特許第5719092号(P5719092)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5719092
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】ブルドーザ
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20150423BHJP
【FI】
   E02F9/00 P
【請求項の数】11
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-555016(P2014-555016)
(86)(22)【出願日】2014年8月25日
(86)【国際出願番号】JP2014072124
【審査請求日】2014年11月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中野 裕一
(72)【発明者】
【氏名】中谷 武史
【審査官】 鷲崎 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5576583(JP,B1)
【文献】 特開2012−062691(JP,A)
【文献】 特開2013−174121(JP,A)
【文献】 特開2010−013095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00−9/18,9/24−9/28
B60K 11/00−15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレードと、
前記ブレードの後方に配置されるエンジンと、
前記エンジンからの排気を処理する選択還元触媒装置と、
前記選択還元触媒装置において使用される還元剤を貯留するための還元剤タンクと、
前記エンジンの後方に配置されるキャブと、
前記キャブの下部の後側に設けられるROPS構造の柱部と、
前記柱部の前方に配置されるバッテリーと、
を備え、
前記還元剤タンクは、前記キャブの下部の第1側方、且つ、前記バッテリーの前方に配置され、
上面視において、前記還元剤タンクの少なくとも一部は、前記キャブと重畳する、
ブルドーザ。
【請求項2】
ブレードと、
前記ブレードの後方に配置されるエンジンと、
前記エンジンからの排気を処理する選択還元触媒装置と、
前記選択還元触媒装置において使用される還元剤を貯留するための還元剤タンクと、
前記エンジンの後方に配置されるキャブと、
下方且つ第1側方に傾く第1収容カバーと、
前記還元剤タンクから前記選択還元触媒装置へ前記還元剤を送るためのサプライモジュールと、
を備え、
前記還元剤タンクは、前記キャブの下部の第1側方に配置され、
前記還元剤タンクは、前記第1収容カバーに向かって傾いている補給口を含み、
前記サプライモジュールは、前記第1収容カバーと前記還元剤タンクとの間、且つ、前記補給口の下方に配置され
上面視において、前記還元剤タンクの少なくとも一部は、前記キャブと重畳する、
ブルドーザ。
【請求項3】
前記キャブの前記下部の側面は、正面視において、下方に向かうほど内方に傾斜している、請求項1または2に記載のブルドーザ。
【請求項4】
前記還元剤タンクは、前記第1収容カバーに面する第1面に形成される凹み部を含み、
前記凹み部に前記サプライモジュールが配置される、
請求項に記載のブルドーザ。
【請求項5】
前記サプライモジュールの上面は、前記第1側方、且つ、下方に傾いている、
請求項に記載のブルドーザ。
【請求項6】
前記還元剤タンクの載置面をさらに備え、
前記サプライモジュールは、前記載置面から上方に離隔して配置される、
請求項2、4、5のいずれかに記載のブルドーザ。
【請求項7】
前記還元剤タンクを収容する還元剤タンク収容部材をさらに備え、
前記サプライモジュールは前記還元剤タンク収容部材に支持される、
請求項に記載のブルドーザ。
【請求項8】
前記還元剤タンク収容部材は、前記サプライモジュールと前記還元剤タンクとの間に設けられたゴム板を含む、請求項に記載のブルドーザ。
【請求項9】
前記載置面は、前記サプライモジュールのフィルタを交換する際に、前記サプライモジュールの下方から取り外し/挿入される前記フィルタを挿通させるための挿通孔を含み、
前記第1収容カバーは、前記挿通孔まで延びる開閉カバーを含む、
請求項またはに記載のブルドーザ。
【請求項10】
前記還元剤タンクと前記バッテリーとの間に設けられた隔壁をさらに備える、請求項に記載のブルドーザ。
【請求項11】
前記キャブの前記下部の前記第1側方と反対の第2側方に配置される燃料タンクと、
前記ブルドーザの前記第1側方且つ後端に配置される作動油タンクと、
前記燃料タンクと前記作動油タンクとの間で且つ前記キャブの後方に設けられるエンジン冷却モジュールをさらに備える、
請求項1または2に記載のブルドーザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、還元剤タンクを備えるブルドーザに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エンジンカバーの上面が前方且つ下方に向かって傾斜しているブルドーザが開示されている(特許文献1参照)。このブルドーザでは、作業者が作業機のブレードの上部を視認できるため、作業性が向上されている。
【0003】
一方、自然環境保護の観点から、ブルドーザには、排気を清浄化することが求められている(特許文献2参照)。このため、ブルドーザに、排気処理装置が搭載されるようになってきている。その中でも、近年、排気処理装置として、窒素酸化物NOxを処理する選択還元触媒(Selective Catalytic Reduction:SCR)装置を搭載することが求められている。ブルドーザに選択還元触媒装置を搭載する場合、還元剤タンクもブルドーザに搭載しなければならない。しかも、還元剤タンクの容量は、燃料タンクの容量に対して所定の割合以上の容量である必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013―174044号公報
【特許文献2】特開2013−227729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係る発明では、キャブの左右側方から左右後方に亘って配置されるボックスの後側に、燃料タンク、作動油タンク等が配置されている。また、キャブ後方にはラジエータ等のエンジン冷却モジュールが配置されている。これらのボックスは、所定容量の燃料タンク及び作動油タンク以外にバッテリーやROPS構造のフレームなどが配置されるため、余剰スペースが少ない。また、オペレータが左右の履帯の位置を目視しやすくするために、当該ボックスのカバーを拡大したり、カバーを側方に突出させたりしないことが望ましい。さらに、ブルドーザのオペレータにとって、前方及び後方の視界性も重要である。
【0006】
本発明の目的は、オペレータの視界性を低下させることなく、還元剤タンクの容量を十分に確保できるブルドーザを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係るブルドーザは、ブレードと、エンジンと、選択還元触媒装置と、還元剤タンクと、キャブとを備える。エンジンは、ブレードの後方に配置される。選択還元触媒装置は、エンジンからの排気を処理する。還元剤タンクは、選択還元触媒装置に供給される還元剤を貯留する。キャブは、エンジンの後方に配置される。還元剤タンクは、キャブの下部の第1側方に配置される。上面視において、還元剤タンクの少なくとも一部は、キャブと重畳する。
【0008】
キャブの下部の側面は、正面視において、内方に傾斜しているとよい。
【0009】
当該ブルドーザは、ROPS構造の柱部をさらに備えるとよい。ROPS構造の柱部は、キャブの下部の後側に設けられるとよい。還元剤タンクは、柱部の前方に配置されるとよい。
【0010】
当該ブルドーザは、バッテリーをさらに備えるとよい。バッテリーは、上記柱部の前方に配置されるとよい。還元剤タンクは、バッテリーの前方に配置されるとよい。
【0011】
当該ブルドーザは、下方且つ第1側方に傾く第1収容カバーと、還元剤タンクから選択還元触媒装置へ還元剤を送るためのサプライモジュールとをさらに備えるとよい。還元剤タンクは、第1収容カバーに向かって傾いている補給口を含むとよい。サプライモジュールは、第1収容カバーと還元剤タンクとの間、且つ、補給口の下方に配置されるとよい。
【0012】
還元剤タンクは、第1収容カバーに面する第1面に形成される凹み部を含むとよい。凹み部にサプライモジュールが配置されるとよい。
【0013】
サプライモジュールの上面は、前記第1側方、且つ、下方に傾いているとよい。
【0014】
当該ブルドーザは、還元剤の載置面を含むとよい。サプライモジュールは、還元剤タンクの載置面から上方に離隔して配置されるとよい。
【0015】
当該ブルドーザは、還元剤タンクを収容する還元剤タンク収容部材をさらに備えるとよい。サプライモジュールは還元剤タンク収容部材に支持されるとよい。
【0016】
還元剤タンク収容部材は、サプライモジュールと還元剤タンクとの間に設けられたゴム板を含むとよい。
【0017】
還元剤タンクの載置面は、サプライモジュールのフィルタを交換する際に、サプライモジュールの下方から取り外し/挿入されるフィルタを挿通させるための挿通孔を含むとよい。当該ブルドーザは、挿通孔まで延びる開閉カバーをさらに備えるとよい。
【0018】
当該ブルドーザは、還元剤タンクとバッテリーとの間に設けられた隔壁をさらに備えるとよい。
【0019】
当該ブルドーザは、燃料タンクと、作動油タンクと、エンジン冷却モジュールとをさらに備えるとよい。燃料タンクは、キャブの下部の第1側方と反対の第2側方に配置されるとよい。作動油タンクは、ブルドーザの第1側方且つ後端に配置されるとよい。エンジン冷却モジュールは、燃料タンクと作動油タンクとの間で且つキャブの後方に設けられるとよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るブルドーザでは、上面視において、還元剤タンクの少なくとも一部は、キャブと重畳する。したがって、還元剤タンクの一部をキャブの下部の側方のスペースに設けることによって、オペレータの視界性を低下させることなく、還元剤タンクの容量を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、ブルドーザの側面図である。
図2図2は、ブルドーザの上面図である。
図3図3は、第1の実施形態における、図1の切断面線III−IIIから見た断面図である。
図4図4は、第1の実施形態における、還元剤タンクモジュールの拡大斜視図である。
図5図5は、第1の実施形態における、第1収容カバー及び他のカバーを取り外したときの第1収容部の側面図である。
図6図6は、第1の実施形態における、第1収容カバーのうち、上開閉カバーのみを開けたときの図1の切断面線III−IIIから見た断面図である。
図7図7は、第2の実施形態における、図1の切断面線III−IIIから見た断面図である。
図8図8は、第2の実施形態における、還元剤タンクモジュールの拡大斜視図である。
図9図9は、第2の実施形態における、第1収容カバー及び他のカバーを取り外したときの第1収容部の側面図である。
図10図10は、第2の実施形態における、第1収容カバーのうち、上開閉カバーのみを開けたときの図1の切断面線III−IIIから見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1の実施形態>
本発明の実施形態に係るブルドーザ1を図1および図2に示す。図1はブルドーザ1の側面図であり、図2はブルドーザ1の上面図である。ブルドーザ1は、キャブ2と、車両本体3と、作業機4とを備える。なお、以下の説明において、前後方向とは、ブルドーザ1の前後方向を意味する。言い換えれば、前後方向とは、キャブ2に着座したオペレータから見た前後方向を意味する。また、左右方向とは、キャブ2に着座したオペレータから見た左右方向を意味する。側方とは、ブルドーザ1の車幅方向、すなわち、前述の左方向もしくは右方向のいずれかを意味する。
【0023】
〔キャブ2〕
キャブ2には、ブルドーザ1のオペレータが座るためのシートや各種操作のためのレバー、ペダルおよび計器類が内装されている。また、キャブ2は、転倒時運転者保護構造(ROPS構造)39を有しており、車両本体3に配置されている。転倒時運転者保護構造(ROPS構造)39は、ISO3471として規格化されている。
【0024】
キャブ2は、前から順に一対のAピラー21、一対のBピラー22および一対のCピラー23を有している。各ピラー21−23は、左右方向に離間して設けられ、上下方向に延びている。ここで、Bピラー22よりも前側をキャブ2の前側と呼び、Bピラー22よりも後側をキャブ2の後側と呼ぶ。ROPS構造39は、ROPS左柱部39aと、ROPS右柱部39bと、ROPS梁部39cとを含む。ROPS構造39は、キャブ2の下部2a(図3参照)且つ後側に設けられている。ROPS左柱部39aは、キャブ2の後側且つ左方に配置されている。ROPS右柱部39bは、キャブ2の後側且つ右方に配置されている。ROPS梁部39cは、キャブ2の後側において、ROPS左柱部39aと、ROPS右柱部39bとの上面に配置されている。ROPS梁部39cは、ROPS左柱部39aと、ROPS右柱部39bとの間で延びている。一対のCピラー23は、ROPS梁部39cによって支持されている。一対のBピラー22と一対のCピラー23とは、ほぼ同じ間隔を隔てて配置されている。Bピラー22とCピラー23とを繋ぐ一対の後部側面24は、互いに概ね平行に配置されている。これに対して、一対のAピラー21は、一対のBピラー22よりも小さな間隔を隔てて配置されている。Aピラー21とBピラー22とを繋ぐ一対の前部側面25は、前側ほど左右方向の間隔が小さくなるように配置されている。前部側面25は、キャブ2の前面に対して傾斜して繋がっている。キャブ2は、前面側の左右方向の幅が小さい先細りの外形を有している。この前部側面25にはオペレータの出入り口が設けられており、ドア26が取り付けられている。また、キャブ2の前面の上半分には、内部のオペレータが前方を目視可能なように前窓部20が設けられている。
【0025】
〔車両本体3〕
車両本体3は、エンジンフード31、排気管32、左右の走行装置33、第1収容部5、第2収容部34、及び、これらを支持するメインフレーム(図示せず)を含む。
【0026】
エンジンフード31は、キャブ2の前方に設けられている。エンジンフード31の上面は、前方且つ下方に傾斜している。エンジンフード31の上面の後端部は、キャブ2の前窓部20の下端に繋がっている。エンジンフード31の上面には、エアクリーナー36の吸気口と排気管32とが貫通する開口が設けられている。
【0027】
車両本体3は、エンジンフード31の内側に、エンジン11及び選択還元触媒装置12を含む。つまり、キャブ2は、エンジン11の後方に配置される。つまり、エンジン11及び選択還元触媒装置12は、エンジンフード31の内側に配置される。エンジン11は、例えば、ディーゼルエンジンであり、走行装置33や図示しない作業機ポンプなどを駆動するための駆動力を発生させる。選択還元触媒装置12は、還元剤によってエンジン11からの排気を処理する。選択還元触媒装置12は、選択的に窒素酸化物NOxを還元する。本実施形態では、還元剤とは、例えば、尿素水である。還元剤が尿素水である場合、ここでいう選択還元触媒装置12は、尿素水を排気中に噴射し、排気中において加水分解させてアンモニアガスを得るための配管も含む。
【0028】
排気管32は、選択還元触媒装置12によって処理されたエンジン11からの排気を外部へ排出するための配管である。排気管32は、エンジンフード31の上面から上方へ突出して設けられている。排気管32の上端は、キャブ2の上面近傍に達している。排気管32は、エンジンフード31の左右方向の中心から側方に偏心して配置されている。排気管32は、背面視において、すなわち、キャブ2内のオペレータから見て、一対のAピラー21のうちの右側のAピラーと重なる位置に立設されている。これにより、排気管32によって、キャブ2内のオペレータからの前方の視認性が低下することを防止されている。なお、排気管32の後方には、エアクリーナー36のヘッド部37が配置されている。
【0029】
走行装置33は、メインフレームの左右両側に取り付けられている。走行装置33は、履帯33aを有する。上下の複数の転輪に巻き掛けられた履帯33aを回転させることで、ブルドーザ1は移動する。
【0030】
第1収容部5は、キャブ2の下部2a(図3参照)の第1側方に取り付けられている。図1及び図2では、第1側方として左方の場合が図示されているが、右方であってもよい。車両本体3は、第1収容部5の内部に、還元剤タンクモジュール6、バッテリー15、及び作動油タンク14を含む。つまり、還元剤タンクモジュール6、バッテリー15、及び作動油タンク14は、第1収容部5に格納される。つまり、還元剤タンクモジュール6は、キャブ2の下部2a(図3参照)の第1側方に配置される。作動油タンク14は、変速機系統および作業機4系統に供給される作動油を貯留する。作動油タンク14は、第1収容部5の後端に配置されている。つまり、作動油タンク14は、ブルドーザ1の第1側方且つ後端に配置される。還元剤タンクモジュール6は、後述する還元剤タンク60(図4等参照)を含んでいる。還元剤タンク60は、選択還元触媒装置12において使用される還元剤を貯留する。還元剤は、選択還元触媒装置12に供給される。バッテリー15は、エンジン11の点火や照明のための電源として利用される。第1収容部5は、さらに、ROPS左柱部39aを収容する。
【0031】
第2収容部34は、キャブ2の下部2a(図3参照)の第1側方とは反対の第2側方に取り付けられている。車両本体3は、第2収容部34の内部に、燃料タンク13を含む。つまり、燃料タンク13は、第2収容部34に格納される。別の言い方をすれば、燃料タンク13は、キャブ2の下部2a(図3参照)の第2側方に配置される。燃料タンク13は、エンジン11に供給される燃料を貯留する。第2収容部34は、さらに、ROPS右柱部39bを収容する。
【0032】
また、車両本体3は、ROPS構造39の後方にエンジン冷却モジュール16を含む。具体的には、左右の第1収容部5と第2収容部34との間で、且つ、キャブ2の後方にエンジン冷却モジュール16が設けられている。別の言い方をすれば、エンジン冷却モジュール16は、燃料タンク13と作動油タンク14との間で、且つ、キャブ2の後方に設けられている。また、エンジン冷却モジュール16は、第1収容部5と第2収容部34のカバーの後端より前に配置されている。これによって、エンジン冷却モジュール16を外部の障害物から保護するとともに、キャブ2から後方を見たときに、エンジン冷却モジュール16越しに後方の作業状態を容易に確認することができる。このため、ブルドーザ1の後部にリッパやウィンチを取り付けた場合でも、キャブ2からエンジン冷却モジュール16越しに後方作業機を確認しながら作業を行うことができる。
【0033】
エンジン冷却モジュール16は、例えば、ラジエータ、ファン、モータを含む。エンジン冷却モジュール16は、モータによってファンを回転させて、ラジエータ内を流れる冷却水を冷やすことによりエンジン11を冷却する。
【0034】
〔作業機4〕
作業機4は、ブレード41、アーム部材42、および、油圧シリンダ43,44を含む。ブレード41は、エンジンフード31の前方に設けられている。つまり、エンジン11は、ブレード41の後方に配置される。ブレード41は、キャブ2の左右方向の幅よりも大きな幅を有している。また、ブレード41の下端部が地面に接触している状態において、ブレード41の上端部は、エンジンフード31の上面よりも下方に位置しており、エンジンフード31の上面は、キャブ2内のシートに着座したオペレータの視点と、ブレード41の上端部とを結んだ仮想線よりも下方に位置している。アーム部材42は、作業機4を支持する。アーム部材42の一端が車両本体3に接続され、アーム部材42の他端がブレード41に接続されている。油圧シリンダ43,44は、伸縮することによって、ブレード41を所望の方向へ傾けたり、移動させたりする油圧アクチュエータである。
【0035】
〔第1収容部5の詳細構造〕
図3を参照すると、キャブ2の下部2aは、取付部27と床部28と床支持部29とを含む。ここで、キャブ2の下部2aとは、後部側面24の下端よりも下にあたるキャブ2の部分を指す。取付部27は、オペレータが着座した際に、オペレータの手の肘の高さに相当する上面を有する。取付部27には、操作レバーなどが取り付けられる。床部28は、オペレータが足を置く床に相当する。床支持部29は、取付部27と床部28とを接続する。床支持部29は、正面視において、下方且つ内方に傾斜している。つまり、キャブ2の下部2aの側面は、正面視において、下方且つ内方に傾斜している。
【0036】
第1収容部5は、取付部27の下方と接続している。第1収容部5は、キャブ2の下部2aの第1側方に配置される。なお、第2収容部34は、第1収容部5と左右対称な位置に配置されるため、第2収容部34は、キャブ2の下部2aの第2側方に配置される。図3から明らかなように、第1収容部5の少なくとも一部は、上面視において、キャブ2と重畳する。第1収容部5は、図示しないメインフレームによって下方から支持されている。第1収容部5は、第1収容カバー51及び底面52を含む。第1収容カバー51は、下方且つ第1側方に傾く。第1収容カバー51は、上開閉カバー51aと、下開閉カバー51bと、を含む。底面52は、挿通孔53を含む。
【0037】
図3及び図4を参照すると、第1収容部5に格納される還元剤タンクモジュール6は、還元剤タンク60、還元剤タンク収容部材70、及びサプライモジュール80を含む。つまり、還元剤タンク60は、第1収容部5に格納される。還元剤タンク60は、第1収容部5の底面52上に配置される。すなわち、第1収容部5の底面52は、還元剤タンク60を載置する載置面となっている。図3及び図4では、還元剤タンク収容部材70によって隠れる還元剤タンク60の外形を点線で示している。これによると、還元剤タンク60は、略矩形柱の形状を有する。また、還元剤タンク60の少なくとも一部は、上面視において、キャブ2と重畳する。
【0038】
還元剤タンク60は、その上面に、斜め上方に向かって延びる補給口61を含んでいる。補給口61は、第1収容カバー51に向かって傾いている。還元剤タンク60は、第1面65と、第1面65の下方に形成される凹み部62とを含む。第1面65は、第1収容カバー51に面し、下方且つ第1側方に傾いている。凹み部62は、第1面65から第2側方に向かって凹んでいる。凹み部62は、サプライモジュール80を取り付けるための取付面62bを含む。取付面62bは、下方且つ第1側方に傾いている。凹み部62のうち、取付面62bを除く部分は、還元剤タンク60を取り出す際に取っ手として利用できる。
【0039】
還元剤タンク60の車両前後方向の側面には、略X字型の溝63が設けられている。つまり、還元剤タンク60は、溝63を含む。これによって、還元剤タンク60の側面強度が向上する。さらに、溝63のうち、上方且つ第1側方の隅の溝64は、第1面65まで延びている。溝64に還元剤タンク収容部材70の係止部品75を掛けて、係止部品75が還元剤タンク収容部材70の上部係止部材76に固定されることで、還元剤タンク60は、還元剤タンク収容部材70に堅く固定される。
【0040】
還元剤タンク60の上面には、還元剤の凍結を防止するための温水配管66に接続された熱交換機67が接続されている。温水配管66には、例えば、エンジン11により温められた冷却水の一部が流れている。つまり、還元剤タンク60は、熱交換機67を含む。熱交換機67は、還元剤タンク60の中でL字状に蛇行する配管を有し、温水配管66からの温水が当該配管を流れることによって、還元剤タンク60内の還元剤を温める。なお、図4では、温水配管66の図示が省略されている。
【0041】
還元剤タンク収容部材70は、還元剤タンク60を収容する。還元剤タンク収容部材70は、底部71、内固定部72、外固定部73、側面固定部74、係止部品75、及び上部係止部材76を含む。底部71は、ボルトなどを利用して、第1収容部5の底面52に固定される。内固定部72は、底部71と一体に形成されている。もしくは、底部71と溶接等で固定されている。内固定部72は、底部71から上方向に延びる。内固定部72は、第1収容部5の底面52の第2側方側の端部52aよりも第2側方に位置する。内固定部72と、床支持部29との間には、各種配管を通すための隙間が設けられている。外固定部73は、底部71から上方且つ第2側方に延びる。外固定部73は、凹み部62の面に沿って延びている。外固定部73は、取り外し可能に、底部71にボルト等で固定されている。側面固定部74は、底部71及び内固定部72から上方且つ第1側方に向かって延びている。側面固定部74には、上述する係止部品75が取り付けられ、上部係止部材76が係止部品75にボルト等で固定されることによって、還元剤タンク60が固定される。
【0042】
サプライモジュール80は、還元剤タンク60から選択還元触媒装置12に還元剤を送るためのポンプである。図4に示すように、サプライモジュール80には、第1配管81、第2配管82、及び第3配管83が接続されている。より詳細に言えば、サプライモジュール80の上面80bには、第1配管81、第2配管82、及び第3配管83が接続されている。第1配管81は、還元剤タンク60から還元剤を吸い上げるための配管である。第2配管82は、エンジン11停止時に、サプライモジュール80が吸い上げた還元剤を還元剤タンク60に戻すための配管である。第3配管は、選択還元触媒装置12に還元剤を送るための配管である。これらの配管にはニクロム線が巻回されている。ニクロム線に電流を流して還元剤を加熱することにより、還元剤の凍結を防止することができる。
【0043】
第1配管81、第2配管82、及び第3配管83は、サプライモジュール80の上面80bから所定距離において直線的に延びて配置されている。サプライモジュール80は、第1面65よりも下方に形成された取付面62bに配置されている。取付面62bと、第1配管81、第2配管82、及び第3配管83との、取付面62bに対して垂直な方向の間隔は、取付面62bと第1面65との、取付面62bに対して垂直な方向の間隔よりも長い。したがって、第1配管81、第2配管82、及び第3配管83は、上述するようにニクロム線が巻回されているため曲がりにくいが、配線の際に、第1配管81、第2配管82、及び第3配管83の曲率を小さくすることができるので、配線が容易となる。
【0044】
サプライモジュール80は、定期的に、フィルタ84を交換する必要がある。その際、図3の二点鎖線に示すように、フィルタ84は、サプライモジュール80の下方から取り外し/挿入される。このフィルタ交換の便宜のために、第1収容部5の挿通孔53は、サプライモジュール80の下方から取り外し/挿入されるフィルタ84を挿通させることができる。
【0045】
さらに、フィルタ84の交換の便宜のために、サプライモジュール80は、第1収容部5の底面52から上方に離隔して配置される。これによって、サプライモジュール80のフィルタ84を交換する際に、フィルタ84が覆帯33aと干渉しない。したがって、サプライモジュール80を還元剤タンク収容部材70から外さなくても、サプライモジュール80のフィルタ交換を行うことができる。したがって、サプライモジュールのメインテナンス性が向上する。
【0046】
サプライモジュール80を第1収容部5の底面52から上方に離隔するために、サプライモジュール80は、還元剤タンク収容部材70に支持されている。つまり、サプライモジュール80は、還元剤タンク収容部材70に取り付けられている。具体的には、サプライモジュール80は、外固定部73にボルトなどによって取り付けられている。これにより、サプライモジュール80と還元剤タンク60を近接して配置できるので、第1配管81及び第2配管82の長さを短くできるという効果も奏する。したがって、還元剤タンクモジュール6のメインテナンスがさらに容易となる。
【0047】
図3に示すように、サプライモジュール80は、第1収容カバー51と還元剤タンク60との間、且つ、補給口61の下方に配置される。また、第1収容部5の第1収容カバー51は、挿通孔53まで延びる。したがって、図5に示すように、第1収容カバー51を取り外した場合、還元剤タンク60の補給口61、サプライモジュール80、及び、サプライモジュール80のフィルタのいずれに対してもアクセス可能である。また、第1収容カバー51は、補給口61を第1収容部5の外部からアクセス可能とする上開閉カバー51aと、サプライモジュール80を第1収容部5の外部からアクセス可能とする下開閉カバー51bとを含んでいる。そして、図6に示すように、車両前後方向を回転軸とするヒンジ59によって上開閉カバー51aのみを開けることができる。したがって、第1収容カバー51のうち、上開閉カバー51aのみを開けることによって、還元剤タンク60に還元剤を注入することができる。これにより、還元剤タンク60に還元剤を注入するメインテナンスが容易となる。
【0048】
さらに、図3及び図6に示すように、還元剤タンク収容部材70は、サプライモジュール80と還元剤タンク60との間に設けられたゴム板77を含んでもよい。これにより、還元剤タンク60が還元剤タンク収容部材70に押し付けられるので、還元剤タンク60が還元剤タンク収容部材70にしっかりと固定される。
【0049】
つぎに、第1収容部5の残りの部材の配置について説明する。図5に示すように、作動油タンク14の前方、且つ、ROPS左柱部39aの後方には、リザーブタンク(エンジンの冷却水を入れるタンク)などのタンク類19が配置される。そして、第1収容部5の内部で、且つ、ROPS左柱部39aの前方には、バッテリー15が配置される。還元剤タンクモジュール6(還元剤タンク60)は、バッテリー15の前方に配置される。つまり、還元剤タンクモジュール6(還元剤タンク60)は、ROPS左柱部39aの前方に配置される。還元剤タンクモジュール6(還元剤タンク60)とバッテリー15との間には、隔壁54が設けられている。これによって、第1収容部5の後部において発生した熱が還元剤タンク60に伝わりにくくなる。
【0050】
<第2の実施形態>
つぎに、本発明の第2の実施形態に係るブルドーザ1aについて説明する。ブルドーザ1aは、第1収容部と、還元剤タンクモジュールを除いて、第1の実施形態のブルドーザ1と殆ど同じである。したがって、第2の実施形態の第1収容部を第1収容部5aとし、還元剤タンクモジュールを還元剤タンクモジュール6aとし、第1の実施形態と相違する点を中心に説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成については、第1の実施形態と同じ符号を付しており、詳細な説明を省略する。
【0051】
図7を参照すると、第1収容部5aは、第1の実施形態の第1収容カバー51、底面52と異なる第1収容カバー56、底面57を含む。第1収容カバー56は、下方且つ第1側方に傾いているが、第1収容カバー51よりもさらに下方に傾いている。第1収容カバー56は、上開閉カバー56aと、下開閉カバー56bと、を含む。底面57は挿通孔を含んでいないが、下開閉カバー56bは、第1収容部5aの左右方向の中心位置付近にあたる底面57の位置57fまで延びている。別の言い方をすれば、下開閉カバー56bは、サプライモジュール80の第2側方の端部80aよりもさらに第2側方に位置する底面57の位置57fまで延びている。また、サプライモジュール80の上面80cは、下方、且つ、第1側方に傾いている。別の言い方をすれば、サプライモジュール80の第1側方(左方)の面80dは、下方、且つ、第2側方(右方)に傾いている。したがって、第1収容カバー56は、第1の実施形態の第1収容カバー51よりもさらに下方に傾いており、オペレータの側方視界性はさらに向上している。
【0052】
図7及び図8を参照すると、還元剤タンクモジュール6aは、還元剤タンク60a、還元剤タンク収容部材70a、及びサプライモジュール80を含む。第2の実施形態においても、還元剤タンク60aの少なくとも一部は、上面視において、キャブ2と重畳する。図7及び図8では、還元剤タンク収容部材70aによって隠れる還元剤タンク60aの外形を点線で示している。これによると、還元剤タンク60aは、第1収容カバー56に面し、下方且つ第1側方に傾いている第1面65を含んでおり、第1面65に、斜め上方に向かって延びる補給口61aを含んでいる。図8及び図9を参照すると、補給口61aは、車両前後方向の還元剤タンク60aの中央位置よりも前方に位置している。つまり、補給口61aは、前側に偏心している。還元剤タンク60aは、第1面65から第2側方に向かって凹んでいる凹み部62aを含んでいる。凹み部62aの主要な面は、下方且つ第2側方に傾いている。したがって、凹み部62aに配置されるサプライモジュール80の上面80cは、下方、且つ、第1側方に傾いている。これにより、第1配管81の取付部、第2配管82の取付部、及び第3配管83の取付部へのアクセスが容易となる。還元剤タンク60の車両前後方向の側面で上方且つ第1側方の隅には、溝64が形成されている。溝64の形状は、直線形状である。
【0053】
還元剤タンク収容部材70aは、還元剤タンク60aを収容する。還元剤タンク収容部材70aは、底部71、内固定部72、外固定部73a、側面固定部74、係止部品75、及び上部係止部材76を含む。底部71は、ボルトなどを利用して、第1収容部5aの底面57に固定される。内固定部72は、第1収容部5aの底面57の第2側方側の端部57aよりも第2側方に位置する。外固定部73aは、凹み部62aの面に沿って底部71から上方且つ第1側方に延びる。
【0054】
図8を参照すると、サプライモジュール80に接続される、第1配管81、第2配管82、及び第3配管83は、補給口61aの車両後方を通るように配置されている。また、第1配管81、第2配管82、及び第3配管83は、上述するようにニクロム線が巻回されているため曲がりにくいが、配線の際に、第1配管81、第2配管82、及び第3配管83の曲率を小さくすることができるので、配線が容易となる。
【0055】
図7に示すように、サプライモジュール80は、第1収容カバー56と還元剤タンク60aとの間、且つ、補給口61aの下方に配置される。また、第1収容部5aの第1収容カバー56は、第1収容部5aの左右方向の中心位置付近にあたる底面57の位置57fまで延びる。したがって、図9に示すように、第1収容カバー56を取り外した場合、還元剤タンク60aの補給口61a及びサプライモジュール80のいずれに対してもアクセス可能である。また、第1収容カバー56を取り外した場合、サプライモジュール80の下方には底面57が存在しなくなるので、サプライモジュール80のフィルタを代えることが可能となる。また、第1収容カバー56は、補給口61aを第1収容部5aの外部からアクセス可能とする上開閉カバー56aと、サプライモジュール80を第1収容部5aの外部からアクセス可能とする下開閉カバー56bとを含んでいる。そして、図10に示すように、上下方向を回転軸とするヒンジ59aによって上開閉カバー56aのみを開けることができる。したがって、第1収容カバー56のうち、上開閉カバー56aのみを開けることによって、還元剤タンク60に還元剤を注入することができる。これにより、還元剤タンク60に還元剤を注入するメインテナンスが容易となる。
【0056】
つぎに、第1収容部5aの残りの部材の配置について説明する。図9を参照すると、バッテリー15の向き、隔壁54aの形状、ROPS左柱部39aの形状が、還元剤タンクモジュール6aと第1収容カバー56の変更などに応じて多少変わっているが、それ以外に第1収容部5aの残りの部材について、第1の実施形態の部材と大きな差異はない。
【0057】
<特徴>
本実施形態に係るブルドーザ1,1aは、以下の特徴を有する。
(1)ブルドーザ1,1aでは、上面視において、還元剤タンク60,60aの少なくとも一部は、キャブ2と重畳する。したがって、還元剤タンク60,60aの一部をキャブ2の下部の側方のスペースに設けることによって、還元剤タンク60,60aの容量を大きくすることができる。したがって、オペレータの側方視界性を十分に確保しつつ、還元剤タンク60,60aの容量を大きくすることができる。
【0058】
(2)キャブ2の下部の側面は、正面視において、内方に傾斜している。これによって、還元剤タンク60,60aの容量をさらに大きくすることができる。
【0059】
(3)還元剤タンク60,60aは、ROPS構造39の柱部39aの前方に配置される。したがって、還元剤60,60aは、幅狭な場所に配置される。したがって、上面視において、還元剤タンク60,60aの少なくとも一部は、キャブ2と重畳するように、還元剤タンク60,60aを配置する本実施形態の方法は、有効である。
【0060】
(4)還元剤タンク60,60aは、ROPS構造39の柱部39aの前方に配置されるバッテリー15よりもさらに前方に配置される。したがって、還元剤60,60aは、さらに幅狭な場所に配置される。したがって、上面視において、還元剤タンク60,60aの少なくとも一部は、キャブ2と重畳するように、還元剤タンク60,60aを配置する本実施形態の方法は、さらに有効である。
【0061】
(5)ブルドーザ1,1aは、下方且つ第1側方に傾く第1収容カバー51,56を含む。還元剤タンク60,60aは、第1収容カバー51,56に向かって傾いている補給口61,61aを含む。サプライモジュール80は、第1収容カバー51,56と還元剤タンク60,60aとの間、且つ、補給口61,61aの下方に配置される。したがって、第1収容カバー51,56を取り外した場合、還元剤タンク60,60aの補給口61,61a、サプライモジュール80、及び、サプライモジュール80のフィルタのいずれに対してもアクセス可能となる。また、サプライモジュール80が第1収容カバー51,56の下端付近に配置されるため、サプライモジュール80のために第1収容カバー51,56を側方に突出させる必要がないため、側方視界性が向上する。
【0062】
(6)還元剤タンク60,60aは、第1収容カバー51,56に面する第1面65に形成される凹み部62,62aを含む。凹み部62,62aにサプライモジュール80が配置される。これにより、サプライモジュール80が第1側方に突出せずに配置される。したがって、ブルドーザ1,1aの側方視界性がさらに向上する。
【0063】
(7)サプライモジュール80の上面80cは、第1側方、且つ、下方に傾いている。これによって、第1収容カバー56をさらに下方に傾けることができるので、オペレータの側方視界性がさらに向上する。
【0064】
(8)サプライモジュール80は、還元剤タンク60,60aの載置面52,57から上方に離隔して配置される。これによって、サプライモジュール80のフィルタ84を交換する際に、フィルタ84が覆帯33aと干渉しない。したがって、サプライモジュール80を還元剤タンク収容部材70,70aから外さなくても、サプライモジュール80のフィルタ交換を行うことができる。したがって、サプライモジュールのメインテナンス性が向上する。
【0065】
(9)サプライモジュール80は還元剤タンク収容部材70,70aに支持される。これによって、還元剤タンクモジュール6,6aをコンパクトに形成することができる。
【0066】
(10)還元剤タンク収容部材70は、サプライモジュール80と還元剤タンク60との間に設けられたゴム板77を含む。これにより、還元剤タンク60が還元剤タンク収容部材70に押し付けられるので、還元剤タンク60が還元剤タンク収容部材70にしっかりと固定される。
【0067】
(11)第1収容部5の底面52は、サプライモジュール80のフィルタ84を交換する際に、サプライモジュール80の下方から取り外し/挿入されるフィルタ84を挿通させるための挿通孔53を含む。第1収容カバー51は、挿通孔まで延びる開閉カバー51a,51bを含む。これによって、サプライモジュール80のフィルタ84の交換が容易となる。
【0068】
(12)ブルドーザ1,1aは、還元剤タンク60,60aとバッテリー15との間に設けられた隔壁54,54aを含む。これによって、還元剤タンク60,60aよりも後方にあたる部分において発生した熱が還元剤タンク60,60aに伝わりにくくなる。
【0069】
(13)ブルドーザ1,1aは、燃料タンク13と、作動油タンク14と、エンジン冷却モジュール16とをさらに備える。燃料タンク13は、キャブ2の下部の第1側方と反対の第2側方に配置される。作動油タンク14は、ブルドーザ1,1aの第1側方且つ後端に配置される。エンジン冷却モジュール16は、燃料タンク13と作動油タンク14との間で且つキャブ2の後方に設けられる。したがって、還元剤タンク60,60aは、幅狭な場所以外に配置するスペースがない。したがって、上面視において、還元剤タンク60,60aの少なくとも一部は、キャブ2と重畳するように、還元剤タンク60,60aを配置する本実施形態の方法は、極めて有効である。
【0070】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0071】
第1収容部5,5a、第2収容部34、燃料タンク13、作動油タンク14、バッテリー15、第1収容カバー51,56、還元剤タンク60,60a、還元剤タンク収容部材70,70a、及び隔壁54,54aの形状は、上述の実施形態の形状に限られず、他の形状であってもよい。
【0072】
バッテリー15と作動油タンク14の位置は、入れ替わってもよい。バッテリー15と還元剤タンクモジュール6,6aとの位置は、入れ替わってもよい。また、作動油タンク14またはバッテリー15が第2収容部34またはその他の場所に格納されてもよい。ゴム板77は省略されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明によれば、オペレータの視界性を低下させることなく、還元剤タンクの容量を十分に確保できるブルドーザを提供することができる。
【要約】
ブルドーザは、ブレードと、エンジンと、選択還元触媒装置と、還元剤タンクと、キャブとを備える。エンジンは、ブレードの後方に配置される。選択還元触媒装置は、エンジンからの排気を処理する。還元剤タンクは、選択還元触媒装置に供給される還元剤を貯留する。キャブは、エンジンの後方に配置される。還元剤タンクは、キャブの下部の第1側方に配置される。上面視において、還元剤タンクの少なくとも一部は、キャブと重畳する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10