き紐を引っ張ることによって、外被6を引き裂き、外被6を剥ぎ、光ケーブル1内の光ファイバ4Aを取り出すことになる。リップコード8は、光ファイバユニット2の周囲に縦添えされており、外被6に埋設されているか、若しくは外被6と光ファイバユニット2との間に配置されている。リップコード8は、例えばポリエステル、ポリイミド、アラミドなどの繊維、繊維の集合体若しくは繊維に樹脂を含浸させたものが使用可能である。
【0028】
<抗張力体7とリップコード8の配置>
一対の抗張力体7は、光ファイバユニット2(又は収容部6A)を挟むように、外被6の内部に埋設されている。以下の説明では、光ケーブル1の断面において一対の抗張力体7を結ぶ方向のことをX方向(第1方向)と呼び、X方向に直交する方向をY方向(第2方向)と呼ぶことがある。なお、一対の抗張力体7を結ぶ面は光ケーブル1を湾曲させたときの中立面となり、一対の抗張力体7を結ぶ線は中立面上の線になる。仮に左右にそれぞれ2以上の抗張力体7が配置されており(例えば後述の
図15参照)、光ファイバユニット2(又は収容部6A)が一方の2以上の抗張力体7と、他方の2以上の抗張力体7との間に挟まれている場合には、X方向は、一方の2以上の抗張力体7の中間位置と他方の2以上の抗張力体7の中間位置とを結んだ方向となる。また、このような中間位置同士を結ぶ線も、光ケーブル1を湾曲させたときの中立面上の線になる。
【0029】
一対のリップコード8は、複数の光ファイバ4A(又は収容部6A)を挟むように、外被6に埋設されている。光ケーブル1の断面において一対のリップコード8を結ぶ方向は、Y方向(第2方向)である。
【0030】
図3A及び
図3Bは、太さの異なる抗張力体7を用いた参考例の光ケーブルの比較説明図である。
図3Aは、鋼線の抗張力体7を用いた参考例の光ケーブルの説明図である。
図3Bは、ガラスFRPの抗張力体7を用いた参考例の光ケーブルの説明図である。
図3Bに示すように、抗張力体7にノンメタリック材料であるガラスFRPを用いた場合、鋼線と比べて弾性率が小さいため、光ケーブルに必要とされる抗張力を得るために、ガラスFRPで構成された抗張力体7の外径を太くする必要がある。
一方、抗張力体7がその機能を果たすためには、抗張力体7の周囲に所定の被覆厚(例えば0.6mm)を確保する必要がある。このため、抗張力体7が太くなった場合には、外被6を厚くする必要がある。
但し、太い抗張力体7を外被6に埋め込むために外被6をそのまま厚くすると、リップコード8(引き裂き紐)に対する被覆も厚くなる。リップコード8上の被覆が厚くなると、リップコード8を引っ張るのに大きな力が必要になったり、大きな力で引っ張られたリップコード8が切断したりして、作業性が低下してしまう。
【0031】
図4A及び
図4Bは、本実施形態と参考例の光ケーブルの比較説明図である。
図4Aは、本実施形態の光ケーブル1の説明図である。
図4Bは、
図3Bに示す参考例の光ケーブル1の説明図である。
【0032】
図4Aに示すように、本実施形態では、光ファイバユニット2を収容する外被6の収容部6Aが、楕円形状になっている。光ケーブル1の断面において、楕円形状の収容部6Aの短軸はX方向であり(光ケーブル1を湾曲させたときの中立面上にあり)、長軸はY方向である。言い換えると、収容部6Aの断面形状は、Y方向の寸法(長径)はX方向の寸法(短径)よりも長く、Y方向に延びた形状をしている。
【0033】
本実施形態では、外被6の外形が円形状であると共に、外被6の収容部6Aが楕円形状になっている。このため、楕円形状の収容部6Aの短軸方向(X方向)では、収容部6Aの内周面から外被6の外周面までの寸法が厚くなり、楕円形状の収容部6Aの長軸方向(Y方向)では、収容部6Aの内周面から外被6の外周面までの寸法が薄くなる。つまり、外被6は、X方向に厚く、Y方向に薄くなる(
図1Bも参照)。
【0034】
そして、本実施形態では、抗張力体7は、収容部6Aから見てX方向に配置されている。つまり、抗張力体7は、外被6の厚い方向に配置されている。このため、本実施形態では、参考例ほど外被6の外径を大きくしなくても、抗張力体7を埋設するだけの外被6の肉厚を確保できる。この結果、本実施形態の光ケーブル1は、
図4Bに示す参考例と比べて、収容部6Aの面積を一定に保ったまま、光ケーブル1を細くできる。
【0035】
一方、本実施形態では、リップコード8は、収容部6Aから見てY方向に配置されている。つまり、リップコード8は、外被6の薄い方向に配置されている。この結果、本実施形態では、リップコード8上の被覆厚(リップコード8から外被6の外周面までの寸法)は、
図4Bに示す参考例と比べて、薄くできる。つまり、本実施形態の光ケーブル1は、光ファイバが温度変化等によるケーブルの伸縮に耐えうる空間を保持したまま(すなわち、収容部6Aの面積を保持したまま)、リップコード8上の被覆厚を低減し、光ケーブル1の外径を低減できる。また、本実施形態のようにリップコード8上の被覆厚を抑制できれば、リップコード8を引っ張る力が小さくて済むため、作業性が向上する。また、リップコード8の切断も抑制できる。
なお、光ケーブル1を細くできただけでもリップコード8上の被覆厚を抑制できるが、本実施形態では、リップコード8をY方向に配置することによって更にリップコード8上の被覆厚を抑制できる。つまり、本実施形態では、リップコード8上の被覆厚の薄肉化という効果を相乗的に得ている。
【0036】
===第2実施形態の光ケーブル1===
図5Aは、第2実施形態の光ケーブル1の断面図である。
図5Bは、第2実施形態の外被6の収容部6Aの断面形状の説明図であり、
図5Aの光ファイバユニット2を除いた図である。第1実施形態と比べると、第2実施形態の収容部6Aの形状が異なっている。
【0037】
第2実施形態の収容部6Aの断面形状は、第1実施形態と同様に、Y方向の寸法がX方向の寸法よりも長く、Y方向に延びた形状をしている。外被6の外形が円形状であるため、第2実施形態においても、外被6は、X方向に厚く、Y方向に薄くなる。
また、第2実施形態においても、一対の抗張力体7は、光ファイバユニット2(又は収容部6A)をX方向から挟むように、外被6の内部に埋設されている。つまり、第2実施形態においても、抗張力体7は、外被6の厚い方向に配置されている。このため、第2実施形態においても、
図4Bに示す参考例と比べて、収容部6Aの面積を一定に保ったまま、光ケーブル1を細くできる。
また、一対のリップコード8は、光ファイバユニット2(又は収容部6A)をY方向から挟むように、外被6に埋設されている。つまり、第2実施形態においても、リップコード8は、外被6の薄い方向に配置されている。このため、第2実施形態においても、
図4Bに示す参考例と比べて、リップコード8上の被覆厚(リップコード8から外被6の外周面までの寸法)を薄くできる。つまり、第2実施形態においても、光ファイバが温度変化等によるケーブルの伸縮に耐えうる空間を保持したまま(すなわち、収容部6Aの面積を保持したまま)、リップコード8上の被覆厚を低減し、光ケーブル1の外径を低減できる。
【0038】
前述の第1実施形態の収容部6Aは楕円形状であるのに対し、第2実施形態の収容部6Aの断面形状は、Y方向に沿う2つの直線部61と、これらの直線部61のY方向の両端に配置された2つの曲線部62とによって囲まれた形状である。トラック競技のトラックに似た形状であるため、以下の説明では、この形状のことを「トラック形状」と呼ぶことがある。
【0039】
光ケーブル1の断面における2つの直線部61は、2つの抗張力体7を結ぶ線上で、2つの抗張力体7を結ぶ線に対して垂直に、配置されている。光ケーブル1の収容部6Aの内周面となる2つの対向する平面(光ケーブル1のケーブル方向に延びる平面)が、光ケーブル1の断面における2つの直線部61を構成している。
【0040】
光ケーブル1の断面における2つの曲線部62は、所定の半径の半円である。但し、所定の曲率半径が確保されていれば、半円に限られるものではなく、例えば半円の一部や楕円の一部であっても良い。2つの曲線部62によって、2つのリップコード8を結ぶ線上では収容部6Aが外側に向かって膨らんだ形状になる。このため、曲線部62を直線部61にして収容部6Aを矩形状にした場合と比べると、リップコード8上の被覆厚を薄くできる。
【0041】
第1実施形態のように収容部6Aが楕円形状の場合、2つの抗張力体7を結ぶ線上では、収容部6Aが抗張力体7に向かって膨らんだ形状になる。このため、仮に収容部6Aの断面積が同じ場合には、第1実施形態の方が、第2実施形態よりも、収容部6AのX方向の寸法を長くする必要があり、この結果、収容部6AのY方向の寸法が短くなる。言い換えると、第2実施形態のように、2つの抗張力体7を結ぶ線上に直線部61を配置すれば、第1実施形態と比べて、収容部6AのX方向の寸法を短くでき、収容部6AのY方向の寸法を長くできる。このため、第2実施形態では、第1実施形態よりも光ケーブル1を細くすることが可能になるとともに、リップコード8上の被覆厚(リップコード8から外被6の外周面までの寸法)を更に薄くできる。
【0042】
===第3実施形態の光ケーブル1===
図6Aは、第3実施形態の光ケーブル1の断面図である。
図6Bは、第3実施形態の外被6の収容部6Aの断面形状の説明図であり、
図6Aの光ファイバユニット2を除いた図である。第1実施形態及び第2実施形態と比べると、第3実施形態の収容部6Aの形状が異なっている。
【0043】
第3実施形態の収容部6Aの断面形状は、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、Y方向の寸法がX方向の寸法よりも長く、Y方向に延びた形状をしている。外被6の外形が円形状であるため、第3実施形態においても、外被6は、X方向に厚く、Y方向に薄くなる。
また、第3実施形態においても、一対の抗張力体7は、光ファイバユニット2(又は収容部6A)をX方向から挟むように、外被6の内部に埋設されている。つまり、第3実施形態においても、抗張力体7は、外被6の厚い方向に配置されている。このため、第3実施形態においても、
図4Bに示す参考例と比べて、収容部6Aの面積を一定に保ったまま、光ケーブル1を細くできる。
また、一対のリップコード8は、光ファイバユニット2(又は収容部6A)をY方向から挟むように、外被6に埋設されている。つまり、第3実施形態においても、リップコード8は、外被6の薄い方向に配置されている。このため、第3実施形態においても、
図4Bに示す参考例と比べて、リップコード8上の被覆厚(リップコード8から外被6の外周面までの寸法)を薄くできる。つまり、第3実施形態においても、光ファイバが温度変化等によるケーブルの伸縮に耐えうる空間を保持したまま(すなわち、収容部6Aの面積を保持したまま)、リップコード8上の被覆厚を低減し、光ケーブル1の外径を低減できる。
【0044】
第3実施形態の収容部6Aの断面形状は、2つの抗張力体7を結ぶ線上でくびれた形状である。以下の説明では、以下の説明では、この形状のことを「くびれ形状」と呼ぶことがある。
【0045】
くびれ形状では、2つの抗張力体7を結ぶ線上での収容部6AのX方向の寸法L1よりも、2つの抗張力体7を結ぶ線から離れた位置での収容部6AのX方向の寸法L3が長くなる。言い換えると、くびれ形状の場合、収容部6AのX方向の最大寸法L3の位置は、2つの抗張力体7を結ぶ線上とは異なる場所になる。これにより、2つの抗張力体7を結ぶ線上での収容部6AのX方向の寸法L1を狭めつつ、収容部6Aの断面積を確保できる。
なお、収容部6AのX方向の最大寸法L3の位置は、2つの抗張力体7を結ぶ線よりも抗張力体7の半径以上離れていることが望ましい。これにより、収容部6AのX方向の最大寸法L3の位置のX方向には抗張力体7が無いので、収容部6AのX方向の最大寸法L3を大きくしやすくなる。
【0046】
第3実施形態では、2つの抗張力体7を結ぶ線上では、収容部6Aが内側に凹んだ形状になる。このため、仮に収容部6Aの断面積が同じ場合には、第3実施形態では、他の実施形態と比べて、2つの抗張力体7を結ぶ線上での収容部6AのX方向の寸法を短くでき、収容部6AのY方向の寸法を長くできる。このため、第3実施形態では、他の実施形態よりも光ケーブル1を細くすることが可能になるとともに、リップコード8上の被覆厚(リップコード8から外被6の外周面までの寸法)を更に薄くできる。
【0047】
なお、既に説明した通り、収容部6Aの断面形状がくびれ形状の場合には、2つの抗張力体7を結ぶ線上での収容部6AのX方向の寸法L1を短くすることが可能になり、光ケーブル1を細くできるという効果が得られるが、この効果自体は、光ケーブル1にリップコード8が無くても得られる効果である(但し、本実施形態では、リップコード8上の被覆厚を薄くすることを目的としており、光ケーブル1にリップコード8があることが前提となっている)。
図7は、リップコードが無い場合の参考説明図である。図に示す通り、2つの抗張力体7を結ぶ線上での収容部6AのX方向の寸法L1よりも、2つの抗張力体7を結ぶ線から離れた位置での収容部6AのX方向の寸法L3が長くなる。つまり、2つの抗張力体7を結ぶ線上では、収容部6Aが、内側に凹んだ形状になる。このため、仮に収容部6Aの断面積が同じ場合には、
図7のようにリップコード8が無くても、他の実施形態と比べて、2つの抗張力体7を結ぶ線上での収容部6AのX方向の寸法L1を短くでき、光ケーブル1を細くできるという効果が得られる。
【0048】
===光ケーブル1の製造方法===
図8Aは、光ケーブル1の製造装置の工程図である。
複数枚(ここでは12枚)の間欠固定型の光ファイバテープ4が集合機12に供給される。集合機12でSZ型に撚られて集線された複数の光ファイバ4Aは、押え巻きテープ5に巻かれて押出機14に供給される。押出機14には、光ファイバユニット2(ここでは複数の光ファイバ4A及び押え巻きテープ5)と、2本の抗張力体7と、2本のリップコード8とが供給される。押出機14は、抗張力体7とリップコード8をそれぞれの供給源から繰り出しながら、光ファイバユニット2を走行させつつ、光ファイバユニット2の周囲に外被6を被覆する。
【0049】
図8Bは、押出機14のニップル16とダイス18の説明図である。
押出機14に供給された光ファイバユニット2(複数の光ファイバ4A及び押え巻きテープ5)、抗張力体7及びリップコード8は、ニップル16によってダイス孔に導かれる。ダイス18内には外被6を構成する樹脂が充填されており、円形状のダイス孔から、外被6で被覆された円形状の光ケーブル1が押し出される。
【0050】
図9A及び
図9Bは、ニップル16の説明図である。
ニップル16には、光ファイバユニット2を案内する案内孔16Aが形成されている。また、ニップル16には、抗張力体7を案内する孔16Bや、リップコード8を案内する孔16Cも形成されている。光ファイバユニット2を案内する案内孔16Aの断面形状は、第1実施形態の光ケーブル1の製造時には楕円形状となり、第2実施形態の光ケーブル1の製造時にはトラック形状となり、第3実施形態の光ケーブル1の製造時にはくびれ形状となる。図中の案内孔16Aの断面形状はくびれ形状である。案内孔16Aは、Y方向の寸法がX方向の寸法よりも長く、Y方向に延びた形状をしている。このため、Z方向に走行する光ファイバユニット2は、案内孔16Aに導かれるときにX方向に扱(しご)かれることになる。
【0051】
本件発明者は、複数の光ファイバ4AがSZ型に撚られている場合、Y方向に延びた形状の案内孔16Aに光ファイバユニット2を通し、光ファイバユニット2の中の複数の光ファイバ4Aが案内孔16Aで扱(しご)かれると、次に説明する「撚り戻り」という現象が生じることを発見した。
図10Aは、「撚り戻り」という現象が生じた光ケーブル1の写真である。この写真は、光ケーブル1の内部をボンドで固めた後、外被6等を除去して内部を露出させて撮影した写真である。
図10Bは、
図10Aの中の或る光ファイバ4Aの状態の説明図である。「撚り戻り」という現象が生じると、光ケーブル1内の一部の光ファイバ4Aに撚りの無い領域や、急激に蛇行する領域が生じる。光ファイバ4Aに撚りの無い領域があると、光ケーブル1をドラムに巻いたときに、過度の圧縮歪みや伸び歪が加わり、伝送特性が劣化したり、破断寿命が低減したりするおそれがある。また、急激に蛇行する領域(光ファイバ4Aに急な曲げが加わる領域)があると、伝送特性が劣化したり、光ファイバ4Aが破断したりするおそれがある。
図10Bに示す光ファイバ4Aには急激に蛇行する領域があるため、この領域で伝送特性が劣化すると考えられる。
【0052】
図11A及び
図11Bは、「撚り戻り」の発生メカニズムの説明図である。光ファイバユニット2の中の特定の光ファイバ4Aを黒太線で図中に示している。
SZ型に撚られた複数の光ファイバ4AがY方向に延びた形状の案内孔16Aを通ると、複数の光ファイバ4Aが案内孔16Aによって扱(しご)かれる。なお、図中では、複数の光ファイバ4Aは、案内孔16Aの入り口で扱かれるものとしているが、扱かれる領域は案内孔16Aのいずれの場所でも良い。複数の光ファイバ4Aが案内孔16Aによって扱(しご)かれると、扱かれた領域では光ファイバ4Aの撚りが戻ってしまい、光ファイバ4Aに撚りの無い領域が生じる。また、扱かれた領域の上流側では、光ファイバ4Aの歪みが徐々に蓄積していく。複数の光ファイバ4AがSZ型に撚られているため、光ファイバ4Aの撚りが逆方向に変化したときに、歪みの蓄積した領域が案内孔16Aに引き込まれ、この結果、
図10Bに示すように、急激に蛇行する領域が生じる。「撚り戻り」の発生メカニズムは、このような原因によるものと考えられている。
【0053】
「撚り戻り」の発生メカニズムは、上記の通り、複数の光ファイバ4Aが案内孔16Aによって扱(しご)かれることに起因していると考えられている。このため、複数の光ファイバ4AがSZ型に撚られている場合、案内孔16Aの断面形状が円形状に近いほど「撚り戻り」が発生しにくくなり、案内孔16Aの断面形状が縦長になるほど「撚り戻り」が発生しやすくなる。言い換えると、製造する光ケーブル1の収容部6Aの断面形状が円形状に近いほど「撚り戻り」が発生しにくくなり、光ケーブル1の収容部6Aの断面形状が縦長になるほど「撚り戻り」が発生しやすくなる。
【0054】
上記の通り、光ケーブル1の収容部6Aの断面形状を縦長にさせすぎると、「撚り戻り」が発生しやすくなり、光ファイバ4Aの伝送特性の劣化を招くことになる。このため、光ファイバ4Aの伝送特性を維持するには、収容部6Aの断面形状におけるX方向の寸法L1に対して、Y方向の寸法L2を大きくさせることには限界がある。
第1実施形態のように収容部6Aの断面形状が楕円形状の場合、L1/L2が0.55以上であることが望ましい。また、第2実施形態のように収容部6Aの断面形状がトラック形状の場合、L1/L2が0.60以上であることが望ましい。また、第3実施形態のように収容部6Aの断面形状がくびれ形状の場合、L1/L2が0.75以上であることが望ましい。この範囲内であれば、複数の光ファイバ4AがSZ型に撚られていても、光ファイバ4Aの伝送損失の劣化を抑制できる。
【0055】
なお、複数の光ファイバ4AがSZ型に撚られている場合、光ファイバ4Aの撚りが逆方向に変化する領域があるため、
図10Bに示すように急激に蛇行する領域が生じてしまう。一方、複数の光ファイバ4Aが一方向に撚られている場合、光ファイバ4Aの撚りが逆方向に変化する領域が無いため、このような現象は発生しない。このため、一方向に撚られた複数の光ファイバ4Aを用いることは、光ファイバ4Aの伝送損失の劣化を招きにくいので、有利である。
【0056】
===実施例===
・第1実施例
12心の間欠固定型光ファイバテープ4で144心(12心×12枚)の光ファイバユニット2を構成して、光ケーブル1を製造した。抗張力体7として直径1.7mmのガラスFRP(GFRP)を用い、外被6として中密度ポリエチレンを被覆した。光ファイバ4Aは500mmのピッチでSZ型に撚り合わせた。
第1実施例の光ケーブル1では、収容部6Aを楕円形状とし、
図1に示す構造の光ケーブル1を製造した。第1実施例の光ケーブル1では、収容部6AのX方向の寸法(短径)をL1、Y方向の寸法(長径)をL2としたとき、L1/L2を0.80である。
比較例の光ケーブルでは、収容部6Aを円形状(L1/L2が1)とし、
図3B(又は
図4B)に示す構造の光ケーブルを製造した。
【0057】
抗張力体7の周囲に0.6mmの被覆厚を確保した結果、比較例の光ケーブルでは外径が9.9mmとなった。これに対し、第1実施例の光ケーブル1では、外径が9.5mmとなった。つまり、第1実施例では、抗張力体7の周囲の被覆厚を確保しつつ、0.4mmの細径化を実現できた。
また、比較例の光ケーブルでは、リップコード8上の被覆厚が2.5mmであった。これに対し、第1実施例の光ケーブル1では、リップコード8上の被覆厚が2.0mmであった。つまり、第1実施例では、リップコード8上の被覆厚の0.5mmの薄肉化を実現できた。なお、第1実施例のリップコード8上の被覆厚の0.5mmの薄肉化は、光ケーブル1の細径化(上記の0.4mmの細径化)から得られる効果を超えたものである。
【0058】
・第2実施例
次に、収容部6Aの断面形状が楕円形状、トラック形状及びくびれ形状となる光ケーブル1をそれぞれ製造した。また、各光ケーブル1に対して、収容部6AのX方向の寸法をL1、Y方向の寸法をL2としたとき、L2に対するL1の比率R(=L1/L2)が0.45〜0.90の範囲で0.05ずつ異なる光ケーブル1をそれぞれ製造した。なお、いずれの光ケーブル1においても、収容部6Aの断面積を13.1mm
2に設定した。収容部6Aの断面形状がトラック形状の場合には、曲線部62の曲率半径を1.25mmにしつつ、収容部6Aの断面積を13.1mm
2に設定した。収容部6Aの断面形状がくびれ形状の場合には、製造対象とすべき比率R(=L1/L2)に対して、実際の寸法L1’(mm),L2’(mm)を次式のように設定し、表1に示すように実際の比率(=L1’/L2’)がほぼ0.05ずつ異なるようにした。
L1’=3.36×R+0.8464
L2’=−1.31×R+5.4803
【0060】
また、第2実施例においても、第1実施例と同様に、抗張力体7として直径1.7mmのガラスFRP(GFRP)を用い、外被6として中密度ポリエチレンを被覆し、抗張力体7の周囲に0.6mmの被覆厚を確保した。光ファイバ4Aは500mmのピッチでSZ型に撚り合わせた。
【0061】
これらの光ケーブル1の評価方法として、それぞれの光ケーブル1を1000mとして、OTDR法により伝送損失と、局所的な損失の有無(段差ロス)を測定した。
図12Aは、OTDR法による測定の説明図である。測定器(OTDR)をダミーファイバに接続し、このダミーファイバと光ケーブル1の測定対象となる1本目の光ファイバ4Aとを融着接続した。更に測定対象となる1本目の光ファイバ4Aと2本目の光ファイバ4Aとを融着接続するとともに、2本目の光ファイバ4Aの他端とダミーファイバとを融着接続した。これにより、1回の測定で2本の光ファイバ4Aの伝損失と段差ロスの有無を同時に評価できる。
図12Bは、測定結果の一例である。この測定結果では、1本目の光ファイバ4Aに段差ロスがあることが確認できる。また、段差ロスのある光ファイバ4A(1本目の光ファイバ4A)は、段差ロスの無い光ファイバ4A(2本目の光ファイバ4A)と比べて、伝送損失が大きくなることが確認できる。このようにして、光ケーブル1に含まれる各光ファイバ4Aの伝送損失と段差ロスの有無を評価した。
なお、伝送損失は、光ケーブル1を構成する全ての光ファイバ4Aのうちの伝送損失の最大値とした。評価結果を次の表2に示す。表2の数値は伝送損失を示し、表中の太枠は、段差ロスの確認された光ケーブル1を示している。
【0063】
表2の評価結果の示す通り、収容部6Aの断面形状が楕円形状の場合、L1/L2が0.50以下になると、段差ロスが発生し、伝送損失が急激に増加した。なお、段差ロスは、「撚り戻り」によって局所的な光ファイバ4Aの曲がりが生じたことが原因だと考えられる。この結果から、収容部6Aの断面形状が楕円形状の場合、L1/L2が0.55以上であることが望ましいことが確認された。
また、収容部6Aの断面形状がトラック形状の場合、L1/L2が0.55以下になると、段差ロスが発生し、伝送損失が急激に増加した。この結果から、収容部6Aの断面形状がトラック形状の場合、L1/L2が0.60以上であることが望ましいことが確認された。
また、収容部6Aの断面形状がくびれ形状の場合、L1/L2が0.70以下になると、段差ロスが発生し、伝送損失が急激に増加した。この結果から、収容部6Aの断面形状がくびれ形状の場合、L1/L2が0.75以上であることが望ましいことが確認された。
【0064】
なお、収容部6Aの断面形状がくびれ形状の場合、楕円形状やトラック形状の場合と比べると、段差ロスが発生しやすいことが確認された。これは、光ファイバ4Aの製造に用いられたニップル16の案内孔16Aの断面形状がくびれ形状であり、案内孔16Aのくびれた箇所で光ファイバ4Aが扱(しご)かれるため、光ケーブル1の製造時に光ファイバ4Aの歪みが蓄積されやすいためだと考えられる。
【0065】
ところで、第1実施例で説明した通り、収容部6Aの断面形状が楕円形状の場合、L1/L2が0.80の光ケーブル1の外径は9.5mmであった。これに対し、収容部6Aの断面形状がくびれ形状の場合、L1/L2が0.80の光ケーブル1の外径は9.13mmであった(表1参照)。このため、収容部6Aの断面形状がくびれ形状の場合には、楕円形状の場合と比べて、光ケーブル1を細くできるという効果が得られることが確認できた。なお、この効果自体は、光ケーブル1にリップコードが無くても得られる効果である。
【0066】
===その他===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
【0067】
<収容部6Aについて>
前述の実施形態では、収容部6Aの断面形状は、楕円形状、トラック形状又はくびれ形状であった。但し、収容部6Aの断面形状は、これらの形状に限られるものではない。例えば、収容部6Aの断面形状は、長方形状でも良いし、多角形状(例えば、6角形状や8角形状など)でも良い。
【0068】
<光ケーブル1について>
前述の実施形態では、外被6の内部に抗張力体7及びリップコード8だけが配置されていたが、抗張力体7及びリップコード8とは異なる部材を外被6の内部に配置しても良い。
また、前述の実施形態では、複数の光ファイバが押え巻きテープ5に包まれていたが、押え巻きテープ5が無くても良い。例えば、押え巻きテープ5の代わりに、低密度ポリエチレンからなるフォーミングパイプを配置することも可能である。
【0069】
<リップコード8について>
前述の実施形態では、光ケーブル1は一対のリップコード8を備えていた。但し、リップコード8の数は、2つに限られるものではない。例えば光ケーブル1が4又は6本のリップコードを備えていても良い。この場合、いずれか2つのリップコード8が、収容部6Aから見てY方向(外被6の薄い方向:光ケーブル1の断面において2つの抗張力体7を結ぶ方向と交差する方向)に配置されていると良い。
【0070】
<リップコード8の配置について1>
前述の実施形態では、一対のリップコード8は、収容部6Aを挟む2つの抗張力体7を結ぶ方向(X方向)と直交する方向に配置されていた。但し、リップコード8の配置は、X方向と直交する方向に限られるものではない。
図13は、収容部6Aの断面形状が楕円形状の場合における別の形態の断面図である。ここでは、光ファイバユニット2を除いた状態で図示している。楕円形状の収容部6Aの短軸は、収容部6Aを挟む2つの抗張力体7を結ぶ方向(X方向)に対して傾いている。2つのリップコード8は、楕円形状の収容部6Aを長軸方向から挟むように配置されている。このため、2つのリップコード8を結ぶ方向は、収容部6Aを挟む2つの抗張力体7を結ぶ方向に対して直交していない。
図13に示す形態においても、2つの抗張力体7を結ぶ方向(第1方向に相当)における収容部6Aの寸法が短いため、光ケーブルを細くできる。また、2つのリップコード8を結ぶ方向(第2方向に相当)における収容部6Aの寸法が長いため、リップコード8上の被覆厚(リップコード8から外被6の外周面までの寸法)を薄くできる。但し、第1実施形態の光ケーブル1と比べると、収容部6AのX方向の寸法が長くなるため、光ケーブルが若干太くなる。
【0071】
<リップコード8の配置について2>
前述の実施形態では、一対のリップコード8は、収容部6Aの延びている方向から収容部6Aを挟むように配置されていた。言い換えると、一対のリップコード8は、収容部6Aの最も寸法が長くなる方向から挟み込むように配置されていた。但し、リップコード8の配置は、これに限られるものではない。
図14A及び
図14Bは、更に別の形態の断面図である。
図14Aに示すように、収容部6Aの断面形状が楕円形状の場合であっても、2つのリップコード8が、長径方向とは異なる方向から収容部6Aを挟み込むように配置されていても良い。また、
図14Bに示すように、収容部6Aの断面形状がくびれ形状の場合であっても、収容部6Aの最も長い寸法L2の方向とは異なる方向から収容部6Aを挟み込むように配置されていても良い。このような場合においても、光ケーブルを細くしつつ、リップコード8上の被覆厚を抑制することが可能である。
【0072】
なお、
図14Bに示す形態においても、2つの抗張力体7を結ぶ線上(光ケーブル1を湾曲させたときの中立面上)では、収容部6Aが、内側に凹んだ形状になるため、2つの抗張力体7を結ぶ線上での収容部6AのX方向の寸法L1を短くでき、光ケーブル1を細くできるという効果が得られる。
【0073】
<抗張力体7について>
前述の実施形態では、光ケーブル1は一対の抗張力体7を備えていた。但し、抗張力体7の数は、2つに限られるものではない。例えば
図15に示すように、光ケーブル1が4本の抗張力体7を備えていても良い。この場合においても、収容部6Aを挟むように一対の抗張力体7が外被6の内部に埋設されている。収容部6Aを挟む一対の抗張力体7を結ぶ方向をX方向としたとき、収容部6AのX方向の寸法L1が短いため、光ケーブルを細くできる(なお、図中の上下に並ぶ2つの抗張力体7は収容部6Aを挟んでいないため、上下に並ぶ2つの抗張力体を結ぶ方向はX方向ではない)。また、2つのリップコード8を結ぶ方向はX方向と交差する方向であり、この方向の収容部6Aの寸法L2は長いため、リップコード8上の被覆厚(リップコード8から外被6の外周面までの寸法)を薄くできる。
なお、
図15の場合、光ケーブル1を湾曲させたときの中立面は、収容部6Aを挟んで上下に並ぶ2つの抗張力体の中間位置同士を結んだ面となる。言い換えると、X方向は、収容部6Aを挟んで上下に並ぶ2つの抗張力体の中間位置同士を結ぶ方向である。
【解決手段】光ケーブル1は、複数の光ファイバ4Aを有する光ファイバユニット2と、光ファイバユニット2を収容部6Aに収容し、外形が円形状の外被6と、外被6に埋設された2つの抗張力体7と、2つのリップコード8と、を備える。光ケーブル1の断面において、収容部6Aを挟む2つの抗張力体7を結ぶ方向を第1方向L1とし、第1方向L1と交差する方向を第2方向L2としたとき、収容部6Aの断面形状は、第2方向L2の寸法が第1方向L1の寸法よりも長く、光ケーブル1の断面において、2つのリップコード8を結ぶ方向が第2方向L2になるように、2つのリップコード8が光ファイバユニット2を挟んで配置されている。