(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5719082
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】オルタネイトスイッチユニット
(51)【国際特許分類】
H03K 17/78 20060101AFI20150423BHJP
【FI】
H03K17/78 G
【請求項の数】3
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-266663(P2014-266663)
(22)【出願日】2014年12月26日
【審査請求日】2014年12月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】305010012
【氏名又は名称】今野 豊
(72)【発明者】
【氏名】今野 豊
【審査官】
柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】
実開平4−131043(JP,U)
【文献】
特開平9−93106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトリレーを使用したオルタネイト動作を行うスイッチであって:
自己保持を行うフォトリレー01aと:
自己保持を開始と解除させるスイッチSW3と:
自己保持を解除するフォトリレー03aと:
主スイッチ動作を行うフォトリレー02aと:
フォトリレーを駆動させる電源部50と:
を具備し、
フォトリレーを動作させるための電気経路は、前記電源部50の端子1より、前記主スイッチ動作を行うフォトリレー02aの入力側端子1へ、その入力側端子2から、前記自己保持を行うフォトリレー01aの入力側端子1へ、その入力側端子2から、2つに分かれ、一方は前記自己保持を開始と解除させるスイッチSW3へ、そしてフレーム接続へと、もう一方は前記自己保持を行うフォトリレー01aの入力側端子2から出力側端子4へと、その出力側端子3から、前記自己保持を解除するフォトリレー03aの入力側端子1へ、その入力側端子2からフレーム接続へ、前記電源部50の端子2はフレーム接続へとなり、
自己保持を解除させるための電気経路として、前記自己保持を解除するフォトリレー03aの出力側端子4は、前記主スイッチ動作を行うフォトリレー02aの入力側端子1に接続され、前記自己保持を解除するフォトリレー03aの出力側端子3は、前記自己保持を開始と解除させるスイッチSW3に接続され、
一回目に前記自己保持を開始と解除させるスイッチSW3をONとすると、前記主スイッチ動作を行うフォトリレー02aと前記自己保持を行うフォトリレー01aの両方が駆動し、どちらとも出力側のスイッチがONとなり、前記自己保持を開始と解除させるスイッチSW3がOFFとなっても、前記自己保持を行うフォトリレー01aの出力側のスイッチがONとなっていることで、前記自己保持を解除するフォトリレー03aの入力側から前記電源部50の端子2へ電気経路が通じていることより、自己保持が維持され、前記主スイッチ動作を行うフォトリレー02aも駆動し続け、その出力側スイッチがONとなり、接続された電子機器が駆動し続け、
二回目に前記自己保持を開始と解除させるスイッチSW3をONとすると、自己保持を解除するフォトリレー03aも駆動が続いており出力側がONとなっているため、前記主スイッチ動作を行うフォトリレー02aの入力側端子1がバイパスされ、前記自己保持を行うフォトリレー01aの自己保持も解除され、すべてのフォトリレーが停止し、接続された電子機器も停止することを特徴とするオルタネイトスイッチユニット。
【請求項2】
前記自己保持を開始と解除させるスイッチSW3を、自己保持を開始と解除させるフォトリレー04aに代替えして具備し、外部の電気回路から駆動制御できることを特徴とした請求項1に記載のオルタネイトスイッチユニット。
【請求項3】
前記自己保持を開始と解除させるスイッチSW3を、自己保持を開始と解除させる外部のスイッチを接続する端子41に代替えして具備し、そこに外部のスイッチ制御システムを接続することで、外部のスイッチ制御システムから駆動制御できることを特徴とした請求項1に記載のオルタネイトスイッチユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
図7に示した従来のフォトカプラを利用した自己保持回路の自己保持を開始させるスイッチSW1と、自己保持を解除するスイッチSW2の2個を、バイパスさせて自己保持を解除するフォトリレー03aを利用して、自己保持を開始と解除させるスイッチSW3の1個にし、ユニット化したオルタネイトスイッチであり、モーメンタリの押釦スイッチでの単独利用や、外部の電気回路、および外部のスイッチ制御システムによる駆動制御を可能にした多用途なスイッチユニットである。
【背景技術】
【0002】
LEDについては、照明器具の他にもイルミネーション、カー用品、ホビー向けなど様々な部品から商品までが簡単に入手でき、それらを駆動するLEDドライバなどのICも数多く出回っており、又、様々に点灯するように工夫をされた製品も出回っている。
【0003】
ただ、これらを一括で制御することになると規格統一されたものは見あたらない。
【0004】
又、照明の光源としては、LED照明が主力となってきていることに加えて、有機EL照明も商品化され始めていて、新たな照明への取り組みが見えてきている。
【0005】
例えば、今までは部屋単位にドアや障子・襖で仕切った住宅だったが、ドアや障子・襖のないワンフロアであるが生活空間を上手く仕切った住宅などが出現してきている。
【0006】
このような住宅には、旧来の部屋毎に照明器具を施設するのではなく、照明を細かく分け、点光源であるLED部品と面発光の有機EL部品を組合せた生活空間単位の照明が、より自然な光を作り出す。
【0007】
具体的には、スポット光の必要な所はLED部品、面的な光は有機EL部品と細かに部品化したものを組み合わせて配置・施設し点灯・消灯をコントロールすることになる。
【0008】
この取り組みは、部品単位の点灯と、その複数の部品を組合せた点灯制御が必要となることから、現在の部屋毎で照明器具単位の電気工事手法では達成できず、新たなスイッチ制御システムが必要となる。
【0009】
オルタネイト動作は、一度目にスイッチを押すと点灯、二度目にスイッチを押すと消灯できるものであり、照明部品毎に、本発明のオルタネイトスイッチユニットを付け、それをスイッチ制御システムで制御することで、多くの照明部品を自由に点灯・消灯できる。
【0010】
従来は、機械式オルタネイトスイッチ、電磁リレーやフォトカプラを利用した自己保持回路形や、電磁スイッチの中でもラチェットリレーと呼ばれる接点を交互に切り替え動作を行うもの、又は、フリップフロップ回路などの機能を利用することで「ON状態を保持する」回路を利用しており、専用の回路であったり、動作音が発生したり、大きさが大きいものなどで、単体の「オルタネイトスイッチ動作する部品」として購入できるユニット製品は機械式オルタネイトスイッチしかなかった。
【0011】
これらの回路は、電気回路の一部や制御盤などに組み込んで使用されており、注文品もしくは製品の中の1回路となっており、個人で自由に調達、組み合わせて使用できるような製品となっていない。
【0012】
外部の電気回路もしくは外部のスイッチ制御システム+本発明のオルタネイトスイッチユニット+電子機器のように製品を組み合わせて簡単に利用できるユニット製品は見つかっていない。
【0013】
本発明のオルタネイトスイッチユニットは、様々な電子機器をON・OFFするためのスイッチ制御の基盤であるため、制御する回路や制御システムを必要とする。
【0014】
以下で制御主体となる外部の電気回路と外部のスイッチ制御システムについて説明する。
【0015】
外部の電気回路とは、
図2に記載した本発明のオルタネイトスイッチユニットの「自己保持を開始と解除させるフォトリレー4aの入力側端子1と2」に対し、駆動する電流を流すことで、制御できる回路である。
【0016】
例えば、外部の電気回路でLEDドライバICを利用し16個のLEDを自由に点灯・消灯できる回路を作成したとして、このLED部分を、自己保持を開始と解除させるフォトリレー4aの入力側端子1と2に置き換え
図8のようにすることで、この外部の電気回路から本発明のオルタネイトスイッチユニット16個を制御できるようになる。
【0017】
外部のスイッチ制御システムとは、先行技術文献の特許文献1及び特許文献2の制御システムを事例として、
図3に記載の「駆動機構(a接点出力部)」のように、「自己保持を開始と解除させる外部のスイッチを接続する端子41」の両端をa接点スイッチでON・OFFできる制御システムをいう。
【0018】
図9は、この外部のスイッチ制御システムに、本発明のオルタネイトスイッチユニットの「自己保持を開始と解除させる外部のスイッチを接続する端子41」を接続したものに、本発明のオルタネイトスイッチユニットの駆動対象となる電子機器を接続したイメージ図である。
【0019】
この
図9で示した外部のスイッチ制御システムは、電源機構が2つ以上の線路を利用して、制御に必要な組み合わせで制御信号を流すことで、それに合致した駆動機構を駆動させる。
【0020】
駆動機構(a接点出力部)は、制御線に接続された複数のリレーを組合せたセットであり、この駆動機構が駆動するのに必要な制御線すべてに制御信号が流された時、この駆動機構の持っている複数のリレーの出力側を直列に合わせてa接点ONとなるスイッチである。
【0021】
制御線については、以降は線路と呼び、この線路全体を線路機構と呼んでいる。
【0022】
図9の例では、本発明のオルタネイトスイッチユニットの「自己保持を開始と解除させる外部のスイッチを接続する端子41」に、駆動機構A4と駆動機構A7の2つを、それぞれ接続して制御できるようにしている。
【0023】
動作としては、「駆動機構A4に接続された本発明のオルタネイトスイッチユニット」を駆動する場合に、外部のスイッチ制御システムの電源機構より、線路機構の線路No01と線路No04に制御信号を流すことで、駆動機構A4(a接点出力部)はONとなるため、接続された本発明のオルタネイトスイッチユニットが駆動される。
【0024】
この時、駆動機構A7は、線路機構の線路No01には制御信号が流れているが、線路No05に制御信号が流れていないため駆動機構A7(a接点出力部)はONとならない。
【0025】
外部のスイッチ制御システムは、
図9の例では、2種類の駆動機構を接続した図であるが、他の種類の駆動機構を接続しても、同じ種類の駆動機構を複数接続しても利用できるので、設計に合わせて様々に組み合わせて利用できる。
【0026】
このように、外部のスイッチ制御システムと本発明のオルタネイトスイッチユニットを使用すると、本項の背景技術前半で述べた住宅照明において、数多くのLED部品、有機EL部品の点灯、消灯を自由に制御できることになる。
【0027】
従来は、このように制御で使用できるオルタネイトスイッチユニットはなかったし、外部の電気回路や外部のスイッチ制御システムと接続して利用できる製品もなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】特開昭57−180817号広報
【特許文献2】特願2014−160075
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
本発明は、フォトリレーを用いて自己保持回路を具現化することで、機械式オルタネイトスイッチのように、1個のスイッチで、常時ON、OFFが切り替えできること。
【0030】
機械式オルタネイトスイッチのように単品の製品として汎用的に利用できるユニット製品にできること。
【0031】
又、機械式オルタネイトスイッチと同様に、直流と交流どちらでも扱えること。
【0032】
上記のものを使用し、外部の電気回路や外部のスイッチ制御システムで駆動制御できること。
【0033】
単純な仕組みで部品数も出来るだけ少なくすること。
【課題を解決するための手段】
【0034】
フォトリレーを使用したオルタネイト動作を行うスイッチであって:
自己保持を行うフォトリレー01aと:
自己保持を開始と解除させるスイッチSW3と:
自己保持を解除するフォトリレー03aと:
主スイッチ動作を行うフォトリレー02aと:
フォトリレーを駆動させる電源部50と:
を具備し、
フォトリレーを動作させるための電気経路は、前記電源部50の端子1より、前記主スイッチ動作を行うフォトリレー02aの入力側端子1へ、その入力側端子2から、前記自己保持を行うフォトリレー01aの入力側端子1へ、その入力側端子2から、2つに分かれ、一方は前記自己保持を開始と解除させるスイッチSW3へ、そしてフレーム接続へと、もう一方は前記自己保持を行うフォトリレー01aの入力側端子2から出力側端子4へと、その出力側端子3から、前記自己保持を解除するフォトリレー03aの入力側端子1へ、その入力側端子2からフレーム接続へ、前記電源部50の端子2はフレーム接続へとなり、
自己保持を解除させるための電気経路として、前記自己保持を解除するフォトリレー03aの出力側端子4は、前記主スイッチ動作を行うフォトリレー02aの入力側端子1に接続され、前記自己保持を解除するフォトリレー03aの出力側端子3は、前記自己保持を開始と解除させるスイッチSW3に接続され、
一回目に前記自己保持を開始と解除させるスイッチSW3をONとすると、前記主スイッチ動作を行うフォトリレー02aと前記自己保持を行うフォトリレー01aの両方が駆動し、どちらとも出力側のスイッチがONとなり、前記自己保持を開始と解除させるスイッチSW3がOFFとなっても、前記自己保持を行うフォトリレー01aの出力側のスイッチがONとなっていることで、前記自己保持を解除するフォトリレー03aの入力側から前記電源部50の端子2へ電気経路が通じていることより、自己保持が維持され、前記主スイッチ動作を行うフォトリレー02aも駆動し続け、その出力側スイッチがONとなり、接続された電子機器が駆動し続け、
二回目に前記自己保持を開始と解除させるスイッチSW3をONとすると、自己保持を解除するフォトリレー03aも駆動が続いており出力側がONとなっているため、前記主スイッチ動作を行うフォトリレー02aの入力側端子1がバイパスされ、前記自己保持を行うフォトリレー01aの自己保持も解除され、すべてのフォトリレーが停止し、接続された電子機器も停止することを特徴とするオルタネイトスイッチユニット。
【0035】
前記自己保持を開始と解除させるスイッチSW3を、自己保持を開始と解除させるフォトリレー04aに代替えして具備し、外部の電気回路から駆動制御できることを特徴とした請求項1に記載のオルタネイトスイッチユニット。
【0036】
前記自己保持を開始と解除させるスイッチSW3を、自己保持を開始と解除させる外部のスイッチを接続する端子41に代替えして具備し、そこに外部のスイッチ制御システムを接続することで、外部のスイッチ制御システムから駆動制御できることを特徴とした請求項1に記載のオルタネイトスイッチユニット。
【0037】
本発明は、
図7のような従来の自己保持回路を、自己保持を開始させるためのスイッチと、それを解除するための2個のスイッチを、自己保持を解除するフォトリレーを追加することで、1つのスイッチで、できるようにした。
【0038】
これで、自己保持の開始と解除を行うスイッチ部分と、接続された制御対象となる電子機器のONとOFFを行う部分により、機械式オルタネイトスイッチと同じく一回目で常時ON、二回目でOFFの動作ができる。
【0039】
このことにより、単純な仕組みで部品数も少なく、単体のスイッチユニットとして扱えて、且つ、外部の電気回路や外部のスイッチ制御システムから駆動制御でもきるようになる。
【発明の効果】
【0040】
従来になかった単体、もしくは外部の電気回路、および外部のスイッチ制御システムでの駆動制御を含めて、単純で、汎用性のあるユニット製品として扱えるようになる。
【0041】
同様に簡単に駆動制御できるラチェットリレー(従来品では横約60mm×奥行き約90mm×高さ約80mm程度)に比べ動作も早く、且つ音も発生しない。
【0042】
電磁リレーを用いた自己保持回路を本発明に置き換えることで、省電力となり単純な仕組でできる。
【0043】
照明等の制御が、シーケンス制御などに頼らずにスイッチ制御できる。
【0044】
LEDイルミネーション付の機械式オルタネイトスイッチと同じ端子構成になることより、本発明のオルタネイトスイッチユニットに入れ替えることができ、機械式スイッチの接点磨耗による寿命の劣化やスイッチ音、機械部分の耐久性などが向上する。
【0045】
自己保持を開始と解除させるスイッチSW3は、モーメンタリ動作となることより、この制御に関わる外部の電気回路や外部のスイッチ制御システムともに、制御したいときだけ短時間の駆動電流を流し、その操作後は本発明のオルタネイトスイッチユニットが自己保持で制御対象物の駆動を担うことから、制御システム全体にわたって常時制御信号が流れることはないので、省エネルギーにつながる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】フォトリレーによるオルタネイトスイッチユニット(スイッチにa接点モーメンタリの押釦スイッチを利用)
【
図2】フォトリレーによるオルタネイトスイッチユニット(外部の電気回路から駆動制御できるようにした利用例)
【
図3】フォトリレーによるオルタネイトスイッチユニット(外部のスイッチ制御システムから駆動制御できるようにした利用例)
【
図4】オルタネイトスイッチユニットの実施例1(単体利用)
【
図5】オルタネイトスイッチユニットの実施例2(複数利用)
【
図6】オルタネイトスイッチユニットの実施例2−1(1台の接続図)
【
図7】従来のフォトカプラを利用した自己保持回路による電源スイッチ回路
【
図8】外部の電気回路にオルタネイトスイッチユニットを接続した例
【
図9】外部のスイッチ制御システムにオルタネイトスイッチユニットを接続した例
【符号の説明】
【0047】
01a :自己保持を行うa接点フォトリレー
02a :主スイッチ動作を行うa接点フォトリレー
03a :自己保持を解除するa接点フォトリレー
SW3 :自己保持を開始と解除させるスイッチ
50 :フォトリレーを動作させる電源部
31 :入力制限抵抗
32 :逆流防止用ダイオード
33 :自己保持を解除するa接点フォトリレーを駆動するためのコンデンサ
04a :SW3の代替えとして外部の電気回路が利用する自己保持を開始と解除させるa接点フォトリレー
41 :SW3の代替えとして使用する自己保持を開始と解除させる外部のスイッチを接続する端子(2個)
91a :自己保持を行うa接点フォトカプラ
92a :トランジスタのベース側をON・OFFし主スイッチ動作を行うa接点フォトカプラ
93 :92aのフォトカプラがONとなったとき電気を電源入力から電源出力へ流し、OFFの時には電気を遮断するトランジスタ
SW1 :従来の回路での自己保持を開始させるスイッチ
SW2 :従来の回路での自己保持を解除させるスイッチ
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下本発明を、
図1と
図2と
図3の図面を用いて順次、詳細に説明する。
【0049】
又、
図1と
図2と
図3の図面に記載されている電子機器は本発明のオルタネイトスイッチユニットの制御対象物であり、これを駆動させたり停止させたりするのが目的である。
【0050】
本発明の説明に入る前に、
図7を用いて従来のフォトカプラによる自己保持回路を利用した電源スイッチ回路について述べる。
【0051】
これは、電気回路の電源をON、OFFするために、電源の入り口に自己保持回路を利用してモーメンタリの押釦スイッチで行えるようにしたものである。
【0052】
動作は、電源入力側と電源出力側の間にフォトカプラ91aを用いた自己保持回路を設けて、フォトカプラ92aとトランジスタ93により電源を遮断し、SW1を押すことで自己保持を開始させ電源出力側に電気を通し、SW2を押すことで自己保持を解除し電気を遮断するものである。
【0053】
この方式のままだと、スイッチSW1とスイッチSW2の2種類の操作が必要となることから、外部の電気回路や外部のスイッチ制御システムを利用するとなると、1つの電子機器のスイッチ操作のために2つの制御部分が必要となり、例えば120通りできる制御システムだと半分の60個の電子機器の制御しかできないことになる。
【0054】
又、電気回路自体の電源の中にスイッチ操作を行う回路を組み込んでいるため、回路からスイッチ部分を切り離しユニット化したい本発明にとっては合わないものである。
【0055】
ユニット化のもう一つの観点では、制御対象となる電子機器は直流とはかぎらずに、交流も直流も扱いたいので、
図7を改良すると新たな部品が必要となり、部品点数を少なくしたい意向からもかけ離れていく。
【0057】
図1は、自己保持を開始と解除させるスイッチSW3にa接点モーメンタリの押釦スイッチを用いた実施例を示した構成図である。
【0058】
図1の構成は、01aは自己保持を行うためのフォトリレー、02aは主スイッチ動作を行うフォトリレー、03aは自己保持を解除するフォトリレー、50は01aと02a03aのフォトリレーの入力側素子を動作させるための電源部、31は01aと02aと03aのフォトリレーの入力側の推奨LED電流を流すための入力制限抵抗、SW3は自己保持を開始と解除させるa接点モーメンタリの押釦スイッチで構成されている。
【0059】
フォトリレーを動作させるための電気経路は、電源部50の端子1より、主スイッチ動作を行うフォトリレー02aの入力側端子1へ、その入力側端子2から、自己保持を行うフォトリレー01aの入力側端子1へ、その入力側端子2から、2つに分かれ、一方は自己保持を開始と解除させるスイッチSW3へ、そしてフレーム接続へと、もう一方は自己保持を行うフォトリレー01aの入力側端子2から出力側端子4へと、その出力側端子3から、前記自己保持を解除するフォトリレー03aの入力側端子1へ、その入力側端子2からフレーム接続へ、前記電源部50の端子2はフレーム接続へとなる。
【0060】
自己保持を解除させるための電気経路として、自己保持を解除するフォトリレー03aの出力側端子4は、主スイッチ動作を行うフォトリレー02aの入力側端子1に接続され、自己保持を解除するフォトリレー03aの出力側端子3は、自己保持を開始と解除させるスイッチSW3に接続される。
【0061】
図1では、自己保持を解除させるための電気経路として、自己保持を解除するフォトリレー03aの出力側端子4は、主スイッチ動作を行うフォトリレー02aの入力側端子1としたが、自己保持を行うフォトリレー01aの出力側端子1でも同様の効果があり、
図2、
図3、
図4、
図6、
図8も同様である。
【0062】
逆流防止用ダイオード32は、自己保持を行うフォトリレー01aが自己保持を始めると、
自己保持を解除するフォトリレー03aの出力側端子4とその出力端子3がONとなり、主スイッチ動作を行うフォトリレー02aの入力側端子1とSW3の電気経路が通るため、自己保持を行うフォトリレー01aの入力側端子2に逆流を防ぐため設け、
図2と
図3も同様である。
【0063】
自己保持を解除するa接点フォトリレーを駆動するためのコンデンサ33は、主スイッチ動作を行うフォトリレー02aの入力側端子1がバイパスされ、自己保持を行うフォトリレー01aが停止するまでの間、自己保持を解除するフォトリレー03aが、主スイッチ動作を行うフォトリレー02aの入力側端子1とSW3の電気経路を確保するために駆動する電源を確保すべく設けており、
図2と
図3も同様である。
【0064】
初期状態としては、自己保持を行うフォトリレー01aの出力側端子4とその出力側端子3がOFFとなっていて、自己保持を開始と解除させるスイッチSW3もOFFとなっていることより、フォトリレーが駆動するための電気経路はどちらも、断たれていて、3つのフォトリレーすべてが駆動されていないため、制御対象となる電子機器も駆動していない。
【0065】
一回目に自己保持を開始と解除させるスイッチSW3をONとすると、電源部50の端子1から、入力制限抵抗31をへて、主スイッチ動作を行うフォトリレー02aの入力側端子1へ、その入力側端子2から自己保持を行うフォトリレー01aの入力側端子1へ、その入力側端子2から、自己保持を開始と解除させるスイッチSW3へ、ここがONとなったため、フレーム接続で電源部50の端子2へと電気経路が通ずる。
【0066】
これで、01aと02aのフォトリレーが駆動し、どちらとも出力側のスイッチがONとなり、その後に自己保持を開始と解除させるスイッチSW3がOFFとなっていても、自己保持を行うフォトリレー01aの出力側端子4と端子3が通じていて、その出力側端子3から自己保持を解除するフォトリレー03aの入力側端子1へ、その入力側端子2からフレーム接続で電源部50の端子2へ通ずるために、電気経路が通じて、自己保持が維持される。
【0067】
したがい、主スイッチ動作を行うフォトリレー02aも駆動し続け、その出力側スイッチがONとなり、接続された電子機器が駆動し続ける。
【0068】
この状態で、自己保持を解除させるための電気経路を見ると、自己保持を解除するフォトリレー03aが駆動し続けているので、主スイッチ動作を行うフォトリレー02aの入力側端子1から自己保持を解除するフォトリレー03aの出力側端子4と、その出力側端子3と自己保持を開始と解除させるスイッチSW3はつながっているが、自己保持を開始と解除させるスイッチSW3はOFFとなっているため、バイパスされた状態には至っていない。
【0069】
では、二回目に自己保持を開始と解除させるスイッチSW3をONとすると、主スイッチ動作を行うフォトリレー02aの入力側端子1と電源部50の端子2とは、バイパスされてしまい自己保持が解除される。
【0070】
そのため、すべてのフォトリレーが停止し、接続された電子機器も停止する。
【0071】
自己保持を開始と解除させるスイッチSW3をモーメンタリの押釦スイッチとしているのは、常時ONでは、開始と解除を常時繰り返してしまうのを回避するためである。
【0072】
図2は、外部の電気回路で駆動制御できるようにした実施例を示した構成図である。
【0073】
構成は、
図1の自己保持を開始と解除させるスイッチSW3を、自己保持を開始と解除させるフォトリレー04aに置き換えただけであり、主たる部分は
図1と同様である。以降置き換えた部分について述べる。
【0074】
初期状態としては、
図1と同様であるため、3つのフォトリレーも駆動されていないし、対象となる電子機器も駆動していない。
【0075】
一回目に、外部の電気回路より自己保持を開始と解除させるフォトリレー04aの入力側に駆動電流を流し出力側がONになると、
図1と同様に自己保持が開始され、以下
図1と同様になる。
【0076】
二回目に外部の電気回路より自己保持を開始と解除させるフォトリレー04aの入力側に電流を流し出力側がONになると、
図1と同様にバイパスされ、すべてのフォトリレーが停止し、接続された電子機器も停止する。
【0077】
外部の電気回路からの制御も、
図1のモーメンタリの押釦スイッチとしている理由と同じく、自己保持を開始と解除させるフォトリレー04aの入力側には短時間の駆動電流となるように制御し、開始と解除を常時繰り返してしまうのを回避する。
【0078】
図3は、外部のスイッチ制御システムで駆動制御できるようにした実施例を示した構成図である。
【0079】
構成は、
図1の自己保持を開始させるスイッチSW3を、自己保持を開始と解除させる外部のスイッチを接続する端子41に置き換え、実際には接続された外部のスイッチ制御システムの駆動機構(a接点出力部)のa接点スイッチがONを行う。
図3の左下「駆動機構(a接点出力部)」のイメージ図となる。
【0080】
したがい、主たる部分は
図1と同様である。以降置き換え部分について述べる。
【0081】
初期状態としては、
図1と同様であるため、3つのフォトリレーも駆動されていなし、対象となる電子機器も駆動していない。
【0082】
一回目に、外部のスイッチ制御システムの駆動機構(a接点出力部)がONになると、
図1と同様に自己保持が開始され、以下
図1と同様になる。
【0083】
二回目に外部のスイッチ制御システムの駆動機構(a接点出力部)がONになると、バイパスされ、
図1と同様に、すべてのフォトリレーが停止し、接続された電子機器も停止する。
【0084】
外部のスイッチ制御システムの駆動機構(a接点出力部)も、
図1のモーメンタリの押釦スイッチとしている理由と同じく、短時間のONとなるように制御し、開始と解除を常時繰り返してしまうのを回避する。
【0085】
本発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
【0086】
<モーメンタリ動作について>
押しボタンを押している間だけ動作状態を維持し、離すと復帰するものをいう
【0087】
<オルタネイト動作について>
押しボタンを押して押す力を取り除いても動作状態を保ち続け、さらにもう一度押すと元の自由状態に復帰するものをいう
【0088】
<a接点スイッチについて>
スイッチが押されていない場合にはOFFの状態で、押されている場合にはONとなるスイッチ。
【0089】
<a接点フォトリレーについて>
フォトリレーの入力側に駆動直流が流れていない場合には、リレーがOFFの状態で、直流が流れ動作してONとなるフォトリレー。
【0090】
<自己保持を開始と解除させるスイッチについて>
自己保持を開始させるためのスイッチと、自己保持を解除するスイッチの両方を兼ねた1つのスイッチで、自己保持を解除するa接点フォトリレー03aの出力側がOFFの時、自己保持を開始させるスイッチとして動作し、自己保持を解除するa接点フォトリレー03aの出力側がONの時、解除させるスイッチとして動作する。又、自己保持を開始と解除させるフォトリレーの場合も、同様である。
【0091】
<電源部について>
フォトリレーの入力側に駆動電流を流す電源部分を示し、専用の電源を設ける場合や、他の電源からの供給を受ける時は、接続用端子だけを設けて、他の電源に接続する場合もある。
【0092】
<フォトリレーについて>
フォトリレー、Photo MOSリレー、光MOSFETリレー、光MOSスイッチ、Photo DMOS-FETリレー、Solid State Relay、MOS FETリレーやフォトカプラ含む同等品、フォトリレーと同様な機能を持つ回路がすべて含まれる。
【0093】
<電子機器について> LEDやランプ、電気器具、電気回路、電子部品、電子機器で本発明の主スイッチに接続しONとなった場合に駆動できるものすべてをいう。
【0094】
以上用語の定義および技術的意味を終わる。
【実施例1】
【0095】
図4で基本的な構成である
図1を使用しLED照明を点灯する実施例を示す。
【0096】
この実施例では、初期状態から自己保持を開始と解除させるスイッチSW3を一回目に押すことでLED照明が点灯し、二回目に押すとLED照明が消灯し、初期状態にもどる。
【0097】
図1の電子機器を、LED照明と明示しただけであり、構成や動作は、すべて同じである。
【0098】
従来のLEDイルミネーション付の機械式オルタネイトスイッチの端子は、スイッチ部分とLEDイルミネーション用の電源部分とで構成されている。
【0099】
図4で使用している電源部を専用電源とせずに外部から供給を受けると考えると、接続端子含め、構成はLEDイルミネーション付の機械式オルタネイトスイッチと何ら変わらないことになる。
【0100】
このことは、機械式オルタネイトスイッチを本発明のオルタネイトスイッチユニットに入れ替えることができることでもあり、機械式スイッチの接点磨耗による寿命の劣化やスイッチ音、機械部分の耐久性などの向上につながる。
【実施例2】
【0101】
図5は、外部のスイッチ制御システムを使い、本発明のオルタネイトスイッチユニットを接続して、複数の有機EL照明やLED照明を制御した場合のイメージ図である。
【0102】
構成としては、外部のスイッチ制御システムに、本発明である
図3のオルタネイトスイッチユニットを接続し、それに有機EL照明やLED照明を接続している。
【0103】
図5では、本発明のオルタネイトスイッチユニットは四角の中に「ASU」と書かれた太枠部分である。
【0104】
外部のスイッチ制御システムの駆動機構については、「駆動機構01〜駆動機構120」と記載されているが、これは一例として、7つの線路で構成された線路機構を用いて、電源機構で制御できる数が120通りあるため明示的に記載した。
【0105】
制御できる通り数は、線路の数で決まっていくので、必要があれば線路を増やせばよい。
【0106】
120通りの制御ができることは、120組の照明の点灯や消灯ができることであり、実際には、それより多い数を接続できる。
【0107】
例えば、「駆動機構01+本発明のオルタネイトスイッチユニット+照明」のセットを複数セットして接続することができる。
【0108】
電源機構から「駆動機構01」を制御したときに、「駆動機構01+本発明のオルタネイトスイッチユニット+照明」のセットが複数接続されていると、それらが同時に点灯や消灯を行うことになる。
【0109】
具体的には、廊下や階段などの一定の距離をあけて何か所にも施設する場合の利用に効果がある。
【0110】
構成を明確にするために、
図5の「駆動機構01+本発明のオルタネイトスイッチユニット+照明」と
図3との対比を
図6に明示した。
【0111】
図6のパーツaは、本発明のオルタネイトスイッチユニット、パーツbは、外部のスイッチ制御システムの駆動機構、パーツcは、この例では、有機EL照明やLED照明である。
【0112】
動作としては、外部のスイッチ制御システムの電源機構が、線路機構を用いて「駆動機構01」を制御すると、その制御が一回目であれば、有機EL照明が点灯し、二回目であれば消灯する。このとき、先に述べたように複数セットあれば、全て同時に点灯もしくは消灯する。
【0113】
ここで注目する点は、外部のスイッチ制御システムの電源機構が、「駆動機構01」に対して制御かけるのは短時間であり、その制御が一回目だと点灯し、本発明のオルタネイトスイッチユニットが自己保持を開始して点灯を維持する。
【0114】
その後は外部のスイッチ制御システムはその点灯を維持するために電力は使わないため、全体的に見ると省エネルギーとなっていることである。
【0115】
利用面で見ると、この例で示している外部のスイッチ制御システムの電源機構は、制御するために必要な線路にフォトリレーの駆動電流を流すだけの単純な仕組みなので、電源機構も複数設置でき、コンピューターを利用したもの、外部の電気回路、モーメンタリの押釦スイッチなどのすべてを併用できるため実用性が高い。
【0116】
又、実施例1で述べたように、LEDイルミネーション付の機械式オルタネイトスイッチと同じ端子構成がとれることより、本発明のオルタネイトスイッチユニットも多用な利用形態がとれるため実用性が高い。
【産業上の利用可能性】
【0117】
最新の照明素材の特徴を生かし、点光源のLED照明や、面発光の有機EL照明を用いて、今までにない、効果的で且つ自然な照明システムを構築できる。
【0118】
LEDイルミネーション付の機械式オルタネイトスイッチについては、本発明のオルタネイトスイッチユニットに差し替えが可能になるため、機械式スイッチの接点磨耗による寿命の劣化やスイッチ音、耐久性などの課題の解消などに加え、スイッチ制御システムでの利用も可能となる。
【0119】
現状のテレビなどでは待機回路の待機電力を0とするためにコンセントを抜いて使用しているが、本発明のオルタネイトスイッチユニットを組み込むことで、この待機回路のスイッチのON・OFFが出来るようになる。
【0120】
又、スイッチ制御システムを併用することで家庭内使用の機器すべてにおいてコンセントを抜かずに制御できることになり、家庭内で使用する電子機器の待機電力を極限に小さくすることが可能となる。
【0121】
このことは、スマートメーターに関連してHEMS(HOME Energy Management System)を利用する場合、家庭内の電子機器は常に制御されるのを待つ状態となるので待機電力を0と出来ないことが予想されるが、本発明を利用して、待機電源を切っておき、必要なときにHEMSからスイッチ制御システムで電源を投入し、データのやりとりや制御を行えば解決する。
【要約】
【課題】機械式オルタネイトスイッチは、シンプルで且つ小さく、単体部品としても扱えるが、これを電磁リレーや電気回路で実現しようとすると、制御盤に多くのリレーが必要であったり、回路に組み込みせざるをえなかったり、複雑な回路設計が必要だったりして、自動化やリモート制御が簡単にはできなかった。
【解決手段】本出願では、フォトリレーを利用して、自己保持を行うフォトリレーと、主スイッチ動作を行うフォトリレーとに加え、自己保持を解除するフォトリレーを導入し、従来2つあった開始・解除スイッチを「自己保持を開始と解除させるスイッチ」1個に集約したことで、機械式オルタネイトスイッチと同じ動作を実現し、且つユニット部品としてまとめた。このことにより、従来のモーメンタリの押釦スイッチに加えて、外部の電気回路、外部のスイッチ制御システムとの「ユニット部品」での連携利用ができたことで、多様な利用形態が想定され、汎用性の高いものとなった。
【選択図】
図1