特許第5719073号(P5719073)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5719073-飲料 図000008
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5719073
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】飲料
(51)【国際特許分類】
   C12G 3/00 20060101AFI20150423BHJP
   A23L 2/00 20060101ALN20150423BHJP
   A23L 2/60 20060101ALN20150423BHJP
【FI】
   C12G3/00
   !A23L2/00 A
   !A23L2/00 C
   !A23L2/00 T
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-198129(P2014-198129)
(22)【出願日】2014年9月29日
(62)【分割の表示】特願2012-120277(P2012-120277)の分割
【原出願日】2012年5月25日
(65)【公開番号】特開2015-27305(P2015-27305A)
(43)【公開日】2015年2月12日
【審査請求日】2014年9月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】工藤 実果
(72)【発明者】
【氏名】藤原 康子
(72)【発明者】
【氏名】喜多村 由利香
【審査官】 坂崎 恵美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−259061(JP,A)
【文献】 特開昭56−055174(JP,A)
【文献】 特表2005−513079(JP,A)
【文献】 特表2009−517030(JP,A)
【文献】 特開2011−030483(JP,A)
【文献】 特開2012−080897(JP,A)
【文献】 特開2011−097919(JP,A)
【文献】 特開平04−235136(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/050510(WO,A1)
【文献】 特開2011−103783(JP,A)
【文献】 特開2005−143461(JP,A)
【文献】 特開2009−159819(JP,A)
【文献】 特開2009−118841(JP,A)
【文献】 特開2009−178053(JP,A)
【文献】 Food Industry Journal,2001年,Vol.4,p.127-134
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12G 1/00−3/12
A23L 2/00−2/84
C12C 1/00−13/06
A23F 3/00−5/50
MEDLINE/BIOSIS/EMBASE/WPIDS/WPIX/CAplus(STN)
JSTplus/JMEDplus/JST7580(JDreamIII)
Food Science and Tech Abst(FSTA)/Foodline Science(ProQuest Dialog)
G−Search
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.1〜1000ppmのアルギン酸エステルと、スクラロース及び/又はアセスルファムKである高甘味度甘味料と、アルコールとを含有する飲料であって、前記飲料がスクラロースを含有する場合には、前記飲料中のスクラロースの濃度が1〜400ppmであり、前記飲料がアセスルファムKを含有する場合には、前記飲料中のアセスルファムKの濃度が1〜500ppmであり、可溶性固形分濃度が0.1〜5度である、前記飲料。
【請求項2】
さらに炭酸ガスを含有する、請求項に記載の飲料。
【請求項3】
スクラロース及び/又はアセスルファムKである高甘味度甘味料を含有する飲料に、アルギン酸エステルを0.1〜1000ppm配合することを特徴とする、アルコールを含有する飲料の製造方法であって、
製造された前記飲料がスクラロースを含有する場合には、製造された飲料中のスクラロースの濃度が1〜400ppmであり、製造された前記飲料がアセスルファムKを含有する場合には、製造された飲料中のアセスルファムKの濃度が1〜500ppmであり、製造された前記飲料の可溶性固形分濃度が0.1〜5度である、前記製造方法
【請求項4】
製造された前記飲料がさらに炭酸ガスを含有する、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
スクラロース及び/又はアセスルファムKである高甘味度甘味料とアルコールとを含有する飲料中のアルギン酸エステルの含有量を0.1〜1000ppmに調整することを特徴とする、前記飲料の呈味改善方法であって、前記飲料がスクラロースを含有する場合には、前記飲料中のスクラロースの濃度が1〜400ppmであり、前記飲料がアセスルファムKを含有する場合には、前記飲料中のアセスルファムKの濃度が1〜500ppmであり、前記飲料の可溶性固形分濃度が0.1〜5度である、前記方法。
【請求項6】
前記飲料がさらに炭酸ガスを含有する、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高甘味度甘味料に起因する好ましくない呈味が改善された飲料に関する。詳しくは、アルギン酸類を配合することによって、高甘味度甘味料に起因する甘味の後引き、苦味やエグミなどの呈味の欠点が改善された飲料、及び呈味の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲料・酒類(アルコール飲料)市場において、熱量(カロリー)を抑制した、いわゆるカロリーオフタイプの商品が人気を博している。最近では、飲料におけるカロリーが実質ゼロといえるカロリーゼロタイプのものや、糖類・糖質を実質含まない糖類ゼロ・糖質ゼロタイプのものが特に人気を集めている。このような飲料には、高甘味度甘味料が配合されている場合が多い。
【0003】
高甘味度甘味料とは、ショ糖の甘味度に対して数十倍から数百倍という強い甘味を有する天然甘味料および合成甘味料をいう。ショ糖に比べて非常に強い甘味を有するため、飲料への配合量をごく少量に抑えることができることに加えて、高甘味度甘味料自身がショ糖に比べて少量のカロリーしか有しないこともあり、飲料の甘味を維持しながら飲料のカロリーを大幅に低減できるというメリットがある。
【0004】
以上のように、高甘味度甘味料は、最近の飲料・酒類の商品開発に不可欠な原料となっている。
一方、高甘味度甘味料の飲料中での品質に関しては、甘味が長く持続するため後味の切れが悪く感じられたり、苦味・エグミが感じられたりするという欠点があることが知られている。
【0005】
この高甘味度甘味料に起因する呈味上の欠点を解決するために、いくつかの技術が知られている。例えば、以下の例示されるような、高甘味度甘味料と他の添加剤とを組み合わせる方法が知られている。
【0006】
特許文献1には、高甘味度甘味料の苦味を低減又は除去することができる、L−アスパラギン、DL−もしくはL−メチオニン、L−チロシン、L−セリン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン、DL−もしくはL−アラニン、L−ロイシン又はL−プロリンの中から選ばれるアミノ酸の少なくとも1種を有効成分とする高甘味度甘味料の苦味低減又は除去剤が開示されている。
【0007】
特許文献2には、高甘味度甘味料含有飲料に対して、グルコン酸やリンゴ酸などの有機酸及び/又はその有機酸の塩の種類と量の調整を行うことによって、高甘味度甘味料による甘味の後引きの調整を行う方法が開示されている。
【0008】
特許文献3には、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸等の有機酸の塩と、サイクロデキストリンとを特定割合で用いる、高甘味度甘味料の一種であるステビオサイドの呈味改善法が開示されている。
【0009】
特許文献4には、アスパルテーム、ステビア、シュークラロース及びアセスルファムKからなる群より選ばれる高甘味度甘味料と、ヘスペリジン及び/又はヘスペリジン誘導体を組み合わせることを特徴とする、高甘味度甘味料による後味として持続する甘味を低減する方法が開示されている。
【0010】
しかし、従来の添加剤による方法は、少ない添加量では好ましくない呈味を十分に低減できず、添加量を増やすと食品本来の味、香りなどを変化させてしまうという欠点があった。
【0011】
特に、最近人気を集めている低カロリー又は糖類ゼロの飲料においては、配合できる原材料量に大きな制約があるため、味わいが薄くなりがちであり、このような飲料にあっては、先行技術文献に開示されるような添加剤自身の味が相対的に目立ち、製品本来の目標とする品質(以下、「設計品質」とも記載する)が大きく変化してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000−270804号公報
【特許文献2】特開2003−210147号公報
【特許文献3】特開昭60−188035号公報
【特許文献4】特開平8−256725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記のような事情に鑑み、飲料の設計品質をほとんど変えることなく、かつ、高甘味度甘味料に起因する甘味の後引き、苦味やエグミなどの呈味の欠点が改善された飲料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、かかる課題について鋭意検討した結果、アルギン酸類を飲料に配合することによって、前述の課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、高甘味度甘味料を含む飲料に、アルギン酸類を配合、好ましくは特定量配合することによって、当該飲料の設計品質をほとんど変えることなく、かつ、高甘味度甘味料に起因する甘味の後引き、苦味やエグミなどの呈味の欠点を改善することができる。
【0015】
すなわち、本発明は以下の態様を有する。
(1)アルギン酸類と高甘味度甘味料とを含有する飲料。
(2)0.1〜1000ppmのアルギン酸類を含有する、(1)に記載の飲料。
【0016】
(3)アルギン酸類が、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸ナトリウム、及びアルギン酸カリウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上のアルギン酸類である、(1)又は(2)に記載の飲料。
【0017】
(4)高甘味度甘味料が、スクラロース、アセスルファムK、及びアスパルテームからなる群より選ばれる1種又は2種以上の高甘味度甘味料である、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の飲料。
【0018】
(5)さらに炭酸ガスを含有する、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の飲料。
(6)飲料の可溶性固形分濃度が0.1〜5度である、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の飲料。
【0019】
(7)さらにアルコールを含む、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の飲料。
(8)高甘味度甘味料を含有する飲料に、アルギン酸類を0.1〜1000ppm配合することを特徴とする、前記飲料の製造方法。
【0020】
(9)アルギン酸類が、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸ナトリウム、及びアルギン酸カリウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上のアルギン酸類である、(8)に記載の飲料の製造方法。
【0021】
(10)高甘味度甘味料を含有する飲料中のアルギン酸類の含有量を0.1〜1000ppmに調整することを特徴とする、当該飲料の呈味改善方法。
(11)アルギン酸類が、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸ナトリウム、及びアルギン酸カリウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上のアルギン酸類である、(10)に記載の飲料の呈味改善方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、目標とする設計品質をほとんど変えることなく、かつ、高甘味度甘味料に起因する甘味の後引き、苦味やエグミなどの好ましくない呈味が改善された飲料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】アルコール水溶液におけるブリックス値とアルコール度数との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書において、飲料に含まれる物質の濃度の単位としてppmを用いる場合は、飲料1L当たりの物質重量mg、すなわちmg/Lを表す。
本発明の飲料は、アルギン酸類と高甘味度甘味料とを含有することを特徴とする。
【0025】
(アルギン酸類)
本発明でいうアルギン酸類とは、アルギン酸、アルギン酸エステル及びアルギン酸塩のことをいう。
【0026】
アルギン酸は、広く知られた物質であり、構成ブロックであるβ−D−マンヌロン酸とα−L−グルロン酸の2種のウロン酸が1,4結合してなる直鎖状の酸性多糖類である。主に褐藻に含まれ、海水に含まれる種々の金属イオンと塩を形成して水に不溶の状態で存在しているが、アルギン酸ナトリウムなどの可溶性塩(アルギンと総称される)として抽出され得る。
【0027】
市場に流通しているアルギン酸類としては、アルギン酸の他に、アルギン酸エステル(アルギン酸に酸化プロピレンを加え、構造中のカルボキシル基にプロピレングリコールをエステル結合した誘導体)、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム及びアルギン酸アンモニウムがあり、それぞれ食品添加物として指定されている。
【0028】
アルギン酸類の食品分野での応用例としては、金属塩によるゲル化特性に基づき、保水、ゲル化、乳化、増粘安定などの目的で幅広く利用されていることが知られている。これに対し、本発明においては、アルギン酸類が、飲料に含まれる高甘味度甘味料に起因する呈味の欠点を改善する効果を有することが見出されている。また、アルギン酸類は、それ自身香味を有さないため、飲料に配合しても当該飲料の設計品質を損なうことがないという点が、従来の添加剤にない非常に優れた特徴である。
【0029】
このような効果を発揮することができるアルギン酸類としては、特に限定されないが、アルギン酸エステル(アルギン酸プロピレングリコールエステル)、アルギン酸ナトリウム及びアルギン酸カリウムが好ましい。
【0030】
本発明の飲料に配合することができる量は、その飲料の品質特性に応じて特に限定されずに決めることができるが、飲料中にアルギン酸類を0.1〜1000ppm含むとき好ましく、1〜500ppmのときより好ましく、1〜200ppmのとき更に好ましく、1〜100ppmのとき更に好ましい。尚、当該含有量は、アルギン酸類の総量である。当該含有量の測定方法としては、HPLC等の公知のいずれの方法を用いてもよい。
【0031】
(高甘味度甘味料)
本発明における高甘味度甘味料とは、ショ糖に比べて強い甘味を有する天然甘味料および合成甘味料をいい、食品や飲料に配合されるものであれば特に限定されない。
【0032】
そのような高甘味度甘味料としては、ペプチド系甘味料、例えばアスパルテーム、アリテーム、ネオテーム、グリチルリチン等;配糖体系甘味料、例えばステビア甘味料(ステビア抽出物およびステビアを酵素処理してブドウ糖を付加した酵素処理ステビアおよびステビアの甘味成分の中で最も甘味質のよいレバウディオサイドAを含む)、カンゾウ抽出物等;蔗糖誘導体、例えばスクラロース等;合成甘味料、例えばアセスルファムカリウム(「アセスルファムK」ともいう)、サッカリン、ネオヘスペリジン−ジヒドロカルコン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を適宜使用することができる。好ましくは、高甘味度甘味料は、スクラロース、アセスルファムK、及びアスパルテームからなる群より選ばれる1種又は2種以上のものである。
【0033】
高甘味度甘味料は、ショ糖に比べて非常に強い甘味を有する一方で、ショ糖とは異なる甘味質や好ましくない呈味が感じられることが問題となることがある。例えば、スクラロースやアスパルテームは、後味に後をひく甘さが残ることやボディ感が不足しがちであることが指摘されている。アセスルファムKは後味に苦味が感じられることやボディ感が不足しがちであることが指摘されている。
【0034】
本発明においては、飲料本来の設計品質を変えることなく、このような高甘味度甘味料に起因する甘みの残存感、苦味やエグミといった好ましくない呈味を改善することができる。
【0035】
高甘味度甘味料の本発明の飲料に配合することができる量は、当該飲料の目的とする設計品質に応じて特に限定されずに決めることができるが、具体的には、1〜900ppmとすることが好ましく、5〜700ppmがより好ましく、10〜500ppmがさらに好ましい。尚、当該含有量は、高甘味度甘味料の総量である。
【0036】
また、高甘味度甘味料がスクラロースである場合は、本発明の飲料中の濃度は、1〜400ppmであることが好ましく、5〜400ppmであることがより好ましく、10〜300ppmであることがさらに好ましい。
【0037】
高甘味度甘味料がアセスルファムKである場合は、本発明の飲料中の濃度は、1〜500ppmであることが好ましく、10〜500ppmであることがより好ましく、50〜400ppmであることがさらに好ましい。
【0038】
本発明の飲料に配合された高甘味度甘味料の濃度は、HPLC法などの公知の方法により測定することができる。例えば、スクラロースおよびアセスルファムKについては、下記の条件で分析および定量することができる。
【0039】
(スクラロース)
・カラム: Zorbax eclipse plus C18
・移動相: 5mM酢酸アンモニウム水溶液/5mM酢酸アンモニウムのアセトニトリル(ACN)溶液の混合液(両者の比率を5/95から40/60へ15分間で変化させる)
・流速: 0.2ml/min
・温度: 40℃
・検出器: 質量検出器(タンデムマス:MS/MS、ESI(−)、m/z 395→359)
・注入量: 1μL
(アセスルファムK)
・カラム: Cadenza CD−C−18
・移動相: ACN/10mMギ酸アンモニウム(13/87)
・流速: 1.0mL/min
・温度: 37℃
・検出器: UV検出器(210nm)
・注入量: 1μL
(飲料)
本発明は、様々な態様の飲料に応用できる。そのような態様として、具体的には、炭酸飲料、低溶質飲料及びアルコール飲料を挙げることができる。
【0040】
(炭酸飲料)
本発明の飲料は、炭酸ガスを含有させて炭酸飲料とすることができる。高甘味度甘味料の呈味上の欠点の改善に加えて、炭酸ガスによる刺激感を適度に緩和することができるため、炭酸飲料は本発明のより好ましい態様の一つである。
【0041】
本発明の態様の一つの炭酸飲料は、後述する炭酸ガス圧測定方法で測定した場合に、好ましくは1.0〜3.5kg/cm、より好ましくは1.2〜2.5kg/cmの炭酸ガス圧を有する。
【0042】
炭酸ガスは、当業者に通常知られる方法を用いて飲料中に提供することができ、例えば、これらに限定されないが、二酸化炭素を加圧下で飲料に溶解させてもよいし、ツーヘンハーゲン社のカーボネーターなどのミキサーを用いて配管中で二酸化炭素と飲料とを混合してもよいし、また、二酸化炭素が充満したタンク中に飲料を噴霧することにより二酸化炭素を飲料に吸収させてもよいし、飲料と炭酸水とを混合してもよい。醸造酒のような発酵液を原料の一つとして用いると、発酵に伴う炭酸ガスを飲料に加えることができる。これらの手段を適宜用いて炭酸ガス圧を調節する。
【0043】
本発明において、炭酸ガス圧は、京都電子工業製ガスボリューム測定装置GVA−500Aを用いて測定する。試料温度を20℃にし、前記ガスボリューム測定装置において容器内空気中のガス抜き(スニフト)、振とう後、炭酸ガス圧を測定する。
【0044】
(低溶質飲料)
本発明は、飲料に含まれる可溶性固形分(溶質)濃度が低い場合にも、優れた効果を発揮する。本明細書においては、このように可溶性固形分濃度が低い飲料を、「低溶質飲料」ともいい、その濃度は、後述のように定義される。
【0045】
低溶質飲料においては、糖類や果汁などの成分量は少なくなっている。そのため、それらの成分が高甘味度甘味料の好ましくない呈味をマスキングする効果が十分発揮されない。このような場合には、糖類や果汁の様な成分に依存しない本発明の意義は大きいため、低溶質飲料は、本発明のより好ましい態様の一つである。
【0046】
本発明でいう低溶質飲料の可溶性固形分濃度は、糖度計、屈折計などを用いて得られるブリックス(Brix)値から算出される飲料の可溶性固形分濃度(SS;Soluble Solid)によって定義される。
【0047】
当該ブリックス値は、20℃で測定された屈折率を、ICUMSA(国際砂糖分析法統一委員会)の換算表に基づいてショ糖溶液の質量/質量パーセントに換算した値で、溶液中の可溶性固形分濃度を表す。単位は「°Bx」、「%」または「度」で表示される。
【0048】
ノンアルコール飲料では、ブリックス値をそのまま可溶性固形分濃度としてよいが、アルコール飲料においては、アルコールが屈折率に影響を与えるため、ブリックス値の実測値をそのまま可溶性固形分とすることができない。そこで、次の式を用いて、可溶性固形分濃度を算出する。
【0049】
飲料の可溶性固形分濃度(SS)=MV−CV
MV(Measured Value):飲料のブリックス実測値。
CV(Calculated Value):飲料のアルコール度数実測値と同じ度数のアルコール水溶液におけるブリックス値。
【0050】
CVは、飲料のアルコール度数実測値との間に次の関係を有する。
CV=0.39×飲料のアルコール度数実測値
この式は、アルコール水溶液としてニュートラルスピリッツを純水にて希釈したものを用いてアルコール度数(v/v%)とブリックス値を測定した結果に基づくものである(図1)。アルコール水溶液のアルコール度数(v/v%)は、後述するアルコール度数の測定方法を用いて測定し、ブリックス値は、デジタル屈折計 RX−5000α(ATAGO社製)を使用して測定した。
【0051】
従って、飲料の可溶性固形分濃度(SS)は次のように表すことができる。
飲料の可溶性固形分濃度(SS)=MV−0.39×飲料のアルコール度数実測値
この式は、アルコール度数が0%の場合にも用いられる。
【0052】
本明細書における低溶質飲料は、SSが5度以下のものをいう。SSが0.1〜5度のとき、アルギン酸類による呈味改善効果が感じられて好ましく、SSが0.1〜3度のとき、呈味改善効果がより強く感じられるためより好ましい。
【0053】
低溶質飲料は、「糖類ゼロ、糖質ゼロ、カロリーオフ」等と表示される、いわゆるカロリーオフタイプ飲料の態様を包含する。なお、「糖類ゼロ、糖質ゼロ、カロリーオフ」等の表示は、健康増進法の規定による栄養表示基準に定義されている。例えば、「糖類ゼロ」との表示は、飲料に含まれる糖類(単糖類又は二糖類であって、糖アルコールでないもの)の量が、飲料100gあたり0.5g未満のものに対して付されるものである。
【0054】
(アルコール飲料)
本発明は、ノンアルコール飲料にも、アルコールを含むアルコール飲料にも適用することができるが、アルコール飲料に好適に適用することができる。
【0055】
本明細書において、特に断りがない限り、アルコールとはエチルアルコール(エタノール)のことをいう。また、アルコール度数とは、アルコール水溶液中のアルコールの容量%のことをいう。
【0056】
アルコールは、その軽やかな風味が好まれる一方で、アルコールの刺激感が欠点として指摘される場合がある。本発明の飲料に、アルコールを配合してアルコール飲料とした場
合は、前述の優れた効果に加えて、アルコールに起因する刺激感を低減することができる。つまり、飲料本来の設計品質を変えることなく高甘味度甘味料に起因する甘みの残存感、苦味やエグミといった好ましくない呈味を改善し、かつアルコールの刺激感を低減することができる。
【0057】
本発明で使用できるアルコールの種類は、通常の酒類として飲用されるものであれば特に限定されない。ウイスキー、ウオッカ、ラム、焼酎、スピリッツ類などの蒸留酒、日本酒、ワイン、ビールなどの醸造酒、リキュールなどの混成酒などを使用することができる。単一種類のアルコールを用いても、本発明の飲料の香味特徴を変化させる目的で複数種類のアルコールを用いてもよい。
【0058】
本発明の飲料におけるアルコール濃度としては、1〜15容量%が好ましく、2〜9容量%がより好ましい。
本発明におけるアルコール度数(容量%)は、国税庁所定分析法(平19国税庁訓令第6号、平成19年6月22日改訂)に記載の方法によって測定することができる。具体的には、ショ糖などの糖類を添加したものと添加していないもののそれぞれについて、以下の方法で測定することができる。
【0059】
(ショ糖等の糖類を添加していない試料の場合)
試料100〜150mLを、メスフラスコを用いて15℃において正確に採取する。これを300〜500mL容のフラスコに移し、メスフラスコをそれぞれ15mLの水で2回洗浄し、洗浄液もフラスコ内に移す。試料の採取に用いたメスフラスコを受器として直火蒸留を行い、採取量の70%以上が留出した後、留液に水を加えて15℃において原容に戻し、よく振り混ぜて分析サンプルとする。
【0060】
(ショ糖等の糖類を添加した試料の場合)
水蒸気蒸留法によって分析サンプルを調製する。すなわち、試料100〜150mLをメスフラスコを用いて15℃において正確に採取する。これを500mL容二連フラスコに移し、メスフラスコをそれぞれ15mLの水で2回洗浄し、洗浄液もフラスコ内に移す。試料の採取に用いたメスフラスコを受器として水蒸気蒸留を行い、採取量の98%以上が留出した後、留液に水を加えて15℃において原容に戻し、よく振り混ぜて分析サンプルとする。
【0061】
以上のようにして調製した分析サンプルの15℃における密度を振動式密度計で測定し、前記国税庁所定分析法の付表である「第2表 アルコール分と密度(15℃)および比重(15/15℃)換算表」を用いて換算することにより、アルコール度数を求めることができる。例えば、振動式密度計として、京都電子工業株式会社製の振動式密度計DA−310を用いることができる。
【0062】
(その他の原料)
本発明の飲料には、本発明の効果に悪影響を与えない範囲で、通常の飲料と同様、糖分、酸味料、各種添加剤等を配合してもよい。各種添加剤としては、香料、ビタミン、色素類、酸化防止剤、乳化剤、保存料、調味料、エキス類、pH調整剤、品質安定剤等を配合することができる。
【0063】
(容器詰め飲料)
本発明の飲料は、容器詰め飲料とすることができる。容器詰め飲料の容器は特に制限されないが、ペットボトルなどの樹脂製容器、紙パックなどの紙容器、ガラス瓶などのガラス容器、アルミ缶やスチール缶などの金属製容器、アルミパウチなど、通常、飲料組成物に用いられる容器であればいずれも用いることができる。
【0064】
(飲料の製造方法)
別の観点からは、本発明は、飲料の製造方法である。当該方法は、高甘味度甘味料を含有する飲料に、アルギン酸類を0.1〜1000ppm配合することを特徴とする。これは、飲料中のアルギン酸類の最終濃度が0.1〜1000ppmであればよいことを意味し、例えば、アルギン酸類の添加量の調整等により達成され得る。アルギン酸類を添加する形態及び方法は特に限定されず、アルギン酸類又はアルギン酸類を含む物品を、原料として製造工程の任意のタイミングで添加することができる。
【0065】
本発明の飲料の製造では、アルギン酸類等の原料を配合する方法は限定されない。例えば、公知の方法を用いて原料を飲料中に配合することができる。必要に応じて、殺菌、容器詰めなどの工程を適宜設けることができる。好ましい態様において、本発明の飲料は、容器詰め飲料とすることができ、殺菌された容器詰め飲料とすることができる。例えば、飲料組成物を容器に充填した後にレトルト殺菌などの加熱殺菌を行なったり、飲料組成物を殺菌して容器に充填することにより、殺菌された容器詰め飲料を製造することができる。
【0066】
より具体的には、缶などの金属容器詰め飲料とする場合には、本発明の飲料組成物を容器に所定量充填し、殺菌(例えば、65℃、10分)を行うことができ、ペットボトルや紙パック、瓶飲料、缶飲料、パウチ飲料とする場合には、例えば90〜130℃で1〜数十秒保持するFP又はUHT殺菌を行い、所定量を充填することができる。本発明の飲料組成物を容器詰め飲料とする場合は、ホットパック充填法又は無菌充填法のいずれも用いることができる。
【0067】
(高甘味度甘味料を含有する飲料の呈味改善方法)
さらに別の観点からは、本発明は、高甘味度甘味料を含有する飲料の呈味を改善する方法である。当該方法は、高甘味度甘味料を含有する飲料中のアルギン酸類の含有量を0.1〜1000ppmに調整することを特徴とする。これは、飲料中のアルギン酸類の最終濃度が0.1〜1000ppmであればよいことを意味し、例えば、アルギン酸類の添加量の調整等により達成され得る。
【0068】
この方法により、高甘味度甘味料を含有する飲料において、設計品質をほとんど変えることなく高甘味度甘味料に起因する好ましくない呈味、例えば、高甘味度甘味料に起因する甘味の後引き、苦味やエグミを改善することができる。
【実施例】
【0069】
以下、本発明の内容を、本発明の実施例を参照しつつ詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、特に記載しない限り、本明細書において数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
【0070】
(実施例1)
高甘味度甘味料としてアセスルファムKを、アルギン酸類としてアルギン酸プロピレングリコールエステルを使用して飲料のモデル液を作成し、本発明の効果を調べた。
【0071】
市販のアセスルファムK(ニュートリノバ社製)を用いて飲料中での濃度を300ppmとし、市販のアルギン酸プロピレングリコールエステル粉末(キミカ社製)を0.1〜10000ppmの範囲で飲料に添加し、よく攪拌してモデル液を作成した。得られたモデル液について、訓練されたパネラー5名で以下の3つの観点に基づいて4段階で官能評価を行った。
【0072】
(1)後味の苦味:アセスルファムKの呈味上の欠点は、後味に苦味が残ることである。後味における不快な苦味の有無について評価した。
1 後味に苦味を非常に強く感じる
2 後味に苦味を感じる
3 後味に苦味がわずかに感じられるが、香味品質上問題ない
4 後味に苦味が全く感じられない
【0073】
(2)甘味:甘味の残存感等の欠点がなく、好ましい甘味が付与されているかについて評価した。
1 甘味の残存感等が強く、好ましい甘味ではない
2 甘味の残存感等があり、好ましい甘味が弱い
3 甘味の残存感等をわずかに感じるが、香味品質上問題ない
4 甘味の残存感等が感じられず、好ましい甘味を強く感じる
【0074】
(3)テクスチャ:アルギン酸類の添加による粘度上昇に伴うテクスチャの変化について評価した。
1 粘度が大きく上がり、飲料本来のスッキリしたテクスチャが失われている
2 粘度が上がり、飲料本来のスッキリしたテクスチャがやや失われている
3 粘度上昇がわずかに感じられるが、スッキリしており香味品質上問題ない
4 粘度上昇が感じられず、スッキリしたテクスチャが維持されている
各観点におけるパネラー5名の平均値を計算し、それらの平均値を総合評価とした。
官能評価の結果を表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
以上の官能評価の結果から、アセスルファムKの呈味上の欠点は、アルギン酸プロピレングリコールエステルの添加量0.1ppm〜10000ppmの範囲において改善されることが示された。ただし、1000ppmを超える場合は、舌に粘着感が感じられるようになって飲料としてのスッキリとしたテクスチャが損なわれるため、1000ppm以下であることが適していることが示された。
【0077】
(実施例2)
高甘味度甘味料としてスクラロースを、アルギン酸類としてアルギン酸プロピレングリコールエステルを使用して飲料のモデル液を作成し、本発明の効果を調べた。
【0078】
市販のスクラロース(三栄源エフ・エフ・アイ社製)を用いて飲料中での濃度を200ppmとし、市販のアルギン酸プロピレングリコールエステル粉末(キミカ社製)を0.1〜10000ppmの範囲で飲料に添加し、よく攪拌してモデル液を作成した。得られたモデル液について、訓練されたパネラー5名で(実施例1)と同様にして官能評価を行った。ただし、スクラロースの呈味上の欠点は後味にエグミが残ることである。よって、(1)の評価基準を以下のように変更した。
【0079】
(1)後味のエグミ:後味における不快なエグミの有無について評価した。
1 後味にエグミを非常に強く感じる
2 後味にエグミを感じる
3 後味にエグミがわずかに感じられるが、香味品質上問題ない
4 後味にエグミが全く感じられない
(実施例1)同様、各観点におけるパネラー5名の評点の平均値を計算し、それらの平均値を総合評価とした。官能評価の結果を表2に示す。
【0080】
【表2】
【0081】
以上の官能評価の結果から、スクラロースの呈味上の欠点は、アルギン酸プロピレングリコールエステルの添加量0.1ppm〜10000ppmの範囲において改善されることが示された。ただし、1000ppmを超える場合は、舌に粘着感が感じられるようになって飲料としてのスッキリとしたテクスチャが損なわれるため、1000ppm以下であることが適していることが示された。
【0082】
(実施例3)
飲料でのアルギン酸類の配合量を固定して、アセスルファムK濃度を変化させたモデル液を作成し、好ましいアセスルファムKの濃度範囲を調べた。
【0083】
市販のアルギン酸プロピレングリコールエステル粉末(キミカ社製)を用いて飲料中での濃度を100ppmとし、市販のアセスルファムK(ニュートリノバ社製)を1〜600ppmの範囲で飲料に添加し、よく攪拌してモデル液を作成した。得られたモデル液について、訓練されたパネラー5名で(実施例1)と同様にして官能評価を行った。官能評価の観点と評価基準は、(実施例1)と同様である。官能評価の結果を表3に示す。
【0084】
【表3】
【0085】
以上の官能評価の結果から、アルギン酸プロピレングリコールエステルによって、アセスルファムKの濃度1ppm〜600ppmの範囲において、アセスルファムKの有する後味の悪さが改善されることが示された。ただし、アセスルファムKの濃度が500pp
mを超える場合は、過度な甘味が付与されて飲料としての好ましい甘みが損なわれるため、500ppm以下であることが適していることが示された。
【0086】
(実施例4)
飲料でのアルギン酸類の配合量を固定して、スクラロース濃度を変化させたモデル液を作成し、好ましいスクラロースの濃度範囲を調べた。
【0087】
市販のアルギン酸プロピレングリコールエステル粉末(キミカ社製)を用いて飲料中での濃度を100ppmとし、市販のスクラロース(三栄源エフ・エフ・アイ社製)を1〜500ppmの範囲で飲料に添加し、よく攪拌してモデル液を作成した。得られたモデル液について、訓練されたパネラー5名で(実施例1)と同様にして官能評価を行った。官能評価の観点と評価基準は、(実施例1)をスクラロースに置き換えた実施例2と同様である。官能評価の結果を表4に示す。
【0088】
【表4】
【0089】
以上の官能評価の結果から、アルギン酸プロピレングリコールエステルによって、スクラロースの濃度5ppm〜500ppmの範囲において、スクラロースの有する後味のエグミが改善されることが示された。ただし、スクラロースの濃度が400ppmを超える場合は、過度な甘味が付与されて飲料としての好ましい甘みが損なわれるため、400ppm以下であることが適していることが示された。
【0090】
(実施例5)
複数の高甘味度甘味料の組み合わせに対するアルギン酸類の呈味改善効果を調べた。
市販のアルギン酸プロピレングリコールエステル粉末(キミカ社製)を用いて飲料中での濃度を100ppmとし、市販のアセスルファムK(ニュートリノバ社製)を6〜360ppmの範囲で、スクラロース(三栄源エフ・エフ・アイ社製)を2〜105ppmの範囲で、それぞれ飲料に添加し、よく攪拌してモデル液を作成した。なお、配合比率は、飲料での甘味度が一定(ショ糖濃度に換算すると飲料中で約7.2w/v%に相当)となるよう調整した(アセスルファムK及びスクラロースのショ糖に対する甘味度は、それぞれ約200倍及び約600倍であることが知られている)。得られたモデル液について、訓練されたパネラー5名で(実施例1)と同様にして官能評価を行った。官能評価の観点と評価基準は、(実施例1)に記載のアセスルファムKの呈味上の欠点に加えて、スクラロースの呈味上の欠点(後味にエグミが残ること)も加味して行った。パネラーの評点の平均値が3点を超えた場合、本発明の効果が十分認められると考え○とし、3点未満2点以上のとき本発明の効果が十分ではないものの認められると考え△とし、2点未満の場合を本発明の効果が認められないと考えて×とした。官能評価の結果を表5に示す。
【0091】
【表5】
【0092】
以上の官能評価の結果から、アルギン酸プロピレングリコールエステルによって、アセスルファムKとスクラロースの各呈味上の欠点が、両者の配合比に拘わらず改善されることが示された。
【0093】
(実施例6)
高甘味度甘味料としてアセスルファムKを、アルギン酸類としてアルギン酸ナトリウムを使用して飲料のモデル液を作成し、本発明の効果を調べた。
【0094】
市販のアセスルファムK(ニュートリノバ社製)を用いて、市販のアルギン酸ナトリウム粉末(キミカ社製)を飲料中での濃度が100ppmとなるよう飲料に添加して、よく攪拌してモデル液を作成した。対照品として、アルギン酸ナトリウムを添加しないモデル液を作成した。それぞれのモデル液について、訓練されたパネラー5名で(実施例1)と同様にして官能評価を行った。パネラーの評点の平均値が3点を超えた場合、本発明の効果が十分認められると考え○とし、3点未満2点以上のとき本発明の効果が十分ではないものの認められると考え△とし、2点未満の場合を本発明の効果が認められないと考えて×とした。官能評価の結果を表6に示す。
【0095】
【表6】
【0096】
以上の官能評価の結果から、アルギン酸プロピレングリコールエステルの替わりにアルギン酸ナトリウムを使用しても、アセスルファムKの呈味上の欠点が改善されることが示された。
図1