特許第5719094号(P5719094)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5719094
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】2ピース包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/64 20060101AFI20150423BHJP
   B65D 5/68 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   B65D5/64 H
   B65D5/68
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-502977(P2015-502977)
(86)(22)【出願日】2014年9月30日
(86)【国際出願番号】JP2014076006
【審査請求日】2015年1月15日
(31)【優先権主張番号】特願2013-230112(P2013-230112)
(32)【優先日】2013年11月6日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】半田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】永長 朗
【審査官】 高橋 裕一
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/64
B65D 5/20
B65D 5/52
B65D 5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収納するトレイ(1)と、これに被せるカバー(2)とから成り、トレイ(1)は、底壁(10)の周囲に各一対の側壁(11)及び端壁(12)を備え、カバー(2)は、天壁(20)の周囲に各一対の側壁(21)及び端壁(22)を備えたものとし、トレイ(1)とカバー(2)とを、梱包作業時に側壁(11,21)及び端壁(12,22)が対応するように固定し、開梱時に分離する手段を備えた2ピース包装箱において、
前記トレイ(1)の側壁(11)と端壁(12)がなす稜部に、側壁(11)の延長部として外側へ突出する突起(13)を形成し、前記カバー(2)の側壁(21)と端壁(22)がなす稜部に、端壁(22)に及んで開口する抜窓部(26)を設け、一対の側壁(21)の天壁(20)に連なる部材に、下端中間部から天壁(20)側の両角部へかけて切目線(25)を入れ、
トレイ(1)にカバー(2)を被せると、突起(13)が抜窓部(26)に係合して、トレイ(1)とカバー(2)とが固定され、
カバー(2)の側壁(21)に入れた切目線(25)を切断し、一対の端壁(22)を天壁(20)との境界を軸として下部の間隔が広がるように揺動させると、カバー(2)が解体され、突起(13)が抜窓部(26)から引き抜かれて、トレイ(1)とカバー(2)とが分離するようにしたことを特徴とする2ピース包装箱。
【請求項2】
請求項1に記載の2ピース包装箱において、前記カバー(2)は、天壁(20)から延びる一対の端壁(22)の側端に側フラップ(23)を連設し、側フラップ(23)を突合方向へ折り曲げ、天壁(20)から延びる側板(24)を側フラップ(23)に重ねて、側フラップ(23)同士を固定することにより側壁(21)を形成し、端壁(22)と側フラップ(23)の稜部に抜窓部(26)を設け、側板(24)に切目線(25)を入れたものとし、
側板(24)の切目線(25)の切断に伴い、側フラップ(23)同士の固定が解除されて、カバー(2)が解体されるようにしたことを特徴とする2ピース包装箱。
【請求項3】
請求項1に記載の2ピース包装箱において、前記カバー(2)は、各一対の側壁(21)及び端壁(22)を周方向に連設し、側壁(21)の上端から延びる天板(20a)の接合により天壁(20)を形成するものとしたことを特徴とする2ピース包装箱。
【請求項4】
請求項3に記載の2ピース包装箱において、前記カバー(2)の一方の端壁(22)は、高さ方向の寸法を長く設定し、他方の端壁(22)は、一方の端壁(22)よりも下端が切れ上がるように、高さ方向の寸法を短く設定したことを特徴とする2ピース包装箱。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の2ピース包装箱において、前記トレイ(1)の対向面から反対方向へ突出する突起(13)を、集積時の干渉回避のため、異なる高さに配置し、これに対応して、カバー(2)の対向位置にある抜窓部(26)を、異なる高さに配置したことを特徴とする2ピース包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トレイとカバーとから成り、その固定・分離手段を備えた2ピース包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1には、図14に示すように、物品の輸送及び陳列に兼用できる段ボール製の包装箱として、底部を収納するトレイ51と、これに被せるカバー52とから成り、トレイ51とカバー52とを、梱包作業時に固定し、開梱時に分離する手段を備えたものが記載されている。
【0003】
この包装箱において、トレイ51は、底壁61の周囲に隣り合う側壁62及び端壁63を備えたものとされ、側壁62及び端壁63の下部には、底壁61との境界の横方向の稜部に沿ってスリット64が設けられている。
【0004】
また、カバー52は、隣り合う側壁71及び端壁72並びに天壁73を備えたものとされ、側壁71及び端壁72の中間部には、コ字状の切込により取手穴74が穿設され、側壁71及び端壁72の下端部には、それぞれ2本の切込間の部分及びその延長部分から成る差込片75が設けられている。差込片75には、横方向の折目線75aが入れられ、その中間部に弧状の切込による摘み部75bが設けられている。
【0005】
そして、この包装箱を使用して物品を輸送用に梱包する際には、トレイ51の内部に設置した発泡スチロール製の緩衝材65により物品を支持し、トレイ51の外周にカバー52の下部を嵌め、差込片75を折目線75aに沿って折り曲げつつ、差込片75の折目線75aより先端側の部分をスリット64に差し込み、トレイ51とカバー52とを固定する。
【0006】
一方、店頭での物品の陳列に際しては、梱包時に突出した摘み部75bを摘まんで、差込片75をスリット64から引き抜くことにより、トレイ51とカバー52とを分離し、トレイ51からカバー52を除去して、物品をトレイ51から露出させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭55−139019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のような2ピース包装箱では、梱包作業に際し、トレイ51の内部で物品がスリット64の近傍に達していると、差込片75をスリット64に差し込みにくくなるという問題があるほか、輸送時に、差込片75がスリット64から不意に抜けて、トレイ51とカバー52とが分離してしまうおそれがある。
【0009】
また、例えば、トレイとカバーとを接着剤で貼り付けておき、開梱に際し、トレイに入れた切目線を切断して、接着部を切り取り、トレイとカバーとを分離できるようにした2ピース包装箱も知られているが、このような包装箱では、開梱時における接着部の切取作業に比較的大きな力を要するという問題がある。
【0010】
そこで、この発明は、2ピース包装箱のトレイとカバーとを容易かつ確実に固定できるようにすると共に、容易に分離できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、この発明は、内容物を収納するトレイと、これに被せるカバーとから成り、トレイは、底壁の周囲に各一対の側壁及び端壁を備え、カバーは、天壁の周囲に各一対の側壁及び端壁を備えたものとし、トレイとカバーとを、梱包作業時に側壁及び端壁が対応するように固定し、開梱時に分離する手段を備えた2ピース包装箱において、前記トレイの側壁と端壁がなす稜部に、側壁の延長部として外側へ突出する突起を形成し、前記カバーの側壁と端壁がなす稜部に、端壁に及んで開口する抜窓部を設け、一対の側壁の天壁に連なる部材に、下端中間部から天壁側の両角部へかけて切目線を入れ、トレイにカバーを被せると、突起が抜窓部に係合して、トレイとカバーとが固定され、カバーの側壁に入れた切目線を切断し、一対の端壁を天壁との境界を軸として下部の間隔が広がるように揺動させると、カバーが解体され、突起が抜窓部から引き抜かれて、トレイとカバーとが分離するようにし、この基本的構成に基づいて、箱の形式に応じた具体的形態を提案することとしたのである。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る2ピース包装箱では、梱包作業に伴い、トレイにカバーを被せる工程において、トレイの突起がカバーの抜窓部に係合するので、トレイとカバーとを容易に固定することができる。
【0013】
そして、突起と抜窓部との係合により、トレイとカバーとが確実に固定されるので、物流過程での取り扱い等に際し、トレイからカバーが外れるようなことがなく、梱包した内容物が保護される。
【0014】
また、トレイとカバーとを接着することなく固定するので、開梱時に接着部を剥がしたり、切り取ったりする必要がなく、容易に開梱することができる。
【0015】
さらに、カバーの側壁の切目線を切断して開梱すると、トレイとカバーとが分離すると同時に、カバーが解体されるので、接着部を剥がしたりすることなく、カバーを嵩張らない状態として廃棄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明の第1実施形態に係る2ピース包装箱のブランクを示す図
図2】同上のトレイにカバーを被せる梱包過程を示す斜視図
図3】同上の梱包状態を示す斜視図
図4】同上の開梱過程を示す斜視図
図5】同上のトレイの陳列状態を示す斜視図
図6】同上の梱包状態の包装箱を前後に並べて集積した側面図
図7】この発明の第2実施形態に係る2ピース包装箱のブランクを示す図
図8】同上のトレイにカバーを被せる梱包過程を示す斜視図
図9】同上の突起を抜窓部に係合させる過程を示す側面図
図10】同上の梱包状態を示す斜視図
図11】同上の開梱過程を示す斜視図
図12】同上の開梱過程を示す斜視図
図13】同上のトレイの陳列状態を示す斜視図
図14】従来の2ピース包装箱のトレイにカバーを被せる梱包過程を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、この発明の第1実施形態を図1図6に基づいて説明する。
【0018】
この実施形態に係る2ピース包装箱は、包装機械により組み立てられるものであり、図1に示すトレイ1とカバー2のブランクから構成される。トレイ1及びカバー2は、厚さ約2mmの段ボールを材料とする。
【0019】
トレイ1のブランクでは、底壁10の一方の対向する端辺に側壁11が連設され、底壁10の他方の対向する端辺に端壁12が連設されている。
【0020】
側壁11には、前後の端壁12との稜部をなす両側端に、先端側が少し窄まった台形状の突起13が形成され、側壁11の前端側と後端側の突起13は、集積状態での干渉を回避するため、その縦寸法以上、高さ方向の位置がずらされている。
【0021】
端壁12の両側端には、継代となる側フラップ12aが連設され、端壁12と側フラップ12aの境界には、解体時の切断用として、鉤状の切目が断続するジッパ型の切目線12bが入れられている。
【0022】
また、側壁11の上端となる端辺部分には、先端縁が波状となった倒止片11aが設けられ、前方となる端壁12には、繋部を有する切目線を入れて、陳列時に訴求力を高めるための告知板12cが形成されている。
【0023】
一方、カバー2のブランクでは、天壁20の一方の対向する端辺に側壁21の構成要素となる側板24が、他方の対向する端辺に端壁22がそれぞれ連設され、端壁22の両側端には、側壁21の構成要素となる側フラップ23が連設されている。
【0024】
側板24には、梱包状態で下端となる先端縁の中間部から天壁20側の両角部へかけてV字状をなすように、鉤状の切目が断続するジッパ型の切目線25が入れられ、その切始部25aが側板24の先端側中央部に設けられている。
【0025】
端壁22と側フラップ23の稜部には、抜窓部26が設けられている。抜窓部26の端壁22に位置する部分は、側フラップ23との稜線の位置から段ボール1枚分の厚さより少し大きく均一に切り込まれ、抜窓部26の側フラップ23に位置する部分は、突起13の差し込みを誘導するため、V字状に切り込まれている。
【0026】
なお、梱包状態で前方となる抜窓部26と後方となる抜窓部26とは、トレイ1の突起13に対応して、高さ方向の位置が異なっている。
【0027】
上記のようなブランクを組み立てて商品を梱包する際には、図2に示すように、まず、トレイ1の底壁10から各一対の側壁11及び端壁12を起立させ、側フラップ12aを内側へ折り曲げて、側壁11の内面に貼り付け、突起13が前後の端壁12より外側へ突出した状態とし、トレイ1の内部に商品Gを並べて収納する。
【0028】
次に、カバー2の天壁20を商品Gの上方に位置させて、トレイ1の端壁12とカバー2の端壁22の向きを合わせた状態で、天壁20から端壁22を下方へ折り曲げ、一対の端壁22から側フラップ23を突き合わせる方向へ折り曲げて、図3に示すように、側フラップ23の先端縁同士を当接させる。
【0029】
このように、トレイ1にカバー2を外周方向から被せると、突起13が抜窓部26に係合し、トレイ1からカバー2を上方へ引き抜くことができなくなる。
【0030】
そして、天壁20から一対の側板24を下方へ折り曲げて、切目線25の外側で、側板24を側フラップ23の表面にホットメルト接着剤等で貼り合わせ、側壁21を形成すると、側壁11,21及び端壁12,22が対応した状態で、トレイ1とカバー2とが完全に固定され、包装箱の組み立てが完了する。
【0031】
一方、この包装箱を開梱する際には、図4に示すように、側板24の切始部25aを摘んで引き上げることにより、切目線25を切断すると、対向する側フラップ23同士の固定が解除されて、一対の端壁22を、天壁20との境界を軸として下部の間隔が開くように外側へ揺動させることができ、この揺動に伴い、突起13が抜窓部26から引き抜かれて、トレイ1とカバー2とが分離する。
【0032】
そして、トレイ1からカバー2を除去すると、図5に示すように、商品Gをトレイ1から露出させて陳列することができる。このとき、前方の端壁12に連設して二つ折りにした告知板12cを手前に迫り出させることにより、訴求力を高めることができる。
【0033】
また、倒止片11aを内側へ折り曲げておくと、商品Gが前方のものから取り出されても、その先端の波状部により、トレイ1に残存した商品Gの前倒れが防止される。
【0034】
そのほか、この包装箱は、図6に示すように、輸送過程において、梱包状態で前後に並べて集積する際、前後に突出する突起13を異なる高さに配置しているため、隣り合う一方の包装箱の突起13を他方の包装箱の外側面に沿わせるようにして、突起13同士の干渉を回避することができ、包装箱を隙間なく集積することができる。
【0035】
なお、上記第1実施形態では、側壁21の形成に際し、側フラップ23と側板24とを接着剤で貼り合わせて固定するものを示したが、例えば、側板24の両側端に連設した差込片を折り曲げて、側フラップ23の端壁22との境界沿いに設けた差込穴に差し込むことにより、側面を閉止状態に保持するようにしてもよい。
【0036】
次に、この発明の第2実施形態を図7図13に基づいて説明する。
【0037】
この実施形態に係る2ピース包装箱は、手作業により組み立てられるものであり、図7に示すトレイ1とカバー2のブランクから構成される。トレイ1及びカバー2は、厚さ約2mmの段ボールを材料とする。
【0038】
トレイ1のブランクでは、各一対の側壁11及び端壁12が交互に連設され、両側を側壁11に挟まれた前方となる端壁12は、陳列時に商品のフェイス面の露出面積を大きく確保するため、高さが低く設定され、後方となる端壁12の外側縁には、継代片14が連設されている。
【0039】
側壁11及び端壁12の下端には、底壁10を構成する底板10a,10bがそれぞれ連設されている。底板10bには、折り返して糊貼りするため、側部に斜め方向の折目線が入れられ、底板10aには、組立時に隣り合う端壁12との干渉を回避するため、側部に斜め方向の折目線が入れられている。
【0040】
側壁11の両側端には、端壁12への切込等により、それぞれ突起13が形成され、側壁11の両側の突起13は、集積状態での干渉を回避すると共に、カバー2を被せやすくするため、前方のものが低くなるように、高さ方向の位置がずらされている。側壁11の上端となる端辺部分には、先端縁が波状となった倒止片11aが設けられている。
【0041】
一方、カバー2のブランクでは、各一対の側壁21及び端壁22が交互に連設され、一方の端壁22の外側縁には、継代片27が連設されている。側壁21及び端壁22の上端には、天壁20を構成する天板20a,20bがそれぞれ連設されている。
【0042】
前方となる端壁22は、下端がトレイ1の下部に達するように、高さ方向の寸法が長く設定され、後方となる端壁22は、前方となる端壁22よりも下端が切れ上がるように、高さ方向の寸法が短く設定されている。
【0043】
側壁21には、高さ方向及び幅方向の中央部に穿設された指入穴28から天板20a側の両角部へかけてV字状をなすように、鉤状の切目が断続するジッパ型の切目線25が入れられ、その切始部25aが指入穴28に臨んで設けられている。また、指入穴28から下端中央部へかけて、縦方向へ延びるジッパ型の切目線25が入れられている。下端へ至る切目線25は、2本平行に入れて、その間を引っ張って切り取る切裂帯としてもよく、側壁21の幅方向中央からずれた位置に入れてもよい。
【0044】
側壁21と端壁22の稜部及び側壁21と継代片27の稜部には、抜窓部26が設けられ、継代片27の反対側の端壁22の外側縁は、継代片27の抜窓部26に対応して切り欠かれている。抜窓部26の端壁22に位置する部分及び継代片27に位置する部分は、側壁21との稜線の位置から段ボール1枚分の厚さより少し大きく均一に切り込まれ、抜窓部26の側壁21に位置する部分は、突起13の差し込みを誘導するため、V字状に切り込まれている。
【0045】
なお、梱包状態で前方となる抜窓部26と後方となる抜窓部26とは、トレイ1の突起13に対応して、高さ方向の位置が異なっている。
【0046】
上記のようなトレイ1及びカバー2のブランクは、周壁の対角位置となる側壁11,21と端壁12,22の境界の罫線に沿って折り曲げ、継代片14,27を反対側の端部に貼り付け、トレイ1の底板10a,10bを上方へ折り曲げ、底板10bの折返部を底板10aに貼り合わせた偏平な折畳状態とされ、商品を包装する事業者へ供給される。
【0047】
そして、この2ピース包装箱を組み立てて商品を梱包する際には、図8に示すように、トレイ1の各一対の側壁11及び端壁12が角筒状となるように立体化して、突起13が前後の端壁12より外側へ突出した状態とし、底板10a,10bから成る底壁10が平坦となるようにして、トレイ1の内部に商品Gを並べて収納する。
【0048】
次に、カバー2の各一対の側壁21及び端壁22が角筒状となるように立体化して、側壁11,21及び端壁12,22を対応させた状態で、商品Gの上方からトレイ1にカバー2を被せる。
【0049】
このとき、図9に示すように、カバー2の後方となる端壁22の高さ方向の寸法が短くなっていることを利用して、トレイ1に対してカバー2を後方へ傾けると、突起13がカバー2の下端に引っ掛かることがない。
【0050】
このように、トレイ1にカバー2を被せると、図10に示すように、突起13が抜窓部26に係合し、トレイ1からカバー2を上方へ引き抜くことができなくなり、トレイ1とカバー2とが固定される。
【0051】
その後、端壁22から天板20bを折り曲げ、側壁21から天板20aを折り曲げて、天板20a,20bを重ね合わせた状態で、天板20a同士の突合部から端壁22の上部へかけてテープTを貼り付けることにより封緘する。
【0052】
一方、この包装箱を開梱する際には、指入穴28に指を入れ、図11に示すように、側壁21の切始部25aを摘んで引き上げることにより、天板20a側の両角部へかけてV字状をなす切目線25を切断すると共に、側壁21を手前に引っ張って、側壁21の下端中央部へ向かう切目線25を切断する。
【0053】
これにより、図12に示すように、側壁21が天板20aに連なる部分と、一対の端壁22に連なる部分とに3分割され、一対の端壁22を、天壁20との境界を軸として下部の間隔が開くように外側へ揺動させることができ、この揺動に伴い、突起13が抜窓部26から引き抜かれて、トレイ1とカバー2とが分離する。
【0054】
そして、トレイ1からカバー2を除去すると、図13に示すように、商品Gをトレイ1から露出させて陳列することができる。このとき、倒止片11aを内側へ折り曲げておくと、商品Gが前方のものから取り出されても、その先端の波状部により、トレイ1に残存した商品Gの前倒れが防止される。
【0055】
なお、この第2実施形態では、図10に示すように、カバー2において、天壁20が各一対の天板20a,20bを平面的に重ね合わせて形成されるものを例示したが、天壁20は、一対の側壁21の上端に連なる天板20aを構成要素として形成されるものであれば、その構造は限定されるものではなく、例えば、一対の天板20aの先端部同士が上方へ折り曲げられて接合され、取手部をなすようなものとしてもよい。
【0056】
また、トレイ1として、各一対の側壁11及び端壁12が周方向に連なり、底壁10がワンタッチ組立式となったものを例示したが、トレイ1は、このような形式に限定されることはなく、例えば、上記第1実施形態で示した形式のトレイ1と上述のカバー2とを組み合わせるようにしてもよい。
【0057】
上記のように構成した第1及び第2実施形態に係る2ピース包装箱では、梱包状態において、突起13と抜窓部26との係合が安定して維持され、トレイ1とカバー2とが確実に固定されるので、物流過程での取り扱い等に際し、トレイ1からカバー2が不意に外れるようなことがない。
【0058】
また、抜窓部26の隙間が突起13により隠されるので、箱内への塵埃の侵入も防止され、梱包した商品Gが保護される。
【0059】
そして、トレイ1とカバー2とを接着することなく、突起13と抜窓部26との係合により固定するので、開梱時に接着部を剥がしたり、切り取ったりする必要がなく、容易に開梱することができ、陳列に供するトレイ1の外観も美しく保たれる。
【0060】
また、カバー2の側壁21の切目線25を切断して開梱すると、トレイ1とカバー2とが分離すると同時に、カバー2が解体されるので、接着部を剥がしたりすることなく、カバー2を嵩張らない偏平状態として廃棄することができる。また、トレイ1は、第1実施形態では、切目線12bを切断して偏平状態とし、第2実施形態では、組み立て前の折畳状態に戻すことにより、偏平状態として廃棄することができる。
【0061】
なお、上記第1及び第2実施形態では、包装箱の4箇所全ての縦方向の稜部において、突起13が抜窓部26に係合して、トレイ1とカバー2とが固定されるものを示したが、この係合による固定手段は、トレイ1とカバー2の形状や嵌合構造に応じて、少なくとも1箇所の縦方向の稜部に設ければよい。
【0062】
また、トレイ1とカバー2の材料として、段ボールを使用したものを例示したが、例えば、トレイ1の材料として、コートボール紙を使用する等、それぞれの材料には種々のものを使用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 トレイ
2 カバー
10 底壁
10a,10b 底板
11 側壁
11a 倒止片
12 端壁
12a 側フラップ
12b 切目線
12c 告知板
13 突起
14 継代片
20 天壁
20a,20b 天板
21 側壁
22 端壁
23 側フラップ
24 側板
25 切目線
25a 切始部
26 抜窓部
27 継代片
28 指入穴
G 商品
T テープ
【要約】
トレイ(1)の側壁(11)と端壁(12)がなす稜部に外側へ突出する突起(13)を形成し、カバー(2)の側壁(21)と端壁(22)がなす稜部に抜窓部(26)を設け、カバー(2)の天壁(20)に連なる側壁(21)の部材に、下端中間部から天壁(20)側の両角部へかけて切目線(25)を入れ、トレイ(1)にカバー(2)を被せると、突起(13)が抜窓部(26)に係合して、トレイ(1)とカバー(2)とが固定され、切目線(25)を切断するとカバー(2)が解体されて、トレイ(1)とカバー(2)とが分離し、トレイ(1)からカバー(2)を除去できるようにした2ピース包装箱である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図12
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図14