(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
発光素子から出射された光の出射方向を制御する光制御出射面と、前記光制御出射面に対向し、底部を形成する裏面と、前記裏面から前記光制御出射面とは反対側に向かって突出するように形成される脚部とを有する光束制御部材であって、
前記脚部は、
前記裏面における形成領域の大部分が、出射光束の中心における光の進行方向である基準光軸に平行な光束を前記光制御出射面全面から前記光束制御部材に入射光束として入射させた場合に、前記光制御出射面から直接前記裏面に到達する前記入射光束が存在しない死角領域に形成され、
前記光制御出射面の最外縁部の任意の点から前記裏面におろした垂線の足と前記基準光軸との距離を半径とし、かつ前記基準光軸上にその中心が位置する前記裏面上の仮想円の内側に、前記仮想円の外縁から下記式で与えられるエリア幅Lの範囲内で設置される、
光束制御部材。
L=t×tan(α−β)
t:前記最外縁部の前記裏面上の前記垂線の足からの距離
α:前記基準光軸に平行な光の前記最外縁部における前記光制御出射面への入射角
β:前記基準光軸に平行な光が前記最外縁部に入射して生成する屈折光の、前記光制御出射面からの出射角
【背景技術】
【0002】
従来から、パーソナルコンピュータやテレビジョン等に使用される液晶表示モニタの照明手段として、複数の発光ダイオード(LED)を点光源として使用した面光源装置が知られている。
【0003】
面光源装置は、液晶表示モニタの液晶表示パネルとほぼ同形状の板状の拡散部材の裏面側に複数のLEDをマトリックス状に配置する。面光源装置は、LEDからの光を拡散部材の裏面側から拡散部材の内部に入射させ、拡散部材の内部に入射した光を拡散部材の裏面に対向する出射面から出射させる。出射光によって液晶表示パネルを背面側から面状に照明することができる。
【0004】
このLEDにレンズ体を組み合わせ、LEDからの光をレンズ体を介して出射方向を制御する発光装置が知られている。このような発光装置においては、レンズ体をLEDに対して位置合わせするための構成が必要となる。
【0005】
特許文献1には、レンズ部と、レンズ部をLEDに位置合わせする弾性材料からなる位置合わせ部とからなるレンズ体が記載されている。この位置合わせ部にはLED基板との嵌合部が形成されている。特許文献1記載のレンズ体は、弾性材料を位置合わせ部に用いることによって、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)材料等でレンズ部と位置合わせ部とを一体に形成した場合と比較し、嵌合部への応力集中によるレンズ体の破壊を解決し、レンズ体の製造と位置合わせを容易にしようとする。
【0006】
また、特許文献2には、発光素子(LED)からの光を光束制御部材を介して出射方向を制御する発光装置が開示されている。この特許文献2では、光束制御部材のLED基板への固定方法については言及していない。
【0007】
図1は、特許文献2に開示された従来の表示装置を構成する面光源装置の平面図であり、液晶表示パネル等の被照明部材を取り外して示す。
図2は、
図1のX1−X1線に沿って切断して示す表示装置の断面図である。
【0008】
図1に示すように、面光源装置1は、液晶表示パネル等の被照明部材の背面に配置され、被照明部材とほぼ同形状の板状の光拡散部材2と、光拡散部材2の裏面側にほぼ等間隔のピッチPで複数配置された点光源としての発光素子3と、発光素子3からの光の出射を制御する光束制御部材4とを備える。
【0009】
上記発光素子3及び光束制御部材4は、発光装置5を構成する。
【0010】
図2に示すように、表示装置6は、面光源装置1と、光拡散部材2の出射面8(裏面9と反対側の面)側に配置された被照明部材7とから構成される。
【0011】
光拡散部材2は、光透過性に優れたPMMA(ポリメタクリル酸メチル)やPC(ポリカーボネート)等の樹脂材料によってシート状あるいは平板形状に形成される。光拡散部材2は、液晶表示パネル,広告表示パネル,標識表示パネル等の被照明部材の平面形状とほぼ同様の大きさに形成される。
【0012】
光拡散部材2は、表面に微細な凹凸(プリズム状突起、エンボス加工やビーズコートによる拡散処理で形成される凹凸)を形成するか、又は内部に拡散材を混入させる。
【0013】
光拡散部材2は、光束制御部材4の光制御出射面11から出射した光を透過しながら拡散し、被照明部材に照射される光を均一化する。
【0014】
発光素子3は、例えばLEDである。発光素子3は、光拡散部材2の裏面側にマトリックス状に配置される。
【0015】
光束制御部材4は、発光素子3からの光の出射を制御する拡散レンズであり、例えば非球面レンズである。光束制御部材4は、例えば、PMMA(ポリメタクリル酸メチル),PC(ポリカーボネート),EP(エポキシ樹脂)等の透明樹脂材料、又は透明なガラスにより形成される。
【0016】
光束制御部材4は、発光素子3からの光の出射を制御する平面形状が略円形形状の光制御出射面11と、発光素子3からの光のうち基準光軸方向に出射する光を含む主光線を内部へ入射させる凹み13と、この凹み13の開口縁部から径方向に延在し、基準光軸に対して大きな角度で発光素子3から出射する副光線を内部へ入射させる裏面12と、光制御出射面11の径方向外方側に突出する略円環状の鍔部上面14aと、鍔部上面14aの外側縁部と裏面12の外側縁部とを繋ぐ鍔部側面14bと、光束制御部材4を基板17に位置決めした状態で取り付ける丸棒状の脚部15とを備える。裏面12と鍔部上面14aと鍔部側面14bと鍔部上面14aの内側縁部を通り裏面12に対して直交する仮想面(鍔部14の内周面)とによって囲われた部分を鍔部14とし、裏面12の鍔部14領域を鍔部下面14cとする。
【0017】
光制御出射面11は、鍔部上面14aよりも上方(光拡散部材2側)へ向けて突出する。
【0018】
脚部15は、光束制御部材4の所定位置配置及び高さ固定のための脚であり、鍔部下面14cに等間隔で3個形成されている。脚部15は、光束制御部材4を基板17の表面17aに位置決めした状態で接着剤16(後述する
図3(b)参照)により接着される。
【0019】
光束制御部材4に脚部15を同一材料で一体に形成し、脚部15を基板17に固定することを考える。
【0020】
光束制御部材4を基板17に取り付けた際に、発光素子3の発光面と光束制御部材4の裏面12との間に隙間εが形成される。隙間εの形成理由は様々であるが、凹み13に発光素子3が収容されるように光束制御部材4を基板17上へ載置した状態において、隙間εによって発光素子3から発する熱を放熱する目的が一例として挙げられる。
【0021】
図3は、光束制御部材4の脚部15を基板17の表面17aに接着した場合の影響を説明する図であり、
図3(a)は上方から見た光束制御部材4の平面図、
図3(b)は
図3(a)の脚部15の拡大図である。
【0022】
図3(a)に示すように、脚部15は、鍔部下面14c(
図2参照)に等間隔で3個形成され、基板17の表面17aに接着剤16(
図3(b)参照)により接着される。
【0023】
接着剤16は、熱硬化樹脂などからなり、熱により樹脂を硬化させて脚部15を基板17上に固定する。本用途において、所定の温度で硬化し十分な接着強度が得られる熱硬化性接着剤として、黒色のものが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
しかしながら、特許文献1に開示されたレンズ体は、レンズ部と位置合わせ部とが異種材料で形成されているため、レンズ体のコストが高くなる。
【0026】
また、特許文献2に開示された光束制御部材4の鍔部14に脚部15を形成し、黒色の接着剤16で基板17に実装した場合、接着剤16の部分で光が吸収され、光束制御部材4の表示面に影響を与えることがある。
図3(a)に示すように、上面から見た場合、脚部15の位置が光拡散部材2(
図2)に映り込み、輝度均一性にムラができる。
図2に示すように、多くの光束制御部材4が並ぶと、上記輝度均一性のムラによって、光拡散部材2(
図2)にうっすらとした暗線が現われる。輝度均一性のムラは、均一な面状照明の妨げとなり、照明品質を低下させる。
【0027】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、光束制御部分と位置合わせ部分(脚部)とを一体に形成し、光を吸収する特性を有する接着剤を用いて脚部を基板に接着した場合においても、輝度均一性の高い被照射面を得ることができる光束制御部材、発光装置、面光源装置、及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明の光束制御部材は、発光素子から出射された光の出射方向を制御する光制御出射面と、前記光制御出射面に対向し、底部を形成する裏面と、前記裏面から前記光制御出射面とは反対側に向かって突出するように形成される脚部とを有する光束制御部材であって、前記脚部は、前記裏面における形成領域の大部分が、出射光束の中心における光の進行方向である基準光軸に平行な光束を前記光制御出射面全面から前記光束制御部材に入射光束として入射させた場合に、前記光制御出射面から直接前記裏面に到達する前記入射光束が存在しない死角領域に形成される構成を採る。
【0029】
本発明の発光装置は、基板上に配列され、光を出射する発光素子と、前記発光素子から出射された光の出射方向を制御する光制御出射面と、前記光制御出射面に対向し、底部を形成する裏面と、前記裏面に設置される脚部とを有する光束制御部材とを備え、前記脚部は、前記光制御出射面の最外縁部の任意の点から前記裏面におろした垂線の足と基準光軸との距離を半径とする前記裏面上の仮想円の内側に、下記式で与えられるエリア幅Lの範囲内で設置される構成を採る。
L=t×tan(α−β)
t: 前記最外縁部の前記裏面上の前記垂線の足からの距離
α:前記基準光軸に平行な光の前記最外縁部における前記光制御出射面への入射角
β:前記基準光軸に平行な光が前記最外縁部に入射して生成する屈折光の、前記光制御出射面からの出射角
【0030】
本発明の発光装置は、基板上に配列され、光を出射する発光素子と、前記発光素子から出射された光の出射方向を制御する光制御出射面と、前記光制御出射面に対向し、底部を形成する裏面と、前記光制御出射面の径方向外方側に突出する略円環状の鍔部と、前記鍔部を含む前記裏面に設置される脚部とを有する光束制御部材とを備え、前記鍔部は、前記脚部と対向する前記光制御出射面に凹形状の溝を備える構成を採る。
【0031】
本発明の発光装置は、基板上に配列され、光を出射する発光素子と、前記発光素子から出射された光の出射方向を制御する光制御出射面と、前記光制御出射面に対向し、底部を形成する裏面と、前記光制御出射面の径方向外方側に突出する略円環状の鍔部と、前記鍔部を含む前記裏面に設置される脚部とを有する光束制御部材とを備え、前記脚部は、前記光制御出射面側から入射された光を再帰反射する再帰反射構造を備える構成を採る。
【0032】
本発明の面光源装置は、上記光束制御部材又は上記発光装置と、前記発光装置からの光を拡散・透過する光拡散部材と、を備える構成を採る。
【0033】
本発明の表示装置は、上記面光源装置と、前記面光源装置からの光を照射する被照明部材と、を備える構成を採る。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、光束制御部材を基板に実装した場合に、接着剤の部分において光が吸収されたとしても、エリア幅Lのリング状エリアに設置された脚部及び接着剤は、光束制御部材の真上からは見えず、光束制御部材の表示面に影響を与える不具合を防止することができ、脚部接着に起因する輝度均一性のムラの発生を防止することができる。その結果、光束制御部材の照明光を均一にすることができ、高品位な照明品質を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0037】
(実施の形態1)
図4は、本発明の実施の形態1に係る光束制御部材の詳細な構成を示す図である。本実施の形態の光束制御部材は、
図1の面光源装置1及び液晶表示パネルに適用することができる。本実施の形態に係る光束制御部材100は、
図1乃至
図3の光束制御部材4に代えて用いられる。また、基準光軸とは、光束制御部材100からの立体的な出射光束の中心における光の進行方向をいう。本実施の形態では、発光素子3の光軸と基準光軸が一致している場合を例に説明する。
【0038】
光束制御部材100は、発光素子3からの光の出射を制御する拡散レンズであり、例えば非球面レンズである。光束制御部材100は、例えば、PMMA(ポリメタクリル酸メチル),PC(ポリカーボネート),EP(エポキシ樹脂)等の透明樹脂材料、又は透明なガラスにより形成される。
【0039】
光束制御部材100は、発光素子3からの光の出射を制御する平面形状が略円形形状の光制御出射面110と、発光素子3からのうち基準光軸方向に出射する光を含む主光線を内部へ入射させる凹み130と、この凹み130の開口縁部から径方向に延在し、基準光軸に対して大きな角度で発光素子3から出射する副光線を内部へ入射させる裏面(底部)120と、光制御出射面110の径方向外方側に突出する略円環状の鍔部140と、裏面120でかつ鍔部140近傍の、エリア幅Lの範囲内に設置される丸棒状の脚部150とを備える。鍔部140の上方(光拡散部材側)の面を鍔部上面140a、鍔部140の外側面を鍔部側面140b、鍔部上面140aと対向して位置し、裏面120の一部を形成する面を鍔部下面140cとする。
【0040】
光制御出射面110は、鍔部上面140aよりも上方(光拡散部材側)へ向けて突出する。光制御出射面110は、光軸Lを中心とする所定範囲に位置する第1の出射面110aと、第1の出射面110aの周囲に連続して形成される第2の出射面110bと、第2の出射面110bと鍔部上面140aとを接続する第3の出射面110cとからなる。
【0041】
第1の出射面110aは、下に凸の滑らかな曲面形状であり、球の一部を切り取ったような凹み形状になっている。また、第2の出射面110bは、第1の出射面110aに連続して形成される上に凸の滑らかな曲面形状であり、平面形状が第1の出射面110aを取り囲む略中空円板形状に形成されている。第3の出射面110cは、基準光軸Lを通る断面においてほぼ直線状となる傾斜面を示したが、光束制御部材100からの広範囲かつ均一な出射を妨げる形状でなければ第2の出射面110bと滑らかに接続される断面曲線上の面でもよい。
【0042】
脚部150は、光束制御部材100の所定位置配置及び高さ固定のための脚であり、裏面120に、間隔をおいて3個形成する。本実施の形態においては、基準光軸から等距離、且つ等間隔に3個形成されている。脚部150は、光束制御部材100を基板の表面に位置決めした状態で接着剤(図示略)により接着される。
【0043】
光束制御部材100を基板に取り付けた際に、発光素子3の発光面と光束制御部材100の裏面120との間に隙間εが形成される。隙間εの形成理由は様々であり、凹み130に発光素子3が収容されるように光束制御部材100を基板上へ載置する際の取付誤差や、発光素子3から発する熱を放熱する目的等が挙げられる。
【0044】
脚部150は、基板の表面に接着剤により接着される。
【0045】
上述したように、接着剤は、熱硬化樹脂などからなり、熱により樹脂を硬化させて脚部150を基板上に固定する。本用途における熱硬化樹脂は、現行では黒色又は濃い茶褐色など、殆どが色付きである。
【0046】
〔脚部150の形成位置〕
光束制御部材100の裏面120に設置される脚部150の形成位置に特徴がある。
【0047】
脚部150は、光束制御部材100の裏面120の、エリア幅Lの範囲内に設置される。エリア幅Lの領域は、基準光軸に対して平行な平行光束を光制御出射面110全面から光束制御部材100へ入射した場合、光制御出射面110から裏面120に向かって光が直接伝播されたときに裏面120で光が到達しない死角領域である。以下、詳細に説明する。
【0048】
図5は、
図4の光束制御部材100の裏面120に設置される脚部150の形成位置であるエリア幅Lを説明する図である。
【0049】
図5に示すように、光束制御部材100の光制御出射面110の第3の出射面110cは、鍔部140と角度をもって交わる。いま第3の出射面110cと鍔部140との交点に着目する。この第3の出射面110cに接線111を引き、その法線112を破線で表す。光束制御部材100の真上(光拡散部材側)から光制御出射面110の最外縁部110dへ入射した基準光軸と平行な光線113を太実線で表す。第3の出射面110cの接線111と基準光軸とのなす角度をレンズ傾斜角θ(接線111と基準光軸に対して平行な光線113とのなす角度と等しい)、光線113が最外縁部110dから光制御出射面110へ入射して生成した屈折光115と法線112とのなす角度を光制御出射面110における出射角βとする。
【0050】
光線113は、空気(第1媒体:n
air)から光束制御部材100の透明樹脂材料等(第2媒体:n
pmma)に入射角αで入射する。このため入射面において、入射光の一部は、光束制御部材100の基準光軸寄りに屈折する。すなわち、入射した光線113は、光線113と同一方向にそのまま直進する光(直進光)114と、光束制御部材100の基準光軸寄りに屈折する光(屈折光)115とに分かれる。これら直進光114と屈折光115とが光束制御部材100の裏面120(
図4参照)に到達した地点の幅が死角領域であり、エリア幅Lとなる。
【0051】
エリア幅Lは、次式(1)に従ってパラメータを定義するとき、次式(2)で与えられる。但し、n
pmmaは、光束制御部材100の透明樹脂材料等の屈折率、tは鍔部140の肉厚である。
【0052】
n
pmmasinβ=n
airsinα
n
pmmasinβ=1.49
n
air=1
β=sin
−1(sinα/1.49)
…(1)
L=t×tan(90−β−θ)
θ=90−α
L=t×tan(α−β) …(2)
式(2)に示すように、光束制御部材100の形状が定まれば、脚部150の形成位置として適当な範囲であるエリア幅Lが決まる。
【0053】
なお、鍔部140は光束制御部材100に必須ではない。鍔部140が形成されない場合の値tは、光制御出射面110の最外縁部110dの任意の点から裏面120に垂線をおろした際の垂線の足までの距離とする。
【0054】
図6は、光束制御部材100の裏面120(
図4参照)のエリア幅Lの領域を模式的に示す図である。
【0055】
図6(a)に示すように、エリア幅Lの領域は、光束制御部材100の光制御出射面110及び鍔部140(
図4参照)が円環状であることに起因して、光束制御部材100の裏面120にリング状に分布する。
【0056】
脚部150は、光束制御部材100の裏面120の、エリア幅Lの範囲内であればどのような位置に配置してもよい。脚部150の形状は任意であり、その個数も限定されない。例えば、
図6(b)に示すように、脚部150の断面形状が円形の脚150aであってもよく、脚部150の断面形状が楕円円弧形状の脚150bであってもよい。また、図示は省略するが、エリア幅Lの範囲内において、全周に亘って1つの円形の脚部150を形成する態様でもよく、中心から見て円弧状の複数の脚部150を用いる態様でもよい。本実施の形態では、脚部150を基板上に接着剤で取り付ける工程の作業容易性と脚部150取り付け後の安定性向上の観点から、断面形状が円形の丸棒状の脚部150を3つ使用した。
【0057】
以下、上述のように構成された光束制御部材100の作用について説明する。
【0058】
図4を参照して、エリア幅Lの範囲内に脚部150を有する光束制御部材100の作用を説明する。
【0059】
光束制御部材100は、発光素子3からの光の出射を制御する拡散レンズであり、光束制御部材100の真上(光拡散部材側)から入射される光について考察されることは少ない。
【0060】
本実施の形態は、光束制御部材100の真上(光拡散部材側)から見た場合、脚部150が光束制御部材100に映り込まないようにするものである。したがって、光束制御部材100の真上から入射した基準光軸に平行な光に着目する。
【0061】
図4に示すように、光束制御部材100の真上から光制御出射面110及び鍔部140に入射した基準光軸に平行な光は、(1)第1の出射面110aと第2の出射面110bの中心寄りにおいては殆ど屈折することなく光束制御部材100内を進み、裏面120、或いは凹み130に到達する。(2)また、第2の出射面110bの外縁寄り、及び第3の出射面110cにおいては、光束制御部材100の中心方向に屈折した状態で光束制御部材100内を進み、裏面120から外部に出射する。この第3の出射面110cから入射され、光束制御部材100内を伝播した光については、裏面120で更に基準光軸側に屈折して出射する。なお、第1の出射面110aに入射した光のうち、凹み130に入射する光については、凹み130により光束制御部材100内で角度がばらけた状態で散乱するが、凹み130は脚部150の形成位置としては不適なエリアであるため、この光については無視する。(3)また、光束制御部材100の真上から鍔部140に入射した基準光軸に平行な光は、屈折することなく光束制御部材100内を伝播し、裏面120に到達する。
【0062】
結局、光束制御部材100の真上から光制御出射面110及び鍔部140に入射した基準光軸に平行な光は、鍔部140においては屈折することなく光束制御部材100内を伝播し、裏面120に到達する一方、第3の出射面110cにおいては、光束制御部材100の中心方向に屈折した状態で光束制御部材100内を進み、裏面120に到達する。これにより、
図4に示すように、光束制御部材100の裏面120には、光束制御部材100の真上から入射した基準光軸に平行な光が到達しない、エリア幅Lのリング状エリアが形成される。このエリア幅Lのリング状エリアは、光束制御部材100の真上(光拡散部材側)から見た場合に隠蔽され、直接見えない領域である。
【0063】
本実施の形態では、このリング状エリアが形成される光束制御部材100の裏面120位置に脚部150を設置する。脚部150は、光束制御部材100位置及び高さ固定のための脚である。また、脚部150は、有色の接着剤により基板上に位置決め接着される。
【0064】
上述したように、脚部150が設置される光束制御部材100の裏面120位置(エリア幅Lのリング状エリア)は、光束制御部材100の真上から見た場合に直接見えない領域であり、従って脚部150及び接着剤が映り込まない場所である。このため、光束制御部材100を基板に実装した場合に、接着剤の部分で光が吸収されて、光束制御部材100の表示面に暗部を発生させるという不具合を防止することができ、脚部接着に起因する輝度均一性のムラの発生を防止することができる。
【0065】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、光束制御部材100は、光制御出射面110の第3の出射面110cの最外縁部110dから裏面120におろした垂線の足の基準光軸からの距離を半径とする裏面120上の仮想円Cよりも内側にエリア幅Lの領域を有し、その範囲内に設置される丸棒状の脚部150とを備え、エリア幅Lは次式で与える。
【0066】
L=t×tan(α−β)
t:鍔部140の肉厚、又は最外縁部110dの裏面120からの高さ
α:基準光軸に平行な光113の最外縁部110dにおける光制御出射面110への入射角
β:基準光軸に平行な光113が最外縁部110dから光制御出射面110へ入射した際に生成する屈折光115の光制御出射面110からの出射角
【0067】
上記エリア幅Lのリング状エリアは、光束制御部材100の真上から見た場合に直接見えない領域であり、このリング状エリアに脚部150が設置される。したがって、光束制御部材100を基板に実装した場合に、接着剤の部分で光が吸収されたとしても、このリング状エリアに設置された脚部150及び接着剤は、光束制御部材100の真上からは見えず、光束制御部材100の表示面に影響を与える不具合を防止することができる。現在のところ、熱硬化樹脂からなる接着剤は黒色又は濃い茶褐色のものしかないのが現状であるが、かかる接着剤を使用して光束制御部材100を基板に実装することができる。特殊な接着剤を使用することなく、安価な熱硬化樹脂接着剤が使用できるため、低コストかつ汎用で実施することができる。その結果、脚部接着に起因する輝度均一性のムラの発生を防止することができ、高品位な照明品質を得ることができる。
【0068】
なお、有色の接着剤は、光束制御部材100の表示面に影響を与える主な原因であるが、脚部150自体の映り込みの影響もないとは言えない。本実施の形態は、かかる脚部150周辺の映り込み等の影響を緩和することができる。
【0069】
また、脚部150は、エリア幅Lの範囲内に必ずしも全部が収まらなくてもよい。
【0070】
図7は、上記実施の形態1に係る表示装置を構成する面光源装置の他の光束制御部材の詳細な構成を示す図であり、
図4と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
【0071】
図7に示すように、脚部150の一部がエリア幅L外にはみ出すように形成されたとしても、その光束制御部材を用いた面光源装置の発光面積に対して脚部のエリア幅Lからのはみ出し量(面積)が小さければ、発光面上から暗部は認識されにくく、高品位な照明品質を得ることができる。
【0072】
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2に係る光束制御部材の詳細な構成を示す図である。
図4と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。本実施の形態に係る光束制御部材200は、
図1乃至
図3の光束制御部材4に代えて用いられる。
【0073】
光束制御部材200は、発光素子3からの光の出射を制御する拡散レンズであり、例えば非球面レンズである。光束制御部材200は、拡散レンズ部分については、
図4の光束制御部材100と同一構成である。
【0074】
光束制御部材200は、発光素子3からの光の出射を制御する平面形状が略円形形状の光制御出射面110と、発光素子3からのうち基準光軸方向に出射する光を含む主光線を内部へ入射させる凹み130と、この凹み130の開口縁部から径方向に延在し、基準光軸に対して大きな角度で発光素子3から出射する副光線を内部へ入射させる裏面120と、上面(光拡散部材側)に凹形状のV溝240aを有し、光制御出射面110の径方向外方側に突出する略円環状の鍔部240と、裏面120でかつV溝240aに対向する位置に設置される丸棒状の脚部250とを備える。
【0075】
鍔部240は、裏面(基板側)の脚部250形成位置に対向する上面(光拡散部材側)に凹形状のV溝240aを備える。V溝240aは、凹形状の窪みであればよく、典型的には円錐、四角錘、三角錐などの錘形状である。
図8では、四角錘形状のV溝240aが、鍔部240の上面に形成されている。また、V溝240aの傾斜面の角度は、鍔部240の肉厚tを考慮し、光束制御部材200の真上から入射した光が、脚部250形成位置に到達しない傾斜角度とする。
【0076】
脚部250は、光束制御部材200の所定位置配置及び高さ固定のための脚であり、鍔部240の内周面の同心円周上に等間隔で3個形成されている。ここで、脚部250の形成位置に対向する鍔部240の上面(光拡散部材側)には、凹形状のV溝240aが形成される。脚部250は、光束制御部材200を基板の表面に位置決めした状態で接着剤により接着される。
【0077】
図9は、鍔部240のV溝240aの形状を鍔部240の断面及び上面から見た状態を示して説明する図である。
図9(a)(b)(c)に示すように、鍔部240のV溝240aは、円錐、四角錘、又は三角錐のいずれを形成してもよい。四角錘,三角錐などの稜線がある錘の場合、錘の稜線の方向は任意である。また、錘ではないV溝構造でもよい。
【0078】
以下、上述のように構成された光束制御部材200の作用について説明する。
【0079】
本実施の形態は、実施の形態1と同様に、光束制御部材200の真上(光拡散部材側)から見た場合、脚部250が光束制御部材200に映り込まないようにするものである。
【0080】
図8に示すように、光束制御部材200の真上(光拡散部材側)から鍔部240に入射した光は、鍔部240のV溝240aにより脚部250の中心線を避ける方向に屈折して光束制御部材200内を伝播し、裏面120から外部に出射する。V溝240aにより屈折して、光束制御部材200内を伝播した光は、裏面120で更に脚部250の中心線を避ける方向に屈折して出射する。
【0081】
これにより、鍔部240のV溝240aの直下に形成された脚部250においては、光束制御部材200の真上から入射した基準光軸に平行な光が外部に出射しないエリアが形成される。このエリアは、光束制御部材200の真上(光拡散部材側)から見た場合に隠蔽され、直接見えない領域であり、従って脚部250及び接着剤が映り込まない場所である。このため、光束制御部材200を基板に実装した場合に、接着剤の部分において光が吸収されて、光束制御部材200の表示面に影響を与える不具合を防止することができ、脚部接着に起因する輝度均一性のムラの発生を防止することができる。
【0082】
本実施の形態では、鍔部240にV溝240aを形成することにより、脚部250を直接見えなくする構成である。このため、鍔部240に適当なV溝240aを形成できればよく、脚部250形成位置の自由度を向上させることができる。特に、実施の形態1では、脚部150(
図4参照)は、光制御出射面110の第3の出射面110cの端部近傍に設置位置が限られていたのに対し、本実施の形態では、脚部250を形成しようとする、鍔部240の上面にV溝240aを形成すればよく、脚部250形成位置の自由度を向上させることができる。同様の理由で、鍔部240の形状は、光制御出射面110の径方向外方側に突出する略円環状には限定されない。例えば、上記V溝を形成する部分のみが突出した形状であってもよく、この突出部分に対向する位置に脚部250を設けることも可能である。このように、光束制御部材200は、基板に実装する際の汎用性を拡大することができる。
【0083】
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3に係る光束制御部材の詳細な構成を示す図である。
図4と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。本実施の形態に係る光束制御部材300は、
図1乃至
図3の光束制御部材4に代えて用いられる。
【0084】
光束制御部材300は、発光素子3からの光の出射を制御する拡散レンズであり、例えば非球面レンズである。光束制御部材300は、拡散レンズ部分については、
図4の光束制御部材100と同一構成である。
【0085】
光束制御部材300は、発光素子3からの光の出射を制御する平面形状が略円形形状の光制御出射面110と、発光素子3からのうち基準光軸方向に出射する光を含む主光線を内部へ入射させる凹み130と、この凹み130の開口縁部から径方向に延在し、基準光軸に対して大きな角度で発光素子3から出射する副光線を内部へ入射させる裏面120と、光制御出射面110の径方向外方側に突出する略円環状の鍔部140と、中空内部に再帰反射構造350aを有する丸棒状の脚部350とを備える。
【0086】
脚部350は、光束制御部材300の所定位置配置及び高さ固定のための脚であり、鍔部140の内周面の同心円周上に等間隔で3個形成されている。脚部350は、光束制御部材300を基板17の表面に位置決めした状態で接着剤16により接着される。
【0087】
脚部350は、裏面120から下方(基板側)に向かって凸の錘形状の再帰反射構造350aと、再帰反射構造350aの外周を取り囲む筒形状の中空の脚部350bを有する。
【0088】
再帰反射構造350aは、凸形状の錘構造であればよく、円錐、四角錘、三角錐などの錘形状である。
図10では、四角錘形状の再帰反射構造350aが、中空の脚350b内部に形成されている。また、再帰反射構造350aの傾斜面の角度は、光束制御部材300の真上から入射した光が、再帰反射構造350aで反射して再帰反射される傾斜角度とする。なお、再帰反射構造350aは、コーティング等の加工を施すことなく再帰反射は可能である。
【0089】
図11は、脚部350の再帰反射構造350aの形状を断面及び底面から見た状態を示して説明する図である。
図11(a)(b)(c)に示すように、脚部350の再帰反射構造350aは、円錐、四角錘、又は三角錐のいずれを形成してもよい。四角錘,三角錐などの稜線がある錘の場合、錘の稜線の方向は任意である。また、錘ではないV状突起構造でもよい。
【0090】
図12は、脚部350の再帰反射構造350aの作用を説明する図である。
図12に示すように、再帰反射構造350aは、入射光が、錘面で再帰反射して出射する構造である。例えば、頂点角度が90°の錘面である場合は、基準光軸Lに平行な光は、錘面への入射角が臨界角より大きな角度であるθr=45°(脚部350を構成する材料がPMMAである場合の臨界角は約42°)で入射し全反射される構造とする。
【0091】
また、再帰反射構造350aが中空の脚部350bよりも短く形成されている理由は、以下の通りである。
【0092】
すなわち、脚部350を基板17に固定するための接着剤16は、中空の脚部350b内側にも少し回り込んで、中空の脚部350bと基板17とを接着する。このため、再帰反射構造350aの頂部が、上記回り込んだ接着剤に接しないように、中空の脚部350bの高さ寸法h1よりも、再帰反射構造350aの高さ寸法h2が小さくなるように形成されている。
【0093】
また、脚部350を基板17に固定するための接着剤16に、再帰反射構造350aの頂部が接しないように、中空の脚部350bの高さ寸法h1よりも、再帰反射構造350aの高さ寸法h2が小さくなるように工夫されている。
【0094】
以下、上述のように構成された光束制御部材300の作用について説明する。
【0095】
本実施の形態は、実施の形態1,2と同様に、光束制御部材300の真上(光拡散部材側)から見た場合、脚部350を基板17に固定するための接着剤16が光束制御部材200に映り込まないようにするものである。
【0096】
図11に示すように、光束制御部材300の真上(光拡散部材側)から鍔部140に入射した光は、屈折することなく光束制御部材300内を伝播し、裏面120から外部に出射する。ここで、裏面120に形成された脚部350では、脚部350内部に形成された再帰反射構造350aによって、光束制御部材300の真上から入射した光が、再帰反射して再び光束制御部材300内に戻る。再帰反射した光は、再び光束制御部材300内を伝播し、光束制御部材300の鍔部140から外部に出射する。
【0097】
これにより、再帰反射構造350aを有する脚部350においては、光束制御部材200の真上から入射した光が、略全反射されて、元の入射側から出射される。
【0098】
このように、脚部350は、再帰反射構造350aを備えることによって、脚部350に到達した光を、入射側に再帰反射する。このため、接着剤16(
図10参照)により脚部350を基板17(
図10参照)に接着した場合、接着剤16の部分が暗部となっていても、脚部350に伝播した光が入射側に再帰反射されるため、接着剤16の部分は、光束制御部材300の真上からは見えず、光束制御部材300の表示面に影響を与える不具合を防止することができる。
【0099】
特に、本実施の形態では、再帰反射構造350aを備える脚部350それ自体が、脚部350及び接着剤16エリアについて、直接見えるエリアを最小限に抑える構成である。したがって、脚部350をどのような位置にも設置することができるという特有の効果がある。脚部350形成位置の自由度をより一層向上させることができ、光束制御部材300を、基板に実装する際の汎用性を拡大することができる。
【0100】
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。
【0101】
例えば、光拡散部材は、被照明部材の発光素子側の面に取り付けてもよいし、また、被照明部材とは別に分離した状態で、被照明部材の発光素子に対向する面側に配置するようにしてもよい。
【0102】
また、光束制御部材は、光制御出射面にシボ面を形成し、光制御出射面から出射する光を拡散させるようにしてもよい。
【0103】
また、光束制御部材は、微量の光拡散物質(例えば、シリコーン粒子や酸化チタン)を含む材料で形成するようにしてもよい。
【0104】
また、上記各実施の形態では、光束制御部材、発光装置、面光源装置、及び表示装置という名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、平面光源、表示素子等であってもよい。光束制御部材は、LED用拡散レンズと呼称してもよい。