(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、炭素系燃料の製造に際して、上記フィッシャー・トロプシュ法では、高温の水蒸気を生成することが必要となる。また、上記特許文献1に記載されている方法では、少なくとも230℃以上の高温の流体を用いる必要がある。さらに上記特許文献2に記載されている方法では、反応場の温度を150℃〜374℃程度にしており、少なくとも反応場を高温の状態に保つ必要がある。
つまり、上記の方法は、いずれも高温にするための熱エネルギーが必要となるため、石油の代替品を製造するために石油を消費することが問題となる。また、このような高温の熱処理を実現させるためには、必然的に大掛かりな設備と場所、時間が必要となる上、二酸化炭素の削減にも寄与できないため、環境・資源保全の観点からも多くの矛盾点が認められる。
【0007】
そこで、熱エネルギーを必要としない方法として、出発物質や中間物質を微細化させ、これら微細化した物質を反応させて炭素系燃料を製造する方法も提案されている。
しかしながら、この場合においても、ホモジナイザー等の攪拌機によって出発物質や中間物質を粉砕したり、ラインミキサー等でこれら物質を攪拌したりして物理的な微細化を図ることが必要となるため、攪拌機等で繰り返し粉砕するための動力が必要となる。またバッチ式を採用して撹拌処理を繰り返し行った場合でも、微細化の精度が安定しなかったり、分子を分断するほどの微細化ができなかったりといった問題があった。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、簡易な方法によって、効率的かつ高い精度で石油の分子と水の分子の微細化を行い、石油と水から炭素系燃料を製造し得る、キャビテーション発生リング、炭素系燃料の製造装置、及び炭素系燃料の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る炭素系燃料の製造装置は、
円筒部の内部に液体の流通路を形成するようにして、前記円筒部の内周面から中心に向かって複数の突起部を突出させており、前記円筒部内に前記液体を高圧で通過させることで、前記円筒部内にキャビテーションを生じさせて、前記液体の分子を分断させる、液体が流通するパイプの一部に設置して使用される第1のキャビテーション発生リングを備え、石油の分子を分断する、石油の微細化装置と、
円筒部の内部に液体の流通路を形成するようにして、前記円筒部の内周面から中心に向かって複数の突起部を突出させており、前記円筒部内に前記液体を高圧で通過させることで、前記円筒部内にキャビテーションを生じさせて、前記液体の分子を分断させる、液体が流通するパイプの一部に設置して使用される第2のキャビテーション発生リングを備え、水の分子を分断する、水の微細化装置と、
円筒部の内部に液体の流通路を形成するようにして、前記円筒部の内周面から中心に向かって複数の突起部を突出させており、前記円筒部内に前記液体を高圧で通過させることで、前記円筒部内にキャビテーションを生じさせて、前記液体の分子を分断させる、液体が流通するパイプの一部に設置して使用される第3のキャビテーション発生リングを備え、該
第3のキャビテーション発生リング内に、前記石油の微細化装置によって分断された石油の分子と、前記水の微細化装置によって分断された水の分子と、の混合物を、高圧で通過させることで、前記
第3のキャビテーション発生リング内でキャビテーションを生じさせて、前記分断された石油の分子と前記分断された水の分子とを結合して炭素系燃料を製造する異分子結合装置と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
さらに、上記目的を達成するために、本発明に係る炭素系燃料の製造方法は、石油の分子を分断する石油の微細化工程と、水の分子を分断する水の微細化工程と、これら工程において分断された分子同士を結合させる異分子結合工程と、を備えた炭素系燃料の製造方法であって、前記石油の微細化工程では、第1のキャビテーション発生リングを、前記石油が流通するパイプの一部に設置し、該第1のキャビテーション発生リング内に、前記石油を高圧で通過させることで、該第1のキャビテーション発生リング内にキャビテーションを生じさせて、前記石油の分子を分断し、前記水の微細化工程では、第2のキャビテーション発生リングを、水が流通するパイプの一部に設置し、該第2のキャビテーション発生リング内に、前記水を高圧で通過させることで、該第2のキャビテーション発生リング内にキャビテーションを生じさせて、前記水の分子を分断し、前記異分子結合工程では、前記水の微細化工程において分断された水の分子と前記石油の微細化工程において分断された石油の分子との混合物が流通するパイプの一部に、第3のキャビテーション発生リングを設置し、該第3のキャビテーション発生リング内に、前記混合物を高圧で通過させることで、該第3のキャビテーション発生リング内にキャビテーションを生じさせて、前記分断された石油の分子と前記分断された水の分子とを結合して炭素系燃料を製造するものとされており、前記第1乃至第3のキャビテーション発生リングは、
円筒部の内部に液体の流通路を形成するようにして、前記円筒部の内周面から中心に向かって複数の突起部を突出させており、前記円筒部内に前記液体を高圧で通過させることで、前記円筒部内にキャビテーションを生じさせて、前記液体の分子を分断させる、液体が流通するパイプの一部に設置して使用されるキャビテーション発生リングとされている、ことを特徴とする。
【0012】
本発明においては、前記第1のキャビテーション発生リングより上流の前記水が流通するパイプ内に気体を混入して、水に多数の気泡を含ませる気液混合工程を備えており、
前記気泡を含んだ水を前記第1キャビテーション発生リング内に高圧で通過させることで、該第1のキャビテーション発生リング内にキャビテーションを生じさせて、前記水の分子を分断するとともに、前記気泡をナノサイズに微細化するものとしてもよい。
【0013】
また、本発明においては、前記異分子結合工程において、前記分断された石油の分子と前記分断された水の分子とが結合して生じた生成物を、磁気ミキサー内に通過させて、前記生成物の分子結合を安定化させる安定化工程を、さらに備えたものとしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係
る炭素系燃料の製造装置、及び炭素系燃料の製造方法によれば、簡易な方法によって、効率的かつ高い精度で石油の分子と水の分子の微細化を行い、石油と水から炭素系燃料を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明の第1実施形態に係る炭素系燃料の製造方法1は、
図1(a)に示すように、石油2と水4から炭素系燃料9を製造する方法であり、石油2の分子を分断する石油の微細化工程Aと、水4の分子を分断する水の微細化工程Bと、これら工程において分断された分子2a,4a同士を結合させる異分子結合工程Cと、を備えている。
この炭素系燃料の製造方法1は、
図5に示すように、キャビテーション発生リング(リング)10を備えた石油の微細化装置200と、リング10を備えた水の微細化装置300と、リング10を備えた異分子結合装置400とを備えた炭素系燃料の製造装置100によって実施される。
【0017】
石油の微細化工程Aでは、
図5に示すように、第1のキャビテーション発生リング(第1リング)10を、石油2が流通するパイプ20の一部に設置し、第1リング10内に、石油2を高圧で通過させることで、第1リング10内にキャビテーションを生じさせて、石油2の分子を分断するようにしている。
本実施形態では、複数の第1リング10を備えた石油の微細化装置200を用いて石油2の分子の分断を行っている。また、パイプ20の一部に設けたポンプ21によって、石油2を第1リング10内に高圧で通過させるようにしている。
【0018】
石油2は、この石油の微細化工程Aで処理されることによって、石油2の分子が分断されて、分断された石油の分子2aを含んだ石油(ナノ化された石油)3となる。
このように石油2が微細化工程Aで処理されると、石油2の分子は、その分子内における炭素同士の結合の一部(1箇所又は複数箇所)が分断されて、複数の部位に分かれるものと考えられる。従って、分断された石油の分子2aに含まれる炭素数は、分断前の石油2の分子に含まれる炭素数よりも小となっているものと考えられる。
石油2としては、炭化水素を主成分とした炭素系燃料であればよく、種々のものを用いることができる。例えば、炭素数10〜20程度の軽油や、重油、炭素数4〜10程度のガソリン等を用いてもよい。また、種々の分子構造とされたものを用いることができ、例えば、パラフィン系、オレフィン系、ナフテン系、芳香族系等のものを用いることができる。なお、用いる石油2としては、炭素系燃料9の高い収率をもたらす点で、パラフィン系のものが望ましい。
【0019】
水の微細化工程Bでは、
図5に示すように、第2のキャビテーション発生リング(第2リング)10を、水4が流通するパイプ30の一部に設置し、第2リング10内に、水4を高圧で通過させることで、第2リング10内にキャビテーションを生じさせて、水4の分子を分断するようにしている。
本実施形態では、複数の第2リング10を備えた水の微細化装置300を用いて水4の分子の分断を行っている。また、パイプ30の一部に設けたポンプ31によって、水4を第2リング10内に高圧で通過させるようにしている。
【0020】
水4は、この水の微細化工程Bで処理されることによって、水4の分子が分断されて、分断された水の分子4aを含んだ水(ナノ化された水)5となる。この水4の分子の分断によって、水4の分子から水素原子や酸素原子が切り出されて、分断された水の分子4a(つまり、水素原子のみ又は酸素原子のみから構成される分子4aや、一部の水素原子や酸素原子を欠いた状態の分子4a等)が生じるものと考えられる。
水4としては、例えば、水道水や、井戸水等の自然水、蒸留水、イオン交換水、逆浸透処理を施した水、磁気処理や電気分解処理等を施した水、ミネラル成分を含有した水等、種々のものを用いることができる。
なお、上記では「ナノ化された石油3(水5)」のように「ナノ化」という表現を用いているが、これは、分断された分子2a(4a)を含んだ石油3(水5)であることを概念的に表現するために、便宜上用いたものである。
【0021】
異分子結合工程Cでは、
図5に示すように、水の微細化工程Bにおいて分断された水の分子4aと石油の微細化工程Aにおいて分断された石油の分子2aとの混合物8が流通するパイプ40の一部に、第3のキャビテーション発生リング(第3リング)10を設置し、第3リング内10に、混合物8を高圧で通過させることで、第3リング10内にキャビテーションを生じさせて、分断された石油の分子2aと分断された水の分子4aとを結合して炭素系燃料9(炭化水素を主成分とした炭素系燃料)を製造するようにしている。
当該炭素系燃料の製造方法1において使用される水4の含有量(容量%)(水4と石油2の混合物における水4の含有量)は、例えば、30〜50等としてもよい。
また、上記した工程A,B,Cの処理を受ける前のいずれかの液体(石油2、水4、混合物8)に、適宜、公知の添加剤を加えるようにしてもよい。このように添加剤を加えることによって、異分子結合工程Cにおける、分断された石油の分子2aと水の分子4a同士の結合反応が促進されると考えられる。
なお、「異分子結合工程C」のように「異分子」という表現を用いているが、これは、互いに異なる分子(分断された分子2a,4a)同士を結合する工程であることを概念的に表現するために、便宜上用いたものである。
【0022】
本実施形態では、複数の第3リング10を備えた異分子結合装置400を用いて、分断された石油の分子2aと分断された水の分子4aとを結合して炭素系燃料9を製造するようにしている。また、パイプ40の一部に設けたポンプ41によって、上記混合物8を第3リング10内に高圧で通過させるようにしている。
混合物8がこの異分子結合工程Cで処理されると、混合物8中に存在する分断された石油の分子2aと分断された水の分子4aとが結合して炭素系燃料9が製造される。具体的には、単一又は複数の分断された石油の分子2a(炭素数が元の石油2の分子よりも小となった分子2a)と、単一又は複数の分断された水の分子4a(水素原子のみ又は酸素原子のみから構成される分子4aや、一部の水素原子や酸素原子を欠いた状態の分子4a等)とが共有結合によって結合し、炭素系燃料9が製造されるものと考えられる。
このように製造された炭素系燃料9における水分含有率は、1%未満となっている。また、この異分子結合工程Cでは、分断された石油の分子2aと分断された水の分子4aとの結合反応の際に反応熱が発生し、反応前よりも約10℃ほど温度が上昇する。
【0023】
次に、当該炭素系燃料の製造方法1(炭素系燃料の製造装置100)に使用されるリング10について説明する。
当該リング10は、液体(石油2、水4、混合物8)が流通するパイプ20,30,40の一部に設置して使用されるものである。
このリング10は、
図2(a)及び(b)に示すように、円筒部11の内部に液体(石油2、水4、混合物8)の流通路16を形成するようにして、円筒部11の内周面から中心に向かって複数の突起部12,13を突出させた構造とされている。この円筒部11内に液体を高圧で通過させることで、円筒部11内にキャビテーションが生じる。
リング10内を通過させる液体の圧力は、1〜10MP程度とすればよく、液体の流速は、150m/min以上とすればよい。この液体の圧力や流速は、効果的なキャビテーションを発生させるために、適宜調整するようにしてもよく、例えば、液体の温度や粘度等に応じて調整するようにしてもよい。
【0024】
本実施形態では、
図2(a)及び(b)に示すように、リング10は、略同寸同形状とされた複数の突起部12(図例では4個)と、複数の突起部13(図例では4個)を有し、突起部13の突出寸法が突起部12よりも大とされている。
また、本実施形態では、リング10の複数の突起部12,13は、それぞれキノコ状の形状とされており、これらの頭部12a,13aのサイズを二種類以上の組み合わせとしている。図例では、頭部12a,13aの形状を略円盤状とし、12aと13aの二種類の頭部を有したリング10を例示している。
【0025】
頭部12a,13aのサイズは、互いの突起部12,13に干渉しない程度とすればよい。また、頭部12a,13aのサイズは、図例のものに限定されず、三種類や四種類等の異なるサイズの頭部を用いるようにしてもよい。
また、リング10の円筒部11の内径は、例えば、10〜50mmとしてもよく、円筒部11の幅寸法(液体の流通方向に沿う寸法)は、例えば、5〜30mmとしてもよい。突起部12,13の突出寸法は、それぞれの突起部12,13が干渉しない寸法とすればよく、例えば、円筒部11の内径の1/10〜1/2程度の寸法としてもよい。
また、リング10としては、酸化アルミニウムやジルコニア等の酸化物系等のセラミックからなるものとしてもよく、または、ステンレス鋼等の金属製のもの、合成樹脂からなるもの等としてもよい。
【0026】
リング10としては、
図2(a)及び(b)に示す形状の突起部12,13を有したものに限られず、
図3(a)及び(b)に示すような形状の突起部14,15を有したリング10Aとしてもよい。
図3(a)及び(b)では、断面視して山形状の突起部14と、円筒状の突起部15とを備えたリング10Aを示している。
なお、突起部はこれらの形状に限定されることはなく、種々の形状のものとすることができる。
【0027】
上記構成とされたリング10の円筒部11内に、液体(石油2、水4)をポンプ21,31によって高圧で通過させると、液体は、円筒部11内の流通路16を進む過程で、突起部12,13に衝突し、この衝突した部位の周囲の液体の圧力が、瞬間的に低下した状態となる。
このように、液体の圧力がごく短時間だけ飽和蒸気圧より低くなると、液体の中に存在する100μm以下の微小な気泡核を核として液体が沸騰したり、溶存気体の遊離が生じたりし、これにより小さな気泡(真空マイクロバブル)が多数生成される。
【0028】
これら真空マイクバブルの周囲の液体の圧力は飽和蒸気圧よりも高いので、周囲の液体が真空マイクロバブルの中心に向かって殺到し、真空マイクロバブルが消滅する瞬間に、殺到した液体が中心で衝突する。これにより、強い圧力波(衝撃波)が発生し、円筒部11内にキャビテーションが生じる。
このキャビテーションによる強い衝撃波が、真空マイクロバブルの周囲を取り囲む液体の分子に作用し、これら分子を構成する原子同士の結合が切断されて、分子が分断されるものと考えられる。つまり、このキャビテーションによって、液体(石油2及び水4)の分子が分断され、分断された石油の分子2aを含んだナノ化された石油3、及び分断された水の分子4aを含んだナノ化された水5が生成されるものと考えられる。
【0029】
また、上記構成とされたリング10の円筒部11内に、分断された水の分子4aと分断された石油の分子2aとの混合物8をポンプ41によって高圧で通過させると、混合物8は、円筒部11内の流通路16を進む過程で、突起部12,13に衝突し、この衝突した部位の周囲の液体の圧力が、瞬間的に低下した状態となる。
これにより、上記と同様に、真空マイクロバブルが混合物8中に多数生成され、これら真空マイクロバブルの消滅時に強い圧力波(衝撃波)が発生し、円筒部11内にキャビテーションが生じる。
このキャビテーションによる強い衝撃波が、真空マイクロバブルの周囲を取り囲む混合物8内の分断された水の分子4a及び分断された石油の分子2aに対して作用する。このキャビテーションの作用と、これら分断された分子2a,4a同士が高圧で衝突する作用とが相俟って、これら分断された分子2a,4a同士が共有結合により結合し、炭素系燃料9が製造されるものと考えられる。このように製造された炭素系燃料9は、後記するように、その構成原子として、水素と炭素に加えて酸素を含んでいるものと考えられる。
【0030】
なお、本実施形態のように、リング10を、二種類以上のサイズの頭部12a,13aを組み合わせた構成とすれば、上記した衝撃波を効率的に発生させることができ、キャビテーションの作用を増幅させることができる。これにより、より効率的に石油2と水4の分子を分断することができるとともに、より効率的にこれら分断された分子2a,4a同士を結合させて炭素系燃料9を製造することができる。
【0031】
本実施形態では、
図5に示すように、石油の微細化装置200、水の微細化装置300、及び異分子結合装置400を、互いに連結、分離が可能とされた複数個のリング10を連結させて構成している。これら複数のリング10を、互いの筒内部が連通するように連結させて、これら装置200,300,400を構成している。
このような構成により、これら装置200,300,400を構成するリング10の連結個数を適宜増減させることで、キャビテーションの発生量を増減させることが可能となる。リング10の連結個数を増やせば、キャビテーションの発生量が増加し、上記した衝撃波の発生領域が増えるので、石油2と水4の分子の分断度合いを高めることができるとともに、これら分断された分子2a,4a同士の結合度合いを高めることができる。一方、リング10の連結個数を減らせば、石油2と水4の分子の分断度合い、及び分断された分子2a,4a同士の結合度合いを低くすることができる。
【0032】
つまり、このようにキャビテーションの発生量を調整することによって、石油2と水4の分子の分断度合い、及び分断された分子2a,4a同士の結合度合いを調整することができる。従って、石油2や水4、混合物8の温度や粘度等によって、石油2と水4の分子の分断度合いや、分断された分子2a,4a同士の結合度合いが変動することがあるが、最適な分断度合い及び結合度合いとすべく、リング10の連結個数を適宜増減させて、キャビテーションの発生量を調整することができる。
【0033】
ポンプ21,31,41としては、液体(石油2、水4、混合物8)を高圧でパイプ20,30,40内を流通させることができるものであればよく、種々の構成とされたものを用いることができる。ポンプ21,31,41としては、例えば、プランジャーポンプやギアポンプ、カスケードポンプ等を用いるようにしてもよい。
また、パイプ20,30,40としては、高圧の液体(石油2、水4、混合物8)の流通に耐え得る構成とされたものであればよく、例えば、鉄や銅等の金属製のものや、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂からなるもの等を用いてもよい。また、パイプ20,30,40の径は、例えば、1〜20mmとしてもよい。
【0034】
次に、当該炭素系燃料の製造方法1(炭素系燃料の製造装置100)によって製造した炭素系燃料9の成分を分析した結果を示す。
分析会社:日鉄住金テクノロジー株式会社
報告書発行日:平成25年5月20日
目的:炭素系燃料についてGC/MS分析(ガスクロマトグラフ質量分析)を行い、その成分を把握する。
試料:2013年3月4日に製造した炭素系燃料。
分析方法:
(試料調整)水とパラフィン系燃料とから炭素系燃料(水の含有量=30(容量%))を製造し、約0.1gの炭素系燃料をアセトンで希釈し、10mLに定容したものを、分析試料とした。
(分析装置)
GC装置(ガスクロマトグラフ装置):HP6890(HP(ヒューレット・パッカード)社製)
カラム=UA−5 28.5m×0.25mm×0.25μm、昇温条件=40℃(5min)→10.0℃/min→150℃→20.0℃/min→320℃(5min)、キャリアガス=He、カラム流量=1.2mL/min、注入口温度=280℃、split20:1
MS装置(質量分析装置):HP5973(HP社製)
マスレンジm/z=29.0〜550.0(スキャン測定)、インターフェイス温度=320℃
分析結果:
GC/MS分析によるクロマトグラム及びピーク成分のマスペクトル検索結果によれば、試料をアセトンで希釈した液からは、飽和炭化水素(C9H20〜C27H56)やカルボン酸エステル(パルミチン酸メチル、オレイン酸メチル)と考えられるピークを強く検出した。
【0035】
考察:
当該炭素系燃料の製造方法1によって、処理前には存在していなかったカルボン酸エステル(パルミチン酸メチル、オレイン酸メチル)が新たに生成されたものと考えられる。これらカルボン酸エステルの生成メカニズムとしては、キャビテーションによって分断された石油2の分子に、分断された水の分子4a由来の酸素が結合することによって、これらカルボン酸エステルが生成されたものと考えられる。
【0036】
次に、当該炭素系燃料の製造方法1(炭素系燃料の製造装置100)によって製造した炭素系燃料9のCHN分析の結果を示す。
測定会社:株式会社ニチユ・テクノ
報告書発行日:2014年2月17日
測定試料:水と石油とから製造した炭素系燃料(水の含有量=40(容量%))
測定結果:
【表1】
考察:
この炭素系燃料には、炭素原子や水素原子の他に、酸素原子が含まれていることが示されている。この炭素系燃料の酸素原子は、水の分子に由来するものであることが示唆される。
【0037】
上記構成とされた第1実施形態に係る炭素系燃料の製造方法1、炭素系燃料の製造装置100、及びキャビテーション発生リング(リング)10によれば、簡易な方法によって、効率的かつ高い精度で石油の分子と水の分子の微細化を行い、石油と水から炭素系燃料を製造することができる。
つまり、リング10は、円筒部11と突起部12,13とを備えた簡易な構造体でありながらも、該リング10内で生じたキャビテーションによって石油2や水4といった液体の分子を分断することができる。
また、当該炭素系燃料の製造方法1、炭素系燃料の製造装置100によれば、このように簡易な構造とされたリング10を用いて、該リング10内で生じたキャビテーションによって石油2の分子と水4の分子を分断し、さらにこれら分断された石油の分子2aと水の分子4aとを結合させて炭素系燃料9を製造することができる。
【0038】
また、このようにキャビテーションによって石油2の分子と水4の分子を分断して炭素系燃料9を製造するものであるので、例えば、石油2や水4に対して、これら液体に共振する周波数の波動を当てて分子の分断を行うようにした場合等と比べて、比較的確実に精度よく分子を分断することができる。また、このように、分子の分断の精度を高めることができるので、結果として、炭素系燃料9の品質が安定化し、収率も向上し、効率的な炭素系燃料9の製造がなされる。
【0039】
また、石油2の分子と水4の分子の分断や、分断された石油の分子2aと水の分子4aとの結合の工程において、高温の熱エネルギーや高圧力の付与等が不要となるので、高温高圧処理のための大掛かりな設備や場所等が不要となり、簡易な方法による炭素系燃料9の製造が可能となる。また、高温の熱エネルギーが不要となるので、石油の代替品を製造するために石油を消費するというような非効率な状況をなくすことができる。
また、炭素系燃料9の製造に水4を使用しているので、従来と比べて燃料を合成する際の製造コストを大幅に削減することができる。また、従来の燃料と比べて、製造された炭素系燃料9中の炭化水素の含有率が低いので、炭素系燃料9の燃焼時に発生する二酸化炭素量を削減することができ、地球温暖化等の環境問題の解決の糸口になり得る。また、現状と比べて、水4の含有量の分だけ、石油の使用量を減らすことができるので、限りある天然資源である石油の有効利用を図ることができる。
【0040】
次に、第2実施形態に係る炭素系燃料の製造方法1Aについて説明する。
本実施形態に係る炭素系燃料の製造方法1Aは、
図1(b)に示すように、水の微細化工程Bにおいて処理される前の水4に多数の気泡7を含ませる気液混合工程Dを備えている。この炭素系燃料の製造方法1Aは、
図6に示すように、気液混合装置22を備えた炭素系燃料の製造装置100Aによって実施される。
この気液混合工程Dでは、
図6に示すように、第1のキャビテーション発生リング10(第1リング)より上流の水4が流通するパイプ30内に気体6を混入して、水4に多数の気泡7を含ませるようにしている。
この気泡7を含んだ水4を第1リング10内に高圧で通過させることで、第1リング10内にキャビテーションが生じ、このキャビテーションの作用によって、水4の分子が分断されるとともに、気泡7がナノサイズに微細化されてナノバブル7aが生成される。
【0041】
図4(a)には、ナノサイズに微細化される前の気泡7を示し、
図4(b)には、ナノバブル7aを示している。気泡7のサイズは、200〜2000μm程度であり、ナノバブル7aのサイズは、100〜500nm程度である。
第1リング10内に生じたキャビテーションによって、水4の中に真空マイクロバブルが生成されるが、この真空マイクロバブルが、水4の中に生成された気泡7に衝突することによって、気泡7が瞬時にナノバブル7aに破壊(微細化)される。
この破壊の際に急激な断熱圧縮反応が起こり、ナノバブル7aの中で超高圧、超高温の極限反応場が形成されるものと考えられる。この極限反応場がナノバブル7aの周囲の水4に作用することによって、水4の分子が効率的に分断されるようになると考えられる。
【0042】
また、本実施形態では、
図1(b)に示すように、炭素系燃料の製造方法1Aは、異分子結合工程Cにおいて分断された石油の分子2aと分断された水の分子4aとが結合して生じた生成物の分子結合を安定化させる安定化工程Eを、さらに備えている。
この安定化工程Eでは、
図6に示すように、前記生成物を磁気ミキサー43内に通過させて、生成物の分子結合を安定化させるようにしている。
生成物を磁気ミキサー43内に通過させると、生成物にマイナスイオンが付与される。これにより、マイナスイオン同士の反発作用によって、生成物同士がくっつき難くなる。
なお、磁気ミキサー43としては、生成物に対してマイナスイオンを付与することのできるものであればよく、種々の構成とされたものを用いることができる。
【0043】
上記構成とされた第2実施形態に係る炭素系燃料の製造方法1Aでは、水の微細化工程Bにおいて処理される前の水4に多数の気泡7を含ませる気液混合工程Dを備えている。
従って、キャビテーションによって水4の中に生じた真空マイクロバブルが、気泡7に衝突して、気泡7を瞬時にナノバブル7aに破壊し、これにより急激な断熱圧縮現象が生じるので、ナノバブル7aの周囲の水4の分子が効率的に分断される。
また、本実施形態では、炭素系燃料の製造方法1Aは、分断された石油の分子2aと分断された水の分子4aとが結合して生じた生成物の分子結合を安定化させる安定化工程Eを、さらに備えている。
従って、この安定化工程Eにおいて、生成物を磁気ミキサー43内に通過させることによって、生成物にマイナスイオンが付与され、これにより、生成物同士がくっつき難くなり、これらが結合することを抑制することができる。これにより、生成物の分子結合が安定化するので、炭素系燃料9の品質を安定させることができる。
なお、上記第2実施形態に係る炭素系燃料の製造方法1Aでは、気液混合工程Dと安定化工程Eとを備えた例を示しているが、これらの工程D,Eのいずれか一方を備えたものとしてもよい。